特許第6352889号(P6352889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352889
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】車両用ドアロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/34 20140101AFI20180625BHJP
   E05B 81/66 20140101ALI20180625BHJP
   E05B 85/02 20140101ALI20180625BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   E05B77/34
   E05B81/66
   E05B85/02
   B60J5/00 N
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-228443(P2015-228443)
(22)【出願日】2015年11月24日
(65)【公開番号】特開2017-95954(P2017-95954A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100827
【氏名又は名称】アイシン機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 淳
(72)【発明者】
【氏名】松浦 穂高
(72)【発明者】
【氏名】園 靖彦
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−013639(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0094382(KR,A)
【文献】 仏国特許出願公開第2995622(FR,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0055178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00−85/28
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアに設けられたハウジングと、
車体に取付けられたストライカと係合することにより前記車両ドアを閉状態に保持可能なフルラッチ位置と、前記ストライカを解放するアンラッチ位置、との間を回動可能として前記ハウジング内に設けられ、前記アンラッチ位置へ移動付勢されたラッチと、
前記ハウジングに設けられた、前記ラッチを回動可能に支持しかつ貫通孔を有する支持壁と、
前記ハウジング内において前記支持壁を挟んで前記ラッチと反対側に位置する、前記ラッチの回動位置を検出するためのスイッチと、
前記貫通孔を相対移動可能に貫通しながら前記ラッチと前記スイッチとを連係し、前記ラッチの回動位置変化に連動して前記スイッチのオン状態とオフ状態を切り替えるスイッチレバーと、
を備え、
前記ラッチが前記アンラッチ位置に位置するときに、前記支持壁の厚み方向に見たときに前記ラッチが前記貫通孔の少なくとも一部と重なる、車両用ドアロック装置。
【請求項2】
車両ドアに設けられたハウジングと、
車体に取付けられたストライカと係合することにより前記車両ドアを閉状態に保持可能なフルラッチ位置と、前記ストライカを解放するアンラッチ位置、との間を回動可能として前記ハウジング内に設けられたラッチと、
前記ハウジングに設けられた、前記ラッチを回動可能に支持しかつ貫通孔を有する支持壁と、
前記ハウジング内において前記支持壁を挟んで前記ラッチと反対側に位置する、前記ラッチの回動位置を検出するためのスイッチと、
前記貫通孔を相対移動可能に貫通しながら前記ラッチと前記スイッチとを連係し、前記ラッチの回動位置変化に連動して前記スイッチのオン状態とオフ状態を切り替えるスイッチレバーと、
を備え、
前記スイッチレバーが、前記支持壁の厚み方向に見たときに前記貫通孔の少なくとも一部と重なる孔閉塞部を備える、車両用ドアロック装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ドアロック装置において、
前記支持壁と前記スイッチとの間に位置する前記孔閉塞部が、前記スイッチを押圧する、車両用ドアロック装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ハウジングが、前記貫通孔と前記スイッチとの間に位置しかつ前記スイッチレバーが相対移動可能に配設されたスイッチレバー移動許容溝を有する内部壁を備え、
前記内部壁の厚み方向に見たときに、前記孔閉塞部が前記スイッチレバー移動許容溝の少なくとも一部と重なる、車両用ドアロック装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ハウジングが、前記貫通孔と前記スイッチとの間に位置するスイッチ側防水壁を備える、車両用ドアロック装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ハウジングが、前記車両ドアが閉じたときに前記ストライカが進入するストライカ進入溝と、該ストライカ進入溝と前記ハウジングの内部空間とを連通する連通孔と、を有し、
前記ラッチが前記アンラッチ位置に位置するときに前記連通孔の一部を開放し、
前記ハウジングが、前記連通孔の前記一部と前記貫通孔との間に位置するラッチ側防水壁を備える、車両用ドアロック装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ハウジングが、前記車両ドアが閉じたときに前記ストライカが進入しかつ前記ハウジングの内部空間と連通するストライカ進入溝を有し、
前記ハウジングの内部空間の前記ストライカ進入溝より上方に位置する部位に前記スイッチを設けた、車両用ドアロック装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両用ドアロック装置において、
前記ハウジングが、前記車両ドアが閉じたときに前記ストライカが進入しかつ前記ハウジングの内部空間と連通するストライカ進入溝を有し、
前記貫通孔が前記ストライカ進入溝より上方に位置する、車両用ドアロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の側面に形成したドア開口を開閉可能なドアに設けられた車両用ドアロック装置が従来から知られている。
【0003】
この種のドアロック装置は、ドアを閉めたときにストライカとの係合によって車両ドアを閉状態に保持可能なラッチ機構と、ラッチ機構を収納するハウジングと、を備えている。さらにラッチ機構は、回動可能かつストライカと係脱可能なラッチと、回動可能かつラッチと係脱可能なポールと、を有している。なお、本明細書では、所定の軸を中心に回る態様を「回動」という文言を用いて表現しているが、この文言に代えて「回転」という文言を用いることもできる。
ラッチは、ストライカと係合しない(車両ドアの閉状態を保持しない)アンラッチ位置と、ストライカを保持可能な(車両ドアの閉状態を保持する)フルラッチ位置と、の間を回動可能である。ポールは、フルラッチ位置に位置するラッチと係合してラッチをフルラッチ位置に保持する係合位置と、ラッチから離間する非係合位置との間を回動可能である。さらに付勢手段の付勢力によって、ラッチは常にアンラッチ位置側に回動付勢されかつポールは常に係合位置側に回動付勢されている。
またハウジングには、車両ドアが閉じたときにストライカが進入しかつハウジングの内部空間と連通するストライカ進入溝が形成されている。
【0004】
さらに、ラッチがフルラッチ位置とアンラッチ位置のいずれに位置するかを検出するカーテシスイッチ(ドアスイッチ)を備えるドアロック装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
本出願人は、カーテシスイッチを備えるドアロック装置において、ラッチとカーテシスイッチとを連係しかつラッチの回動位置変化に連動して回動するスイッチレバーを備えたものを提案している(特願2014−237366号)。
さらにこのカーテシスイッチは、車両に設けられた電子制御ユニット(以下、ECUと呼ぶ)に接続されており、ECUは車内に設けられた照明装置に接続されている。
【0006】
このドアロック装置では、ラッチがフルラッチ位置に位置するとき、スイッチレバーはカーテシスイッチを押圧しない。そのためカーテシスイッチはオフ状態となる。このときECUは照明装置を消灯状態にする。
一方、ラッチがアンラッチ位置まで回動すると、スイッチレバーはカーテシスイッチを押圧する。そのため、カーテシスイッチはオン状態となる。このときECUは照明装置を点灯状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−282223号公報
【発明の概要】
【0008】
(発明が解決しようとする課題)
上記ドアロック装置のハウジングの内部には支持壁が設けられている。この支持壁の一方の面には、ラッチ及びポールが回動可能に支持されている。一方、カーテシスイッチは、支持壁を挟んでラッチと反対側の空間に配設されている。
そのため支持壁には、スイッチレバーが相対移動可能に貫通する貫通孔が形成されている。
【0009】
車両ドアが開状態にあるとき、ドアロック装置のストライカ進入溝は車両ドアの端面において外部に露出する。
そのため、例えば車両ドアが開状態にあるときに車両を洗車すると、水がストライカ進入溝を介してハウジング内に侵入する可能性がある。
【0010】
支持壁には貫通孔が形成されているため、ハウジング内に入った水が貫通孔を通り抜けて電装部品であるカーテシスイッチに付着するおそれがある。仮に水がカーテシスイッチに付着すると、カーテシスイッチが作動不良を起こすおそれがある。
【0011】
本発明は、ラッチと電装部品であるスイッチとを連係するスイッチレバーが、ラッチ及びスイッチを収納するハウジング内においてラッチを支持する支持壁に形成された貫通孔を相対移動可能に貫通する構造において、外部からハウジング内に侵入した液体がスイッチに付着することを抑制可能な車両用ドアロック装置を提供することを目的とする。
【0012】
(課題を解決するための手段)
本発明は、車両ドアに設けられたハウジングと、車体に取付けられたストライカと係合することにより前記車両ドアを閉止状態に保持可能なフルラッチ位置と、前記ストライカを解放するアンラッチ位置、との間を回動可能として前記ハウジング内に設けられ、前記アンラッチ位置へ移動付勢されたラッチと、前記ハウジングに設けられた、前記ラッチを回動可能に支持しかつ貫通孔を有する支持壁と、前記ハウジング内において前記支持壁を挟んで前記ラッチと反対側に位置する、前記ラッチの回動位置を検出するためのスイッチと、前記貫通孔を相対移動可能に貫通しながら前記ラッチと前記スイッチとを連係し、前記ラッチの回動位置変化に連動して前記スイッチのオン状態とオフ状態を切り替えるスイッチレバーと、を備え、前記ラッチが前記アンラッチ位置に位置するときに、前記支持壁の厚み方向に見たときに前記ラッチが前記貫通孔の少なくとも一部と重なるのがよい。
【0013】
ラッチを支持する支持壁には貫通孔が形成されている。そのため、車両ドアが開状態にある場合に車両ドアに液体が付着すると、この液体がハウジング内に侵入し、さらに貫通孔を通り抜けて電装部品であるスイッチ側に向かうおそれがある。
しかし、車両ドアが開状態にあるときは、付勢手段の付勢力によってラッチがアンラッチ位置に位置し、支持壁の厚み方向に見たときにラッチが貫通孔の少なくとも一部と重なる。
そのため、アンラッチ位置に位置するラッチによって、ハウジング内に侵入した液体が貫通孔を通り抜けて電装部品であるスイッチに向かうおそれを抑制可能である。
【0014】
本発明は別の態様によると、車両ドアに設けられたハウジングと、車体に取付けられたストライカと係合することにより前記車両ドアを閉止状態に保持可能なフルラッチ位置と、前記ストライカを解放するアンラッチ位置、との間を回動可能として前記ハウジング内に設けられたラッチと、前記ハウジングに設けられた、前記ラッチを回動可能に支持しかつ貫通孔を有する支持壁と、前記ハウジング内において前記支持壁を挟んで前記ラッチと反対側に位置する、前記ラッチの回動位置を検出するためのスイッチと、前記貫通孔を相対移動可能に貫通しながら前記ラッチと前記スイッチとを連係し、前記ラッチの回動位置変化に連動して前記スイッチのオン状態とオフ状態を切り替えるスイッチレバーと、を備え、前記スイッチレバーが、前記支持壁の厚み方向に見たときに前記貫通孔の少なくとも一部と重なる孔閉塞部を備えるのがよい。
【0015】
ラッチを支持する支持壁には貫通孔が形成されている。そのため、車両ドアが開状態にある場合に車両ドアに液体が付着すると、この液体がハウジング内に侵入し、さらに貫通孔を通り抜けて電装部品であるスイッチ側に向かうおそれがある。
しかし本態様のスイッチレバーは、支持壁の厚み方向に見たときに貫通孔の少なくとも一部と重なる孔閉塞部を備える。
そのため、スイッチレバーの孔閉塞部によって、ハウジング内に侵入した液体が貫通孔を通り抜けて電装部品であるスイッチに向かうおそれを抑制可能である。
【0016】
前記支持壁と前記スイッチとの間に位置する前記孔閉塞部が、前記スイッチを押圧してもよい。
【0017】
このように構成すると、スイッチレバーの孔閉塞部がスイッチを覆う。
そのため、仮に液体が支持壁の貫通孔を通り抜けてスイッチ側に向かった場合であっても、孔閉塞部によって液体がスイッチに付着することを効果的に抑制できる。
【0018】
前記ハウジングが、前記貫通孔と前記スイッチとの間に位置しかつ前記スイッチレバーが相対移動可能に配設されたスイッチレバー移動許容溝を有する内部壁を備え、前記内部壁の厚み方向に見たときに、前記孔閉塞部が前記スイッチレバー移動許容溝の少なくとも一部と重なってもよい。
【0019】
このように構成すると、ハウジングに設けた内部壁が、支持壁の貫通孔とスイッチとの間に位置する。
そのため、仮に液体が支持壁の貫通孔を通り抜けてスイッチ側に向かった場合であっても、内部壁によって液体がスイッチに付着することを効果的に抑制できる。
【0020】
前記ハウジングが、前記貫通孔と前記スイッチとの間に位置するスイッチ側防水壁を備えてもよい。
【0021】
このように構成すると、ハウジングに設けたスイッチ側防水壁が、支持壁の貫通孔とスイッチとの間に位置する。
そのため、仮に液体が支持壁の貫通孔を通り抜けてスイッチ側に向かった場合であっても、スイッチ側防水壁によって液体がスイッチに付着することを効果的に抑制できる。
【0022】
前記ハウジングが、前記車両ドアが閉じたときに前記ストライカが進入するストライカ進入溝と、該ストライカ進入溝と前記ハウジングの内部空間とを連通する連通孔と、を有し、前記ラッチが前記アンラッチ位置に位置するときに前記連通孔の一部を開放し、前記ハウジングが、前記連通孔の前記一部と前記貫通孔との間に位置するラッチ側防水壁を備えてもよい。
【0023】
このように構成すると、ハウジングに設けたラッチ側防水壁が、ハウジングに設けられたストライカ進入溝とハウジングの内部空間とを連通する連通孔の一部と、支持壁の貫通孔との間に位置する。
そのため、仮に液体がハウジングの連通孔を通り抜けてハウジングの内部に侵入しても、この液体が貫通孔側に向かうのをこのラッチ側防水壁によって抑制できる。従って、液体がスイッチに付着することを効果的に抑制できる。
【0024】
前記ハウジングが、前記車両ドアが閉じたときに前記ストライカが進入しかつ前記ハウジングの内部空間と連通するストライカ進入溝を有し、前記ハウジングの内部空間の前記ストライカ進入溝より上方に位置する部位に前記スイッチを設けてもよい。
【0025】
このように構成すると、ハウジングの内部空間のストライカ進入溝より上方にスイッチが位置することになる。
従って、仮に液体がストライカ進入溝を通してハウジング内に侵入した場合であっても、この液体がスイッチに向かうおそれは小さい。従って、液体がスイッチに付着することを効果的に抑制できる。
【0026】
前記ハウジングが、前記車両ドアが閉じたときに前記ストライカが進入しかつ前記ハウジングの内部空間と連通するストライカ進入溝を有し、前記貫通孔が前記ストライカ進入溝より上方に位置してもよい。
【0027】
このように構成すると、仮に液体がストライカ進入溝を通してハウジング内に侵入した場合であっても、この液体が貫通孔を通り抜けるおそれは小さい。従って、液体がスイッチに付着することを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態の車両用ドアロック装置を備える右側の車両ドアの車両内側から見た側面図である。
図2】ドアロック装置の車内側後方から斜視図である。
図3】ラッチユニットとアクチュエータユニットとに分離して示す、ラッチがアンラッチ位置に位置するときのドアロック装置の車内側後方から見た斜視図である。
図4】第二ハウジングを取り外して示す、ラッチがアンラッチ位置に位置するときのラッチユニットの車内側後方から見た斜視図である。
図5】第二ハウジングを取り外して示す、ラッチがアンラッチ位置に位置するときのラッチユニットの背面図である。
図6】第二ハウジングを取り外して示す、ラッチがアンラッチ位置に位置するときのラッチユニットの正面図である。
図7】ラッチがアンラッチ位置に位置するときのラッチユニットの斜め下方から見た斜視図である。
図8】第二ハウジングを取り外して示す、ラッチがフルラッチ位置に位置するときのラッチユニットの背面図である。
図9】アクチュエータユニットの車内側後方から見た斜視図である。
図10】アクチュエータユニットの後ろ斜め下方から見た斜視図である。
図11】アクチュエータユニットの分解斜視図である。
図12図11とは別の方向から見たときのアクチュエータユニットの分解斜視図である。
図13図11及び図12とは別の方向から見たときのアクチュエータユニットの分解斜視図である。
図14】図示を省略したラッチユニットのラッチがアンラッチ位置に位置するときの第二ハウジングを取り外して示したアクチュエータユニットの車内側から見た側面図である。
図15】ラッチがラッチ位置に位置するときの図14と同様の側面図である。
図16図15のXVI−XVI矢線に沿う断面図である。
図17図15のXVII−XVII矢線に沿う断面図である。
図18図15の要部を拡大して示す側面図である。
図19図18と同じ部位の下方から見た拡大斜視図である。
図20図15のXX−XX矢線に沿う断面図である。
図21】図示を省略したラッチユニットのラッチがアンラッチ位置に位置するときの図18と同様の拡大側面図である。
図22】ラッチがアンラッチ位置に位置するときの図19と同様の拡大斜視図である。
図23】ラッチがアンラッチ位置に位置するときの図20と同様の断面図である。
図24】ラッチ、ドアスイッチ、及びスイッチレバーのラッチがフルラッチ位置に位置するときの車内側から見た側面図である。
図25図24に示したラッチ、ドアスイッチ、及びスイッチレバーの背面図である。
図26】ラッチが切替え位置に位置するときの図24と同様の側面図である。
図27】ラッチが切替え位置に位置するときの図25と同様の背面図である。
図28】ラッチがハーフラッチ位置に位置するときの図24と同様の側面図である。
図29】ラッチがハーフラッチ位置に位置するときの図25と同様の背面図である。
図30】ラッチがアンラッチ位置に位置するときの図24と同様の側面図である。
図31】ラッチがアンラッチ位置に位置するときの図25と同様の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1に示す車両ドア10は車両の右側のサイドドアであり、その前端部が車体(図示略)に対して上下方向の回動軸まわりに回動可能として支持されている。車両ドア10は、車体の側面に形成された開口部を完全に開放する開位置と、この開口部を塞ぐ閉位置と、の間を車体に対して水平方向に回動可能である。なお、以下の説明中の車両ドア10に関する「前後方向」及び「左右方向(車内外方向)」は、車両ドア10が閉位置に位置する場合を基準とした方向である。
【0030】
車両ドア10は、その下半部を構成するドア本体部11と、その上半部に設けられたドアサッシュ12と、を備えている。ドア本体部11は、ドア本体部11の外側面を構成するアウタパネル(図示略)と、アウタパネルの内側面に固定されたインナパネル(図示略)と、インナパネルの内側面に固定されかつドア本体部11の内側面を構成する樹脂製のトリム13と、を備えている。
【0031】
アウタパネルにはアウトサイドハンドル17が回動可能に支持されており、トリム13にはインサイドハンドル18が回動可能に支持されている。アウトサイドハンドル17及びインサイドハンドル18は初期位置とラッチ解除位置との間を回動可能であり、共に付勢手段(図示略)によって初期位置に向けて回動付勢されている。
さらにトリム13の上端部には、ロックノブ19が上下方向にスライド自在として設けられている。ロックノブ19はアンロック位置(図1の位置)と、アンロック位置よりも下方に位置するロック位置(図示略)と、の間をトリム13に対してスライド可能である。
【0032】
車両ドア10の内部には、アウタパネルとインナパネルの間に位置しかつ一部が車両ドア10の後端面において露出するドアロック装置20が設けられている。
図2及び図3等に示すように、ドアロック装置20はラッチユニット25とアクチュエータユニット50とを一体化したものである。
【0033】
ラッチユニット25は、第一ハウジング27及び第二ハウジング35からなるラッチハウジング26(ハウジング)を有している。
第一ハウジング27の後面には、第一ハウジング27の左端面(車内側端面)から右側に延びるストライカ進入溝28が凹設されている。さらに第一ハウジング27の後面には、ストライカ進入溝28を横断する態様でストライカ進入溝28と連続(連通)する取付用凹部29が凹設されている。取付用凹部29の底面には、第一ハウジング27を前後方向に貫通する貫通孔30が形成されている。図示するように貫通孔30は、上下方向に延びる長孔である。さらに取付用凹部29の底面及び内周面にはラッチ側防水壁31が突設されている。
第二ハウジング35の後部及び左側部には、左右方向に延びるストライカ進入溝36が形成されている。
【0034】
第一ハウジング27には、ラッチ40、ポール45、及びリフトレバー48が回動可能に支持されている。
ラッチ40は取付用凹部29に配設されており、取付用凹部29の底面である支持壁29aに設けられた回動軸まわりに回動可能に支持されている。ラッチ40は、車体に固定されたストライカ(図示略)を保持しない(車両ドア10の閉状態を保持しない)アンラッチ位置と、ストライカを保持可能な(車両ドア10の閉状態を保持する)フルラッチ位置と、の間を第一ハウジング27に対して回動可能である。ラッチ40は、第一係止爪41と第二係止爪42を備えており、第一係止爪41と第二係止爪42の間にはストライカ受容溝43が形成されている。図24乃至図31に示すように、ラッチ40の外面には第一係合面40aと第二係合面40bが形成されている。この第一係合面40a及び第二係合面40bは、後述するスイッチレバー120の回動量を調整するレバー回動量調整機構40cを構成している。第一係合面40aはラッチ40の外周面の一部に形成されている。一方、第二係合面40bはラッチ40の前面の一部に形成されている。
ポール45は、ラッチ40より下方において取付用凹部29に配設されている。ポール45は、第一ハウジング27を前後方向に貫通しかつ第一ハウジング27に対して相対回動可能な回動軸44に固定されている。従って、ポール45は回動軸44と一緒に、フルラッチ位置に位置するラッチ40と係合してラッチ40をフルラッチ位置に保持する係合位置(図8の位置)と、ラッチ40から離間する非係合位置(図4図5の位置)との間を回動可能である。
さらに付勢手段の付勢力によって、ラッチ40は常にアンラッチ位置側に回動付勢されかつポール45は常に係合位置側に回動付勢されている。
さらに図6に示すように、第一ハウジング27の前方には、第一ハウジング27の前面と対向するリフトレバー48が配設されている。このリフトレバー48は、第一ハウジング27の前面から前方に突出した回動軸44の前部に固定されている。即ち、リフトレバー48は回動軸44及びポール45と一緒に回動する。
【0035】
アンラッチ位置に位置するラッチ40がストライカと係合しながら付勢手段の付勢力に抗してフルラッチ位置まで回動すると、ポール45が付勢手段の付勢力によって係合位置に位置してラッチ40に係合する。その結果、ラッチ40及びポール45を有するラッチ機構は、ラッチ40がストライカを保持する「ラッチ状態」となる。
一方、ポール45を付勢手段の付勢力に抗して非係合位置側に回動させると、ラッチ40がアンラッチ位置側へ回動可能となる。そのためラッチ機構は、ストライカを解放可能な「アンラッチ状態」となる。
【0036】
ラッチ40、ポール45、及びリフトレバー48を支持した第一ハウジング27に対して後方から第二ハウジング35を被せて、第一ハウジング27と第二ハウジング35を固定することによりラッチユニット25が完成する(図2図3等を参照)。
【0037】
アクチュエータユニット50は、第一ハウジング52及び第二ハウジング75からなるアクチュエータハウジング51(ハウジング)を有している。
第一ハウジング52は樹脂製の一体成形品である。
第一ハウジング52の後部にはラッチユニット接続部53が形成されている。
第一ハウジング52は、ラッチユニット接続部53の下方に位置しかつ後方に向かって延びる回動軸54を備えている。さらに第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面には、各軸線が第二ハウジング75側に向かって延びる複数の回動軸55、56、57、58、59が設けられている。回動軸55は端面が開口する円筒形状である。
【0038】
さらに第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面にはスイッチ側防水壁61が第二ハウジング75側に向けて突設されている。スイッチ側防水壁61は、略上下方向に延びる後壁部62と、後壁部62の下端から前方に向かって略水平に延びる底壁部63と、を一体的に備えている。図12に示すように、底壁部63には切欠部65が形成されている。底壁部63の切欠部65の直後に位置する部位は、左右方向に向かって延びる後方対向部64を構成している。
また、第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面にはレバー案内突起68(内部壁)が第二ハウジング75側に向けて突設されている。図示するように、レバー案内突起68は回動軸58の軸線を中心とする円弧形状である。
さらに、第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面には下側防水壁70が第二ハウジング75側に向けて突設されている。図示するように、下側防水壁70はレバー案内突起68より前方に位置している。さらに下側防水壁70は、回動軸58の軸線を中心としかつレバー案内突起68と略同径の円弧形状である。
さらに、第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面には、回動軸58の近傍に位置するバネ係止部72が第二ハウジング75側に向けて突設されている。
【0039】
第二ハウジング75は樹脂製の一体成形品である。
第二ハウジング75の後部にはラッチユニット接続部76が形成されている。
第二ハウジング75の第一ハウジング52との対向面には嵌合突起78が突設されている。また第二ハウジング75の第一ハウジング52との対向面には、軸受部79、80、81、82が形成されている。軸受部79及び軸受部82は第二ハウジング75に形成した凹部であり、軸受部80及び軸受部81は端面が開口する円筒形状である。
さらに第二ハウジング75の第一ハウジング52との対向面にはレバー案内突起83(内部壁)が第一ハウジング52側に向けて突設されている。図示するように、レバー案内突起83は軸受部81の軸線を中心とする円弧形状である。図11及び図13等に示すようにレバー案内突起83は、その後部をなす広幅部84と、その前部をなしかつ広幅部84より狭幅の狭幅部85と、を一体的に備えている。
さらに第二ハウジング75の第一ハウジング52との対向面には、レバー案内突起83の直上に位置するスイッチ側防水壁87が第一ハウジング52側に向けて突設されている。スイッチ側防水壁87は、略上下方向に延びる後壁部88と、後壁部88の下端から前方に向かって略水平に延びる底壁部89と、を一体的に備えている。
【0040】
図示するように、第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面には電装部品であるドアスイッチ93(カーテシスイッチ、スイッチ)が固定されている。
ドアスイッチ93は、本体部94と、本体部94の下端面から下方に突出しかつ本体部94に対して相対回動可能な被押圧凸部95と、を備えている。被押圧凸部95は本体部94に対して左右方向の回動軸まわりに回動可能である。具体的には、図11乃至図13図15図18図19に示すオフ位置と、図14及び図21に示すオン位置と、の間を回動可能である。さらに、本体部94内に設けた付勢手段によって、被押圧凸部95はオフ位置側に移動付勢されている。
図14及び図15に示すように、第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面にはコネクタ97が固定されている。第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面には、ドアスイッチ93とコネクタ97とを接続するドアスイッチターミナル98が固定されている。コネクタ97は、図示を省略したECUに対して、図示を省略したケーブルを介して接続される。さらに、ECUは、車両の内面(例えば天井面)に設けられた照明装置(図示略)に接続される。
【0041】
図14及び図15に示すオープンリンク100は、ロック位置とアンロック位置との間を回動可能である。後述するように、第一ハウジング52(の回動軸54)にはアウトサイドオープンレバー117が回動可能に支持されており、このアウトサイドオープンレバー117に突設された支持軸118にオープンリンク100が回動可能に支持されている。さらに支持軸118とオープンリンク100との間には付勢バネ101が設けられている。この付勢バネ101は、オープンリンク100をアンロック位置に向けて回動付勢している。
【0042】
図14及び図15に示すように、第一ハウジング52の回動軸55にはアクティブレバー103が回動可能に支持されている。
アクティブレバー103は、オープンリンク100がアンロック位置に位置するのを許容するアンロック位置(図14図15の位置)と、オープンリンク100をロック位置に位置させるロック位置(図示略)と、の間を回動可能である。
アクティブレバー103とロックノブ19は、図示を省略した操作ワイヤによって連係されている。ロックノブ19がロック位置に位置するときアクティブレバー103がロック位置に位置し、その結果、オープンリンク100がロック位置に位置する。その一方で、ロックノブ19がロック位置からアンロック位置へ移動すると、ロックノブ19の移動力によってアクティブレバー103がアンロック位置へ回動し、オープンリンク100がアンロック位置へ移動する。
【0043】
図14及び図15に示すように、第一ハウジング52の回動軸59にはロッキングコントロールレバー105が回動可能に支持されている。また、アウタパネル又はアウトサイドハンドル17に設けられたキーシリンダ(図示略)にはアウトサイドロッキングレバー109が連係している。さらに、ロッキングコントロールレバー105とアウトサイドロッキングレバー109をキースイッチレバー111が連係している。
【0044】
また図14及び図15に示すように、第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面には電動モータ112が固定されている。第一ハウジング52の第二ハウジング75との対向面には、電動モータ112とコネクタ97とを接続するモータターミナル113が固定されている。電動モータ112は、施解錠操作部材の1つであるリモコンの操作によって作動する。
電動モータ112の出力軸にはウォームギヤ114が固定されている。
第一ハウジング52の回動軸57には図示を省略した円盤状のホイールギヤが回動可能に支持されている。このホイールギヤの外周面に形成されたギヤ歯はウォームギヤ114と噛合している。さらにホイールギヤはアクティブレバー103と連係している。
ECUからの信号によって電動モータ112が回動すると、電動モータ112の回動力がウォームギヤ114を介してホイールギヤに伝わり、ホイールギヤが回動する。すると、ホイールギヤと連係するアクティブレバー103がロック位置とアンロック位置とに回動する。
【0045】
第一ハウジング52の回動軸56にはインサイドオープンレバー116が回動可能に支持されている。
インサイドオープンレバー116とインサイドハンドル18は操作ワイヤによって連係されている。
インサイドハンドル18が初期位置に位置するときインサイドオープンレバー116は非押圧位置に位置する。このときインサイドオープンレバー116はオープンリンク100に対して何ら力を及ぼさない。
その一方で、インサイドハンドル18が初期位置からラッチ解除位置へ移動するとインサイドオープンレバー116が押圧位置へ移動する。オープンリンク100がアンロック位置に位置する場合にインサイドオープンレバー116が押圧位置に移動すると、インサイドオープンレバー116がオープンリンク100を押圧するので、オープンリンク100が所定方向に回動する。
【0046】
さらに回動軸54にはアウトサイドオープンレバー117が回動可能に支持されている。
アウトサイドオープンレバー117はロッドを介してアウトサイドハンドル17に接続されている。
アウトサイドハンドル17が初期位置に位置するときアウトサイドオープンレバー117は非押圧位置に位置する。このときアウトサイドオープンレバー117はオープンリンク100に対して何ら力を及ぼさない。
その一方で、アウトサイドハンドル17が初期位置からラッチ解除位置へ移動するとアウトサイドオープンレバー117が押圧位置へ移動する。オープンリンク100がアンロック位置に位置する場合にアウトサイドオープンレバー117が押圧位置に移動すると、アウトサイドオープンレバー117がオープンリンク100を押圧するので、オープンリンク100が上記所定方向に回動する。
【0047】
第一ハウジング52の回動軸58(レバー軸)にはスイッチレバー120が回動可能に支持されている。
スイッチレバー120は、回動軸58に回動可能に取付けられる円筒状のボス部121を有している。さらにスイッチレバー120は、ボス部121からボス部121の径方向に延びる第一係合アーム122を有している。
第一係合アーム122の先端部は、略球状をなすアーム先端部123によって構成されている。さらに第一係合アーム122の左側面には、ボス部121の軸線を中心とする円弧形状をなす第一防水壁124(孔閉塞部)が突設されている。さらに第一係合アーム122の左側面には、第一防水壁124よりもボス部121側に位置するバネ係止部125が突設されている。
図11図12図23等に示すように、第二係合アーム127は第一係合アーム122の中間部の左側面から、第一係合アーム122よりも反時計方向(前方)に位置する態様でボス部121の径方向に延びている。即ち、第二係合アーム127は第一係合アーム122に対して左側にオフセットしている。さらに第二係合アーム127の先端部には、ボス部121の軸線を中心とする円弧形状をなしかつ第一防水壁124の外周側に位置する第二防水壁128(孔閉塞部)が突設されている。
【0048】
スイッチレバー120のボス部121を回動軸58に対して取り付けると、図16に示すように第一係合アーム122はレバー案内突起68及び下側防水壁70よりも左側に位置する。
さらに回動軸58にはレバースプリング130が装着されている。レバースプリング130は一対の係止片131、132を備えている。図18及び図21に示すように、一方の係止片131はスイッチレバー120のバネ係止部125に係止されている。他方の係止片132は第一ハウジング52のバネ係止部72に係止されている。このようにしてレバースプリング130を第一ハウジング52及びスイッチレバー120(バネ係止部125)に係止すると、レバースプリング130は弾性変形状態となる。そしてレバースプリング130が発生する付勢力によって、スイッチレバー120は回動軸58に対して常に図18及び図21の時計方向に回動付勢されている。
【0049】
第一ハウジング52と第二ハウジング75の外周縁の対向部どうしを接触させた状態で、両者を固定手段によって固定するとアクチュエータユニット50が完成する。
アクチュエータユニット50を完成させると、第一ハウジング52の回動軸55に対して第二ハウジング75の嵌合突起78が嵌合し、さらに第一ハウジング52の回動軸56、57、58、59が第二ハウジング75の軸受部79、80、81、82に対して嵌合する。
さらに図16及び図23等に示すように、第一ハウジング52のレバー案内突起68及び下側防水壁70と第二ハウジング75のレバー案内突起83の広幅部84とがスイッチレバー移動許容溝86(隙間)を形成しながら対向し、このスイッチレバー移動許容溝86内にスイッチレバー120の第一係合アーム122が回動可能に位置する。
さらに、第一ハウジング52のスイッチ側防水壁61の後壁部62と第二ハウジング75のスイッチ側防水壁87の後壁部88とが接触し、かつ、図17に示すように、スイッチ側防水壁61の底壁部63とスイッチ側防水壁87の底壁部89とが接触する。また図17に示すように、底壁部63(後方対向部64)がドアスイッチ93の被押圧凸部95の直後に位置する。
さらに図18及び図23に示すように、スイッチレバー120の第二係合アーム127はレバー案内突起83の狭幅部85の右側かつ広幅部84の直前に位置する。
さらに、図18図21図23に示すように、スイッチレバー120の第一防水壁124がレバー案内突起68、下側防水壁70及びレバー案内突起83の内周側に位置しかつスイッチレバー120の第二防水壁128がレバー案内突起68、下側防水壁70及びレバー案内突起83の外周側に位置する。
さらにアクチュエータハウジング51の後面には、第一ハウジング52のラッチユニット接続部53と第二ハウジング75のラッチユニット接続部76とで囲まれた開口部が形成される(図3図9参照)。そして、スイッチレバー120の第一係合アーム122の先端部(アーム先端部123)が、この開口部内に位置する。
【0050】
なお、アクチュエータユニット50のアクティブレバー103、インサイドオープンレバー116、アウトサイドオープンレバー117、電動モータ112、ウォームギヤ122及びホイールギヤはロック機構の構成要素である。
【0051】
第一ハウジング52のラッチユニット接続部53と第二ハウジング75のラッチユニット接続部76とで囲まれた開口部に対してラッチユニット25を装着し、ラッチユニット25とアクチュエータユニット50を互いに固定するとドアロック装置20が完成する。
ドアロック装置20が完成すると、第一ハウジング52のラッチユニット接続部53と第二ハウジング75のラッチユニット接続部76とで囲まれた開口部内において、アクチュエータユニット50のオープンリンク100の先端部(上端部)がラッチユニット25のリフトレバー48と対向する。
さらに図18図21、及び図24乃至図31に示すように、スイッチレバー120の第一係合アーム122の第一防水壁124よりも先端側の部位がラッチユニット25の貫通孔30を貫通し、さらにラッチユニット25内においてアーム先端部123がラッチ40に対して接触する。そのため、レバースプリング130によって付勢されたスイッチレバー120の広幅部84側への回動がラッチ40によって規制される。
さらに図14図15図18及び図21から明らかなように、電装部品であるドアスイッチ93、コネクタ97、ドアスイッチターミナル98、及びモータターミナル113が、支持壁29aを挟んでラッチ40及びポール45と反対側(前方)に位置し、かつ、ラッチユニット25の貫通孔30よりも上方に位置する。
【0052】
ラッチ40が図24及び図25に示すフルラッチ位置P1に位置しかつポール45が係合位置に位置するとき、ラッチ40はポール45との係合によってフルラッチ位置P1に位置決めされる。そのため車両ドア10が閉位置に位置するとき、車両ドア10はこの閉位置に保持される。
また、ラッチ40がフルラッチ位置P1にあるとき、スイッチレバー120の第一係合アーム122の前後方向の水平距離(水平面上における回動軸58からアーム先端部123までの前後方向距離)はLaとなる。この水平距離Laは、回動軸58とラッチ40の両側面のうちスイッチレバー120に対向する側面(ラッチ40の前面)である第二係合面40bとの間の前後方向間隔Lより長い。従って、スイッチレバー120のアーム先端部123は、レバースプリング130の弾性付勢力によってラッチ40の第一係合面40aに上方から当接する。また、スイッチレバー120の第二係合アーム127の第二防水壁128は、ドアスイッチ93の被押圧凸部95から後方へ離間する。従って、第二防水壁128はドアスイッチ93の被押圧凸部95をオフ位置からオン位置へと押圧しない。そのため、ラッチ40がフルラッチ位置P1にあるとき、ドアスイッチ93の作動状態はオフ状態となる。
【0053】
例えばロックノブ19をアンロック位置に位置させることにより、オープンリンク100をアンロック位置に位置させる。この状態でアウトサイドハンドル17又はインサイドハンドル18を初期位置からラッチ解除位置へ移動させると、インサイドオープンレバー116又はアウトサイドオープンレバー117が非押圧位置から押圧位置へ移動し、インサイドオープンレバー116又はアウトサイドオープンレバー117がオープンリンク100を上記所定方向に押圧する。するとオープンリンク100がリフトレバー48側へ接近してリフトレバー48を回動させるので、係合位置に位置していたポール45が非係合位置へ移動する。その結果、ポール45とラッチ40との係合が解除されるので、ラッチ40がアンラッチ位置へ回動可能な状態となる。
そのため、この状態で閉位置に位置していた車両ドア10を開くと、ラッチ40がフルラッチ位置P1からアンラッチ位置(「ラッチ解除位置」或いは「ラッチオープン位置」ともいう)P4(図30及び図31参照)に向けて回動する。このとき、スイッチレバー120は、第一係合アーム122のアーム先端部123がラッチ40の第一係合面40aによって押し上げられるため、レバースプリング130の弾性付勢力に抗して回動軸58を中心に図26の反時計方向に回動する。図26及び図27に示すように、ラッチ40がアンラッチ位置P4より手前の切替え位置(スイッチオン位置)P2まで回動したときに、スイッチレバー120の第二防水壁128がそれまでオフ位置に位置していたドアスイッチ93の被押圧凸部95をオン位置へ押圧するので、ドアスイッチ93の作動状態がオン状態になる。その結果、ECUに接続された照明装置が点灯する。
このとき、スイッチレバー120の水平距離Lbは前記水平距離Laより短くなるものの間隔Lを上回る。従って、第一係合アーム122のアーム先端部123は、ラッチ40の第一係合面40aに対して前方へ摺動する。
【0054】
ラッチ40が更に切替え位置P2からアンラッチ位置P4に向けて回動すると、ラッチ40は図28及び図29に示すハーフラッチ位置P3に到達する。すると、スイッチレバー120の第一係合アーム122のアーム先端部123がラッチ40の第一係合面40aによって押し上げられ、スイッチレバー120がレバースプリング130の弾性付勢力に抗して回動軸58を中心に図28の反時計方向に回動する。その結果、スイッチレバー120の第二防水壁128がドアスイッチ93の被押圧凸部95に摺接するものの、ドアスイッチ93はオン状態に維持される。
また、このとき、スイッチレバー120の水平距離Lcは間隔Lより僅かに長くなる。従って、第一係合アーム122のアーム先端部123は、ラッチ40の第一係合面40a上を摺動し、やがて角部40d(第一係合面40aと第二係合面40bとの境界部)へ移動する。
【0055】
図30及び図31に示すように、ラッチ40が更にハーフラッチ位置P3からアンラッチ位置P4まで回動すると、スイッチレバー120の水平距離Ldは前記水平距離Lcより若干短くなる(概ね、間隔Lと同じ長さになる)。この場合、スイッチレバー120の第一係合アーム122のアーム先端部123とラッチ40との係合箇所が第一係合面40aから第二係合面40bに切替わり、アーム先端部123が第二係合面40b上を摺動する。即ち、スイッチレバー120自体の回動位置は殆ど変化することなく、スイッチレバー120に対するラッチ40の相対回動位置のみが変化する。従って、ドアスイッチ93の作動状態はオン状態に維持される。
このようにラッチ40が切替え位置P2からアンラッチ位置P4までの回動領域に位置するときに、スイッチレバー120はドアスイッチ93の作動状態をオン状態に維持するようにラッチ40に連動して回動する。
また、第一係合アーム122のアーム先端部123が第二係合面40bを摺動する間は、スイッチレバー120を介してラッチ40に作用するレバースプリング130の弾性付勢力が大きくならない。そのため、ラッチ40の回動動作が不円滑になるのを抑制できる。
【0056】
このように本実施形態では、ラッチ40がフルラッチ位置P1からアンラッチ位置P4より手前の中間位置(切替え位置P2又はハーフラッチ位置P3)まで回動すると、スイッチレバー120の第一係合アーム122のアーム先端部123のラッチ40上の係合領域が、第一係合面40aから第二係合面40bへと変化する。
このため、ラッチ40のフルラッチ位置P1から切替え位置P2までの回動領域である第一の回動状態と比べて、ラッチ40の切替え位置P2からアンラッチ位置P4までの回動領域である第二の回動状態の方が、ラッチ40の回動量に対するスイッチレバー120の回動量の比率が低い。
【0057】
第一係合面40aはラッチ40の第一の回動状態においてレバースプリング130の弾性付勢力に抗して第一係合アーム122のアーム先端部123が摺動するときに、ラッチ40の回動量に対するスイッチレバー120の回動量の比率を一定とするようにラッチ40に設けられている。一方、第二係合面40bは、ラッチ40の第二の回動状態においてレバースプリング130の弾性付勢力に抗して第一係合アーム122のアーム先端部123が摺動するときに、ラッチ40の回動量に対するスイッチレバー120の回動量の比率を第一の回動状態のときよりも下げるようにラッチ40に設けられている。
【0058】
そのため、ラッチ40が第一の回動状態から第二の回動状態に移行した場合に、ラッチ40に連動して回動するスイッチレバー120の回動量を、第二の回動状態への移行前よりも下げることができる。従って、ラッチ40がフルラッチ位置P1から切替え位置P2に達してドアスイッチ93の作動状態がオフ状態からオン状態になった後は、ラッチ40がアンラッチ位置P4に向けて更に回動してもスイッチレバー120が必要以上に回動するのを防止できる。
この場合、ドアスイッチ93の作動状態がオン状態になった後に、オン状態になる前と同様の回動量でスイッチレバー120を余分に回動させる必要がない。そのため、スイッチレバー120を回動させるための構造が大型化するのを防止できる。その結果、車両用ドアロック装置20を小型化することができる。
即ち、ラッチ40がフルラッチ位置P1からアンラッチ位置P4まで回動する間、ラッチ40の回動量に対するスイッチレバー120の回動量が常に一定となる構造を用いると、切替え位置P2からアンラッチ位置P4までスイッチレバー120が無駄に大きく回動することになる。これに対して本実施形態では、スイッチレバー120を切替え位置P2からアンラッチ位置P4まで大きく回動させる構造を要しない。
【0059】
また本実施形態によれば、部品点数を増やすことなく既存の部品であるラッチ40に設けられた第一係合面40a及び第二係合面40bを利用しているので、ドアロック装置20の製品コストが高くなるのを防止できる。特に、ラッチ40の各部位のうち第二係合面40bとして利用される面は、第一係合アーム122のアーム先端部123と対向する位置関係にあり、ラッチ外周カム面(第一係合面40aから連続した外周面)を第二係合面40bとして利用する場合に比べてラッチ40の外形が大きくなるのを防止することに寄与する。
【0060】
尚、ラッチ40の第二の回動状態では、スイッチレバー120が僅かに回動する構成、或いはスイッチレバー120の回動量がゼロ(全く回動しない状態)になる構成を採用するのが好ましい。本実施形態の場合、ドアスイッチ93の作動状態がオン状態になった位置でアンラッチ位置P4に向けて回動するラッチ40に対するスイッチレバー120の回動を規制する必要がある。しかし、このスイッチレバー120の回動を規制するための規制手段として、ストッパ等の新たな部材を用いる必要がないため、部品点数が増えるのを防止できる。
【0061】
さらにラッチユニット25にはストライカ進入溝28及びストライカ進入溝36が形成してある。そのため、例えば車両ドア10が開状態にあるときにユーザーが車両の洗車を行うと、洗車時に使用する液体(例えば、水。以下、「水」とする)がストライカ進入溝28及びストライカ進入溝36を介してラッチユニット25内に侵入し、さらに貫通孔30を介してアクチュエータユニット50の内部に侵入するおそれがある。アクチュエータユニット50の内部には電装部品であるドアスイッチ93が設けられている。仮にドアスイッチ93に水が付着すると、ドアスイッチ93が作動不良を起こすおそれがある。そのため、ラッチユニット25の内部に侵入した水がドアスイッチ93に付着するのを抑制する必要がある。
しかし、本実施形態では以下に説明するように、水がドアスイッチ93に付着するおそれは極めて低い。
【0062】
車両ドア10が開状態にあるときは、付勢手段の付勢力によってラッチ40がアンラッチ位置に位置する。そして、図4図5、及び図6に示すように、支持壁29aの厚み方向(車両ドア10が閉じたときの前後方向)に見たときにラッチ40が貫通孔30のほぼ全体と重なる。即ち、ラッチ40の第二係合爪42が、貫通孔30の上端部を除く全体と重なる。さらに図18及び図21から明らかなように、ラッチ40及びスイッチレバー120がいずれの位置に位置するときも、支持壁29aの厚み方向に見たときにスイッチレバー120の第一防水壁124及び第二防水壁128が貫通孔30の少なくとも一部と重なる。
しかも、ラッチ40が切替え位置P2とアンラッチ位置P4との間に位置するときは、スイッチレバー120の第二防水壁128が下方からドアスイッチ93の被押圧凸部95に接触する。換言すると、第二防水壁128が下方から被押圧凸部95を覆う。
さらに図9図10図16図18図21図23に示すように、スイッチレバー120の第一防水壁124がレバー案内突起68、下側防水壁70及びレバー案内突起83の内周側に位置しかつスイッチレバー120の第二防水壁128がレバー案内突起68、下側防水壁70及びレバー案内突起83の外周側に位置する。換言すると、レバー案内突起68、下側防水壁70及びレバー案内突起83の厚み方向(径方向)に見たときに、第一防水壁124及び第二防水壁128がスイッチレバー移動許容溝86の一部と重なる。即ち、貫通孔30を通り抜けてアクチュエータユニット50内に侵入した水がドアスイッチ93へ向かうためには、第一防水壁124とスイッチレバー移動許容溝86との間の隙間を通ってスイッチレバー移動許容溝86を上方に通り抜けた後に、さらにスイッチレバー移動許容溝86と第二防水壁128との隙間を通り抜けてドアスイッチ93側へ向かう必要がある。そのためアクチュエータユニット50は、スイッチレバー120が第一防水壁124及び第二防水壁128を具備しない場合と比べて、水がスイッチレバー移動許容溝86を通り難い構造となっている。
そのため、アンラッチ位置に位置するラッチ40及びスイッチレバー120によって、ラッチユニット25内に侵入した水が貫通孔30を通り抜けてアクチュエータユニット50内のドアスイッチ93に向かうのを抑制可能である。
【0063】
さらに、図3図18及び図21から明らかなように、第一ハウジング52のレバー案内突起68及び下側防水壁70と第二ハウジング75のレバー案内突起83の広幅部84が、ラッチユニット25の貫通孔30とドアスイッチ93との間に位置する。
そのため、仮に水が支持壁29aの貫通孔30を通り抜けてドアスイッチ93側に向かった場合であっても、レバー案内突起68、下側防水壁70、及び広幅部84によって水がドアスイッチ93側に向かうのを効果的に抑制できる。
【0064】
さらに図17に示すようにスイッチ側防水壁61の底壁部63(後方対向部64)とスイッチ側防水壁87の底壁部89とが接触し、さらに後方対向部64がドアスイッチ93の被押圧凸部95の直後に位置する。
そのため、仮に水が支持壁29aの貫通孔30を通り抜けてドアスイッチ93側に向かった場合であっても、スイッチ側防水壁61(底壁部63)及びスイッチ側防水壁87(底壁部89)によって水がドアスイッチ93に付着することを効果的に抑制できる。
【0065】
さらに車両ドア10が開状態にあるとき(ラッチ40がアンラッチ位置に位置するとき)は、図7に示すように、第一ハウジング27の取付用凹部29の上部(ストライカ進入溝28より上側に位置する部位)のストライカ進入溝28側の端部である連通孔29b(取付用凹部29の上部とストライカ進入溝28とを連通させるための開口)の大部分はラッチ40によって塞がれる。換言すると、連通孔29bの端部にのみ隙間29b1が形成される。従って、車両を洗車すると、水がこの隙間29b1を通して、ストライカ進入溝28、36より上方に位置する貫通孔30側へ向かうおそれがある。
しかし、貫通孔30はストライカ進入溝28、36及び隙間29b1よりも上方に位置している。さらに図5に示すように、この隙間29b1と貫通孔30との間にラッチ側防水壁31が位置している。
そのため仮に水が隙間29b1を通り抜けて取付用凹部29内に侵入しても、この水が貫通孔30側に向かうことをラッチ側防水壁31によって効果的に抑制できる。
【0066】
さらに図18及び図21から明らかなように、ドアスイッチ93がラッチユニット25の貫通孔30よりも上方に位置する。そのため、仮に水が貫通孔30からアクチュエータユニット50内に侵入しても、この水がドアスイッチ93側へ向かうおそれは小さい。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。
例えば、バックドアにドアロック装置20を設けてもよい。
またドアロック装置20を適用するドアの車体に対する回動方向は、水平方向のみならず上下方向であってもよい。
【0068】
ラッチハウジング26とアクチュエータハウジング51に相当するものを一体成形して一つのハウジングを構成してもよい。
【0069】
ラッチ40がフルラッチ位置に位置するときに、第二防水壁128がドアスイッチ93の被押圧凸部95を押圧することによりドアスイッチ93をオン状態にし、かつ、ラッチ40が切替え位置P2とアンラッチ位置P4との間に位置するときに、第二防水壁128がドアスイッチ93の被押圧凸部95から離間することによりドアスイッチ93をオフ状態にしてもよい。
【0070】
ECUに照明装置以外の電装部品を接続し、ドアスイッチ93のオン/オフに連動させてこの電装部品のオン/オフを切り替えてもよい。
【0071】
ラッチ40がアンラッチ位置に位置するときに、貫通孔30全体とラッチ40が前後方向に重なるようにしてもよい。
また、貫通孔30全体と第一防水壁(孔閉側部)124及び第二防水壁(孔閉側部)128とが前後方向に重なるようにしてもよい。
【0072】
ドアスイッチ(スイッチ)93は、スイッチレバー120によって押されるタイプでなくてもよい。例えば、ドアスイッチ93を、スイッチレバー120との距離が所定距離より離れているときはオフ状態(又はオン状態)となり、ドアスイッチ93との距離が所定距離以下となったときにオン状態(又はオフ状態)に切り替わる非接触式スイッチとしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
20・・・ドアロック装置、25・・・ラッチユニット、26・・・ラッチハウジング(ハウジング)、28・・・ストライカ進入溝、29a・・・支持壁、29b・・・連通孔、29b1・・・隙間、30・・・貫通孔、31・・・ラッチ側防水壁、36・・・ストライカ進入溝、40・・・ラッチ、40a・・・第一係合面、40b・・・第二係合面、45・・・ポール、50・・・アクチュエータユニット、61・・・スイッチ側防水壁、64・・・後方対向部、65・・・切欠部、68・・・レバー案内突起(内部壁)、70・・・下側防水壁、83・・・レバー案内突起(内部壁)、84・・・広幅部、85・・・狭幅部、86・・・スイッチレバー移動許容溝、87・・・スイッチ側防水壁、88・・・後壁部、89・・・底壁部、93・・・ドアスイッチ(スイッチ)、94・・・本体部、95・・・被押圧凸部、100・・・オープンリンク、103・・・アクティブレバー、112・・・電動モータ、120・・・スイッチレバー、122・・・第一係合アーム、123・・・アーム先端部、124・・・第一防水壁(孔閉側部)、125・・・バネ係止部、127・・・第二係合アーム、128・・・第二防水壁(孔閉側部)、130・・・レバースプリング。
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