特許第6352785号(P6352785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352785
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】座席装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/54 20060101AFI20180625BHJP
   B60N 2/75 20180101ALI20180625BHJP
【FI】
   A47C7/54 F
   B60N2/75
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-241194(P2014-241194)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-101325(P2016-101325A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】埜嵜 博之
(72)【発明者】
【氏名】本多 正明
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−046862(JP,U)
【文献】 実開平04−086449(JP,U)
【文献】 実開平06−031555(JP,U)
【文献】 特開平11−276299(JP,A)
【文献】 特開平10−137072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/54
B60N 2/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の背もたれとなるシートバックと、前記シートバックの側面に設けられたアームレスト回転軸を中心に自転可能なアームレストとを備える座席装置であって、
前記アームレストは、
前記シートバックに対する位置が固定され、固定ギア歯を有する固定ギアと、
第1の腕と第2の腕と前記アームレストに固定されたロックギア回転軸とを有し、前記第1の腕と前記第2の腕が前記ロックギア回転軸を中心に回転可能なロックギアであって、前記固定ギア歯と噛み合うロックギア歯を前記第1の腕に有するロックギアと、
第3の腕と第4の腕と前記アームレストに固定されたレバープレート回転軸とを有し、前記第3の腕と前記第4の腕が前記レバープレート回転軸を中心に回転可能なレバープレートとを備え、
前記第1の腕に突出部が設けられるとともに前記第3の腕に前記突出部と係合する係合穴が設けられるか、又は、前記第3の腕に突出部が設けられるとともに前記第1の腕に前記突出部と係合する係合穴が設けられ、
前記第2の腕が前記第4の腕に近づくよう付勢されるとともに、前記第4の腕が前記第2の腕に近づくよう付勢され、
前記第4の腕が前記第2の腕から離れるように回転動作すると、前記第3の腕が前記第1の腕を、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯から離れるロック解除状態となる方向に回転動作させ、前記第4の腕が前記第2の腕に近づくように回転動作すると、前記第3の腕が前記第1の腕を、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯と噛み合うロック状態となる方向に回転動作させ、
前記ロック解除状態及び前記ロック状態において、前記第1の腕に設けた突出部と前記第3の腕に設けられた係合穴又は前記第3の腕に設けた突出部と前記第1の腕に設けられた係合穴が、前記レバープレートの回転動作を制止するストッパとして機能することを特徴とする座席装置。
【請求項2】
請求項1に記載した座席装置であって、
前記第1の腕に前記突出部が設けられるとともに前記第3の腕に前記係合穴が設けられ、前記ロック状態では、前記係合穴の下部が前記突出部に当接し、前記ロック解除状態では、前記係合穴の上部が前記突出部に当接することを特徴とする座席装置。
【請求項3】
請求項2に記載した座席装置であって、
前記第4の腕が前記第2の腕から離れるように回転動作すると、前記突出部が前記係合穴の下部から上部へ摺動することにより、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯から離れ、前記第4の腕が前記第2の腕に近づくように回転動作すると、前記突出部が前記係合穴の上部から下部へ摺動することにより、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯に近づくことを特徴とする座席装置。
【請求項4】
請求項1に記載した座席装置であって、
前記第3の腕に前記突出部が設けられるとともに前記第1の腕に前記係合穴が設けられ、前記ロック状態では、前記係合穴の上部が前記突出部に当接し、前記ロック解除状態では、前記係合穴の下部が前記突出部に当接することを特徴とする座席装置。
【請求項5】
請求項4に記載した座席装置であって、
前記第4の腕が前記第2の腕から離れるように回転動作すると、前記突出部が前記係合穴の上部から下部へ摺動することにより、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯から離れ、前記第4の腕が前記第2の腕に近づくように回転動作すると、前記突出部が前記係合穴の下部から上部へ摺動することにより、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯に近づくことを特徴とする座席装置。
【請求項6】
請求項1に記載した座席装置であって、
前記第4の腕にその一端が取り付けられ、その他端が前記アームレストの外側に延在するストラップを備え、
前記ストラップの前記他端が引かれると、前記第4の腕が前記第2の腕から離れるように回転動作して、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯から離れ、前記ロック解除状態になり、前記ストラップの前記他端が緩められると、前記第4の腕が前記第2の腕に近づくように回転動作して、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯と噛み合い、前記ロック状態になることを特徴とする座席装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その側面にアームレストを備える椅子に関し、例えば、シートバック(背もたれ)の側面にアームレストを備える自動車用のシート(座席装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1に開示された技術では、自動車シートのシートバックの側面に設けられたアームレストを、着座者がアームレストを使用することのできる倒伏状態(略水平状態)にある使用位置と、シートバックに沿うように起立させた起立状態(略垂直状態)にある格納位置との間で、無段階に調整するためのリンク(連係用部材)を含む構成が示されている。
【0003】
そして、アームレストを格納状態にすると、リンクが変位し、リンクの先端に設けられた係止部が、アームレストに固定されたロック部の鉤に係止されて、リンクの変位が拘束されることが示されている。このリンクには、該リンクの移動を案内するガイド溝が、上記係止部に穿設されている。このように、リンクの変位をストップさせるストッパとして、リンクとは別体のロック部がアームレストに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−39611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように背景技術では、リンクの変位をストップさせるための専用のストッパを、アームレストに固定して設けている。このため、ストッパの取り付け等に費用がかかることになる。
本発明の目的は、アームレスト内に設けられた連係用部材の変位をストップさせるための専用部材を不要とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための、本願発明の座席装置の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
着座者の背もたれとなるシートバックと、前記シートバックの側面に設けられたアームレスト回転軸を中心に自転可能なアームレストとを備える座席装置であって、
前記アームレストは、
前記シートバックに対する位置が固定され、固定ギア歯を有する固定ギアと、
第1の腕と第2の腕と前記アームレストに固定されたロックギア回転軸とを有し、前記第1の腕と前記第2の腕が前記ロックギア回転軸を中心に回転可能なロックギアであって、前記固定ギア歯と噛み合うロックギア歯を前記第1の腕に有するロックギアと、
第3の腕と第4の腕と前記アームレストに固定されたレバープレート回転軸とを有し、前記第3の腕と前記第4の腕が前記レバープレート回転軸を中心に回転可能なレバープレートとを備え、
前記第1の腕に突出部が設けられるとともに前記第3の腕に前記突出部と係合する係合穴が設けられるか、又は、前記第3の腕に突出部が設けられるとともに前記第1の腕に前記突出部と係合する係合穴が設けられ、
前記第2の腕が前記第4の腕に近づくよう付勢されるとともに、前記第4の腕が前記第2の腕に近づくよう付勢され、
前記第4の腕が前記第2の腕から離れるように回転動作すると、前記第3の腕が前記第1の腕を、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯から離れるロック解除状態となる方向に回転動作させ、前記第4の腕が前記第2の腕に近づくように回転動作すると、前記第3の腕が前記第1の腕を、前記ロックギア歯が前記固定ギア歯と噛み合うロック状態となる方向に回転動作させ、
前記ロック解除状態及び前記ロック状態において、前記第1の腕に設けた突出部と前記第3の腕に設けられた係合穴又は前記第3の腕に設けた突出部と前記第1の腕に設けられた係合穴が、前記突出部と前記係合穴が、前記レバープレートの回転動作を制止するストッパとして機能することを特徴とする座席装置。


【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、アームレスト内に設けられた連係用部材の変位をストップさせるための専用部材を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る座席装置の側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るアームレストの構造を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るアームレスト内部を示す側面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るレバープレートの部分拡大図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック状態を説明する図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック解除の第1段階を説明する図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック解除の第2段階を説明する図である。
図8】本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック解除状態を説明する図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るアームレストのロック状態を説明する図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るアームレストのロック解除状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る座席装置を側面側から見た側面図である。本実施形態の座席装置100は、自動車用のシートであり、図1に示すように、着座者の背もたれとなるシートバック1と、シートバック1の側面に取り付けられ着座者の腕を載せるアームレスト2と、着座者が腰を下ろすシートクッション(着座部)3と、シートクッション3を支える脚である4本のフット4(図1では2本のみ示す)と、フット4を覆うフットカバー5と、前側のフットカバー5と後側のフットカバー5の間に設けられたライザーカバー6とを含むように構成される。
【0010】
アームレスト2は、アームレスト回転中心2aを回転軸として、矢印Gで示すように、着座者がアームレスト2を使用する使用位置と、使用しない場合に収納する収納位置との間を、上下平面内において回転可能に構成される。図1は、アームレスト2が使用位置にある場合を示す。収納位置は、アームレスト2がシートバック1の側面と重なる位置である。アームレスト2の前部には、小物入れ32が設けられている。なお、小物入れ32を設けない構成としてもよい。
【0011】
本明細書において、前方向とは図1のW方向、後方向とはE方向、上方向とはN方向、下方向とはS方向である。N方向とE方向の丁度中間の方向をNE方向、N方向とW方向の丁度中間の方向をNW方向、S方向とE方向の丁度中間の方向をSE方向、S方向とW方向の丁度中間の方向をSW方向とする。さらに、N方向とNE方向の丁度中間の方向をNNE方向、S方向とSE方向の丁度中間の方向をSSE方向、N方向とNW方向の丁度中間の方向をNNW方向とする。また、図1の紙面を裏側から表側に貫く方向をH方向とする。なお、N方向とE方向、E方向とS方向、S方向とW方向は、それぞれ、互いに90度の角度をなす。
【0012】
図2は、本発明の第1実施形態に係るアームレストの構造を示す斜視図である。
図2に示すように、アームレスト2は、アームレスト2の機構部を収容するアームレスト機構部カバー10と、アームレスト機構部カバー10を柔軟性のある部材(例えば発泡ウレタン)で包むアームレストクッション31と、小物入れ32とを含むように構成される。アームレストクッション31は、例えば発泡ウレタンの表面を布カバーで覆うように構成される。
【0013】
アームレスト機構部カバー10は、アームレスト2を使用位置と収納位置との間で動かすためのアームレスト機構部を包むように覆う箱型のカバーであり、ベースフレーム11と、ホルダーブラケット12と、蓋18とを含むように構成される。ベースフレーム11とホルダーブラケット12と蓋18は、鉄等の金属製である。
【0014】
アームレスト機構部カバー10内には、アームレスト機構部として、シートバック1に対する位置が固定される固定ギア13と、ロックギア14と、レバープレート15と、ストラップ17とが収容される。固定ギア13とロックギア14とレバープレート15は、金属製、例えば鉄製である。ストラップ17は、例えば合成繊維製の紐である。図2に示すように、アームレスト機構部カバー10内では、固定ギア13及びロックギア14、レバープレート15、ストラップ17が、この順でH方向に並ぶように配置される。
【0015】
ロックギア14は、その回転軸(ロックギア回転軸14a)がベースフレーム11に固定、つまり、アームレスト2に固定され、アームレスト2の回転動作に従ってアームレスト2とともに回転動作(公転)する。また、ロックギア14は、ロックギア回転軸14aを中心にして、回転動作(自転)する。ロックギア14の動作の詳細は後述する。
【0016】
レバープレート15は、その回転軸(レバープレート回転軸15a)がベースフレーム11に固定、つまり、アームレスト2に固定され、アームレスト2の回転動作に従ってアームレスト2とともに回転動作(公転)する。また、レバープレート15は、レバープレート回転軸15aを中心にして、回転動作(自転)する。レバープレート15の動作の詳細は後述する。
【0017】
ストラップ17は、アームレスト2のロック状態を解除するロック解除紐であり、その一端である17a(レバープレート接続部)がストラップ取り付けネジ17dによりレバープレート15の第2腕(レバー第2腕)15cに取り付けられる。ストラップ17は、ストラップ取り付けネジ17dを回転軸として、回転(自転)可能となっている。ストラップ17の他端である17c(引張り部)は、前方に延伸して蓋18に設けられた穴からアームレスト2の外側に出ている。この引張り部17cを着座者が引張ることにより、レバープレート15を介してロックギア14のロックが解除、つまり、アームレスト2のロック状態が解除される。ロック状態とは、シートバック1に対してアームレスト2が回転動作(自転)できない状態であり、ロック解除状態とは、回転可能な状態である。ロック動作及びロック解除動作の詳細は後述する。
【0018】
固定ギア13は、ベースフレーム11を挟むようにして、雄シャフト21と固定されている。詳しくは、雄シャフト21の一部がベースフレーム11を遊貫した状態で、固定ギア取付部13aが、セレーションギア(不図示)により、雄シャフト21と固定されている。したがって、固定ギア13と雄シャフト21が連結された状態において、ベースフレーム11は、雄シャフト21の周囲を回転動作(自転)することができる、つまり、アームレスト2は、雄シャフト21の周囲を回転動作(自転)することができる。
【0019】
また、シートバック1内に固定されたシートバックフレームの一部43には、雌シャフト41が固定されている。固定ギア13に固定された雄シャフト21の雄ネジが、雌シャフト41の雌ネジと螺合され、更にスナップピン42で、雄シャフト21が雌シャフト41と固定されることにより、固定ギア13は、シートバック1に固定される。
【0020】
図3は、本発明の第1実施形態に係るアームレスト内部を示す側面図であり、アームレスト機構部カバー10内の側面図である。なお、図3は、アームレスト2が使用位置にある状態であり、かつ、アームレスト2が回転不能なロック状態にある場合を示す。
【0021】
図3に示すように、レバープレート15は、レバープレート15が回転(自転)する際の軸となるレバープレート回転軸15aを有し、さらに、レバープレート回転軸15aを挟むように、レバープレート15の第1腕であるレバー第1腕15bと、レバープレート15の第2腕であるレバー第2腕15cとを有する。
【0022】
レバー第2腕15cの長さ(詳しくは、レバープレート回転軸15aの中心とストラップ取り付けネジ17dの中心との間の長さ)は、レバー第1腕15bの長さ(詳しくは、レバープレート回転軸15aの中心と係合穴15kの中心との間の長さ)よりも長い。これにより、着座者は、より少ない力でアームレスト2のロックを解除することができる。また、レバー第1腕15bの長さをレバー第2腕15cより短くすることにより、アームレスト機構部を小型化できる。
【0023】
レバープレート15は、略「く」の字状であり、図3では、レバー第1腕15b(詳しくは、レバープレート回転軸15aの中心と係合穴15kの中心とを結ぶ直線)は略E方向に延在し、レバー第2腕15c(詳しくは、レバープレート回転軸15aの中心とストラップ取り付けネジ17dの中心とを結ぶ直線)は略SSW方向に延在する。なお、本明細書で、ある方向に略を付した場合は、その方向も含む。例えば、略E方向は、E方向を含む。
【0024】
レバー第1腕15bとレバー第2腕15cとがなす角度(ロックギア14に対向する角度)であるレバー角度は、本実施形態では約110度である。なお、レバー角度は、90〜140度の間の任意の角度に設定することが好ましく、約110度とするのがより好ましい。90度以上とすることにより、バネ16を配置する空間を確保し易くなり、140度以下とすることにより、アームレスト機構部を小型化できる。
【0025】
レバープレート回転軸15aは、アームレスト機構部カバー10に固定されている。レバープレート15は、レバープレート回転軸15aの周囲を、レバープレート回転軸15aを中心にして、図3の時計回り方向又は反時計回り方向へ、所定の範囲で回転動作(自転)が可能である。
【0026】
レバー第1腕15bの先端部の中央には、後述するロックギアピン14pと係合する係合穴15kが設けられている。係合穴15kは、ロックギアピン14pと係合することにより、レバープレート15の自転動作をロックギア14に伝え、ロックギア14を自転動作させる。
【0027】
また、係合穴15kは、ロックギアピン14pと係合することにより、ロックギア14に対するレバープレート15の位置を制限する。詳しくは後述するが、係合穴15kとロックギアピン14pは、シートバック1に対するアームレスト2の位置の変動を不可能とするロック状態と、シートバック1に対するアームレスト2の位置の変動を可能とするロック解除状態において、それぞれ、ロックギア14に対するレバープレート15の位置を定めるストッパの機能を果たす。
【0028】
レバー第2腕15cの先端部の中央には、バネ取付穴15hが設けられ、バネ取付穴15hには、弾性部材であるバネ16の一端が取付られている。バネ16の他端は、後述するロックギア第2腕14cの先端部の中央に設けられたバネ取付穴14hに取付られている。バネ16は、本実施形態では、金属製のコイルバネであり、レバー第2腕15cを図3の矢印A方向に引張るように付勢し、ロックギア第2腕14cを矢印B方向に引張るように付勢する。このように、同一のバネ16により、レバー第2腕15cとロックギア第2腕14cを、互いに近づく方向に付勢する。
【0029】
ロックギア14は、ロックギア14が回転(自転)する際の軸となるロックギア回転軸14aを有し、さらに、ロックギア回転軸14aを挟むように、ロックギア14の第1腕であるロックギア第1腕14bと、ロックギア14の第2腕であるロックギア第2腕14cとを有する。ロックギア第1腕14bの長さは、ロックギア第2腕14cと同程度である。
【0030】
ロックギア第1腕14bの先端の中央部には、ロックギアピン14pがロックギア第1腕14bの表面から、図3の紙面を裏から表へ貫く方向(図2に示すH方向)へ、突出して設けられている。ロックギアピン14pは、レバー第1腕15bの係合穴15kと係合することにより、上述したロック状態(アームレスト2の回動が不可能な状態)とロック解除状態(アームレスト2の回動が可能な状態)を実現する。ロックギアピン14pと係合穴15kの動作の詳細は後述する。
【0031】
ロックギア第1腕14bの右上部には、ロックギア14の歯車の歯であるロックギア歯14dが、複数(図3の例では2つ)、後述する固定ギア歯13dと噛み合い可能なように、右下方向(SE方向)に向くように設けられている。ロックギア歯14dの数は、1つとすることも可能であるが、複数とすることにより、ロックギア歯14dを小さくしても、固定ギア歯13dと噛み合ったときのロックギア歯14dの強度を容易に確保できる。また、ロックギア歯14dを小さくすることにより、ロックギア歯14dが固定ギア歯13dと噛み合う位置を微調整、つまり、アームレスト2の使用角度を微調整することができる。
【0032】
ロックギア14は、略「く」の字状であり、図3では、ロックギア第1腕14b(詳しくは、ロックギア回転軸14aの中心とロックギアピン14pの中心とを結ぶ直線)は略NNE方向に延在し、ロックギア第2腕14c(詳しくは、ロックギア回転軸14aの中心とバネ取付穴14hの中心とを結ぶ直線)は略SSE方向に延在する。ロックギア第1腕14bとロックギア第2腕14cとがなす角度(固定ギア13に対向する角度)であるロックギア角度は、本実施形態では約130度であり、上述したレバー角度(約110度)よりも大きい。
【0033】
なお、ロックギア角度は、90〜170度の間の任意の角度に設定することが好ましく、約130度とすることがより好ましい。ロックギア角度は、例えば180度にすることも可能であるが、その場合、アームレスト機構部が大きくなる。ロックギア角度を90〜170度の範囲とすることにより、バネ16の配置空間を確保しつつアームレスト機構部を小型化できる。
【0034】
ロックギア回転軸14aは、アームレスト機構部カバー10に固定されている。ロックギア14は、ロックギア回転軸14aの周囲を、ロックギア回転軸14aを中心にして、図3の時計回り方向又は反時計回り方向へ、所定の範囲で回転(自転)することが可能となっている。
【0035】
固定ギア13は、円形の板の左上部(略NW方向部)に固定ギア突出部13bを設けた形状である。固定ギア突出部13bには、固定ギア13の歯車の歯である固定ギア歯13dが複数設けられている。図3の例では、固定ギア歯13dは、固定ギア突出部13bにおいて、略NW方向から略W方向にかけて、7つ設けられているが、7つに限られるものではない。
【0036】
固定ギア13は、その中心部の固定ギア取付部13aにおいて、シートバック1に固定される雄シャフト21に固定して取り付けられている。つまり、固定ギア13は、シートバック1に固定されている。また、上述したように、アームレスト機構部カバー10のベースフレーム11は、雄シャフト21に遊嵌するように取り付けられる。したがって、アームレスト回転中心2aを回転軸として、アームレスト2を収納位置に回転移動させたときも、固定ギア歯13dの位置は、図3における位置から変化しない。
【0037】
これに対し、ロックギア回転軸14aとレバープレート回転軸15aは、上述したように、アームレスト機構部カバー10に固定されている。したがって、アームレスト2を使用位置と収納位置との間で回転(自転)させるとき、ロックギア14とレバープレート15は、アームレスト回転中心2aを回転軸として、アームレスト機構部カバー10とともに回転(公転)する。
【0038】
図3に示すように、アームレスト2の使用位置において、ロックギア歯14dは、ストラップ17が図3のC方向に引張られていないときは、固定ギア歯13dと噛み合うロック位置にあり、ストラップ17がC方向に引張られると、固定ギア歯13dと離れた位置(固定ギア歯13dと噛み合わない位置)であるロック解除位置に回転移動(ロックギア回転軸14aを中心にして自転)する。
【0039】
すなわち、ロックギア歯14dは、固定ギア歯13dと噛み合うロック位置において、ロックギア14と固定ギア13の位置関係が変動しないように、つまり、アームレスト2とシートバック1の位置関係が変動しないように、アームレスト2をロックする。また、ロックギア歯14dは、固定ギア歯13dと噛み合わないロック解除位置において、ロックギア14と固定ギア13の位置関係が変動可能なように、つまり、アームレスト2とシートバック1の位置関係の変動を可能とするように、アームレスト2をロック解除する。
【0040】
アームレスト機構部カバー10の側面(詳しくはホルダーブラケット12の側面)には、ストラップ支持体12a,12b,12cが設けられており、これらのストラップ支持体により、アームレスト機構部カバー10内において、ストラップ17の位置が支持又は制限される。
【0041】
図3に示すように、レバープレート回転軸15aと、ロックギア回転軸14aと、アームレスト回転中心2aは、この順に、前方向(W方向)から後方向(E方向)にかけて並ぶように配置されている。また、ロックギア回転軸14aとアームレスト回転中心2aは、上下方向(NS方向)における位置が略同じであり、レバープレート回転軸15aは、ロックギア回転軸14aやアームレスト回転中心2aよりも上方に設けられている。つまり、ロックギア回転軸14aとアームレスト回転中心2aは、横方向に並び、レバープレート回転軸15aは、ロックギア回転軸14aの左上方(略NNW方向)に位置している。これにより、レバー第2腕15cの長さをレバー第1腕15bよりも長くすることができる。
【0042】
また、レバー第1腕15bは、図2に示すH方向において、ロックギア第1腕14bの上に重なるように配置されている。そして、ロックギアピン14pが係合穴15kと係合可能なように配置されている。また、ロックギア歯14dが固定ギア歯13dと噛み合わせ可能なように、ロックギア14と固定ギア13が配置されている。
【0043】
そして、レバー第2腕15cに連結されたストラップ17が図3のC方向(略W方向)に引張られると、レバープレート15が、レバープレート回転軸15aを中心に、図3の時計回り方向へ回転(自転)する。すると、係合穴15kに係合するロックギアピン14pが、図3の左上方向(略NNW方向)へ摺動する。この摺動により、ロックギア第1腕14bが、ロックギア回転軸14aを中心に、図3の反時計回り方向へ回転(自転)する。こうして、ロックギア歯14dが固定ギア歯13dから離れ、アームレスト2のロック状態が解除される。
【0044】
アームレスト2のロック動作とロック解除動作を、図4図8を用いて、さらに詳しく説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係るレバープレートの部分拡大図であり、ロック状態における図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック状態を説明する図である。図6は、本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック解除の第1段階を説明する図である。図7は、本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック解除の第2段階を説明する図である。図8は、本発明の第1実施形態に係るアームレストのロック解除状態を説明する図である。
【0045】
図4に示すように、係合穴15kは、係合穴15kの上部である係合穴上部15kaと、係合穴15kの下部である係合穴下部15kbと、係合穴15kの右辺である係合穴右辺15kcとを有する。係合穴15kは、ロック状態において、略上下方向(略NS方向)に長い縦長の略長円形状であり、係合穴15kの縦方向の中心線は、N方向からS方向へやや傾斜している。係合穴右辺15kcは、N方向からS方向へやや傾斜しており、N方向とNW方向の間の略NNW方向に沿って、外側に膨らむ緩やかな円弧を描いている。
【0046】
図5に示すように、アームレスト2のロック状態では、ストラップ17は、前方向(W方向)に引張られておらず、緩んだ状態であり、固定ギア歯13dは、ロックギア歯14dと噛み合っている。詳しくは、ロックギア歯14d(この例では2つの歯)が、固定ギア歯13d(この例では7つの歯)のうち、右上部の歯と噛み合っている。このように、本実施形態では、ロックギア歯14dの歯数を複数にしている。こうすることにより、ロックギア歯14dの強度を容易に確保でき、アームレスト2の使用角度を微調整できる。
【0047】
図5に示す状態では、ロックギア第2腕14cは、バネ16により、B方向(時計回りの方向)に引張られる。そのため、ロックギア第1腕14bは、右下方向(時計回りの方向)への力を受ける、すなわち右下方向へ付勢される。一方、レバー第2腕15cは、バネ16により、A方向(反時計回りの方向)に引張られる。そのため、レバー第1腕15bは、右上方向(反時計回りの方向)への力を受ける、すなわち右上方向へ付勢される。すると、レバー第1腕15bの係合穴下部15kbにより、ロックギアピン14p、すなわちロックギア第1腕14bが右上方向へ付勢される。
【0048】
こうして、ロックギア第1腕14bは、バネ16により右下方向へ付勢され、また、レバー第1腕15bにより右上方向へ付勢される。このとき、バネ16がロックギア第1腕14bを右下方向へ付勢する力は、レバー第1腕15bが右上方向へ付勢する力の左上方向への分力よりも強い。したがって、ロックギア第1腕14bは、固定ギア13に当接するまで、右下方向(時計回りの方向)へ回転し、固定ギア13に当接すると、右下方向への動きが制止される。このとき、ロックギア歯14dは、図5に示すように、左上方向を向くよう配置された固定ギア歯13dと噛み合った状態(ロック状態)になる。
【0049】
上述したように、図5のロック状態では、係合穴下部15kbがロックギアピン14pを左上方向(ロック解除方向)へ付勢する力は、バネ16がロックギア第1腕14bを右下方向(ロック方向)へ付勢する力よりも弱い。これは、係合穴下部15kbによりロックギアピン14pが受ける力の方向が、右上方向、つまり、ロックギア回転軸14aの回転中心とロックギアピン14pとを結ぶ直線上に近い範囲内にあるためである。そして、係合穴下部15kbによりロックギアピン14pが受ける力の方向が右上方向となる理由は、上述したレバー角度(図5の例では約110度)が140度よりも小さいためである。
【0050】
また、図5に示すロック状態では、係合穴下部15kbが、ロックギアピン14pに当接するので、レバー第1腕15bの右上方向への動きは制止される。このように、ロックギアピン14pと係合穴15k(詳しくは係合穴下部15kb)は、ロック状態において、レバープレート15の動きを制止するストッパとして機能する。
【0051】
図5の状態でストラップ17が略前方向(略W方向:図6のC方向)に引張られると、図6に示すように、レバー第2腕15cは、略W方向に引張られる。そのため、レバー第1腕15bは、左下方向(時計回りの方向:図6のD1方向)へ付勢され回転(自転)する。すると、係合穴15kが左下方向(D1方向)へ移動し、係合穴右辺15kcが、ロックギアピン14pに衝突する。こうして、図6に示すアームレスト2のロック解除の第1段階では、係合穴右辺15kcがロックギアピン14pに接触した状態となる。
【0052】
さらに、ストラップ17が略前方向(C方向)に引張られると、図7に示すように、レバー第2腕15cは、さらに、略W方向に引張られ、レバー第1腕15bは、さらに、左下方向(時計回りの方向:図7のD2方向)へ付勢され回転(自転)する。すると、係合穴15kは、さらに、左下方向(D2方向)へ移動し、係合穴右辺15kcが、ロックギアピン14pを摺動する。これにより、係合穴右辺15kcが、ロックギアピン14pを、左上方向(反時計回りの方向:図7のF2方向)へ移動させ、つまり、ロックギア第1腕14bを左上方向へ移動させ、ロックギア歯14dを固定ギア歯13dから離し、両者の噛み合わせを解除する。こうして、図7に示すアームレスト2のロック解除の第2段階では、係合穴右辺15kcがロックギアピン14pに接触した状態であり、ロックギア歯14dと固定ギア歯13dの噛み合わせが解除された直後の状態となる。
【0053】
さらに、ストラップ17が略前方向(C方向)に引張られると、図8に示すように、レバー第2腕15cは、さらに、略W方向に引張られ、レバー第1腕15bは、さらに、左下方向(時計回りの方向:図8のD方向)へ付勢され回転(自転)する。すると、係合穴15kは、さらに、左下方向(D方向)へ移動し、係合穴右辺15kcが、ロックギアピン14pを、さらに左上方向(反時計回りの方向:図8のF方向)へ移動させる。こうして、ロックギアピン14pは、係合穴上部15kaに到達し、係合穴上部15kaで動きを停止する。すなわち、ロックギアピン14pは、係合穴右辺15kcに接触しつつ係合穴上部15kaまでせり上がった後、係合穴上部15kaにより制止される。こうして、図8に示すように、ロックギア歯14dが固定ギア歯13dから完全に離れ、アームレスト2が完全にロック解除されたロック解除状態となる。
【0054】
上述したように、ロックギアピン14pと係合穴15k(詳しくは係合穴上部15ka)は、ロック解除状態において、レバープレート15の動きを制止するストッパとして機能する。着座者は、ロック解除状態において、アームレスト2を起立させることにより、アームレスト2を使用位置から収納位置へ回転させて移動することができ、また、使用位置において、アームレスト2の傾きを微調整することができる。
【0055】
以上説明したように、係合穴15kは、レバー第1腕15bの左下方向(D方向)への動きを、ロックギア第1腕14bの左上方向(F方向)への動きに変えるカムの働きをするカム穴である。そして、ロックギアピン14pと係合穴15kが、ロック解除状態及びロック状態において、レバープレート15の回転動作を制止するストッパとして機能するように構成したので、ストッパ専用部材をアームレスト機構部カバー10等に設けることが不要となり、コストを低減できる。
【0056】
なお、本実施形態においては、レバー第2腕15cとロックギア第2腕14cとの間に1つのバネ16を設け、バネ16により、レバー第2腕15cを図5のA方向に付勢し、ロックギア第2腕14cを図5のB方向に付勢している。しかし、バネ16とは別のバネを設け、このバネにより、ロックギア第2腕14cを図5のB方向に付勢するように構成することもできる。
【0057】
すなわち、ロックギア第2腕14cに取り付けられ、ロックギア第2腕14cをレバー第2腕15cに近づくよう付勢するとともに、レバー第2腕15cに取り付けられ、レバー第2腕15cをレバー第2腕15cに近づくよう付勢する弾性部材を、複数のバネを用いて構成することもできる。
【0058】
上述したように、図5のロック状態では、係合穴下部15kbがロックギアピン14pを左上方向(ロック解除する方向)へ付勢する力、つまり、バネ16がロックギアピン14pを左上方向(ロック解除する方向)へ付勢する力が、バネ16がロックギア第1腕14bを右下方向(ロックする方向)へ付勢する力よりも弱いことが必要である。本実施形態においては、同一のバネ16により、レバー第2腕15cを図5のA方向に付勢し、ロックギア第2腕14cを図5のB方向に付勢するので、ロックギアピン14pを左上方向(ロック解除する方向)へ付勢する力を、ロックギア第1腕14bを右下方向(ロックする方向)へ付勢する力よりも弱くすることが容易に実現できる。また、1つのバネ16により、レバー第2腕15cとロックギア第2腕14cを付勢できるので、バネ16の取り付けコストを低減することができる。
【0059】
また、本実施形態においては、バネ16の引張り力を用いて、レバー第2腕15cを図5のA方向に付勢し、ロックギア第2腕14cを図5のB方向に付勢しているが、バネの圧縮力を用いて、レバー第2腕15cとロックギア第2腕14cを付勢するように構成してもよい。また、バネ16の代わりにバネ以外の弾性部材(例えばゴム)を用いるように構成してもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、レバー第2腕15cにストラップ17を取り付け、ストラップ17が引張られると、ロック解除されるように構成したが、レバー第2腕15cに複数の塑性部材で構成されるリンク機構を取り付け、該リンク機構を着座者が操作することにより、ロック解除されるように構成することもできる。
【0061】
本実施形態によれば、少なくとも以下に示す効果を奏する。
(a)アームレストが、シートバックに対する位置が固定され固定ギア歯を有する固定ギアと、第1の腕と第2の腕を有し固定ギア歯と噛み合うロックギア歯を第1の腕に有するロックギアと、第3の腕と第4の腕を有し第3の腕が第1の腕に係合するレバープレートとを備え、第1の腕に突出部が設けられるとともに第3の腕に係合穴が設けられるか、又は、第3の腕に突出部が設けられるとともに第1の腕に係合穴が設けられ、第2の腕が第4の腕に近づくよう付勢されるとともに第4の腕が第2の腕に近づくよう付勢され、第4の腕が第2の腕から離れるように回転動作すると、第3の腕が第1の腕を、ロックギア歯が固定ギア歯から離れるロック解除状態となる方向に回転動作させ、第4の腕が第2の腕に近づくように回転動作すると、第3の腕が第1の腕を、ロックギア歯が固定ギア歯と噛み合うロック状態となる方向に回転動作させ、ロック解除状態及びロック状態において、突出部と係合穴が、レバープレートの回転動作を制止するストッパとして機能するように構成したので、ストッパ専用部材を不要としつつ、アームレストの使用位置においてアームレストをロックすることができる。
【0062】
(b)第1の腕に突出部が設けられるとともに第3の腕に係合穴が設けられ、ロック状態では、係合穴の下部が突出部に当接し、ロック解除状態では、係合穴の上部が突出部に当接するように構成したので、ストッパ専用部材をアームレスト機構部カバー等に設けることが不要となり、コストを低減できる。
【0063】
(c)さらに、第4の腕が第2の腕から離れるように回転動作すると、突出部が係合穴の下部から上部へ摺動することにより、ロックギア歯が固定ギア歯から離れ、第4の腕が第2の腕に近づくように回転動作すると、突出部が係合穴の上部から下部へ摺動することにより、ロックギア歯が固定ギア歯に近づくように構成したので、レバープレートの回転動作により、ロックギアをロック解除状態となる方向、又はロック状態となる方向に回転動作させることを実現できる。
【0064】
(d)第4の腕にその一端が取り付けられ、その他端がアームレストの外側に延在するストラップを備え、ストラップの前記他端が引かれると、第4の腕が第2の腕から離れるように回転動作して、ロックギア歯が固定ギア歯から離れ、ストラップの前記他端が緩められると、第4の腕が第2の腕に近づくように回転動作して、ロックギア歯が固定ギア歯と噛み合うように構成したので、着座者がアームレストを引くことにより、アームレストをロック解除することができる。
【0065】
(第2実施形態)
第1実施形態においては、ロックギア第1腕14bに突出部であるピン14pを設け、レバー第1腕15bにピン14pと係合する係合穴15kを設けるように構成したが、ロックギア第1腕14bに係合穴114kを設け、レバー第1腕15bに係合穴114kと係合する突出部であるピン115pを設けるように構成することもできる。このように構成した場合を、本発明の第2実施形態として、図9及び図10を用いて説明する。
【0066】
図9は、本発明の第2実施形態に係るアームレストのロック状態を説明する図である。図10は、本発明の第2実施形態に係るアームレストのロック解除状態を説明する図である。なお、第2実施形態が第1実施形態と異なるのは、ロックギア第1腕14bに係合穴114kを設け、レバー第1腕15bに係合穴114kと係合するピン115pを設けた点であり、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0067】
図9に示すように、レバー第1腕15bは、図9の紙面の表側から裏側に延びるレバーピン115pを有し、ロックギア第1腕14bは、レバーピン115pと係合する係合穴114kを有する。また、係合穴114kは、外側にやや膨らんだ形状の左辺114kdを有する。ロック状態では、左辺114kdは、略NNW方向であり、レバーピン115pが、係合穴114kの上部である係合穴上部114kaに位置する。
【0068】
図9のロック状態において、ストラップ17が前方向(図10のC方向)に引張られると、レバー第1腕15bが時計回り方向(図10のD方向)に回転する。これに伴い、レバーピン115pは、係合穴上部114kaから係合穴下部114kbへ向けて、係合穴114kの左辺114kdを摺動する。この摺動により、ロックギア第1腕14bが左上方向(反時計回り方向:図10のF方向)へ回転し、アームレスト2がロック解除される。こうして、ロック解除位置では、図10に示すように、レバーピン115pが、係合穴114kの下部である係合穴下部114kbに位置する。
【0069】
第2実施形態によれば、少なくとも以下に示す効果を奏する。
(e)第3の腕に突出部が設けられるとともに第1の腕に係合穴が設けられ、ロック状態では、係合穴の上部が突出部に当接し、ロック解除状態では、係合穴の下部が突出部に当接するように構成したので、ストッパ専用部材をアームレスト機構部カバー等に設けることが不要となり、コストを低減できる。
【0070】
(f)さらに、第4の腕が第2の腕から離れるように回転動作すると、突出部が係合穴の上部から下部へ摺動することにより、ロックギア歯が固定ギア歯から離れ、第4の腕が第2の腕に近づくように回転動作すると、突出部が係合穴の下部から上部へ摺動することにより、ロックギア歯が固定ギア歯に近づくように構成したので、レバープレートの回転動作により、ロックギアをロック解除状態となる方向、又はロック状態となる方向に回転動作させることを実現できる。
【0071】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
また、上記実施形態では、自動車に用いる自動車シートについて説明したが、本発明は、アームレストを有するものであれば自動車以外のシート(座席装置)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…シートバック、2…アームレスト、2a…アームレスト回転中心、3…シートクッション、4…フット、5…フットカバー、6…ライザーカバー、10…アームレスト機構部カバー、11…ベースフレーム、12…ホルダーブラケット、12a…ストラップ支持体、12b…ストラップ支持体、12c…ストラップ支持体、13…固定ギア、13a…固定ギア取付部、13b…固定ギア突出部、13d…固定ギア歯、14…ロックギア、14a…ロックギア回転軸、14b…ロックギア第1腕、14c…ロックギア第2腕、14d…ロックギア歯、14h…バネ取付穴、14p…ロックギアピン(突出部)、15…レバープレート、15a…レバープレート回転軸、15b…レバー第1腕、15c…レバー第2腕、15h…バネ取付穴、15k…係合穴、15ka…係合穴上部、15kb…係合穴下部、15kc…係合穴右辺、16…バネ(弾性部材)、17…ストラップ、17a…レバープレート接続部、17c…引張り部、17d…ストラップ取り付けネジ、18…蓋、21…雄シャフト、31…アームレストクッション、32…小物入れ、41…雌シャフト、42…スナップピン、43…シートバックフレームの一部、100…シート(座席装置)、114k…係合穴、114ka…係合穴上部、114kb…係合穴下部、114kc…係合穴左辺、115p…レバーピン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10