特許第6352805号(P6352805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バックマン・ラボラトリーズ・インターナショナル・インコーポレーテッドの特許一覧

特許6352805タグ付きポリマー、水処理組成物、及び水系システムにおけるそれらの使用方法
<>
  • 特許6352805-タグ付きポリマー、水処理組成物、及び水系システムにおけるそれらの使用方法 図000002
  • 特許6352805-タグ付きポリマー、水処理組成物、及び水系システムにおけるそれらの使用方法 図000003
  • 特許6352805-タグ付きポリマー、水処理組成物、及び水系システムにおけるそれらの使用方法 図000004
  • 特許6352805-タグ付きポリマー、水処理組成物、及び水系システムにおけるそれらの使用方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352805
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】タグ付きポリマー、水処理組成物、及び水系システムにおけるそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20060101AFI20180625BHJP
   C02F 5/00 20060101ALI20180625BHJP
   C02F 5/10 20060101ALI20180625BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C02F1/00 D
   C02F5/00 620B
   C02F5/00 620C
   C02F5/00 620D
   C02F5/00 620Z
   C02F5/10 620A
   C02F5/10 620B
   C02F5/10 620C
   C02F5/10 620D
   C02F5/10 620E
   C02F5/10 620F
   C02F5/10 620G
   G01N21/64 Z
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-526044(P2014-526044)
(86)(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公表番号】特表2015-507519(P2015-507519A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(86)【国際出願番号】US2012048803
(87)【国際公開番号】WO2013025332
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年6月18日
【審判番号】不服2016-4512(P2016-4512/J1)
【審判請求日】2016年3月25日
(31)【優先権主張番号】61/524,594
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590003238
【氏名又は名称】バックマン・ラボラトリーズ・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】BUCKMAN LABORATORIES INTERNATIONAL INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(72)【発明者】
【氏名】マクニール,トーマス,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテモア,マリリン,エス.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,リチャード,エー.
(72)【発明者】
【氏名】グラボヴィッツ,ヤドヴィガ,ジェイ.
【合議体】
【審判長】 大橋 賢一
【審判官】 中澤 登
【審判官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−529553(JP,A)
【文献】 特開2009−240902(JP,A)
【文献】 特開2005−127966(JP,A)
【文献】 特表2003−523821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
C02F 5/00- 5/14
G01N21/62-21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系システムにおいて水処理組成物の濃度を制御する方法であって、
(a)前記水系システムに、水処理化学物質として少なくとも1つのpH感受性であるタグ付きポリマーを含む水処理組成物を導入し、処理済み水を得ることであって、該pH感受性であるタグ付きポリマーが、オレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアに由来する少なくとも1つの蛍光モノマー単位を含み、該フルオロフォアが、キニーネ、キニジン又はそれらの異性体を含むことと、
(b)前記処理済み水のサンプルを抽出することと、
(c)抽出した水のバックグラウンド蛍光シグナルを測定することと、
(d)抽出したサンプルのpHを調整し、蛍光シグナルが増進したpH調整サンプルを得ることと、
(e)増進した蛍光シグナルを測定することと、
(f)前記の(c)で測定した蛍光シグナルと(e)で測定した蛍光シグナルとの差を用いて、前記サンプルにおける前記タグ付きポリマーの濃度を決定することと、
(g)(f)で決定した前記タグ付きポリマーの濃度が選択された設定点未満である場合、新たな量の前記水処理組成物を前記水系システムに導入することと、
を含み、
前記水処理組成物が前記水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御する、方法。
【請求項2】
前記水処理組成物が少なくとも1つの異なる水処理化学物質を更に含み、該水処理化学物質が、該タグ付きポリマーではなく、該水処理化学物質の濃度の低減が、該タグ付きポリマーと同じか若しくは非常に類似するように、該タグ付きポリマーと類似の化学的性質を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フルオロフォアがキニーネを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タグ付きポリマーが(a)キニーネ又はその異性体と、(b)アクリル酸若しくはその塩、メタクリル酸若しくはその塩、マレイン酸若しくはその塩、無水マレイン酸、クロトン酸若しくはその塩、イタコン酸若しくはその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)若しくはその塩、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビニルホスホン酸若しくはその塩、スチレンスルホン酸若しくはその塩、ビニルスルホン酸若しくはその塩、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸若しくはその塩、N−アルキル−(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリレート、N−アルカノール−N−アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、酢酸ビニル、2−ヒドロキシN−アルキル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、アルコキシエチルアクリレート、N−アルカノール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニル−2−ピロリジノン、又はそれらの任意の組合せである少なくとも1つのモノマーとのコポリマー又はターポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記タグ付きポリマーが、該タグ付きポリマーの総重量部ベースで0.5重量部〜10重量部のキニーネ又はその異性体と、80重量部〜99重量部の不飽和カルボン酸モノマーと、1重量部〜10重量部のアクリルアミドとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記水処理組成物が、0.1wt%〜100wt%の前記タグ付きポリマーと、0wt%〜99.9wt%の少なくとも1つの異なる水処理化学物質とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タグ付きポリマーが前記水系システムにおいて1ppm〜200ppmの濃度範囲内に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの異なる水処理化学物質が前記水系システムにおいて5ppm〜100ppmの濃度範囲内に維持される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)〜工程(g)を少なくとも1回繰り返す工程(h)を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光シグナルの測定が、前記pH調整サンプルを励起波長の光で励起させることと、該pH調整サンプルから放射される光の発光波長での放射光強度を検出することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記pH調整サンプルの測定された放射光強度を、pH調整をしていない前記処理済み水の抽出サンプルの別々に測定された放射光強度を差し引くことによって補正することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記励起波長が345nmであり、前記発光強度波長が450nmである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの異なる水処理化学物質が前記水系システムにおいてスケールを含む汚れ物質を制御する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの異なる水処理化学物質が前記水系システムにおいてスケールを制御する、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記水系システムから抽出された流体を、蛍光光度計を用いて分光蛍光分析にかけ、前記蛍光シグナルを測定する少なくとも1箇所のサンプリング場所を準備することと、
(ii)抽出サンプルの蛍光シグナルの測定値に基づき、追加の水処理組成物の物質供給装置から前記水系システムへの導入を自動制御する働きがある制御装置を準備することと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御する方法であって、
(a)前記水系システムに、少なくとも1つのpH感受性であるタグ付きポリマーを含む水処理組成物を導入し、処理済み水を得ることであって、該pH感受性であるタグ付きポリマーがオレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアに由来する少なくとも1つの蛍光モノマー単位を含む水処理化学物質であって、該フルオロフォアがキニーネ、キニジン又はそれらの異性体を含むことと、
(b)前記処理済み水のサンプルを抽出することと、
(c)抽出した水のバックグラウンド蛍光シグナルを測定することと、
(d)抽出したサンプルのpHを調整し、蛍光シグナルが増進したpH調整サンプルを得ることと、
(e)増進した蛍光シグナルを測定することと、
(f)前記の(c)で測定した蛍光シグナルと(e)で測定した蛍光シグナルとの差を用いて、前記サンプルにおける前記タグ付きポリマーの濃度を決定することと、
(g)追加の水処理組成物を該水系システムに導入し、前記の(f)で決定したタグ付きポリマーの濃度を1ppm〜200ppmの濃度範囲に維持することと
含み、
前記のタグ付きポリマーを含む水処理組成物が前記水系システムと相互作用し、該水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系システム又は他の用途における汚れ物質(fouling materials)を制御するのに使用することができる、タグ付きポリマー及びそれを含む組成物に関する。本発明は、タグ付きポリマーを使用して産業用水システム又は他の水系システムにおける汚れを制御する方法、及びシステムにおけるポリマーの濃度をモニタリングする方法にも関する。
【0002】
本願は、2011年8月17日に出願された先行する米国仮特許出願第61/524,594号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、この出願の全体は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
産業用冷却水システム等の多くの従来の水系システムでは、スケール形成(scaling:スケーリング)、腐食及び微生物成長等の望ましくない汚れを制御するのに処理製品が使用されている。例えば、汚れ制御物質がシステムにおいて水と接触する基板表面上でのスケール又は他の汚れ物質の形成を制御するのに使用されている。例えば、汚れ制御物質は水中に浮遊する汚れ物質の存在を制御するのにも使用されている。汚れ制御物質には無機物質と有機物質とが含まれる。例えば、ポリマーは水系システムにおけるスケール及び他の汚れ物質を制御するのに使用されている。水系システムの水に添加される処理ポリマーは、1つ又は複数の様々な理由から消費され得る。例えば該処理ポリマーが汚れ物質を制御するという所望の機能を果たす若しくは冷却システムのブローダウン時に失われること又は他の理由から消費され得る。汚れ制御を維持するために、水システムの水での処理ポリマーの濃度のモニタリングと失われた量の処理ポリマーの補充とが行われる。
【0004】
産業用水システムにおいて水に添加される処理ポリマーの量を測定するのに、様々な分析法が使用されている。不活性(Inert)(すなわち非処理)蛍光トレーサー化合物及びそれを使用する方法が例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に示されている。産業用水システムに使用されている他の汚れ制御剤は、蛍光反復単位又はモノマーでタグ付けされたポリマーである。例えば特許文献4に示されるように、処理ポリマーの濃度は、蛍光反復単位又はそのモノマーの蛍光シグナルを測定する蛍光光度計を用いて決定されている。化学合成した蛍光モノマーの4級塩が組み込まれているタグ付きポリマーが例えば特許文献5及び特許文献6に示される。一部の従来技術のタグ付きポリマーでは、蛍光モノマーとこれらの構成要素が組み込まれているポリマーとの両方の化学合成が必要とされてきた。合成モノマーをタグ付きポリマーに組み込む前に製造しなければならない場合、追加のコスト及び生産の煩雑が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,783,314号
【特許文献2】米国特許第4,992,380号
【特許文献3】米国特許第5,171,450号
【特許文献4】米国特許第5,986,030号
【特許文献5】米国特許第7,179,384号
【特許文献6】米国特許第7,875,720号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本研究者らは、膨大な化学合成を必要とすることなくより容易に得ることができ、及び/又は比較的低い濃度で水系システムにおいて正確に検出及びモニタリングすることができ、他の水処理剤と相溶性があり、かつ環境に優しいタグ付きポリマーを使用することができる、水系システムにおけるスケール又は他の汚れ物質の成長を制御する方法を有することが望ましいことを認識している。さらに本研究者らは、処理下での水系システムへの水処理物質の分光光度的又は分光蛍光的なモニタリング及び投入の正確性及び一貫性に影響を及ぼし得るバックグラウンドノイズ及びバックグラウンド干渉に対処する必要があることを認識している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、改良されたタグ付きポリマーを使用して水系システムにおける水処理ポリマーの濃度を制御する方法を提供することである。
【0008】
本発明の更なる特徴は、膨大な又は複雑な化学合成を必要とすることなくより容易に得ることができる改良されたタグ付きポリマー及びその指示構成要素を使用することができる、水系システムにおけるスケール又は他の汚れ物質の成長を制御する方法を提供することである。
【0009】
本発明の更なる特徴は、システムにおいて比較的低い濃度で正確にモニタリングすることができ、同じシステムに使用される他の水処理剤と相溶性であり、及び/又はより環境に優しい(「地球に優しい(green)」)可能性がある、水処理方法及び水処理システムに有用な新規の蛍光ポリマーを提供することである。
【0010】
本発明の別の特徴は、改良されたタグ付きポリマーを、任意で1つ又は複数の他の水処理化学物質又は添加剤とともに含む水処理組成物を提供することである。
【0011】
本発明の更なる特徴及び利点は、下記の明細書に一部記載されており、一部本明細書から明らかとなるか、又は本発明の実施によって認識することができる。本発明の目的及び他の利点は、本明細書及び添付の特許請求の範囲に具体的に指摘された要素及び組合せを用いて実現されるとともに得られる。
【0012】
これらの利点及び他の利点を達成するために、本発明の目的に従って、本明細書に包含され、広く記載されているように、本発明は1つには、水系システムにおける水処理ポリマーの濃度を制御する方法であって、水系システムに、タグ付きポリマーと、任意に少なくとも1つの異なる水処理化学物質とを含む水処理組成物を導入し、処理済み水を得ることを含む、方法に関する。タグ付きポリマーは、オレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアに由来する少なくとも1つの蛍光モノマー単位を含む。タグ付きポリマーはpH感受性である。処理済み水のサンプルを抽出することができ、抽出したサンプルのpHを調整し、増進した蛍光シグナルを得ることができる。増進した蛍光シグナルを測定し、測定される増進した蛍光シグナルを用いて、サンプルにおけるタグ付きポリマーの濃度を決定することができる。少なくとも1つの異なる水処理化学物質又は添加剤を使用する場合、導入されるタグ付きポリマーと少なくとも1つの異なる水処理化学物質との割合を知ることで、例えば決定されたタグ付きポリマーの濃度から、異なる水処理化学物質の濃度を決定することができる。決定されたタグ付きポリマーの濃度を選択された下限の設定点と比較することができ、決定された濃度が選択された下限の設定点未満である場合、水系システムにおけるタグ付きポリマーの濃度及び任意で少なくとも1つの異なる水処理化学物質の濃度を、新たな量の水処理組成物を水系システムに添加することによって調整することができる。水処理組成物の新たに添加される量は、処理対象のシステムにおける処理組成物の濃度の検出不備を少なくとも一部補う量とすることができる。この連続工程をモニタリング期間に亘って任意回数繰り返すことができる。異なる水処理化学物質(複数の場合もある)は重合処理化学物質であるか、非重合処理化学物質であるか、又は両タイプの処理化学物質の組合せ若しくは混合物を含んでいてもよい。本方法は、水系システムにおける水処理組成物の量を、水処理組成物が水系システムと十分に相互作用して、水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の集積を制御することができる量に維持することができる。
【0013】
本発明はさらに、オレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアに由来する少なくとも1つの蛍光モノマー単位と、少なくとも1つの異なるモノマー単位とを含む、指定の水処理方法又は他の方法に使用することができる1つ又は複数のタグ付きポリマーに関する。タグ付きポリマーはpH感受性であり、これによりpHを調整することでタグ付きポリマーの蛍光を増進させる(例えば増大させる)ことができる。フルオロフォアは例えばキニーネ又はキニジン等のその異性体を含むことができる。タグ付きポリマーは、例えばキニーネ又はその異性体と、少なくとも1つの異なるモノマーとのターポリマー又はコポリマーとすることができる。異なるモノマーは、例えばアクリルアミド、アクリル酸若しくはその塩、メタクリル酸若しくはその塩、マレイン酸若しくはその塩、無水マレイン酸、クロトン酸若しくはその塩、イタコン酸若しくはその塩、メタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)若しくはその塩、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビニルホスホン酸若しくはその塩、スチレンスルホン酸若しくはその塩、ビニルスルホン酸若しくはその塩、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸若しくはその塩、N−アルキル−(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリレート、N−アルカノール−N−アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC又はDADMAC)、酢酸ビニル、2−ヒドロキシN−アルキル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、アルコキシエチルアクリレート、N−アルカノール(メタ)アクリルアミド( (meth)acrylamide)、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニル−2−ピロリジノン、若しくは二重結合官能基を有する任意のモノマー(複数の場合もある)、又はそれらの任意の組合せとすることができる。
【0014】
本発明はさらに、指定の水処理方法又は他の方法に使用することができるタグ付きポリマーに関する。これらのポリマーでは、ヒドロキシル官能基を保持することにより、pH感受性が保たれ、このことからタグ付きポリマーはpH感受性であるとみなされる。この特徴はこの業界で用いられてきたこれまでの物質とは異なるものである。pHの調整によってバックグラウンド干渉の低減又は排除が可能となり、このようにしてポリマーの投入をモニタリングする正確度及び精度が改善される。これに関連して使用することができるフルオロフォアには、例えばキニーネ及びキニジンが含まれる。キニーネ及びキニジンは、一部食事及び薬への使用が認められている「グリーン」ケミストリーの天然物(natural products, "green" chemistry)である。キニーネは、例えば抗マラリア剤として医学的に、更には飲食業界において用いられており、キニジンは、例えば解熱剤及び心臓細動抑制剤として用いられており、それらの異なる薬理作用はそれらの構造(geometries)が異なることによるものである。
【0015】
ポリマーは蛍光モノマーの他に1つ、2つ又は3つのモノマーを有していてもよい。重合プロセスのフリーラジカル開始又はレドックス開始によって、キニーネ(キニジン)がポリマー骨格に組み込まれる。
【0016】
キニーネ又はその異性体は、例えばポリマーの微量成分として使用することができ、水系システムにおける水処理ポリマーのモニタリング及び汚れ物質の制御に適した蛍光性能をもたらす。1つの選択肢として、タグ付きポリマーにおける他のモノマー単位(複数の場合もある)が、処理対象の水系システムにおける汚れ制御特性又は汚れ制御効果を有していてもよい。タグ付きポリマーは、例えばモニタリングポリマー、水処理ポリマー又はその両方とすることができる。
【0017】
本発明はさらに、指定のタグ付きポリマーと、任意で少なくとも1つの異なる水処理化学物質とを含む水処理組成物に関する。
【0018】
本発明は、冷却水システム(例えば冷却塔システム)、開閉式再循環水システム、消火水(fire water)システム、人工噴水、空気清浄器、滅菌装置、レトルトシステム、熱交換器、ボイラー、温水器、スイミングプール、飲料水システム、温水浴槽、流入水システム、流出水システム、及び他の産業用、レクリエーション用又は住宅用の水システムを含むが、これらに限定されない多様な水系システム及び水系プロセスに適用することができる。
【0019】
本明細書の目的に関して、「汚れ」は水系システムの水に接触する固形表面上の望ましくない物質若しくは水系システムの水中に浮遊する物質、又はその両方の集積であり得るか又はそれを含み得る。「汚れ物質」は、例えば非生物物質(無機又は有機)若しくは生物、又はその両方とすることができる。汚れ物質は、例えばスケール、腐食、オイル、グリース及び/又はプロセスリークによる有機汚染物質、微生物有機体、藻、浮遊固体、又はそれらの任意の組合せとすることができる。制御される汚れ物質はスケール単独とすることができる。汚れの制御を用いて、水系システムにおけるスケール等の少なくとも1つの汚れ物質の量を抑える又はその濃度を低減することができる。
【0020】
少なくとも1つの汚れ物質の成長に関連する「制御」という用語は、例えば処理下での水系システムにおける新たな成長の低減若しくは抑制、又は現在の成長の低減若しくは完全な排除であり得る。
【0021】
「タグ付きポリマー」という用語は蛍光光度法によって検出し、サンプルを含有する組成物又はシステムから抽出されたサンプルにおいて定量化することができる蛍光ポリマーを指し得る。
【0022】
本発明の更なる特徴及び利点は、下記の明細書に一部記載されているか、一部本明細書から明らかとなるか、又は本発明の実施によって認識することができる。本発明の目的及び他の利点は、本明細書及び添付の特許請求の範囲に具体的に指摘された要素及び組合せを用いて実現されるとともに達成される。
【0023】
上記の概要及び下記の詳細な説明はどちらも例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでないことを理解されたい。上述され、本願の至る所に記載のある特許、特許出願及び特許公報は全て、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0024】
添付の図面は引用することにより本願の一部をなすものとし、本発明の幾つかの特徴を示し、本明細書とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例による水系システムにおいてタグ付きポリマーと、任意で少なくとも1つの異なる水処理化学物質とを含有する水処理組成物の濃度を制御する方法のプロセスフローチャート図である。
図2図1の方法を実施するシステムの概略図である。
図3】キニーネ及びキニジンの化学構造を示す図である。
図4】本明細書の実施例に記載される実験の結果を含む表1を示す図である。ここでは様々な水系システムにおいて異なる濃度(ppm)で使用された蛍光(タグ付き)ポリマーで処理したサンプルの発光強度を、幾つかの異なる時点で蛍光光度法(蛍光分光法)を用いて測定した。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、改良されたタグ付きポリマーの使用によって水系システム又は他の用途における汚れ物質の成長を制御する方法及び組成物を提供する。より詳細には、タグ付きポリマーは、オレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアに由来する少なくとも1つの蛍光モノマー単位を有する蛍光ポリマーであり得るか又はそれを含み得る。タグ付きポリマーは、フルオロフォア上に少なくとも1つのヒドロキシル官能基を有するとともに保持しており、それによりpH感受性が保たれる。このことから本発明のタグ付きポリマーはpH感受性であるとみなすことができる。pH感受性であり、蛍光成分を含むタグ付きポリマーは、タグ付きポリマー又はタグ付きポリマーを含有する溶液若しくはシステムのpHを調整することにより増進される蛍光シグナル又は蛍光を有し得る。タグ付きポリマーは、例えば水処理組成物において使用することができる。1つの選択肢として、タグ付きポリマー又はタグ付きポリマーの少なくとも1つの異なるモノマー単位は、処理対象の水系システムにおいてスケール制御等の汚れ制御特性又は汚れ制御効果を有し得る。少なくとも1回の蛍光光度測定の前後でのタグ付きポリマーを含有する溶液又はタグ付きポリマーを含有する組成物のpHの変化は、バックグラウンドノイズ若しくはバックグラウンド干渉をマスキングすることができるか、又は別の形でサンプルにおけるタグ付きポリマーの量と相関するより正確でかつ高精度のシグナルをもたらすことができる。このようにして、産業用水システム等の水系システムにおける処理化合物レベルをモニタリングするより一貫性があり、正確な方法及びシステムを提供することができる。示されるpHの変化に関して、本発明のタグ付きポリマーはpH感受性である。タグ付きポリマーに存在するフルオロフォア官能基(又は蛍光成分)の化学的性質に応じて、タグ付きポリマーに存在するフルオロフォア官能基(又は蛍光成分)のpHを調整することにより、蛍光又は蛍光シグナルを増進する(例えば増大する)ことができる。典型的にpHの調整は、タグ付きポリマーを含有する水溶液全体のpHを調整することにより行うことができる。タグ付きポリマーに存在するフルオロフォア官能基(又は蛍光成分)に応じて、pHを上げる又はpHを下げることにより蛍光又は蛍光シグナルの増進を達成することができる。例えば、フルオロフォアがキニーネ又はその異性体に由来する場合、蛍光シグナルの増進は例えば酸を用いてpHを下げることにより達成される。当業者であれば、フルオロフォアがpH感受性である限りにおいて、タグ付きポリマーに存在する特定のフルオロフォアの化学的性質に基づきpHを上げるか又はpHを下げるかのいずれによって、蛍光シグナルを増進させることができるかを認識する。本発明の目的上、本発明の水処理組成物をpH感受性とみなすことができ、及び/又はタグ付きポリマーをpH感受性とみなすことができ、及び/又はタグ付きポリマーの一部として存在するフルオロフォア成分をpH感受性とみなすことができ、及び/又はタグ付きポリマーを含有するサンプル若しくは溶液をpH感受性とみなすことができる。これらの場合ではそれぞれ、pH感受性は、タグ付きポリマーに存在するpH感受性であるフルオロフォア成分によって完全ではないにしても少なくとも部分的に与えられる。pHの調整は任意量で行うことができる。例えば、pHの調整はpHの変化に関する(タグ付きポリマーを含有する溶液の非調整pH値に対する)0.1以上、例えば0.2、0.5、0.7、1、1.2、1.5、1.7、2、2.2、2.5、2.7若しくは3又はそれ以上のpHの変化とすることができる。更なる例として、本発明のタグ付きポリマーは、pH感受性である少なくとも1つのフルオロフォア(すなわちフルオロフォア成分又はフルオロフォア官能基)と、スケール制御特性及び/又は防汚特性をもたらす能力等の少なくとも1つの水処理特性を有する少なくとも1つのモノマー単位(フルオロフォアとは異なる)とを含むことができる。
【0027】
タグ付きポリマーは産業用水システム又は他の水系システムにおけるスケール抑制剤又は他の汚れ物質抑制剤として使用することができる。用いられるタグ付きポリマー(複数の場合もある)は水処理化学物質としての活性がある構成成分とみなすことができ、それ自体がスケール形成等の汚れを制御する能力を有する。これらのタグ付きポリマーがこの汚れ制御機能を果たすことで又は他の理由から消費され得ることから、水系システムにおけるタグ付きポリマーの蛍光シグナルは使用時間とともに低減し、このような検出される蛍光シグナルの低減を用いて、望ましくないスケール形成又は他の汚れがシステムにおいて生じ得ること及び/又はそうでなくともタグ付きポリマーの濃度がシステム内において低下していることを示唆することができる。水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御する方法は、タグ付きポリマーを処理対象の水系システムに添加する工程と、タグ付きポリマーの濃度を蛍光光度的にモニタリングする工程と、タグ付きポリマー及び任意で水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御するのに効果的な(存在し得る)任意の他の水処理化学物質(複数の場合もある)の濃度を必要に応じて調整する工程とを含むことができる。これらの調整はリアルタイムでの又は実質的にリアルタイムでの水系システムの処理によって為され得る。水処理組成物(複数の場合もある)の有効濃度又は有効濃度範囲は、特定の処理物質(複数の場合もある)及び処理対象の水系システムの特殊性に応じて変動し、本明細書に与えられる開示を鑑みて当業者によって決定され得る。
【0028】
本発明の方法は、汚れ物質による攻撃を受けやすい様々なタイプの水系システムにおける汚れ物質の成長を抑える(preserving)又は制御するのに有用である。本発明の水処理組成物で処理することができる水系システムは例えば、冷却水システム、熱交換器、ボイラー、温水器、再循環水システム、飲料水システム、レクリエーション用水システム、流入工業用水システム、流出水システム、及び他の水系システムとすることができる。冷却水システムは、例えば冷却塔、熱交換器、システムの至る所に水を送るのに必要なポンプ及びパイプを含むことができる。これらの場所の1つ又は複数では、システムの水中に分散された水処理活性剤によって、好適であるが、好ましくは過剰ではない(よりコストの掛からない)レベルで継続的に適切な処理を行わなければ、スケール若しくは他の汚れ物質が形成されやすいか又は他の問題が生じやすい。
【0029】
蛍光モノマーは集中的な化学合成を必要とせず、この蛍光モノマーによって作製されるポリマーは比較的低い濃度で(例えば約20ppm未満又は本明細書に記載されるような他の濃度のタグ付きポリマーで)効果的にモニタリングすることができる。本発明のタグ付きポリマーの別の利点は、その蛍光モノマー構成要素が比較的安定であり、ポリマーにおける他の構造又はシステム内の他の構成成分による影響をほとんど受けないことである。タグ付きポリマーはそれ自体が、水系システムにおいて防汚物質として機能する可能性がある。1つの選択肢として、タグ付きポリマーは、処理対象の水系システムに導入される他の水処理剤、水処理化学物質又は水処理物質とともに微量成分として(例えばトレーサーとして)使用することができ、少なくとも本明細書に記載されるようなモニタリング目的に十分な量のタグ付きポリマーが維持される。1つの選択肢として、処理組成物は、タグ付きポリマーと本質的に同じであり得るが、蛍光モノマーを有しない、又は別の形でタグ付きポリマーとは異なり得る、少なくとも1つの水処理化学物質又は添加剤を含むことができる。少なくとも1つの水処理化学物質又は添加剤がタグ付きポリマー(複数の場合もある)とともに存在する場合、タグ付きポリマーではない水処理化学物質又は添加剤がタグ付きポリマーと類似の化学的性質を有することが有益であり、これはタグ付きポリマーがタグ付きポリマーの一部、また更には蛍光モノマーと同じ活性成分を有することから、類似の化学的性質を有する水処理化学物質又は添加剤の濃度の低減がタグ付きポリマーと同じか若しくは非常に類似するように、類似の化学的性質を有する水処理化学物質又は添加剤が処理対象のシステムと反応する及び/又はそうでなくとも影響するためである。しかしながら本発明の目的上、1つ又は複数の水処理化学物質又は添加剤が存在する(arepresent)場合、水処理化学物質又は添加剤(例えばタグ付けされていないポリマー)の化学的性質は、システムにおける汚れを制御することが可能な活性の化学的性質又は存在する活性ポリマー単位に関して、タグ付きポリマーと同じであっても又は異なっていてもよい。
【0030】
本発明の方法は、汚れ(foulants)に関連した様々な酸化条件を制限することにより有機スケール堆積物及び/又は無機スケール堆積物の形成を制御し、及び/又は腐食を抑制し、及び/又は微生物増殖及び/又はその結果(生物汚れ(biofouling)及び微生物腐食(MIC:Microbiologically-Induced Corrosion)、又はそれらの任意の組合せ)を低減することができる。示されるように、本発明の方法では、本発明の化合物及び組成物を使用して、水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御することができる。例えば、少なくとも1つの汚れ物質の成長の「制御」は汚れ物質の成長を抑え、汚れ物質の成長がないか、又は本質的に成長がないことを意味し得る。少なくとも1つの汚れ物質の成長の「制御」は代替的に、スケール付着(scale-build-up)を完全に(更には検出不能限界、例えばゼロ付着まで)又は少なくとも処理せずにシステムに生じ得るレベルより小さいレベルまで低減する水処理剤の作用を意味し得る。汚れ物質が形成されやすい水系システムの本発明の化合物及び組成物による処理が、例えばこの付着、及び結果として汚れ物質により引き起こされる有害作用を回避するか又は少なくともその速度を低減することができる。
【0031】
図1を参照すると、水系システムにおける水処理組成物の濃度を制御する方法100が工程101、工程102、工程103、工程104A、工程104B、工程105、工程106、工程107及び工程108を含めて示される。工程101では、タグ付きポリマー(例えば蛍光ポリマー)を含む水処理組成物を、少なくとも1つの異なる水処理化学物質に対する選択された又は既知の比「x」又は割合で水系システムに導入して、処理済み水を準備することができる。タグ付きポリマーは、オレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアに由来する少なくとも1つの蛍光モノマー単位を含む。タグ付きポリマーは本明細書の他のセクションで更に詳細に説明されている。工程102では、処理済み水のサンプルを抽出する。工程103において抽出サンプルのアリコートをpHに関して調整し(例えば酸性化し)、その後工程104Bで蛍光光度分析を行い、工程104Aにおいて別のアリコートを、pHを調整することなく直接蛍光光度分析にかける。工程104Aでは、抽出サンプルの蛍光シグナル(例えば相対発光強度)を、所定の適切な励起波長(例えばピーク又は最大吸収波長)を用いて、使用されるタグ付きポリマーに対する所定の適切な発光波長(例えばピーク又は最大発光波長)で測定される相対発光強度とともに測定することができる(「シグナル番号1」)。工程104Bでは、pH調整サンプルの蛍光シグナル(例えば相対発光強度)を、工程104Aで得られた測定値と同じ励起波長を用いて、同じ波長で測定される発光強度とともに測定する(「シグナル番号2」)。図1に示されるオプション1では、抽出サンプルのアリコートにおいて蛍光光度分析を並行して実施する。図2に示される別のオプション(オプション2)では、これらの工程を連続して行うことができ、工程102の抽出サンプルにおいて一連の工程104A、工程103及び工程104Bを行うことができる。1つの選択肢として、蛍光シグナルは、例えば同じ機器又は同じタイプの機器、設定、条件及び発光強度スケールを用いて工程104Aと工程104Bとで測定することができ、このようにして結果を正規化することができる。工程105では、抽出シグナルの蛍光シグナルを、pH調整サンプルのシグナル(すなわちシグナル番号2)から酸性化していないサンプルのシグナル(すなわちシグナル番号1)を差し引くことによってバックグラウンドノイズ及びバックグラウンド干渉に関して補正することができる。サンプル中の浮遊残渣及び固形物(solids)によって、蛍光測定中にノイズ及び干渉が生じ得る。上記のシグナル差を用いて、バックグラウンドノイズ及びバックグラウンド干渉を低減又は排除することができ、pHを変更させることにより、最適感度となるように蛍光シグナルを最大にする。工程106において、抽出サンプルにおけるタグ付きポリマーの濃度を、工程105の補正した蛍光シグナルを用いて決定することができる。代替的には、タグ付きポリマーの濃度を、工程105の補正を行わずに工程104Bから直接、例えばより近似的な無補正方法で決定することができる(図示せず)。最初に添加された処理組成物における添加されるタグ付きポリマーと少なくとも1つの異なる水処理化学物質との割合を知ることで、決定されたタグ付きポリマー濃度から、少なくとも1つの異なる水処理化学物質の濃度も決定することができる。この方法では、タグ付きポリマーの濃度は、単一の異なる処理化学物質又は複数の異なる処理化学物質に対して正に相関し得る。工程107において、決定されたタグ付きポリマー(例えば蛍光ポリマー)の濃度を選択される下限の設定点(又は選択される濃度範囲)と比較する。決定された濃度が選択される下限の設定点(又は選択される濃度範囲)未満である場合、工程108において水系システムに新たな量のこれらの成分を工程101で用いられたものと同じ選択される又は既知の比「x」又は割合で添加することによって、配合物におけるタグ付きポリマー及び任意の他の水処理化合物の濃度を調整することができる。濃度が設定点未満ではないと決定された場合、調整工程108は省略される。一連の工程102〜工程108をモニタリング期間に亘って規則的に又はランダムに任意回数繰り返すことができる。本方法は、水系システムにおける水処理組成物の量を、水処理組成物が水系システムと十分に相互作用して、水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御することができる量に維持することができる。
【0032】
図1の蛍光光度分析工程104A及び104Bを実施するために、従来法を、フルオロフォアを含むタグ付きポリマー(すなわち蛍光ポリマー)の最大吸収波長(通常励起最大波長(excitation maximum)と同じである)及び最大相対発光強度の波長を予め決定するのに使用するように適合させることができる。本明細書の他のセクションでより詳細に説明されているタグ付きポリマーの蛍光モノマー(又は成分)は、本発明の方法で分光的に検出分析されるタグ付きポリマーの蛍光特性の唯一の又は主な発生源とすることができる。抽出サンプルの濃度は、例えば抽出サンプルで測定された相対強度値と、同じ機器及び設定を用いて、他の活性のある共構成成分(co-ingredients)を含む既知濃度のタグ付きポリマーの少なくとも1つの標準配合物で観察された相対発光強度値との比較によって算出することができる。本明細書に示される蛍光光度法によって決定されるようなタグ付きポリマーの濃度と相対発光強度値との相関関係は一次関数又は線形関数として処理される。例えば、抽出サンプルで測定される相対発光強度値が10であり、既知濃度のタグ付きポリマー(例えば5ppmのタグ付きポリマー)を含む同じ水処理化学物質を含有する標準サンプルの相対発光強度値が、同様の励起測定条件及び発光測定条件下で20である場合、抽出サンプルのタグ付きポリマー濃度は2.5ppmのタグ付きポリマー(例えばj=5×(10/20)=2.5ppm(ここでjは算出される抽出サンプルにおける未知のタグ付きポリマー濃度である))と算出することができる。さらに、タグ付きポリマーが任意に他の水処理化学物質に対する既知の比又は割合で使用される場合、示されるような方法での抽出サンプルにおける蛍光成分の濃度の決定によって、他の異なる処理化学物質の濃度を既知の使用比に基づき単純に算出することが可能となる。例えば、タグ付きポリマーが、水系システムの処理においてタグ付けされていない処理ポリマー(例えばタグ付けされていないポリマーは蛍光モノマーを含んでいないことを除いてタグ付きポリマーと類似のものである)に対して1:10という既知の又は一定の添加比で使用される場合、抽出サンプルにおけるタグ付きポリマーの濃度が1ppmと決定されることで、指定の既知の使用比(すなわち1:10)に一致してタグ付けされていないポリマーの濃度を10ppmと算出することができる。
【0033】
本発明の選択肢の一つによるタグ付きポリマーを含む水処理組成物を水系システムに自動投入するシステムを図2に示す。図2に示されるように、水冷却システム200は、水冷却装置202、例えば水冷却塔を備えることができる。本明細書に例示されるような処理組成物及びその成分を含む冷却水214が、冷却システム200の一部をなすパイプ又は管路216(その一部を示す)を通って循環する。例えば管路216内で循環する流体の一部が、例えば導管212へと転流する(diverted)流量を制御する制御弁211を用いて管路216から流れ210として転流することができる。流れ210は蛍光分析走査及び処理剤の濃度定量用の側流分析システム219に転流することができる。転流した流れ210をT字パイプ部213に導入することができ、そこから転流した流体サンプル210の各供給部220及び221がそれぞれ分岐管路222及び223を通して供給される。管路222及び223によって、分割流体流がそれぞれ第1の蛍光光度計(蛍光分光計)224及び第2の蛍光光度計225へと供給される。制御弁226(二方向又は本明細書で説明されるような一方向)を用いて、分岐管路222及び223の両方又はいずれか一方への流動を制御することができる。1つの選択肢として、弁226は転流した流れ210が分岐管路222及び223の両方へと流入するように設定される。分岐管路222内の供給部220は第1の蛍光光度計224へと導入される前にステーション226でpH調整される。例えば、酸供給(又は塩基供給)導入デバイス/システム227はサンプルのpHを下げる(又は上げる)のに十分な酸(又は塩基)をサンプルに導入することができる。酸を使用する場合、pHを約1〜約3又は他の酸性pH(例えば0.1〜6.9)へと調整することができる。酸は鉱酸、無機酸又は有機酸とすることができ、例えば硫酸、塩酸、硝酸、クエン酸又は他の酸とすることができる。酸は蛍光光度計224での蛍光測定が完了するまではタグ付きポリマーを分解しない酸として選択され得る。同様に、pHを調整するのに塩基を使用する場合、塩基は蛍光測定が行われるまで該塩基がタグ付きポリマーを分解しないように選択され得る。塩基は水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム及び/又はタグ付きポリマーを含む溶液のpHを上げることが可能な化学物質等の任意のタイプの塩基とすることができる。第2の蛍光光度計225へと続く分岐管路223内の供給部221はpH調整されず、水系システムのpH(例えば約7.0又は7超)で測定される。それぞれの蛍光光度計は従来設計、又は存在するタグ付きポリマーの蛍光特性(例えば相対発光強度)を測定するのに適合させた他の同程度に好適な構成を含み得る。例えば、水系システムから抽出されるサンプルの活性蛍光を測定するのに使用するように適合させることができる装置は、Turner Designs, Inc.,(カルフォルニア州サニーベール)に対する米国特許第7,301,158号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に示されるような固体デバイスとすることができる。蛍光光度計の構成は、例えばタグ付きポリマーに関連する励起波長(例えば励起最大波長)で光を発生することができる発光ダイオードと、サンプルセルの反対側のタグ付きポリマーに関連する発光波長(例えば発光最大波長)での放射光の検出用のバンドパスフィルター及びフォトダイオード検出器との間に位置するサンプルホルダーセル又はキュベットを備え得る。
【0034】
代替的には、オプション219Aにおいて、蛍光光度計225及び224’(蛍光光度計224と類似のものである)を図2の点線に示すような並びで配置することができる。この代替形態では、初めに蛍光光度計225において非pH調整サンプルの測定を行い(例えば水系システムの約pH7又は7超)、その後ステーション226’(ステーション226と類似のものである)でサンプルをpH調整(例えば酸性化)した後、蛍光光度計224’(蛍光光度計224と類似のものである)において調整したpHで再測定を行う。蛍光光度計224及び225で精査したサンプルを、任意の従来方法で洗い流すか又はそれ以外の方法で取り除いた後、次のサンプルを本システムに導入して精査を行う。
【0035】
図2では、連通路228、229及び236〜239は、デバイスに応じた検知値に対するシグナル、制御コマンド、又はその両方を伝送する等といった、制御装置230と図2に記載の様々なデバイスとの間の連通路を表す。連通路はハードワイヤ、無線周波、インターネット又は他の手段とすることができる。蛍光光度計224及び225からの出力シグナル228及び229又は適用する場合蛍光光度計224’及び225からのシグナル228’及び229は制御装置230にインターフェース接続される。制御装置230は、蛍光光度計から取得した蛍光シグナルを処理し解釈することができる、メモリ付きのデジタルプログラム制御コンピュータプロセッサを含み得る。制御装置230は、例えば蛍光光度計から受け取った出力シグナルにアルゴリズムを適用し、シグナルの差を算出して、バックグラウンドノイズを補正するように構築することができる。制御装置230は、補正した出力シグナルを抽出サンプルにおけるタグ付きポリマー(例えば蛍光ポリマー)の濃度と相関させるようにプログラム制御することができる。タグ付きポリマーとともに水系システムへと既知の割合で添加される少なくとも1つの異なる水処理化合物の濃度を、決定されたタグ付きポリマー濃度から算出することができる。少なくともタグ付きポリマー及び少なくとも1つの異なる水処理化学物質(例えばポリマー)の濃度の決定に基づき、決定された濃度の一方又は両方を、制御装置に入力され、記憶されている下限の設定点又は選択された濃度範囲と比較することができる。これらの入力データは、例えば制御装置に取り付けられたキーパッド(図示せず)によって入力しても、制御装置に接続される別のデバイスのグラフィカルユーザーインターフェース若しくはキーパッド(図示せず)を介して遠隔的に入力しても、又は制御装置にロードされたプログラミングに包含されていてもよい。比較から濃度(複数の場合もある)が下限の設定点又は選択範囲より低かったことが示される場合、シグナルを制御装置230から出力し、化学ポンプ231を作動させ、供給容器234に保管されている新たな付加的な水処理生成物232を水系システムに添加することができる。新たな付加的な水処理生成物232には、タグ付きポリマー又は予め選択された割合でタグ付きポリマー及び少なくとも1つの異なる水処理化学物質(例えばポリマー)が含まれている。図2には新たな水処理生成物を水冷却システム200に添加する単一の導入点235が示されているが、複数の導入点を、例えば水冷却システム200内の異なる都合のよい位置に設けてもよい。また図2には、予混合生成物232の形態でのタグ付きポリマー又はタグ付きポリマー及び少なくとも1つの異なる水処理化合物の共導入が示されているが、異なる構成成分及び化合物を、別々の専用の供給装置及びポンプ(図示せず)を使用して制御装置230を用いて協調的に別々に導入することができる。図示されるように、タグ付きポリマーの濃度は、単一の異なる処理化学物質又は複数の異なる処理化学物質に対して正に相関し得る。水系システムに添加される新たな構成組成物の量は固定量であっても又は下限の設定点若しくは目標値に対して抽出サンプルで測定された不足分を補うようにプログラム制御アルゴリズムを用い制御装置によって算出された量であってもよい。
【0036】
図示されるように、本発明は調製に有用な或る特定の蛍光モノマーを含むタグ付き処理ポリマーの発見に一部基づくものであり、該タグ付き処理ポリマーは比較的低い濃度で(例えば100ppm未満のタグ付きポリマー、50ppm未満のタグ付きポリマー、若しくは25ppm未満のタグ付きポリマー、若しくは10ppm未満のタグ付きポリマー、若しくは7ppm未満のタグ付きポリマー、若しくは5ppm未満のタグ付きポリマー、若しくは4ppm未満のタグ付きポリマー、若しくは3ppm未満のタグ付きポリマー、若しくは1ppm〜25ppmのタグ付きポリマーで、又は他の濃度で)産業用水システム及び他の水系システムにおいてモニタリングすることができる能力を備え得る。本発明の蛍光モノマーの使用によるポリマーの「タグ付け(Tagging)」は、例えば合成ポリマー構造のモノマー単位を形成する少なくとも1つの蛍光モノマーの存在下においてポリマーを合成することによって達成することができる。1つの選択肢として、蛍光モノマーは誘導体化することなくポリマーに直接組み込むことができる天然化合物とすることができる。蛍光モノマーは、タグ付きポリマーへのモノマーの組込みに使用することができる、例えば末端オレフィン基等の化学反応部分を提供し得る。化学反応部分は、末端エチレン不飽和含有基とすることができ、任意に環構造に結合することができる。蛍光モノマーは蛍光光度計によってモニタリングすることができる光の少なくとも1つの波長に応答性であるとされ、本明細書に記載のようにpH感受性とすることができる。以下の説明では2つの異なるタイプの非蛍光モノマーが示されているが、蛍光モノマーとともにタグ付きポリマーに組み込むことができる異なるタイプの非蛍光モノマーの数は限定されないことが理解される。例えば、蛍光モノマーとともにタグ付きポリマーに組み込まれる異なるタイプの非蛍光モノマーの数は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれを超える数であってもよい。2種類以上の蛍光モノマーをタグ付きポリマーに組み込むこともでき、蛍光光度計によってモニタリングすることができる異なる光の波長に応答性となるように異なるタイプの蛍光モノマーを選択することができる。蛍光ポリマー又はタグ付きポリマーは例えば水溶性ポリマーとすることができる。
【0037】
1つの選択肢として、タグ付きポリマーは、例えば以下の(1)カルボン酸モノマー若しくはその塩、(2)或る特定のカルボキシル無含有モノマー若しくはその塩に由来する単位、(3)不飽和非イオン型モノマー、又は(4)それらの組合せのいずれかを有する又は有しない、本明細書に示される蛍光モノマーに由来する単位を含有する。
【0038】
タグ付き処理ポリマーは、例えば式:
(I)
(式中、cは正のゼロではない値(すなわち0を超える値)である)のポリマーとすることができる。1つの選択肢として、式(I)はターポリマーを表し、a、b及びcは全て正の値である。X、Y及びZはそれぞれ、1種類のみのモノマーであっても、又はX、Y及びZの1つ若しくは複数がポリマーにおいて各カテゴリー内にある異なるタイプのモノマーを表していてもよい。
【0039】
式(I)におけるX又はYはそれぞれ独立して、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニル酢酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸無水物若しくはそれらの塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸(「AMPS」)、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、tertブチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、テトラオクチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−アルキル−(メタ)アクリルアミド、N−アルカノール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルスルフェート四級塩、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドメチルスルフェート四級塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)、ビニルホルムアミド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルアミンの酸性塩、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシN−アルキル(メタ)アクリレート、N−アルカノール−N−アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメチルアクリレート、アルコキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アルキルビニルエーテル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルスルフェート四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルスルフェート四級塩、ジメチルアミノエチルアクリルアミドメチルスルフェート四級塩、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ビニルアルコール、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ビニル−2−ピロリドン若しくはそれらの塩、若しくはそれらの誘導体、又はそれらの任意の組合せとすることができる。X又はYは例えば、不飽和カルボン酸モノマー、例えばモノエチレン不飽和モノカルボン酸モノマー若しくはモノエチレン不飽和ジカルボン酸モノマー、又は(メタ)アクリルアミド等の式(I)の化合物において不飽和非イオン性モノマー単位をもたらすモノマー等とすることができる。X又はYは例えばAMPS等のカルボキシル無含有モノマーとすることができる。塩は例えばナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩とすることができる。
【0040】
式(I)におけるZはそれぞれ独立して、オレフィン基又はその塩(例えば任意に環構造に結合されるエチレン不飽和含有基)を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアモノマーに由来する蛍光単位とすることができる。塩は例えば、硫酸塩、塩酸塩、二塩酸塩、重硫酸塩又はグルコン酸塩とすることができる。1つの選択肢として、オレフィン基は構造の反応性末端基である。
【0041】
フルオロフォアの例としては、例えばキニーネ及びキニジン等のその異性体が挙げられる。1つの選択肢として、Zは少なくとも1つのヒドロキシル基(例えば1つのヒドロキシル基(−OH)若しくは2つのヒドロキシル基、又はそれ以上のヒドロキシル基)を有し、キニーネ等の化合物に由来するものとすることができ、ここでこのヒドロキシル官能基はキニーネ又はタグ付き処理ポリマー(I)のZ部分を形成する他のモノマーの残基に保持されている。
【0042】
図3にキニーネ及びキニジンの例示的な構造を示す。これらのタイプの化合物は、タグ付きポリマーの合成に使用する前の更なる誘導体化を必要せずにタグ付きポリマーに組み込むことができる、オレフィン基(例えばエチレン不飽和)を含む少なくとも1つの末端を有する(including having)指定の所望構造をしている。図示されるようなキニーネは天然化合物であるが、合成することもできる。図3に示されるように、キニーネには芳香族キノリン及び二環式キヌクリジンという主要な2つの縮合環系が含まれる。キニーネのIUPAC名は(R)−(6−メトキシキノリン−4−イル)((2S,4S,8R)−8−ビニルキヌクリジン−2−イル)メタノールである。キニーネはCAS番号130−95−0で説明されている。キニーネは塩基性アミンであり、通常塩として存在する。存在する様々な塩形態としては、例えば硫酸キニーネ、塩酸キニーネ、二塩酸キニーネ、重硫酸キニーネ及びグルコン酸キニーネが挙げられる。キニーネの投入では、特定の塩形態のキニーネ源を、そこから得られるキニーネ含有量を算出するのに考慮することができる。キニーネの立体異性体であるキニジンのIUPAC名は(9S)−6’−メトキシシンコナン−9−オールである。キニジンはCAS番号56−54−2で説明されている。複数の縮合環系を含み得る環構造等のオレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有する他のフルオロフォアを使用してもよい。
【0043】
1つの選択肢として、式(I)はY基のモノマー単位とZ基のモノマー単位とを、X基のモノマー単位とZ基のモノマー単位とを、X基のモノマー単位とY基のモノマー単位とZ基のモノマー単位とを、又はZ基のモノマー単位だけを含むことができる。1つの選択肢として、式(I)のタグ付きポリマーにおけるモノマー単位X若しくはモノマー単位Y、又はモノマー単位Xとモノマー単位Yとの組合せは、処理対象の水系システムにおける汚れ制御特性又は汚れ制御効果を有し得る。
【0044】
式(I)において、1つの選択肢として、「a」及び「b」は0〜約99とすることができ、「c」は約0.001〜約100とすることができる。a、b及びcの合計は100、又は付加的なモノマーがポリマーに組み込まれる場合は他のより低い値とすることができる。
【0045】
1つの選択肢として、タグ付きポリマー又は蛍光ポリマーは、キニーネ又はその異性体と、アクリル酸と、アクリルアミドとのターポリマーとすることができる。タグ付きポリマー又は蛍光ポリマーは、例えば該ポリマーの総重量部ベースで約0.5重量部〜約10重量部のキニーネ若しくはその異性体と、約80重量部〜約99重量部のアクリル酸と、約1重量部〜約10重量部のアクリルアミドとを、又は該ポリマーの総重量部ベースで約1重量部〜約8重量部のキニーネ若しくはその異性体と、約84重量部〜約94重量部のアクリル酸と、約2重量部〜約8重量部のアクリルアミドとを、又は該ポリマーの総重量部ベースで約3重量部〜約7重量部のキニーネ若しくはその異性体と、約87重量部〜約93重量部のアクリル酸と、約3重量部〜約7重量部のアクリルアミドとを含むことができる。
【0046】
これらのタグ付き処理ポリマーは、例えば本明細書に記載されるように水性媒体における従来のフリーラジカル重合法を適合させることによって合成することができる。初めに、式(I)のX部分及びY部分を用いてポリマーを作製し、ポリマー合成反応の後期段階において蛍光モノマーを付加することができる。例えば、アクリル酸とアクリルアミドとを含有するこれらのタグ付き処理ポリマーでは、初めにアクリルアミド及びアクリル酸モノマーを用いてポリマーを合成した後、その合成の後期段階に蛍光モノマーを付加することができる。代替的な選択肢では、蛍光モノマーは初期段階及び/又は合成を通じての1つ若しくは複数の後続段階等といったポリマー合成反応の他の段階で付加することができる。
【0047】
タグ付き処理ポリマーの一般的な連続供給(continuous-feed)製造法は下記のとおりであり得る。米国特許第6,312,644号及び米国特許第6,310,156号(引用することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする)は、本発明の化学的性質及び用途に適合させることができる。水溶性ポリマーはアクリル酸とアクリルアミドとを含有する親水性モノマー、又は他の水溶性モノマーを、低減したpHで重合開始剤である過硫酸塩と亜硫酸水素塩との組合せとともに使用した重合反応を行うことによって得られる。この式での特定の成分(例えばモノマー)のタイプ及び量は、合成されるポリマーのタイプ(カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、非イオン性ポリマー)によって変動する。
【0048】
例えば、所望の初期水を、ミキサーと、熱電対と、窒素パージ管と、水凝縮器とを備え得る反応容器に投入することができる。窒素パージを激しく撹拌しながら適用することができる。加熱を分子量及び所望の粘度によって規定される所望の温度に達するまで継続する(begins)。温度及び攪拌を維持しながら、一定速度でのレドックス重合開始剤(例えば過硫酸塩及び亜硫酸水素塩)の別個の供給を開始する。10分又は他の好適な時間の後、重合開始剤とともにモノマーを一定速度で連続して添加することができる。3時間又は他の期間に亘って所望の量のモノマーが重量ベースで又は体積ベースで添加された後、モノマーの添加を停止することができるが、重合開始剤の供給は更に10分間継続し、反応の完了を促す。キニーネで標識されたポリマーを作製するのに、キニーネのエタノール溶液を、例えばモノマーの同時供給の最後の30分間添加することができる。重合開始剤の同時供給を停止した後、更に1時間反応温度を維持し得る。pHを強塩基の添加によって所望のレベルに調整する。バッチ重量を測定して、水を添加して、例えば45%〜50%というポリマー濃度を維持する。この物質をサンプリングして、粘度、pH、固形分(percent solids)、粘度の低減及び残留モノマー濃度を確認することができる。
【0049】
1つの選択肢として、タグ付きポリマーをバッチプロセスでも合成することができる。一般的な水溶性タグ付き処理ポリマーのバッチ式製造法は下記のとおりであり得る。この式での特定の成分(例えばモノマー)のタイプ及び量は、合成されるポリマーのタイプ(カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、非イオン性ポリマー)によって変わり得る。1つ又は複数の水溶性モノマーと、キレート剤、pH緩衝剤及び/又は連鎖移動剤等の任意の重合添加剤とを含む水溶液をミキサーと、熱電対と、窒素パージ管と、水凝縮器とを備える反応容器に投入することができる。モノマー溶液を激しく混合して、所望の温度に加熱した後、水溶性重合開始剤を添加することができる。数時間温度を維持して混合しながら溶液を窒素でパージすることができる。本発明のタグ付き処理ポリマーを合成するために、他のモノマーを添加した後、例えば反応の最後の約30分間、蛍光モノマーを添加する。この時間の後、生成物を室温まで冷却して、任意の重合後添加剤を反応器に投入する。
【0050】
本明細書の分子量は全て、特に他に指定がなければゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される重量平均分子量である。広範な分子量を有するタグ付き処理ポリマーを、本明細書に記載される方法及び本明細書に言及される方法等によって調製することができる。本発明のタグ付き処理ポリマーの分子量(平均分子量、ダルトン単位)は、例えば約500〜約20000若しくはそれ以上、若しくは約2000〜約20000、若しくは約5000〜約20000、若しくは約10000〜約20000、又は他の分子量とすることができる。
【0051】
蛍光モノマーを含むタグ付きポリマーを、単独で又はタグ付けされていない他のポリマーと組み合わせて産業用水システムに使用することができる。「タグ付けされていない」という言葉は化合物がモニタリングされる蛍光モノマーを含んでいないことを意味する。スケール又は他の汚れ物質を制御するのに使用される場合等の産業用水システム、例えば冷却水システムにおけるタグ付き処理ポリマーの投入速度は例えば、約0.1ppm〜約100ppm、又は約0.5ppm〜約50ppm、又は約0.75ppm〜約25ppm、又は約0.9ppm〜約15ppm、又は約1ppm〜約5ppmの活性固形成分とすることができる。タグ付きポリマーと、選択された又は既知の割合で任意にタグ付きポリマーと併用される他のタグ付けされていない水処理剤との割合(重量比として)は、例えば約1:1〜約1:100のタグ付きポリマー/異なる処理剤、若しくは約1:2〜約1:25のタグ付きポリマー/異なる処理剤、若しくは約1:3〜約1:15のタグ付きポリマー/異なる処理剤、若しくは約1:4〜約1:10のタグ付きポリマー/異なる処理剤、又は他の重量比の範囲とすることができる。これらの使用量及び使用比は、例えば水処理化合物の化学的性質、制御される汚れ物質及び水系システムのタイプによって変動し、好適な使用値は本明細書の開示を鑑みて当業者によって決定することができる。
【0052】
タグ付きポリマーと併用することができる水処理化学物質(単数又は複数)は必ずしも限定されるものではない。水処理化学物質は有機又は無機であってもよい。水処理化学物質はポリマーとすることができる。水処理化学物質は、水処理化学物質ポリマーが蛍光モノマー内容物を含まない(omits)ことを除いて、そのモノマー単位の化学的性質がタグ付きポリマーと類似しているポリマーとすることができる。
【0053】
本発明の方法及び蛍光タグ付きポリマーを用いて制御することができる汚れ物質の例としては、例えば:
水溶液からの固形塩、酸化物及び水酸化物、例えば炭酸カルシウム又は硫酸カルシウムの結晶化としてのスケール形成及び/又は沈殿汚れ、
粒子状汚れ、すなわち粒子、典型的にはコロイド粒子の表面上への集積、
腐食汚れ、例えば腐食堆積物、例えばマグネタイトの炭素鋼表面上でのin situ成長、
化学反応汚れ、例えば有機物の加熱表面上での分解又は重合、
高融点の流体成分をサブクール表面で凍結させる場合等での固化汚れ、
生物汚れ、細菌及び藻類の定着、並びに、
2種以上の汚れ又は汚れメカニズムを含む複合汚れ、
が挙げられる。
【0054】
本発明の方法及びタグ付きポリマーを用いて水系システムにおいて制御することができるスケール及び沈殿汚れ堆積物の一部のタイプとしては、例えば硫酸カルシウム(例えば硬石膏、半水和物、石膏)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム(例えば方解石、霰石)、シュウ酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、シリケート(例えば蛇紋石、錐輝石、ギロル石、ゲーレン石、非晶質シリカ、石英、クリストバル石、曹灰針石、ゾノトラ石)、水酸化酸化アルミニウム(例えばベーム石、ギブス石、ダイアスポア、鋼玉石)、アルミノシリケート(例えば方沸石、灰霞石、黝方石)、銅(例えば金属銅、赤銅鉱、黒銅鉱)、ホスフェート(例えばヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite))、磁鉄鉱又はニッケルフェライトが挙げられる。
【0055】
本発明の方法を、スケール制御又は他の汚れ制御を必要とする産業用又はレクリエーション用の水系システムに使用することができる。かかる水系システムとしては、冷却水システム(冷却塔、流入冷却水及び流出冷却水)、熱交換器、ボイラー、温水器、再循環水システム、防火水システム、レトルト、空気清浄器、貯水システム、スイミングプール、温水浴槽、人工噴水、冷却ラグーン及び他の水系システムが挙げられるが、これらに限定されない。概して、任意の産業用、レクリエーション用又は住宅用の水システムが本発明の利益を受け得る。
【0056】
蛍光モノマー化合物、例えばキニーネ又はその異性体を、異なるモノマー物質を含む処理ポリマーに化学的に組み込んだ実施形態を示しているが、処理されており、処理化合物濃度に関してモニタリングされている水系システムにおいて蛍光化合物を遊離形態で(例えば活性構成成分としてではなく単にマーカー/トレーサーとして)使用することも可能である。
【0057】
本発明は以下の態様/実施形態/特徴を任意の順序及び/又は任意の組合せで包含する:
1. 本発明は、水系システムにおいて水処理組成物の濃度を制御する方法であって、
(a)上記水系システムに、少なくとも1つのタグ付きポリマーを含む水処理組成物を導入し、処理済み水を得ることであって、該タグ付きポリマーが、オレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するフルオロフォアに由来する少なくとも1つの蛍光モノマー単位を含むことと、
(b)上記処理済み水のサンプルを抽出することと、
(c)抽出した水のバックグラウンド蛍光シグナルを測定することと、
(d)抽出したサンプルのpHを調整し、蛍光シグナルが増進したpH調整サンプルを得ることと、
(e)増進した蛍光シグナルを測定することと、
(f)上記の(c)で測定した蛍光シグナルと(e)で測定した蛍光シグナルとの差を用いて、上記サンプルにおける上記タグ付きポリマーの濃度を決定することと、
(g)(f)で決定した上記タグ付きポリマーの濃度が選択された設定点未満である場合、新たな量の上記水処理組成物を上記水系システムに導入することと、
を含み、
上記水処理組成物が上記水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御する、方法に関する。
2. 上記水処理組成物が少なくとも1つの異なる水処理化学物質を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
3. 上記フルオロフォアがキニーネ又はその異性体を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
4. 上記フルオロフォアがキニーネ又はキニジンを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
5. 上記タグ付きポリマーが(a)キニーネ又はその異性体と、(b)アクリル酸若しくはその塩、メタクリル酸若しくはその塩、マレイン酸若しくはその塩、無水マレイン酸、クロトン酸若しくはその塩、イタコン酸若しくはその塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)若しくはその塩、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ビニルホスホン酸若しくはその塩、スチレンスルホン酸若しくはその塩、ビニルスルホン酸若しくはその塩、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸若しくはその塩、N−アルキル−(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリレート、N−アルカノール−N−アルキル(メタ)アクリレート、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、酢酸ビニル、2−ヒドロキシN−アルキル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、アルコキシエチルアクリレート、N−アルカノール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニル−2−ピロリジノン、又はそれらの任意の組合せである少なくとも1つのモノマーとのコポリマー又はターポリマーである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
6. 上記タグ付きポリマーが、該タグ付きポリマーの総重量部ベースで約0.5重量部〜約10重量部のキニーネ又はその異性体と、約80重量部〜約99重量部の不飽和カルボン酸モノマーと、約1重量部〜約10重量部のアクリルアミドとを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
7. 上記水処理組成物が、約0.1wt%〜約100wt%の上記タグ付きポリマーと、約0wt%〜約99.9wt%の少なくとも1つの異なる水処理化学物質とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
8. 上記タグ付きポリマーが上記水系システムにおいて約1ppm〜約200ppmの濃度範囲内に維持される、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
9. 上記少なくとも1つの異なる水処理化学物質が上記水系システムにおいて約5ppm〜約100ppmの濃度範囲内に維持される、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
10. 工程(b)〜工程(g)を少なくとも1回繰り返す工程(g)を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
11. 上記蛍光シグナルの測定が、上記pH調整サンプルを励起波長の光で励起させることと、該pH調整サンプルから放射される光の発光波長での放射光強度を検出することとを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
12. 上記pH調整サンプルの測定された放射光強度を、pH調整をしていない上記処理済み水の抽出サンプルの別々に測定された放射光強度を差し引くことによって補正することを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
13. 上記励起波長が約345nmであり、上記発光強度波長が約450nmである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
14. 上記少なくとも1つの異なる水処理化学物質が上記水系システムにおいてスケールを含む汚れ物質を制御する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
15. 上記少なくとも1つの異なる水処理化学物質が上記水系システムにおいてスケールを制御する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
16. (i)上記水系システムから抽出された流体を、蛍光光度計を用いて分光蛍光分析にかけ、上記蛍光シグナルを測定する少なくとも1箇所のサンプリング場所を準備することと、
(ii)抽出サンプルの蛍光シグナルの測定値に基づき、追加の水処理組成物の物質供給装置から上記水系システムへの導入を自動制御する働きがある制御装置を準備することと、
を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
17. 本発明は、水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御する方法であって、
水系システムにおいて水処理組成物を準備することであって、該組成物が非重合キニーネと少なくとも1つの水処理化学物質とを選択された割合で含むことと、
上記非重合キニーネの測定された蛍光シグナルを用いて、上記水系システムにおいて上記少なくとも1つの水処理化合物の濃度を決定することと、
上記非重合キニーネの測定された蛍光シグナルの結果に基づき、上記水系システムにおける上記水処理化合物の濃度を選択された濃度範囲内に維持することと、
を含み、
上記水処理組成物が上記水系システムと相互作用し、該水系システムにおける少なくとも1つの汚れ物質の成長を制御する、方法に関する。
18. 本発明は、オレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するpH感受性のフルオロフォアに由来する少なくとも1つのpH感受性の蛍光モノマー単位を含む、水処理用のタグ付きポリマーに関する。
19. 上記フルオロフォアがキニーネ又はその異性体を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタグ付きポリマー。
20. 上記フルオロフォアがキニーネ又はキニジンを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタグ付きポリマー。
21. キニーネ又はその異性体と1つ又は複数の他のモノマーとのコポリマー又はターポリマーである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタグ付きポリマー。
22. 上記ポリマーの総重量部ベースで約0.5重量部〜約10重量部のキニーネ又はその異性体と、約80重量部〜約99重量部の不飽和カルボン酸モノマーと、約1重量部〜約10重量部のアクリルアミドとを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタグ付きポリマー。
23. 本発明は、タグ付きポリマーを含む水処理組成物であって、該タグ付きポリマーがオレフィン基を含む少なくとも1つの末端を有するpH感受性のフルオロフォアに由来する少なくとも1つのpH感受性の蛍光モノマー単位を含み、該タグ付きポリマーが水系システムにおいて水処理することができる、水処理組成物に関する。
24. 上記フルオロフォアがキニーネ又はその異性体を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の水処理組成物。
【0058】
本発明は文及び/又は段落に記載される上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組合せを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組合せが本発明の一部であるとみなされ、組み合わせることができる特徴に関しては何ら限定を意図しない。
【0059】
本発明は、本発明を例示するものとして意図される以下の実施例によって更に明らかとなる。
【実施例】
【0060】
実施例1:
実験を行い、水系システムにおいてタグ付きポリマーを蛍光光度分析した。タグ付きポリマーを、種々の濃度で用いてシステムにおいて一定期間に亘ってモニタリングした。これらの実験には、本明細書においてランA、ランB、ランC及びランDと称される4回のランが含まれていた。異なる試験水系システムは、希酸(0.05N HSO(pH1.86))、冷却塔水(pH1.86まで酸性化)、並びに150ppmのCl及び500ppmのClの塩素処理水であった。本研究の蛍光光度法の結果を図4に示される表1にまとめる。
【0061】
これらの実験では、キニーネ−モノマーによってタグ付けされたアクリル酸/アクリルアミドターポリマーを、同じ合成方法を用いて調製した。タグ付き処理ポリマーを、本明細書に記載されるような従来の水溶性ポリマー合成法を適合することによって合成した。それぞれの場合で、アクリル酸、アクリルアミド及びレドックス触媒を3時間に亘って同時連続的に添加した。この期間の最後の30分間、更に塩酸キニーネのエタノール溶液を同時連続的に添加した。3つのモノマーの総添加割合は、ポリマーの総重量部ベースで5重量部のキニーネ、91重量部のアクリル酸及び5重量部のアクリルアミドであった。
【0062】
タグ付きポリマーを、図4に示される表1に示すように幾つかの異なる水系システムにおいて異なる濃度(1ppm、5ppm、10ppm、20ppm)で24時間(1日)、48時間(2日)及び120時間(5日)の時点で試験した。冷却塔から抽出した水サンプルを、0.05N硫酸を用いてpH1.86へと酸性化した後、蛍光光度計を用いて発光強度について分析した。抽出サンプルを酸性化することなく2回測定し、バックグラウンドノイズ及びバックグラウンド干渉の評価基準を得る。酸性化サンプルの放射光の値の評価基準からこれらの結果を差し引き、その差を表1に示す結果として報告する。
【0063】
抽出されたサンプルを、Perkin-ElmerのLS−5Bモデルの分光蛍光光度計を用いて345nmに励起波長を設定して分析し、放射光を450nmで測定し、相対発光強度を同じデバイスを用いて測定した。表1の発光強度の値は正規化スケールに基づくものである。これらの実験の結果を図4に示される表1に示す。
【0064】
表1の項目「オフスケール(off scale)」は、サンプルの発光強度の計測値を示すのに機器で選択された「利得」設定の上限を超えた蛍光光度計の示度を表す。一般的に理解されるように、蛍光光度計での「利得」設定の増大によって機器の感度を増大することができ、そのためサンプルの希釈又は「利得」設定の低減を用いて、機器でのオフスケールの示度を抑えることができる。
【0065】
この結果から、タグ付きポリマーを、様々な水系システムにおいて比較的低い濃度で使用して正確で確実に蛍光光度的にモニタリングすることができることが実証される。
【0066】
出願人らはこの開示における全ての引用文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストのいずれかとして与えられる場合、これは範囲が別々に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限又は好ましい値と任意の範囲下限又は好ましい値との任意の対からなる全ての範囲を具体的に開示するものと理解される。数値の範囲が本明細書で言及されている場合、特に指定のない限り、範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数及び少数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及された特定の値に限定されることは意図されない。
【0067】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者にとって明らかであろう。本明細書及び本実施例は単なる例示とみなされ、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4