特許第6352701号(P6352701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352701
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】全閉型電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/06 20060101AFI20180625BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H02K9/06 B
   H02K5/20
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-136073(P2014-136073)
(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-15811(P2016-15811A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永山 孝
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−175757(JP,A)
【文献】 特開2007−021997(JP,A)
【文献】 特開2008−271730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同軸に配置される固定子及び回転子と、
前記固定子及び前記回転子を収容するケースと、
前記ケースの内部に配置されると共に、前記回転子の回転に従って冷却風を発生する冷却ファンとを備え、
前記ケースのうち前記固定子の軸方向の外側部に臨む部分には、前記軸方向から見て円環状の通風路が形成され、
前記冷却ファンは、前記固定子の周方向に分散して前記冷却風が流れるように前記通風路に前記冷却風を送り、
前記ケースの内部には、前記通風路内に凸をなすように機能部が配置され、
前記機能部とは異なる位置で前記ケースの内部には、前記通風路内に凸をなすようにダミー部が配置され、
前記機能部及び前記ダミー部の少なくとも一方を含む通風路内凸部は、前記通風路を通る前記冷却風を受けるように前記ケースの内部に複数配置され、
複数の前記通風路内凸部は、前記軸方向から見て前記固定子の軸を中心に回転対称となるように配置される全閉型電動機。
【請求項2】
前記ケースのうち前記固定子の径方向の外側部には、複数の冷却通風路が形成され、
前記複数の冷却通風路の入口は、前記通風路に連通し、且つ、前記軸方向から見て前記軸を中心に回転対称となるように配置される請求項1に記載の全閉型電動機。
【請求項3】
前記通風路内凸部は、隣り合う二つの前記冷却通風路の入口の間の中間位置に配置される請求項2に記載の全閉型電動機。
【請求項4】
前記軸方向から見て、前記通風路内凸部と前記冷却通風路の入口とが交互に配置される請求項2又は3に記載の全閉型電動機。
【請求項5】
前記ダミー部は、前記ケースの内部における前記機能部と同じ外形形状を有する請求項1から4までの何れか一項に記載の全閉型電動機。
【請求項6】
前記ダミー部は、前記全閉型電動機を構成する他の部材と一体に形成される請求項1から5までの何れか一項に記載の全閉型電動機。
【請求項7】
前記通風路内凸部は、
隣り合う二つの前記冷却通風路の入口の間の中間位置よりも前記隣り合う二つの入口のうち一方に片寄って配置される前記機能部と、
前記通風路の周方向で前記機能部と並ぶと共に、前記中間位置よりも前記隣り合う二つの入口のうち他方に片寄って配置される前記ダミー部の一つとしての第一ダミー部と、
前記機能部及び前記第一ダミー部とは異なる位置に配置されると共に、前記機能部及び前記第一ダミー部を含む大きさを有する前記ダミー部の一つとしての第二ダミー部とを備える請求項2に記載の全閉型電動機。
【請求項8】
前記機能部と前記第一ダミー部とで形成される凸部と、前記第二ダミー部とのそれぞれは、隣り合う二つの前記冷却通風路の入口の間の中間位置に配置される請求項7に記載の全閉型電動機。
【請求項9】
前記通風路内凸部の前記冷却風を受ける部分には、流線形状を有する整流部が配置される請求項1から8までの何れか一項に記載の全閉型電動機。
【請求項10】
前記整流部は、前記通風路の周方向両側に突出する湾曲形状を有する請求項9に記載の全閉型電動機。
【請求項11】
前記整流部は、前記通風路の周方向両側ほど細くなる先細り形状を有する請求項9又は10に記載の全閉型電動機。
【請求項12】
前記軸方向から見て、前記ダミー部は前記軸を挟んで前記機能部と対向する位置にのみ配置される請求項1に記載の全閉型電動機。
【請求項13】
前記通風路内凸部は、前記通風路の周方向で分割される請求項1に記載の全閉型電動機。
【請求項14】
前記機能部は、前記回転子の回転数を検出する回転検出器を備える請求項1から13までの何れか一項に記載の全閉型電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全閉型電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に鉄道車両(以下「車両」という。)では、車体の下に配置された台車に主電動機(以下「電動機」という。)を装荷して、この電動機の回転力を継手と歯車装置とを介して車輪に伝達して車両を走行させている。
一方、省メンテナンス性の高い電動機のニーズが高まっており、内部に塵埃等が入り難いように内部が密閉されたケース(以下「ケース」という。)を備えた全閉型の電動機(以下「全閉型電動機」という。)が知られている。全閉型電動機においては、ケース内のロータ軸に取り付けられた通風ファンにより、ケース内の通風路に外気(冷却風)が流通されることで、ケース内の固定子及び回転子が冷却される。
【0003】
ところで、全閉型電動機には、回転子の回転制御用の回転検出器を備えたものがある。全閉型電動機は、台車の狭い取付け空間に設置されるため、寸法の制約がある。そのため、回転検出器は、ケース内の通風路内に設けられることがある。この場合、通風路を通る冷却風が回転検出器に遮られてしまい、通風路を通る冷却風の流れをスムーズにできず、固定子の冷却をバランス良く行うことができない可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−175757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、通風路を通る冷却風の流れをスムーズにすることができ、固定子の冷却をバランス良く行うことができる全閉型電動機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の全閉型電動機は、固定子と、回転子と、ケースと、冷却ファンとを持つ。前記固定子及び前記回転子は互いに同軸に配置される。前記ケースは、前記固定子及び前記回転子を収容する。前記冷却ファンは、前記ケースの内部に配置されると共に、前記回転子の回転に従って冷却風を発生する。前記ケースのうち前記固定子の軸方向の外側部に臨む部分には、前記軸方向から見て円環状の通風路が形成される。前記冷却ファンは、前記固定子の周方向に分散して前記冷却風が流れるように前記通風路に前記冷却風を送る。前記ケースの内部には、前記通風路内に凸をなすように機能部が配置される。前記機能部とは異なる位置で前記ケースの内部には、前記通風路内に凸をなすようにダミー部が配置される。前記機能部及び前記ダミー部の少なくとも一方を含む通風路内凸部は、前記通風路を通る前記冷却風を受けるように前記ケースの内部に複数配置される。複数の前記通風路内凸部は、前記軸方向から見て前記固定子の軸を中心に回転対称となるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る全閉型電動機を示す縦断面図。
図2図1のII−II線における断面図。
図3】比較例に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図4】第2の実施形態に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図5】第3の実施形態に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図6】第4の実施形態に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図7】第5の実施形態に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図8】第6の実施形態に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図9】第7の実施形態に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図10図9のX−X線における断面図。
図11】第1の実施形態に係るPGセンサを示す、図10に相当する断面図。
図12】第8の実施形態に係るPGセンサを示す、図10に相当する断面図。
図13】第9の実施形態に係る全閉型電動機を示す、図2に相当する断面図。
図14図13のXIV−XIV線における断面図。
図15】第10の実施形態に係る通路内凸部を示す、図10に相当する断面を含む断面図。
図16】第11の実施形態に係る通路内凸部を示す、図15に相当する断面図。
図17】第12の実施形態に係る通路内凸部を示す、図15に相当する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の全閉型電動機を、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る全閉型電動機1を示す縦断面図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。以下、全閉型電動機の回転軸線CL(固定子の軸)を単に「軸」ということがある。又、全閉型電動機の回転軸方向を軸方向といい、全閉型電動機の回転軸回りを周方向といい、全閉型電動機の回転軸方向に直交する方向を径方向ということがある。尚、図1では便宜上、全閉型電動機1のうち、ケース30の主な構成要素を断面ハッチで示し、固定子10や回転子20、回転検出器60等の構成要素を断面ハッチで示していない。又、図2では、全閉型電動機1を回転軸線CLを中心として左回りに回転させたときの冷却風5の流れを矢印で示す。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る全閉型電動機1は、固定子10と、回転子20と、ケース30と、冷却ファン50と、回転検出器60(機能部)と、ダミー部70とを備える。
【0011】
固定子10は、円筒状の固定子鉄心12と、固定子鉄心12の内周部に配置されるコイル14とを有する。
固定子鉄心12の軸方向両端面には、一対の環状の鉄心押さえ32が固定される。固定子鉄心12の径方向外側の外周には、鉄心押さえ32と一体に繋ぎ板34が形成される(図2参照)。繋ぎ板34は、固定子鉄心12の軸方向に延び、二つの鉄心押さえ32を繋いで固定する。固定子鉄心12の径方向外側面と繋ぎ板34との間には、冷却通風路94が固定子鉄心12の周方向に間隔を空けて形成される。
【0012】
固定子鉄心12の一方側(駆動側)に位置する鉄心押さえ32には、円筒状の第一ブラケット36が取り付けられる。第一ブラケット36は、例えばアルミニウム合金等の金属により形成される。第一ブラケット36の先端側(鉄心押さえ32とは反対側)には、環状のベアリングブラケット38が第一ブラケット36と同軸に配置される。ベアリングブラケット38は、第一ブラケット36の先端部に、ボルト等の締結部材38cにより締結される。ベアリングブラケット38の径方向中央部には、第一軸受として例えばころ軸受40bを内蔵した第一軸受部40がボルト等の締結部材40cにより締結される。
【0013】
固定子鉄心12の他方側(反駆動側)に位置する鉄心押さえ32には、椀形状の第二ブラケット42が取り付けられる。第二ブラケット42は、例えばアルミニウム合金等の金属により形成される。第二ブラケット42の径方向中央部には、第二軸受として例えば玉軸受44bを内蔵した第二軸受部44がボルト等の締結部材44cにより締結される。
尚、第一軸受をころ軸受40bとし、第二軸受を玉軸受44bとすることに限らない。例えば、第一軸受を玉軸受とし、第二軸受をころ軸受としてもよいが、駆動の荷重を多く受ける第一軸受はころ軸受とすることが好ましい。又、軸受の組合せはこれに限らず、「鍔付きころ軸受」と「ころ軸受」との組合せ等の種々の組合せを採用してもよい。
【0014】
固定子鉄心12は、例えば珪素鋼等の磁性材料により形成される環状の金属板を軸方向に複数積層して形成される。固定子鉄心12の径方向内側の内周部には、軸方向に延びる複数のスロット(不図示)が形成される。スロットには、コイル14が埋め込まれる。コイル14のコイルエンド(軸方向両端部)は、固定子鉄心14の軸方向両端面から軸方向に張り出す。
【0015】
回転子20は、固定子鉄心12の径方向内側に配置される回転子鉄心22と、回転子鉄心22の中心部で固定子鉄心12と同軸に配置されるシャフト24とを有する。回転子20は、シャフト24を中心に回転可能とされる。
【0016】
回転子鉄心22は、固定子鉄心12の径方向内側に、隙間22sを空けて配置される。回転子鉄心22は、固定子鉄心12と同軸の円筒形状を有する。シャフト24は、回転子鉄心22の中心部に固定子鉄心12と同軸に取り付けられる。シャフト24の軸方向一端部はころ軸受40bによって回転自在に支持され、シャフト24の軸方向他端部は玉軸受44bによって回転自在に支持される。シャフト24の駆動側端部24eは、ケース30の外部に延出する。シャフト24の駆動側端部24eには、駆動歯車装置(不図示)を接続するための継手(不図示)が取り付けられる。
【0017】
回転子鉄心22は、例えば珪素鋼等の磁性材料により形成される環状の金属板を軸方向に複数積層して形成される。回転子鉄心22は、一対の環状の鉄心押さえ板26,28により、軸方向両側面から挟まれるように支持される。鉄心押さえ板26,28は、シャフト24に取り付けられる。鉄心押さえ板26,28の外径は、回転子鉄心22の外径よりも僅かに小さい。
【0018】
回転子鉄心22の径方向外側の外周部には、軸方向に延びる複数の溝(不図示)が形成される。各溝には、ロータバー21が埋め込まれる。ロータバー21の軸方向両端部は、回転子鉄心22の軸方向両端面から軸方向に張り出す。ロータバー21の張り出し部分には、エンドリング23が一体に接続される。回転子20は、かご形ロータとされる。
尚、回転子20は、かご形ロータに限らず、永久磁石を回転子鉄心に挿入して構成される永久磁石形ロータとされてもよい。これにより、かご形ロータと比較して、回転子の発熱を抑えると共に、よりコンパクトな全閉型電動機を実現できる。
【0019】
ケース30は、固定子10及び回転子20を収容する。ケース30は、繋ぎ板34、第一ブラケット36、ベアリングブラケット38、第二ブラケット42、第一軸受部40及び第二軸受部44を含む。
【0020】
冷却ファン50は、ケース30の内部でシャフト24の一端側(駆動側)に取り付けられる。冷却ファン50は、回転子20の回転に従って冷却風5を発生する。冷却ファン50は、固定子10の周方向に分散して冷却風5が流れるように通風路93に冷却風5を送る。冷却ファン50は、第一軸受部40と鉄心押さえ板26との間でシャフト24に取り付けられる。冷却ファン50は、シャフト24と一体に回転自在とされる。
尚、冷却ファン50が駆動側に配置されることに限らず、第二ブラケット42側(反駆動側)に配置されてもよい。
【0021】
冷却ファン50は、主板52と、複数の羽根54とを有する。主板52は、漏斗形状に形成される。主板52は、図1の断面視で、鉄心押さえ板26側から第一ブラケット36に向けて軸方向外側ほど径方向外方に位置するように傾斜して延びる。複数の羽根54は、主板52のベアリングブラケット38と対向する外面52fに設けられる。
【0022】
主板52の径方向外側の外周縁部には、軸方向外側に凹む凹部52hと、軸方向内側に突出する凸部52iとが形成される。一方、第一ブラケット36の径方向内側の内周縁部には、軸方向内側に凹む凹部36hと、軸方向外側に突出する凸部36iとが形成される。主板52の凹部52hには第一ブラケット36の凸部36iが隙間を空けて入り込み、第一ブラケット36の凹部36hには主板52の凸部52iが隙間を空けて入り込む。主板52の外周縁部と第一ブラケット36の内周縁部との間には、円環状の微小隙間が図1の断面視で凹凸状に形成され、ラビリンス構造部56が形成される。
【0023】
図2に示すように、複数(例えば本実施形態では12個)の羽根54は、主板52の径方向外側の外周部に配置される。各羽根54は、回転軸線CLを中心として放射状に延びる。各羽根54は、主板52の周方向に等間隔又は不等間隔で配置される。
【0024】
図1に示すように、ベアリングブラケット38の径方向内側部の軸方向外側端には、外気の吸入口となる複数の吸気口90が形成される。複数の吸気口90は、第一軸受部40の径方向外側で、回転軸線CLを中心とする仮想円上に並んで配置される。
【0025】
ベアリングブラケット38の径方向内側部は、軸方向内側に突出する突出部38aを有する。突出部38aの突出端(軸方向内側端)には、シャフト24と同軸に配置される環状の吐出口92が形成される。吐出口92は、シャフト24の近傍に配置されると共に、主板52の径方向内側部に臨む。
【0026】
図2に示すように、ベアリングブラケット38の径方向内側部には、複数(例えば本実施形態では2つ)の案内流路91が形成される。隣り合う二つの案内流路91の間には、ベアリングブラケット38の径方向内側部の内部材と外部材とを繋ぐリブ91aが形成される。図1に示すように、案内流路91は、吸気口90を起点として軸方向内側に延びた後、軸方向内側ほど径方向内方に位置するように傾斜して延びて吐出口92に至る。
【0027】
ケース30のうち固定子10の第一軸受部40側の軸方向外側部に臨む部分には、軸方向から見て円環状の通風路93が形成される。具体的に、通風路93は、主板52の外面52fとベアリングブラケット38の内面38f(主板52と対向する面)との間、及び第一ブラケット36の内部に形成される。通風路93は、図1の断面視で、主板52の径方向内側部から第一ブラケット36の径方向外側部に向けて傾斜して延びる。
【0028】
通風路93は、主板52とラビリンス構造部56とにより、ケース30の内部と仕切られる。通風路93には、羽根54が配置される。ケース30のうち固定子10の径方向外側部には、複数(例えば本実施形態では4つ)の冷却通風路94が形成される。図2に示すように、複数の冷却通風路94の入口94a〜94dは、通風路93に連通する。複数の冷却通風路94の入口94a〜94dは、軸方向から見て回転軸線CLを中心に回転対称となるように配置される。図1に示すように、各冷却通風路94は、固定子10の径方向外側部で軸方向に沿うように延びる。
【0029】
以下、全閉型電動機1の冷却作用について説明する。
全閉型電動機1が作動し回転子20が回転すると、シャフト24と一体に冷却ファン50が回転する。すると、冷却ファン50の羽根54の部分に風が発生する。すると、ベアリングブラケット38の吸気口90から外気が冷却風5として吸い込まれる。冷却風5は、案内流路91と吐出口92とを通じて、シャフト24の近傍の主板52の径方向内側部に導かれる。その後、冷却風5は、主板52の径方向内側部から主板52の外面52fに沿うように通風路93内を径方向外側に流れる。これにより、ロータバー21で発生する熱が、回転子鉄心22や鉄心押さえ板26、主板52等を経由して、主板52及び羽根54から冷却風5に放熱されるため、ロータバー21を冷却することが可能となる。
【0030】
又、羽根54によって発生する風は、第一ブラケット36の通風路93から各冷却通風路94に流入し、各冷却通風路94を通って固定子鉄心12を冷却した後、外部に排出される。コイル14で発生する熱は、固定子鉄心12に伝わり、固定子鉄心12の径方向外側の外周面から冷却風5に放熱される。これにより、コイル14を冷却することが可能となる。
【0031】
次に、回転検出器60について説明する。
回転検出器60は、ケース30の内部に配置される。例えば、回転検出器60は、回転子20の回転制御用として用いられ、回転子20の回転数を検出する。回転検出器60は、磁気センサであるPG(Pulse Generating)センサ62を備える。
【0032】
PGセンサ62は、第一ブラケット36の径方向外側部に取り付けられる。PGセンサ62は、第一ブラケット36から通風路93内に突出する。PGセンサ62は、シャフト24に向けて径方向内側に延びる。PGセンサ62の感知端は、通風路93内に位置する。
【0033】
シャフト24には、PGセンサ62により検知される被検知部としての歯車板64がシャフト24と一体に回転自在に設けられる。歯車板64は、例えば鉄等の金属により形成され環状を有する。歯車板64の径方向外側部は凹凸に形成される。具体的に、歯車板64の径方向外側部には、周方向に所定のピッチで並んだ複数の歯66が形成される。歯車板64は、ラビリンス構造部56の軸方向外端部(主板52の径方向外側の軸方向外端部)に、通風路93内でシャフト24と同軸に固定される。
【0034】
PGセンサ62は、歯車板64に対して径方向外側に配置される。PGセンサ62の検知端は、所定の間隔を空けて歯66と対向する。例えば、PGセンサ62の検知端は、1mm程度の隙間を空けて歯66と対向する。
【0035】
上記構成において、全閉型電動機1が作動し、シャフト24及び冷却ファン50が回転すると、歯車板64も冷却ファン50と一体に回転する。歯車板64の歯66がPGセンサ62の検知端と対向する位置を通過するごとに、PGセンサ62は歯66を検知し、パルス信号を出力する。そして、PGセンサ62から出力されたパルス信号を検出することにより、回転子20の回転数や回転速度を検知することができる。
【0036】
ところで、PGセンサをケース内の通風路内に設けた場合、通風路を通る冷却風が回転検出器に遮られてしまい、通風路を通る冷却風の流れをスムーズにできず、固定子の冷却をバランス良く行うことができない可能性があった。
【0037】
そこで、本実施形態では、PGセンサ62とは異なる位置で通風路93内に凸をなすようにダミー部70を配置し、PGセンサ62及びダミー部70を含む通風路内凸部80を、通風路93を通る冷却風を受けるようにケース30の内部に複数配置した。そして、複数の通風路内凸部80を、軸方向から見て回転軸線CLを中心に回転対称となるように配置した。
【0038】
図2に示すように、PGセンサ62は、ケース30の内部に一つ配置される。尚、PGセンサ62は一つに限らず、複数配置されてもよい。又、複数のPGセンサ62がランダムに配置される場合には、各PGセンサ62と冷却通風路94との配置関係を適宜設定してもよい。
【0039】
ダミー部70(図1参照)は、PGセンサ62とは異なる位置でケース30の内部に複数配置される。例えば、本実施形態では三つのダミー部70a〜70cが配置される。ダミー部70a〜70cは、ケース30の内部におけるPGセンサ62と略同じ外形形状を有する。ダミー部70a〜70cは、全閉型電動機1を構成する第一ブラケット36と一体に形成される。
【0040】
PGセンサ62及びダミー部70a〜70cを含む通風路内凸部80は、通風路93を通る冷却風5を受けるようにケース30の内部に複数配置される。複数の通風路内凸部80は、軸方向から見て回転軸線CLを中心に回転対称となるように配置される。
【0041】
通風路内凸部80は、隣り合う二つの冷却通風路94の入口の間の中間位置Pm(第一中間位置Pm1、第二中間位置Pm2、第三中間位置Pm3及び第四中間位置Pm4)に配置される。軸方向から見て、通風路内凸部80と冷却通風路94の入口とが交互に配置される。複数の通風路内凸部80の入口94a〜94dは、通風路93の周方向で略等間隔に配置される。
【0042】
図2の断面視で、PGセンサ62を挟んで上流側に位置する冷却通風路94の入口を第一入口94aとし、PGセンサ62を挟んで下流側に位置する冷却通風路94の入口を第二入口94bとする。図2の断面視で、第二入口94bと下流側で隣り合う冷却通風路94の入口を第三入口94cとし、第三入口94cと下流側で隣り合う冷却通風路94の入口を第四入口94dとする。尚、第四入口94dは第一入口94aと上流側で隣り合う。
【0043】
図2の断面視で、第一中間位置Pm1は、第一入口94aと第二入口94bとの間の中間位置である。第一中間位置Pm1にはPGセンサ62が配置される。
図2の断面視で、第二中間位置Pm2は、第二入口94bと第三入口94cとの間の中間位置である。第二中間位置Pm2には第一ダミー部70aが配置される。
図2の断面視で、第三中間位置Pm3は、第三入口94cと第四入口94dとの間の中間位置である。第三中間位置Pm3には第二ダミー部70bが配置される。
図2の断面視で、第四中間位置Pm4は、第四入口94dと第一入口94aとの間の中間位置である。第四中間位置Pm4には第三ダミー部70cが配置される。
【0044】
ケース30には、径方向外側に突出する取付け腕部16,17,18が設けられる。上記のように構成された全閉型電動機1は、取付け腕部16,17を車両の台車枠(不図示)にボルト等の締結部材で締結固定すると共に、シャフト24の駆動端部24eを駆動用歯車装置に継手(不図示)を介して結合することにより、車両に設定される。そして、回転子20の回転力を駆動用歯車装置から車輪に伝達し、車両を走行させる。尚、取付け腕部18は、モータ吊り等で用いられる。
【0045】
以下、図2及び図3を用いて、本実施形態に係る全閉型電動機1の作用を、比較例に係る全閉型電動機1Xと比較しつつ説明する。
【0046】
図3は、比較例に係る全閉型電動機1Xを示す断面図である。尚、図3図2に相当する断面図である。図3においても図2と同様に、全閉型電動機1Xを回転軸線CLを中心として左回りに回転させたときの冷却風5の流れを矢印で示す。
図3に示すように、比較例に係る全閉型電動機1Xは、固定子(図示略)と、回転子20と、ケース30と、冷却ファン50と、回転検出器60(PGセンサ62)とを備える。比較例に係る全閉型電動機1Xは、本実施形態に係るダミー部70を備えていない。
【0047】
比較例においては、全閉型電動機1Xが作動しシャフト24と一体に冷却ファン50が回転することにより通風路93内に冷却風5が流入すると、冷却風5がPGセンサ62に遮られる。冷却風5の流れは、通風路93内のPGセンサ62の部分で局所的に阻害される。具体的に、PGセンサ62に向けて流れる冷却風5は、PGセンサ62に遮られるため、第二入口94bに流れ難くなり(図3中破線矢印Vx)、第一入口94aに流れ易くなる。その結果、第一入口94aの近傍の固定子の冷却効率は向上するが、第二入口94bの近傍の固定子の冷却効率は低下する。そのため、第二入口94bの近傍の固定子の温度が他の部位の温度よりも高くなる(ローカルヒート)。従って、比較例においては、固定子の冷却をバランス良く行うことができない。
【0048】
これに対し、本実施形態においては、図2に示すように、全閉型電動機1が作動しシャフト24と一体に冷却ファン50が回転することにより通風路93内に冷却風が流入すると、冷却風5がPGセンサ62とダミー部70a〜70cとに遮られる。しかし、PGセンサ62及びダミー部70a〜70cを含む複数の通風路内凸部80が、軸方向から見て回転軸線CLを中心に回転対称となるように配置される。そのため、冷却風5の流れはPGセンサ62の部分のみで局所的には阻害されない。
【0049】
具体的に、PGセンサ62に向けて流れる冷却風5は、PGセンサ62に遮られるため、第二入口94bに流れ難くなり(図2中破線矢印V1)、第一入口94aに流れ易くなる。一方、第一ダミー部70aに向けて流れる冷却風5は、第一ダミー部70aに遮られるため、第三入口94cに流れ難くなり(図2中破線矢印V2)、第二入口94bに流れ易くなる。第二ダミー部70bに向けて流れる冷却風5は、第二ダミー部70bに遮られるため、第四入口94dに流れ難くなり(図2中破線矢印V3)、第三入口94cに流れ易くなる。第三ダミー部70cに向けて流れる冷却風は、第三ダミー部70cに遮られるため、第一入口94aに流れ難くなり(図2中破線矢印V4)、第四入口94dに流れ易くなる。即ち、各入口94a〜94dにおいては、上流側からの冷却風5が流れ難くなったとしても下流側からの冷却風5が流れ易くなる。そのため、各入口94a〜94dにおける冷却風5の流入量は略同じ量となり、各冷却通風路94を流れる冷却風5による冷却効率は同等となる。そのため、前記ローカルヒートが生じ難くなり、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0050】
上述のように、第1の実施形態では、複数の通風路内凸部80が、軸方向から見て回転軸線CLを中心に回転対称となるように配置されることで、複数の通風路凸部80が通風路93の周方向に均等に配置される。そのため、ダミー部が配置されない構成、即ちPGセンサ62のみが通風路93に配置される構成と比較して、通風路93を通る冷却風の流れをスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
又、固定子10の冷却をバランス良く行うことにより、コイル14の昇温バランスを良くすることができるため、コイル14の絶縁寿命の短縮を抑制できる。よって、全閉型電動機1の性能低下を抑制できる。
【0051】
又、通風路93には、ケース30のうち固定子10の径方向外側部には、複数の冷却通風路94が形成され、複数の冷却通風路94の入口94a〜94dは、通風路93に連通し、且つ、軸方向から見て回転軸線CLを中心に回転対称となるように配置される。これにより、固定子10を広い範囲でバランス良く冷却することができるため、全閉型電動機1の性能低下を効果的に抑制できる。
【0052】
又、通風路内凸部80が隣り合う二つの冷却通風路94の入口の間の中間位置Pmに配置されるため、回転子20の回転方向に影響されることなく、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0053】
又、軸方向から見て通風路凸部80と冷却通風路94の入口とが交互に配置されるため、通風路93の周方向全域で冷却風5の流れを良くすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0054】
又、ダミー部70a〜70cがケース30の内部におけるPGセンサ62と同じ外形形状を有する。そのため、ダミー部70a〜70cがケース30の内部におけるPGセンサ62と異なる外形形状を有する場合と比較して、通風路93を通る冷却風5の流れを均一化、且つスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0055】
又、ダミー部70a〜70cが全閉型電動機1を構成する第一ブラケット36と一体に形成されるので、ダミー部材70a〜70cを別部材として配置する場合と比較して、部品点数を削減すると共に、生産効率が高まる。
【0056】
又、機能部が回転子20の回転数を検出する回転検出器60を備えるため、機能部として回転検出器60を備える構成において、全閉型電動機1の性能低下を抑制できる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、図4に基づいて説明する。尚、第1の実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図4は、第2の実施形態に係る全閉型電動機201を示す断面図である。尚、図4図2に相当する断面図である(以下の実施形態についても同様)。
【0058】
図4に示すように、通風路内凸部280は、第一中間位置Pm1よりも第二入口94bに片寄って配置されるPGセンサ262(機能部)を備える。又、通風路内凸部280は、通風路93の周方向でPGセンサ262と並ぶと共に、第一中間位置Pm1よりも第一入口94aに片寄って配置されるダミー部の一つとしての第一ダミー部271を備える。又、通風路内凸部280は、PGセンサ262及び第一ダミー部271とは異なる位置(第二中間位置Pm2、第三中間位置Pm3、第四中間位置Pm4)に配置されると共に、PGセンサ262及び第一ダミー部271を含む大きさを有するダミー部の一つとしての第二ダミー部272a〜272cを備える。これらの点で、第2の実施形態は前述の第1の実施形態と相違する。
【0059】
第一ダミー部271は、ケース30の内部におけるPGセンサ262と略同じ外形形状を有する。第一ダミー部271の周方向の長さL1は、ケース30の内部におけるPGセンサ262の周方向の長さLpと略等しい(L1≒Lp)。
【0060】
一方、第二ダミー部272a〜272cは、ケース30の内部におけるPGセンサ262と第一ダミー部271とを合わせた外形形状と略同じ外形形状を有する。第二ダミー部272a〜272cの周方向の長さL2は、ケース30の内部におけるPGセンサ262と第一ダミー部271とを合わせた外形形状の周方向の長さLtと略等しい(L2≒Lt)。尚、長さLtは、ケース30の内部におけるPGセンサ262の第一ダミー部271とは反対側の面と、第一ダミー部271のPGセンサ262とは反対側の面との間の周方向の長さを意味する。
【0061】
PGセンサ262、第一ダミー部271及び第二ダミー部272a〜272cを含む通風路内凸部280は、通風路93を通る冷却風5を受けるようにケース30の内部に複数配置される。複数の通風路内凸部280は、軸方向から見て回転軸線CLを中心に回転対称となるように配置される。
ケース30の内部におけるPGセンサ262と第一ダミー部271とで形成される凸部282は、第一中間位置Pm1に配置される。第二ダミー部272aは第二中間位置Pm2に、第二ダミー部272bは第三中間位置Pm3に、第二ダミー部272cは第四中間位置Pm4にそれぞれ配置される。
【0062】
本実施形態によれば、PGセンサ262が第一中間位置Pm1よりも第二入口94bに片寄って配置された場合であっても、通風路93を通る冷却風5の流れをスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0063】
又、凸部282は第一中間位置Pm1に配置され、第二ダミー部272a〜272cは第二中間位置Pm2、第三中間位置Pm3及び第四中間位置Pm4にそれぞれ配置される。そのため、回転子20の回転方向に影響されることなく、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0064】
尚、本実施形態では、PGセンサ262が第一中間位置Pm1よりも第二入口94bに片寄って配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、PGセンサ262が第一中間位置Pm1よりも第一入口94aに片寄って配置されてもよい。即ち、PGセンサ262は隣り合う二つの冷却通風路94の入口の間の中間位置Pmよりも隣り合う二つの冷却通風路94の入口のうち一方に片寄って配置されてもよい。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を、図5に基づいて説明する。
図5は、第3の実施形態に係る全閉型電動機301を示す断面図である。
図5に示すように、軸方向から見てダミー部70は、シャフト24を挟んでPGセンサ62と対向する位置にのみ配置される。この点で、第3の実施形態は前述の第1の実施形態と相違する。
【0066】
ダミー部70は、第三入口94cと第四入口94dとの間の第三中間位置Pm3にのみ配置される。一方、ダミー部70は、第二入口94bと第三入口94cとの間、及び第四入口94dと第一入口94aとの間には配置されない。これにより、冷却風5は、第二入口94bと第三入口94cとの間、及び第四入口94dと第一入口94aとの間においては、ダミー部70によって邪魔されることなくスムーズに流れる。
【0067】
本実施形態によれば、通風路93を通る冷却風5の流れをスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うと共に、ダミー部70によって邪魔される冷却風5の量を低減できる。
【0068】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態を、図6に基づいて説明する。
図6は、第4の実施形態に係る全閉型電動機401を示す断面図である。
図6に示すように、全閉型電動機401には、第一入口94a及び第三入口94cが形成されていない。この点で、第4の実施形態は前述の第3の実施形態と相違する。
【0069】
PGセンサ62は、第二入口94bと第四入口94dとの間の第五中間位置Pm5に配置される。ダミー部70は、シャフト24を挟んでPGセンサ62と対向する位置であって第二入口94bと第四入口94dとの間の第六中間位置Pm6に配置される。
【0070】
本実施形態においても、通風路93を通る冷却風5の流れをスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うと共に、PGセンサ62やダミー部70によって邪魔される冷却風5の量を低減できる。
【0071】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態を、図7に基づいて説明する。
図7は、第5の実施形態に係る全閉型電動機501を示す断面図である。
図7に示すように、軸方向から見て第二ダミー部272は、シャフト24を挟んで、PGセンサ262と第一ダミー部271とを含む凸部282と対向する位置にのみ配置される。この点で、第5の実施形態は前述の第2の実施形態と相違する。
【0072】
第二ダミー部272は、第三入口94cと第四入口94dとの間の第三中間位置Pm3にのみ配置される。一方、第二ダミー部272は、第二入口94bと第三入口94cとの間、及び第四入口94dと第一入口94aとの間には配置されない。これにより、冷却風5は、第二入口94bと第三入口94cとの間、及び第四入口94dと第一入口94aとの間においては、第二ダミー部272によって邪魔されることなくスムーズに流れる。
【0073】
本実施形態によれば、通風路93を通る冷却風5の流れをスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うと共に、第二ダミー部272によって邪魔される冷却風5の量を低減できる。
【0074】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態を、図8に基づいて説明する。
図8は、第6の実施形態に係る全閉型電動機601を示す断面図である。
図8に示すように、第二ダミー部672は、通風路93の周方向で分割される。この点で、第6の実施形態は前述の第5の実施形態と相違する。
【0075】
第二ダミー部672は、二つの分割部673,674を有する。第一分割部673は、第三中間位置Pm3よりも第三入口94cに片寄って配置される。第二分割部674は、第三中間位置Pm3よりも第四入口94dに片寄って配置される。第二分割部674は、第一分割部673と略同じ外形形状を有する。
【0076】
本実施形態によれば、PGセンサ262や第一ダミー部271の配置構成に合わせて第二ダミー部672を分割できるため、通風路93を通る冷却風5の流れをバランス良く調整することができる。
【0077】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態を、図9及び図10に基づいて説明する。
図9は、第7の実施形態に係る全閉型電動機701を示す断面図である。図10は、図9のX−X線における断面図である。
図9に示すように、PGセンサ762及びダミー部770を含む通風路内凸部780の配置構成は、第1の実施形態に係る通風路内凸部80の配置構成と同様である。しかし、図10に示すように、PGセンサ762の冷却風5を受ける部分には、流線形状を有する整流部762rが配置される。この点で、第7の実施形態は前述の第1の実施形態と相違する。
【0078】
図10の断面視で、整流部762rは周方向両側に突出する湾曲形状を有する。具体的に、整流部762rは周方向両側に凸の円弧状を有する。整流部762rは、PGセンサ762の周方向両側に一体に形成される。整流部762rがPGセンサ762の周方向両側に配置されることにより、回転子20の回転方向に影響されることなく、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。整流部762rがPGセンサ762に一体に形成されることにより、整流部762rを別部材として配置する場合と比較して、部品点数を削減すると共に、生産効率が高まる。
【0079】
尚、整流部762rは、PGセンサ762の周方向両側に別体に配置されてもよいし、PGセンサ762の周方向一方側には別体に配置されると共に周方向他方側には一体に形成されてもよい。
又、各ダミー部770の周方向両側にも、PGセンサ762の整流部762rと同様の形状の整流部が形成される。
【0080】
以下、図10及び図11を用いて、本実施形態に係るPGセンサ762の作用を、第1の実施形態に係るPGセンサ62と比較しつつ説明する。
【0081】
図11は、第1の実施形態に係るPGセンサ62を示す断面図である。尚、図11図10に相当する断面図である。
図11に示すように、第1の実施形態に係るPGセンサ62は、図11の断面視で長方形の外形形状を有する。第1の実施形態に係るPGセンサ62は、本実施形態に係る整流部762rを備えていない。
【0082】
第1の実施形態においては、通風路93内に冷却風5が流入すると、冷却風5がPGセンサ62に遮られ、冷却風5の流れが阻害される。具体的に、PGセンサ62の周方向両側面が平面状を有するので、PGセンサ62は冷却風5に対して大きな抵抗となる。即ち、冷却風5がPGセンサ62を通る前後では、通風路93を冷却風5の流れ方向と直交する面で切断した断面積(以下「通風路の断面積」という。)が大きく変化するため、PGセンサ62の近傍では冷却風5の流れが乱される。
【0083】
これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、通風路93内に冷却風5が流入すると、冷却風5がPGセンサ762に遮られる。しかし、PGセンサ762が周方向両側に凸の円弧状の整流部762rを有するので、第1の実施形態と比較して、PGセンサ762は冷却風5に対する大きな抵抗とはならない。即ち、第1の実施形態と比較して、冷却風5がPGセンサ762を通る前後で通風路の断面積が大きく変化しないため、PGセンサ762の近傍では冷却風5の流れが殆ど乱されない。
【0084】
本実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、冷却風5をスムーズに整流することができる。又、整流部762rを湾曲形状とすれば、PGセンサ762及びダミー部770のそれぞれの冷却風5を受ける部分に大きな角丸形状を形成するのみで済むため、製造が容易となる。
【0085】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態を、図12に基づいて説明する。
図12は、第8の実施形態に係るPGセンサ862を示す断面図である。尚、図12図10に相当する断面図である。
図12に示すように、PGセンサ862の周方向両側には、図12の断面視で周方向両側ほど細くなる先細り形状を有する整流部862rが配置される。この点で、第8の実施形態は前述の第7の実施形態と相違する。
【0086】
整流部862rは、PGセンサ862の周方向両側に別体に配置される。例えば、図12の断面視で長方形の外形形状を有するセンサ本体862bの周方向両側面に、周方向両側ほど細くなる先細り形状を有する整流部862rを取り付ける。整流部862rがPGセンサ862に別体に配置されることにより、所望の形状の整流部862rを予め用意することで所望の整流効果を得ることができる。
【0087】
尚、整流部862rは、PGセンサ862の周方向両側に一体に形成されてもよいし、PGセンサ862の周方向一方側には一体に形成されると共に周方向他方側には別体に配置されてもよい。
又、各ダミー部(不図示)の周方向両側にも、PGセンサ862の整流部862rと同様の形状の整流部が形成される。
【0088】
本実施形態によれば、整流部862rが先細り形状を有するため、第7の実施形態と比較して、冷却風5の整流効果を高めることができる。
【0089】
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態を、図13及び図14に基づいて説明する。
図13は、第9の実施形態に係る全閉型電動機901を示す断面図である。尚、図13図2に相当する断面図である。図14は、図13のXIV−XIV線における断面図である。
図13に示すように、全閉型電動機901は、PGセンサ962を備え、ダミー部を備えていない。又、図14に示すように、PGセンサ962の冷却風5を受ける部分には、流線形状を有する整流部962rが形成される。この点で、第9の実施形態は前述の第1の実施形態と相違する。
【0090】
通風路93は、第一通風路93aと、第二通風路93bとを有する。第一通風路93aは通風路93のうちPGセンサ962が配置される部分の通路であり、第二通風路93bは通風路93のうちPGセンサ962が配置されない部分の通路である。第一通風路93aにはPGセンサ962が配置されるため、図14の断面視で第一通風路93aの大部分はPGセンサ962により塞がれる。そのため、第一通風路93aは第二通風路93bよりも狭くなっている。
【0091】
図14の断面視で、整流部962rは周方向両側ほど細くなる先細り形状を有する。整流部962rは、PGセンサ962の周方向両側に一体に形成される。整流部962rがPGセンサ962の周方向両側に配置されることにより、回転子20の回転方向に影響されることなく、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。又、整流部962rがPGセンサ962に一体に形成されることにより、整流部962rを別部材として配置する場合と比較して、部品点数を削減すると共に、生産効率が高まる。
【0092】
尚、整流部962rは、PGセンサ962の周方向両側に別体に配置されてもよいし、PGセンサ962の周方向一方側には別体に配置されると共に周方向他方側には一体に形成されてもよい。
又、整流部962rは、周方向両側ほど細くなる先細り形状を有することに限らず、周方向両側に凸の円弧状を有する等、周方向両側に突出する湾曲形状を有してもよい。
【0093】
以下、図14及び図11を用いて、本実施形態に係るPGセンサ962の作用を、第1の実施形態に係るPGセンサ62と比較しつつ説明する。
図11に示すように、PGセンサ62が整流部962rを備えていないと、冷却風がPGセンサ62を通る前後で通風路の断面積が大きく変化するため、PGセンサ62の近傍では冷却風の流れが乱される。特に、通風路93の大部分がPGセンサ62により塞がれる場合には、PGセンサ62の近傍においては冷却風の流れの乱れが顕著となる。
【0094】
これに対し、本実施形態においては、図14に示すように、PGセンサ962が周方向両側ほど細くなる先細り形状を有する整流部962rを有する。そのため、第一通風路93aの大部分がPGセンサ962により塞がれる場合でも、第1の実施形態と比較して、PGセンサ962は冷却風5に対する大きな抵抗とはならない。図14の断面視で、冷却風5は整流部962rにより整流されて狭い第一通風路93aを通り、PGセンサ962の下流側の第二通風路93bに流れる。狭い第一通風路93aに配置されるPGセンサ962の周方向両側に整流部962rを設けることは、広い通風路に配置されるPGセンサ962の周方向両側に整流部962rを設ける場合と比較して、冷却風5の流れの整流効果が一層効果的なものとなる。
【0095】
本実施形態によれば、ダミー部を備えていない場合であっても、通風路93を通る冷却風5の流れをスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0096】
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態を、図15に基づいて説明する。
図15は、第10の実施形態に係る通路内凸部1080を示す断面図である。尚、図15図10に相当する断面を含む断面図である。
図15に示すように、通路内凸部1080のダミー部1070は、第一ブラケット36と一体に形成される点で第1の実施形態に係る通風路内凸部80のダミー部70と同様である。しかし、ダミー部1070は、第一ブラケット36の内面36fから軸方向内側に向けて突出する(図示はしないが、図1の紙面で左方に突出する)。この点で、第10の実施形態は、ダミー部70が第一ブラケット36の内面36fから径方向内側に突出する(図1の紙面で上方に突出する)前述の第1の実施形態と相違する。
【0097】
図15の断面視で、第一ブラケット36の内面36fのうち軸方向外側(図15の紙面で上側)を第一内面36f1とし、第一ブラケット36の内面36fのうち軸方向内側(図15の紙面で下側)を第二内面36f2とする。
図15の断面視で、PGセンサ62の一面と第一内面36f1との間の距離を第一距離J1とし、PGセンサ62の他面と第二内面36f2との間の距離を第二距離J2とし、ダミー部1070の突出面と第二内面36f2との間の距離を第三距離J3とする。
図15の断面視で、PGセンサ62の第一内面36f1から第二内面36f2への突出量を第一突出量K1とし、ダミー部1070の第一内面36f1から第二内面36f2への突出量を第二突出量K2とする。
以下、図16及び図17においても同様とする。
【0098】
ダミー部1070は、第一ブラケット36の第一内面36f1から第二内面36f2に向けて突出する。ダミー部1070は、図15の断面視で長方形の外形形状を有する。
PGセンサ62は、第一内面36f1と第二内面36f2との間の中間位置よりも第一内面36f1側に片寄って配置される。即ち、第一距離J1は第二距離J2よりも小さい(J1<J2)。第二距離J2は第三距離J3と略同一とされる(J2≒J3)。即ち、第一突出量K1は第二突出量K2と略同一とされる(K1≒K2)。
【0099】
本実施形態によれば、ダミー部1070が第一ブラケット36の第一内面36f1から軸方向内側に向けて突出するため、第1の実施形態と比較して、ダミー部1070の加工が容易になる。
【0100】
又、第一突出量K1が第二突出量K2と略同一とされるため、第一突出量K1が第二突出量K2と異なる場合と比較して、通風路93を通る冷却風5の流れを均一化、且つスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0101】
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態を、図16に基づいて説明する。
図16は、第11の実施形態に係る通路内凸部1180を示す断面図である。尚、図16図15に相当する断面図である。
図16に示すように、通風路内凸部1180は、第9の実施形態に係るPGセンサ962と、図16の断面視で台形の外形形状を有するダミー部1170とを備える。この点で、第11の実施形態は前述の第10の実施形態と相違する。尚、第11の実施形態に係る通風路内凸部1180の配置構成は、第10の実施形態に係る通風路内凸部1080の配置構成と同様である。
【0102】
ダミー部1170の外形形状は、図16の断面視で、第一内面36f1の側ほど幅が大きい台形とされる。
【0103】
本実施形態によれば、PGセンサ962の整流部962rが先細り形状を有するため、第10の実施形態と比較して、冷却風5の整流効果を高めることができる。
又、ダミー部1170が図16の断面視で第一内面36f1の側ほど幅が大きい台形とされるため、第10実施形態と比較して、ダミー部1170の加工性を向上できる。
【0104】
(第12の実施形態)
次に、第12の実施形態を、図17に基づいて説明する。
図17は、第12の実施形態に係る通路内凸部1280を示す断面図である。尚、図17図15に相当する断面図である。
図17に示すように、通風路内凸部1280は、図17の断面視で台形の外形形状を有するPGセンサ1262と、第11の実施形態に係るダミー部1170とを備える。この点で、第12の実施形態は前述の第11の実施形態と相違する。尚、第12の実施形態に係る通風路内凸部1280の配置構成は、第11の実施形態に係る通風路内凸部1180の配置構成と同様である。
【0105】
PGセンサ1262の外形形状は、図17の断面視で、第一内面36f1の側ほど幅が大きい台形とされる。即ち、PGセンサ1262の外形形状は、図17の断面視で、ダミー部1170の外形形状と略同一の台形とされる。PGセンサ1262の第一内面36f1側における冷却風5を受ける部分には、流線形状を有する整流部1262rが形成される。
【0106】
本実施形態によれば、PGセンサ1262の外形形状が図17の断面視でダミー部1170の外形形状と略同一の台形とされるため、第11の実施形態と比較して、通風路93を通る冷却風5の流れを均一化、且つスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0107】
上記各実施形態では、回転検出器はPGセンサを有するものとしたが、光学センサ等の他のセンサを用いてもよい。
又、機能部は回転検出器を備えることに限らず、温度センサを備えてもよいし、通風路を通る冷却風5を受けるようにケース30の内部に突出する凸部を備えてもよい。
又、電動機は、フレームを持たない構造に限らず、フレーム構造の電動機であってもよい。この場合、フレームの一部を冷却通風路としてもよい。
又、回転子は、インナーロータに限らず、アウターロータであってもよい。
【0108】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、互いに同軸に配置される固定子10及び回転子20と、固定子10及び回転子20を収容するケース30と、ケース30の内部に配置されると共に、回転子の回転に従って冷却風5を発生する冷却ファン50とを備え、ケース30のうち固定子10の軸方向の外側部に臨む部分には、軸方向から見て円環状の通風路93が形成され、冷却ファン50は、固定子10の周方向に分散して冷却風5が流れるように通風路93に冷却風5を送り、ケース30の内部には、通風路93内に凸をなすように機能部60が配置され、機能部60とは異なる位置でケース30の内部には、通風路93内に凸をなすようにダミー部70が配置され、機能部60及びダミー部70の少なくとも一方を含む通風路内凸部80は、通風路93を通る冷却風5を受けるようにケース30の内部に複数配置され、複数の通風路内凸部80は、軸方向から見て前記固定子10の軸を中心に回転対称となるように配置されることにより、通風路93を通る冷却風5の流れをスムーズにすることができ、固定子10の冷却をバランス良く行うことができる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
1,201,301,401,501,601,701,901…全閉型電動機、5…冷却風、10…固定子、12…固定子鉄心、14…コイル、20…回転子、22…回転子鉄心、24…シャフト、30…ケース、50…冷却ファン、60…機能部(回転検出器)、70,70a,70b,70c…ダミー部、80,280…通風路内凸部、93…通風路、93a…第一通風路、93b…第二通風路、94…冷却通風路、94a,94b,94c,94d…冷却通風路の入口、262…機能部、271…第一ダミー部、272,272a,272b,272c…第二ダミー部、282…凸部、762r,862r,962r…整流部、Pm…中間位置
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