特許第6352802号(P6352802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352802
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】基板の抜去構造
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20180625BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   G06F1/16 312M
   H05K7/14 P
   H05K7/14 H
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-261564(P2014-261564)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-122311(P2016-122311A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
【審査官】 三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−188794(JP,A)
【文献】 実開平06−077291(JP,U)
【文献】 実開昭62−047192(JP,U)
【文献】 米国特許第05906497(US,A)
【文献】 特開2011−248560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16−1/18
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードエッジを有する基板を、接続しているコネクタから抜去する基板の抜去構造であって、
前記基板を筐体に固定するブラケットと、
前記ブラケットを前記筐体に固定する締結手段と、
前記締結手段によって前記ブラケットとともに前記筐体に固定される抑え部と、
前記抑え部と回転軸を共通にした略L字部品と、
を有し、
前記略L字部品は、前記抑え部によって回転させられ、その回転方向に作用する力によって前記ブラケットを押し上げることを特徴とする基板の抜去構造。
【請求項2】
前記抑え部は、前記締結手段の取り付け面とは略垂直方向に伸びた構造を有しており、前記回転軸を支点に上方向に回転すると前記略L字部品に突き当たる形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の基板の抜去構造。
【請求項3】
前記略L字部品は、前記抑え部が突き当たる部分と前記ブラケットを押し上げる部分とを有し、前記回転軸を軸として共通に回転することを特徴とする請求項1または2に記載の基板の抜去構造。
【請求項4】
前記略L字部品は、前記抑え部が突き当たる部分と前記ブラケットを押し上げる部分とを有し、前記略L字部品と前記抑え部が前記共通の回転軸で独立に回転することを特徴とする請求項1から3のうち1項に記載の基板の抜去構造。
【請求項5】
前記締結手段は、前記抑え部に取り付けられ脱落防止機構を有することを特徴とする請求項1から4のうち1項に記載の基板の抜去構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の抜去構造に関し、特に、PCI(Peripheral Component Interconnect)カードの抜去構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に実装されるPCIカードは、高密度に部品実装される場合が多くなっている。このPCIカードを交換する場合は、すでに実装されているPCIカードを抜いて必要なPCIカードを挿入する。この時、すでに実装されているPCIカードに部品が高密度に実装されていると、抜去時にPCIカードを摘むことが難しい。また無理に摘もうとして部品を破損する場合もある。
【0003】
図5は、関連するPCIカードの基板の抜去構造を示す図である。図5において、PCIカード103は、マザーボード104のコネクタ109に垂直に立てて接続されている。また、PCIカード103は、ブラケット105とネジ110で接続され、ブラケット105は、電子機器の筐体108にネジ106で固定されている。ブラケット105からは、電子機器のインタフェース用端子(図示せず)等が、電子機器の筐体108から外向きに設置されている。ここで、ブラケット105は、電子機器の筐体108にネジ106で隙間なく固定されていて、ネジ106を外しても、ブラケット105を摘むスペースがない。
【0004】
このような課題に対して、PCIカードを抜去する技術が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、テコの原理を用いて容易にかつ確実にPCIカードの搭載/抜去を行うために、支点の位置をPCIカードから離して、PCIカードを垂直に上下動可能にする機構の技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、PCIカード等の回路基板カードを、情報処理装置の前面あるいは背面からスムースに挿抜することが可能な回路基板実装構造の技術が開示されている。
すなわち、装置への回路基板の着脱方向とは異なる方向に回路基板のインタフェース部を装置のコネクタ部に挿抜可能な回路基板実装構造であって、操作者からの力を受けて回動する操作部と、操作部が回動する向きとは逆の向きに回動可能に回路基板に固定され、操作部が受けた力を着脱方向とは異なる方向への力に変換して回路基板をその方向に動かすプレート部と、操作部とプレート部とを連結し、操作部が受けた力をプレート部に伝えるリンク部と、回路基板が遊びを有した状態で、回路基板と操作部とを締め付ける締付具と、を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−100803号公報
【特許文献2】特開2011−248560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術では、テコの原理を用いてPCIカードの搭載/抜去を行うために、支点の位置をPCIカードから離して配置する機構である。そのため、抜去構造のサイズが基板の幅と同程度に大きくなるという課題があった。
【0009】
特許文献2に記載の技術では、PCIカード等の回路基板カードを、情報処理装置の前面あるいは背面からスムースに挿抜する構造のため、構造が複雑になるという課題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、簡単でコンパクトな構造で、基板の抜去作業を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、カードエッジを有する基板を、接続しているコネクタから抜去する基板の抜去構造であって、基板を筐体に固定するブラケットと、ブラケットを筐体に固定する締結手段と、締結手段によってブラケットとともに筐体に固定される抑え部と、抑え部と回転軸を共通にした略L字部品とを有し、略L字部品は、抑え部によって回転させられ、その回転方向に作用する力によってブラケットを押し上げることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な構造で、基板の抜去作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態における基板の抜去構造を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態における基板の抜去構造の詳細を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態における基板の抜去構造の詳細を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態における基板の抜去構造を示す図である。
図5】本発明の関連技術における基板の抜去構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における基板の抜去構造を示す図である。図1を用いて、本実施形態における基板の抜去構造について説明する。
【0016】
図1において、基板であるPCIカード3は、カードエッジ11を有しており、マザーボード4のコネクタ9に垂直に立てて接続されている。コネクタ9は、基板のエッジ端子を差し込む構造のコネクタである。
【0017】
PCIカード3は、ブラケット5と締結手段であるネジ10で接続され、ブラケット5は、電子機器の筐体8にネジ6で固定されている。ブラケット5からは、電子機器のインタフェース用端子(図示せず)等が、電子機器の筐体8から外向きに設置されている。ブラケット5と電子機器の筐体8は、抑え部としてストッパー2を上部に載せてネジ6で共に固定されている。また、ストッパー2は、回転軸7を共通の軸として、レバー1と接続されている。また、ネジの代わりにボルトとナットあるいは、プッシュリベットなどの締結手段を用いてもよい。
【0018】
図2および図3は、本発明の第1の実施形態における基板の抜去構造の詳細を示す図である。図2および図3を用いて、本実施形態における基板の抜去構造の詳細について説明する。図1と同じ部品は、同じ番号を付している。
【0019】
ストッパー2の端部は、回転軸7を中心に通す円筒形状に巻かれた箇所の回転部26を備えている。またストッパー2のブラケット5に接する面にはネジ6を通すための穴25を開けてある。
【0020】
レバー1は、略L字形状であり、L字の角の部分には回転軸7を中心に通す円筒形状の部分の回転部15を備えている。円筒形状の回転部15は軸方向に2分割されており、そこにストッパー2の円筒形状に巻かれた箇所のストッパー回転部26が嵌る。レバー1とストッパー2は回転軸7を共通の軸として独立に回転可能となっている。また回転軸7の両端部は曲がっていて筐体8に接続されている。
【0021】
ストッパー2は、ブラケット5を上から押さえていて、ネジ6を外すと、ストッパー2は、回転軸7を支点にレバー1とは独立に上方向に回転することができる。ストッパー2は、ネジ6を取り付ける面とは略垂直方向に曲げられた面である突き当て面27を有しており、回転軸7を支点に上方向に回転するとレバー1に突き当たる形状を有している。
【0022】
図3を用いて、本実施形態における基板の抜去構造の動作について説明する。
【0023】
ネジ6を外し、ストッパー2を持ち上げると、ストッパー2は、回転軸7を支点にレバー1の方向に回転する。そして、ストッパー2の突き当て面27の角が、レバー1に突き当たるとレバー1が回転軸7を軸として回転し、L字形状のレバー1の片側の押し上げ部16が、ブラケット5のレバー受け部51を下から押し上げる。
【0024】
レバー1により、ブラケット5は、電子機器の筐体8を離れて持ち上げられ、隙間ができる。これによりブラケット5を摘むことができるので、PCIカード3を容易に引き上げることが可能となる。
【0025】
以上により、簡単でコンパクトな構造で、ブラケット押さえの解除に連動して、PCIカード3の基板の抜去作業を容易に行うことができる。特許文献1、2の抜去構造が基板の幅と同程度の長さであるのに対して、本実施形態の抜去構造はブラケット5のレバー受け部51の周囲だけで収まり、非常にコンパクトである。
【0026】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態における基板の抜去構造の詳細を示す図である。図4を用いて、本実施形態における基板の抜去構造の詳細について説明する。図1と同じ部品は、同じ番号を付して説明を省略する。図4において、図1のネジ6の代わりに抜け止めネジ20を用い、ストッパー2の代わりにストッパー22を用いている。
【0027】
抜け止めネジ20は、外側の筒部がストッパー22に固着されていて、筒部の中のネジ部21は、ブラケット5から外れても筒部からは外れない構造になっている。
【0028】
したがって、抜け止めネジ20のネジ部21を外し、ストッパー22を持ち上げると、ストッパー22は、回転軸7を支点にレバー1の方向に回転する。そして、ストッパー22が、レバー1に突き当たるとレバー1が回転軸7を軸として回転し、レバー1の片側がブラケット5を下から押し上げる。
【0029】
レバー1により、ブラケット5は、電子機器の筐体8を離れて持ち上げられ、隙間ができる。これによりブラケット5をつまむことができるので、PCIカード3を引き上げることが可能となる。
【0030】
以上により、簡単な構造で、ブラケット押さえの解除に連動して、PCIカード3の基板の抜去作業を容易に行うことができ、運用中にPCIカード3の基板の抜去作業を行う場合であっても、通電部にネジを落とす可能性をなくすことができる。
【0031】
以上、述べてきたように、本実施形態によれば、簡単な構造で、ブラケット押さえの解除に連動して、PCIカードの基板の抜去作業を容易に行うことが可能である。
【0032】
尚、本願発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更、変形して実施することが出来る。例えば、本発明はPCIカードに限らず、他の種類の基板に対しても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、カードエッジ用のコネクタに接続された基板の抜去構造に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 レバー
2 ストッパー
3 PCIカード
4 マザーボード
5 ブラケット
6 ネジ
7 回転軸
8 電子機器の筐体
9 コネクタ
10 ネジ
11 カードエッジ
15 回転部
16 押し上げ部
20 抜け止めネジ
21 ネジ部
22 ストッパー
25 穴
26 ストッパー回転部
27 突き当て面
103 PCIカード
104 マザーボード
105 ブラケット
106 ネジ
108 電子機器の筐体
109 コネクタ
110 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5