特許第6352816号(P6352816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6352816樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352816
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システム
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/54 20060101AFI20180625BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C23C16/54
   C23C16/44 G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-557488(P2014-557488)
(86)(22)【出願日】2014年1月15日
(86)【国際出願番号】JP2014050596
(87)【国際公開番号】WO2014112533
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2016年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-7369(P2013-7369)
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 清典
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−036260(JP,A)
【文献】 特開2005−002469(JP,A)
【文献】 特開2008−231468(JP,A)
【文献】 特開2005−178890(JP,A)
【文献】 特開2003−306773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
B65D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転台と、
前記回転台を回転させるための駆動機構と、
前記回転台上に設置され、少なくとも4つの樹脂容器を直線上に並んだ状態で保持することが可能な容器保持部材と、
前記容器保持部材と組み合わされた状態において、前記容器保持部材に保持された前記樹脂容器の内面に薄膜を形成するコーティング処理を行うことが可能な電極部材と、
を備え、
前記容器保持部材は、前記樹脂容器が供給される容器供給位置と、前記電極部材と組み合わされた状態で前記コーティング処理が行われるコーティング処理位置と、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器を取り出すことが可能な容器取出位置とに配置されるように前記回転台上に複数設置され、
前記回転台上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記回転台の回転に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動することを特徴とする樹脂容器用コーティング装置。
【請求項2】
前記容器保持部材は、さらに、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器の内部をクリーニングするクリーニング処理位置に配置されるように、前記回転台上に設置され、
前記回転台上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記回転台の回転に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記クリーニング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動することを特徴とする請求項1に記載の樹脂容器用コーティング装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記回転台を回転可能に上面に配置する機台と、
前記機台の下方に配置され前記駆動機構を収容する機台ベースと、
前記回転台に固定され前記駆動機構からの運動を伝達する支軸と、
を更に備え、
複数の前記容器保持部材の各々は、前記支軸を中心として90度間隔で前記回転板の上面に配置され、
複数の前記容器保持部材の各々は、90度毎に間欠的に回転されて前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動する、
ことを特徴とする樹脂容器用コーティング装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記機台の上面の中央部には前記回転台を取り付けるための円形状の凹部が形成されており、
前記回転台の径は、前記機台の凹部の径よりも僅かに小さく形成されており、
前記回転台の上面と前記機台の上面とは略同じ高さとなるように配置されている、
ことを特徴とする樹脂容器用コーティング装置。
【請求項5】
前記樹脂容器を製造する樹脂容器製造装置と、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の樹脂容器用コーティング装置と、
前記樹脂容器製造装置によって製造され保持された状態の前記樹脂容器を、前記樹脂容器製造装置から取り出して前記樹脂容器用コーティング装置の前記容器供給位置まで搬送し、前記容器供給位置に配置された前記容器保持部材に少なくとも4つの前記樹脂容器を直線上に並んだ状態で保持させる樹脂容器搬送装置と、を備えることを特徴とする樹脂容器製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂容器の内面に薄膜を形成する樹脂容器用コーティング装置およびこの樹脂容器用コーティング装置を備える樹脂容器製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用品などに幅広く使用されるポリエチレンなどの樹脂は、一般的に酸素や二酸化炭素のような低分子ガスを透過する性質を有し、更に低分子有機化合物がその内部に収着してしまう性質も有している。このため、樹脂を容器として使用する際、ガラスなどの他の容器と比べ、その使用対象や使用形態などで種々の制約を受けることが知られている。例えば、樹脂容器に炭酸飲料水を充填して使用する場合には、その炭酸が容器を通じて外部に透過してしまい、炭酸飲料水としての品質を長期間維持するのが難しい場合がある。
【0003】
そこで、樹脂容器を製造する際、樹脂容器における低分子ガスの透過、及び低分子有機化合物の収着による不都合を解消するため、その樹脂容器の内部表面などに対し、プラズマCVD成膜技術を用いてDLC(Diamond Like Carbon)コーティングなどの成膜を行うものが知られている。また、コーティング処理済みの樹脂容器を大量に製造する量産効率を向上させる観点から、容器保持部の一部に保持された樹脂容器の内面に薄膜を形成している間に、容器保持部の他の部分において、コーティング処理済みの樹脂容器を未成膜の樹脂容器と交換することが可能なコーティング装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許第4804654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のコーティング装置は、未成膜の樹脂容器を供給する位置とコーティング処理済の樹脂容器を取り出す位置とが共通である。このため、樹脂容器の供給工程と取出工程とを並行して行うことができず、コーティング処理済みの樹脂容器の量産効率を向上させることが難しかった。
【0006】
本発明は、コーティング処理済みの樹脂容器の量産効率を向上させることが可能な樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の樹脂容器用コーティング装置は、回転台と、前記回転台を回転させるための駆動機構と、前記回転台上に設置され、樹脂容器を保持することが可能な容器保持部材と、前記容器保持部材と組み合わされた状態において、前記容器保持部材に保持された前記樹脂容器の内面に薄膜を形成するコーティング処理を行うことが可能な電極部材と、を備え、前記容器保持部材は、前記樹脂容器が供給される容器供給位置と、前記電極部材と組み合わされた状態で前記コーティング処理が行われるコーティング処理位置と、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器を取り出すことが可能な容器取出位置とに配置されるように前記回転台上に複数設置され、前記回転台上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記回転台の回転に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の樹脂容器用コーティング装置において、前記容器保持部材は、さらに、前記コーティング処理によって薄膜が形成された前記樹脂容器の内部をクリーニングするクリーニング処理位置に配置されるように、前記回転台上に設置され、前記回転台上に複数設置された前記容器保持部材の各々は、前記回転台の回転に伴い、前記容器供給位置と、前記コーティング処理位置と、前記クリーニング処理位置と、前記容器取出位置とを順次移動することが好ましい。
【0009】
また、本発明の樹脂容器製造システムは、前記樹脂容器を製造する樹脂容器製造装置と、樹脂容器用コーティング装置と、前記樹脂容器製造装置によって製造され保持された状態の前記樹脂容器を、前記樹脂容器製造装置から取り出して前記樹脂容器用コーティング装置の前記容器供給位置まで搬送し、前記容器供給位置に配置された前記容器保持部材に保持させる樹脂容器搬送装置と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器供給位置に配置された容器保持部材に樹脂容器が供給されている間に、少なくとも、樹脂容器に対するコーティング処理とコーティング処理済の樹脂容器を取り出す処理とを並行して行なうことができる。従って、コーティング処理された樹脂容器を製造する量産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る樹脂容器用コーティング装置の一例を示す平面図である。
図2図1のA−A線における断面図である。
図3図1のB−B線における断面図である。
図4図1のC−C線における断面図である。
図5】本発明に係る樹脂容器製造システムの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る樹脂容器用コーティング装置および樹脂容器製造システムの実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、樹脂容器用コーティング装置1を上方から見た平面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。図1〜2に示すように、樹脂容器用コーティング装置1は、機台2と、機台2の上面に配置された回転台3と、樹脂容器が保持される容器保持部材5a,5b,5c,5dと、回転台3を回転駆動する駆動機構6とを備えている。
【0014】
機台2は、矩形状を有する厚板によって形成されている。機台2の上面中央部には回転台3を取り付けるための円形状の凹部3aが形成されている。機台2は、その下方に、駆動機構6が収納される機台ベース2aを備えている。
【0015】
回転台3は、円形状を有する平板によって形成されている。回転台3の径は、機台2の凹部3aの径よりも僅かに小さく形成されている。回転台3は、機台2の凹部3aに緩挿されており、回転台3の上面と機台2の上面とは略同じ高さとなるように配置されている。回転台3は、機台2に対して支軸7を中心に図に示す矢印Qの方向(反時計回りの方向)へ回転可能に設けられている。
【0016】
回転台3の上面には、複数(この形態では4つ)の容器保持部材5a,5b,5c,5dが配置されている。回転台3の矢印Q方向への回転に伴って容器保持部材5a,5b,5c,5dは、回転台3とともに矢印Q方向へ回転する。
【0017】
駆動機構6は、回転台3を回転させるための回転機構である。駆動機構6は、例えば、ステッピングモータ、サーボモータ等によって構成することができる。駆動機構6は、回転台3に固定された支軸7を介して回転台3を回転させる。駆動機構6は、機台ベース2a内に配置されている。
【0018】
容器保持部材5a,5b,5c,5dは、それぞれ複数の樹脂容器を保持することが可能な部材である。容器保持部材5a,5b,5c,5dは、回転台3上に支軸7を中心として90度間隔で設置されている。
【0019】
容器保持部材5a(5b,5c,5d)は、載置された樹脂容器を保持する容器保持用孔部9a(9b,9c,9d)を有している。容器保持用孔部9a(9b,9c,9d)は、容器保持部材5a(5b,5c,5d)に複数個(この形態では4個)形成されており、容器保持部材5a(5b,5c,5d)を上下方向に貫通している。例えば図2の容器保持部材5bに示されるように、樹脂容器8は、当該容器8の口部を容器保持用孔部9bに嵌入した状態で保持される。
【0020】
容器保持部材5a,5b,5c,5dは、回転台3とともに矢印Q方向に回転する過程において、それぞれの容器保持部材が容器供給位置P1、コーティング処理位置P2、クリーニング処理位置P3、および容器取出位置P4の何れかの位置に配置されるように構成されている。それぞれの容器保持部材が配置される位置は、最初が容器供給位置P1、続いてコーティング処理位置P2、次にクリーニング処理位置P3、そして最後が容器取出位置P4の順序に設定されている。
【0021】
例えば、図1では、容器保持部材5aが容器供給位置P1に配置され、容器保持部材5bがコーティング処理位置P2に配置され、容器保持部材5cがクリーニング処理位置P3に配置され、そして容器保持部材5dが容器取出位置P4に配置されている。
【0022】
この状態から回転台3が矢印Q方向に回転されるとその回転に伴って各容器保持部材5a,5b,5c,5dも回転し、容器保持部材5a,5b,5c,5dはそれぞれ次の位置へ配置される。すなわち、容器保持部材5aは容器供給位置P1から移動してコーティング処理位置P2に配置され、容器保持部材5bはコーティング処理位置P2から移動してクリーニング処理位置P3に配置され、容器保持部材5cはクリーニング処理位置P3から移動して容器取出位置P4に配置され、容器保持部材5dは容器取出位置P4から移動して容器供給位置P1に配置される。
【0023】
容器供給位置P1は、コーティング処理されていない樹脂容器(未成膜容器)が供給されるステージ(未成膜容器供給工程を行う位置)として設定されている位置である。例えば、ブロー成形機等によって成形された未成膜容器が複数個、等間隔で容器保持用孔部に嵌入される。本例では、容器供給位置P1に配置されている容器保持部材5aの容器保持用孔部9aに未成膜容器が4個嵌入される。
【0024】
コーティング処理位置P2は、チャンバ内に複数の樹脂容器が配置され、それらの樹脂容器の内面に一括成膜が行われるステージ(コーティング処理工程を行う位置)として設定されている位置である。コーティング処理位置P2に配置された容器保持部材は、容器保持用孔部に載置された樹脂容器を保持する部材として機能するとともに、チャンバを構成するチャンバ本体部としても機能する。図1に示す状態においては、容器保持部材5bがコーティング処理位置P2に配置されており、容器保持部材5bに載置された樹脂容器(容器供給位置P1で供給された4個の未成膜容器)がチャンバ内に密封されて一括成膜が行われる。このように、例えばコーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5bは、容器保持用孔部9bに載置された樹脂容器8を保持する部材として機能するとともに、チャンバを構成するチャンバ本体部としても機能する。
【0025】
クリーニング処理位置P3は、樹脂容器の内部に付着した塵、ホコリ、ダスト、異物等のパーティクルが除去されるステージ(クリーニング処理工程を行う位置)として設定されている位置である。図1に示す状態においては、容器保持部材5cがクリーニング処理位置P3に配置されており、容器保持部材5cに載置された樹脂容器(コーティング処理位置P2で成膜された4個の樹脂容器)がクリーニング処理される。
【0026】
容器取出位置P4は、コーティング処理、およびクリーニング処理された樹脂容器が取り出されるステージ(成膜完了容器取出工程を行う位置)として設定されている位置である。図1に示す状態においては、容器保持部材5dが容器取出位置P4に配置されており、容器保持部材5dの容器保持用孔部9dに載置された樹脂容器(クリーニング処理位置P3でクリーニングされた4個の樹脂容器)がコーティング完了容器として取り出される。
【0027】
図3は、図1のB−B線における断面図であり、コーティング処理位置P2に設けられたコーティング部10を示している。コーティング部10は、チャンバ内に複数の樹脂容器を格納し、プラズマCVD技術を用いて樹脂容器の内部表面にケイ素化合物のガス等から構成される膜を一括成形する。
【0028】
コーティング部10は、チャンバ本体部として機能する容器保持部材(図1及び図3に示す状態では容器保持部材5b)と、チャンバ蓋部(電極部材の一例)11と、チャンバ蓋支持部12と、内部電極13と、ガス供給部14と、高周波電源15を備える。
【0029】
コーティング処理位置P2において、容器保持部材5bは、チャンバ蓋部11と組み合わされ、チャンバ蓋部11とともに樹脂容器8を格納するためのチャンバを構成する。また、容器保持部材5bは、樹脂容器8を保持する容器保持部材としても機能する。
【0030】
チャンバ蓋部11は、チャンバ蓋支持部12によって容器保持部材5bの上部に上下方向(図3に示すRの向き)に移動可能に支持されている。チャンバ蓋部11には、容器保持部材5bに保持された樹脂容器8に対応する位置に、樹脂容器8の外形よりも若干大きい内径を有し下側に開口する円状の有底穴が形成されている。
【0031】
内部電極13は、チャンバの格納室に設置された樹脂容器8の内部にそれぞれ挿入配置されるパイプ状の電極である。内部電極13は、ガス供給部14に連結されており、内部電極として機能するとともに、ガスを放出するガスノズルとしても機能する。
【0032】
ガス供給部14は、内部電極13を介して各樹脂容器8内に原料ガスを供給する。原料ガスとしては、ケイ素化合物、あるいは酸素等のガスと混合したガスを使用することができる。
【0033】
高周波電源15は、プラズマCVDの外部電極に電力を供給するための電源である。高周波電源15は、機台ベース2a内に配置されている。
【0034】
このような構成を有するコーティング部10において、容器保持用孔部9bに樹脂容器8の口部が嵌入された容器保持部材5bにチャンバ蓋部11が取り付けられる。チャンバ蓋部11は、チャンバ蓋支持部12によって下方に移動され容器保持部材5bに取り付けられる。チャンバ蓋部11が取り付けられることにより容器保持部材5bの内部は密封状態になる。また、内部電極13が樹脂容器8の口部から樹脂容器8の内部に挿入配置される。
【0035】
チャンバ内の空気が真空ポンプによって排気され、チャンバの格納室内が真空状態にされる。ガス供給部14から原料ガスが供給され、供給された原料ガスはパイプ状を有する内部電極13の先端から樹脂容器8の内部に放出される。原料ガスの放出後に、チャンバに外部の高周波電源15から電力が投入される。これにより、外部電極のチャンバと内部電極13との間に生じる電位差によってプラズマが発生し、4つの樹脂容器8の内部表面に膜が一括形成される。なお、コーティング部10におけるこれらの処理は、図示を省略する制御部から出力される各制御信号に基づいて実施される。
【0036】
図4は、図1のC−C線における断面図であり、クリーニング処理位置P3に設けられたクリーニング部20を示している。クリーニング部20は、容器保持部材5cと、容器押さえ部21と、容器押さえ支持部22と、ノズル23と、ガス供給部24を備える。
【0037】
容器押さえ部21は、容器保持用孔部9cに嵌入された樹脂容器8を上方から押さえ込む樹脂容器8の外れ防止部材である。容器押さえ部21は、その一方の端部21aが容器押さえ支持部22に取り付けられ、上下方向(図4に示す矢印S方向)へ移動自在に支持されている。
【0038】
ノズル23は、容器保持部材5cの容器保持用孔部9cに保持されている樹脂容器8の内部にそれぞれ挿入されるパイプ部材である。ノズル23は、圧縮空気供給部24に連結されている。圧縮空気供給部24から供給された空気はノズル23を介して樹脂容器8内に放出する。
【0039】
ところで、前述したコーティング部10における成膜時において、樹脂容器の内部に挿入される内部電極13等に膜が付着する場合がある。この場合、コーティング処理を複数回繰り返すことによりその膜が徐々に大きな堆積物となり、その堆積物が樹脂容器の内部に剥がれ落ちる場合がある。また、排気通路内に付着した堆積物が大気開放時の空気の流れで巻き上げられ樹脂容器内に入り込む場合もある。
【0040】
このようなクリーニング部20において、各樹脂容器8内にノズル23を挿入して、ノズル23から圧縮空気を樹脂容器8内に吹き込む。このとき圧縮空気の吹き込みにより容器保持部材5cにセットした樹脂容器8が吹き飛ばされないように、樹脂容器8の上側に容器押さえ部21を配置させて押さえ込む。これにより、成膜時に容器の内面に付着した塵、ホコリ、ダスト、異物等のパーティクルを樹脂容器8の外部に除去することができる。
【0041】
次に、このように構成される樹脂容器用コーティング装置1の動作について説明する。
コーティング処理が行なわれる初期状態では、4つの容器保持部材5a,5b,5c,5dは全て空の状態、すなわち、樹脂容器は載置されていない状態になっている。この状態をこの初期状態として、図1を参照して以下説明していく。
【0042】
初期状態において先ず、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5aの容器保持用孔部9aに、コーティングされていない未成膜の樹脂容器8が嵌入されることにより供給される。
【0043】
容器保持部材5aへの樹脂容器8の供給が完了すると、続いて、回転台3が支軸7を中心として矢印Q方向へ90度回転する。この回転により、容器保持部材5aがコーティング処理位置P2まで移動する。
【0044】
このとき他の容器保持部材5b,5c,5dも矢印Q方向へ同じ角度だけ回転して、容器保持部材5bがクリーニング処理位置P3まで移動し、容器保持部材5cが容器取出位置P4まで移動し、容器保持部材5dが容器供給位置P1まで移動する。
【0045】
容器保持部材5aがコーティング処理位置P2まで移動すると、当該コーティング処理位置P2において、容器保持部材5aに供給された樹脂容器8に対しコーティング処理が開始される。コーティング処理の内容は、図3に基づいて上述した通りである。
【0046】
このコーティング処理位置P2における容器保持部材5aの樹脂容器8にコーティング処理が実施されている間、この処理と並行して、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5dの容器保持用孔部9dには未成膜の樹脂容器8を嵌入する処理が実施される。
【0047】
容器保持部材5aに供給された樹脂容器8へのコーティング処理と、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5dへの容器供給処理とが完了すると、さらに、回転台3が90度回転して、容器保持部材5aがクリーニング処理位置P3まで移動する。
【0048】
このとき他の容器保持部材5b,5c,5dもそれぞれ同じ角度回転して、容器保持部材5bが容器取出位置P4まで移動し、容器保持部材5cが容器供給位置P1まで移動し、容器保持部材5dがコーティング処理位置P2まで移動する。
【0049】
容器保持部材5aがクリーニング処理位置P3まで移動すると、当該クリーニング処理位置P3において、容器保持部材5aに保持されている樹脂容器8に対しクリーニング処理が開始される。クリーニング処理の内容は、図4に基づいて上述した通りである。
【0050】
このクリーニング処理位置P3における容器保持部材5aの樹脂容器8にクリーニング処理が実施されている間、この処理と並行して、コーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5dの樹脂容器8に対しコーティング処理が実施される。また、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5cの容器保持用孔部9cには未成膜の樹脂容器8を嵌入する処理が実施される。
【0051】
容器保持部材5aに保持されている樹脂容器8へのクリーニング処理と、容器保持部材5dに保持されている樹脂容器8へのコーティング処理と、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5cへの容器供給処理とが完了すると、さらに、回転台3が90度回転して、容器保持部材5aが容器取出位置P4まで移動する。
【0052】
このとき他の容器保持部材5b,5c,5dもそれぞれ同じ角度回転して、容器保持部材5bが容器供給位置P1まで移動し、容器保持部材5cがコーティング処理位置P2まで移動し、容器保持部材5dがクリーニング処理位置P3まで移動する。
【0053】
容器保持部材5aが容器取出位置P4まで移動すると、当該容器取出位置P4において、容器保持部材5aに載置されている成膜済み樹脂容器8を取出す処理が開始される。樹脂容器用コーティング装置1から取り出された樹脂容器8は、樹脂容器の内部に液体を充填する充填装置へと搬送される。
【0054】
この容器取出位置P4における容器保持部材5aに保持された成膜済み樹脂容器8の取出し処理が実施されている間、この処理と並行して、クリーニング処理位置P3に配置された容器保持部材5dの樹脂容器8に対しクリーニング処理が実施される。また、コーティング処理位置P2に配置された容器保持部材5cの樹脂容器8に対しコーティング処理が実施される。また、容器供給位置P1に配置された容器保持部材5bの容器保持用孔部9bには未成膜の樹脂容器8を嵌入する容器供給処理が実施される。
【0055】
コーティング処理、クリーニング処理、取出し処理、容器供給処理の各処理が完了すると、さらに、回転台3が90度回転して、容器保持部材5aが再度、容器供給位置P1まで移動する。このとき容器保持部材5aは、樹脂容器が供給されていない空の状態である。
【0056】
そして、容器供給位置P1まで戻った容器保持部材5aに対しては上述したように未成膜の樹脂容器の供給処理が実施される。また、さらに回転が繰り返されると、順次、各位置P1からP4においてそれぞれ上述した動作が繰り返される。
【0057】
なお、上述した容器供給処理、コーティング処理、クリーニング処理、取出し処理、容器供給処理の各処理は所定時間内に終了するように設定されている。本例では、上述の4つの各処理が10秒以内で処理が終了するように設定されており、回転台3は10秒毎に支軸7を中心として矢印Q方向へ90度回転し、各位置P1からP4においてそれぞれ上述した動作が繰り返される。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の樹脂容器用コーティング装置1によれば、回転台3上に4つの容器保持部材5a,5b,5c,5dが設置され、これら容器保持部材5a,5b,5c,5dの各々は、回転台3の回転に伴い、容器が供給される容器供給位置P1と、コーティング処理が行われるコーティング処理位置P2と、クリーニング処理が行われるクリーニング処理位置P3と、樹脂容器を容器保持部材から取り出される容器取出位置P4とを順次移動する。このため、例えば図1に示す容器供給位置P1に配置された容器保持部材5aに樹脂容器8が供給されている間に、コーティング位置P2に配置された容器保持部材5bとチャンバ蓋部11とによって樹脂容器8にコーティング処理を行いつつ、クリーニング処理位置P3に配置された容器保持部材5cの樹脂容器8にクリーニング処理を行ない、さらに、容器取出位置P4に配置された容器保持部材5dからコーティング処理済の樹脂容器を取り出すことができる。
【0059】
このように、未成膜容器供給工程と、コーティング処理工程と、クリーニング処理工程と、成膜完了容器取出工程とを並行して行うことができるため、コーティング処理を要する樹脂容器を製造する量産効率を向上させることができる。
【0060】
図5は、樹脂容器製造システム30の一実施形態を上方から見た平面図である。樹脂容器製造システム30は、樹脂容器を製造する成形機(樹脂容器製造装置の一例)40と、樹脂容器にコーティング処理を行なう樹脂容器用コーティング装置1と、成形機40で製造された樹脂容器を樹脂容器用コーティング装置1に搬送するロボットアーム(樹脂容器搬送装置の一例)50を備える。なお、樹脂容器用コーティング装置1は、第1の実施形態において説明した樹脂容器用コーティング装置と同じ装置である。
【0061】
成形機40は、樹脂容器の原料が供給される原料供給ステージ41と、プリフォームを成形するプリフォーム成形ステージ42と、プリフォームの温度分布を均一にするための温度調整ステージ43と、空気を吹き込むブロー成形ステージ44と、成形した樹脂容器を取り出す取出ステージ45を備えている。取出ステージ45に並列配置される樹脂容器の数および樹脂容器のピッチ(金型のピッチ)は、樹脂容器用コーティング装置1の容器供給位置P1に配置される容器保持部材5a,5b,5c,5dの容器保持用孔部9a,9b,9c,9dの数およびそのピッチに対応するように設定されている。
【0062】
ロボットアーム50は、成形機40と樹脂容器用コーティング装置1との間に配置されている。ロボットアーム50は、成形機40の取出ステージ45に配置されている樹脂容器を取り出して、取り出した樹脂容器を樹脂容器用コーティング装置1の容器供給位置P1に配置されている容器保持部材5aに搬送する。また、ロボットアーム50は、搬送した樹脂容器を容器保持部材5aの容器保持用孔部9aに嵌入することにより保持させる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の樹脂容器製造システム30によれば、成形機40に保持された樹脂容器が、ロボットアーム50によって直接的に樹脂容器用コーティング装置1に供給される。このため、成形機40によって製造された樹脂容器をベルトコンベヤーで搬送してコーティング装置まで搬送する構成と比較して、コーティング装置に設置するための整列作業が不要となり量産効率がより向上する。
【0064】
また、取出ステージ45の樹脂容器数およびそのピッチ(金型のピッチ)と、容器供給位置P1の容器保持用孔部9a,9b,9c,9dの数およびそのピッチを対応させたことにより、ロボットアーム50によって確実に樹脂容器を受け渡すことができ、更に量産効率を向上させることができる。
【0065】
なお、取出ステージ45の樹脂容器数およびそのピッチ(金型のピッチ)と、容器供給位置P1の容器保持用孔部9a,9b,9c,9dの数およびそのピッチが異なる構成の場合は、ロボットアーム50によって、ピッチや数の相違を調整する構成としても良い。
【0066】
また、回転台3上に配置される容器保持部材の数、すなわちコーティング処理工程と並行して行う他の工程の数は、上記の例に限らず、クリーニング処理を省略した3工程、または、他の処理を加えて5以上の工程であっても良い。これによりさらに量産効率を向上させることが可能になる。
【0067】
また、コーティング処理の回数は1回に限定されず、2回のコーティング処理を行なうようにしても良い。すなわちコーティング処理工程を2工程備えるようにしても良い。その場合、同じコーティング処理を2回行うようにしても良いし、あるいは2回目のコーティング処理においては1回目と異なる膜を成膜するようにしても良い。
【0068】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0069】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2013年1月18日出願の日本特許出願・出願番号2013-007369に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0070】
1:樹脂容器用コーティング装置、2:機台、3:回転台、5a,5b,5c,5d:容器保持部材(チャンバ本体部)、6:駆動機構、7:支軸、8a,8b,8c,8d:樹脂容器、9a,9b,9c,9d:容器保持用孔部、10:コーティング部、11:チャンバ蓋部(電極部材の一例)、12:チャンバ蓋支持部、13:内部電極、14:ガス供給部、15:高周波電源、20:クリーニング部、21:容器押さえ部、22:容器押さえ支持部、23:ノズル、24:圧縮空気供給部、P1:容器供給位置、P2:コーティング処理位置、P3:クリーニング処理位置、P4:容器取出位置
図1
図2
図3
図4
図5