【実施例】
【0017】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(
図2参照)を着脱可能に保持(支持)する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤20の後側に、図柄を変動表示可能な第1表示装置17が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視可能に保護する透明部材13bを窓口13aに備えた装飾枠としての前枠13が開閉可能に組付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0018】
前記第1表示装置17は、後述する始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞を契機として演出用の図柄(飾図という場合もある)を第1表示部17aに変動表示させる図柄変動演出を行うよう構成される。また第1表示装置17では、図柄変動に関連して実行される各種の表示演出を第1表示部17aに表示し得るようになっている。実施例では、前記第1表示装置17として、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の表示装置やドットマトリックス式の表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。
【0019】
(中枠12について)
前記中枠12は、
図3に示すように、上下左右の枠部材12a,12b,12c,12dを組付けた枠状部材であって、中枠12は、前記外枠11の左上端部および左下端部に設けられた支軸を介して左側端部(一方の側部)が回転可能に枢支(ヒンジ接続)されて、該支軸を中心として中枠12を回転させることで、該外枠11に対して中枠12を開閉し得るようになっている。また、中枠12は、上下左右の枠部材12a,12b,12c,12dを組付けた際に前後に開口する開口縁部が、前記遊技盤20を設置する遊技盤設置部80として機能するよう構成されている。実施例では、前記上下の枠部材12a,12bは合成樹脂成形されると共に、左右の枠部材12c,12dはアルミ等の導電性金属材により成形されて、中枠12は全体として剛性を確保しつつ軽量化が図られている。
【0020】
また、前記中枠12の左枠部材12cの開口内側(遊技盤設置部80側)には、
図3に示す如く、上下に離間する位置に、前記遊技盤20の左側端部を着脱可能に保持する保持具81,81が複数(実施例では2個であるが、1個あるいは3個以上であってもよい)設けられると共に、上下の枠部材12a,12bにおける右端部(右枠部材12d側)に、遊技盤20の右側上下端部を固定する固定具82が夫々設けられている。すなわち、前記遊技盤20を中枠12に組付ける場合には、前記遊技盤設置部80に斜めに遊技盤20を臨ませて、該遊技盤20の左側端部を前記保持具81,81で保持した状態で、遊技盤20の右側端部を押し込んで遊技盤20の左側端部を中心に回動させて遊技盤20の全体を遊技盤設置部80に臨ませて、前記固定具82で遊技盤20の右側上下端部を支持固定する。このように、実施例に係る遊技盤20は、前記中枠12と同様に、左側端部が回転中心となるよう支持される。
【0021】
前記右枠部材12dには、上下方向に離間する複数箇所に、図示しない遊技部品を取付けるための金属製の取付具(金属部分)83が設けられている。そして、後述するように、最上位の取付具83は、設置部材35が取付けられた遊技盤20を中枠12に嵌め込んだ際に、アース部76(後述)と接触して導通状態となるよう構成される(
図14参照)。なお、中枠12の右枠部材12dは、パチンコ機10の電源制御を行う電源基板を備えた電源装置(図示せず)にリード線を介して電気的に接続されている。また、電源装置は、遊技店の島設備にアース接続されている。すなわち、中枠12は、電源装置を介して全体としてアースされている。
【0022】
図1に示す如く、前記前枠13には、窓口13aを囲繞するようランプ装置(発光手段)18が配設されると共に、前枠13の上部位置に、音声や効果音を出力可能なスピーカ(音出力手段)19が配設されている。そして、ランプ装置18に設けられたLED等の発光体(図示せず)を点灯・点滅したり、前記スピーカ19から適宜の音声を出力することで、前記第1表示装置17で行われる各種の表示演出(図柄変動演出)に合わせて光による演出や音による演出を行い得るよう構成されている。すなわち、前記ランプ装置18やスピーカ19は、第1表示装置17と同様に演出手段としての機能を有している。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成して中枠12に対して開閉可能に組付けるようにしてもよい。
【0023】
前記前枠13には、
図1に示す如く、下球受け皿15の右側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー16aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤20に形成された第1球流下領域23a(後述)をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該遊技盤20に形成された第2球流下領域23b(後述)をパチンコ球が流下する所謂「右打ち」とを打ち分け得るようになっている。
【0024】
(遊技盤20について)
実施例の前記遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂材から所定板厚の略矩形状に形成された平板状の透明板(遊技領域形成部材)であって、該遊技盤20の裏側に前記第1表示装置17が着脱自在に組付けられている。遊技盤20の前側には、
図2に示す如く、前面(盤面)に配設された略円形状の案内レール21によりパチンコ球が流下可能(移動可能)な遊技領域23が画成されて、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が当該遊技領域23内に打ち出されることで遊技が行われるようになっている。また、遊技盤20には、該遊技盤20との間に収容空間を画成する設置部材35が配設されており、収容空間には、発光により演出を行う発光演出装置や、後述する第2表示装置40の動作等により演出を行う表示演出装置39等の各種の演出装置が設置されている。そして、発光演出装置や表示演出装置39は、前記第1表示装置17で行われる各種の表示演出(図柄変動演出)に合わせて発光演出や第2表示装置40の動作演出を行い得るよう構成されており、該発光演出装置および表示演出装置39についても、第1表示装置17と同様に演出手段としての機能を有している。なお、前記第1表示装置17は、設置部材35の裏側に取付けられて、後述するように設置部材35に設けた開口部(可視部)35aおよび枠状装飾体24(後述)の開口部24aを介して遊技盤20の前側から視認可能に臨むよう構成される。なお、遊技盤20は、ベニヤ材や合成樹脂材等の非光透過性の板部材の表面に装飾シール等を貼付したものであってもよい。
【0025】
前記遊技盤20には、前後に貫通する装着口(図示せず)が前記遊技領域23内に複数開設されて、各装着口に対して各種の遊技盤設置部品(具体的には後述する枠状装飾体24、始動入賞装置29、特別入賞装置30、ゲート部31等)が前側から取付けられると共に、遊技領域23の最下部位置には、該遊技領域23に打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口22が開設されており(
図2参照)、遊技領域23に打ち出されてアウト口22に入球したパチンコ球が機外に排出されるよう構成される。また、前記遊技盤20には、前記遊技領域23内に多数の遊技釘32が設けられると共に、後述する枠状装飾体24の左側方に、遊技領域23(第1球流下領域23a)を流下するパチンコ球の接触に伴って回転する回転案内部材33が回転自在に支持されており、遊技釘32や回転案内部材33との接触によりパチンコ球の流下方向が不規則に変化するよう構成されている。前記回転案内部材33は、所謂「風車」とも称される部材であって、該回転案内部材33の回転に伴ってパチンコ球を弾くように左右方向へ放出する部材である。なお、前記装着口の形成数は、遊技盤20に対して取付けられる各種遊技構成部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜決定される。
【0026】
実施例の前記遊技盤20には、
図2に示す如く、前記案内レール21で囲まれた遊技領域23の略中央の大部分が開口する装着口に、前後に開口する開口部24aが形成された枠状装飾体24が取付けられ、該枠状装飾体24の開口部24aを介して第1表示装置17の第1表示部17aが遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。
【0027】
(枠状装飾体24について)
前記遊技盤20に配設される前記枠状装飾体24は、
図2に示す如く、前記遊技盤20に開設された前記装着口の内側に沿って延在する環状に形成された枠状基部(図示せず)と、該枠状基部に設けられて前記遊技盤20の前面より前方に突出し、前記遊技領域23と第1表示装置17の第1表示部17aを区切って該遊技領域23の内周を画成する庇状部24bと、該庇状部24bの後縁から外方に延出する薄板状の台板部24cとを備える。そして、前記枠状基部を装着口に挿入すると共に台板部24cを遊技盤20の前面に当接した状態で、該台板部24cをネジ等の固定手段で遊技盤20に固定することで、枠状装飾体24が遊技盤20に取付けられる。ここで、前記庇状部24bは、前記枠状装飾体24(枠状基部)の左側縁の略中間位置から上縁および右下縁に亘って連続して延在するように設けられており、開口部24a側、すなわち第1表示装置17における第1表示部17aの前面側を横切ってパチンコ球が流下(落下)するのを規制している。
【0028】
前記枠状装飾体24には、
図2に示す如く、前記開口部24aの下側に、遊技領域23からパチンコ球が飛び込み可能なステージ26が設けられており、遊技領域23からステージ26に飛び込んだパチンコ球は、該ステージ26上を左右に転動した後に、後述する始動入賞装置29が配設されている遊技領域23に排出される。またステージ26の後端縁には、左右方向の全長に亘って上側に向けて所定高さで立上がる透明壁25が設けられ、ステージ26上を転動するパチンコ球が第1表示装置17の第1表示部17a側に移動するのを該透明壁25で防止している。
【0029】
前記遊技盤20に画成された遊技領域23は、前記枠状装飾体24における庇状部24bの左側方をパチンコ球が流下する第1球流下領域23aと、該枠状装飾体24における庇状部24bの上方から右側方をパチンコ球が流下する第2球流下領域23bとに区画されている。これにより、前記操作ハンドル16の操作レバー16aを回動操作して打球力を調節することで、遊技領域23に打ち出されたパチンコ球が第1球流下領域23aを流下する遊技形態(左打ち)および当該パチンコ球が第2球流下領域23bを流下する遊技形態(右打ち)の何れかを遊技者が任意に選択し得るようになっている。
【0030】
前記遊技盤20には、枠状装飾体24の下方に開設された装着口に、遊技領域23(第1球流下領域23a,第2球流下領域23b)を流下するパチンコ球が入賞可能な始動入賞口29a,29bを有する始動入賞装置(入賞装置)29が取付けられている。また、始動入賞装置29の右方に開設された装着口に、遊技領域23(第2球流下領域23b)を流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞口(入賞口)30aを有する特別入賞装置(入賞装置)30が取付けられている。また、枠状装飾体24の右方に開設された装着口に、遊技領域23(第2球流下領域23b)を流下するパチンコ球が通過可能なゲート部31が取付けられている。更に、始動入賞装置29の左方に開設された装着口に、遊技領域23(第1球流下領域23a)を流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞口34aを有する普通入賞部34が取付けられている。なお、実施例では、始動入賞装置29および特別入賞装置30にも普通入賞口34aを有する普通入賞部34が設けられている。
【0031】
(始動入賞装置29について)
前記枠状装飾体24の下方位置に取付けられた前記始動入賞装置29は、前記第1球流下領域23aと第2球流下領域23bとが合流する合流部に位置して、該始動入賞装置29に設けられた始動入賞口29a,29bには両球流下領域23a,23bを流下するパチンコ球が入賞可能に構成されている。実施例の始動入賞装置29には、上下の関係で第1始動入賞口29aと第2始動入賞口29bとが設けられている。上側に位置する第1始動入賞口29aは、遊技領域23内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされ、該第1始動入賞口29aは、前記遊技領域23を流下するパチンコ球が常時一定の確率で入賞可能に構成される。これに対して下側に位置する第2始動入賞口29bは、始動用開閉部材29cによって開閉するよう構成されており、駆動手段としての始動入賞ソレノイド(図示せず)の駆動に伴って始動用開閉部材29cが第2始動入賞口29bを閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。すなわち、第2始動入賞口29bは、始動入賞ソレノイドを駆動することでパチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成される。
【0032】
前記始動入賞装置29は、各始動入賞口29a,29bに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての始動入賞検出スイッチ(図示せず)を備えている。始動入賞検出スイッチは、パチンコ機10の裏側に配設された図示しない制御手段に配線接続されており、該始動入賞検出スイッチによるパチンコ球の検出を契機として所定数の賞球が払い出されるようになっている。また、始動入賞検出スイッチによるパチンコ球の検出に伴って各種情報が取得され、この取得した情報に基づいて特図当り抽選(大当り判定)が行われるよう構成されている。そして、特図当り抽選の結果に基づいて前記第1表示装置17の第1表示部17aにおいて図柄変動演出が実行され、該第1表示装置17の第1表示部17aでの図柄変動演出の結果、該第1表示部17aに所定の組み合わせ(例えば同一飾図の3つ揃い等)で飾図が確定停止表示されることで、遊技者に有利な大当り遊技状態が付与され、大当り遊技状態の発生に伴って前記特別入賞装置30を所定の開放条件で開放する大当り遊技(当り遊技)が行われて、遊技者が賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。また実施例のパチンコ機10は、大当り遊技の終了後に遊技者に有利な遊技状態として、特図当りの抽選確率が低確率から高確率に変動して大当り遊技状態が生起され易くなる確変状態や、前記第2始動入賞口29bへのパチンコ球の入賞契機が増加(非変短状態と較べて増加)する変短状態を付与する機能を備えている。確変状態および変短状態は、各始動入賞口29a,29bへの入賞を契機として制御手段で実行される特図当り抽選で当選した大当りの種類(具体的には大当り図柄の種類)が、予め定めた確変図柄および変短図柄であることを条件として、大当り遊技の終了後に付与される。
【0033】
(特別入賞装置30について)
前記特別入賞装置30は、遊技領域23(第2球流下領域23b)に開口する特別入賞口30aを開閉自在に閉成する特別用開閉部材30bを備えており、駆動手段としての特別入賞ソレノイド(図示せず)の駆動に伴って特別用開閉部材30bが閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に変位するよう構成されている。また、前記特別入賞装置30には、前記特別入賞口30aに入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出手段としての特別入賞検出センサ(図示せず)が設けられている。特別入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、特別入賞検出センサからの検出信号が制御手段に入力されることを賞球の払出条件として、該制御手段が賞球の払い出しを決定するようになっている。ここで、前記特別入賞ソレノイドは、前記始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞を契機として特別入賞口30aを開閉する大当り遊技が付与される場合(大当り判定の結果が肯定の場合)に、前記第1表示装置17による図柄変動演出の終了後に制御手段によって駆動制御される。
【0034】
(ゲート部31について)
前記ゲート部31には、該ゲート部31をパチンコ球が通過したことを検出するゲートセンサ(図示せず)が配設される。ゲートセンサは、前記制御手段に配線接続されており、該ゲートセンサから制御手段への球検出信号の入力、すなわちゲートセンサのパチンコ球の検出(ゲート部31のパチンコ球の通過)に伴って各種通過検出情報(乱数等の遊技情報)が取得され、この取得した遊技情報に基づいて普図当り抽選(普図当り判定)が行われるよう構成されている。そして、この普図当り抽選の結果に応じて前記始動入賞装置29の始動入賞ソレノイドが駆動制御されて始動用開閉部材29cが開閉動作するようになっている。
【0035】
(普通入賞部34について)
前記普通入賞部34は、パチンコ球が入賞可能な普通入賞口34aが上方に常時開口するように前記遊技盤20に設けられており、遊技領域23を流下するパチンコ球が一定の確率で普通入賞口34aに入賞し得るようになっている。普通入賞部34は、普通入賞口34aに入賞したパチンコ球を検出する入賞検出手段としての普通入賞検出センサ(図示せず)が設けられている。前記普通入賞検出センサは、前記制御手段に配線接続されており、普通入賞検出センサからの検出信号が制御手段に入力されることを賞球の払出条件として、該制御手段が賞球の払い出しを決定するようになっている。
【0036】
(設置部材35について)
前記設置部材(設置部)35は、
図4に示す如く、前記遊技盤20の外郭形状より僅かに小さい形状に形成された略矩形状の背面板(設置部)36と、該背面板36の外周縁部から前方に突出する画壁部37とから前方に開口した箱状に形成されて、該画壁部37の開口前端部に形成されて開口外側へ延出する取付部38を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、当該遊技盤20と設置部材35とがネジ止め固定される(
図12参照)。そして、前記設置部材35において前記遊技盤20との間に画成される空間に、動作により演出を行う表示演出装置39が設置されて、設置部材35を基材とする1つのユニットとして扱い得るようになっている。前記設置部材35の背面板36には、前記枠状装飾体24の開口部24aと前後に整列する位置に、略矩形状の開口部35aが前後に開口するよう開設される。そして、背面板36の裏面に配設した前記第1表示装置17の第1表示部17aが、前記開口部35aおよび開口部24aを介して遊技盤20の前側に臨むようになっている。なお、以下の説明では、設置部材35の背面板36について、開口部35aに対する上下左右の各部位を、上板部36a,下板部36b,左板部36c,右板部36dと指称して区別する場合がある。また、設置部材35の画壁部37についても、開口部24aに対する上下左右の各部位を、上壁部37a,下壁部37b,左壁部37c,右壁部37dと指称して区別する場合もある。
【0037】
(表示演出装置39について)
前記設置部材35の背面板36に、表示演出を実行する第2表示装置(表示装置)40を背面板36に対して変位可能(移動自在)に備える表示演出装置39が配設されている。この表示演出装置39は、前記第1表示装置17における第1表示部17aの前側(枠状装飾体24の後側)を、前記第2表示装置40が上下方向に移動するよう構成されている。また表示演出装置39は、第2表示装置40を、後述する移動機構47によって前記枠状装飾体24における開口部24aの下縁部側(開口部縁部側)の待機位置(
図2の実線位置)と、該待機位置より窓口中央側(開口部中央側)の作動位置(
図2の二点鎖線位置)との間を往復移動するよう構成される。そして、第2表示装置40は、待機位置から作動位置に移動することで、該第2表示装置40が前記第1表示装置17における第1表示部17aの前側に重なる領域を変化させるようになっている。具体的には、第2表示装置40が待機位置に位置する状態より作動位置に位置する状態の方が、第1表示部17aを前側から視認可能な視認領域が小さくなるよう構成されている。
【0038】
前記第2表示装置40は、カバー部材とベース部材とを前後の関係で組付けることで構成される収容ケース41に、各種画像を表示可能な液晶パネル42を収容した液晶表示装置が採用され、収容ケース41に収容された液晶パネル42は、該収容ケース41の前側に形成した開口部41aから前側に臨むよう構成される。以後、液晶パネル42における収容ケース41の開口部41aから前側に臨む部位を第2表示部(表示部)40aと指称する。そして、第2表示装置40では、第2表示部40aで各種の演出画像を表示する演出を実行し得るよう構成される。
【0039】
前記第2表示装置40の第2表示部40aは、待機位置および作動位置の何れの位置においても前側から視認可能に構成されており、該第2表示装置40が待機位置および作動位置に移動した状態で第2表示部40aに表示される演出によって興趣を向上し得るようになっている。具体的に、
図2に示す如く、第2表示装置40の待機位置では、第2表示部40aは、一部が前記透明壁25の後側に位置すると共に一部が透明壁25の上端縁より上側に延出して、該第2表示部40aは透明壁25および枠状装飾体24の開口部24aを介して前側から視認し得るよう構成される。また、第2表示装置40の作動位置では、第2表示部40aの全体が透明壁25の上端縁より上側に延出して、該第2表示部40aは枠状装飾体24の開口部24aを介して前側から視認し得るよう構成される。第2表示装置40では、前記始動入賞口29a,29bへのパチンコ球の入賞を契機として第1表示装置17で実行される図柄変動演出と関連して、該図柄変動演出とは別の演出を表示し得る他、客寄せのためのデモンストレーション演出(デモ演出)を表示し得るよう構成される。図柄変動演出と関連した表示演出としては、例えば、特図当り抽選や普図当り抽選に当選する期待度等を示唆する予告演出や、該特図当り抽選や普図当り抽選の結果を報知する報知演出等が挙げられる。なお、第2表示装置40は、第1表示装置17と同様に、液晶表示装置に限られるものではなく、ドラム式の表示装置やドットマトリックス式の表示装置等の従来公知の各種の表示装置を採用し得る。
【0040】
(移動機構47について)
前記表示演出装置39は、前記背面板36の前側に配設されて、前記第2表示装置40が移動自在に支持される支持基体43を備える。この支持基体43は、
図4に示す如く、左右方向に離間する一対の支持部44,45を備え、左側の第1支持部44が、前記左板部36cの前側で上下方向に延在すると共に、右側の第2支持部45が、前記右板部36dの前側で上下方向に延在している。そして、各支持部44,45を対応する板部36c,36dに夫々ネジ止め固定することで、支持基体43が設置部材35に位置決め固定される。
【0041】
前記両支持部44,45間に、第2表示装置40が移動自在に支持されている。具体的には、第2表示装置40は、
図5に示す如く、前記収容ケース41の後面に、左右方向(第2表示装置40の移動方向と交差する方向)に延在する保持部材46を備え、該保持部材46における収容ケース41の左右の各端縁から外方に延出する各端部が、対応する支持部44,45に移動自在に支持されている。なお、各支持部44,45には、内側(対向する支持部44,45を指向する側)に上下方向に延在する長孔(図示せず)が形成されており、該長孔に保持部材46の対応する端部が挿通されている。すなわち、両支持部44,45に対して第2表示装置40は、前後方向の変位が規制された状態で上下方向に移動自在に支持されている。そして、第2表示装置40は、前記支持基体43および保持部材46に配設された移動機構47によって、下方の待機位置と上方の作動位置との間を往復移動するよう構成される。移動機構47は、両支持部44,45に設けられて上下方向に(第2表示装置40の移動方向に沿って)延在するラック48,48と、保持部材46に回転自在に支持されて各ラック48に噛合するピニオン49,50と、該ピニオン49,50を回転駆動する駆動モータ(駆動手段)51とを備える。
【0042】
前記保持部材46には、左右方向に延在する回転軸52が回転自在に支持されており、該回転軸52の軸方向の両端に第1ピニオン(ピニオン)49が夫々一体回転可能に配設されている。また、保持部材46の左右両端部には、回転軸52に設けられた各第1ピニオン49の上側に第2ピニオン50が夫々回転自在に支持されている。そして、第1支持部44に設けられたラック48に対して上下に離間する第1ピニオン49および第2ピニオン50が噛合すると共に、第2支持部45に設けられたラック48に対して上下に離間する第1ピニオン49および第2ピニオン50が噛合しており、左右(後述する導電部材59の延在方向)に離間するラック48,48とピニオン49,50,49,50との噛合作用下に第2表示装置40は安定して待機位置と作動位置との間を移動し得るようになっている。前記保持部材46には、左右方向の一方の端部(実施例では左端部)にモータ取付部材53を介して前記駆動モータ51が配設されると共に、該駆動モータ51により回転駆動される駆動歯車(図示せず)が、対応する側に位置する第1ピニオン49および第2ピニオン50に噛合している。すなわち、駆動モータ51により駆動歯車を回転駆動すると、該駆動歯車に噛合する第1ピニオン49および第2ピニオン50は同一方向に回転する。また、左側の第1ピニオン49の回転に伴って回転軸52が回転することで右側の第1ピニオン49も同一方向に回転する。これにより、各ラック48とピニオン49,50との噛合作用によって第2表示装置40が上下方向に移動するようになっている。なお、右側の第2ピニオン50は、ラック48との噛合作用下に第2表示装置40の移動に伴って従動して回転する。
【0043】
前記モータ取付部材53に検出片53aが設けられると共に、前記設置部材35に、第2表示装置40の移動方向(実施例では上下方向)に離間して該検出片53aを検出可能な第1検出センサ54および第2検出センサ55が配設されている(
図4参照)。第1検出センサ54は、第2表示装置40の待機位置において検出片53aを検出し、第2検出センサ55は、第2表示装置40の作動位置において検出片53aを検出し得るよう構成される。両検出センサ54,55は前記制御手段に配線接続されており、各検出センサ54,55が検出片53aを検出した信号の入力に基づいて駆動モータ51を制御手段が停止制御することで、第2表示装置40を待機位置および作動位置で停止保持し得るよう構成される。なお、両検出センサ54,55は、設置部材35に配設されて後述する引張りコイルバネ58を収容するケース体56の前面に配設されている。
【0044】
ここで、前記表示演出装置39は、
図4に示す如く、前記第2表示装置40の左右両側に、可動演出体57を夫々備え、両可動演出体57,57は、前記保持部材46に対して上下方向に移動自在に支持されている。そして、両可動演出体57,57は、第2表示装置40の移動に伴って図示しない連繋機構によって第2表示装置40に対して相対的に上下動するよう構成される。具体的には、第2表示装置40の待機位置では、
図2において実線で示す如く、両可動演出体57,57の上端位置は第2表示装置40の上端位置と略同じレベルで位置し、第2表示装置40の作動位置では、
図2において二点鎖線で示す如く、両可動演出体57,57の上端位置は第2表示装置40の上端位置より上側に変位したレベルで位置するよう構成される。また、各可動演出体57の前面部には、光透過部が所定のデザインで施され、可動演出体57の裏側に配設した発光基板に実装した発光体(LED)を発光させることで、光透過部を明輝させて第2表示装置40の両側で発光演出を行い得るよう構成されている。
【0045】
(引張りコイルバネ58について)
前記保持部材46における左右方向の一方の端部(実施例では左端部)と設置部材35との間に、付勢手段としての引張りコイルバネ58(
図4,
図5参照)が張架されて、第2表示装置40は、常には引張りコイルバネ58によって作動位置に向けて付勢されている。具体的には、設置部材35における左壁部37cの内面に、上下方向に所定長さで延在するケース体56が配設されると共に、該ケース体56の内側を向く内側面には内外方向に貫通する長孔56aが上下方向に所定長さで形成されている(
図10参照)。また、前記保持部材46の左端部に設けられた係止部53b(
図5,
図6参照)が長孔56aからケース体56の内部に挿通されて、第2表示装置40の移動時には係止部53bが長孔56aに沿って移動可能に構成されている。なお、実施例では係止部53bは、前記モータ取付部材53に設けられているが、保持部材46に直に設けることができる。そして、ケース体56の内部上端部に一端(上端)が係止された引張りコイルバネ58の他端(下端)が前記係止部53bに係止されて、該引張りコイルバネ58によって保持部材46を備える第2表示装置40を作動位置に向けて付勢するよう構成される。すなわち、第2表示装置40を下方の待機位置から上方の作動位置に移動する際に前記駆動モータ51に加わる負荷を引張りコイルバネ58の付勢力によって軽減し得るよう構成される。また、引張りコイルバネ58は、保持部材46における駆動モータ51の配設側に配置されており、駆動モータ51の重量が加わる保持部材46の一端部側を引張りコイルバネ58で上方に付勢することで、駆動モータ51に加わる負荷をより軽減し得るようになっている。
【0046】
(導電部材59について)
前記第2表示装置40には、該第2表示装置40に帯電した静電気を外部に逃すための導電部材59が配設されている。導電部材59は、左右方向に所定長さで延在する金属板金であって、実施例では導電部材59が前記保持部材46の後面における左右方向の略全体を覆うように配設されて、該保持部材46の剛性を高める補強材としての機能も有している(
図5参照)。この導電部材59における左右方向の一端部には、接触部60が設けられており、該接触部60に後述するアース部材72,73が接触可能に構成されている(
図10参照)。実施例では、接触部60は、導電部材59における前記保持部材46に駆動モータ51が取付けられると共に引張りコイルバネ58が係止される側(他端側)とは反対側(一端側)に対応する側に設けられている。
【0047】
前記接触部60は、
図10に示す如く、側面視において前記背面板36の前面に沿って延在する平坦部60aと、該平坦部60aにおける上下の端縁から前側に向けて斜めに折曲形成された導入部60b,60cとからなり、待機位置および作動位置において対応するアース部材72,73が平坦部60aに接触するよう構成されている。接触部60における各導入部60b,60cの構成をより具体的に説明すると、接触部60における下端縁(待機位置側の端縁)から延出する第1導入部60bは、平坦部60aから下側に向かうにつれて前側に変位するように傾斜し、第2表示装置40が作動位置から待機位置へ移動する際に接触する第1アース部材72の第1弾性片72b(後述)を平坦部60aにスムーズに導びき得るようになっている。また、接触部60における上端縁(作動位置側の端縁)から延出する第2導入部60cは、平坦部60aから上側に向かうにつれて前側に変位するように傾斜し、第2表示装置40が待機位置から作動位置へ移動する際に接触する第2アース部材73の第2弾性片73b(後述)を平坦部60aにスムーズに導びき得るようになっている。
【0048】
(保持手段61について)
実施例のパチンコ機10は、前記第2表示装置40を、前記作動位置に保持すると共に保持を解除可能な保持手段61を備えている。この保持手段61は、
図5〜
図8に示す如く、前記保持部材46に設けた係合部62に係合して第2表示装置40を作動位置に保持する係合位置および係合が解除される解除位置の間を変位可能な係合部材63と、該係合部材63を常には係合位置に向けて付勢する付勢部材としてのバネ部材64と、係合部材63を係合位置から解除位置に変位させる作動手段としての電磁ソレノイド65とを備える。実施例では、前記保持部材46における前記駆動モータ51が取付けられると共に引張りコイルバネ58が係止される側(他端側)の後面から後方に突出するように係合部62が設けられ、該係合部62は、前記導電部材59に開設した通孔59aを介して該導電部材59の後方に突出している。また、係合部62には、上側から下側に向かうにつれて保持部材46の他端側に変位する傾斜面62aが形成されている(
図6参照)。
【0049】
前記係合部材63は、設置部材35に対して取着部材66(
図4参照)を介して前後方向の軸回りに回動自在に支持される。具体的に係合部材63は、取着部材66に設けられた前後方向に延在する支持軸67(
図7参照)に回動自在に支持される支持基部68と、該支持基部68から径方向に延出する第1延出部69および第2延出部70を備え、第1延出部69が下方を指向する状態で、第2延出部70は側方を指向するよう構成される。第1延出部69の下部には、前記係合部62に形成されている傾斜面62aと対応するように傾斜する傾斜面69aが形成されると共に、該係合部62が係合可能な段部69bが設けられている。また、第2延出部70には、下端が取着部材66(設置部材35)に係止されたバネ部材64の上端が係止されて、該係合部材63はバネ部材64によって
図7において反時計方向に回転するように付勢されている。
【0050】
前記取着部材66には、前記係合部材63の支持位置より上側に、前記電磁ソレノイド65がプランジャ65aを下向きにして配設されると共に、該プランジャ65aが連繋する作動部材71が、取着部材66(設置部材35)に対して上下方向に移動自在に支持されている。電磁ソレノイド65は、通電された励磁状態においてプランジャ65aが上側へ変位され、これに対し遮電された非励磁状態においてプランジャ65aが作動部材71の重量や前記バネ部材64の付勢力によって下側へ変位されるようになっている。作動部材71は、前記係合部材63における支持基部68の側方を垂下する作動部71aを備え、該作動部71aに形成された係合孔71bに前記第2延出部70が挿通されている。そして、該第2延出部70における作動部71aから支持基部68と反対側に延出する端部に、前記バネ部材64の上端が係止されている。すなわち、電磁ソレノイド65の非励磁状態においてプランジャ65aに連繋する作動部材71が該プランジャ65aによって最も下側の位置に保持されている状態で、係合部材63は、係合孔71bに挿通された第2延出部70の下面が係合孔71bの下端縁に当接して前記係合部62が第1延出部69の段部69bに係合可能な係合位置(
図7の実線位置)に保持されて、この係合位置において前記第1延出部69は前記保持部材46の係合部62(具体的には傾斜面62a)の略真上に位置している。また、係合孔71bは、第2延出部70の下面が係合孔71bの下端縁に当接した状態から該第2延出部70の上方への移動(係合部材63の
図7における時計方向への回動)を許容する寸法に設定されている。すなわち、前記第2表示装置40が待機位置から作動位置へ移動する際に、前記係合部62が第1延出部69に当接したときには係合部材63の時計方向への回動(係合位置から解除位置への移動)が許容されて、作動部材71およびプランジャ65aを作動させることなく係合部材63のみが回動するよう構成される。そして、係合部62が、その傾斜面62aの下端が第1延出部69の傾斜面69aの上端より上側へ移動して傾斜面同士が当接しなくなったときに、前記バネ部材64の付勢力によって係合部材63が反時計方向に回動して第1延出部69の段部69bに係合部62が係合することで、第2表示装置40が作動位置に保持されるよう構成される。また、電磁ソレノイド65を励磁してプランジャ65aに連繋する作動部材71を引き上げることで、バネ部材64の付勢力に抗して係合部材63が解除位置まで回動することによって、係合部材63と係合部62との係合状態が解除されて、第2表示装置40の待機位置への移動が許容されるようになっている。
【0051】
すなわち、実施例のパチンコ機10では、前記保持手段61の係合部材63は、待機位置から作動位置へ移動する第2表示装置40の係合部62が当接した際にはバネ部材64の付勢力に抗して係合位置から解除位置への変位が許容され、該係合部62が係合位置に至ることで前記バネ部材64の付勢力によって係合部材63が解除位置から係合位置に変位して係合部62に係合するよう構成される。そして、前記電磁ソレノイド65を励磁して係合部材63を係合位置から解除位置に変位させることで、該係合部材63と係合部62との係合が解除されて、第2表示装置40の作動位置から待機位置への移動が許容されるよう構成される。
【0052】
(アース部材72,73について)
前記設置部材35における前記引張りコイルバネ58および保持手段61の配置側とは反対側である右板部36dに、前記第2表示装置40の移動方向(上下方向)に離間して第1アース部材72および第2アース部材73が配設されている。言い替えると、第1アース部材72および第2アース部材73は、第2表示装置40と一体的に移動する導電部材59における延在方向の一端側(保持部材46における駆動モータ51が配設される側)とは反対側の他端側が臨む右板部36dに配置されている。そして、下側に位置する第1アース部材72は、第2表示装置40が待機位置に位置する状態で、前記導電部材59の接触部60に接触して導通状態となり(
図10の実線参照)、上側に位置する第2アース部材73は、第2表示装置40が作動位置に位置する状態で、前記導電部材59の接触部60に接触して導通状態となる(
図10の二点鎖線参照)よう構成される。
【0053】
(第1アース部材72について)
前記第1アース部材72は、金属板を折曲形成した板バネ部材であって、
図9,
図10に示す如く、右板部36dにネジ止め固定される第1基部(基部)72aと、該第1基部72aから前側に延出するように折曲形成されて弾性変形可能な第1弾性片(弾性片)72bとを備え、該第1弾性片72bが前記導電部材59の接触部60に接触可能に構成されている。第1弾性片72bは、第1基部72aから前側に向かうにつれて斜め下方に延在するように折曲形成されて、自由端側が第1基部72aとの接続部より下側に位置するよう構成される。すなわち、第1アース部材72の第1弾性片72bは、作動位置側から待機位置側へ向かうにつれて待機位置に位置する第2表示装置40の導電部材59(接触部60)に対して近接するように傾斜している。また、第1弾性片72bの自由端部は、後側に向けて弧状に折曲形成されている。すなわち、第2表示装置40が作動位置から待機位置に向けて移動する際に、第1弾性片72bの自由端が導電部材59の接触部60に突っ掛かることなくスムーズに弾性変形しつつ平坦部60aに弾性的に接触するよう構成される。
【0054】
(第2アース部材73について)
前記第2アース部材73は、前記第1アース部材72と同様に金属板を折曲形成した板バネ部材であって、
図9,
図10に示す如く、右板部36dにネジ止め固定される第2基部(基部)73aと、該第2基部73aから前側に延出するように折曲形成されて弾性変形可能な第2弾性片(弾性片)73bとを備え、該第2弾性片73bが前記導電部材59の接触部60に接触可能に構成されている。第2弾性片73bは、第2基部73aから前側に向かうにつれて斜め上方に延在するように折曲形成されて、自由端側が第2基部73aとの接続部より上側に位置するよう構成される。すなわち、第2アース部材73の第2弾性片73bは、待機位置側から作動位置側へ向かうにつれて作動位置に位置する第2表示装置40の導電部材59(接触部60)に対して近接するように傾斜している。また、第2弾性片73bの自由端部は、後側に向けて弧状に折曲形成されている。すなわち、第2表示装置40が待機位置から作動位置に向けて移動する際に、第2弾性片73bの自由端が導電部材59の接触部60に突っ掛かることなくスムーズに弾性変形しつつ平坦部60aに弾性的に接触するよう構成される。
【0055】
実施例のパチンコ機10では、前記第1アース部材72と第2アース部材73とは、
図9,
図11に示す如く、左右方向に変位して右板部36dに配置されており、前記導電部材59の接触部60(平坦部60a)は、左右に変位している第1アース部材72の第1弾性片72bおよび第2アース部材73の第2弾性片73bに接触可能な幅寸法に設定されている。また、接触部60における上端縁および下端縁に設けられる前記第1導入部60bおよび第2導入部60cは、対応する弾性片72b,73bが接触する側に偏倚して設けられている。なお、第1アース部材72および第2アース部材73は、設置部材35に配設された装飾部79(
図2参照)によって前側から視認し得ないよう構成されている。
【0056】
(アース線74,75について)
前記第1アース部材72と第2アース部材73とは、
図4,
図11に示す如く、第1アース線74によって電気的に接続されている。また、第2アース部材(一方のアース部材)73は、前記設置部材35に設けられたアース部76に第2アース線75によって電気的に接続されている。第1アース線74は、延在方向の両端部に金属製の第1ネジ止め部74aを夫々備え、一方の第1ネジ止め部74aが第1アース部材72の第1基部72aにネジ止め固定されると共に、他方の第1ネジ止め部74aが第2アース部材73の第2基部73aにネジ止め固定されている。また、設置部材35の右板部36dには、第1アース部材72と第2アース部材73との間に臨む位置に配線フック77が設けられ、第1アース線74における両ネジ止め部74a,74aの途中部分が該配線フック77に係止されて、第1アース線74の全体が右板部36dから前側に浮き上がらないよう構成されている。前記第2アース線75は、第1アース線74と同様に延在方向の両端部に金属製の第2ネジ止め部75aを夫々備え、一方の第2ネジ止め部75aが第2アース部材73の第2基部73aにネジ止め固定されると共に、他方の第2ネジ止め部75aが設置部材35のアース部76にネジ止め固定されている(
図12参照)。
【0057】
(アース部76について)
前記アース部76は、設置部材35における第2表示装置40の移動方向と交差する一側部に設けられている。実施例では、設置部材35における両アース部材72,73が設けられる右側部に設けられている。具体的に、アース部76は、前記右壁部37dの開口前端部に設けられた取着部84に着脱自在に配設されている。アース部76は、金属板金を折曲形成した部材であって、
図12,
図14に示す如く、取着部84にネジ止め固定される基部76aと、該基部76aを取着部84に固定した状態で、該取着部84の前側に臨む前方接触部76bおよび該取着部84の後側に臨む後方接触部76cとを備えている。そして、前記第2アース線75の他方の第2ネジ止め部75aが、アース部76の基部76aにネジ止め固定される。実施例では、第2ネジ止め部75aをアース部76の基部76aにネジ止めするためのネジによって該基部76aが取着部84にネジ止めされるようになっている。なお、取着部84には、該取着部84から前方に延出する保護壁84aが設けられており(
図13参照)、該保護壁84a内にアース部76の前方接触部76bが収容されている。
【0058】
前記右板部36dには、
図4に示す如く、第2アース部材73の配設位置からアース部76に近接する位置までの間に複数の配線フック77が離間して設けられており、第2アース部材73に一端が接続された第2アース線75は、複数の配線フック77に係止されて、第2アース線75の全体が右板部36dから前側に浮き上がらないよう構成されている。なお、第2アース線75における第2アース部材73に接続される端部近傍は、右板部36dに配設された前記第2支持部45と右板部36dの前面との間に引き回されて、該第2支持部45によって前側に浮くのが規制されている。
【0059】
前記右壁部37dの前端部には、
図12,
図13に示す如く、前記アース部76が設けられる位置より上側に、前記取付部38の前面(遊技盤20との当接面)より後側に退避する凹部78が設けられている。また、凹部78の底壁(取付部38の前面と平行に延在する壁)には、配線フック77および前後方向に貫通する通孔78aが形成されており、右板部36dの最も上側に設けられた配線フック77に係止された第2アース線75は、右壁部37dの内側に沿って前側に引き回された後に右壁部37dの前端部に設けられた凹部78内の配線フック77に係止される。そして、第2アース線75の他端部の第2ネジ止め部75aは、通孔78aから外側(右壁部37dの外側)に引き出された後に、アース部76の基部76aに裏側からネジ止め固定されるようになっている。すなわち、凹部78内の配線フック77に第2アース線75を係止することで、アース部76の近傍において第2アース線75が前側に延出するのを防いで、設置部材35を遊技盤20の裏側に取付ける際に、該第2アース線75が遊技盤20との間に挟まるのを防止し得るよう構成される。また、凹部78の底壁には、配線フック77より上側(通孔78aの形成位置とは反対側)の内端縁に係止突部78bが前側に向けて突設されており、凹部78内に引き込まれた第2アース線75が凹部78から内側(空間側)に突出するのを該係止突部78bで規制するようになっている。
【0060】
前記設置部材35を取付けた遊技盤20を前記中枠12の遊技盤設置部80に取付けた状態で、
図14に示す如く、前記アース部76の後方接触部76cが前記取付具(金属部分)83に接触するよう構成されている。すなわち、前記第1および第2アース部材72,73は、第1アース線74、第2アース線75およびアース部76を介して中枠12の取付具83に電気的に接続される。なお、取付具83は、遊技店の島設備にアース接続された図示しない電源制御装置に中枠12を介して電気的に接続されており、前記第2表示装置40に帯電した静電気は、最終的には電源制御装置を介して島設備に逃し得るよう構成される。また、実施例のパチンコ機10では、前記遊技盤20における前記設置部材35のアース部76の配設位置に対応する部位に、金属製の第3アース部材(接地部)85が配設されており、遊技盤20の裏面に設置部材35を取付けることで、アース部76の前方接触部76bと第3アース部材85とが接触するよう構成される(
図12参照)。第3アース部材85は、遊技盤20に配設された前記案内レール21に接続されており、案内レール21とパチンコ球との接触等によって遊技盤20で発生した静電気は、第3アース部材85、アース部76および取付具83を介して中枠12に逃し得るようになっている。
【0061】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用について説明する。
【0062】
前記前枠13の前面側に設けられた前記操作ハンドル16の操作レバー16aを遊技者が回転操作すると、前記打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記遊技領域23内に打ち出される。そして、遊技領域23を流下するパチンコ球が、前記始動入賞装置29の第1始動入賞口29aや第2始動入賞口29bに入賞すると、対応する始動入賞検出センサによる球検出を契機として、前記制御手段が各種情報(各種乱数情報)を取得して、この取得した入賞情報に基づいて大当り判定が行われる。
【0063】
前記始動入賞検出センサによる球検出を契機と前記第1表示装置17で図柄変動演出が開始される。また、前記第2表示装置40の第2表示部40aにおいても、図柄変動に伴う演出が実行される。すなわち、図柄変動演出に際して2つの表示装置17,40によって表示演出が行われることで、遊技の興趣を向上することができる。前記大当り判定が当りの判定結果の場合は、第1表示装置17の第1表示部17aに当り表示が表示されて大当り遊技が開始される。この大当り遊技では、前記特別入賞装置30の特別用開閉部材30bが開放作動されて特別入賞口30aへのパチンコ球の入賞が許容されると共に、第1表示装置17の第1表示部17aにおいて大当り演出が行われる。また、前記第2表示装置40の第2表示部40aにおいて、第1表示部17aで展開される大当り演出とは異なる演出が表示され、遊技の興趣が高められる。
【0064】
前記制御手段は、始動入賞口29a,29bへの入賞を契機とする図柄変動演出の種類や大当り演出の種類に応じて、前記第2表示装置40を待機位置から作動位置へ移動すると共に、作動位置において第2表示部40aに各種の演出画像を表示する表示演出を実行させることで、遊技の興趣を高める。
【0065】
(第2表示装置40の動作に伴う作用について)
前記第2表示装置40は、
図10、
図11(a)に示す待機位置に位置する状態で、前記導電部材59の接触部60に第1アース部材72が接触しており、第2表示装置40に帯電する静電気を、導電部材59から第1アース部材72、第1アース線74、第2アース部材73および第2アース線75を介してアース部76に逃すことができる。また、アース部76は、前記中枠12の取付具83に電気的に接続されており、アース部76に伝った静電気を取付具83を介して前記中枠12に逃すことができる(
図14参照)。また、アース部76は、前記遊技盤20の第3アース部材85に電気的に接続されており、遊技盤20で発生した静電気もアース部76および取付具83を介して中枠12に逃すことができる。
【0066】
前記表示演出装置39においては、前記第2表示装置40が待機位置に臨む状態で、前記駆動モータ51が所定方向に回転するよう駆動されると、前記駆動歯車に噛合する左側の第1ピニオン49および第2ピニオン50が同一方向に回転する。また、左側の第1ピニオン49の回転に伴って回転軸52を介して右側の第1ピニオン49も同一方向に回転する。そして、左右のピニオン49,50,49と対応する左右のラック48,48との噛合作用下に、第2表示装置40が作動位置に向けて上方へ移動する。なお、右側の第2ピニオン50は、第2表示装置40の移動に伴って対応するラック48との噛合作用下に回転する。第2表示装置40が作動位置に向けて上方へ移動すると、前記導電部材59の接触部60は第1アース部材72の第1弾性片72bから離間して非接触状態となる。また、第2表示装置40には、前記引張りコイルバネ58の付勢力が上向きに作用しており、該第2表示装置40を上昇させる際の駆動モータ51に加わる負荷は軽減される。
【0067】
前記第2表示装置40の上昇に伴って前記保持部材46の係合部62における傾斜面62aが、前記保持手段61における係合位置に臨む係合部材63の第1延出部69における傾斜面69aに下側から当接する。第2表示装置40が更に上昇するのに伴い、係合部62により係合部材63が押されて前記バネ部材64の付勢力に抗して支持軸67を中心として係合部材63が解除位置に向けて回動することで、第2表示装置40の上昇が許容される。このとき、
図7に示す如く、保持手段61の第2延出部70が挿通されている作動部材71の係合孔71bは第2延出部70の上側に余裕(空間)が形成されているので、係合部材63が係合位置から解除位置に向けて回動する際に作動部材71やプランジャ65aが作動されることはない。そして、係合部62における傾斜面62aの下端が係合部材63の傾斜面69aの上端を越えるまで第2表示装置40が上昇すると、係合部材63が前記バネ部材64の付勢力によって解除位置から係合位置に回動することで、該係合部材63の段部69bが係合部62の下面に係合当接して該係合部62の下方への移動が規制される(
図8(b)参照)。これにより、第2表示装置40を作動位置に保持可能となる。
【0068】
前記駆動モータ51は、前記検出片53aが第2検出センサ55で検出されると前記制御手段によって停止制御される。前記検出片53aが第2検出センサ55で検出されて駆動モータ51が停止制御される位置は、前記保持部材46の係合部62における傾斜面62aの下端が係合部材63の傾斜面69aの上端を越えた位置に設定されており、駆動モータ51を停止した際に自重によって下降しようとする第2表示装置40は、前記係合部62が係合部材63の段部69bに係合することで作動位置に保持される(
図6参照)。
【0069】
また、前記第2表示装置40が待機位置から作動位置に移動する際には、前記導電部材59の接触部60に第2アース部材73の第2弾性片73bが弾性的に接触して導通状態となる(
図10、
図11(b)参照)。すなわち、作動位置において第2表示装置40に帯電する静電気は、導電部材59から第2アース部材73および第2アース線75を介してアース部76に逃すことができる。そして、アース部76に伝わった静電気は、前述したように取付具83を介して中枠12に逃すことができる。
【0070】
ここで、前記第2アース部材73の第2弾性片73bは、
図10に示す如く、下側から上側に向かうにつれて前側へ変位するように傾斜すると共に、該第2弾性片73bの上側に位置する自由端部は後側に向けて弧状に折曲されている。また、前記接触部60における平坦部60aの上端縁から延出する第2導入部60cは第2弾性片73bと同様に下側から上側に向かうにつれて前側へ変位するように傾斜している。従って、第2表示装置40が待機位置から作動位置に移動する際には、第2導入部60cによって第2弾性片73bを弾性変形させつつ平坦部60aにスムーズに導びくことができ、第2弾性片73bが接触部60の上端縁に引っ掛かって第2表示装置40の移動が阻害されたり第2アース部材73が破損等するのを防止し得る。
【0071】
前記保持手段61の電磁ソレノイド65に通電すると、プランジャ65aが上側に移動するのに伴って作動部材71も上側に移動する。前記係合部材63は、第2延出部70が作動部材71の係合孔71bにおける下端縁に当接しているので、該作動部材71の上側への移動と共に係合部材63が支持軸67を中心として係合位置から解除位置へ回動して、前記第1延出部69の段部69bが前記係合部62の下側から退避し、第2表示装置40の下降が許容される状態となる。従って、前記駆動モータ51が、第2表示装置40を待機位置から作動位置へ移動させるときとは反対方向に回転するよう駆動されると、前記ピニオン49,50,49,50とラック48,48との噛合作用下に、第2表示装置40は作動位置から待機位置へ向けて移動される。第2表示装置40が作動位置から下降した後に、電磁ソレノイド65に対する通電を停止(遮電)すると、前記バネ部材64の付勢力によって係合部材63が解除位置から係合位置に回動するのに伴って作動部材71およびプランジャ65aが下側へ移動し、係合部材63は第2延出部70が作動部材71の係合孔71bの下端縁に当接して係合位置に保持される(
図7、
図8(a)参照)。
【0072】
前記第2表示装置40が作動位置から待機位置に移動する際には、前記導電部材59の接触部60に第1アース部材72の第1弾性片72bが弾性的に接触して導通状態となり、待機位置において第2表示装置40に帯電する静電気は前述したようにアース部76に逃すことができる。
【0073】
ここで、前記第1アース部材72の第1弾性片72bは、
図10に示す如く、上側から下側に向かうにつれて前側へ変位するように傾斜すると共に、該第1弾性片72bの下側に位置する自由端部は後側に向けて弧状に折曲されている。また、前記接触部60における平坦部60aの下端縁から延出する第1導入部60bは第1弾性片72bと同様に上側から下側に向かうにつれて前側へ変位するように傾斜している。従って、第2表示装置40が作動位置から待機位置に移動する際には、第1導入部60bによって第1弾性片72bを弾性変形させつつ平坦部60aにスムーズに導びくことができ、第1弾性片72bが接触部60の下端縁に引っ掛かって第2表示装置40の移動が阻害されたり第1アース部材72が破損等するのを防止し得る。
【0074】
実施例のパチンコ機10では、前記待機位置と作動位置との間を移動する第2表示装置40は、前記待機位置では導電部材59の接触部60と第1アース部材72とが接触して、該第2表示装置40に帯電する静電気を第1アース部材72、第1アース線74、第2アース部材73および第2アース線75を介してアース部76に逃すことができる。また、前記作動位置では導電部材59の接触部60と第2アース部材73とが接触して、該第2表示装置40に帯電する静電気を第2アース部材73および第2アース線75を介してアース部76に逃すことができる。すなわち、第2表示装置40の待機位置および作動位置の何れにおいても導電部材59とアース部材72,73とを接触させて第2表示装置40に帯電した静電気をアース部76に効果的に逃がすことができ、静電気に起因する悪影響が第2表示装置40に及ぶのを防止し得る。
【0075】
また、前記第2表示装置40の待機位置および作動位置において静電気をアース部76に逃すためのアース部材72,73を、待機位置で導電部材59に接触する第1アース部材72と作動位置で導電部材59に接触する第2アース部材73とに別体で構成したので、一方のアース部材72,73が損傷等した場合には損傷したアース部材72,73のみの交換で済み、交換に掛かるコストを低減し得る。また、両アース部材72,73を第1アース線74で接続し、前記アース部76には第2アース部材73を第2アース線75で接続するよう構成したので、各アース部材72,73の夫々を別のアース線でアース部76に夫々接続する場合に比べてアース部76に接続するためのアース線の数を減らすことができる。なお、第1アース部材72および第2アース部材73を第2表示装置40の移動方向に離間して配置しているので、該第2表示装置40が待機位置と作動位置との間を移動する途中では、前記導電部材59の接触部60が両アース部材72,73に接触しないので、両者60,72,73の接触抵抗が前記駆動モータ51の負荷となる領域を極力少なくすることができ、該駆動モータ51の負荷軽減に寄与し得る。
【0076】
また、前記アース部材72,73およびアース部76は、何れも設置部材35の右側の板部36dおよび壁部37dに設けているので、前記第2アース部材73とアース部76とを接続する第2アース線75を引き回す距離を短かくすることでき、該第2アース線75の取り回しが容易となる。
【0077】
前記第1アース部材72の第1弾性片72bおよび第2アース部材73の第2弾性片73bは、何れも導電部材59に対して弾性的に接触するよう構成したので、第2表示装置40の待機位置および作動位置において振動等によって導電部材59と弾性片72b,73bとが離間するのは防止される。すなわち、導電部材59に対する各アース部材72,73の確実な接触を維持することができ、確実なアース対策を実施し得る。
【0078】
実施例のパチンコ機10では、前記設置部材35を取付けた遊技盤20を前記中枠12に取付けることで、該中枠12の取付具(金属部分)83に前記アース部76が接触して電気的に接続される。すなわち、設置部材35のアース部76と中枠12の取付具83とをアース線で接続する必要はなく、アース線を接続する煩雑な作業を省いて作業性が良好となる。また、実施例では、遊技盤20の裏側に設置部材35を取付けることで、該設置部材35の前記アース部76が遊技盤20の第3アース部材85に接触して電気的に接続されるので、前記第2表示装置40の静電気を中枠12に逃すためのアース部76を介して遊技盤20で発生した静電気も中枠12に逃すことができる。
【0079】
実施例のパチンコ機10では、前記第2表示装置40を移動するための駆動モータ51とアース部材72,73とを導電部材59の延在方向の一端側と他端側とに分けて配置するようにしたので、スペース効率よく駆動モータ51とアース部材72,73とを配置することができる。また、前記表示演出装置39は、設置部材35に対して移動自在に配設した第2表示装置40の保持部材46に駆動モータ51を配設しているから、該設置部材35に駆動モータ51を配設する設置スペースを確保する必要はなく、設置部材35のスペースを有効利用することができる。しかも、実施例の駆動モータ51は、前記アース部材72,73が配設される側とは反対側に配置されているので、該駆動モータ51の回転力をピニオン49,50に伝達する駆動歯車とアース部材72,73との接触干渉を考慮することなく余裕をもって駆動モータ51や駆動歯車を配置することができる。
【0080】
前記第2表示装置40は、駆動モータ51により回転されるピニオン49,50,49,50と支持部44,45に配設されるラック48,48との噛合作用によって移動されるから、第2表示装置40の確実な動作を達成し得る。また実施例では、左右方向に離間する一対のラック48,48に対応するピニオン49,50,49,50を噛合して第2表示装置40を作動するよう構成してあるから、該第2表示装置40を安定して移動させることができる。更に、前記保持部材46に回転自在に支持した回転軸52の両端に第1ピニオン49,49を配設して、各第1ピニオン49,49を対応するラック48,48に噛合し、一方の第1ピニオン49を駆動モータ51によって回転駆動するよう構成している。すなわち、一対の第1ピニオン49,49は回転軸52を介して駆動モータ51によって積極的に回転されるので、一対の第1ピニオン49,49の回転位置がずれることはなく、第2表示装置40を左右方向に傾いたりすることなく安定して移動させることができる。従って、待機位置および作動位置において確実にアース部材72,73に導電部材59の接触部60を接触させることができ、確実なアース対策を実施し得る。
【0081】
前記第2表示装置40は、前記引張りコイルバネ58によって上方に向けて付勢されているので、該第2表示装置40を待機位置から作動位置へ上昇させる際には、該引張りコイルバネ58の付勢力によって駆動モータ51の駆動負荷を軽減することができる。また、引張りコイルバネ58は、前記設置部材35における前記アース部材72,73が配設される側とは反対側に設けられているので、設置部材35のスペースを有効利用することができる。前記引張りコイネバネ58は、設置部材35に配設したケース体56に収容されているので、該引張りコイルバネ58が他の部品や配線等に接触干渉することで引張りコイネルバネ58の機能が発揮できなくなったりするのを防止し得る。また、ケース体56は、前記検出センサ54,55の設置部として機能しているので、検出センサ54,55を設置するためだけの部品を設けるのに比べて、部品点数およびコストを低減し得る。
【0082】
また、実施例のパチンコ機10では、前記駆動モータ51の駆動により前記第2表示装置40が待機位置から作動位置に移動した際に、該第2表示装置40に設けた前記係合部62が、前記設置部材35に配設した保持手段61の係合部材63に係合して当該第2表示装置40が作動位置に保持されるよう構成した。すなわち、保持手段61によって第2表示装置40を作動位置に保持し得るから、第2表示装置40を作動位置に保持するために駆動モータ51を駆動制御する必要はなく、該駆動モータ51を停止した状態で第2表示装置40を確実に作動位置に保持し得る。従って、駆動モータ51に掛かる駆動負荷を低減し得ると共に、制御系の負荷も低減し得る。また、保持手段61は、前記設置部材35における前記アース部材72,73が配設される側とは反対側に設けられているので、設置部材35のスペースを有効利用することができる。
【0083】
また、前記保持手段61の係合部材63は、第2表示装置40が待機位置から作動位置へ移動する際には、第2表示装置40の係合部62によって係合位置から解除位置へ回動された後に、係合位置にバネ部材64に付勢力によって戻ることで係合部62に係合し得るよう構成したので、係合部材63を係合部62に係合させるための駆動手段を必要とせず、構成を簡略化し得る。
【0084】
前記設置部材35の右板部36dの前面に沿って引き回される前記第1アース線74は、該第1アース線74によって電気的に接続される第1アース部材72と第2アース部材73との間において配線フック77によって右板部36dの前面から前側へ浮き上がらないようにしている。従って、第1アース部材72および第2アース部材73に接触するように配設された第2表示装置40の導電部材59の接触部60が、第2表示装置40の移動時に第1アース線74に引っ掛かるのを防止することができ、第2表示装置40の移動が阻害されたり第1アース線74がアース部材72,73から外れてしまうのを防ぐことができる。また、第1アース線74の浮き上がりを防止することで、第2表示装置40を設置部材35の背面板36に近づけて配置することができ、パチンコ機10の前後寸法の短縮化に寄与し得る。
【0085】
前記第2アース部材73とアース部76とを電気的に接続する第2アース線75における第2アース部材73の近傍に位置する部位は、前記設置部材35の右板部36dと第2支持部45との間を引き回されて、該第2支持部45によって第2アース線75が第2支持部45より前側へ移動するのは規制されている。すなわち、第2アース線75についても、前記第1アース線74と同様に、第2表示装置40の移動時に第2アース線75に導電部材59の接触部60が引っ掛かるのを防止することができ、第2表示装置40の移動が阻害されたり第2アース線75が第2アース部材73から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0086】
また、前記第2アース線75は、前記凹部78の通孔78aを介して設置部材35から一旦外側に引き出された後に、前記アース部76に裏側から接続するよう構成されている。従って、遊技盤20の裏側に設置部材35を取付ける際に、遊技盤20に第2アース線75が引っ掛かったり設置部材35の取付部38と遊技盤20との間に該第2アース線75が挟まれることはない。従って、設置部材35と遊技盤20との取付け作業性が向上する。
【0087】
〔変更例〕
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、第2表示装置を鉛直に上下動する構成としたが、該第2表示装置を斜めに上下動させたり、左右方向に移動させる等、各方向へ移動させる構成を採用し得る。
(2) 実施例では、第2表示装置を設置部材に移動自在に配設したが、該第2表示装置が移動自在に配設される設置部は遊技盤、その他の部材であってもよい。
(3) 実施例では、第2表示装置を移動させる移動機構を構成するラックを表示演出装置を設置部材に取付けるための支持基体(支持部)に設けたが、該ラックを設置部材の背面板に直に配設する構成を採用し得る。
(4) 実施例では、第2表示装置を移動させる機構としてラックとピニオンとを用いたが、リンク機構、その他の機構を採用することができる。
(5) 実施例では、移動する第2表示装置に駆動モータを配設したが、該駆動モータ(駆動手段)は設置部に配設した構成を採用し得る。すなわち、第2表示装置側にラックを設け、該ラックに噛合するピニオンを設置部に配置した駆動モータで回転するようにすればよい。
【0088】
(6) 実施例では、第2アース部材をアース部にアース線で電気的に接続したが、第1アース部材をアース部にアース線で電気的に接続してもよい。
(7) 実施例では、第1アース部材と第2アース部材とを第1アース線で電気的に接続するよう構成したが、設置部に配設した金属板に両アース部材をネジ止め固定することで両アース部材を電気的に接続した状態とする構成を採用し得る。
(8) 実施例では、弾性変形可能な弾性片を有する板ばねでアース部材を構成したが、第2表示装置の導電部材に板ばねからなる接触部を設け、該接触部が待機位置および作動位置において対応するアース部材に弾性的に接触するようにしてもよい。
(9) 実施例では、保持手段の係合部材に係脱自在に係合する係合部を保持部材に設けたが、該係合部を導電部材に直接設けるようにしてもよい。
(10) 実施例では、付勢手段や付勢部材としてバネを用いたが、付勢手段や付勢部材としてはゴム等の弾性部材を採用し得る。
【0089】
(11) 実施例では、保持手段を設置部に設けるよう構成したが、該保持手段を第2表示装置に配設し、第2表示装置が作動位置に移動した際に係合部材が設置部に設けた係合部に係合する構成を採用し得る。
(12) 実施例では、導電部材を金属板金から構成したが、導電性を有する合成樹脂材料から構成したものであってもよい。
(13) 実施例では、第2表示装置に設けられた保持部材に導電部材を配設したが、第2表示装置に直に導電部材を配設する構成を採用し得る。すなわち、駆動モータや回転軸を導電部材に配設し、移動機構で発生する静電気を導電部材を介してアース部に逃すようにしてもよい。
(14) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコやコイン等の遊技媒体を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。