特許第6352836号(P6352836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6352836取付具、および滑り止め基台の組立セット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352836
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】取付具、および滑り止め基台の組立セット
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   A47G29/00 B
   A47G29/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-39346(P2015-39346)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-158817(P2016-158817A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】500459029
【氏名又は名称】株式会社赤ん坊カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】三島 世記
【審査官】 大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/040763(WO,A1)
【文献】 実開平03−046340(JP,U)
【文献】 特開平06−121725(JP,A)
【文献】 実公昭37−019732(JP,Y1)
【文献】 米国特許第2882005(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0067544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑り止め基台と、その滑り止め基台に回転可能および振子型運動可能に連結した機能体とを含む取付具であって、
(A)前記滑り止め基台が
(1)前記機能体の連結端部球状体を回転可能に固定して包むと共に前記機能体の振子型運動を可能にするスリットを有するドーム部を備えたドーム担持面と、そのドーム担持面の反対側で被巻付け体表面に対向させる取付面とを有するベース部、
(2)前記ベース部の前記取付面側に設けた収納室に収納され、その収納室から突出した露出部に、前記被巻付け体表面に密着させる接触面を有する滑り止め部、および
(3)前記ベース部と前記滑り止め部との間に介在し、両者を連結固定する連結プレート部
を含むこと、
(B)前記滑り止め部が、前記接触面を含む滑り止めプレート部の全周縁部に、前記接触面の反対側方向に立設する全周フェンス部を有すると共に、その全周フェンス部の先端に、内側方向に曲げて設けた全周フランジ部を有し、前記滑り止めプレート部と前記全周フェンス部と前記全周フランジ部との各内側表面によって形成された全周内側嵌合溝部に、前記連結プレート部の端縁部全周が嵌め込まれていること、
(C)前記連結プレート部が、プラスチック材料からなり、ベース部側の表面から相互に平行に立設する少なくとも1対の係止小柱部を備え、前記係止小柱部の各先端に相互に離間する反対方向に突出する係止突起部を備えること、
(D)前記ベース部は、機能体挿入貫通開口部とドーム底部開口部とが前記スリットの一方の端部で相互に連絡して形成された2穴連結型開口部を備え、ドーム底部開口部は、前記機能体の連結端部球状体を通過させる口径を有すること、
(E)前記2穴連結型開口部の対向する両端部壁面に相当する機能体挿入貫通開口部壁面およびドーム底部開口部壁面には、前記連結プレート部を、前記取付面側から前記ドーム担持面側の方向に前記2穴連結型開口部に挿入した際に、前記係止小柱部を内側方向に撓めながら前記係止突起部を案内する摺動ガイド溝を有すること、
(F)前記摺動ガイド溝の前記ドーム担持面側の端部表面に設けられたストッパー溝に、前記係止突起部が係止され、前記係止突起部が前記装入方向とは反対側へ戻ることが禁止されていること、
(G)前記連結プレート部によって、少なくとも前記ドーム底部開口部が閉鎖されていること
(H)前記滑り止め部が、弾性変形可能な軟質材料からなること
を特徴とする、前記取付具。
【請求項2】
前記機能体が、吊下手段、懸下手段、係止手段、把持手段、運搬手段、保持手段、支持手段、展示手段、保存手段、または連結手段である、請求項1に記載の取付具。
【請求項3】
前記連結プレート部を前記収納室の所定位置に位置合わせする手段として、相互に嵌合可能な小突起部と穴部との組合せを、前記収納室の底面と連結プレート部の表面とに設ける、請求項1または2に記載の取付具。
【請求項4】
前記滑り止め基台と前記連結プレート部との間、および前記連結プレート部と前記滑り止め部との間に、液漏れを発生する量の接着剤を使用しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の取付具。
【請求項5】
前記滑り止め基台と前記連結プレート部との間、および前記連結プレート部と前記滑り止め部との間に、接着剤を使用しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の取付具。
【請求項6】
被巻付け体にベルトで巻き付けて装着可能な、請求項1〜5のいずれか一項に記載の取付具。
【請求項7】
取付具に用いる滑り止め基台の組立セットであって、
(A)前記組立セットが
(1)機能体の連結端部球状体を回転可能に固定して包むことができると共に前記機能体の振子型運動を可能にするスリットを有するドーム部を一方の表面に有し、被巻付け体表面に対向させる反対側表面に収納室を有するベース部、
(2)前記ベース部の前記収納室に収納可能で、その収納室から突出した露出部に、被巻付け体表面に密着させる接触面を有する滑り止め部、および
(3)前記ベース部と前記滑り止め部との間に介在し、両者を連結固定する連結プレート部
を含むこと、
(B)前記滑り止め部が、前記接触面を含む滑り止めプレート部の全周縁部に、前記接触面の反対側方向に立設する全周フェンス部を有すると共に、その全周フェンス部の先端に、内側方向に曲げて設けた全周フランジ部を有し、前記滑り止めプレート部と前記全周フェンス部と前記全周フランジ部との各内側表面によって形成された全周内側嵌合溝部に、前記連結プレート部の端縁部全周を嵌め込むことができること、
(C)前記連結プレート部が、プラスチック材料からなり、ベース部側の表面から相互に平行に立設する少なくとも1対の係止小柱部を備え、前記係止小柱部の各先端に相互に離間する反対方向に突出する係止突起部を備えること、
(D)前記ベース部は、機能体挿入貫通開口部とドーム底部開口部とが前記スリットの一方の端部で相互に連絡して形成された2穴連結型開口部を備え、ドーム底部開口部は、前記機能体の連結端部球状体を通過させる口径を有すること、
(E)前記2穴連結型開口部の対向する両端部壁面に相当する機能体挿入貫通開口部壁面およびドーム底部開口部壁面には、前記連結プレート部を、前記取付面側から前記ドーム担持面側の方向に前記2穴連結型開口部に挿入した際に、前記係止小柱部を内側方向に撓めながら前記係止突起部を案内することができる摺動ガイド溝を有すること、
(F)前記摺動ガイド溝の前記ドーム担持面側の端部表面に、前記係止突起部が係止し、更に前記係止突起部が前記装入方向とは反対側へ戻ることを禁止するストッパー溝が設けられていること、および
(G)前記連結プレート部によって、少なくとも前記ドーム底部開口部が閉鎖可能であること
(H)前記滑り止め部が、弾性変形可能な軟質材料からなること
を特徴とする、前記組立セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付具、および滑り止め基台の組立セットに関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーカー用の吊下フック具は、ハンドルバー(ベビーカーを走行させる際に手で握って進行方向へ押す横方向バー)などにベルトで巻き付け、ベルト表面の面ファスナーを貼り合わせて固定して利用されている。ベビーカーでは、こうした吊下フック具を、水平な横方向バーだけでなく、図17に示すように、水平面から傾斜したバー71にベルト72を巻き付けて吊下フック具70を取り付ける利用形態も増加している。上方に位置する水平ハンドルバーに吊下フック具を巻き付けて装着して、重い荷物を吊り下げるとベビーカーが転倒し易くなるので、傾斜したサイドフレームバー71などの下方に吊下フック具70を装着して荷物を吊り下げる要求があるからである。こうした要求に応えて、フック部73が矢印Rの方向に360度回転可能であるだけでなく、吊下フック具70の基台74が傾斜した場合でも、フック部73を矢印Sの方向に180度回転可能にして垂直方向に懸下させる構造が利用されており、更に基台74が傾斜バー上でずれて落ちないように滑り止め手段75を設けることも広く行われている。
【0003】
滑り止め手段を備えた吊下フック具としては、例えば、従来から、図18に示すように、被巻付け棒状体(例えば、傾斜バー)と接触させる取付面77Xの両端に、一対の滑り止め小片78を対向させて設けた吊下フック具70X(特許文献1の図7参照)や、図19に示すように、被巻付け棒状体と接触させる取付面77Yの全体に矩形状滑り止め層81を設けた吊下フック具70Y(特許文献2の図10参照)が知られている。
【0004】
図18に示す滑り止め小片78を設けた前記吊下フック具70Xでは、滑り止め小片78が取付ベース部82Xから容易に外れないようにするために、例えば、滑り止め小片78の側面にリブを設け、滑り止め小片78を深さ方向に長くして取付ベース部82Xに深く差し込み、更に、滑り止め小片78として高硬度材料を使用して熱変化による変形からの脱離を防止するなどの手法が利用されていたが、取付ベース部82Xに対する滑り止め小片78の固定は不十分であった。しかも、滑り止め小片78と被巻付け棒状体との接触面積も少ないため、滑り止め効果も不十分であった。更に、気温及び湿度の変化による影響を抑えるために、高硬度材料を使用すると滑り止め効果が制限され、滑り止め効果の向上を図って硬度を下げると、気温及び湿度の変化による影響から変形して脱落が起きやすくなるという欠点もあった。
【0005】
これに対して、図19に示す吊下フック具70Yでは、被巻付け棒状体との接触面積が広いため、滑り止め効果が向上する。また、滑り止め層81の脱落防止手段として、滑り止め層81の裏面全体に接着剤を塗り、滑り止め層81を取付ベース部82Yに強固に貼着させることができるので、高い滑り止め効果を要求される用途においては、図19に示す吊下フック具70Yに接着剤を利用する態様が実用化されている。しかしながら、特に振子型運動が可能な吊下フック具において、滑り止め層81の固定に接着剤を用いると、接着剤漏れによる不良品の発生率が高くなり、歩留まりが悪化するという欠点があった。特に、振子型運動可能な吊下フック具において接着剤を用いると、その製造工程が極めて煩雑になるという欠点もあった。
これらの欠点を、図19に示す従来の振子運動可能な吊下フック具70Yに沿って以下に説明する。
【0006】
図19に示す吊下フック具70Yは、主に、取付ベース部82Y、矩形状滑り止め層81、フック部73Y、及びベルト部72Yを含んでいる。このような吊下フック具70Yは、例えば、以下の図20(a)〜図20(f)に示す方法によって製造されている。
最初に、図20(a)に示すように、取付ベース部82Yとフック部73Yとを用意する。取付ベース部82Yは、被巻付け棒状体(図示せず)の表面に対向させる取付面77Yを有し、その反対側表面にドーム担持面85を含む〔図20(b)参照〕。図20(b)に示すように、ドーム担持面85は、その中央に半球状ドーム部87を備え、ドーム部87は、その中央部を一方の端部から他方の端部まで半球面に沿って完全に横断するスリット88を有する。ドーム部87は、その内部中央部に球状収納室89を備え、フック部73Yの連結端部球状体91を包み込んで回転可能に保持することができる。すなわち、フック部73Yは、図19の矢印Rで示す方向に360度の回転が可能である。また、フック部73Yは、連結端部球状体91とフック本体部92との間のネック部93で外径が細くなっており、その細径ネック部93は前記スリット88の間隙を通過することができるが、前記スリット88の間隙は、連結端部球状体91の外径およびフック本体部92の外径よりも狭いので、両者を通過させない。従って、フック部73Yの振子型往復運動が可能になる。すなわち、フック部73Yは、図19の矢印Sで示す方向に180度の回転が可能である。
【0007】
次に、図20(c)に示すように、フック部73Yの連結端部球状体91を、取付ベース部82Yの挿入貫通開口部94から挿入して取付面77Y側に突出させ、続いて、図20(d)に示すように、突出した連結端部球状体91をドーム底部開口部95から球状収納室89の内部に移動させる。その際に、細径ネック部93が、挿入貫通開口部94から、前記スリット88の連結端部90を通過して、前記スリット88に入り込むので、フック部73Yの全体をドーム部87に移動させることができる。こうして、図20(e)に示すように、フック部73Yが取付ベース部82Yから垂直方向に吊下り、フック部73Yが矢印Rに示す方向に回転可能で、矢印Sに示す方向に振子型の往復運動が可能な状態で収納される。
【0008】
続いて、図20(e)に示すように、取付ベース部82Yの2穴連結型開口部96に閉鎖蓋部97を嵌め込み、前記2穴連結型開口部96を閉鎖すると、図20(f)に示すように、球状収納室89の底面が閉鎖されるので、連結端部球状体91が球状収納室89の外側に飛び出さずに、内部に収納されることになる。また、閉鎖蓋部97は、2穴連結型開口部96を閉鎖して収納室79の底面80を形成することにもなり、取付ベース部82Yの取付面77Yに、矩形状滑り止め層81の収納室79が形成される。次に、図20(f)に示すように、収納室79の底面80および/または矩形状滑り止め部81の貼着面に接着剤を塗布し、矩形状滑り止め部81を収納室79の底面80に貼着することによって、図19に示す吊下フック具70Yが製造される。
【0009】
しかしながら、この吊下フック具70Yは、2穴連結型開口部96と閉鎖蓋部97との隙間からドーム部87の球状収納室89に接着剤が漏れ出すことがあった。接着剤の液だれが起きると、その部分が白化し、不良品となる。また、接着剤の液だれを防止するためには、液漏れの原因となる隙間が形成されないように、閉鎖蓋部97の寸法を極めて精巧に成形する必要があるか、あるいは2穴連結型開口部96の寸法に対して若干大きめの閉鎖蓋部97を用意し、ハンマーで叩き込んで嵌め合わせる工程が必要であった。特に、ハンマー叩込工程は、1cm×2cm程度のプラスチック製扁平小片をハンマーで叩いて強い押圧力を与えて押し込む操作であり、高い集中力が要求される煩雑なものであった。更に、接着剤の液だれは、矩形状滑り止め層の収納室79の四周からも発生することがあるため、十分な接着力を保証しながら液だれを発生しない量で接着剤を塗布する工程も高い集中力が要求され、煩雑であった。また、接着剤の液だれを完全に防止することは極めて困難で、不良品が必ず発生するため、歩留まりの向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2002/040763号
【特許文献2】国際公開第2014/030402号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、滑り止め手段を備えた振子型運動可能な吊下フック具における従来技術の前記欠点を解消するために、鋭意研究を重ねた結果、前記吊下フック具の特異な構造に注目し、その特異な構造を利用して、接着剤を使用せずに、広い滑り止め面を備えると共に脱落も起きない吊下フック具を開発することに成功した、また、その手法を一般的な滑り止め基台に適用して、取付具に広く応用することができることも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、滑り止め基台と、その滑り止め基台に回転可能および振子型運動可能に連結した機能体とを含む取付具であって、
(A)前記滑り止め基台が
(1)前記機能体の連結端部球状体を回転可能に固定して包むと共に前記機能体の振子型運動を可能にするスリットを有するドーム部を備えたドーム担持面と、そのドーム担持面の反対側で被巻付け体表面に対向させる取付面とを有するベース部、
(2)前記ベース部の前記取付面側に設けた収納室に収納され、その収納室から突出した露出部に、前記被巻付け体表面に密着させる接触面を有する滑り止め部、および
(3)前記ベース部と前記滑り止め部との間に介在し、両者を連結固定する連結プレート部
を含むこと、
(B)前記滑り止め部が、前記接触面を含む滑り止めプレート部の全周縁部に、前記接触面の反対側方向に立設する全周フェンス部を有すると共に、その全周フェンス部の先端に、内側方向に曲げて設けた全周フランジ部を有し、前記滑り止めプレート部と前記全周フェンス部と前記全周フランジ部との各内側表面によって形成された全周内側嵌合溝部に、前記連結プレート部の端縁部全周が嵌め込まれていること、
(C)前記連結プレート部が、可撓性材料からなり、ベース部側の表面から相互に平行に立設する少なくとも1対の係止小柱部を備え、前記係止小柱部の各先端に相互に離間する反対方向に突出する係止突起部を備えること、
(D)前記ベース部は、機能体挿入貫通開口部とドーム底部開口部とが前記スリットの一方の端部で相互に連絡して形成された2穴連結型開口部を備え、ドーム底部開口部は、前記機能体の連結端部球状体を通過させる口径を有すること、
(E)前記2穴連結型開口部の対向する両端部壁面に相当する機能体挿入貫通開口部壁面およびドーム底部開口部壁面には、前記連結プレート部を、前記取付面側から前記ドーム担持面側の方向に前記2穴連結型開口部に挿入した際に、前記係止小柱部を内側方向に撓めながら前記係止突起部を案内する摺動ガイド溝を有すること、
(F)前記摺動ガイド溝の前記ドーム担持面側の端部表面に設けられたストッパー溝に、前記係止突起部が係止され、前記係止突起部が前記装入方向とは反対側へ戻ることが禁止されていること、
(G)前記連結プレート部によって、少なくとも前記ドーム底部開口部が閉鎖されていることを特徴とする、前記取付具に関する。
【0013】
本発明による取付具の好ましい態様においては、前記機能体が、吊下手段、懸下手段、係止手段、把持手段、運搬手段、保持手段、支持手段、展示手段、保存手段、または連結手段である。
【0014】
本発明による取付具の別の好ましい態様においては、前記連結プレート部を前記収納室の所定位置に位置合わせする手段として、相互に嵌合可能な小突起部と穴部との組合せを、前記収納室の底面と連結プレート部の表面とに設ける。
【0015】
本発明による取付具の更に別の好ましい態様においては、前記滑り止め基台と前記連結プレート部との間、および前記連結プレート部と前記滑り止め部との間に、液漏れを発生する量の接着剤を使用しない。
【0016】
本発明による取付具の更に別の好ましい態様においては、前記滑り止め基台と前記連結プレート部との間、および前記連結プレート部と前記滑り止め部との間に、接着剤を使用しない。
【0017】
本発明による取付具の更に別の好ましい態様においては、被巻付け体にベルトで巻き付けて装着可能である。
【0018】
また、本発明は、取付具に用いる滑り止め基台の組立セットであって、
(A)前記組立セットが
(1)機能体の連結端部球状体を回転可能に固定して包むことができると共に前記機能体の振子型運動を可能にするスリットを有するドーム部を一方の表面に有し、被巻付け体表面に対向させる反対側表面に収納室を有するベース部、
(2)前記ベース部の前記収納室に収納可能で、その収納室から突出した露出部に、被巻付け体表面に密着させる接触面を有する滑り止め部、および
(3)前記ベース部と前記滑り止め部との間に介在し、両者を連結固定する連結プレート部
を含むこと、
(B)前記滑り止め部が、前記接触面を含む滑り止めプレート部の全周縁部に、前記接触面の反対側方向に立設する全周フェンス部を有すると共に、その全周フェンス部の先端に、内側方向に曲げて設けた全周フランジ部を有し、前記滑り止めプレート部と前記全周フェンス部と前記全周フランジ部との各内側表面によって形成された全周内側嵌合溝部に、前記連結プレート部の端縁部全周を嵌め込むことができること、
(C)前記連結プレート部が、可撓性材料からなり、ベース部側の表面から相互に平行に立設する少なくとも1対の係止小柱部を備え、前記係止小柱部の各先端に相互に離間する反対方向に突出する係止突起部を備えること、
(D)前記ベース部は、機能体挿入貫通開口部とドーム底部開口部とが前記スリットの一方の端部で相互に連絡して形成された2穴連結型開口部を備え、ドーム底部開口部は、前記機能体の連結端部球状体を通過させる口径を有すること、
(E)前記2穴連結型開口部の対向する両端部壁面に相当する機能体挿入貫通開口部壁面およびドーム底部開口部壁面には、前記連結プレート部を、前記取付面側から前記ドーム担持面側の方向に前記2穴連結型開口部に挿入した際に、前記係止小柱部を内側方向に撓めながら前記係止突起部を案内することができる摺動ガイド溝を有すること、
(F)前記摺動ガイド溝の前記ドーム担持面側の端部表面に、前記係止突起部が係止し、更に前記係止突起部が前記装入方向とは反対側へ戻ることを禁止するストッパー溝が設けられていること、および
(G)前記連結プレート部によって、少なくとも前記ドーム底部開口部が閉鎖可能であること
を特徴とする、前記組立セットにも関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による取付具は、広い接触面を有する滑り止め部を連結プレート部に嵌め込んで一体化する操作が単純かつ簡単で、両者を一体化した滑り止めプレート部をベース部に嵌め込む操作も単純かつ簡単であり、従って、取付具の組み立て工程全体が極めて簡単である。それにもかかわらず、広い接触面を有する滑り止め部を極めて強固にベース部に連結させることができる。
また、本発明による取付具では、滑り止め部の固定に連結プレート部を使用し、接着剤を用いる必要がないので、接着剤の液漏れが発生せず、歩留まりが向上するだけでなく、接着剤の乾燥工程が不要になって製造時間が短縮し、製造コストが低減化される。更に、連結プレート部によってドーム底部開口部が閉鎖されるので、従来法で寸法を精密に制御して成形していた閉鎖蓋部の製造それ自体が不要になり、閉鎖蓋部のハンマー打込み工程も不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による吊下フック具の斜視図である。
図2図1に示す吊下フック具を底面側から観察した斜視図である。
図3図1および図2に示す吊下フック具の分解斜視図である。
図4図3のベース部をドーム担持面側から観察した斜視図である。
図5図3のベース部をドーム担持面側から観察した底面図である。
図6図3の滑り止め部を図3とは別の方向から観察した斜視図である。
図7図3の滑り止め部のB−B’線断面図である。
図8図3の連結プレート部を図3とは別の方向から観察した斜視図である。
図9図3の連結プレート部のC−C’線断面図である。
図10図3のベース部を取付面側から観察した平面図である。
図11図3のベース部のD−D’線断面図である。
図12】ベース部の別の態様の斜視図である。
図13図1に示す吊下フック具のA−A’線断面図である。
図14】滑り止めプレート部を仮収納体に嵌め込む前の状態を示す断面図である。
図15】機能体としてハンドルを含む本発明の取付具の斜視図である。
図16】機能体としてホルダーを含む本発明の取付具の斜視図である。
図17】従来の吊下フック具の斜視図である。
図18】一対の滑り止め小片を対向させて設けた従来の吊下フック具の斜視図である。
図19】矩形状滑り止め層を設けた従来の吊下フック具の斜視図である。
図20(a)】矩形状滑り止め層を設けた従来の吊下フック具の製造方法を示した説明図である。
図20(b)】矩形状滑り止め層を設けた従来の吊下フック具の製造方法を示した説明図である。
図20(c)】矩形状滑り止め層を設けた従来の吊下フック具の製造方法を示した説明図である。
図20(d)】矩形状滑り止め層を設けた従来の吊下フック具の製造方法を示した説明図である。
図20(e)】矩形状滑り止め層を設けた従来の吊下フック具の製造方法を示した説明図である。
図20(f)】矩形状滑り止め層を設けた従来の吊下フック具の製造方法を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による取付具の1実施態様である吊下フック具に関して、図面に沿って以下に説明する。
図1及び図2は、本発明による吊下フック具10の斜視図であり、図3は、その分解斜視図である。吊下フック具10は、滑り止め基台1、機能体としてのフック部11A、およびベルト17を含む。滑り止め基台1は、ベース部2と滑り止め部4と連結プレート部6とを含む。
【0022】
ベース部2は大略平板状で、その一方の表面は、ドーム担持面21であり、反対側の表面は、被巻付け体表面に対向させる取付面25である。ドーム担持面21は、半球状のドーム部22を備え、図4及び図5に示すように、ドーム部22は、その中央部を一方の連結端部33から他方の閉鎖端部34まで半球面に沿って完全に横断するスリット23を有する。ドーム部22は、ドーム担持面21の略中央に位置させることが好ましい。ドーム部22は、その内部中央部に球状収納室24を備え、フック部11Aの連結端部球状体13を脱落不能に包み込んで閉じ込め、しかも回転可能に保持することができる。すなわち、フック部11Aは、図1の矢印Rで示す方向に360度の回転が可能である。また、フック部11Aは、連結端部球状体13とフック本体部14との間のネック部15で外径が細くなっており、一方で前記スリット23の幅は、ネック部15の外径よりも広いのでネック部15を通過させるが、連結端部球状体13の外径およびフック本体部14の外径よりも狭いので、両者を通過させない。従って、細径ネック部15が前記スリット23の間隙に沿って移動し、フック部11Aの振子型往復運動が可能になる。すなわち、フック部11Aは、図1の矢印Sで示す方向に180度の回転が可能である。
【0023】
滑り止め部4は、前記ベース部2の取付面25側に設けた収納室27に収納され、その収納室27の周縁囲み塀部28から突出した露出部29に、被巻付け体表面に密着させる接触面41を有する。滑り止め部4の周縁の形状は、前記収納室27の周縁囲み塀部28の内壁面にほとんど間隙を残さずに収まる形状を有する。滑り止め部4は、その全体が、通常の滑り止め手段と同様の材料、すなわち、弾性変形可能な軟質材料からなり、具体的には、エラストマーやゴム材料である。
【0024】
滑り止め部4は、特に図6図3とは別の方向である底面側から観察した斜視図)および図7図3のB−B’線断面図)に示す通り、接触面41を含む滑り止めプレート部43の全周縁部45に、接触面41の反対側方向に立設する全周フェンス部47を有すると共に、その全周フェンス部47の先端に、内側方向(図7の矢印Fの方向)に曲げて設けた全周フランジ部48を有し、滑り止めプレート部43と全周フェンス部47と全周フランジ部48との各内側表面によって全周内側嵌合溝部49を形成する。この全周内側嵌合溝部49には、連結プレート部6の端縁部全周51が嵌め込まれる。前記接触面41は、取付対象となる被巻付け体の表面形状に沿って変形させることができる。例えば、被巻付け棒状体の湾曲表面に沿って湾曲させることができる。
【0025】
連結プレート部6は、ベース部2と滑り止め部4との間に介在し、両者を連結固定する機能を有する。連結プレート部6は、プラスチック材料などの可撓性材料からなり、特に図8図3とは別の方向である底面側から観察した斜視図)及び図9図3のC−C’線断面図)に示すように、ベース部2と接触する側の結合表面66に、相互に平行に立設する少なくとも1対の係止小柱部61,61を備え、係止小柱部61,61の各先端に相互に離間する反対方向(図9の矢印Gの方向)に突出する係止突起部63,63を備える。また、位置合わせ用穴67を有することができる。係止小柱部の形状は、図8および図9に示す四角柱状に限定されず、断面が円形や楕円形である円柱状や楕円柱状、あるいは断面が多角形である角柱状や、扁平な板柱状とすることができる。また、係止小柱部の数も、図示した態様での1対に限定されず、2対ないしそれ以上であることもできる。例えば、2対の係止小柱部を設ける場合には、各対のそれぞれ1本の係止小柱部が相互に隣り合うように平行に設けることができる。
【0026】
ベース部2は、特に図3図10および図11図3のD−D’線断面図)に示すように、収納室27の底面となる領域に、フック部11Aの挿入貫通開口部30とドーム底部開口部31とがスリット23の一方の連結端部33で相互に連絡して形成された2穴連結型開口部32を備える。ドーム底部開口部31は、連結端部球状体13を球状収納室24に収納させるために使用する開口部であり、挿入貫通開口部30は、連結端部球状体13を球状収納室24に収納させ、ネック部15をスリット23に装着させる前に使用する開口部である。従って、滑り止め基台1を組立てた後では、挿入貫通開口部30およびドーム底部開口部31は使用せず、特にドーム底部開口部31は、閉鎖して連結端部球状体13を脱落不能に包み込んで閉じ込める必要がある。ドーム部22は、好ましくはドーム担持面21の略中央に位置することから、それに従って、ドーム底部開口部31も、取付面25の略中央に位置することが好ましい。従って、挿入貫通開口部30は、略中央に位置するドーム底部開口部31のいずれか一方の端部側に隣接して設けられることが好ましい。
【0027】
挿入貫通開口部30とドーム底部開口部31とを用いて、連結端部球状体13を球状収納室24に収納させ、ネック部15をスリット23に装着させる方法は、後述するように、従来法と同様の方法を用いることができる。すなわち、挿入貫通開口部30の口径が連結端部球状体13よりも大きい場合には、連結端部球状体13をドーム担持面21の側から取付面25の方向へ挿入貫通開口部30に挿入することができる。挿入貫通開口部30の口径が連結端部球状体13よりも小さい場合には、フック部11Aの先端部18を取付面25の側からドーム担持面21の方向へ挿入貫通開口部30に挿入し、フック部11Aを挿入貫通開口部30に沿って回転させて挿入することができる。
【0028】
ドーム底部開口部31は、フック部11Aの連結端部球状体13を通過させる口径を有し、取付面25から突出した状態で挿入貫通開口部30に挿入された連結端部球状体13を球状収納室24に受け入れる際の入口となる。また、連結端部33は挿入貫通開口部30に挿入されたフック部11Aのネック部15をスリット23に装着させる際の入口となる。なお、前記フック部11Aの挿入貫通開口部30の中心30Cと前記ドーム底部開口部31の中心31Cとを結ぶ直線40(図10参照)を、前記スリット23が延びる方向と略一致させることにより、フック部11Aのネック部15を連結端部33からスリット23に円滑に装着させることができる。挿入貫通開口部30は、通過させるフック部11A(特にフック本体部14)の断面形状に合わせて、円形や、図12に示すような四角形(特に正方形)であることができる。一方、ドーム底部開口部31は、連結端部球状体13を通過させるので、一般的には円形である。
【0029】
2穴連結型開口部32は、相互に対向する両端部壁面(すなわち、一方は、挿入貫通開口部30の連結端部33とは反対側の壁面、もう一方は、ドーム底部開口部31の閉鎖端部34の壁面、すなわち、連結端部33とは反対側の壁面)に、摺動ガイド溝35,35を有する。摺動ガイド溝35,35を設けた対向する両壁面は、取付面25の収納室27の底面からドーム担持面21上のストッパー溝38,38の手前まで、例えば、図11に示すように、徐々に両壁面間距離を狭くする方向に傾斜しながら連続して延びていることが好ましい。この場合は、対向する両摺動ガイド溝35,35の底面間の距離も、徐々に狭くなる方向に傾斜しながら連続して延びることになる。なお、摺動ガイド溝35,35を設けた両壁面は、その両壁面間距離(および対向する両摺動ガイド溝35,35の底面間の距離)を等距離に保ちながら延びていることもできる。
【0030】
係止小柱部61,61を備えた連結プレート部6の結合表面66をベース部2に押し当てると、係止小柱部61,61の先端に設けた係止突起部63,63が、摺動ガイド溝35,35の中に入り込み、摺動ガイド溝35,35の中に入り込んだ状態で収納室底面側からドーム担持面側へスライドする。なお、摺動ガイド溝35,35を設けた対向する両壁面間距離を徐々に狭くしている場合は、可撓性材料からなる係止小柱部61,61が内側方向に撓みながらスライドする。
【0031】
ベース部2を更に押し込んで係止突起部63,63が摺動ガイド溝35,35を通り抜けてドーム担持面21まで達すると、ドーム担持面21上にストッパー溝38,38が設けられているので、係止突起部63,63はストッパー溝38,38に嵌め込まれる。図8に示すように、係止小柱部61,61の横幅は、係止突起部63,63の横幅と同じ長さなので、係止突起部63,63がストッパー溝38,38に嵌め込まれると、係止小柱部61,61も内側方向への撓みから開放され、係止小柱部61,61の側面が摺動ガイド溝35,35の内部に入り込み、係止小柱部61,61の側壁面が摺動ガイド溝35,35の内部壁面と密着することになる。従って、係止突起部63,63が前記装入方向とは反対側へ戻ることは禁止される。なお、係止突起部63,63の横幅が、係止小柱部61,61の横幅よりも長くてもよく、この場合は、係止突起部63,63がストッパー溝38,38に嵌め込まれると、係止小柱部61,61の側壁面が、摺動ガイド溝35,35を設けた各壁面と密着するので、係止突起部63,63が前記装入方向とは反対側へ戻ることは同様に禁止される。
【0032】
更に、係止突起部63,63がストッパー溝38,38に嵌め込まれると、連結プレート部6によって、ドーム底部開口部31と、挿入貫通開口部30は閉鎖される。球状収納室24の内部に連結端部球状体13が収納された状態で、ドーム底部開口部31が連結プレート部6によって閉鎖されると、図13(断面図)に示すように、連結端部球状体13は球状収納室24の内部に封じ込まれることになる。
【0033】
係止小柱部61,61の各外側表面間距離D2(図9参照)は、摺動ガイド溝35,35の溝内底面間最小距離E1(図11参照)と同距離にするか、またはそれより大きい距離にすることが好ましい。係止小柱部61,61の各外側表面間距離D2が、摺動ガイド溝35,35の溝内底面間最小距離E1よりも小さい距離の場合には、連結プレート部6をベース部2に有効に係止させることができなくなる。係止突起部63,63の各外側表面間距離D1(図9参照)は、摺動ガイド溝35,35の溝内底面間最大距離E2(図11参照)と同距離にするか、またはそれより小さい距離にすることが好ましい。係止突起部63,63の各外側表面間距離D1が摺動ガイド溝35,35の溝内底面間最大距離E2よりも大きい距離の場合には、係止突起部63,63を、摺動ガイド溝35,35に入り込ませるのが困難になる。摺動ガイド溝35,35は、相互間距離が徐々に狭くなる方向に傾斜しているので、連結プレート部6をベース部2に押し込むと、係止突起部63,63が外側に突出している距離に応じて、係止小柱部61,61が内側方向に撓むことになる。
【0034】
ベース部2の取付面25側の収納室27の底面に小突起部39を設け、その小突起部39に嵌合可能な穴67を連結プレート部6の結合表面66の上に設けて、連結プレート部6を収納室の所定位置に位置合わせする手段とすることができる。前記小突起部を連結プレート部6に設け、嵌合可能な穴をベース部2の取付面25側の収納室27の底面に設けることもできる。その他の任意の位置合わせ手段を用いることもできる。
【0035】
次に、本発明による吊下フック具10の組み立て方法を説明する。
最初に、滑り止め部4と連結プレート部6とを一体化させ、図14(断面図)に示すように、滑り止めプレート部5を形成する。具体的には、滑り止め部4の全周内側嵌合溝部49に、連結プレート部6の端縁部全周51を嵌め込む。その際、滑り止め部4は、接触面41を露出させ、連結プレート部6は、係止小柱部61,61を備える結合表面66を外側に露出させる。一般的に、滑り止め部4は弾性変形可能な軟質材料からなり、連結プレート部6は可撓性材料からなるので、一体化は、連結プレート部6を滑り止め部4に嵌め込むだけの極めて単純で簡単な作業となり、また、この簡単な作業によって生産効率を大幅に向上させることができる。
【0036】
一方で、従来法と同様の通常の操作で、図14(断面図)に示すように、フック部11Aをベース部2に装着して、仮収納体3を形成する。具体的には、図20(a)〜図20(f)に示すように、フック部11Aを挿入貫通開口部30に挿入し、連結端部球状体13がベース部2の取付面25から突出した状態とする。続いて、連結端部球状体13をドーム底部開口部31から球状収納室24に移動させながら、ネック部15が連結端部33を通過するように移動させ、連結端部球状体13をベース部2の球状収納室24に収納させ、ネック部15をベース部2のスリット23の間に装着させる。続いて、図14(断面図)の矢印Hで示すように、前記の滑り止めプレート部5を、収納室27に挿入する。その際、係止小柱部61,61の係止突起部63,63が摺動ガイド溝35,35の中をスライドするようにあてがう。連結プレート部6と収納室27の底面とに位置合わせ手段を備えると、この操作は極めて容易になる。例えば、連結プレート部6の結合表面66の上に設けた穴67を、ベース部2の収納室27の底面に設けた小突起部39に嵌め込むと、係止突起部63,63が摺動ガイド溝35,35に嵌め込まれるように配置することができる。
【0037】
続いて、滑り止めプレート部を押し込み、係止突起部63,63がドーム担持面21のストッパー溝38,38に達すると同時に、滑り止めプレート部の結合表面66が収納室27の底面に到達する(図13参照)。係止突起部63,63がストッパー溝38,38に嵌合すると、滑り止めプレート部を収納室27から取り出すように引き抜く力を与えても抜け出ることはない。また、滑り止め部4は、全周内側嵌合溝部49の部分で、連結プレート部6の端縁部全周51によって収納室27の底面(すなわちベース部2の取付面25)に押さえつけられており、抜け出ることはない。更に、ドーム底部開口部31は、連結プレート部6によって閉鎖されるので、連結端部球状体13が球状収納室24から外れることもない。
【0038】
本発明は、前記図1図14に沿って説明したフック具10におけるフック部11Aを別の機能体に置き換えることにより、種々の取付具に適用することができる。機能体としては、例えば、吊下手段、懸下手段、係止手段、把持手段、運搬手段、保持手段、支持手段、展示手段、保存手段、または連結手段を挙げることができる。例えば、前記図1図14に沿って説明したフック具10におけるフック部11Aを、閉環型係止具や開閉型係止具(例えば、カラビナ)のような吊下手段、懸下手段、係止手段に置き換え、種々の吊下具、懸下具、ないし係止具とすることができる。また、図15に示すように、ハンドル11Bのような把持手段または運搬手段を用いることにより、各種の把持具、運搬具、ないし連結具とすることができ、あるいは、図16に示すように、ホルダー11Cのような保持手段、支持手段、展示手段、または保存手段を用いることにより、各種の保持具、支持具、展示具、ないし保存具とすることもできる。
【0039】
本発明の取付具は、ベルトによって被巻付け体(特に被巻付け棒状体)に巻き付けて装着することができる。本発明に用いることのできるベルトは、被巻付け体に巻き付けて着脱自在に取り付けることのできる任意の公知手段であり、特に限定されない。代表的には、面ファスナー及び結束帯などを挙げることができる。ベルトは、従来の同種の取付具と同様に、例えば、図1図3に示すように、ベース部2に固着して設けてもよいし、図4に示す滑り止め基台1のベルト止め開口部16に、着脱自在に取り付けてもよい。
【0040】
被巻付け体は、特には棒状体を挙げることができるが、任意の公知のベルトによる巻き付け装着が可能であれば特に限定されない。被巻付け体は、代表的には、ベビーカー、シルバーカー、若しくは車椅子、又は自転車のハンドルやフレーム(特に、傾斜フレーム)、各種アウトドア製品のパイプ(特に、テント組立用の傾斜パイプ)、各種物流用製品のパイプ(特に、台車の傾斜フレーム)、電車の直立ポール、更には、各種家庭用品のパイプ(例えば、ベランダの手すりや柵、物干し竿)、病院や宿泊施設のベッドなどのポール部を挙げることができる。また、外径が大きい被巻付け体の一例を挙げれば、屋外用品、例えば、園芸用プランター、屋外ゴミ箱、または表示盤などがある。
【0041】
念のため、本発明の取付具の具体的な使用態様を挙げると、例えば、本発明の取付具に機能体として開閉型係止具(例えば、カラビナ)を設けた場合には、本発明取付具をベルト部によってスーツケースや鞄に巻き付け、一方、機能体としての開閉型係止具(例えば、カラビナ)によって、電車やバスなどの車内ポールに係止させ、電車やバスの車内での移動の防止や盗難防止に用いることができる。また、本発明取付具をベルト部によってスーツケースや鞄の持ち手に巻き付け、一方、機能体としてのフック部を椅子の背もたれ上端に引っ掛けて、一時的に垂れ下げることもできる。更に、本発明取付具で、ベルト部または機能体により自転車用ライトを保持した状態で、機能体またはベルト部で、自転車のハンドルバーに取り付けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、振子型運動および回転運動が可能な各種取付具に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・滑り止め基台;2・・・ベース部;3・・・仮収納体;
4・・・滑り止め部;5・・・滑り止めプレート部;
6・・・連結プレート部;10・・・取付具;11・・・機能体;
11A・・・フック部;11B・・・ハンドル;11C・・・ホルダー;
13・・・連結端部球状体;14・・・フック本体部;15・・・ネック部;
16・・・ベルト止め開口部;17・・・ベルト;21・・・ドーム担持面;
22・・・ドーム部;23・・・スリット;24・・・球状収納室;25・・・取付面;
27・・・収納室;28・・・周縁囲み塀部;29・・・露出部;
30・・・機能体挿入貫通開口部;30C・・・挿入貫通開口部の中心;
31・・・ドーム底部開口部;31C・・・ドーム底部開口部の中心;
32・・・2穴連結型開口部;33・・・連結端部;34・・・閉鎖端部;
35・・・摺動ガイド溝;36・・・両端部壁面;37・・・端部表面;
38・・・ストッパー溝;39・・・小突起部;40・・・直線;41・・・接触面;
43・・・滑り止めプレート部;45・・・全周縁部;47・・・全周フェンス部;
48・・・全周フランジ部;49・・・全周内側嵌合溝部;51・・・端縁部全周;
61・・・係止小柱部;63・・・係止突起部;65・・・穴部;66・・・結合表面;
67・・・位置合わせ用穴;70,70X, 70Y・・・吊下フック具70;
71・・・傾斜バー;72,72X,72Y・・・ベルト;
73, 73X,73Y・・・フック部;74・・・基台;75・・・滑り止め手段;
77X,77Y・・・取付面;78・・・滑り止め小片;79・・・収納室;
80・・・底面;81・・・矩形状滑り止め層;82X,82Y・・・取付ベース部;
85・・・ドーム担持面;86・・・フック用保持部;
87・・・半球状ドーム部;88・・・スリット;89・・・球状収納室;
90・・・連結端部;91・・・連結端部球状体;92・・・フック本体部;
93・・・ネック部;94・・・挿入貫通開口部;95・・・ドーム底部開口部;
96・・・2穴連結型開口部;97・・・閉鎖蓋部;98・・・収納室;
99・・・底面;
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20(a)】
図20(b)】
図20(c)】
図20(d)】
図20(e)】
図20(f)】