【実施例】
【0067】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、本実施例では、ナノダイヤモンド試料として市販のナノダイヤモンド・ブラック・パウダー(以下、ND Blackと称する)、及びナノダイヤモンド・グレイ・パウダー(以下、ND Grayと称する)を用いた。これらは共にHeyuan Zhonglian Nanotechnology Co., Ltd製の市販品であり、ND Blackは水冷爆ごう法ナノダイヤモンド含有煤(ナノダイヤモンド炭素比率:約50%、ナノダイヤモンド含有量:約45重量%)である黒色の粗ナノダイヤモンドであり、ND GrayはND Blackを湿式法で精製して得られたと推定される灰色のナノダイヤモンドである。なお、以下の記載では、加熱処理及び加熱酸化がされていないND Black試料を原料、前記原料を加熱処理したものを加熱処理後試料、前記原料又は前記加熱処理後試料を加熱酸化したものを精製ナノダイヤモンドと呼ぶことがある。
【0068】
合成例1(α−酸化鉄(α−Fe
2O
3−PC)の合成)
硝酸鉄九水和物(30mmol)の水溶液中(400ml)に28%アンモニア水(35ml)をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。生じた沈澱をイオン交換水で洗浄し(約80ml×3回)、80℃で一終夜乾燥させた後、空気気流中10℃/minで400℃まで昇温し、30分間焼成してFe
2O
3を得た。
【0069】
比較例1
ND Blackを空気気流中で加熱して、加熱酸化を行った。具体的には、空気気流(50ml/min)中、約3mgのND Black試料を、415℃で25時間保持した際の熱重量分析(Thermo Gravimetry、以下、TGと称する)を行った。なお、計測には示差熱天秤TG−8120(リガク製)を用いた。TGの結果を
図1の(a)に示す。なお、
図1の縦軸は重量減少率(%)、横軸は時間(min)である。
【0070】
ND Blackの重量減少率に関わらず、一定の比率で重量が減少した。また、加熱酸化後のND Black試料は黒色であったことから、本条件における加熱酸化によっては、ND Blackの淡色化は効率的に進行しないことが明らかになった。
【0071】
比較例2
保持する温度を425℃、時間を8時間とすること以外は比較例1と同様にしてND Blackの加熱酸化を行った。TGの結果を
図1の(b)に示す。
【0072】
ND Blackの重量減少率に関わらず、一定の比率で重量が減少した。また、加熱酸化後のND Black試料は黒色であったことから、本条件における加熱酸化によっては、ND Blackの淡色化は効率的に進行しないことが明らかになった。
【0073】
比較例3
保持する温度を450℃、時間を7時間とすること以外は比較例1と同様にしてND Blackの加熱酸化を行った。TGの結果を
図1の(c)に示す。
【0074】
ND Blackの重量減少率に関わらず、一定の比率で重量が減少し、その重量の88.5重量%が失われ、11.5重量%が残留した。また、加熱酸化後のND Black試料はほぼ黒色の暗灰色であったことから、上記条件の加熱酸化によっては、ND Blackの淡色化は効率的に進行しないことが明らかになった。
【0075】
比較例4
ND Blackを空気気流中で加熱して、加熱酸化を行った。具体的には、空気気流(50ml/min)中、約20mgのND Blackを、450℃にて5時間保持した際のTGを行った。なお、計測にはTG−8120を用いた。加熱酸化により得られたND Blackは黒色であり、その重量の54重量%が失われ、46重量%が残留した。
【0076】
比較例1〜4より、加熱酸化のみによっては、ND Blackの淡色化は効率的に進行しないことが明らかになった。
【0077】
比較例5
ND Blackを空気気流中で加熱して、加熱酸化を行った。具体的には、空気気流(50ml/min)中、約3mgのND Blackを、550℃にて30分保持した後、150℃にて拡散反射フーリエ変換赤外分光(DRIFT)法による測定を行った。なお、機器はJASCO FTIR−4200+DR600Bi(日本分光(株)製)を用いた。得られたIR(赤外分光)スペクトルを
図2に示す。なお、
図2において、縦軸は吸収スペクトルの強度、横軸は波数(cm
-1)である。
【0078】
得られたIRスペクトルにおいて、加熱酸化後のND Blackは、低波数側に特徴的なピークを示したが、表面水酸基やC−H結合に帰属される吸収は認められず、1700cm
-1付近のピークも不明瞭であった。なお、加熱酸化していないND Blackについては反射が極めて弱く、拡散反射フーリエ変換赤外分光(DRIFT)法による測定は困難であった。純粋なナノダイヤモンドの表面が部分的に酸化される場合、表面水酸基やC−H結合に由来するピークや、1700cm
-1付近にピークが現れるが、グラファイト炭素等でその表面が覆われる場合は前記ピークが不明瞭となる。したがって、本条件における加熱酸化によっては、ND Blackの淡色化は効率的に進行しないことが明らかになった。
【0079】
実施例1
ND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行った。なお、ND Blackの前記加熱処理及び加熱酸化の際に、TG−8120を用いてTGを行った。具体的には、ND Blackを約3mg用意し、5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、0℃〜1000℃の範囲で昇温(10℃/min)し、1000℃に達したところで加熱処理を終了した。その後、空気気流(50ml/min)中、450℃、5時間の条件で加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。表1に、各工程の加熱条件及び原料の減少量等を記載した。それぞれの項目について以下に説明する。なお、下記の項目の説明に関しては、表2〜5においても同様である。
【0080】
<加熱処理工程について>
ガス:反応系内に流入させた気体の組成を指す(H
2(5%)/N
2は、5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガスを意味する)
温度:昇温終了時の温度
時間:昇温が終了した後、一定の温度で加熱を行った時間
重量減少量:原料の重量−加熱処理後試料の重量
重量減少割合:(前記の重量減少量/原料の重量)×100
【0081】
<加熱酸化工程について>
温度:加熱した温度
時間:加熱した時間
重量減少量:加熱処理後試料の重量−精製ナノダイヤモンドの重量
重量減少割合:(前記の重量減少量/原料の重量)×100
【0082】
<精製ナノダイヤモンドについて>
色調:目視における精製ナノダイヤモンドの色調
残存重量割合:(精製ナノダイヤモンドの重量/原料の重量)×100
【0083】
実施例2
ND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行った。なお、ND Blackの前記加熱処理及び加熱酸化の際に、TG−8120を用いてTGを行った。具体的には、ND Blackを約3mg用意し、5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、0〜500℃の範囲で昇温(10℃/min)し、500℃に達したところで昇温を止め、3時間の間、加熱を行った後、加熱処理を終了した。その後、空気気流(50ml/min)中、450℃、5時間の条件で加熱酸化を行うことで精製ナノダイヤモンドを得た。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少分とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表1に示す。
【0084】
実施例3、4
加熱処理の際の温度を表1に示す条件に変更したこと以外は実施例2と同様にして、ND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少分とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例1〜4の方法によると、ND Blackの淡色化が効率的に進行することが確認された。特に実施例1及び3においては淡色化の傾向が強く見られた。なお、精製ナノダイヤモンドの色調(色の濃さ)としては、濃い色調の順からDark gray、Blue gray、Light grayである。
【0087】
実施例5
加熱処理を窒素気流(95mL/min)中で行ったこと以外は実施例1と同様の条件でND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表2に示す。
【0088】
実施例6
加熱処理を窒素気流(95mL/min)中で行ったこと以外は実施例3と同様の条件でND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
実施例5及び6の方法によると、ND Blackの淡色化が効率的に進行することが確認された。なお、実施例5で得られた精製ナノダイヤモンドは実施例1のものと比較してやや濃かった。なお、精製ナノダイヤモンドの色調(色の濃さ)としては、濃い色調の順からBlue gray、Grayである。
【0091】
実施例7
ND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行った。なお、ND Blackの前記加熱処理工程及び加熱酸化工程の際に、TG−8110を用いてTGを行った。具体的には、5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、750℃、3時間の条件で、約20mgのND Blackを加熱処理した。その後、空気気流(50ml/min)中、450℃、5時間の条件で加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表3に示す。
【0092】
実施例8及び9
加熱酸化の際の温度又は時間を表3に示す条件に変更したこと以外は実施例7と同様の条件でND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表3に示す。
【0093】
実施例10及び11
加熱処理を窒素気流(100ml/min)中にて行ったこと及びその温度を表3に示す条件に変更したこと以外は実施例7と同様の条件でND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た(実施例10)。また、加熱処理を窒素雰囲気下にて行ったこと以外は実施例7と同様にして、精製ナノダイヤモンドを得た(実施例11)。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
実施例7〜11の方法によると、ND Blackの淡色化が効率的に進行することが確認された。精製ナノダイヤモンドの色調(色の濃さ)としては、濃い色調の順からVery Dark blue gray、Dark gray、Deep blue gray、Grayである。
【0096】
実施例12
ND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行った。なお、ND Blackの前記加熱処理及び加熱酸化の際に、TG−8110を用いてTGを行った。具体的な方法を以下に示す。まず、約20mgのND Blackに、3.6重量%となるように酸化白金(PtO
2、和光純薬工業(株)製)を加え、乳鉢で3分間程度軽く混合して混合物を得た。その後、5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、750℃、3時間の条件下、前記混合物を加熱処理した。その後、空気気流(50ml/min)中、450℃、5時間の条件で加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表4に示す。
【0097】
実施例13〜19
遷移金属触媒の種類及び量、並びに加熱処理時のガスを表4に示す様に変更したこと以外は実施例12と同様にして、ND Blackの加熱処理及び加熱酸化を行い、精製ナノダイヤモンドを得た。なお、遷移金属触媒としては、市販のα−酸化鉄(α−Fe
2O
3、和光純薬工業(株)製)、酸化白金(PtO
2、和光純薬工業(株)製)、白金黒(Pt、ナカライテスク(株)製)又は合成例1において作製したα−酸化鉄(α−Fe
2O
3−PC)を用いた。加熱処理後の原料の重量減少量とその割合、加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表4に示す。
【0098】
比較例6
加熱処理を行わないこと以外は実施例12と同様にして、ND Blackの加熱酸化のみを行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表4に示す。
【0099】
比較例7
加熱処理を行わないこと以外は実施例18と同様にして、ND Blackの加熱酸化のみを行い、精製ナノダイヤモンドを得た。加熱酸化後の原料の重量減少量とその割合、得られた精製ナノダイヤモンドの色調と残存重量割合を表4に示す。
【0100】
【表4】
【0101】
実施例12〜19の方法によると、ND Blackの淡色化が効率的に進行することが確認された。一方、比較例6では著しい重量減少が見られたことから、ナノダイヤモンドと非ダイヤモンド炭素の双方が区別無く酸化されたと考えられる。また、比較例7では淡色化が進行していないことが確認された。精製ナノダイヤモンドの色調(色の濃さ)としては、濃い色調の順からBlack、Dark gray、Brownish gray、Slightly brownish gray、Gray、Light grayである。
【0102】
参考例1
ND Black及びND Grayの加熱酸化の際に、TG及びDTAを測定した。まず、ND Black及びND Grayをそれぞれ約3mg用意し、空気気流(50ml/min)中、0〜1000℃の範囲で昇温(10℃/min)し、TG及びDTA(示差熱分析、Differential Thermal Analysis)を行った。なお、計測にはTG−8120を用いた。結果を
図3に示す。なお、
図3の縦軸は重量減少率(%)、横軸は温度(℃)である。(a)及び(b)はND Black及びND Grayの昇温に伴う重量の減少に関する図であり、(b)は(a)の拡大図である。また、(c)及び(d)はND Black及びND Grayの昇温に伴う熱量変化に関する図であり、(d)は(c)の拡大図である。また、(c)及び(d)において、縦軸はDTAにおける標準試料(α−アルミナ)との温度差(熱電対起電力)(μA)、横軸は温度を示す。
【0103】
ND Blackは300℃以上で徐々に重量減少が開始するが、ND Grayは490℃まで安定であった。一方、DTA分析の結果では、ND GrayがND Blackよりも低い温度領域で燃焼(発熱)が始まることが示された。
【0104】
参考例2
ND Grayについて空気酸化を行った後、拡散反射フーリエ変換赤外分光(DRIFT)法による測定を行った。まず、ND Grayを約3mg用意し、空気雰囲気下、室温、150℃、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃、475℃、500℃、550℃のそれぞれの温度にて20分間保持した後、IRスペクトルを測定した。なお、機器はJASCO FTIR−4200+DR600Biを用いた。得られたIRスペクトルを
図4及び5に示す。
図4及び5において、縦軸はスペクトルの強度、横軸は波数(cm
-1)を示す。なお、
図4の(a)は室温における加熱酸化後のスペクトル、(b)は150℃における加熱酸化後のスペクトル、(c)は200℃における加熱酸化後のスペクトル、(d)は250℃における加熱酸化後のスペクトル、(e)は300℃における加熱酸化後のスペクトル、(f)は350℃における加熱酸化後のスペクトル、(g)は400℃における加熱酸化後のスペクトル、(h)は450℃における加熱酸化後のスペクトル、(i)は475℃における加熱酸化後のスペクトル、(j)は500℃における加熱酸化後のスペクトル、(k)は550℃における加熱酸化後のスペクトルである。
【0105】
ND Grayでは水酸基(あるいは吸着水)のOH伸縮振動、C−H伸縮振動に帰属される吸収が顕著であり、1700cm
-1付近に強い吸収が認められた。空気中で温度を150℃とすると1700cm
-1付近のカルボニル基によると考えられるピーク形状が顕著に変化し、OH伸縮振動に帰属される3400cm
-1付近の吸収が弱くなった。2900cm
-1付近のC−H伸縮振動によるピークは250℃以上で徐々に小さくなり、425℃以上でほぼ消失した。
【0106】
参考例3
5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、750℃、3時間の条件で、約3mgのND Blackを加熱処理した後、空気気流(50ml/min)中、0〜1000℃の範囲で、昇温(10℃/min)し、TG及びDTAを行った。その結果(H
2−treated ND Blackと称す)を
図6に示す。なお、加熱処理を行っていないND Blackについて同様の測定をした結果(ND Blackと称す)についても
図6に示した。
図6の(a)及び(b)において、縦軸はTGにおける重量減少率(%)、横軸は温度(℃)を示す。また、(c)及び(d)において、縦軸はDTAにおける標準試料(α−アルミナ)との温度差(熱電対起電力)(μA)、横軸は温度を示す。
図6の(a)及び(b)はH
2−treated ND Black、及びND Blackの昇温に伴う重量の減少に関する図であり、(b)は(a)の拡大図である。また、(c)及び(d)はH
2−treated ND Black、及びND Blackの昇温に伴う熱量変化に関する図であり、(d)は(c)の拡大図である。
【0107】
ND Blackに認められた300〜500℃の重量減少は加熱処理を施したND Blackには認められなかった。特に500℃付近において僅かな重量減少が見られたが、これは加熱処理にて容易に酸化可能な部位が除去(あるいは化学的に変化)したと考えられる。特に(d)は、水素を含む雰囲気下における加熱処理を行うことで、空気酸化処理工程において非ダイヤモンド炭素からダイヤモンドに段階的な燃焼が進むようになることを示している。
【0108】
参考例4
ND Blackについて加熱酸化を行った後、拡散反射フーリエ変換赤外分光(DRIFT)法による測定を行った。まず、5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、1000℃まで毎分10℃の速度で昇温し、1000℃に達したところで加熱処理を止め、約3mgのND Blackを加熱処理した。その後、空気雰囲気下、450℃にて5時間保持して加熱酸化した後、IRスペクトル測定した。IRスペクトルを
図7の(a)に示す。なお、
図7において、縦軸はスペクトルの強度、横軸は波数(cm
-1)を示す。
【0109】
参考例5
加熱処理温度を500℃、時間を3時間としたこと以外は、参考例4と同じ条件でND Blackを加熱処理し、拡散反射フーリエ変換赤外分光(DRIFT)法による測定を行った。得られたIRスペクトルを
図7の(b)に示す。
【0110】
参考例6
加熱処理温度を750℃、時間を3時間としたこと以外は、参考例4と同じ条件でND Blackを加熱処理し、拡散反射フーリエ変換赤外分光(DRIFT)法による測定を行った。得られたIRスペクトルを
図7の(c)に示す。
【0111】
参考例7
加熱処理時間を3時間としたこと以外は、参考例4と同じ条件でND Blackを加熱処理し、拡散反射フーリエ変換赤外分光(DRIFT)法による測定を行った。得られたIRスペクトルを
図7の(d)に示す。
【0112】
参考例4〜7で得られたIRスペクトルが、加熱酸化処理したND GrayのIRスペクトル(参考例2、
図4及び5参照)に類似していることから、ナノダイヤモンドが高い割合で含まれることが考えられる。特に淡色を呈した(c)がsp
2炭素に帰属される1535cm
-1付近の吸収が弱くなる傾向が見られた。
【0113】
参考例8
ND Blackの加熱酸化を行い、活性化エネルギーを算出した。まず、約3mgのND Blackを、空気雰囲気下、415℃、425℃、435℃及び450℃にて各温度20分ずつ保持し、TGを行うことで活性化エネルギーを算出した。なお、計測にはTG−8120を用いた。その結果を表5に示す。
【0114】
参考例9
ND Blackの加熱酸化を行い、活性化エネルギーを算出した。まず、5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、750℃、3時間の条件で、約3mgのND Blackを加熱処理した。前記加熱処理後のND Blackについて、参考例8と同様の操作を行って活性化エネルギーを算出した。その結果を表5に示す。
【0115】
参考例10
ND Blackの加熱酸化を行い、活性化エネルギーを算出した。まず、加熱処理の際に用いるガスを表5に示すものに変更したこと以外は参考例9と同様にして、活性化エネルギーを測定した。その結果を表5に示す。
【0116】
参考例11
ND Blackの加熱酸化を行い、活性化エネルギーを算出した。まず、約20mgのND Blackに添加量が3.6重量%となるようにPtO
2を加えて混合し、混合物を得た。そして、 5v/v%の水素及び95v/v%の窒素で構成されるガス気流(100ml/min)中、750℃、3時間の条件で、前記の混合物を加熱処理した。前記処理後の混合物を、空気雰囲気下、400℃、415℃、425℃、435℃及び450℃にて各温度20分ずつ保持し、TGを行うことで活性化エネルギーを算出した。その結果を表5に示す。
【0117】
参考例12〜18
遷移金属触媒の種類及び量、並びに加熱処理の際に用いるガスを表5に示す条件に変更したこと以外は参考例11と同様にして、活性化エネルギーを測定した。その結果を表5に示す。
【0118】
【表5】
【0119】
参考例8と参考例9〜18を比較すると明らかな様に、加熱処理を行うことで活性化エネルギーが低下することが明らかになった。また、参考例8〜10と参考例11〜18を比較すると明らかな様に、遷移金属触媒によって活性化エネルギーが低下することが明らかになった。