特許第6352679号(P6352679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352679
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】投入口装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/12 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A47G29/12 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-103734(P2014-103734)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-217173(P2015-217173A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】眞岩 祐輔
【審査官】 大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0028543(US,A1)
【文献】 特開2010−234089(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3133875(JP,U)
【文献】 特開2000−248851(JP,A)
【文献】 実開昭56−016454(JP,U)
【文献】 特開2005−232911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル部材に貫通形成された開口部を覆うように取り付けられ、且つ前記開口部に連通する位置に投入口を有する投入口部材と、該投入口部材の投入口を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体が開いた場合に前記投入口を介して前記パネル部材の一面側から他面側への物品の投入を許容する投入口装置であって、
前記パネル部材の開口部に対して進出可能となる状態で該パネル部材に配設され、常温時には前記開口部から退避した位置に維持される一方、高温状態となった場合には進出移動して前記開口部を閉塞する金属板を有した可動カバー材を備えることを特徴とする投入口装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投入口装置において、
前記金属板は、前記パネル部材の他面側に沿って設けられると共に、該金属板の前記パネル部材の一面側を向いた面に、加熱されると膨張して前記開口部を塞ぐ熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする投入口装置。
【請求項3】
パネル部材に貫通形成された開口部を覆うように取り付けられ、且つ前記開口部に連通する位置に投入口を有する投入口部材と、該投入口部材の投入口を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体が開いた場合に前記投入口を介して前記パネル部材の一面側から他面側への物品の投入を許容する投入口装置であって、
前記パネル部材の開口部に対して進出可能となる状態で該パネル部材に配設され、常温時には前記開口部から退避した位置に維持される一方、高温状態となった場合には進出移動して前記開口部を閉塞する可動カバー材を備え、
前記可動カバー材は、常温時には前記開口部の上方位置で前記パネル部材に対して接着剤を用いて固定されており、
高温時には前記接着剤が軟化することで落下して前記開口部を閉塞することを特徴とする投入口装置。
【請求項4】
請求項に記載の投入口装置において、
前記可動カバー材には、加熱されると膨張して前記開口部を塞ぐ熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする投入口装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の投入口装置において、
前記パネル部材は、一面側及び他面側に設けられたパネル材の間に接着剤を用いて芯材を固定したドアパネルであり、
前記投入口部材は、前記一面側のパネル材に取り付けられ、
前記可動カバー材は、前記他面側のパネル材の内面に沿って設けられ、落下した場合に前記ドアパネルの他面側で前記開口部を閉塞するプレート部を有することを特徴とする投入口装置。
【請求項6】
請求項に記載の投入口装置において、
前記可動カバー材は、前記一面側のパネル材の内面に沿って設けられる支持部を有することを特徴とする投入口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば玄関ドアに取り付けられ、郵便物や新聞等の物品の投入用として使用される投入口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅や集合住宅等の玄関ドアには、郵便物や新聞等の物品を室外側から投入し、投入された物品を室内側から受取る投入口装置が設けられることがある。投入口装置としては、ドアパネルに貫通形成された開口部の室外側外面に、内開きの蓋体によって開閉可能な投入口を有する投入口部材を取り付けた構成が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような玄関ドアが火災による火炎に晒された場合、加熱によって蓋体を閉塞位置に付勢するばね部材の付勢力が弱くなると、火炎による圧力で蓋体が開く可能性がある。そうすると、投入口装置及びドアパネルの開口部が貫通孔となり、火炎の通り道となる懸念がある。特に、2枚の鋼板の間に芯材を接着剤によって固定した構成からなる玄関ドアの場合には、接着剤が加熱されて可燃性ガスを発生することがあり、貫通孔の発生を防止することが一層重要となる。
【0004】
そこで、特許文献1の構成では、加熱されると膨張する熱膨張性部材を投入口の内側周囲に配設している。これにより、火災時に加熱されて膨張した熱膨張性部材によって蓋体を室内側から押さえることができ、貫通孔の形成を防止することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−34843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1の構成では、熱膨張性部材の膨張状況によっては蓋体を十分に押さえ付けておくことが難しい場合もある。特に、特許文献1にも記載されているように、一般的な投入口装置では、郵便物等の投入を円滑に行うため或いは指の挟み込みを回避するため、ドアパネルの開口部の底面を傾斜面としている。そのため、膨張した熱膨張性部材が傾斜面に沿って下方へと流れ落ち、蓋体を安定して押さえ付けることが難しいという問題もある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、火災等によって加熱された場合にも貫通孔の発生を防止することができる投入口装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る投入口装置は、パネル部材に貫通形成された開口部を覆うように取り付けられ、且つ前記開口部に連通する位置に投入口を有する投入口部材と、該投入口部材の投入口を開閉する蓋体とを備え、前記蓋体が開いた場合に前記投入口を介して前記パネル部材の一面側から他面側への物品の投入を許容する投入口装置であって、前記パネル部材の開口部に対して進出可能となる状態で該パネル部材に配設され、常温時には前記開口部から退避した位置に維持される一方、高温状態となった場合には進出移動して前記開口部を閉塞する可動カバー材を備えることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、火災等によって加熱されて高温状態となった場合に、可動カバー材が開口部に進出してこれを閉塞する。従って、火災の影響で蓋体が開いてしまった場合であっても、可動カバー材によって開口部を閉塞することができる。このため、投入口装置が火災時に火炎の貫通孔となることを防止できる。
【0010】
本発明に係る投入口部材において、前記可動カバー材には、加熱されると膨張して前記開口部を塞ぐ熱膨張性部材が設けられているとよい。そうすると、火災等で加熱された際、可動カバー材が開口部を閉塞し、その後、熱膨張性部材が膨張して開口部に充填されるため、火炎の貫通を一層確実に防止できる。
【0011】
本発明に係る投入口部材において、前記可動カバー材は、常温時には前記開口部の上方位置で前記パネル部材に対して接着剤を用いて固定されており、高温時には前記接着剤が軟化することで落下して前記開口部を閉塞する構成としてもよい。そうすると、低コストで簡素な構成ながらも可動カバー材を常温時には退避位置に確実に保持しておき、火災時には進出位置へと円滑に動作させることが可能となる。
【0012】
本発明に係る投入口部材において、前記パネル部材は、一面側及び他面側に設けられたパネル材の間に接着剤を用いて芯材を固定したドアパネルであり、前記投入口部材は、前記一面側のパネル材に取り付けられ、前記可動カバー材は、前記他面側のパネル材の内面に沿って設けられ、落下した場合に前記ドアパネルの他面側で前記開口部を閉塞するプレート部を有する構成としてもよい。そうすると、芯材を保持する接着剤が気化して開口部内に充満した可燃性ガスがドアパネルの室内側へと流入することをプレート部によって防止できる。
【0013】
本発明に係る投入口部材において、前記可動カバー材は、前記一面側のパネル材の内面に沿って設けられる支持部を有すると、常温時の開口部からの退避位置や高温時の進出位置にある可動カバー材のがたつきを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、火災時に蓋体が開いてしまった場合であっても、可動カバー材によって開口部を閉塞することができる。このため、投入口装置が火炎の貫通孔となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る投入口装置を備えた建具の正面図である。
図2図2は、図1に示す建具の背面図である。
図3図3は、図1に示す建具の投入口装置付近での縦断面図である。
図4図4は、図3に示す投入口装置が火災で加熱されて高温状態となった場合の状態を示す縦断面図である。
図5図5は、図1に示す建具の投入口装置付近での横断面図である。
図6図6は、図1に示す建具の投入口装置付近の分解斜視図である。
図7図7は、可動カバー材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る投入口装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る投入口装置10を備えた建具12の正面図であり、建具12を室外側から見た図である。図2は、図1に示す建具12の背面図であり、建具12を室内側から見た図である。本実施形態では、玄関ドアである建具12のドアパネル(パネル部材)14の郵便受けとして投入口装置10を用いた構成例を説明する。投入口装置10は、ドアパネル以外、例えば集合住宅の共用玄関に設けられる集合郵便受けのように建物の内外を仕切る壁部材(パネル部材)に設けることもできる。
【0018】
図1及び図2に示すように、建具12は、建物の躯体開口部の内側に支持される枠体16と、枠体16の内側に蝶番18を介して開閉可能に取り付けられたドアパネル14とを備える。
【0019】
投入口装置10は、ドアパネル14の中央やや下部に形成された開口部14a(図3参照)に取り付けられている。投入口装置10は、ドアパネル14の室外側に設けられた長方形状の金属板である投入口部材20と、投入口部材20に形成された投入口20aを内側から開閉する蓋体22と、ドアパネル14の室内側に設けられた受け箱24とを備える。
【0020】
図3は、図1に示す建具12の投入口装置10付近での縦断面図であり、図4は、図3に示す投入口装置10が火災で加熱されて高温状態となった場合の状態を示す縦断面図である。図5は、図1に示す建具12の投入口装置10付近での横断面図である。また、図6は、図1に示す建具12の投入口装置10付近の分解斜視図である。
【0021】
図3及び図5に示すように、ドアパネル14は、室外側及び室内側に設けられたパネル材26,27の間に芯材28を保持した構造である。パネル材26,27は、例えば亜鉛めっき鋼板等の金属板で構成される。芯材28は、例えばハニカム構造体や発泡スチロールまたは発泡ウレタン等の断熱材で構成される。ドアパネル14は、2枚のパネル材26,27間に芯材28を挟持すると共に接着剤30で接着固定し、四周端部を金属製の外周補強材で囲んだ構成である。
【0022】
開口部14aは、ドアパネル14を室外側のパネル材26から芯材28を経て室内側のパネル材27まで貫通した横長長方形状の孔部である。従って、図3に示すように各パネル材26,27には開口部14aを画成する孔部26a,27aが開口形成されている。
【0023】
図3図6に示すように、開口部14aは、その内周が上補強材32、下補強材34及び左右の縦補強材36によって覆われている。上補強材32及び縦補強材36は、断面コの字状に形成されたスチール等の金属製の形材である。下補強材34は、開口部14aの室外側から室内側に向かって漸次下方に傾斜した傾斜面34aを有し、断面略三角状に形成されたスチール等の金属製の形材である。下補強材34の傾斜面34aが開口部14aの底面となり、投入口20aから投入された物品の滑り台となる。これら上補強材32、下補強材34及び縦補強材36は、パネル材26,27に対してねじ39等によって固定される。
【0024】
開口部14aの室外側には投入口部材20が取り付けられ、室内側にはカバー材37が取り付けられている。カバー材37は、室内側のパネル材27の外面に対し、後述する可動カバー材40を避けた位置でねじ39によって固定されている。カバー材37には、開口部14aと対応する孔部37aが開口形成されている。
【0025】
投入口部材20は、開口部14aの室外側の開口(パネル材26の孔部26a)よりも大きな寸法で形成されたスチール等の金属製の板材である。投入口部材20は、室外側のパネル材26の外面に取り付けられている。投入口部材20の中央には、横長長方形状の投入口20aが開口形成されている。
【0026】
投入口部材20では、投入口20aの内面上部に軸受部38が突設されている。軸受部38には、水平方向の支持軸38aが設けられている。蓋体22は、支持軸38aに回転可能に支持されることにより投入口20aを内側から開閉する内開きの扉となる。蓋体22は、軸受部38に設けられたばね部材38bにより常時投入口20aを閉塞する方向に付勢されており、投入口20aから物品を投入する際に押圧されると退避し、投入口20aを開放する(図3中に2点鎖線で示す蓋体22参照)。図3及び図5に示すように、蓋体22は、室外側に突出した面形状を有し、投入口20aを閉塞した状態で投入口部材20と略面一の外面を形成する。
【0027】
受け箱24は、前面が開口した箱体であり、室内側のパネル材27の外面にねじ止めされている。受け箱24は、投入口20aから投入された郵便物等の物品を受け入れるための箱であり、図示しない取出口から内部に投入された物品を取り出すことができる。
【0028】
図3及び図4に示すように、投入口装置10は、スチール等の金属で形成され、開口部14aに対して進出可能な可動カバー材40を備える。可動カバー材40は、図3に示す常温時(通常時)にはドアパネル14の内部に大部分が収容されて開口部14aでの物品の通過を許容する一方、図4に示す高温時(加熱時)にはドアパネル14の内部から開口部14aへと進出して該開口部14aを閉塞する。
【0029】
図3図7に示すように、可動カバー材40は、室内側のパネル材27の内面に沿って配置されるプレート部40aと、プレート部40aの下端両側部から室外側に向かって斜め上方に突出した一対の連結部40b,40bと、各連結部40bの先端から上方へと屈曲されて室外側のパネル材26の内面に沿って配置される一対の支持部40c,40cとを有する。
【0030】
プレート部40aは、開口部14aの室内側の開口(パネル材27の孔部27a)を閉塞可能な寸法を有する金属板である。プレート部40aの前面(室外側面)には、熱膨張性部材42が設けられている。熱膨張性部材42は、加熱されると膨張する材料、例えば発泡性黒鉛を主成分とした加熱発泡材である。各連結部40bは、下補強材34の傾斜面34aと平行な傾斜面を有する帯状の金属板である。一対の支持部40c,40cは、投入口20a及び蓋体22を跨ぐように配置された帯状の金属板である(図5参照)。
【0031】
図3に示す常温時、可動カバー材40は、その大部分が開口部14aの上方位置でドアパネル14の内部に収容されている。すなわち、可動カバー材40は、プレート部40aがパネル材27の内面に接着剤44によって接着固定され、支持部40cがパネル材26の内面に接着剤44によって接着固定されている。これにより、可動カバー材40は、開口部14aから上方に退避しているため、開口部14aでの物品の通過を許容している。この状態では、プレート部40aの下部及び連結部40bは開口部14a内に配置されているが、これらは蓋体22の回転範囲に隠れる位置にあり、開口部14aでの物品の通過を邪魔しない位置にある。
【0032】
接着剤44は、プレート部40a及び支持部40cのそれぞれの外面全体に塗布されてもよく、部分的に塗布されてもよい。接着剤44は、建具12の通常の使用状態では軟化せず、火災等による異常な温度上昇時(例えば100℃以上)にのみ軟化する性状を有するものがよく、例えばウレタン樹脂系の接着剤を用いるとよい。接着剤44と上記接着剤30とに同一のものを用いてもよい。
【0033】
例えば室外側からの火災の火炎によって建具12が加熱された場合、可動カバー材40は、接着剤44が軟化することで開口部14aへと落下する。これにより、図4に示す高温時、可動カバー材40は、連結部40bが下補強材34の傾斜面34a上に着地して、プレート部40aが開口部14aを室内側で閉塞するため、開口部14aが火炎の貫通孔となることを防止する。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る投入口装置10は、ドアパネル14に貫通形成された開口部14aを覆うように取り付けられ、且つ開口部14aに連通する位置に投入口20aを有する投入口部材20と、投入口部材20の投入口20aを開閉する蓋体22とを備え、蓋体22が開いた場合に投入口20aを介してドアパネル14の一面側(室外側)から他面側(室内側)への物品の投入を許容する装置である。この投入口装置10は、ドアパネル14の開口部14aに対して進出可能となる状態で該ドアパネル14に配設され、常温時には開口部14aから退避した位置に維持される一方、高温状態となった場合には進出移動して開口部14aを閉塞する可動カバー材40を備える。
【0035】
このように、投入口装置10では、火災等によって建具12が加熱されて高温状態となった場合に、可動カバー材40が開口部14aに進出してこれを閉塞する。従って、加熱によってばね部材38bの付勢力が弱くなり火炎等による圧力で蓋体22が開いてしまった場合であっても、開口部14aが可動カバー材40によって確実に閉塞される。このため、投入口装置10が火災時に火炎の貫通孔となることを防止できる。
【0036】
特に、本実施形態に係る投入口装置10が設けられるドアパネル14は、2枚のパネル材26,27の間に接着剤30を用いて芯材28を接着固定した構造を有する。このため、火災時に加熱されて接着剤30が気化した場合には可燃性ガスが発生し、この可燃性ガスが室内側に流入する事態が懸念される。この点、投入口装置10では、開口部14aが可動カバー材40によって確実に閉塞されるため、可燃性ガスの室内側への流入を阻止することができ、火元と可燃性ガスとを離隔しておくことができる。
【0037】
投入口装置10では、可動カバー材40のプレート部40aの内面に、加熱されると膨張して開口部14aを塞ぐ熱膨張性部材42を設けている。これにより、建具12が火災等で加熱された際、可動カバー材40が開口部14aを閉塞し、その後、熱膨張性部材42が膨張して開口部14aに充填されてこれを塞ぐため、火炎の貫通を一層確実に防止できる。
【0038】
可動カバー材40は、常温時には開口部14aの上方位置でドアパネル14に対して接着剤44を用いて固定されており、高温時には接着剤44が軟化することで落下して開口部14aを閉塞する。これにより、低コストで簡素な構成ながらも可動カバー材40を常温時には退避位置に確実に保持しておき、火災時には進出位置へと円滑に動作させることが可能となる。接着剤44に代えて、火災時の温度上昇によって切断される温度ヒューズ等によって可動カバー材40を開口部14aの上方位置に吊下げ支持しておいてもよい。
【0039】
可動カバー材40は、室内側のパネル材27の内面に沿って設けられ、落下した場合にドアパネル14の室内側で開口部14aを閉塞するプレート部40aを有する。これにより、接着剤30が気化して開口部14a内に充満した可燃性ガスが室内側へと流入することを防止できる。また、プレート部40aの室外側の面に熱膨張性部材42を設けておくことにより、膨張した熱膨張性部材42を開口部14a内に円滑に充填することができる。
【0040】
可動カバー材40は、プレート部40aと反対側となる室外側のパネル材26の内面に沿って設けられる支持部40cを有する。これにより、プレート部40aと反対側位置が支持部40cによって支えられるため、退避位置(図3参照)或いは進出位置(図4参照)にあるプレート部40aががたつきを生じることを防止できる。また、支持部40cにより加熱時の可動カバー材40の円滑な落下を案内することができる。
【0041】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
10 投入口装置、12 建具、14 ドアパネル、14a 開口部、20 投入口部材、20a 投入口、22 蓋体、24 受け箱、26,27 パネル材、26a,27a,37a 孔部、28 芯材、30,44 接着剤、32 上補強材、34 下補強材、34a 傾斜面、36 縦補強材、40 可動カバー材、40a プレート部、40b 連結部、40c 支持部、42 熱膨張性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7