特許第6352840号(P6352840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352840
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/00 20150101AFI20180625BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20180625BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20180625BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20180625BHJP
【FI】
   H04B17/00 N
   H04B17/309 200
   H04W24/06
   H04W84/10
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-48337(P2015-48337)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-171380(P2016-171380A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 博章
(72)【発明者】
【氏名】細田 真道
(72)【発明者】
【氏名】水谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】西野 満
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−202468(JP,A)
【文献】 特開2008−125092(JP,A)
【文献】 特開2009−141467(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0157007(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/00
H04B 17/309
H04W 24/06
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により無線通信端末と通信する第一インタフェース部と、
前記第一インタフェース部とは異なる通信方式によって前記無線通信端末と通信する第二インタフェース部と、
前記第二インタフェース部を介して前記無線通信端末を特定する端末識別情報を受信する端末情報取得部と、
無線通信速度の測定を実行する契機を検出する検出部と、
前記検出部により前記契機が検出された場合に、前記第一インタフェース部を介して、前記端末識別情報により特定される前記無線通信端末に通信速度測定用データを配信する配信部と、
前記配信部が配信した前記通信速度測定用データのデータ量と、配信に要した時間とから前記無線通信端末との間の通信速度を算出する通信速度算出部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置であって、
前記配信部は、前記検出部により前記契機が検出された場合に、前記端末識別情報により特定される前記無線通信端末に対して前記第二インタフェース部を介して通信速度測定用データの取得を指示し、前記第一インタフェース部を介して前記無線通信端末から前記通信速度測定用データの取得要求を受信した場合に、前記第一インタフェース部を介して前記無線通信端末に前記通信速度測定用データを配信する、
ことを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの無線通信端末を、ホームゲートウェイなどの無線通信装置に接続して使用することがある。
一方、無線通信端末が通信速度を測定し、測定結果によって、無線通信装置との通信に用いるチャンネルを切り替える技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−4922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信速度に関する解析には高度な専門スキルを必要とする。そのため、ユーザは、無線通信端末と無線通信装置間の無線通信の速度が遅いと感じた場合でも、自分でその原因の解析を行うことは困難であり、通信事業者のカスタマサービスに問合せることがあった。無線通信速度に関する解析を行う場合、まずは、無線通信端末と無線通信装置間の無線通信の速度を測定する必要があるが、カスタマサービスにより遠隔から実際の通信速度を把握するのは困難である。そこで、ユーザに操作を依頼して、通信可能速度(リンクレート)を把握したり、無線接続帯域(チャネル)を変更してみる等の方法によって、暫定対処が行われていた。特許文献1の技術では、無線通信端末において通信速度の測定を行っているが、スマートフォンなどのユーザの無線通信端末に測定用のツールを実装しなければならず、スマートフォンで測定した通信速度を通信事業者が遠隔から解析に使用することは難しい。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、無線通信端末との間の無線通信速度を容易に、また、測定結果を利用しやすいように測定することができる無線通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、無線により無線通信端末と通信する第一インタフェース部と、前記第一インタフェース部とは異なる通信方式によって前記無線通信端末と通信する第二インタフェース部と、前記第二インタフェース部を介して前記無線通信端末を特定する端末識別情報を受信する端末情報取得部と、無線通信速度の測定を実行する契機を検出する検出部と、前記検出部により前記契機が検出された場合に、前記第一インタフェース部を介して、前記端末識別情報により特定される前記無線通信端末に通信速度測定用データを配信する配信部と、前記配信部が配信した前記通信速度測定用データのデータ量と、配信に要した時間とから前記無線通信端末との間の通信速度を算出する通信速度算出部と、を備えることを特徴とする無線通信装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記配信部は、前記検出部により前記契機が検出された場合に、前記端末識別情報により特定される前記無線通信端末に対して前記第二インタフェース部を介して通信速度測定用データの取得を指示し、前記第一インタフェース部を介して前記無線通信端末から前記通信速度測定用データの取得要求を受信した場合に、前記第一インタフェース部を介して前記無線通信端末に前記通信速度測定用データを配信する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記第二インタフェース部は、前記無線通信端末と有線により通信する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記第二インタフェース部は、ユニバーサルシリアルバス、ローカルエリアネットワークケーブル、又は、高精細度マルチメディアインターフェースケーブルにより前記無線通信端末と通信する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、ユーザからの指示を入力する入力部をさらに備え、前記検出部は、前記入力部に測定実行の指示が入力されたことを前記契機として検出する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記無線通信端末が属するネットワークとは異なるネットワークを介して通信する第三インタフェース部をさらに備え、前記検出部は、前記第三インタフェース部が前記異なるネットワークに接続される装置から測定実行の指示を受信したことを前記契機として検出する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様は、上述の無線通信装置であって、前記通信速度算出部により算出された前記通信速度が、通信速度が遅いと判断するための所定の条件を満たす場合に、通信速度が遅い原因の解析処理を実行する解析処理部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様は、無線により無線通信端末と通信する第一インタフェース部と、前記第一インタフェース部とは異なる通信方式によって前記無線通信端末と通信する第二インタフェース部を備える無線通信装置に用いられる測定実行方法であって、端末情報取得部が、前記第二インタフェース部を介して前記無線通信端末を特定する端末識別情報を受信する受信過程と、検出部が、無線通信速度の測定を実行する契機を検出する検出過程と、配信部が、前記検出過程において前記契機が検出された場合に、前記端末識別情報により特定される前記無線通信端末に対して、前記第一インタフェース部を介して通信速度測定用データを配信する配信過程と、通信速度算出部が、前記配信過程において配信した前記通信速度測定用データのデータ量と、前記無線通信端末に対して前記通信速度測定用データの送信に要した時間とから前記無線通信端末との間の通信速度を算出する通信速度算出過程と、を有することを特徴とする無線通信速度測定方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、無線通信端末との間の無線通信速度を容易に、また、測定結果を利用しやすいように測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による通信システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2】同実施形態によるHGW(ホームゲートウェイ)の構成を示す機能ブロック図である。
図3】同実施形態による無線通信端末の構成を示す機能ブロック図である。
図4】同実施形態による通信システムにおける無線通信速度の測定処理を示すシーケンス図である。
図5】同実施形態による遠隔操作端末に表示される画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による通信システムの接続構成図である。
ユーザ宅には、ホームゲートウェイ(HGW)1と、光ファイバー終端装置(ONU)2とが設置される。
HGW1は、無線通信装置の一例であり、ホームネットワークに接続されるユーザの通信機器と通信する。ユーザの通信機器には、例えば、スマートフォン、タブレット端末などの無線通信端末3があり、無線によりホームネットワークに接続する。なお、ユーザの通信機器には、有線によりホームネットワークに接続されるものがあってもよい。同図では、無線通信端末3以外のユーザの通信機器の図示を省略している。HGW1は、ホームネットワークにより接続されるユーザの通信機器から、通信網4に接続される装置宛てに送信されたデータを、ONU2を介して通信網4側に中継する。また、HGW1は、通信網4に接続される装置からONU2を介して受信したデータを、そのデータの宛先のユーザの通信機器に中継する。
ONU2は、通信網4と光ファイバーにより接続され、HGW1とLAN(ローカルエリアネットワーク、Local Area Network)ケーブルなどにより接続される。ONU2は、光ファイバーにより送受信する光信号とLANにより送受信する電気信号の相互変換を行う。
通信網4は、ユーザの通信機器が属するホームネットワークとは異なる外部ネットワークであり、例えば、インターネットなどのIP(Internet Protocol)ネットワークである。通信網4には、遠隔サポートセンターの遠隔操作端末5が接続される。
なお、同図においては、ユーザ宅を1つのみ示しているが、現実には複数存在する。また、ユーザ宅には、無線通信端末3が複数存在し得る。また、通信網4に複数の遠隔操作端末5が接続され得る。
【0017】
図2は、HGW1の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示すように、HGW1は、第一インタフェース部11と、第二インタフェース部12と、第三インタフェース部13と、中継部14と、入力部15と、端末情報取得部16と、測定部17と、解析処理部18とを備えて構成される。
【0018】
第一インタフェース部11は、無線LANなどの無線通信方式によりユーザの通信機器と通信する。
第二インタフェース部12は、第一インタフェース部11とは異なる通信方式により、ユーザの通信機器と通信する。例えば、第二インタフェース部12は、USB(ユニバーサルシリアルバス、Universal Serial Bus)接続や、LANケーブル、HDMI(登録商標)(高精細度マルチメディアインターフェース、High-Definition Multimedia Interface)ケーブルを用いた接続などの有線接続によりユーザの通信機器と通信する。なお、第二インタフェース部12は、第一インタフェース部11とは異なる無線通信方式によりユーザの通信機器と通信してもよい。
第三インタフェース部13は、通信網4との通信に用いられるプロトコルを用いて、LANなどによりONU2と通信する。
【0019】
中継部14は、第一インタフェース部11においてユーザの通信機器から受信したデータが、通信網4に接続される装置宛てである場合、そのデータを第三インタフェース部13に中継し、送信を指示する。また、中継部14は、第三インタフェース部13が通信網4に接続される装置から受信したユーザの通信機器宛てのデータを第一インタフェース部11に中継し、送信を指示する。
入力部15は、ユーザ操作の入力を受ける入力装置である。入力部15は、例えば、ボタンでもよく、操作画面を表示するタッチパネルであってもよい。
端末情報取得部16は、第一インタフェース部11が受信した無線通信端末3の端末識別情報及びアドレス情報を取得する。また、端末情報取得部16は、第二インタフェース部12が受信した無線通信端末3の端末識別情報を取得する。端末識別情報は、無線通信端末3を特定する情報であり、例えば、MAC(Medium Access Control)アドレスやデバイス名などを用いることができる。アドレス情報には、例えば、IPアドレスを用いることができる。
【0020】
測定部17は、記憶部171と、検出部172と、配信部173と、通信速度算出部174とを備えて構成される。
記憶部171は、通信速度測定用データを記憶する。
検出部172は、無線通信端末3との間の無線通信速度の測定を実行する契機を検出する。この契機とは、入力部15により測定実行の指示が入力されたこと、あるいは、遠隔操作端末5から測定実行の指示を受けたことである。
配信部173は、検出部172により無線通信速度の測定を実行する契機が検出された場合、端末情報取得部16が第二インタフェース部12を介して取得した端末識別情報の無線通信端末3に、第一インタフェース部11を介して通信速度測定用データを配信する。
通信速度算出部174は、配信部173が配信した通信速度測定用データのデータ量と配信に要した時間とから、HGW1と無線通信端末3との間の通信速度を算出する。
【0021】
解析処理部18は、通信速度算出部174により算出された通信速度が、通信速度が遅いと判断するための所定の条件を満たす場合に、通信速度が遅い原因の解析処理を実行する。この解析処理には、既存の任意の処理を用いることができる。例えば、解析処理部18は、第一インタフェース部11が受信した無線信号の無線チャネル毎の受信レベルを取得し、無線通信端末3が現在使用している無線チャネルや、現在使用していないが無線通信端末3が使用可能な無線チャネルについて干渉の有無を判断する。また、同一チャネルに帰属する端末数や、周辺で同一チャネルにより動作する他アクセスポイント(AP)に帰属する端末数なども判断項目として含んでよい。
【0022】
図3は、無線通信端末3の構成を示す機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。同図に示すように、無線通信端末3は、第一インタフェース部31と、第二インタフェース部32と、制御部33と、表示部34と、入力部35とを備えて構成される。例えば、無線通信端末3がスマートフォンであれば、さらに、携帯電話網と通信するための第三インタフェース部、受話器及び送話器を制御する音声処理部がさらに付加される。
【0023】
第一インタフェース部31は、無線LANなどの無線通信方式によりHGW1と通信する。
第二インタフェース部32は、USBなど、第一インタフェース部31とは異なる通信方式によりHGW1と通信する。
制御部33は、CPU(central processing unit)やメモリなどにより構成され、各部を制御する。
表示部34は、ディスプレイなどの表示装置であり、画面を表示する。
入力部35は、ボタンやキーなどの入力装置であり、ユーザ操作の入力を受ける。なお、無線通信端末3は、表示部34及び入力部35の機能が一つになっているタッチパネルを備えてもよい。
【0024】
図4は、通信システムにおけるHGW1と無線通信端末3との間の無線通信速度の測定処理を示すシーケンス図である。以下では、HGW1の第一インタフェース部11及び無線通信端末3の第一インタフェース部31が無線LANにより通信し、HGW1の第二インタフェース部12及び無線通信端末3の第二インタフェース部32がUSB接続により通信する場合を例に説明する。また、同図において、HGW1と無線通信端末3の間の点線の矢印は無線LANによる通信を示し、実線の矢印はUSB接続による通信を示す。
【0025】
ユーザは、無線通信端末3の入力部35により、ホームネットワークへの接続指示を入力する。これにより、無線通信端末3の第一インタフェース部31は、HGW1の第一インタフェース部11と無線LANによる無線通信を開始する。この無線通信において、無線通信端末3の第一インタフェース部31は、自端末の端末識別情報及びアドレス情報をHGW1に送信する(ステップS105)。例えば、端末識別情報はMACアドレスであり、アドレス情報はIPアドレスである。HGW1の端末情報取得部16は、第一インタフェース部11が無線通信端末3から受信した端末識別情報とアドレス情報を取得し、これらの情報の組を記憶する(ステップS110)。
【0026】
ユーザは、無線通信端末3の無線LANの通信速度が遅いと感じた場合、遠隔サポートセンターに電話をかけて問い合わせを行う。オペレータは、ユーザに対して、無線通信端末3をUSBによりHGW1に接続するよう伝える。ユーザは、オペレータからの指示に従って、HGW1と無線通信端末3とをUSBにより接続する(ステップS115)。無線通信端末3の第二インタフェース部32は、自端末の端末識別情報をHGW1に送信する(ステップS120)。HGW1の端末情報取得部16は、第二インタフェース部12が無線通信端末3から受信した端末識別情報を取得する(ステップS125)。
【0027】
遠隔操作端末5は、各ユーザのHGW1のアドレスを記憶しているか、外部のデータベースから取得可能である。ユーザが、電話により、USB接続が完了した旨をオペレータに伝えると、オペレータは、遠隔操作端末5に対し、ユーザのHGW1を選択し、通信速度測定実行を指示する操作を行う。遠隔操作端末5は、選択したHGW1のアドレスを宛先として、通信速度測定指示を送信する(ステップS130)。HGW1の第三インタフェース部13は、遠隔操作端末5から受信した通信速度測定指示を検出部172に出力する。検出部172は、通信速度測定指示の受信により、測定実行の契機を検出し、配信部173に通知する(ステップS135)。
【0028】
あるいは、オペレータは、ユーザにHGW1の測定実行ボタンを押下するよう案内してもよい。ユーザがHGW1の測定実行ボタンを押下すると、検出部172は、測定実行ボタンの押下により測定実行の契機を検出し、配信部173に通知する。
【0029】
配信部173は、通信速度測定対象の無線通信端末3を示す測定対象端末情報を端末情報取得部16に要求する。端末情報取得部16は、ステップS120においてUSB経由で取得した端末識別情報と、この端末識別情報と組になっているアドレス情報とを設定した測定対象端末情報を配信部173に通知する(ステップS140)。配信部173は、第二インタフェース部12を介して、無線通信端末3に通信速度測定用データの取得(ダウンロード)指示を送信する(ステップS145)。取得指示には、通信速度測定用データのデータ識別情報が設定される。データ識別情報は、通信速度測定用データのデータ名(ファイル名)あるいは通信速度測定用データの記憶場所を示す情報でもよく、その両方を示す情報でもよい。
【0030】
例えば、adb(Android (登録商標) Debug Bridge)コマンドを利用する場合、取得指示は、「adb shell wget --output-document=/dev/null <他オプション> <URL>」のように記述される。このコマンドは、adbshellを使用して、無線通信端末3にファイルダウンロード命令であるwgetを実行させる。URLは、通信速度測定用データの格納場所を示す。
【0031】
無線通信端末3の制御部33は、第二インタフェース部32を介して通信速度測定用データの取得指示を受信すると、第一インタフェース部31を介して通信速度測定用データの取得要求を送信する(ステップS150)。取得要求には無線通信端末3の端末識別情報及びアドレス情報が含まれる。
【0032】
HGW1の配信部173は、第一インタフェース部11を介して通信速度測定用データの取得要求を受信する。配信部173は、取得要求に設定されている端末識別情報及びアドレス情報の組が、ステップS140において取得した測定対象端末情報と一致する場合、通信速度測定用データを記憶部171から読み出す(ステップS155)。配信部173は、読み出した通信速度測定用データを無線LANにより無線通信端末3に配信する。つまり、配信部173は、通信速度測定用データを分割してパケットに設定し、各パケットの宛先に取得要求から取得した無線通信端末3のアドレス情報を付加して第一インタフェース部11に出力する。第一インタフェース部11は、配信部173から入力されたパケットを、無線LANにより無線通信端末3に送信する(ステップS160)。
【0033】
配信部173が通信速度測定用データの配信を終了すると、通信速度算出部174は、通信速度測定用データのデータ量と、通信速度測定用データの配信を開始してから終了するまでに要した時間とに基づいて、通信速度を算出する(ステップS165)。通信速度算出部174は、算出した通信速度が、通信速度が遅いと判断するための所定の条件を満たす場合に、解析処理部18に、解析処理の実行を指示する。所定の条件は、例えば、閾値である。
【0034】
解析処理部18は、通信速度算出部174からの指示を受信し、解析処理を実行する(ステップS170)。解析処理部18は、算出した通信速度と、解析処理の結果を、遠隔操作端末5へ出力する(ステップS175)。遠隔操作端末5は、受信した通信速度や解析処理の結果を表示する(ステップS180)。オペレータは、表示された通信速度や解析処理結果を参照し、通信速度に問題があるか否か、あるとすればどのような原因か、また、どのようにすれば通信速度が向上する見込みがあるかなどをユーザに電話で伝える。あるいは、通信速度や解析処理結果を、さらに解析を行うときの参考とする。また、その課題解決に向け、遠隔から設定を変更することでユーザの不満を解消してもよい。
【0035】
図5は、遠隔操作端末5に表示される画面を示す図である。遠隔操作端末5が表示するブラウザには、通信速度測定実行を指示するためのボタンBが表示される。オペレータが、遠隔操作端末5の入力装置によりボタンBを押下すると、遠隔操作端末5は、HGW1に通信速度測定指示を送信する(図4のステップS130)。遠隔操作端末5は、HGW1から受信した通信速度測定処理及び解析処理のうち、解析処理をボタンBの下部の領域Cに表示する(図4のステップS175、ステップS180)。
【0036】
なお、通信速度算出部174は、無線通信端末3から通信速度測定用データの取得開始から取得終了までに要した時間を受信し、通信速度の算出に用いてもよい。あるいは、通信速度算出部174は、無線通信端末3が受信した通信速度測定用データのデータ量や、通信速度測定用データの取得開始から取得終了までに要した時間に基づいて計算した通信速度を受信してもよい。
また、図4のステップS105〜ステップS110の処理は、HGW1と無線通信端末3をUSB接続した後であってもよい。
【0037】
なお、上記においては、無線通信装置がHGWである場合を例に説明したが、無線通信装置は、アクセスポイント(例えば、ブロードバンドルーター機能付きのアクセスポイント)など、無線通信端末と無線通信する任意の装置であってもよい。
【0038】
以上説明した実施形態によれば、ユーザが、遠隔サポートセンターに電話をかけ、オペレータの案内に従って無線通信端末3をHGW1にUSB接続し、接続した旨を伝えるのみで、HGW1により無線通信端末3の無線LANの通信速度を測定することができる。あるいは、ユーザは、スマートフォンなどの無線通信端末3をHGW1にUSB接続し、ボタンを押すなどして測定実行を指示するだけで、HGW1により無線通信端末3の無線LANの通信速度を測定することができる。従って、HGW1において、無線通信端末3の無線LANの通信速度の測定を容易に行うことが可能となる。
また、HGW1は、測定した通信速度に問題があると判断した場合に、解析処理を実行する。HGW1により測定結果や解析結果が得られるため、遠隔サポートセンターにおいて通信速度の測定結果や、HGW1が実行した解析処理の結果をリモートで取得し、どのような原因で通信速度が遅いか、あるいは、どのような対策により通信速度を早くできるかの解析に利用することが可能となる。また、HGW1にPC(パーソナルコンピュータ)を接続すれば、測定された通信速度や解析結果をPCにより閲覧することもできる。
【0039】
上述したHGW1及び無線通信端末3の一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0040】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 ホームゲートウェイ(HGW)
2 光ファイバー終端装置(ONU)
3 無線通信端末
4 通信網
5 遠隔操作端末
11 第一インタフェース部
12 第二インタフェース部
13 第三インタフェース部
14 中継部
15 入力部
16 端末情報取得部
17 測定部
18 解析処理部
31 第一インタフェース部
32 第二インタフェース部
33 制御部
34 表示部
35 入力部
171 記憶部
172 検出部
173 配信部
174 通信速度算出部
図1
図2
図3
図4
図5