(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、本実施形態に係る太陽電池モジュール10を車両のルーフ12に設けた場合を例に採る。したがって、各図において適宜示す矢印UPを車体上方向、矢印FRを車体前方向、矢印OUTを車幅方向外側とする。
【0019】
また、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車体上下方向の上下、車体前後方向の前後、車体左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。更に、車両のルーフ12は、側面視で車体上方側へ凸となるように湾曲しているが、各図では平坦面としている。また、太陽光を受光する上面を太陽電池モジュール10の表面とし、その反対側となる、太陽光を受光しない下面を太陽電池モジュール10の裏面とする。
【0020】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る太陽電池モジュール10について説明する。
図1に示されるように、車両のルーフ12に設けられた太陽電池モジュール10は、平面視で2次元的に配列された(例えば車幅方向に4列で車体前後方向に6列で配列された)複数の太陽電池セル20を有している。
【0021】
各太陽電池セル20は、発電出力に優れる従来公知の太陽電池セルを用いることができる。太陽電池セル20の具体例としては、例えば、シリコン型(単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、微結晶シリコン型、アモルファスシリコン型等)、化合物半導体型(InGaAs型、GaAs型、CIGS型、CZTS型等)、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。中でも、シリコン型の太陽電池セル20が好ましく、単結晶シリコン型又は多結晶シリコン型の太陽電池セル20が特に好ましい。
【0022】
各太陽電池セル20は、正方形状の4つの角部がそれぞれ斜めに切り落とされてなるコーナー部22を有する八角形状に形成されている。また、各太陽電池セル20は、互いの各辺縁部24を近接対向させて配列されており、各太陽電池セル20の裏面において、車幅方向に沿った各辺縁部24には、電極25が設けられている。
【0023】
詳細に説明すると、
図2、
図3に示されるように、各太陽電池セル20の車幅方向に沿った各辺縁部24の裏面側には、車幅方向に間隔を空けて複数(例えば3個)の電極25が設けられており、この太陽電池セル20は、所謂バックコンタクト型とされている。そして、各電極25には、例えば半田付けによって、後述するインターコネクタ30の接合部34が接合されている。
【0024】
インターコネクタ30は、各辺縁部24に沿って車幅方向に延在し、互いに対向する各辺縁部24に、それぞれ接合される前後一対(2本)のコネクタ本体32と、各コネクタ本体32から車体前方側及び車体後方側へ矩形状に突出され、各電極25に接合される複数(例えば各3個)の接合部34と、を有している。
【0025】
更に、インターコネクタ30は、前後一対のコネクタ本体32の延在方向(車幅方向)両端部に一体に連続して設けられ、各辺縁部24に接合された各コネクタ本体32を電気的に接続する左右一対の緩衝部36を有している。つまり、このインターコネクタ30は、前後一対のコネクタ本体32と左右一対の緩衝部36とにより、平面視で環状に形成されている。
【0026】
各緩衝部36は、各太陽電池セル20の車体前後方向に隣り合う各コーナー部22間に形成された領域Eに配置されており、斜めに切り落とされた部分を補填するように、ループする略三角形状に形成されている。そして、このインターコネクタ30が、複数設けられ、
図1に示されるように、車体前後方向に並んだ複数の太陽電池セル20の電極25同士が電気的に接続されている。
【0027】
なお、右側2列の最前部に配置された各太陽電池セル20の車体前方側端部となる辺縁部24にインターコネクタ30が接合されており、そのインターコネクタ30の車体前方側のコネクタ本体32同士が、タブ線26によって電気的に接続されている。同様に、左側2列の最前部に配置された各太陽電池セル20の車体前方側端部となる辺縁部24にインターコネクタ30が接合されており、そのインターコネクタ30の車体前方側のコネクタ本体32同士が、タブ線26によって電気的に接続されている。
【0028】
また、中央側2列の最後部に配置された各太陽電池セル20の車体後方側端部となる辺縁部24にインターコネクタ30が接合されており、そのインターコネクタ30の車体後方側のコネクタ本体32同士も、タブ線26によって電気的に接続されている。そして、右側及び左側の各1列の最後部に配置された各太陽電池セル20の車体後方側端部となる辺縁部24にもインターコネクタ30が接合されており、そのインターコネクタ30の車体後方側のコネクタ本体32には、それぞれタブ線28が接続されている。
【0029】
つまり、一方(例えば右側)のタブ線28Aが、「+(プラス)」の電極とされ、他方(例えば左側)のタブ線28Bが、「−(マイナス)」の電極とされており、一方のタブ線28Aから他方のタブ線28Bまで、各太陽電池セル20がインターコネクタ30及びタブ線26によって直列に接続されている。
【0030】
これにより、各太陽電池セル20で発電された電気が、タブ線28A、28Bを介して得られるようになっている。なお、太陽電池モジュール10は、図示のものとは、車体前後方向が逆になっていてもよい。つまり、タブ線28側が、車体前方側とされていてもよい。
【0031】
また、複数の太陽電池セル20及び複数のインターコネクタ30は、
図4(A)に示されるように、封止層14によって封止されている。そして、その封止層14により、封止層14の裏面側に背面層16が接着され、封止層14の表面側に表面層18が接着されている。
【0032】
封止層14の材質としては、熱可塑性樹脂、架橋樹脂などが挙げられ、例えば、エチレン−ビニルアセテート(EVA)共重合樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。中でも、EVA共重合樹脂が特に好ましい。
【0033】
背面層16は、太陽電池セル20よりも線膨張率が大きい材料で構成されており、例えば、アルミニウム等の金属材で構成されている。なお、背面層16がアルミニウム等の金属材で構成されている場合、後述する樹脂材で構成されている表面層18の線膨張率が、背面層16よりも大きくなるが、表面層18の膨張は、背面層16によって抑制される。
【0034】
表面層18は、物理的衝撃や雨、ガスなどによる侵食から太陽電池セル20及びインターコネクタ30を保護する層であり、光透過性を有するとともに、太陽電池セル20よりも線膨張率が大きい樹脂材で構成されている。表面層18を構成する樹脂材としては、太陽光を透過可能なものであれば特に限定されず、従来公知の樹脂材を用いることができる。
【0035】
例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂等が挙げられる。
【0036】
中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。このように、ポリカーボネート樹脂等で構成される表面層18は、軽量であるため、車両に搭載される車載用の太陽電池モジュール10の表面層18としては好適である。
【0037】
なお、一例として、太陽電池セル20及びインターコネクタ30の板厚は、それぞれ0.2mmとされている。そして、封止層14の厚さは、0.8mm〜1.2mmとされ、背面層16の厚さは、1.0mm〜1.2mmとされ、表面層18の厚さは、0.8mmとされている。
【0038】
また、背面層16は、アルミニウム等の金属材で構成されるものに限定されるものではなく、
図4(B)に示されるように、表面層18と同じ樹脂材で構成されていてもよい。すなわち、背面層16と表面層18とを、上記した樹脂材の中から適宜選択される同一の樹脂材で構成してもよいし、背面層16と表面層18とを、上記した樹脂材の中から適宜選択される異なる樹脂材で構成してもよい。
【0039】
背面層16が樹脂材で構成されている場合は、一例として、背面層16の厚さが、1.0mm〜2.0mmとされ、表面層18の厚さが、2.0mm〜3.0mmとされている。また、太陽電池セル20及びインターコネクタ30の板厚は、それぞれ0.2mmとされ、封止層14の厚さは、0.8mm〜1.2mmとされている。
【0040】
以上のような構成とされた第1実施形態に係る太陽電池モジュール10において、次にその作用について説明する。
【0041】
上記したように、太陽電池セル20は、封止層14によって背面層16及び表面層18と接着されている。そのため、太陽電池モジュール10に対して急激な温度変化が加えられると、太陽電池セル20と背面層16及び表面層18との間の線膨張率の差から、太陽電池モジュール10には、面内方向の歪み(熱による膨張や収縮)が発生し、その歪みを各太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間隔W(
図5参照)で吸収するような現象が起きる。
【0042】
具体的には、各太陽電池セル20は、背面層16及び表面層18の少なくとも一方の膨張又は収縮に伴い、全体的に車幅方向及び車体前後方向に対して斜め方向に移動する。より具体的には、例えば
図5に示される左下の太陽電池セル20を基準にすると、
図5に示される左上の太陽電池セル20が車幅方向へ移動し、
図5に示される右下の太陽電池セル20が車体前後方向へ移動し、
図5に示される右上の太陽電池セル20が車幅方向及び車体前後方向に対して斜め方向に移動する。
【0043】
これにより、各太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間隔Wが変化する。つまり、太陽電池モジュール10が膨張したときには、各太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間隔Wが広がり(
図5参照)、太陽電池モジュール10が収縮したときには、各太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間隔Wが縮まる(各太陽電池セル20が、
図5に示される矢印の方向とは反対の方向に移動する)。
【0044】
ここで、各太陽電池セル20が、上記したように、全体的に車幅方向及び車体前後方向に対して斜め方向に移動すると、インターコネクタ30のコネクタ本体32も接合部34が電極25に接続されていることから、各太陽電池セル20に追従して移動する。したがって、本実施形態に係る太陽電池モジュール10のインターコネクタ30には、その移動を許容する緩衝部36が設けられている。
【0045】
詳細に説明すると、緩衝部36が設けられていないインターコネクタ(図示省略)では、上記したような太陽電池セル20の移動が繰り返し起こると、それによる疲労により断線するおそれがある。また、インターコネクタの断線を抑制するために、コネクタ本体の剛性を向上させると、接合部は、コネクタ本体と共に移動することから、太陽電池セル20の電極25が設けられている部分に応力が掛かり、太陽電池セル20の電極25が設けられている部位が破断されるおそれがある。
【0046】
しかしながら、本実施形態におけるインターコネクタ30には、緩衝部36が設けられているため、例えば
図5に示されるように、太陽電池モジュール10の熱膨張により各太陽電池セル20が互いに離間する方向へ移動しても、コネクタ本体32の追従移動(変位)が、その緩衝部36によって許容(吸収)される。つまり、インターコネクタ30に、太陽電池セル20の移動に伴う応力が掛かっても、緩衝部36が変形することにより、その応力を効果的に吸収することができる。
【0047】
したがって、太陽電池モジュール10に対して急激な温度変化が加えられても、各太陽電池セル20を電気的に接続するインターコネクタ30の断線を抑制又は防止することができる。そして、太陽電池セル20のインターコネクタ30の接合部34が接続されている部位の破断を抑制又は防止することができる。
【0048】
また、その緩衝部36は、各太陽電池セル20の互いに対向するコーナー部22間に形成された領域Eに配置されており、太陽電池モジュール10のデッドスペースが有効利用されている。つまり、インターコネクタ30に緩衝部36が形成される構成であっても、その緩衝部36を配置するスペースを効率よく確保することができる。
【0049】
したがって、各太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間隔Wを可能な限り狭めることができ、太陽電池モジュール10において、太陽電池セル20の建蔽率が低下するのを抑制することができる。これは、車両のルーフ12のように、太陽電池モジュール10を搭載するスペースが限られている場合に、特に有効となる。
【0050】
なお、緩衝部36の形状は、
図2、
図3に示されるものに限定されるものではなく、例えば
図6(A)に示されるようなものでもよい。この
図6(A)に示される第1変形例に係る緩衝部36は、略矩形平板状に形成されており、コネクタ本体32の延在方向に沿ったスリット部36Aが内側に1本、コネクタ本体32の延在方向に沿ったスリット部36Bが外側に2本形成されて構成されている。
【0051】
すなわち、緩衝部36の内側における中央部にスリット部36Aが形成され、緩衝部36の外側で、かつスリット部36Aの両側にそれぞれスリット部36Bが形成されている。そして、各スリット部36A、36Bの先端には、各スリット部36A、36Bから緩衝部36が切り裂かれるのを防止するために、各スリット部36A、36Bの幅よりも大きい直径とされた円形状の孔部36Cが、各スリット部36A、36Bと連続して形成されている。
【0052】
また、緩衝部36は、
図6(B)に示されるようなものでもよい。この
図6(B)に示される第2変形例に係る緩衝部36は、バネ特性を有する線状の鋼材(以下「バネ部」という)38の両端部38Aが、それぞれ前後一対のコネクタ本体32の延在方向両端部に半田によって接合されて構成されている。なお、バネ部38の形状は、図示の平面視略波型形状(蛇行形状)に限定されるものではない。
【0053】
また、バネ部38の両端部38Aは、
図6(C)に示される第3変形例のように、それぞれコネクタ本体32の延在方向両端部に包み込まれてから、その延在方向両端部に半田によって接合される構成になっていてもよい。また、バネ部38の断面形状は、
図6(D)に示されるように、円形状とされていてもよいし、矩形状や半円形状とされていてもよい。
【0054】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る太陽電池モジュール10について説明する。なお、上記第1実施形態と同等の部位には、同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は、適宜省略する。また、
図7、
図12では、後述する緩衝部46の図示を省略している。
【0055】
図7に示されるように、この第2実施形態に係る太陽電池モジュール10も、平面視で2次元的に配列された(例えば車幅方向に4列で車体前後方向に7列で配列された)複数の太陽電池セル20を有している。そして、複数のインターコネクタ40が、それぞれ車幅方向又は車体前後方向に隣り合う複数の太陽電池セル20の電極25同士を接続するか、又は領域Eを挟んで対角線上に配置された複数の太陽電池セル20の電極25同士を接続している。
【0056】
詳細に説明すると、例えば
図8に示されるように、車体前後方向と車幅方向に互いに対向して配置された4枚の太陽電池セル20において、インターコネクタ40は、車体前後方向に隣り合う2組の太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間に、それぞれ配置された一対のコネクタ本体42を有している。すなわち、各コネクタ本体42は、辺縁部24に沿って車幅方向に延在されており、このインターコネクタ40は、平面視で直線状に形成されている。
【0057】
そして、車幅方向外側に配置されたコネクタ本体42から車体後方側へ突出された複数(例えば3個)の接合部44が、車幅方向外側後方の太陽電池セル20の電極25に半田によって接合されている。同様に、車幅方向内側に配置されたコネクタ本体42から車体前方側へ突出された複数(例えば3個)の接合部44が、車幅方向内側前方の太陽電池セル20の電極25に半田によって接合されている。
【0058】
つまり、このインターコネクタ40は、領域Eを挟んで対角線上に配置された各太陽電池セル20の各電極25同士を接続している。また、このインターコネクタ40は、車幅方向に延在するコネクタ本体42同士の間を一体に連結する緩衝部46を有している。緩衝部46は、平面視でループしない蛇行形状とされており、領域Eを埋めるように、領域Eとほぼ同じ大きさとなる略矩形状に形成されている。
【0059】
なお、インターコネクタ40は、例えば
図9に示されるように、車幅方向(又は車体前後方向)に隣り合う複数の太陽電池セル20の電極25同士を接続する場合もある。この場合は、車幅方向に隣り合う太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間に、インターコネクタ40の一方のコネクタ本体42が配置され、そのコネクタ本体42から車幅方向外側へ突出された複数(例えば3個)の接合部44が、車幅方向外側の太陽電池セル20の電極25に半田によって接合されている。
【0060】
同様に、車幅方向内側の太陽電池セル20の車体後方側に、インターコネクタ40の他方のコネクタ本体42が配置され、そのコネクタ本体42から車体前方側へ突出された複数(例えば3個)の接合部44が、車幅方向内側の太陽電池セル20の電極25に半田によって接合されている。つまり、このインターコネクタ40は、平面視で略「L」字状に形成されている。
【0061】
そして、このインターコネクタ40も、一方のコネクタ本体42と他方のコネクタ本体42との間を一体に連結する緩衝部46を有している。この緩衝部46も、平面視でループしない蛇行形状とされており、車幅方向に隣り合う太陽電池セル20の互いに対向する各コーナー部22間に形成された領域Eを埋めるように、領域Eとほぼ同じ大きさとなる略矩形状に形成されている。
【0062】
また、
図7に示されるように、この第2実施形態に係る太陽電池モジュール10では、タブ線26、28が不要となっている。すなわち、最右後部に配置された太陽電池セル20の車幅方向外側端部となる辺縁部24には、直線状のインターコネクタ40の車体前方側におけるコネクタ本体42が接合されており、そのインターコネクタ40の車体後方側へ突出するコネクタ本体42が、例えば「+(プラス)」の電極とされている。
【0063】
そして、最左前部に配置された太陽電池セル20の車体前方側端部となる辺縁部24には、略「L」字状のインターコネクタ40の車幅方向に延在するコネクタ本体42が接合されており、そのインターコネクタ40の車体前方側へ突出するコネクタ本体42が、例えば「−(マイナス)」の電極とされている。これにより、最右後部のインターコネクタ40から最左前部のインターコネクタ40まで、各太陽電池セル20が各インターコネクタ40によって直列に接続されている。
【0064】
以上のような構成とされた第2実施形態に係る太陽電池モジュール10でも、上記第1実施形態と同等の作用効果が得られる。
【0065】
すなわち、各太陽電池セル20を電気的に接続するインターコネクタ40には、緩衝部46が設けられているため、急激な温度変化による各太陽電池セル20の移動に伴うコネクタ本体42の追従移動(変位)が、その緩衝部46によって許容(吸収)される。つまり、インターコネクタ40に、太陽電池セル20の移動に伴う応力が掛かっても、例えば
図10に示されるように、緩衝部46が変形することにより、その応力を効果的に吸収することができる。
【0066】
したがって、太陽電池モジュール10に対して急激な温度変化が加えられても、各太陽電池セル20を電気的に接続するインターコネクタ40の断線を抑制又は防止することができる。そして、太陽電池セル20のインターコネクタ40の接合部44が接続されている部位の破断を抑制又は防止することができる。
【0067】
また、この緩衝部46は、平面視でループしない蛇行形状とされているため、各太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間隔W(
図10参照)の変化が大きい場合(例えば背面層16が樹脂層の場合(
図4(B)参照))でも、その大きな変化に対応することができる。
【0068】
更に、この緩衝部46は、各太陽電池セル20の互いに対向するコーナー部22間に形成された領域Eに配置されているため、太陽電池モジュール10のデッドスペースを有効利用することができる(緩衝部46が配置されるスペースを効率よく確保することができる)。
【0069】
したがって、インターコネクタ40に緩衝部46が形成される構成であっても、各太陽電池セル20の互いに対向する各辺縁部24の間隔Wを可能な限り狭めることができ、太陽電池モジュール10において、太陽電池セル20の建蔽率が低下するのを抑制することができる。
【0070】
なお、インターコネクタ40の緩衝部46は、領域Eを挟んで対角線上に配置された各太陽電池セル20の各電極25同士を接続する、
図8に示される直線状のインターコネクタ40の方が、
図9に示される略「L」字状のインターコネクタ40よりも、その寸法を大きく取ることができる。
【0071】
また、インターコネクタ40の緩衝部46の形状は、
図8、
図9に示されるループしない蛇行形状に限定されるものではなく、例えば
図11(A)、
図11(B)に示されるように、平面視でループする蛇行形状(四つ葉のクローバーのような形状)とされていてもよい。また、第2実施形態に係る太陽電池モジュール10では、例えば
図12に示されるように、太陽電池セル20が斜め格子状に配置されていてもよい。
【0072】
以上、本実施形態に係る太陽電池モジュール10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る太陽電池モジュール10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、太陽電池セル20は、2次元的に配列される構成に限定されるものではなく、3次元的に配列される構成とされていてもよい。また、緩衝部36、46の形状も、図示の蛇行形状に限定されるものではない。
【0073】
また、背面層16や表面層18の厚さは、上記した寸法に限定されるものではない。例えば
図4(B)で示されるように、背面層16が樹脂材で構成されている場合は、その背面層16の厚さを表面層18の厚さと同等となるように厚く形成してもよい。また、インターコネクタ30、40は、各太陽電池セル20の電極25に、半田によって接合される構成に限定されるものではない。更に、本実施形態に係る太陽電池モジュール10は、車両のルーフ12に設けられる構成に限定されるものでもない。