特許第6352858号(P6352858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352858
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】変成器
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20180625BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H01F30/10 F
   H01F30/10 C
   H01F30/10 M
   H01F27/28 N
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-122603(P2015-122603)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2016-5004(P2016-5004A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年3月15日
(31)【優先権主張番号】20145590
(32)【優先日】2014年6月19日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】514313649
【氏名又は名称】エフォア オーユーイー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ラウリ スベランタ
(72)【発明者】
【氏名】イルッカ ヘイスカネン
(72)【発明者】
【氏名】ブラド グリゴレ
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭45−004099(JP,Y1)
【文献】 特開2007−035804(JP,A)
【文献】 実開昭53−162325(JP,U)
【文献】 実開平07−022523(JP,U)
【文献】 特表2007−531328(JP,A)
【文献】 特開平03−208314(JP,A)
【文献】 特開2012−023193(JP,A)
【文献】 特開昭59−168614(JP,A)
【文献】 実公昭50−032730(JP,Y1)
【文献】 実開昭53−162324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/00−19/08、27/28−27/30
H01F 30/00−38/12、38/16、38/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフォイル巻線の第1の巻線部(101,102,201,202)を構成する二つ以上の第1のフォイル導体と、
前記第1のフォイル巻線と略同一の磁気軸を有する第2のフォイル巻線の一つ以上の第2の巻線部(103,104,203,204)を構成する一つ以上の第2のフォイル導体と、
を備え、前記磁気軸は、前記第1のフォイル導体及び前記第2のフォイル導体の横方向に略平行であり、前記第1の巻線部は、前記磁気軸と略垂直な方向で前記第2の巻線部と交互積層される変成器において、
前記第1のフォイル導体の各々の少なくとも一つの端部が、前記磁気軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片(105a,105b,106a,106b,205a,205b,206a,206b)を構成するように分けられ、
前記第1の巻線部の一方(101,201)に属する前記細長片(105a,105b,205a,205b)の端部を、前記第1の巻線部の間に配置された前記第2の巻線部の特定の巻線部(103,203)を渡る接続ブリッジを構成するために前記第1の巻線部の他方(102,202)に属する前記細長片(106a,106b,206a,206b)の端部に接続するように、
前記第1の巻線部は、電気的に相互接続され、
前記第1の巻線部は、前記細長片の端部によって構成される二つの接続ブリッジによって電気的に相互接続されていることを特徴とする変成器。
【請求項2】
前記第2の巻線部の個数は少なくとも2個であり、
前記第2のフォイル導体の各々の少なくとも一つの端部が、前記磁気軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片(107a,107b,108a,108b)を構成するように分けられ、
前記第2の巻線部の一方(103)に属する前記細長片(107a,107b)の端部を、前記第2の巻線部の間に配置された前記第1の巻線部の特定の巻線部(102)を渡る接続ブリッジを構成するために前記第2の巻線部の他方(104)に属する前記細長片(108a,108b)の端部に接続するように、
前記第2の巻線部は、電気的に相互接続される請求項1に記載の変成器。
【請求項3】
前記磁気軸に略平行な方向のうちの第1の方向に折り曲げられるとともに前記接続ブリッジの一つを構成する前記細長片の各対の端部を、第1の回路基板(314)の導体にはんだ付けした請求項1又は2に記載の変成器。
【請求項4】
前記磁気軸に略平行な方向のうちの第2の方向に折り曲げられるとともに前記接続ブリッジの一つを構成する前記細長片の各対の端部を、第2の回路基板(315)の導体にはんだ付けした請求項1又は2に記載の変成器。
【請求項5】
前記変成器は、前記第1のフォイル巻線及び前記第2のフォイル巻線によって包囲された脚部(116,216)を有するコア構造(113,213)を備える請求項1又は2に記載の変成器。
【請求項6】
前記コア構造(213)は、強磁性材料を含み、前記脚部(216)は、非強磁性ギャップ(217)によって前記脚部の長手方向に互いに切り離された二つの部分(216a,216b)を備える請求項5に記載の変成器。
【請求項7】
前記第1のフォイル導体及び前記第2のフォイル導体の一方の一部であるとともに前記脚部に最も近接する少なくとも一つのフォイル導体部分は、前記磁気軸の方向に互いに離間した距離で互いに平行な二つの細長片を備え、前記非強磁性ギャップによって生じた磁束の広がりが前記フォイル導体部分に渦電流を誘導するのを妨げるために前記細長片の間のギャップを前記非強磁性ギャップ(217)に合わせる請求項6に記載の変成器。
【請求項8】
前記第1のフォイル導体及び前記第2のフォイル導体の各々は、前記磁気軸の方向に互いに離間した距離で互いに平行な二つの細長片(205a,205b)を備え、前記非強磁性ギャップによって生じた磁束の広がりが前記脚部に最も近接する前記第1のフォイル導体及び前記第2のフォイル導体のフォイル導体部分に渦電流を誘導するのを妨げるために前記細長片の間のギャップ(218)を前記非強磁性ギャップ(217)に合わせる請求項6に記載の変成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、一般的には変成器に関する。更に詳しくは、発明は、フォイル巻線を有する変成器であって、フォイル巻線はフォイル巻線の漏れインダクタンスを低減するために交互積層部を有する変成器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、変成器の巻線の漏れインダクタンスを最小にしたいという要望がある。例えば、フライバックトポロジーを有するスイッチング電源“SMPS”において、1次巻線の漏れインダクタンスによって、1次巻線を介してフライバック電源の変成器に充電された全てのエネルギーを、2次巻線を介して変成器から放出することができない。変成器の巻線の漏れインダクタンスを低減させる既知の方法は、各巻線が変成器の一つ以上の他の巻線の対応する巻線部と交互積層された巻線部を備える交互積層巻線を用いることである。交互巻線に関連する固有の課題は、巻線を構成するために巻線部を接続するように巻線部の間に電気的な接続部を配置する必要があることである。同一の巻線に属する二つの巻線部の間の電気的な接続部は、一つ以上の他の巻線の一つ以上の他の巻線部を渡る接続ブリッジを形成する必要があり、この場合、一つ以上の他の巻線部は、交互積層配置において、対象としている巻線の二つの巻線部の間に配置される。巻線部の間の上述した電気的な接続部のインダクタンスを、交互積層巻線によって提供される利点すなわち漏れインダクタンスの低減が弱くなること又は損なわれることを回避するために、できるだけ小さくする必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フォイル巻線は、フォイル巻線の種々の利点のために多くの種類及び用途の変成器において一般的である。例えば、表皮効果は、同一の断面領域を有する円形導線における場合のように、平坦で薄いフォイル導体において有効導電領域を大きく減少させない。交互積層巻線に関連する上述した課題は、変成器のフォイル巻線を交互積層巻線を形成するように構成した場合、すなわち、電気的な接続部のインダクタンスができるだけ小さくなるように各フォイル巻線の巻線部の間に電気的な接続部を配置する必要がある場合にも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、種々の発明の実施の形態の一部の態様の基本的な理解を提供するために簡単化した要約を提供する。要約は、発明の詳細な概説ではない。発明の主要な又は重要な要素を特定することも発明の範囲を詳しく説明することも意図しない。以下の要約は、発明の例示する及び限定されない実施の形態の更に詳細な説明の序章としての簡単化した形態における発明の一部の概念を単に提供する。
【0005】
発明によれば、例示する及び必須ではないスイッチング電源“SMPS”の変成器とすることができる新たな変成器を提供する。発明による変成器は、
第1のフォイル巻線の第1の巻線部を構成する二つ以上の第1のフォイル導体と、
第1のフォイル巻線と略同一の磁気軸を有する第2のフォイル巻線の一つ以上の第2の巻線部を構成する一つ以上の第2のフォイル導体と、
を備え、磁気軸は、第1のフォイル導体及び第2のフォイル導体の横方向に略平行である。
【0006】
第1の巻線部は、第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線の漏れインダクタンスを低減するために磁気軸と略垂直な方向で第2の巻線部と交互積層される。
【0007】
第1のフォイル導体の各々の少なくとも一つの端部が、磁気軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片を構成するように分けられ、
第1の巻線部の一方に属する細長片の端部を、第1の巻線部の間に配置された第2の巻線部の特定の巻線部を渡る接続ブリッジを構成するために第1の巻線部の他方に属する細長片の端部に接続するように、
第1の巻線部は、電気的に相互接続される。
【0008】
発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器において、第2の巻線部の個数は少なくとも2個であり、
第2のフォイル導体の各々の少なくとも一つの端部が、磁気軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片を構成するように分けられ、
第2の巻線部の一方に属する細長片の端部を、第2の巻線部の間に配置された第1の巻線部の特定の巻線部を渡る接続ブリッジを構成するために第2の巻線部の他方に属する細長片の端部に接続するように、
第2の巻線部は、電気的に相互接続される。
【0009】
上述した巻線部のフォイル導体が、上述した方法で巻線部の間に電気的な接続部を設けるために用いられるので、追加の導体をフォイル導体の端部に接続する必要がない。さらに、フォイル導体の相互接続された端部がそれぞれ互いに逆方向に折り曲げられた二つの細長片を構成するために分かれるので、二つの巻線部の間の電気的な接続部はそれぞれ、二つの接続ブリッジを備える。これによって、上述した電気的な接続部のインダクタンスを減少させる。その理由は、二つの接続ブリッジが略平行に接続されるからである。さらに、電気的な接続部を、フォイル導体を流れる電流の分布において更に対称となるように構成することができる。その理由は、電気的な接続部を、フォイル導体の長手方向の対称軸に対して対称にすることができるからである。
【0010】
発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器は、第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線と略同一の磁気軸を有する少なくとも一つの第3のフォイル巻線を更に備える。第3のフォイル巻線は、第1の巻線部及び第2の巻線部と交互積層されるとともに上述した方法で電気的に相互接続される二つ以上の第3の巻線部を備えてもよい。
【0011】
発明の複数の例示する及び限定されない実施の形態を、伴う従属項に記載する。
【0012】
構成及び動作方法に関する発明の種々の例示する及び限定されない実施の形態は、他の目的及びその利点と共に、特定の例示する及び限定されない実施の形態の以下の説明を添付図面に関連して読むときに当該説明から最もよく理解される。
【0013】
動詞「備える」及び「有する」は、列挙しない特徴の存在を除外せず、かつ、列挙しない特徴の存在を必要としない限定のない制限としてこの文書で用いる。伴う従属項に列挙した特徴は、明記されていない限り相互に自由に組み合わせ可能である。さらに、この文書の最初から最後までの“a”又は“an”すなわち単数形の使用が複数を除外しないことを理解されたい。
【0014】
発明の例示する及び限定されない実施の形態並びにその利点を、添付図面を参照しながら以下で更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a図1aは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図1b図1bは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図1c図1cは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図1d図1dは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図1e図1eは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図2a図2aは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図2b図2bは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図2c図2cは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器を示す。
図3図3は、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1aは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器の斜視図を示す。図1bは、変成器の側面図を示し、図1cは、変成器の上面図を示し、図1dは、図1cに示すA−A線に沿った断面図を示す。断面は、座標系199のxz面に平行である。変成器は、接続端子109及び110を介して外部電気システムに接続することができる第1のフォイル巻線と、接続端子111及び112を介して外部電気システムに接続することができる第2のフォイル巻線と、を備える。第1のフォイル巻線の磁気軸は、第2のフォイル巻線の磁気軸と略同一であり、座標系199のz軸に平行である。変成器を、例えば、スイッチング電源“SMPS”、例えば、フライバック電源又は共振コンバータの変成器とすることができるが、必ずしもそうする必要はない。第1のフォイル巻線は、1次巻線として動作してもよく、第2のフォイル巻線は、2次巻線として動作してもよい。
【0017】
変成器の第1のフォイル巻線は、第1のフォイル導体の横方向が第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線の磁気軸に平行になる、すなわち、座標系199のz軸に平行になるように第1のフォイル導体から構成した第1の巻線部によって構成される。第1の巻線部を図1c及び図1dに示し、これらに参照番号101及び102を付す。同様に、変成器の第2のフォイル巻線は、第2のフォイル導体の横方向が第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線の磁気軸に平行になる、すなわち、座標系199のz軸に平行になるように第2のフォイル導体から構成した第2の巻線部によって構成される。第2の巻線部を図1c及び図1dに示し、これらに参照番号103及び104を付す。図1c及び図1dに示すように、巻線部101が最も奥の巻線となり、巻線部103が巻線部101と巻線部102との間にあり、巻線部104が最も外側の巻線となり、巻線部102が巻線部103と巻線部104との間となるように、巻線部101〜104は、座標軸199のz軸に垂直な方向で交互積層される。上述したような交互積層配置は一例にすぎず、多くの異なる交互積層配置が可能であることは注目すべきことである。例えば、フォイル巻線の一つ、例えば、第2のフォイル巻線を、対象としているフォイル巻線のみを構成するとともの他のフォイル巻線の巻線部の間に配置される一つの巻線部のみから構成することができる。他の例として、フォイル巻線の少なくとも一つは、他のフォイル巻線の巻線部と交互配置された三つ以上の巻線部を備えてもよい。
【0018】
巻線部101のフォイル導体の端部は、座標系199のz軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片105a及び105bを構成するために分けられる。これを、細長片105a及び105bが折り曲げられた線を破線で示す図1eに示す。同様に、巻線部102のフォイル導体の端部は、z軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片106a及び106bを構成するために分けられ、巻線部103のフォイル導体の端部は、z軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片107a及び107bを構成するために分けられ、巻線部104のフォイル導体の端部は、z軸に略平行な互いに逆の方向に折り曲げられた二つの細長片108a及び108bを構成するために分けられる。
【0019】
細長片105a及び106aの端部は、図1dに示すように巻線部103を渡る接続ブリッジを構成するために相互接続される。細長片105a及び106aの端部を、例えば、はんだ付けによって又は機械的な締結手段、例えば、ボルト及びナットを用いることによって相互接続することができる。同様に、細長片105b及び106bの端部は、巻線部103を渡る他の接続ブリッジを構成するために相互接続される。細長片107a及び108aの端部は、図1dに示すように巻線部103を渡る接続ブリッジを構成するために相互接続される。同様に、細長片107b及び108bの端部は、巻線部103を渡る他の接続ブリッジを構成するために相互接続される。図1dに示すように、巻線部101及び102は、細長片105a及び106aの端部並びに細長片105b及び106bの端部によって構成される二つの接続ブリッジによって電気的に相互接続される。これによって、巻線部101と巻線部102との間の電気的な接続部のインダクタンスを低減する。その理由は、上述した二つの接続ブリッジが略平行に接続されるからである。さらに、二つの接続ブリッジによって形成された両側にある電気的な接続部は、巻線部101及び巻線部102のフォイル導体を流れる電流の分布を更に対称にする。上述したことは、巻線部103及び巻線部104にも当てはまる。
【0020】
図1a〜図1eに示す例示する変成器は、第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線によって包囲された脚部を有するコア構造113を備え、この場合、脚部の長手方向は、第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線の磁気軸に略平行である、すなわち、座標軸199のz軸に平行である。図1a及び図1dにおいて、脚部に参照番号116を付す。図1aは、脚部116の一部を示し、図1dは、脚部の断面を示す。多くの用途において、コア構造113が強磁性材料を含むことが有利である。コア構造は、例えば、フェライト又は強磁性鋼板の束を服喪ことができる。しかしながら、上述した種類の交互積層されたフォイル巻線は、フェライトコア構造を備えない変成器においても適用可能である。
【0021】
図2aは、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器の断面図を示す。変成器は、接続端子209及び210を介して外部電気システムに接続することができる第1のフォイル巻線と、接続端子211及び212を介して外部電気システムに接続することができる第2のフォイル巻線と、を備える。第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線は、座標系299のz軸に平行である略同一の磁気軸を有する。変成器の第1のフォイル巻線は、第1のフォイル導体の横方向が第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線の磁気軸に平行になるように第1のフォイル導体から構成した第1の巻線部201及び第1の巻線部202によって構成される。変成器の第2のフォイル巻線は、第2のフォイル導体の横方向が第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線の磁気軸に平行になるように第2のフォイル導体から構成した第2の巻線部203及び第2の巻線部204によって構成される。巻線部201が最も奥の巻線となり、巻線部203が巻線部201と巻線部202との間にあり、巻線部204が最も外側の巻線となり、巻線部202が巻線部203と巻線部204との間となるように、巻線部201〜204は、座標軸299のz軸に垂直な方向で交互積層される。変成器は、第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線によって包囲された脚部216を有するコア構造213を備え、この場合、脚部の長手方向は、第1のフォイル巻線及び第2のフォイル巻線の磁気軸に略平行である、すなわち、座標軸299のz軸に平行である。脚部は、非強磁性ギャップによって脚部の長手方向において互いに離間した二つの部分216a及び部分216bを備える。図2bは、図2aの部分220の拡大を示す。図2bにおいて、非強磁性ギャップに参照番号217を付す。フォイル巻線のフォイル導体の各々は、磁気軸の方向において所定の距離だけ互いに離間した互いに平行な二つの細長片を備え、非強磁性ギャップ217によって生じた磁束219の広がりが脚部216に最も近接するフォイル導体に渦電流を誘導するのを妨げるために、細長片の間のギャップ218を非強磁性ギャップ217に合わせるようにする。図2a及び図2bにおいて、巻線部201のフォイル導体の二つの互いに平行な細長片に参照番号205a及び205bを付す。図2cは、図2aに示すように細長片の端部を対応する細長片206a及び細長片206bの端部に接続できるようにするために細長片の端部を二つの互いに逆の方向に折り曲げる方法を示す。
【0022】
磁気軸すなわちz軸の方向において所定の距離だけ互いに離間した二つの互いに平行な細長片を有するためにフォイル導体の一つの一部であるとともに脚部216に最も近接したフォイル導体部のみを配置して、これらの細長片の間のギャップを非強磁性ギャップ217に合わせることによっても上述したような渦電流の低減を行うことができることは、注目すべきことである。したがって、全てのフォイル導体が二つの互いに平行な細長片を構成する必要はなく、脚部に最も近接するフォイル導体全体が二つの互いに平行な細長片を構成する必要はない。異なる選択肢間の選択は、例えば、製造に関連した観点に依存する。
【0023】
図1a〜1e及び図2a〜2cに示す例示する変成器において、接続端子109〜112及び接続端子209〜212は、座標系199及び座標権299の正のz方向に突出するように片側にある。接続端子を、例えば、折り曲げ線が対象としているフォイル導体の長手方向に対して45°の角度を有するように略直角を形成するためにフォイル導体を折り曲げることによって構成することができる。場合に応じて図1eに示す方法又は図2cに示す方法で構成することができる両側の接続端子を有することもできる。
【0024】
図3は、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器システムを示す。変成器システムは、変成器321と、第1の回路基板314と、第2の回路基板315と、を備える。回路基板は、座標系399のxy面に平行である。変成器を、例えば、図1a〜1eに示す変成器又は図2a〜2cに示す変成器とすることができる。この例示する場合において、変成器321の接続端子の各々は、回路基板314の導体にはんだ付けされる。座標系399の正のz方向に折り曲げられるとともに接続ブリッジの一つを構成する細長片の各対の端部は、回路基板314の導体にはんだ付けされ、座標系399の負のz方向に折り曲げられるとともに接続ブリッジの一つを構成する細長片の各対の端部は、回路基板315の導体にはんだ付けされる。接続端子及び/又は細長片の端部を、回路基板の貫通孔に通した後に回路基板の導体にはんだ付けすることができる。接続端子及び/又は細長片の端部を、回路基板の表面上の接続パッドにはんだ付けし又は他の方法で取り付けることもできる。
【0025】
上記説明で提供した特定の限定されない例は、添付した特許請求の範囲及び/又は添付した特許請求の範囲の適用性を制限するものと解釈すべきでない。例えば、発明の例示する及び限定されない実施の形態による変成器は、互いに交互積層された巻線部を有する三つ以上のフォイル巻線を備えてもよい。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図2c
図3