特許第6352661号(P6352661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352661
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】洗浄水タンク装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 1/24 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   E03D1/24
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-67119(P2014-67119)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-190155(P2015-190155A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】張岳 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深川 雅史
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−171967(JP,U)
【文献】 実開昭55−040040(JP,U)
【文献】 実開平05−094366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯水するタンクと、
前記タンクから流れ落ちる結露水を受けるための水受けと、を備え、
前記水受けは、
水受け底部と、
前記水受け底部の外周に沿って形成された外周壁と、を有し、
前記タンクは、
前記水受け底部の上方に配置されるタンク底部と、
前記水受け底部および前記外周壁の上方を外れた位置に配置される側面部と、
前記タンク底部と前記側面部とを連結する連結部と、を有し、
前記連結部は、前記水受けの水受け底部および外周壁の上方を外れた位置において前記側面部と接続される曲面部を有することを特徴とする洗浄水タンク装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記曲面部と前記タンク底部とに接続される平面部を有し、
前記曲面部と前記平面部は滑らかに接続されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄水タンク装置。
【請求項3】
前記曲面部は、前記水受け底部の上方まで延在し、前記タンク底部と接続されることを特徴とする請求項1に記載の洗浄水タンク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水タンク装置に関し、特にタンクから流れ落ちる結露水を受けるための水受けを有する洗浄水タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トイレの室内空間を有効利用するため、洋風大便器とキャビネットを一体化したトイレユニットが提案されている。このユニットでは、大便器の後部にキャビネットが設置される。キャビネットには、物品の収納部の他に、ロータンクの収納部が設けられ、物品の収納空間を確保しつつすっきりとした外観が得られる。
【0003】
ロータンクには、便器洗浄に利用する洗浄水が貯水される。この洗浄水の温度とトイレ室内の気温の温度差が大きくなると、タンクの外表面に結露が発生することがある。結露水は、成長して大きくなると、タンク表面から垂れ落ちる。そのため、結露水によりキャビネットに染み汚れが生じる可能性がある。
【0004】
結露水対策のひとつとして、ロータンクの下方に結露水を受けるための水受けを設けることが知られている。従来では、例えば特許文献1に記載されるような洗浄水タンク装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−088859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される装置では、ロータンクの外周を囲うように水受けが設けられるため、ロータンクの下部よりも水受けが大きくなる。つまり、結露水が洗浄水タンク装置外に垂れるのを抑止できるものの、洗浄水タンク装置は大型化する。これは、トイレの室内空間の有効利用を進める上でボトルネックとなりうる。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部に結露水が垂れるのを抑止でき、かつ、コンパクトな洗浄水タンク装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の洗浄水タンク装置は、洗浄水を貯水するタンクと、タンクから流れ落ちる結露水を受けるための水受けと、を備える。タンクは、水受けの上方に配置される底部と、水受けの上方を外れた位置に配置される側面部と、底部と側面部とを連結する連結部と、を有する。連結部は、水受けの上方を外れた位置において側面部と接続される曲面部を有する。
【0009】
この態様によると、側面部から流れて落ちてくる結露水が曲面部を伝って水受け側に導かれる。したがって、比較的コンパクトな水受けにより結露水を受けることができる。
【0010】
連結部は、曲面部と底部とに接続される平面部を有してもよい。曲面部と平面部は滑らかに接続されてもよい。この場合、結露水は連結部を伝ってより確実に水受け側に導かれる。
【0011】
曲面部は、水受けの上方まで延在し、底部と接続されてもよい。この場合、結露水は曲面部を伝ってより確実に水受け側に導かれる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部に結露水が垂れるのを抑止でき、かつ、コンパクトな洗浄水タンク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る洗浄水タンク装置が用いられるトイレユニットを示す斜視図である。
図2】実施形態に係る洗浄水タンク装置を示す斜視図である。
図3】実施形態に係る洗浄水タンク装置を示す上面図である。
図4図3のA−A線断面図である。
図5】最低水位位置における洗浄水タンク装置の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0015】
図1は、実施形態に係る洗浄水タンク装置10が用いられるトイレユニット100を示す斜視図である。トイレユニット100は、キャビネット110と、便器120と、手洗装置130を備える。
【0016】
キャビネット110には、洗浄水タンク装置10が収容されるタンク収納部(図示せず)が設けられ、タンク収納部の前方には前板111が設けられる。前板111の前方には便器120が設置される。前板111の左右方向両側には側板113が開閉可能に設けられ、側板113の奥側には物品収納部(図示せず)が設けられる。キャビネット110の上部にはカウンター115が設置され、カウンター115の左右方向の一端側には手洗装置130が設置される。
【0017】
図2、3は、洗浄水タンク装置10を示す。図2は洗浄水タンク装置10の斜視図である。図3は洗浄水タンク装置10の上面図である。洗浄水タンク装置10は、ロータンク20と、結露水受け30と、タンクレバー40と、を含む。
【0018】
ロータンク20は、便器洗浄に利用する所定量の洗浄水を貯水する。ロータンク20は、筒部21とその一端を塞ぐ底部22とを有する筒状体である。筒部21は、右側面24と、左側面25と、前面26と、背面27とを有する。底部22の略中央には、洗浄水を便器に排出するための排出部23が形成される。ロータンク20内の洗浄水の温度とトイレ室内の気温との温度差が大きくなると、筒部21の外表面に結露が発生する場合がある。結露水は、成長して大きくなると、筒部21の外表面を伝って下方に流れ落ちる。
【0019】
結露水受け30は、ロータンク20の外周を伝って流れ落ちてきた結露水を受ける。結露水受け30は、ロータンク20の下方に設けられる。結露水受け30は、上面が開いた背の低い箱状で、底部31と、底部31の外周に沿って形成された外周壁32とを有する。
【0020】
図4図3のA−A線断面図である。
水受け30の底部31には、貫通孔33と複数の排水口34が形成される。貫通孔33は、底部31の略中央に形成される。この貫通孔33にロータンク20の排出部23が螺合されることにより、結露水受け30はロータンク20に対して固定される。特に、ロータンク20の排出部23の外周面にはおねじが形成され、貫通孔33の内壁には対応するめねじが形成される。複数の排水口34は、貫通孔33の周りに形成される。結露水受け30に溜まった結露水は、排水口34から便器に排水される。排水口34は、結露水を排水できればよく、その数、形状、配置、は問わない。外周壁32は、略鉛直方向に突出する直立壁である。
【0021】
図4において、破線H1は洗浄水の最高水位(すなわち満水時の水位)を示す。結露はこの破線H1以下において発生する。破線H2は洗浄水の最低水位(すなわち洗浄後の水位)を示す。洗浄水の水位は、破線H1と破線H2の間で変動する。
【0022】
図5は、最低水位位置における洗浄水タンク装置10の水平断面図である。ロータンク20の底部22(一点鎖線で囲んだ部分)は、全体が、結露水受け30の鉛直上方でかつ外周壁32の内側(以下、「結露水受け30の内側」ともいう)に位置するよう設けられる。一方、筒部21は、結露水受け30の鉛直上方を外れた位置(以下、「結露水受け30の外側」ともいう)に位置する部分を有する。
【0023】
このような結露水受け30の外側の部分で発生した結露水を結露水受け30に流れ落ちるようにするための筒部21の構成について、右側面24を例にとり説明する。図4に戻り、右側面24は、側面部28と、側面部28と底部22とを連結する連結部29と、を有する。連結部29は、第1連結部29aと、第2連結部29bと、を有する。側面部28、第1連結部29a、第2連結部29b、底部22はこの順に上から並び、接続される。
【0024】
側面部28は、平坦な板状を有し、その外周面の断面形状は直線状を有する。側面部28は、鉛直方向に延在するよう設けられる。なお、側面部28は、鉛直方向に対して傾斜した方向に延在する設けられてもよい。側面部28は、結露水受け30の鉛直上方を外れた位置に設けられる。側面部28の外周面で発生した結露水wは、側面部28の外周面を伝って下方に流れていく。
【0025】
連結部29は、第1連結部29aと、第2連結部29bと、を有する。第1連結部29aは、平坦な板を結露水受け30の内側に向かって湾曲した形状を有し、その外周面の断面形状は曲線状を有する。例えば、円弧状、楕円弧状、放物線状を有する。第1連結部29aは、側面部28と同様、結露水受け30の外側に設けられる。側面部28を伝って流れてきた結露水wは、断面が曲線状の第1連結部29aを伝うことによって、鉛直下方に垂れることなく、水受け31側に向かって流れていく。なお、第1連結部29aを伝う結露水wが鉛直下方に垂れないための最適な曲線形状、長さ等は実験により定めればよい。
【0026】
第2連結部29bは、平坦な板状を有し、その外周面の断面形状は直線状を有する。第2連結部29bは、鉛直方向に対して傾斜した方向に延在するよう設けられる。特に、第2連結部29bは、底部22側の端部が結露水受け30の内側に位置するよう設けられる。第1連結部29aと第2連結部29bとは滑らかに接続される。別の言い方をすると、連結部29の外周面の断面形状は滑らかな線となる。結露水wは、第2連結部29bを伝うことによって、結露水受け30の外側から結露水受け30の内側に向かって流れ、結露水受け30に垂れ落ちる。なお、第2連結部29bを伝う結露水wが結露水受け30の内側に達する前に垂れないための第2連結部29bの最適な傾斜角度は、実験により定めればよい。
【0027】
このようにして、結露水受け30の外側に位置する側面部28で発生した結露水は、側面部28および連結部29を伝って結露水受け30の内側に導かれる。結露水受け30に垂れた結露水は、排水口34から排水される。
【0028】
本実施の形態に係る洗浄水タンク装置10によると、側面部28の下端側に第1連結部29aが接続される。第1連結部29aは、結露水受け30の内側に向かって湾曲した形状を有する。そのため、側面部28で発生した結露水は、第1連結部29aを伝って結露水受け30の内側に導かれる。したがって、側面部28が結露水受け30の外側に位置する場合、すなわち結露水受け30がロータンク20に対して比較的コンパクトな場合であっても、結露水を結露水受け30で受けることができる。逆に言えば、結露水が洗浄水タンク装置10外に垂れるのを抑止しつつ、結露水受け30をコンパクトにできる。結露水受け30がコンパクトになると、洗浄水タンク装置10さらにはタンク収容部がコンパクトになり、例えばその分だけ物品収納部を大きくすることができる。また、結露水受け30がコンパクトになると、その分製造コストが下がる。
【0029】
また、本実施の形態に係る洗浄水タンク装置10によると、第2連結部29bは、第1連結部29aと底部22とに接続される。特に、第2連結部29bと第1連結部29aとは滑らかに接続される。このため、結露水は、連結部29を伝って確実に結露水受け30に導かれる。
【0030】
また、本実施の形態に係る洗浄水タンク装置10によると、結露水受け30の外周壁32は直立壁として形成される。そのため、例えば上方に向かって拡がるような傾斜壁の場合など直立壁でない場合と比べて、外周壁32の外周面の面積を小さくできる。ここで、結露水受け30に結露水が溜まると、結露水受け30の外周面すなわち外周壁32の外周面に結露水が付着する場合がある。これに対し、本実施の形態によれば外周壁32の外周面の面積を小さくできるため、外周壁32で発生しうる結露水の量を抑えることができる。
【0031】
また、本実施の形態に係る洗浄水タンク装置10によると、例えばロータンク20の高さを低くするために、代わりにその幅方向を広くするような設計変更が生じた場合でも、底部22が結露水受け30の内側に位置し、かつ連結部29を有するようにすれば、設計変更前のロータンク20に利用している結露水受け30をそのまま利用することができる。そのため、ロータンク20に応じた結露水受け30を用いる場合と比べ、製造コストを下げることができる。
【0032】
以上、実施の形態に係る洗浄水タンク装置10について説明した。これらの実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、実施の形態同士の組み合わせも可能である。
【0033】
実施の形態では、連結部29が、第1連結部29aと第2連結部29bとを有する場合について説明したが、これに限られない。例えば、連結部29、第1連結部29aだけを有していてもよい。つまり、連結部29が全体として、平坦な板を結露水受け30の内側に向かって湾曲した形状を有してもよい。この場合、結露水は、結露水受け30の外側から結露水受け30の内側まで滑らかに続く連結部29の曲面を伝って、確実に結露水受け30に導かれる。
【0034】
実施の形態では、右側面24および左側面25が結露水受け30の外側に位置する部分を有する場合について説明したがこれに限られない。本実施の形態の技術的思想は、右側面24または左側面25のいずれか一方が結露水受け30の外側に位置する部分を有する場合や、前面26および背面27の少なくとも一方が結露水受け30の外側に位置する部分を有する場合にも適用できる。
【0035】
実施の形態では、キャビネット110内に収容される洗浄水タンク装置10を例に説明したが、これに限られず、実施の形態の技術的思想は、キャビネットに収容されない洗浄水タンク装置にも適用できる。また、実施の形態では、タンクがロータンクである場合を例に説明したが、これに限られず、実施の形態の技術的思想は、ハイタンク、その他のタンクにも適用できる。
【符号の説明】
【0036】
10 洗浄水タンク装置、 20 ロータンク、 21 筒部、 22 底部、 23 排出部、 24 右側面、 25 左側面、 26 前面、 27 背面、 28 側面部、 29 連結部、 29a 第1連結部、 29b 第2連結部、 30 結露水受け、 31 底部、 32 外周壁、 33 貫通孔、 34 排水口、 40 タンクレバー。
図1
図2
図3
図4
図5