特許第6352838号(P6352838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352838
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20180625BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20180625BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20180625BHJP
   H04W 92/10 20090101ALI20180625BHJP
【FI】
   H04W76/10
   H04W88/08
   H04W84/12
   H04W92/10
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-46296(P2015-46296)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2016-167702(P2016-167702A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 博章
(72)【発明者】
【氏名】細田 真道
(72)【発明者】
【氏名】水谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】西野 満
【審査官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−150794(JP,A)
【文献】 特開2004−328288(JP,A)
【文献】 特開2008−072577(JP,A)
【文献】 特開2005−310173(JP,A)
【文献】 特開2011−254469(JP,A)
【文献】 特開2014−167694(JP,A)
【文献】 特開2006−191403(JP,A)
【文献】 特開2009−105895(JP,A)
【文献】 特開2012−209786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により無線通信端末と通信する第一インタフェース部と、
前記第一インタフェース部とは異なる通信方式によって前記無線通信端末と通信する第二インタフェース部と、
前記無線通信端末が前記第一インタフェース部との通信に用いる接続設定情報を記憶する記憶部と、
前記無線通信端末に前記接続設定情報の設定を実行する契機を検出する検出部と、
前記検出部により前記契機が検出された場合に、前記接続設定情報を前記第二インタフェース部から前記無線通信端末に送信する設定部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置であって、
前記無線通信端末が属するネットワークとは異なるネットワークを介して通信する第三インタフェース部をさらに備え、
前記検出部は、前記第三インタフェース部が前記異なるネットワークに接続される装置から指示を受信したことを前記契機として検出する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの無線通信端末を無線によりホームネットワークに接続するためには、無線通信端末に、ホームネットワークにおいて無線通信装置として用いられるホームゲートウェイとの無線通信に必要な設定を行う必要がある。無線通信端末にホームゲートウェイとの無線通信に必要な設定を行う従来の方法として、PC(パーソナルコンピュータ)用の専用ソフトウェアを用いる方法があった。具体的には、ホームゲートウェイと接続したPCに、(マイクロ)USB(Universal Serial Bus)によりスマートフォンを接続する。PCの専用ソフトウェアは、ユーザによるPCの操作、あるいは、PCに遠隔接続されるオペレータの端末からの指示に基づいて、無線通信用の設定ファイルをホームゲートウェイから読み出してコマンドに変換し、スマートフォンに送信する。スマートフォンは、コマンドに従って無線通信用の設定を行う。また、無線通信端末にホームゲートウェイとの無線通信に必要な設定を行う他の方法として、無線通信端末がホームゲートウェイの発した電波を受信し、この受信した電波から設定情報を取得するとともに、ユーザの操作によりさらに設定情報を無線通信端末に入力する方法もあった。
【0003】
一方、無線通信端末に対して、無線通信のために用いるパラメータの設定を自動で行う技術もある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−247400号公報
【特許文献2】特許第5453081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のように、無線通信端末にPCを用いて無線通信用の設定を行う場合、PCに専用ソフトウェアを実装する必要があり、手順が煩雑であった。また、ユーザが無線通信端末に設定情報を入力する場合においても、設定の手順がわからない、手順どおり実施したがうまく接続ができない、などのトラブルが生じることも少なくなかった。特許文献1、2の技術の場合、無線通信端末にパラメータの設定を自動で行うためには、無線通信端末と無線通信装置とが無線により初期接続できるようにしなければならない。しかし、初期接続できるようになるまでの画面遷移や、設定を行うプロセスも複雑であり、ユーザにとっては困難な場合が多い。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、無線通信端末に無線通信のための設定を容易に行うことができる無線通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、無線により無線通信端末と通信する第一インタフェース部と、前記第一インタフェース部とは異なる通信方式によって前記無線通信端末と通信する第二インタフェース部と、前記無線通信端末が前記第一インタフェース部との通信に用いる接続設定情報を記憶する記憶部と、前記無線通信端末に前記接続設定情報の設定を実行する契機を検出する検出部と、前記検出部により前記契機が検出された場合に、前記接続設定情報を前記第二インタフェース部から前記無線通信端末に送信する設定部と、を備えることを特徴とする無線通信装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記第二インタフェース部は、前記無線通信端末と有線により通信する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記第二インタフェース部は、ユニバーサルシリアルバス、ローカルエリアネットワークケーブル、または、高精細度マルチメディアインターフェースケーブルにより前記無線通信端末と通信する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、ユーザからの指示を入力する入力部をさらに備え、前記検出部は、前記入力部に設定実行の指示が入力されたことを前記契機として検出する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記無線通信端末が属するネットワークとは異なるネットワークを介して通信する第三インタフェース部をさらに備え、前記検出部は、前記第三インタフェース部が前記異なるネットワークに接続される装置から指示を受信したことを前記契機として検出する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記記憶部は、前記接続設定情報の書込み先の情報をさらに記憶し、前記設定部は、前記記憶部から読み出した前記書込み先の情報をさらに前記第二インタフェース部から前記無線通信端末に送信する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様は、無線により無線通信端末と通信する第一インタフェース部と、前記第一インタフェース部とは異なる通信方式によって前記無線通信端末と通信する第二インタフェース部を備える無線通信装置に用いられる接続設定方法であって、前記無線通信端末が前記第一インタフェース部との通信に用いる接続設定情報を記憶する記憶部と、検出部が、前記無線通信端末に前記接続設定情報の設定を実行する契機を検出する検出過程と、設定部が、前記検出過程において前記契機が検出された場合に、記憶部から前記無線通信端末が前記第一インタフェース部との通信に用いる接続設定情報を読み出し、読み出した前記接続設定情報を前記第二インタフェース部から前記無線通信端末に送信する設定過程と、を有することを特徴とする接続設定方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、無線通信端末に無線通信のための設定を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による通信システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2】同実施形態によるHGW(ホームゲートウェイ)の構成を示す機能ブロック図である。
図3】同実施形態による無線通信端末の構成を示す機能ブロック図である。
図4】同実施形態による通信システムにおける無線通信端末への接続設定情報の設定処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による通信システムの接続構成図である。
ユーザ宅には、ホームゲートウェイ(HGW)1と、光ファイバー終端装置(ONU)2とが設置される。
HGW1は、無線通信装置の一例であり、ホームネットワークに接続されるユーザの通信機器と通信する。ユーザの通信機器には、例えば、スマートフォン、タブレット端末などの無線通信端末3があり、無線によりホームネットワークに接続する。なお、ユーザの通信機器には、有線によりホームネットワークに接続されるものがあってもよい。同図では、無線通信端末3以外のユーザの通信機器の図示を省略している。HGW1は、ホームネットワークにより接続されるユーザの通信機器から、通信網4に接続される装置宛てに送信されたデータを、ONU2を介して通信網4側に中継する。また、HGW1は、通信網4に接続される装置からONU2を介して受信したデータを、そのデータの宛先のユーザの通信機器に中継する。
ONU2は、通信網4と光ファイバーにより接続され、HGW1とLAN(ローカルエリアネットワーク、Local Area Network)ケーブルなどにより接続される。ONU2は、光ファイバーにより送受信する光信号とLANにより送受信する電気信号の相互変換を行う。
通信網4は、ユーザの通信機器が属するホームネットワークとは異なる外部ネットワークであり、例えば、インターネットなどのIP(Internet Protocol)ネットワークである。通信網4には、遠隔サポートセンターの遠隔操作端末5が接続される。
なお、同図においては、ユーザ宅を1つのみ示しているが、現実には複数存在する。また、ユーザ宅には、無線通信端末3が複数存在し得る。また、通信網4に複数の遠隔操作端末5が接続され得る。
【0017】
図2は、HGW1の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示すように、HGW1は、第一インタフェース部11と、第二インタフェース部12と、第三インタフェース部13と、中継部14と、記憶部15と、入力部16と、検出部17と、設定部18とを備えて構成される。
【0018】
第一インタフェース部11は、無線LANなどの無線通信方式によりユーザの通信機器と通信する。
第二インタフェース部12は、第一インタフェース部11とは異なる通信方式により、ユーザの通信機器と通信する。例えば、第二インタフェース部12は、USB(ユニバーサルシリアルバス、Universal Serial Bus)接続や、LANケーブル、HDMI(登録商標)(高精細度マルチメディアインターフェース、High-Definition Multimedia Interface)ケーブルを用いた接続などの有線接続によりユーザの通信機器と通信する。なお、第二インタフェース部12は、第一インタフェース部11とは異なる無線通信方式によりユーザの通信機器と通信してもよい。
第三インタフェース部13は、通信網4との通信に用いられるプロトコルを用いて、LANなどによりONU2と通信する。
【0019】
中継部14は、第一インタフェース部11においてユーザの通信機器から受信したデータが、通信網4に接続される装置宛てである場合、そのデータを第三インタフェース部13に中継し、送信を指示する。また、中継部14は、第三インタフェース部13が通信網4に接続される装置から受信したユーザの通信機器宛てのデータを第一インタフェース部11に中継し、送信を指示する。
【0020】
記憶部15は、無線通信端末3が第一インタフェース部11との無線通信に用いる接続設定情報と、接続設定情報の書込み先を示す書込み先情報とを記憶する。書込み先は、例えば、パス(ディレクトリ)名により示される。接続設定情報は、例えば、無線LANの場合、SSID(Service Set Identifier)やパスワードなどの情報を含む。
入力部16は、ユーザ操作の入力を受ける入力装置である。入力部16は、例えば、ボタンでもよく、操作画面を表示するタッチパネルであってもよい。
検出部17は、無線通信端末3に接続設定情報の設定を実行する契機を検出する。この設定実行の契機とは、入力部16により設定実行が入力されたこと、あるいは、遠隔操作端末5から設定実行の指示を受けたことである。
設定部18は、検出部17が設定実行の契機を検出した場合に、記憶部15から接続設定情報と、書込み先情報を読み出す。設定部18は、接続設定情報を、書込み先情報が示す書込み先に書き込むよう指示するコマンドを生成し、無線通信端末3に送信する。
【0021】
図3は、無線通信端末3の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示すように、無線通信端末3は、第一インタフェース部31と、第二インタフェース部32と、制御部33と、表示部34と、入力部35と、コマンド実行部36と、設定記憶部37とを備えて構成される。例えば、無線通信端末3がスマートフォンであれば、さらに、携帯電話網と通信するための第三インタフェース部、受話器及び送話器を制御する音声処理部がさらに付加される。
【0022】
第一インタフェース部31は、無線LANなどの無線通信方式によりHGW1と通信する。
第二インタフェース部32は、USBなど、第一インタフェース部31とは異なる通信方式によりHGW1と通信する。
制御部33は、CPU(central processing unit)やメモリなどにより構成され、各部を制御する。
表示部34は、ディスプレイなどの表示装置であり、画面を表示する。
入力部35は、ボタンやキーなどの入力装置であり、ユーザ操作の入力を受ける。なお、無線通信端末3は、表示部34及び入力部35の機能が一つになっているタッチパネルを備えてもよい。
コマンド実行部36は、HGW1から受信したコマンドを実行する。コマンド実行部36は、HGW1から受信したコマンドを実行することにより、接続設定情報を設定記憶部37に書き込む。
設定記憶部37は、第一インタフェース部31がHGW1との無線通信により使用する接続設定情報を記憶する。設定記憶部37における接続設定情報の記憶場所は、例えば、パス(ディレクトリ)名により特定される。
【0023】
図4は、通信システムにおける無線通信端末3への接続設定情報の設定処理を示すシーケンス図である。以下では、HGW1の第二インタフェース部12及び無線通信端末3の第二インタフェース部32がUSB接続され、HGW1の入力部16が接続設定ボタンである場合を例に説明する。
【0024】
ユーザは、HGW1と無線通信端末3とをUSBにより接続する(ステップS105)。続いて、ユーザは、HGW1が備える接続設定ボタンを押下する(ステップS110)。HGW1の検出部17は、接続設定ボタンの押下を検出し、設定部18に接続設定情報の設定実行を指示する(ステップS115)。設定部18は、検出部17から設定実行の指示を受けると、無線通信端末3がUSB接続されていると判断した場合に、記憶部15から接続設定情報及び書込み先情報を読み出す(ステップS120)。設定部18は、接続設定情報を、書込み先情報が示す書込み先に書き込むよう指示するコマンドである設定コマンドを生成する(ステップS125)。設定コマンドには、記憶部15から読み出した接続設定情報及び書込み先情報が設定される。設定部18は、生成した設定コマンドを第二インタフェース部12に出力する。第二インタフェース部12は、設定部18から入力された設定コマンドを、USB接続されている無線通信端末3に送信する(ステップS130)。
【0025】
無線通信端末3の第二インタフェース部32は、USB接続されているHGW1から設定コマンドを受信し、制御部33に出力する(ステップS135)。制御部33は、受信した設定コマンドをコマンド実行部36に出力し、実行を指示する。コマンド実行部36は、受信した設定コマンドを実行することにより、設定コマンドに設定されている書込み先が示すパス名に従って、設定コマンドに設定されている接続設定情報を設定記憶部37に書込む(ステップS140)。
接続設定情報の書込み後、無線通信端末3の第一インタフェース部31は、HGW1に無線LAN接続するときには、設定記憶部37に記憶されている接続設定情報を用いる。
【0026】
また、ユーザが遠隔サポートセンターに電話をかけて、無線通信端末3にどのように無線通信の設定を行うかを問い合わせることがある。この場合、オペレータは、ユーザに対して、無線通信端末3をHGW1にUSBにより接続するよう伝える。ユーザは、オペレータからの指示に従って、HGW1と無線通信端末3とをUSBにより接続する。
遠隔操作端末5は、各ユーザのHGW1のアドレスを記憶しているか、外部のデータベースから取得可能である。ユーザが、電話により、USB接続が完了した旨をオペレータに伝えると、オペレータは、遠隔操作端末5に対し、電話をかけたユーザのHGW1を選択し、接続設定情報の設定実行を指示する操作を行う。遠隔操作端末5は、選択したHGW1のアドレスを宛先として、接続設定情報の設定実行指示を送信する。HGW1の第三インタフェース部13は、遠隔操作端末5から受信した設定実行指示を検出部17に出力する。検出部17は、設定実行指示の受信を検出し、設定部18に接続設定情報の設定実行を指示する。これにより、HGW1は、ステップS120〜ステップS130の処理を行い、無線通信端末3は、ステップS135〜ステップS140の処理を行う。
【0027】
なお、USB接続された無線通信端末3は、自端末の種別や自端末を特定する識別情報をHGW1に送信する。HGW1は、第二インタフェース部12により無線通信端末3から受信した無線通信端末3の種別や識別情報を記憶しておき、遠隔操作端末5は、USB接続されている無線通信端末3の種別や識別情報をHGW1から取得して表示してもよい。オペレータは、無線通信端末3の種別や識別情報を確認した上で、接続設定情報の設定実行を指示する操作を行うようにしてもよい。
【0028】
なお、ステップS135において、無線通信端末3の制御部33は、HGW1から設定コマンドを受信した場合に、表示部34に、接続設定情報の書込みを行ってもよいか否かを問合せる画面情報を表示してもよい。制御部33は、入力部35により、接続設定情報の書込みを許可する旨が入力された場合に、ステップS140の処理を行い、HGW1から受信した設定コマンドをコマンド実行部36に出力し、実行を指示する。
【0029】
また、ステップS130の後、HGW1の設定部18は、無線LANを起動させるための起動コマンドを第二インタフェース部12に出力してもよい。第二インタフェース部12は、設定部18から入力された起動コマンドを、USB接続されている無線通信端末3に送信する。無線通信端末3の第二インタフェース部32は、HGW1から受信した起動コマンドを制御部33に出力し、制御部33は、受信した起動コマンドをコマンド実行部36に出力して実行を指示する。コマンド実行部36は、ステップS140の処理の後、起動コマンドを実行することにより、第一インタフェース部31に無線LAN接続の起動を指示する。これにより、第一インタフェース部31は、設定記憶部37に記憶されている接続設定情報を用いてHGW1と無線LANにより接続する。
このように、HGW1が、無線通信端末3に接続設定情報を書込んだ後、無線通信の起動コマンドを送信することにより、ユーザ操作を必要とせずに、無線通信端末3はHGW1との無線通信を開始することができる。なお、起動コマンドは、一旦無線通信をOFFにしてから、ONにする再起動コマンドであってもよい。
【0030】
また、無線通信端末3の制御部33は、通常はコマンドを受け付けないモードとし、HGW1とUSB接続されたことを検出した場合にコマンド受付モードに遷移してもよい。制御部33は、コマンド受付モードに遷移した場合に、HGW1から受信した設定コマンドをコマンド実行部36に出力し、実行を指示する。
あるいは、HGW1の設定部18は、設定コマンドの送信前に、コマンド受付モードに遷移するよう指示するモード変更コマンドを、第二インタフェース部12を介して無線通信端末3に送信してもよい。無線通信端末3の制御部33は、モード変更コマンドを受信すると、コマンド受付モードに遷移する。
【0031】
adb(Android (登録商標) Debug Bridge)コマンドを利用した場合に、ステップS120〜ステップS130においてHGW1の設定部18が無線通信端末3に送信するコマンドの例を説明する。
まず、HGW1の設定部18は、端末接続確認のため、第二インタフェース部12を介して端末接続確認コマンドを無線通信端末3に送信する。端末接続確認コマンドは、「adb devices」のように記述される。無線通信端末3のコマンド実行部36は、端末接続確認コマンドを受信すると、第二インタフェース部32を介して自端末のデバイス名を返送する。
【0032】
HGW1の設定部18は、取得したデバイス名により、接続設定情報の設定対象である無線通信端末3がUSB接続されていることを認識する。設定部18は、無線通信端末3に現在設定されている接続設定情報を取得するため、第二インタフェース部12を介して接続設定情報の取得コマンドを送信する。取得コマンドは、「adb pull <接続設定情報のファイル名(無線通信端末3における接続設定情報のフルパス)>」のように記述される。無線通信端末3のコマンド実行部36は、設定記憶部37におけるフルパス(パス名)で指定される保存位置から、ファイル名で指定される接続設定情報を読み出し、第二インタフェース部32を介してHGW1に送信する。
【0033】
HGW1の設定部18は、接続設定情報が設定されていない、あるいは、接続設定情報の設定内容が正しくない場合は、第二インタフェース部12を介して接続設定情報の設定コマンドを無線通信端末3に送信する。なお、デバイスにより接続設定情報や書込み先情報が異なる場合、取得したデバイス名に応じた接続設定情報や書込み先情報を記憶部15から読み出して設定コマンドを生成する。設定コマンドは、「adb push <接続設定情報(無線通信端末3におけるフルパス)>」のように記述される。無線通信端末3のコマンド実行部36は、設定記憶部37のフルパスで指定される保存位置に、接続設定情報を書き込む。
【0034】
HGW1の設定部18は、無線通信を再起動するための再起動コマンドを、第二インタフェース部32を介して無線通信端末3に送信する。再起動コマンドには、「adb shell svc wifi disable」、「adb shell svc wifi enable」の2つのコマンドの組を用いることができる。無線通信端末3のコマンド実行部36は、再起動コマンドを実行することにより、第一インタフェース部31に無線LAN接続の再起動を指示する。第一インタフェース部31は、設定記憶部37に記憶されている接続設定情報を用いてHGW1と無線LANにより接続する。
【0035】
以上説明した実施形態によれば、ユーザは、スマートフォンなどの無線通信端末3をHGW1にUSB接続し、ボタンを押すなどして設定実行を指示するだけで、無線通信端末3に無線LANによりHGW1と通信するために必要な設定を行うことができる。
あるいは、ユーザは、遠隔サポートセンターに電話をかけ、オペレータの案内に従って無線通信端末3をHGW1にUSB接続し、接続した旨を伝えるのみで、無線通信端末3に無線LANによりHGW1と通信するために必要な設定を行うことができる。
従って、無線通信端末3をHGW1に無線通信するための設定を容易に行うことが可能となる。
【0036】
なお、上記においては、無線通信装置がHGWである場合を例に説明したが、無線通信装置は、アクセスポイント(例えば、ブロードバンドルーター機能付きのアクセスポイント)など、無線通信端末と無線通信する任意の装置であってもよい。
【0037】
上述したHGW1及び無線通信端末3の一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0038】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 ホームゲートウェイ(HGW)
2 光ファイバー終端装置(ONU)
3 無線通信端末
4 通信網
5 遠隔操作端末
11 第一インタフェース部
12 第二インタフェース部
13 第三インタフェース部
14 中継部
15 記憶部
16 入力部
17 検出部
18 設定部
31 第一インタフェース部
32 第二インタフェース部
33 制御部
34 表示部
35 入力部
36 コマンド実行部
37 設定記憶部
図1
図2
図3
図4