(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、四輪自動車等の車両においては、駆動システムに内燃機関であるエンジンと電動モータとを協働して用いるハイブリッド自動車が普及してきている。
【0003】
かかるハイブリッド自動車においては、エンジンと電動モータとを協働した状態で稼働させる電子制御装置の一つとして、電力変換装置を内蔵した電力制御装置が用いられている。このような電力変換装置は、相対的に大きな電力を入出力するものであるため、電気配線として、金属材から成る平板状の複数のバスバーが配策されている。
【0004】
かかる複数のバスバーは、電力変換の際にスイッチング動作を行う複数の半導体素子等が収容されたケース内に配策されるものであるため、電力変換装置のサイズを不要に増大しないようにケース内に配策される必要がある。
【0005】
また、かかる電力変換装置は、バッテリの電圧を昇圧等した相対的に大きな電力をその内部で取り扱うものであるため、電力変換装置内のバスバー等の電流経路の電圧(電位)を測定することが必要な場合が出てくる。
【0006】
かかる状況下で、特許文献1は、電動モータの電子制御装置に関し、バスバー組立体13の上面上に電動モータの駆動電流を検出する第2シャント抵抗器18の抵抗器本体18aを当接配置するように、バスバー組立体13に第2シャント抵抗器18を設け、第2シャント抵抗器18の一辺部18bをモータ駆動電流が通る導電片27に接合すると共に、第2シャント抵抗器18の一辺部18cを伝熱部材22に接合し、かつ、かかる一辺部18b、18cから上方に延設された接続端子18d、18dを制御基板14に半田付けにより固定した構成を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1の構成においては、第2シャント抵抗器18を設けて電動モータの駆動電流を検出するものではあるが、接続端子18d、18dを制御基板14に半田付けする際に、第2シャント抵抗器18がバスバー組立体13に設けられているため、接続端子18d、18dからバスバー組立体13に熱引きが発生し易く接続端子18d、18dの温度が適温まで上がらない傾向にあり、この結果、制御基板14に対する接続端子18d、18dの半田付け性が悪化することが考えられる。
【0009】
ここで、本発明者の更なる検討によれば、特許文献1の構成においては、制御基板14に対する接続端子18d、18dの半田付けを行う際に、制御基板14の両面に半田フィレットが形成されるため、半田付け性や絶縁性を確保するためには、制御基板14とバスバー組立体13との間隔をあける必要があり、この結果、電子制御装置の筐体サイズが大きくなってしまうことが考えられる。
【0010】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、半田付け性を向上すると共に絶縁性を確保しながら、筐体サイズを不要に増大することなくバスバーの電圧を測定することができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するべく、本発明は、半導体素子と、前記半導体素子の下方に配設されると共に前記半導体素子を冷却する冷却器と、前記半導体素子を収容する樹脂ケースと、前記半導体素子と電気的に接続すると共に前記樹脂ケースの上部に装着される回路基板と、バッテリの正電位と電気的に接続すると共に前記樹脂ケースに固設される板状のバスバーと、を備え、前記半導体素子のスイッチング動作により電力変換機能を呈する電力変換装置において、前記バスバーは、その幅方向が上下方向になるように垂直配置されると共に、前記バッテリの前記正電位が与えられる平板状のバスバー本体部と、前記バスバー本体部から分岐する電圧測定端子と、を備え、前記電圧測定端子は、前記バスバー本体部から突出する突出部と、前記突出部から上方に前記回路基板に向かって延在する起立部と、前記起立部の上部分であって前記回路基板に電気的に接続する測定端子部と、を含
み、前記突出部の全体及び前記起立部の一部は、前記樹脂ケースにモールド成形され、前記樹脂ケースは、その周壁の上端面を陥設した凹部を有し、前記起立部は、前記凹部から対応して上方に対応して延出することを第1の局面とする。
【0012】
また、本発明は、第1の局面に加えて、前記突出部の下端は、前記バスバー本体部の下端と面一に設定されることを第2の局面とする。
【0014】
また、本発明は、第
1又は第2の局面に加えて、前記凹部は、前記起立部が延出する部分で前記凹部の底部を突設した凸部を有することを第
3の局面とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明の第1の局面にかかる電力変換装置によれば、バッテリの正電位と電気的に接続すると共に樹脂ケースに固設される板状のバスバーが、その幅方向が上下方向になるように垂直配置されると共に、バッテリの正電位が与えられる平板状のバスバー本体部と、バスバー本体部から分岐する電圧測定端子と、を備え、電圧測定端子が、バスバー本体部から突出する突出部と、突出部から上方に回路基板に向かって延在する起立部と、起立部の上部分であって回路基板に電気的に接続する測定端子部と、を含
み、突出部の全体及び起立部の一部は、樹脂ケースにモールド成形され、樹脂ケースは、その周壁の上端面を陥設した凹部を有し、起立部は、凹部から対応して上方に対応して延出するものであるため、半田付け性を向上すると共に絶縁性を確保しながら、筐体サイズを不要に増大することなくバスバーの電圧を測定することができる電力変換装置を提供することができる。特に、電圧測定端子の突出部を細長く延出することができるため、電圧測定端子長を長くすることができて電圧測定経路の熱抵抗が大きくなり、電圧測定端子かバスバーへの熱引きを小さくすることができ、この結果、フロー半田時等の半田付け性を向上することができる。
更に、部品点数を削減した態様で、バスバーの測定端子部を含む部分を電気的に絶縁しながら、測定端子部の半田付けの際に形成されるフィレットの逃げ空間を確保することができ、この結果、回路基板とバスバーとの間隔を狭くすることができて、樹脂ケースのサイズを小さくすることができる。
【0016】
また、本発明の第2の局面にかかる電力変換装置によれば、突出部の下端が、バスバー本体部の下端と面一に設定されるものであるため、バスバーの成形時の歩留まりを向上することができると共に、省スペース化及び全体構成の小型化をすることができる。
【0018】
また、本発明の第
3の局面にかかる電力変換装置によれば、凹部が、起立部が延出する部分で凹部の底部を突設した凸部を有するものであるため、電圧測定端子の固定強度及び位置精度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における電力変換装置につき、詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、z軸の方向は、上下方向に相当するものとする。
【0021】
〔電力制御装置の構成〕
まず、
図1を参照して、本実施形態における電力変換装置が適用される電力制御装置の構成につき、詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態における電力変換装置が適用される電力制御装置の構成を示す斜視図である。
【0023】
図1に示すように、電力制御装置1は、その最下部に配置されたロアケース10と、その上に固設されたミドルケース20と、その上に固設されたアッパケース110と、その上に固設されて電力制御装置1の最上部を塞ぐカバー120と、を備え、図示を省略するハイブリッド自動車等の車両に装着される。ロアケース10、ミドルケース20、アッパケース110及びカバー120は、典型的には、いずれもアルミニウム材等の金属製の鋳物又はプレス加工による成形品であり、これらはボルト等の締結部材130で締結されて組立体となる。かかる電力制御装置1は、典型的には、いずれも車両に装着され図示を省略するが、2次電池であるバッテリから駆動電動モータに供給する電力、及び回生機構からバッテリに供給する電力を制御する。なお、電力制御装置1は、必要に応じ、このように供給される電力の一方のみを制御してもよい。
【0024】
具体的には、ロアケース10は、x−y平面に平行な平面上を上下軸回りに周回するロア周壁12と、その底部を塞ぐ底壁14と、ロア周壁12の四隅に配設されると共に車両への装着部である固定部16と、を備える。ロアケース10内には、図示を省略する平滑コンデンサ等が収容されて装着されると共に、底壁14を介して、それから下方に向かって延出して下端部が外方に露出した3相電流用コネクタが装着される。なお、
図1中では、入力側3相電流用コネクタ18のみを示している。
【0025】
ミドルケース20は、x−y平面に平行な平面上を上下軸回りに周回するミドル周壁22と、それに固設されると共にミドルケース20に対してクーラントを供給するクーラント供給管24と、ミドル周壁22に固設されると共にミドルケース20に対して供給されたクーラントを排出するクーラント排出管26と、ミドル周壁22に連なる張り出し部に固設された直流電流用コネクタ28と、を備える。ミドルケース20内には、図示を省略する昇降圧リアクトルが収容されて装着されると共に、詳細は後述する電力変換装置2が収容されて装着される。なお、昇降圧リアクトルは、バッテリから駆動電動モータに電力が供給される際に昇圧リアクトルとして機能し、回生機構からバッテリに電力が供給される際に降圧リアクトルとして機能する。
【0026】
アッパケース110は、x−y平面に平行な平面上を上下軸回りに周回するアッパ周壁112と、それに装着される入出力信号用コネクタ114と、を備える。アッパケース110内には、図示を省略する電力制御用のECU(Electronic Control Unit)が収容されて装着される。
【0027】
カバー120は、その外周縁部がアッパケース110のアッパ周壁112に固設される板状部材である。ロアケース10のロア周壁12、ミドルケース20のミドル周壁22、アッパケース110のアッパ周壁112、ロアケース10の底壁14、及びカバー120により、それらの内部に収容空間が画成される。
【0028】
〔電力変換装置の構成〕
次に、更に、
図2(a)から
図3(a)をも参照して、本実施形態における電力変換装置の構成につき、詳細に説明する。
【0029】
図2(a)は、本実施形態における電力変換装置の構成を示す斜視図であり、
図2(b)は、本実施形態における電力変換装置の部分拡大平面図である。また、
図3(a)は、
図2(a)のA−A部分拡大断面図である。
【0030】
図2(a)から
図3(a)に示すように、 電力変換装置2は、水冷式であり、ミドルケース20に固設されると共にその内部の構成要素を冷却する冷却器40と、その上に固設されたケース50と、その内部に収容されると共に冷却器40上に装着された下回路基板90と、それに電気的に接続されると共にその上に半田層93を介して装着された複数の半導体素子94と、それらが電気的に接続すると共にそれらの上方でケース50の上部に装着された上回路基板100と、下回路基板90、複数の半導体素子94及び上回路基板100に電気的に接続しながら下回路基板90に装着されると共に、ケース50内で複数の半導体素子94間の空間を延在しながらx軸の正負両側で両端部がケース50外に延出してそれに固設され、第1のバスバー60、第2のバスバー70及びそれらの間に配設された図示を省略する絶縁材から成る積層バスバーBと、ケース50内を延在しながらx軸の正側で端部がケース50外に延出してそれに固設される第3のバスバー80と、ケース50に固設された出力側3相端子86と、ケース50に固設された入力側3相端子88と、を備える。この結果、冷却器40、下回路基板90、半田層93、半導体素子94及び上回路基板100は、上下方向に順に積層されて、下回路基板90、半田層93及び半導体素子94は、ケース50内に収容される。かかる電力変換装置2は、典型的には、バッテリからの直流電力を3相電流の電力に変換して駆動電動モータに供給するDC(Direct Current)/AC(Alternate Current)変換機能、及び回生機構からの3相電流の電力を直流電力に変換してバッテリに供給するAC/DC変換機能の双方を有する。なお、電力変換装置2は、必要に応じDC/AC変換機能及びAC/DC変換機能の一方を有していてもよい。
【0031】
冷却器40は、典型的には、アルミ材等の金属製の鋳物成形品であり、クーラント供給
管24に連通するクーラント導入管42と、クーラント排出管26に連通するクーラント導出管44と、クーラント導入管42及びクーラント導出管44間を連通するクーラント流路46と、ミドルケース20に固設される4個の支持部48と、を備える。冷却器40は、クーラント流路46内を流れるクーラントにより、下回路基板90及び半田層93を介して複数の半導体素子94を冷却する。
【0032】
ケース50は、典型的には、非導電性の樹脂(合成樹脂)製の成形品であり、x−y平面に平行な平面上を上下軸回りに周回する縦周壁52と、縦周壁52の上面の一部を陥設して形成された凹部54と、凹部54の底部を突設して形成された凸部56と、縦周壁52の外側の四隅に形成されると共に冷却器40の支持部48に対応して締結等により装着される装着部58と、を備える。縦周壁52は、x軸に平行な方向が長手方向でy軸に平行な方向が幅方向になる平面視で矩形状の枠体である。
【0033】
出力側3相端子86は、x軸の正方向に順に隣接すると共に、いずれもケース50の縦周壁52のy軸の負方向側の外壁部に固設された出力側U相端子86U、出力側V相端子86V及び出力側W相端子86Wを備える。これらには、複数の半導体素子94の対応する端子が電気的に接続すると共に、ロアケース10に装着された出力側3相電流用コネクタに電気的に接続する。
【0034】
入力側3相端子88は、出力側3相端子86x軸の正方向側でその方向に順に隣接すると共に、いずれもケース50の縦周壁52のy軸の負方向側の外壁部に固設された入力側U相端子88U、入力側V相端子88V及び入力側W相端子88Wを備える。これらには、複数の半導体素子94の対応する端子が電気的に接続すると共に、ロアケース10に装着された入力側3相電流用コネクタ18に電気的に接続する。
【0035】
下回路基板90は、x−y平面に平行に配設されると共に、典型的には、平板状のDCB(Direct Copper Bond)基板であり、アルミナセラミックス基板である絶縁基板91上に銅回路板92を接合した回路基板である。絶縁基板91の下面は、図示を省略する半田層を介してクーラント流路46が形成された冷却器40の上面に装着される。銅回路板92の上面の所定部位には、半田層93が接合される。
【0036】
複数の半導体素子94は、典型的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子であり、半田層93を介して、下回路基板90の銅回路板92上に接合されると共に、それらの端子は、対応して下回路基板90の銅回路板92に電気的に接続される。複数の半導体素子94、ロアケース10内の平滑コンデンサ、及びミドルケース20内の昇降圧リアクトルは、電力変換回路の構成要素である。
【0037】
上回路基板100は、x−y平面に平行に配設されると共に、典型的には、平板状のPCB(Printed Circuit Board)等の回路基板であり、貫通孔102を有する。上回路基板100の上には複数の半導体素子94を駆動する図示を省略した駆動回路を構成する半導体素子等が実装される。上回路基板100の駆動回路には、複数の半導体素子94の対応する端子が電気的に接続する。かかる駆動回路による駆動制御の下で、複数の半導体素子94が協働してスイッチング動作を行い、電力変換装置2の電力変換機能が実現される。
【0038】
〔バスバーの構成〕
次に、更に、
図3(b)から
図4(b)をも参照して、本実施形態における電力変換装置の各種バスバーの構成につき、詳細に説明する。
【0039】
図3(b)は、本実施形態における電力変換装置の部分拡大斜視図である。また、
図4(a)は、本実施形態における電力変換装置の第3のバスバーの構成を示す部分拡大斜視図であり、
図4(b)は、本実施形態における電力変換装置の第3のバスバーの変形例の構成を示す部分拡大斜視図である。なお、
図3(b)中では、上回路基板の図示を省略している。
【0040】
前述した
図2(a)から
図3(a)に示すように、積層バスバーBは、第1のバスバー60、第2のバスバー70及びそれらの間に配設された図示を省略する絶縁材から構成される積層構造体であり、下回路基板90の上方で複数の半導体素子94間の間隙部を通るようにケース50内をその長手方向に延在すると共に、ケース50のx軸の正負両方向側の縦周壁52を貫通してそれらの外部に延出する。第1のバスバー60は、バッテリの負電位に電気的に接続する一方で、第2のバスバー70は、ミドルケース20内の昇降圧リアクトルを介してバッテリの正電位に電気的に接続し、第1のバスバー60に流れる電流及び第2のバスバー70に流れる電流の向きは、逆方向である。
【0041】
ここで、第1のバスバー60は、その幅方向が上下方向になるように垂直配置された導電性の板状部材、典型的には、金属製の一枚の板状部材から成り、ケース50のx軸の負方向側の縦周壁52の外壁部に固設された第1の負電位接続端子部61と、ケース50のx軸の正方向側の縦周壁52の外壁部に固設された第2の負電位接続端子部62と、ケース50内を延在する図示を省略した延在部と、を備える。第1の負電位接続端子部61は、ロアケース10内の平滑コンデンサを介してミドルケース20に装着された直流電流用コネクタ28に電気的に接続する。第2の負電位接続端子部62の電位は、バッテリに対する複数の半導体素子94の最下流側の電位である。延在部には、複数の半導体素子94の対応する端子が電気的に接続する。
【0042】
第2のバスバー70は、第1のバスバー60と同様に、その幅方向が上下方向になるように垂直配置された導電性の板状部材、典型的には、金属製の一枚の板状部材から成り、ケース50のx軸の負方向側の縦周壁52の外壁部に固設された第1の正電位接続端子部71と、ケース50のx軸の正方向側の縦周壁52の外壁部に固設された第2の正電位接続端子部72と、ケース50内を延在する図示を省略した延在部と、を備える。第1の正電位接続端子部71は、ロアケース10内の平滑コンデンサ及びミドルケース20内の昇降圧リアクトルを介してミドルケース20に装着された直流電流用コネクタ28に電気的に接続する。第2の正電位接続端子部72の電位は、バッテリに対する複数の半導体素子94の最下流側の電位である。延在部には、複数の半導体素子94の対応する端子が電気的に接続する。
【0043】
一方で、
図3(b)及び
図4(a)に示すように、第3のバスバー80は、第1のバスバー60及び第2のバスバー70と同様に、その幅方向が上下方向になるように垂直配置された導電性の板状部材、典型的には、金属製の一枚の板状部材から成るものであるが、主としてケース50のx軸の正方向側領域に配設され、ケース50内を延在する部分が短い。
【0044】
具体的には、第3のバスバー80は、第1のバスバー60及び第2のバスバー70に対して、それらの上下方向位置と同等な高さ位置でもってy軸の負方向側で並置され、ケース50のx軸の正方向側の縦周壁52の外壁部に固設された平板状の第3の正電位接続端子部81と、第3の正電位接続端子部81のy軸の正方向側の端部に連なってそれから縦周壁52の内方側に延在する平板状の延在部82と、延在部82のx軸の負方向側の下端部に連なってそれからx軸の負方向に分岐して突出する突出部83と、突出部83のx軸の負方向側の端部に連なってそれから上方側に曲げられてその方向に突出しながら延在する起立部84と、起立部84の上構成部分であって上回路基板100に電気的に接続する
測定端子部85と、を備える。第3の正電位接続端子部81には、平滑コンデンサの正極端子に印加されるバッテリの正電位が電気的に接続され、第3の正電位接続端子部81、延在部82、突出部83、起立部84及び測定端子部85の各電位は、ロアケース10内の平滑コンデンサの正極端子に印加されるバッテリの正電位である。また、延在部82は、典型的には、第3の正電位接続端子部81の板幅と同等の板幅を有してそれに連なる部分であり、第3の正電位接続端子部81及び延在部82は、第3のバスバー80におけるバスバー本体部に相当する。
【0045】
ここで、突出部83、起立部84及び測定端子部85は、延在部82の板幅方向の長さよりも短い板幅方向の長さを各々有し、実質的に棒状の正電位側測定端子を構成する。突出部83は、延在部82のx軸の負方向側の下端部に連なってそれからx軸の負方向に突出する構成を有することにより、正電位側測定端子の全長を長く設定してその端部間の熱抵抗を増大することに寄与し、このことは、測定端子部85を上回路基板100にフロー半田等の半田付けをする際の熱引きを低減して半田付け性を向上することに寄与する。突出部83の突出方向は、x軸の負方向に平行であっても、x軸の負方向に交差する方向であってもよい。但し、突出部83の下端の高さ位置は、第3のバスバー80の歩留まりを悪化させず、その下端の高さ位置やケース50の縦周壁52の下端の高さ位置を不要に下降させない観点から、突出部83の下端と延在部82の下端とが面一になって延在部82の下端の高さ位置に等しくなるように設定することが好ましい。突出部83及び起立部84は、主として直線状であるが、正電位側測定端子の全長をより長く設定するように湾曲状等に形成してもよい。
【0046】
また、第3のバスバー80において、延在部82及び突出部83の全体は、ケース50の縦周壁52と一体にモールド成形されていることが、これらの電気的な絶縁性を確保した態様で、装置全体の部品点数を削減しながら第3のバスバー80をケース50に確実に固定する観点から好ましい。
【0047】
ここで、第3のバスバー80において、起立部84の下部は、ケース50の縦周壁52と一体成形されているが、その上部及び測定端子部85は、ケース50の縦周壁52の上方に露出する。併せて、縦周壁52の上端には、その上面を陥設した凹部54が設けられ、起立部84の上部は、凹部54から上方に延出して露出することが好ましい。これは、測定端子部85が上回路基板100に貫通孔102を介して半田Wで半田付けされた際に、上回路基板100の下面側の凹部54で半田Wの特にフィレットの逃げ部を設定するためである。かかる半田付けは、典型的にはフロー半田付けである。更に、凹部54の底部には、それらの上面を突設した凸部56を設けられることが好ましい。これは、縦周壁52内からその外部に延出する起立部84の露出下端部を、凸部56で補強して支持するためである。
【0048】
また、第3のバスバー80に関しては、種々の変形例が考えられる。
【0049】
例えば、
図3(b)に示すように、第3のバスバー80に関しては、必要に応じてその構成をより簡素化して、変形例における第3のバスバー80’のように延在部82を排除し、突出部83を、第3の正電位接続端子部81のy軸の正方向側の下端部に連なってそれからx軸の負方向に突出する構成を有するように構成してもよい。かかる場合には、第3の正電位接続端子部81のみが第3のバスバー80におけるバスバー本体部に相当することになり、突出部83は、第3の正電位接続端子部81のy軸の正方向側の下端部に連なってそれから分岐し、x軸の負方向に曲げられて突出することになる。
【0050】
ここで、本変形例においては、突出部83は、第3の正電位接続端子部81のy軸の正方向側の下端部に連なってそれから分岐し、x軸の負方向に曲げられて突出することによ
り、正電位側測定端子の全長を長く設定してその端部間の熱抵抗を増大することに寄与し、このことは、測定端子部85を上回路基板100にフロー半田等の半田付けをする際の熱引きを低減して半田付け性を向上することに寄与する。かかる場合においても、突出部83の突出方向は、x軸の負方向に平行であっても、x軸の負方向に交差する方向であってもよい。但し、突出部83の下端の高さ位置は、第3のバスバー80の歩留まりを悪化させず、その下端の高さ位置やケース50の縦周壁52の下端の高さ位置を不要に下降させない観点から、突出部83の下端と延在部82の下端とが面一になって延在部82の下端の高さ位置に等しくなるように設定することが好ましい。また、かかる場合においても、突出部83及び起立部84は、主として直線状であるが、正電位側測定端子の全長をより長く設定するように湾曲状等に形成してもよい。
【0051】
以上の説明から明らかなように、本実施形態における電力変換装置2においては、バッテリの正電位と電気的に接続すると共に樹脂ケース50に固設される板状のバスバー80、80’が、その幅方向が上下方向になるように垂直配置されると共に、バッテリの正電位が与えられる平板状のバスバー本体部81、82と、バスバー本体部81、82から分岐する電圧測定端子82〜85と、を備え、電圧測定端子82〜85が、バスバー本体部81、82から突出する突出部83と、突出部83から上方に回路基板100に向かって延在する起立部84と、起立部84の上部分であって回路基板100に電気的に接続する測定端子部85と、を含むものであるため、半田付け性を向上すると共に絶縁性を確保しながら、筐体サイズを不要に増大することなくバスバー80、80’の電圧を測定することができる電力変換装置2を提供することができる。特に、電圧測定端子82〜85の突出部83を細長く延出することができるため、電圧測定端子長を長くすることができて電圧測定経路の熱抵抗が大きくなり、電圧測定端子からバスバー80、80’への熱引きを小さくすることができ、この結果、フロー半田時等の半田付け性を向上することができる。
【0052】
また、本実施形態における電力変換装置2においては、突出部83の下端が、バスバー本体部81、82の下端と面一に設定されるものであるため、バスバー80、80’の成形時の歩留まりを向上することができると共に、省スペース化及び全体構成の小型化をすることができる。
【0053】
また、本実施形態における電力変換装置2においては、突出部83の全体及び起立部84の一部が、樹脂ケース50にモールド成形され、樹脂ケース50が、その周壁52の上端面を陥設した凹部54を有し、起立部84が、凹部54から対応して上方に対応して延出するものであるため、部品点数を削減した態様で、バスバー80、80’の測定端子部85を含む部分を電気的に絶縁しながら、測定端子部85の半田付けの際に形成されるフィレットの逃げ空間を確保することができ、この結果、回路基板100とバスバー80、80’との間隔を狭くすることができて、樹脂ケース50のサイズを小さくすることができる。
【0054】
また、本実施形態における電力変換装置2においては、凹部54が、起立部84が延出する部分で凹部54の底部を突設した凸部56を有するものであるため、電圧測定端子82〜85の固定強度及び位置精度を向上することができる。
【0055】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。