(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
USBインタフェースを介して通信機器と接続可能な拡張機器において、供給される電圧が示す電圧レベルを監視すると共に、前記USBインタフェースを介して供給される所定の信号に起因した前記電圧レベルの変化に基づいて、前記USBインタフェースに前記通信機器が接続されたか否かを検出する第1の検出手段を備え、
前記通信機器において、供給される電圧が示す電圧レベルが、前記所定の信号に起因して変化したことに基づいて、自機器が前記USBインタフェースを介して前記拡張機器に接続されたか否かを検出する第2の検出手段を備え、
前記第1の検出手段は、前記供給される電圧が示す電圧レベルの監視の結果、前記電圧レベルが閾値以上である場合、前記USBインタフェースに前記通信機器が接続されないことを検出すると共に、前記USBインタフェースを介して前記通信機器からの設定を受け付ける制御手段をリセットする
機器検出回路。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やスマートフォン等の通信機能を備えた携帯型の通信機器(以下、「携帯機器」と称する)は、クレードル機器に接続されることにより充電されることが多い。携帯機器と、このクレードル機器とのインタフェースには、一般に、充電用のインタフェースの他に、専用のコネクタが用意され、互いに通信が行われる。例えば、専用のインタフェースにより、携帯機器は、クレードル機器の接続の有無を判別したり(またはクレードル機器が携帯機器の接続の有無を判別したり)、クレードル機器にリセットを掛けたり電源を落としたりすることが可能となる。
【0003】
一方で、装置サイズの小型化やコスト削減などの要求に応じて、専用のコネクタを用意せず、通信機器に対する充電用のインタフェースを、上記のようなクレードル機器の接続の有無の判別等にも使用するケースが増加している。
【0004】
例えば、スマートフォンやモバイルルータなどの機器は、自機器の充電に使用するインタフェースとして、マイクロUSB(Universal Serial Bus)コネクタを備えていることが多い。USBに用いられる信号線には、規格によって定められた用途があるので、携帯機器は、マイクロUSBを利用して、接続されるクレードル機器を検出するには、回路構成を工夫する必要がある。
【0005】
すなわち、携帯機器とクレードル機器とを接続するインタフェースに、USB2.0規格に準拠したマイクロUSBコネクタが用いられる場合、携帯機器とクレードル機器との間でやりとりされる信号の種類は、「VBUS信号」、「USB_D+信号」、「USB_D−信号」、「USB_ID信号」および「GND信号」である。「VBUS信号」と「GND信号」は電源供給に用いられる信号であるので、携帯機器は、これらの信号を自由に制御できない。また、「USB_D+信号」と「USB_D−信号」は、携帯機器とクレードル機器との通信に使用される。したがって、上記のような、クレードル機器の接続の有無の判別に使用可能な信号は、「USB_ID信号」のみである。
【0006】
ここで、近年、「USB On−The−Go」(以下、「USB_OTG」と表記する)と呼ばれる規格が策定されている。「USB_OTG」規格は、通常はホストとしては機能しないデバイスに簡易的なホスト機能を持たせることにより、PC(Personal Computer)などのホストを介さないUSBデバイス同士の直接接続を可能にする。
【0007】
携帯機器が「USB_OTG」規格に準拠している場合、クレードル機器はプルダウン抵抗などを用いて「USB_ID」の論理を「Low」に固定し、携帯機器は「USB_ID」の論理を監視する。これにより、携帯機器はクレードル機器の接続の有無を判別することができる。
【0008】
例えば、特許文献1は、利便性の高い充電方法およびその充電方法を実現できる電源制御回路を開示する。当該電源制御回路は、電子機器Qがスレーブで通常動作モードの時は、USBのVBUS、蓄電池または外部電源からの電源を、データ転送制御回路に供給する。電子機器Qがスレーブで充電モードの時は、VBUSからの電源を蓄電池に供給して充電する。充電モード時に外部電源が使用可能な時は、VBUSに代えて外部電源からの電源を蓄電池に供給する。
【0009】
また、特許文献2は、USBコネクタによりモバイルルータに充電する充電器の給電能力の判別を実現するUSB充電器性能判別システムを開示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯機器100とクレードル機器200の構成を示す図である。
図1に示すように、携帯機器100は、マイクロUSBコネクタ110、制御部120およびクレードル機器検出回路(第2の検出手段)130を備える。クレードル機器200は、マイクロUSBコネクタ210、制御部(制御手段)220、携帯機器検出回路(検出手段、第1の検出手段)230および給電用コネクタ240を備える。携帯機器100は、携帯電話やスマートフォン等を含む通信機能を備えた携帯型の通信機器である。クレードル機器200は、携帯機器100に対する給電等が可能な拡張機器である。
【0022】
携帯機器100とクレードル機器200は、マイクロUSBコネクタ110とマイクロUSBコネクタ210を介して、互いに接続される。マイクロUSBコネクタ110とマイクロUSBコネクタ210は、互いに以下の信号、すなわち、VBUS信号11、USB_D−信号12、USB_D+信号13、USB_ID信号14をやり取りする。
【0024】
VBUS信号11は、電源供給に利用される信号である。すなわち、VBUS信号11は、クレードル機器200が有する給電用コネクタ240にAC(Alternating Current)アダプタ等の外部給電機器が接続される場合、クレードル機器200が備える制御部220を介して携帯機器100に給電される。
【0025】
USB_D−信号12およびUSB_D+信号13は、制御部120と制御部220間の通信用の信号である。携帯機器100とクレードル機器200が接続された際に、マイクロUSBコネクタ110、210は、これら信号12、信号13によってUSB通信を行う。
【0026】
USB_ID信号14は、クレードル機器検出回路130および携帯機器検出回路230を接続する信号である。
【0027】
次に、携帯機器100が備える制御部120について説明する。
【0028】
制御部120は、USB_OTG規格に基づいて、携帯機器100全体の動作を司ると共に、クレードル機器検出回路130から供給される信号15を監視する。制御部120は、記憶回路またはCPU(Central Processing Unit)等により、クレードル機器200が接続されている場合はUSBホストとして動作し、クレードル機器200が接続されていない場合はUSBデバイスとして動作する。
【0029】
制御部120は、また、クレードル機器検出回路130が動作するように、信号16により電源を供給する。
【0030】
なお、制御部120は図示しない電池および電源回路を内包しているので、携帯機器100は、クレードル機器200からVBUS信号11が供給されない際にも動作可能である。制御部120は、クレードル機器200からVBUS11が供給されている場合、内包する電池に充電を行う。
【0031】
次に、クレードル機器200が備える制御部220について説明する。
【0032】
制御部220は、記憶回路等を備え、携帯機器110からの設定を受け付けると共に、記憶する。また、制御部220は、携帯機器検出回路230から供給される信号17を監視する。携帯機器100が接続されている場合、制御部220は、USB2.0規格により定義されたUSBデバイスとして動作する。携帯機器100が接続されていない場合、制御部220は、信号17によりリセットされる(詳細は後述する)。
【0033】
制御部220は、また、携帯機器検出回路230が動作するように、信号18により電源を供給する。
【0034】
なお、制御部220は図示しない電源回路部を内包している。制御部220は、外部給電機器が給電用コネクタ240に接続されず、VBUS信号11がクレードル機器200に供給されない場合、動作しない。また、制御部220は、USBデバイスとして動作するため、USBホストから制御されない限り、自身に対して自発的にリセットすることはできない。
【0035】
給電用コネクタ240は、ACアダプタ等の外部給電機器を接続するインタフェースであり、外部給電機器から供給されたVBUS信号11を制御部220に供給する。VBUS信号11の電圧は、USB2.0規格に基づいて、4.75Vから5.25Vであると定められる。そこで、本実施形態では、給電電圧が5Vであり、クレードル機器200が動作するのに十分な電流を供給可能な外部給電機器が給電用コネクタ240に接続可能であると仮定する。
【0036】
次に、クレードル機器検出回路130と携帯機器検出回路230について、概略を説明する。
【0037】
クレードル機器検出回路130は、USB_ID信号14が示す論理状態を監視することにより、携帯機器100にクレードル機器200が接続されるか否かを判別する。クレードル機器検出回路130は、クレードル機器200が接続される場合、信号15が示す論理状態を変化させると共に、変化させた信号15を制御部120に供給する。
【0038】
具体的には、クレードル機器検出回路130は、制御部120に対して、クレードル機器200が接続される状態では、「Low」を示す信号15を供給し、クレードル機器200が接続されない状態では、「High」を示す信号15を供給する。
【0039】
ただし、給電用コネクタ240に外部給電機器が接続されない場合、VBUS信号11はクレードル機器200に供給されないので、制御部220は動作しない。このとき、クレードル機器検出回路130は、クレードル機器200が接続される状態でも、信号15として「High」を出力する。これにより、携帯機器100は、クレードル機器200が接続されていないと判断する。
【0040】
同様に、携帯機器検出回路230は、USB_ID信号14が示す論理状態を監視することにより、携帯機器100の接続の有無を判別する。携帯機器検出回路230は、クレードル機器200に携帯機器100が接続される場合、信号17が示す論理状態を変化させると共に、変化させた信号17を制御部220に供給する。
【0041】
具体的には、携帯機器検出回路230は、制御部220に対して、携帯機器100が接続される状態では、「High」を示す信号17を供給し、携帯機器100が接続されない状態では、「Low」を示す信号17を供給する。信号17は、制御部220をリセットするための信号である。制御部220は、供給される信号17の論理が「High」であるときはリセットが解除され、「Low」であるときはリセットされる。
【0042】
制御部220と同様に、携帯機器検出回路230は、VBUS信号11がクレードル機器200に供給されない場合は動作しない。
【0043】
図2は、クレードル機器検出回路130および携帯機器検出回路230を示す詳細な回路図である。
図2を参照して、クレードル機器検出回路130と携帯機器検出回路230の動作を具体的に説明する。
【0044】
図2に示すように、クレードル機器検出回路130は、インバータ131およびプルダウン抵抗132を備える。携帯機器検出回路230は、電圧監視IC(Integrated Circuit)231、プルアップ抵抗232を備える。なお、
図2では、
図1に示したマイクロUSBコネクタ110、マイクロUSBコネクタ210の図示を省略している。
【0045】
インバータ131は、USB_ID信号14が示す論理状態を監視すると共に、その論理状態を反転させた信号15を、制御部120に供給する。具体的には、インバータ131は、論理「Low」または「High」を信号15を介して制御部120に供給する。インバータ131は、また、制御部120から信号16を介して供給される電源により動作する。
【0046】
プルダウン抵抗132は、インバータ131における、携帯機器検出回路230からの信号の入力側に配置される。
【0047】
クレードル機器200が携帯機器100に接続されない場合、USB_ID信号14が示す論理状態は、インバータ131により「Low」に固定される。したがって、インバータ131は、USB_ID信号14が示す論理状態を反転させた「High」を信号15を介して出力する。
【0048】
一方、携帯機器検出回路230が備える電圧監視IC231は、USB_ID信号14が示す電圧レベルを監視すると共に、その電圧レベルに応じた信号17を制御部220に供給する。具体的には、USB_ID信号14が示す電圧レベルが閾値未満の場合、電圧監視IC231は、論理「High」を示す信号17を制御部220に供給し、USB_ID信号14が示す電圧レベルが閾値以上の場合、論理「Low」を示す信号17を制御部220に供給する。
【0049】
携帯機器検出回路230が備えるプルアップ抵抗232は、制御部220から電源が供給される信号18と、USB_ID信号14の間に接続され、電源監視IC231における、クレードル機器検出回路130からの信号の入力側に配置される。
【0050】
クレードル機器200に携帯機器100が接続されていない場合、携帯機器検出回路230において、USB_ID信号14が示す電圧レベルは、電源を供給する信号18と同電位である。したがって、電圧監視IC231は、USB_ID信号14が示す電圧レベルは閾値以上であると判断すると共に、論理「Low」を示す信号17を制御部220に供給する。このとき、クレードル機器検出回路130において、インバータ131は、プルダウン抵抗132によりUSB_ID信号14が示す電圧レベルとして「Low」を検出すると共に、その論理を反転させた論理「High」を示す信号15を出力する。
【0051】
一方、クレードル機器200に携帯機器100が接続されている場合、携帯機器検出回路230において、USB_ID信号14が示す電圧レベルは、プルダウン抵抗132とプルアップ抵抗232により、信号18を介して供給される電源電圧から分圧される。このとき、電圧監視IC231は、USB_ID信号14が示す電圧レベルが閾値未満に垂下したことを検出すると共に、論理「High」を示す信号17を出力する。
【0052】
このとき、クレードル機器検出回路130において、インバータ131は、USB_ID信号14が示す電圧レベルは「High」であることを検出すると共に、その論理を反転させて論理「Low」を信号15を介して出力する。
【0053】
ここで、給電用コネクタ240に外部給電機器が接続されていない場合、電源は制御部220を介して携帯機器検出回路230に供給されない。したがって、プルアップ抵抗232には電圧が印可されないので、USB_ID信号14が示す電圧レベルは「Low」のままである。
【0054】
図3は、クレードル機器200に携帯機器100が接続された際の、クレードル機器200および携帯機器100の動作を示すフローチャートである。
図2および
図3を参照して、その動作の詳細について説明する。
【0055】
クレードル機器200に携帯機器100が接続される(ステップST301)。このとき携帯機器100は起動していると仮定する。
【0056】
制御部120は、クレードル機器検出回路130を介してUSB_ID信号14の電圧レベルが変化するか否かを監視する(ステップST302)。
【0057】
ここで、クレードル機器200が備える給電用コネクタ240に、外部給電機器が接続されていない場合、ステップST302においてNoとなる。すなわち、信号18を介して携帯機器検出回路230に電源は供給されないので、USB_ID信号14が示す電圧レベルは携帯機器100の起動時から変化しない(ステップST303)。したがって、携帯機器100(制御部120)は、クレードル機器200が接続されたことを認識しない(ステップST304)。この場合、携帯機器100は、処理をステップST302に戻す。
【0058】
一方、給電用コネクタ240に外部給電機器が接続される場合、ステップST302においてYesとなる。すなわち、プルダウン抵抗132およびプルアップ抵抗232により、USB_ID信号14が示す電圧レベルが変化する(ステップST305)。ここで、
図3に示す以降の処理において、携帯機器100の動作は、ステップST306乃至ステップST309に示し、クレードル機器200の動作は、ステップST310乃至ステップST313に示す。なお、ステップST306乃至ステップST309に示す動作と、ステップST310乃至ステップST313に示す動作は、並行して実施される。
【0059】
給電用コネクタ240に外部給電機器が接続される場合、クレードル機器検出回路130において、インバータ131に供給されるUSB_ID信号14が示す電圧レベルは、「Low」から「High」に変化する(ステップST306)。インバータ131は、当該変化に応じて、論理を「High」から「Low」に変化させて信号15を介して制御部120に出力する(ステップST307)。
【0060】
制御部120は、上記のように信号15が「High」から「Low」に変化したことを検出するのに応じて、携帯機器100がクレードル機器200に接続されたことを検出する(ステップST308)。上記動作により、携帯機器100とクレードル機器200との間のUSB通信が確立し、携帯機器100は、USBホストとして動作すると共に、クレードル機器200に対して設定等を行う(ステップST309)。
【0061】
一方、クレードル機器200が備える携帯機器検出回路230において、USB_ID信号14が示す電圧レベルは、プルダウン抵抗132とプルアップ抵抗232により分圧されることにより、電圧監視IC231に入力されるUSB_ID信号14が示す電圧レベルは、垂下する(ステップST310)。
【0062】
これに応じて、電圧監視IC231は、論理を「Low」から「High」に変化させて信号17を介して制御部220に供給する(ステップST311)。電圧監視IC231は、論理「Low」を示す信号17により制御部220をリセットしているが、信号17の論理が「Low」から「High」に変化したことにより、制御部220のリセットが解除され、クレードル機器200は、正常動作を実施する(ステップST312)。
【0063】
以上の動作により、クレードル機器200に対して、USBホストである携帯機器100から、USB通信を介して設定が行われると共に、クレードル機器200は、USBデバイスとして動作する(ステップST313)。
【0064】
以上のように、本第1の実施形態によれば、USB2.0規格に準拠したマイクロUSBインタフェースを介して、携帯機器100がクレードル機器200に接続されると、携帯機器100が備えるクレードル機器検出回路130は、供給されるUSB_ID信号14が「Low」から「High」に反転されることを検出する。これにより、携帯機器100は、クレードル機器200が接続されたことを検出する。
【0065】
また、このとき、クレードル機器200が備える携帯機器検出回路230は、供給されるUSB_ID信号14が、閾値以上の電圧レベルから閾値未満の電圧レベルに垂下したことを検出する。これにより、携帯機器検出回路230は、制御部220のリセットを解除するので、クレードル機器200は、正常に動作する。
【0066】
上記構成を採用することにより、本第1の実施形態によれば、携帯機器100とクレードル機器200とのインタフェースとして用いたマイクロUSBコネクタに用意されるUSB_ID信号14を利用することにより、専用のインタフェースを用いることなく、互いの接続の有無を判別することが可能であるという効果が得られる。また、本第1の実施形態によれば、専用のインタフェースが不要であるので、コストを削減できると共に、機器サイズを削減できるという効果が得られる。
【0067】
また、本第1の実施形態によれば、クレードル機器200に携帯機器100が接続されていない場合、携帯機器検出回路230が制御部220にリセット信号を供給する。これにより、クレードル機器200への電源供給を停止する等の作業を要することなく、クレードル機器200をリセットすることができるという効果が得られる。ここで、クレードル機器はUSB通信によって携帯機器の接続の有無を検出可能であるが、この場合、携帯機器からクレードル機器にUSB通信により行った設定が、携帯機器がクレードル機器から外されるとクレードル機器に設定が残ったままとなる。この場合、再び携帯機器がクレードル機器に接続された場合、両者間に状態の不一致が発生すると共に、クレードル機器が正常に動作しない虞がある。これに対して、本第1の実施形態によれば、上記のようにクレードル機器200をリセットすることができるので、クレードル機器の不正な動作を防ぐことができるという効果が得られる。
【0068】
また、クレードル機器200は、リセットを解除された状態では電力を消費する。これに対して、本第1の実施形態では、携帯機器100が接続されない際にはクレードル機器200をリセットすることにより、クレードル機器200による消費電力を削減できるという効果が得られる。
【0069】
さらに、本第1の実施形態によれば、クレードル機器検出回路130または携帯機器検出回路230を、FET(Field Effect Transistor)などにより構成しているので、携帯機器100およびクレードル機器200は、大規模な回路や特殊なICを要することなく、互いの接続の有無を判別できるという効果が得られる。
【0070】
第2の実施形態
次に、上述した第1の実施形態を基礎とする第2の実施形態について説明する。以下の説明では、第1の実施形態と同様の構成については同じ参照番号を付与することにより、重複する説明は省略する。
【0071】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る携帯機器100とクレードル機器400の構成を示す図である。
図4に示すように、携帯機器100は、第1の実施形態における携帯機器100と同様の構成である。一方、クレードル機器400は、第1の実施形態におけるクレードル機器200が備える給電用コネクタ240が給電用マイクロUSBコネクタ410(第2のUSBインタフェース)に置き換えられ、携帯機器検出回路230が携帯機器検出回路420に置き換えられた構成を有する。また、クレードル機器400には、VBUS信号11のみでなく、USBコネクタに用意された信号である信号19、信号20が供給される。
【0072】
図5は、
図4に示したクレードル機器検出回路130および携帯機器検出回路420を示す詳細な回路図である。
図5を参照して、クレードル機器検出回路130と携帯機器検出回路420の動作を具体的に説明する。
【0073】
第1の実施形態と同様に、クレードル機器検出回路130は、インバータ131およびプルダウン抵抗132を備える。携帯機器検出回路420は、電圧監視IC231、プルアップ抵抗232、給電機器検出IC421、FET422を備える。なお、
図5では、
図4に示したマイクロUSBコネクタ110、マイクロUSBコネクタ210の図示を省略している。
【0074】
VBUS11、信号19、信号20は、給電機器検出IC421に供給される。給電機器検出IC421は、USB−IF(USB−Implementers Forum)により制定された充電に関する規格である「USB Battery Charging Specification」に従い、信号19、信号20が示す論理状態、およびVBUS11が示す電圧レベルを監視すると共に、信号21を介して出力する論理を決定する。
【0075】
信号21は、FET422に供給されることにより、FET422に対してON、OFFを制御する。ここで、給電用マイクロUSBコネクタ410に接続された外部給電機器が、PC等の機器である場合、給電機器検出IC421は、信号21によりFET422をOFFする。これにより、VBUS11は制御部220に供給されないので、クレードル機器200は動作しない。
【0076】
一方、給電用マイクロUSBコネクタ410に接続された機器が、ACアダプタ等の機器である場合、給電機器検出IC421は、信号21によりFET422をONする。これにより、VBUS11は、制御部220に供給されるので、クレードル機器200は動作する。
【0077】
上記第1の実施形態では、クレードル機器200に接続される外部給電機器は、クレードル機器200が動作可能な電流を供給可能な機器であると仮定した。これに対して、本第2の実施形態では、クレードル機器400は、外部給電機器を接続するインタフェースとしてマイクロUSBコネクタを備えるので、クレードル機器400に接続可能な外部給電機器は、ACアダプタのみではなく、PCなどのUSBポートを有する機器であってもよい。
【0078】
通常、PCが備えるUSBポートが供給可能な電流値は500mAに制限されており、それ以上の電流を供給しようとすると、USBポートが破壊する虞がある。したがって、クレードル機器200が動作するために必要な電流値と、携帯機器100に供給される電流値の合計が500mA以上の場合、USBポートの破壊を防ぐため、PCなどのUSBポートを有する機器からの給電によりクレードル機器400が動作することを防ぐよう制御する必要がある。
【0079】
そこで、本第2の実施形態では、携帯機器検出回路420が備える給電機器検出IC421は、クレードル機器400に接続された外部給電機器が、PCなどの供給電流が制限された機器か、ACアダプタかどうかが判別する。そして、判別の結果に基づいて、給電機器検出IC421は、FET422のONまたはOFFを制御することにより、VBUS11をONまたはOFFする。すなわち、給電機器検出IC421は、PCなどの供給電流が制限された機器からの給電の場合、FET422をOFF、すなわちVBUS11をOFFすることにより、制御部220は動作しないように制御する。これにより、クレードル機器400は動作せず、さらに、携帯機器100にもVBUS11は供給されない。
【0080】
このように、本第2の実施形態によれば、クレードル機器400が動作するために必要な電流値と、携帯機器100に供給される電流値の合計が500mA以上の場合に、携帯機器100とクレードル機器400を動作しないように制御する。これにより、外部給電機器として、PCなどの供給電流が制限された機器をクレードル機器400に接続したとしても、当該PCが備えるUSBポートが破壊されることを防ぐことができる。
【0081】
以上のように、本第2の実施形態によれば、クレードル機器400は、外部給電機器を接続する給電用マイクロUSBコネクタ410を備え、携帯機器検出回路420は、信号19、信号20およびVBUS11が示す電圧レベルに基づいて、VBUS11をOFFすることにより、クレードル機器400が動作しないように制御する。これにより、外部給電機器として、PCなどの供給電流が制限された機器を、USBポートを破壊することなくクレードル機器400に接続することができるという効果が得られる。
【0082】
第3の実施形態
次に、上述した第1の実施形態を基礎とする第3の実施形態について説明する。以下の説明では、第1の実施形態と同様の構成については同じ参照番号を付与することにより、重複する説明は省略する。
【0083】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る携帯機器500とクレードル機器200の構成を示す図である。
図6に示すように、クレードル機器200は、第1の実施形態におけるクレードル機器200と同様の構成であるが、携帯機器500は、第1の実施形態における携帯機器100が備えるクレードル機器検出回路130がクレードル機器検出回路510に置き換えられると共に、制御部120から供給される信号21が追加される。
【0084】
図7は、
図6に示したクレードル機器検出回路510および携帯機器検出回路230を示す詳細な回路図である。
図7を参照して、クレードル機器検出回路510の動作を具体的に説明する。
【0085】
図7に示すように、クレードル機器検出回路510は、インバータ131、プルダウン抵抗132およびFET(停止手段)511を備える。携帯機器検出回路230は、第1の実施形態と同様に、電圧監視IC231およびプルアップ抵抗232を備える。なお、
図7では、
図6に示したマイクロUSBコネクタ110、マイクロUSBコネクタ210の図示を省略している。
【0086】
本第3の実施形態では、制御部120は、クレードル機器検出回路510が備えるFET511に対する信号21を制御することにより、FET511のON、OFFを切り替えることができる。
【0087】
FET511がOFFされた場合、USB_ID信号14はインバータ131に入力されない。この場合、インバータ131に入力される論理は、プルダウン抵抗132によって「Low」となる。このとき、インバータ131は、入力される論理を反転させた論理「High」を示す信号15を、制御部120に供給する。
【0088】
このとき、携帯機器検出回路230において電圧監視IC231に入力される論理は、プルアップ抵抗232によって「High」となる。電圧監視IC231は、入力される電圧レベルが閾値以上であるため、論理「Low」を示す信号17を出力する。
【0089】
上述した第1の実施形態では、携帯機器100とクレードル機器200とが接続されている場合、クレードル機器200は、常にリセットが解除された状態である。このため、クレードル機器200をリセットするには、ユーザ等により携帯機器100とクレードル機器200との接続を解除するか、あるいは、クレードル機器200に接続されている外部給電機器を外す必要がある。
【0090】
すなわち、例えばクレードル機器200における制御部220が意図しない動作をする等により、制御部120からUSB通信による設定ができなくなった場合、上記の動作をすることにより、クレードル機器200をリセットすることにより復旧させる必要がある。
【0091】
これに対して、本第3の実施形態では、携帯機器500における制御部120は、クレードル機器検出回路510に対する信号21によりFET511を制御することができる。制御部120は、信号21によりFET511をOFFすることにより、携帯機器100とクレードル機器200の間で送受されるUSB_ID信号14を切り離すことができる。これにより、制御部120は、信号21によってクレードル機器200をリセットすることができる。
【0092】
以上のように、本第3の実施形態によれば、クレードル機器検出回路510は、制御部120から受ける信号21によりON、OFFを制御されるFET511を備え、制御部120は、信号21によりFET511をOFFすることにより携帯機器510とクレードル機器200とを切り離すことができる。この構成を採用することにより、本第3の実施形態によれば、クレードル機器200から携帯機器500や外部給電機器を外す動作を要することなく、携帯機器500からクレードル機器200をリセットすることが可能となる効果が得られる。
【0093】
第4の実施形態
図8は、本第4の実施形態に係る拡張機器600の構成を示す図である。
図8に示すように、拡張機器600は、USBインタフェース610、検出手段620を備える。
【0094】
USBインタフェース610は、通信機器を接続可能である。検出手段620は、供給される電圧が示す電圧レベルを監視すると共に、USBインタフェース610を介して供給される所定の信号に起因した上記電圧レベルの変化に基づいて、USBインタフェース610に通信機器が接続されたか否かを検出する。
【0095】
ここで、USBインタフェース610は、上記第1の実施形態におけるマイクロUSBコネクタ210に相当し、検出手段620は、同じく携帯機器検出回路230に相当する。また、所定の信号は、同じくUSB_ID14信号に相当する。
【0096】
上記構成を採用することにより、本第4の実施形態によれば、検出手段620に供給される電圧が示す電圧レベルの変化に応じて、USBインタフェース610に通信機器が接続されたか否かを検出する。これにより、本第4の実施形態によれば、携帯機器と拡張機器との間に、専用のインタフェースを必要とすることなく、USBインタフェースを利用して互いの接続の有無を検出可能となる効果が得られる。