特許第6352899号(P6352899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6352899取り外し可能な工具ヘッドを備える切削工具組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352899
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】取り外し可能な工具ヘッドを備える切削工具組立体
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/04 20060101AFI20180625BHJP
【FI】
   B23B29/04 A
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-506349(P2015-506349)
(86)(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公表番号】特表2015-514597(P2015-514597A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】IL2013050273
(87)【国際公開番号】WO2013156993
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年2月9日
(31)【優先権主張番号】13/450,711
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,ギル
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−033202(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第2053747(GB,A)
【文献】 特表2010−504862(JP,A)
【文献】 国際公開第01/091958(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/116352(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00−29/34
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削工具組立体(100、200、300)において、
方向(D)に延在するホルダ長手方向軸(H)を有する工具ホルダ(102、202、302)であって、ホルダ前端部(152)、ホルダ上端部(153)、前記ホルダ前端部(152)と前記ホルダ上端部(153)との間に延在するホルダ合わせ面(114、314)、および前記ホルダ合わせ面(114、314)から前記後方向(D)に離間したホルダクランピング部分(112)を含む工具ホルダ(102、202、302)と、
前記前方向(D)に延在する工具ヘッド長手方向軸(T)を有し、かつ工具ヘッド下端部(131)を含む工具ヘッド(104、204、304)であって、前記工具ヘッド下端部(131)が、工具ヘッド合わせ面(132、316)と、前記工具ヘッド下端部(131)から上方に延在しかつ前記工具ヘッド合わせ面(132、316)から前記後方向(D)に離間した工具ヘッドクランピング凹部(124)と、を備える、工具ヘッド(104、204、304)と、
工具ヘッド締結部材(106)と、を含み、
組み立てられた位置において、
前記工具ヘッド合わせ面(132、316)が、前記ホルダ合わせ面(114、314)と蟻継ぎ接続を形成し、
前記工具ヘッド締結部材(106)が前記工具ヘッドクランピング凹部(124)をクランピングし、それにより、前記工具ヘッド(104、204、304)を前記工具ホルダ(102、202、302)に外部からクランピングし、
前記ホルダ合わせ面(114、314)および前記工具ヘッド合わせ面(132、316)が、それぞれ前記ホルダ長手方向軸(H)および工具ヘッド長手方向軸(T)に対して傾斜角(δ)だけ傾斜しており前記傾斜角(δ)が、60°以下の鋭角であり、
前記工具ヘッド合わせ面(132、316)が、前記工具ヘッドクランピング凹部(124)を有する工具ヘッド後面(122)と交差する、切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項2】
前記ホルダ合わせ面(114、314)が複数のホルダ合わせ側壁(140、310)を含み、前記工具ヘッド合わせ面(132、316)が、前記ホルダ合わせ側壁(140、310)に合致する複数の工具ヘッド合わせ側壁(138、312)を含む、請求項に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項3】
前記ホルダ合わせ側壁(310)および前記工具ヘッド合わせ側壁(312)が前記前方向(D)に広がる、請求項に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項4】
前記工具ヘッドクランピング凹部(124)がクランピング面(126)を含み、前記工具ヘッド締結部材(106)が前記クランピング面(126)に押圧される、請求項1に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項5】
前記ホルダクランピング部分(112)が少なくとも1つのホルダ支持面(146)を有し、前記工具ヘッド締結部材(106)が、摩擦を伴って、実質的に円弧(158)上にある前記少なくとも1つのホルダ支持面(146)に沿って摺動する、請求項1に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項6】
前記ホルダクランピング部分(112)がクランピング軸(M)に沿って延在し、
前記クランピング軸(M)および前記工具ヘッドクランピング凹部(124)が、前記ホルダ長手方向軸(H)および前記工具ヘッド長手方向軸(T)にそれぞれ実質的に垂直である、請求項1に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項7】
前記工具ヘッド(104、204、304)が、切削インサート(162)を保持するためのインサートポケット(130)を備える工具ヘッド上端部(133)を有する、請求項6に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項8】
前記ホルダ合わせ面(114、314)および前記工具ヘッド合わせ面(132、316)をそれぞれ平面的に見るとき、前記ホルダ合わせ側壁(140、310)および前記工具ヘッド合わせ側壁(138、312)が、それぞれホルダ合わせ軸(A)および工具ヘッド合わせ軸(B)に対して鏡面対称である、請求項に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項9】
前記ホルダ合わせ面(114、314)および前記工具ヘッド合わせ面(132、316)をそれぞれ平面的に見るとき、前記ホルダ合わせ側壁(140、310)および前記工具ヘッド合わせ側壁(138、312)が、実質的に直線状である、請求項に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項10】
前記ホルダ合わせ面(114)が、前記ホルダ合わせ側壁(140)によって部分的に制限された雌部分(116)を含み、前記雌部分(116)が、前記ホルダ合わせ側壁(140)と鋭角のホルダの蟻の角(α)をなし、
前記工具ヘッド合わせ面(132)が、前記工具ヘッド合わせ側壁(138)によって部分的に制限された雄部分(134)を含み、前記雄部分(134)が、前記工具ヘッド合わせ側壁(138)と鋭角の工具ヘッドの蟻の角(β)をなす、請求項に記載の切削工具組立体(100、200)。
【請求項11】
前記工具ヘッド(104)が、前記雄部分(134)に実質的に平行であって前記雄部分(134)から第1の距離(H1)だけ離間した工具ヘッド当接面(135)を含み、
前記工具ホルダ(102)が、前記雌部分(116)に実質的に平行であって前記雌部分(116)から第2の距離(H2)だけ離間した少なくとも3つの同一平面上のホルダ当接面(144)を含み、前記第2の距離は前記第1の距離(H1)以上である、請求項10に記載の切削工具組立体(100、200)。
【請求項12】
前記ホルダ合わせ面(314)が、前記ホルダ合わせ側壁(310)によって部分的に制限された雄部分(306)を含み、
前記工具ヘッド合わせ面(316)が、前記工具ヘッド合わせ側壁(312)によって部分的に制限された雌部分(308)を含む、請求項に記載の切削工具組立体(300)。
【請求項13】
前記ホルダ合わせ側壁(140、310)が単一ホルダ側壁(118)によって接続され、前記単一ホルダ側壁(118)が前記ホルダクランピング部分(112)の方に向かって広がっている、請求項に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項14】
前記工具ヘッド合わせ側壁(138、312)が単一工具ヘッド側壁(136)によって接続され、前記単一工具ヘッド側壁(136)が前記工具ヘッドクランピング凹部(124)の方に向かって広がっている、請求項に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項15】
前記ホルダ合わせ側壁(140)が、前記ホルダクランピング部分(112)の方に向かって広がっている単一ホルダ側壁(118)によって接続されており、
前記工具ヘッド合わせ側壁(138)が、前記工具ヘッドクランピング凹部(124)の方に向かって広がっている単一工具ヘッド側壁(136)によって接続されており、
前記工具ヘッド合わせ面(132)および前記ホルダ合わせ面(114)をそれぞれ平面的に見るとき、前記単一の工具ヘッドおよびホルダ側壁(136、118)の各々がV字形状を形成する、請求項に記載の切削工具組立体(200)。
【請求項16】
前記工具ヘッド合わせ面(132、316)と前記ホルダ合わせ面(114、314)との間の前記蟻継ぎ接続、および
前記工具ヘッド締結部材(106)による前記工具ヘッド(104、204、304)の前記クランピングが、前記工具ホルダ(102、202、302)に前記工具ヘッド(104、204、304)を保持する唯一の手段である、請求項1に記載の切削工具組立体(100、200、300)。
【請求項17】
請求項1に記載の切削工具組立体(100、200、300)を含む切削工具(101)において、前記組み立てられた位置において、
前記工具ヘッド上端部(133)がインサートポケット(130)を備え、
前記インサートポケット(130)に切削インサート(162)が保持されている、切削工具。
【請求項18】
方向(D)の後方に延在する工具ヘッド長手方向軸(T)を有し、
インサートポケット(130)を備える工具ヘッド上端部(133)と、
複数の工具ヘッド合わせ側壁(138、312)を含む工具ヘッド合わせ面(132、316)を備える工具ヘッド下端部(131)と、
前記工具ヘッド下端部(131)から前記工具ヘッド上端部(133)まで上方に延在しかつ前記工具ヘッド合わせ面(132、316)の前記後方に離間する工具ヘッドクランピング凹部(124)を備える工具ヘッド後面(122)と、を含み、
前記工具ヘッド合わせ面(132、316)が工具ヘッド長手方向軸(T)に対して傾斜角(δ)だけ傾いており前記傾斜角(δ)が、60°以下の鋭角であり、
前記工具ヘッド合わせ面(132、316)が前記工具ヘッド後面(122)と交差する、工具ヘッド(104、204、304)。
【請求項19】
前記工具ヘッド合わせ面(132)が、前記工具ヘッド合わせ側壁(138)によって部分的に制限された雄部分(134)を含み、
前記雄部分(134)が、前記工具ヘッド合わせ側壁(138)と鋭角の工具ヘッドの蟻の角(β)をなす、請求項18に記載の工具ヘッド(104、204)。
【請求項20】
前記工具ヘッド合わせ面(316)が、前記工具ヘッド合わせ側壁(312)によって部分的に制限された雌部分(308)を含み、前記工具ヘッド合わせ側壁(138、312)が、前記工具ヘッドクランピング凹部(124)の方に向かって広がっている単一工具ヘッド側壁(136)によって接続される、請求項18に記載の工具ヘッド(304)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[001]本発明は、概して、金属切削加工のための切削工具組立体に関し、特に、旋削作業および溝削り作業に用いられる切削インサートを保持するための、取り外し可能な工具ヘッドを備える切削工具組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[002]切削工具は、ホルダと、切削インサートを保持するためのインサートポケットを備える解放可能な工具ヘッドとを含む。切削インサートは、通常、超硬合金などの硬質材料で形成される。解放可能な工具ヘッドは、取付要素によって、ホルダに取り外し可能に取り付けられる。そのような取付要素は、通常、解放可能な工具ヘッドに予め形成された貫通孔を通過し、かつホルダ本体に形成された、対応するねじ孔に係合するねじである。そのような切削工具の例は、米国特許第3289273号、米国特許第3500523号、米国特許第4057884号、米国特許第4066376号、米国特許第5555784号、米国特許第6702526号、米国特許第7086812号、米国特許第7118311号、米国特許第7240593号、米国特許第7578640号および米国特許出願公開第2010/0254774号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[003]本出願の主題の目的は、切削インサートを保持する取り外し可能な工具ヘッドを備え、工具ヘッドが、ホルダにクランピングするための貫通孔を必要としない、改良された新規の切削工具組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
[004]本出願の主題によれば、
前後方向に延在するホルダ長手方向軸を有する工具ホルダであって、ホルダ前端部、ホルダ上端部、それらの間に延在するホルダ合わせ面、およびホルダ合わせ面から後方向に離間したホルダクランピング部分を含む工具ホルダ;
前後方向に延在する工具ヘッド長手方向軸を有する工具ヘッドであって、工具ヘッド下端部が、工具ヘッド合わせ面と、工具ヘッド下端部から上方に延在しかつ工具ヘッド合わせ面から後方向に離間した工具ヘッドクランピング凹部とを備える、工具ヘッド;および
工具ヘッド締結部材
を含む切削工具組立体であって、
切削工具組立体の組み立てられた位置において:
工具ヘッド合わせ面がホルダ合わせ面と蟻継ぎ接続を形成し;および
工具ヘッド締結部材が工具ヘッドクランピング凹部をクランピングし、それにより、工具ヘッドを工具ホルダに外部からクランピングする、切削工具組立体が提供される。
【0005】
さらに、本出願の主題によれば、上記で記載した切削工具組立体を含む切削工具であって、組み立てられた位置において、
工具ヘッド上端部がインサートポケットを備え;および
切削インサートがインサートポケットに保持される、切削工具が提供される。
【0006】
本出願の主題によれば、前後方向に延在する工具ヘッド長手方向軸を有し、かつ:
インサートポケットを備えた工具ヘッド上端部;
複数の工具ヘッド合わせ側壁を含む工具ヘッド合わせ面を備える工具ヘッド下端部;および
工具ヘッド下端部から工具ヘッド上端部まで上方に延在しかつ工具ヘッド合わせ面の後方に離間した工具ヘッドクランピング凹部を備える工具ヘッド後面
を含む工具ヘッドであって、
工具ヘッド合わせ面は、工具ヘッド軸に対して傾斜角だけ傾いている、工具ヘッドも提供される。
【0007】
図面の簡単な説明
[005]本出願をより良く理解し、および本出願を実際に実施し得る方法を示すために、ここで添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】組み立てられた位置にある、開示の技術の実施形態による切削工具の斜視図である。
図2】分解した位置にある、図1の切削工具の切削工具組立体の斜視図である。
図3図2の切削工具組立体の取り外し可能な工具ヘッドの斜視的な底面図である。
図4図3の取り外し可能な工具ヘッドのヘッド合わせ面の底面図である。
図5図2の切削工具組立体の工具ホルダのホルダ合わせ面の平面図である。
図6】組み立てられた位置にある、図2の切削工具組立体の上面図である。
図7】線VII−VIIに沿って取った図6の切削工具組立体の断面図である。
図8】線VIII−VIIIに沿って取った図6の切削工具組立体の断面図である。
図9】線IX−IXに沿って取った図5の工具ホルダの断面図である。
図10】線X−Xに沿って取った図4の工具ヘッドの断面図である。
図11】分解した位置における、本発明の別の実施形態による切削工具組立体の斜視図である。
図12図11の切削工具組立体の工具ヘッドの斜視的な底面図である。
図13図12の工具ヘッドのヘッド合わせ面の底面図である。
図14図11の切削工具組立体の工具ホルダのホルダ合わせ面の平面図である。
図15】分解した位置における、本発明のさらに別の実施形態による切削工具組立体の斜視図である。
図16図15の切削工具組立体の工具ヘッドの斜視的な底面図である。
図17図16の工具ヘッドのヘッド合わせ面の底面図である。
図18図15の切削工具組立体の工具ホルダのホルダ合わせ面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[006]説明を単純かつ明白にするために、図面に示す要素は、必ずしも縮尺通りである必要はないことが認められる。例えば、いくつかの要素の寸法は、明白にするために、他の要素と比較して拡大されてもよいし、またはいくつかの物理的構成要素は、1つの機能ブロックまたは要素に含まれてもよい。さらに、適当であると考えられる場合、参照符号を複数の図面で繰り返し使用して、対応するまたは類似の要素を示し得る。
【0010】
発明の詳細な説明
[007]以下の説明では、本出願の主題の様々な態様を説明する。説明のために、特定の構造および詳細を十分に詳述するため、本発明は十分に理解される。しかしながら、当業者はまた、本発明の主題は、本明細書に示した特定の構造および詳細がなくても、実施できることを認識する。
【0011】
[008]初めに図1に注目すると、組み立てられた位置にある、本発明の実施形態による切削工具101が示されている。切削工具101は、切削工具組立体100および切削インサート162を含む。切削工具組立体100は、工具ホルダ102、取り外し可能な工具ヘッド104、および取り外し可能な工具ヘッド104を工具ホルダ102にしっかりとクランピングするための工具ヘッド締結部材106を含む。工具ヘッド104は、金属切削作業(例えば、旋削または溝削り)の最中に切削インサート162を保持するためのインサートポケット130を有する。
【0012】
[009]さらに図2を参照すると、分解した位置にある、図1の切削工具101の切削工具組立体100の斜視図が示されている。工具ホルダ102は、前後方向D、Dに延在するホルダ長手方向軸Hを有する。工具ホルダ102は、上下方向U、D(すなわち、ホルダ軸Hに実質的に垂直に)延在するホルダ前面108を備える前端部152と、ホルダ軸Hに実質的に平行に延在するホルダ上面110を備えるホルダ上端部153とを有する。ホルダ前端部152とホルダ上端部153との間にホルダ合わせ面114が延在し、およびホルダ合わせ面114の後方にはホルダクランピング部分112が形成される。
【0013】
[0010]ホルダクランピング部分112は、クランピング軸Mに沿って延在し、およびねじ孔115および少なくとも1つの前方に面するホルダ支持面146を有する。一部の実施形態によれば、クランピング軸Mは、ホルダ軸Hに対して垂直に延びる。ホルダ支持面146は、クランピング軸Mに沿って、ねじ孔115から上方に配置される。本発明の一部の実施形態によれば(例えば、図1および図5)、ホルダクランピング部分112は、2つのホルダ支持面146を含む。2つのホルダ支持面146は、共通の実質的に円弧158上にあり、その中心はクランピング軸M上にあるが、これらホルダ支持面は後方解放凹部147によって分離されている。開示の技術の別の実施形態によれば(例えば、図14)、ホルダクランピング部分112は、解放凹部147のない単一円弧158にある単一の支持面146を含む。
【0014】
[0011]取り外し可能な工具ヘッド104は、前後方向D、Dに延在する工具ヘッド長手方向軸Tを有し、かつ工具ヘッド合わせ面132を有する工具ヘッド下端部131を有する。工具ヘッド104は、工具ヘッド前面120と、対向する工具ヘッド後面122とを含み、それら双方とも、上下方向U、Dに延在する。工具ヘッド前面および後面120、122は、工具ヘッドの長さLだけ離間している(図2)。
【0015】
[0012]工具ヘッド後面122は、工具ヘッド下端部131から上方に延在する外部工具ヘッドクランピング凹部124を有する。一部の実施形態によれば、工具ヘッドクランピング凹部124は、工具ヘッド軸Tに垂直に延在する。工具ヘッドクランピング凹部124は、工具ヘッド後面122から延在するクランピング面126を含む。工具ヘッド104は、工具ヘッド後面122からインサートポケット130の方に延在する工具ヘッド上面128を備える工具ヘッド上端部133を含む。図面から分かるように、外部工具ヘッドクランピング凹部124は、工具ヘッド下端部131から工具ヘッド上端部133まで上方に延在する。
【0016】
[0013]ホルダ合わせ面114は、複数のホルダ合わせ側壁140によって部分的に制限された斜め雌部分116を含む。一部の実施形態によれば、ホルダ合わせ側壁140は、ホルダクランピング部分112の方へ(すなわち、後方向Dに)広がっている単一ホルダ側壁118によって接続され得る。
【0017】
[0014]工具ヘッド合わせ面132は、そこから突出する、複数の工具ヘッド合わせ側壁138によって部分的に制限される雄部分134を含む。一部の実施形態によれば、工具ヘッド合わせ側壁138は、工具ヘッドクランピング凹部124の方へ広がっている単一工具ヘッド側壁136によって接続されている。
【0018】
[0015]さらに図3〜5を参照して説明する。ホルダおよび工具ヘッドの合わせ面114、132のそれぞれの平面図において、ホルダおよび工具ヘッドの合わせ側壁140、138は、ホルダおよび工具ヘッドの合わせ軸A、Bに対してそれぞれ鏡面対称である。ホルダ合わせ軸Aは、雌部分116に沿って配置され、および工具ヘッド合わせ軸Bは、雄部分134に沿って配置されている。ホルダ合わせ側壁140はホルダ合わせ軸Aに対して斜めであり、ホルダ合わせ軸Aからホルダクランピング部分112の方へ向かって広がっている。同様に、工具ヘッド合わせ側壁138は工具ヘッド合わせ軸Bに対して斜めであり、工具ヘッド合わせ軸Bから工具ヘッドクランピング凹部124の方へ向かって広がっている。
【0019】
[0016]工具ヘッド合わせ面132上には、工具ヘッド合わせ側壁138に隣接して、雄部分134に実質的に平行に工具ヘッド当接面135が延在する。工具ヘッド合わせ側壁138は、ホルダ合わせ側壁140と形状、サイズおよび向きが合致し、組み立てられた位置において、合わせ側壁138と140とをしっかりと当接できるようにする。
【0020】
[0017]ホルダ合わせ面114および工具ヘッド合わせ面132は、ホルダ軸Hおよび工具ヘッド軸Tに対してそれぞれ傾斜角δだけ傾けられている(図8に示すように)。傾斜角δは鋭角であり、一般に0〜60°の範囲である。この傾きで位置決めすることによって、ホルダおよび工具ヘッドの合わせ面114、132は、切り屑除去作業(すなわち、金属切削作業)の最中に、切削インサート162の切れ刃によって工具ヘッド104に加えられた操作力の方向に実質的に垂直に位置決めされ得ることに留意されたい。それにより、切削工具組立体100は、様々な操作力に耐え、ホルダおよび工具ヘッド合わせ面114、132が破損する可能性を低減させる。
【0021】
[0018]さらに図4および図5を参照して説明すると、ホルダ合わせ面114はまた、ホルダ合わせ側壁140に隣接して配置された、少なくとも3つの同一平面上のホルダ当接面144を含む。ホルダ当接面144は、ホルダ合わせ面114に垂直な方向に、ホルダ合わせ面114に対して上昇している。一部の実施形態によれば、図5に示すように、ホルダ合わせ面114は、4つの離間した同一平面上のホルダ当接面144を含む。
【0022】
[0019]図4および図5に、工具ヘッドおよびホルダの合わせ面132、114をそれぞれ平面図で示す。これらの平面図は、それぞれ、工具ヘッドおよびホルダの当接面135、144に垂直な面に沿って取ったものである。本発明の一部の実施形態によれば、合わせ面132、114をそれぞれ平面的にみると、工具ヘッドおよびホルダの合わせ側壁138、140は、実質的に直線状である。
【0023】
[0020]さらに図9および図10を参照すると、それぞれ切断線IX−IXおよびX−X(それぞれ図5および図4に示す)に沿って取った断面におけるホルダおよび工具ヘッドの合わせ面114、132の一部分が示されている。図9の断面は、ホルダ合わせ面114のホルダ合わせ側壁140の1つに垂直な面に沿って取ったものである。図10の断面は、工具ヘッド合わせ面132の工具ヘッド合わせ側壁140の1つに垂直な面に沿って取ったものである。雌部分116は、ホルダ合わせ側壁140と鋭角のホルダの蟻の角αをなす一方、雄部分134は、工具ヘッド合わせ側壁138と鋭角の工具ヘッドの蟻の角βをなす。本発明の好ましい実施形態では、ホルダの蟻の角αは工具ヘッドの蟻の角βと同じであり、工具ヘッド合わせ面132とホルダ合わせ面114との間に緊密な蟻継ぎ接続をもたらす。
【0024】
[0021]雄部分134は、工具ヘッド当接面135に実質的に平行であり、およびそこから第1の距離H1だけ離間している。雌部分116は、ホルダ当接面144に実質的に平行であり、およびそこから第2の距離H2だけ離間している。本発明の好ましい実施形態では、雄部分134が雌部分116内に収容されるときに工具ヘッド当接面135がホルダ当接面144に当接するようにするため、第2の距離H2は第1の距離H1以上である。
【0025】
[0022]さらに図3〜5を参照して説明すると、開示の技術の一部の実施形態によれば、単一ホルダ側壁118は、その前端部に、半径R1を有しかつ円端部の角度γに対する収束円形部分142を含み得る。収束円形部分142は、斜め雌部分116を製造する結果のものとしてもよく、および開示の発明に必ずしも必要ではない。
【0026】
[0023]工具ヘッド締結部材106は、実質的に円形のヘッド部分154と、ヘッド部分154からねじの軸Sに沿って延在する狭小で細長いねじ切り部分156とを有する締付ねじである。ヘッド部分154は、細長い締結部分156の方に面するヘッドクランピング面148と、ヘッド部分154の周囲に延在する締結支持面150とを有する。
【0027】
[0024]切削工具組立体100は、分解した位置(図2)から組み立てられた位置(図1)へ動かすことができる。切削工具組立体100を組み立てるために、工具ヘッド104は工具ホルダ102に配置されて、工具ヘッド合わせ面132がホルダ合わせ面114に配置されるようにする。次いで、雄部分134を雌部分116に嵌める。この位置では、工具ヘッドクランピング凹部124はホルダクランピング部分112と位置合わせされており、およびクランピング面126はホルダ支持面146に面する。
【0028】
[0025]次いで、工具ヘッド締結部材106をホルダクランピング部分112に嵌めて、ねじの軸Sがクランピング軸Mと一致するようにし、およびねじ切り部分156は、ねじ孔115にねじ式に係合する。ヘッドクランピング面148が工具ヘッド104のクランピング面126を押圧し、かつそこに垂直にクランピング力F1を加えるまで、ねじの軸Sの周りでねじ方向Rに回転させることによって(図6および図7)、工具ヘッド締結部材106はホルダクランピング部分112にねじ込まれる。ヘッド部分154の円形形状は、ホルダ支持面146によって形成された円弧158に合致する(図5および図6に示すように)。それゆえ、締結支持面150は、工具ホルダ102のホルダ支持面146に沿って摩擦を伴って摺動する。それゆえ、締結支持面150に直接的に圧力または力が加えられないため、工具ヘッド締結部材106は、曲げ力を生じず、かつ破損からの回復力が高い一方で、切削工具組立体100を組み立てられた位置に保持する。
【0029】
[0026]図8の断面図は、ホルダ軸Hおよびクランピング軸Mの双方を含む平面に垂直に取ったものである。この図では、クランピング面126は、工具ヘッド合わせ面134に対して鋭角なクランピング角φだけ角度が付けられている。それゆえ、ねじヘッドクランピング面148によってクランピング面126に垂直に加えられたクランピング力F1は下方分力を含み、工具ヘッド104が下方向Dに締められるように促す。
【0030】
[0027]組み立てられた位置では、工具ヘッド合わせ側壁138は、ホルダ合わせ側壁140に蟻継ぎ式にしっかりと当接するため、工具ヘッド合わせ面132は、ホルダ合わせ面114との蟻継ぎ接続を形成する。さらに、工具ヘッド当接面135はホルダ当接面144にしっかりと当接する。蟻継ぎ接続、および工具ヘッド締結部材106による工具ヘッド104の外部クランピングは、工具ホルダ102に工具ヘッド104を保持する唯一の手段である。合わせ側壁138、140の角度の付けられた蟻継ぎ構造は、例えば、単なる上向きまたは前向きの力によって、工具ヘッド104が工具ホルダ102から引き出されないようにする。それゆえ、工具ヘッド104は、工具ホルダ102にしっかりと保持され、動いたり、揺れたり、または工具ホルダ102から引き出されたりすることなく、様々な操作力(例えば、縦力、半径方向力または横力)に耐える。
【0031】
[0028]さらに、組み立てられた位置では、切削工具組立体100は、工具ヘッド104のインサートポケット130に切削インサート162を提供されてから、金属切削作業に用いられ得る。切削インサート162は、工具ヘッド104を工具ホルダ102に組み立てる前に、インサートポケット130内に保持され得る。なぜなら、工具ホルダ102への工具ヘッド104の装着は、インサートポケット130との接触を含まないためである。本明細書で説明したように、切削工具組立体100の組み立ては、工具ヘッド104の後面122および下端部131との接触のみを含む。あるいは、切削インサート162は、工具ホルダ102に工具ヘッド104を組み立てた後に、インサートポケット130内に保持され得る。なぜなら、そのクランピング配置は、工具ヘッド104の後面122または下端部131との接触を含まないためである。
【0032】
[0029]工具ヘッド104は、切削インサート162を保持するために、任意のタイプのクランピング配置を含み得ることに留意されたい。例えば、工具ヘッド104は、クランピングピンを収容するために、インサートポケット130から全体的に下方に延在するインサートクランピング凹部160を含み、切削インサート162にクランピングピンを接触させ、かつクランピングピンをインサートポケット130に取り付け得る。工具ヘッド104は、さらに、クランピングピンを係合しかつそれを押圧する前方凹部ねじ164を含み得る。
【0033】
[0030]取り外し可能な工具ヘッド104は、工具ヘッドの長さLおよび工具ヘッドの幅Wを有する(図2に示す)実質的に矩形のチェスト形状を有する。工具ヘッドの幅Wは、工具ヘッド前面120を横切って延在する。当然のことながら、切削工具組立体100では、取り外し可能な工具ヘッド104は、工具ヘッド104の本体を通過するクランピング部材を用いずに、外部クランピング(すなわち、その外面を押圧すること)によってのみで工具ホルダ102に結合される。それゆえ、工具ヘッド104に貫通孔(すなわち、工具ヘッド104の本体によって全体的に囲まれた孔)を作製して、工具ヘッドを工具ホルダ102に結合できるようにする必要はない。
【0034】
[0031]この外部クランピング構造は、特に、上記で説明したように工具ヘッド104に貫通孔を作製するのに利用可能な空間は限定するが、外部クランピング凹部124を形成するには十分な空間がある工具ヘッドの長さおよび幅L、Wの寸法の小さい工具ヘッド104用の切削工具組立体100に利点をもたらす。別の例の場合には、工具ヘッド104のインサートポケット130が、切削インサートをクランピングするためのクランピングピンまたは締付ねじを収容するためのインサートクランピング凹部160を含む場合、これにより、工具ヘッド104に別の貫通孔を作製するために利用可能な空間を限定し得る。それゆえ、貫通孔におけるクランピングよりも、工具ヘッド104を工具ホルダ102に外部からクランピングすることが好都合である。
【0035】
[0032]ここで、図11〜14を参照する。図11は、取り外し可能な工具ヘッド204、工具ホルダ202、および工具ヘッド締結部材106を含む、開示の技術の別の実施形態による切削工具組立体200を示す。図12は、工具ヘッド204の斜視図を示し、および図13および図14は、それぞれ、工具ヘッドおよびホルダ合わせ面132、114の平面図を示す。単一の工具ヘッドおよびホルダ側壁136、118の各々は、それぞれの合わせ面132、114の平面図において全体的にV字形状を形成する。単一の工具ヘッドおよびホルダ側壁136、118のV字形状は、工具ヘッドおよびホルダクランピング凹部124、112の方にそれぞれ開口する(すなわち、広がる)。
【0036】
[0033]ここで、図15〜18を参照すると、開示の発明のさらに別の実施形態による切削工具組立体300が示されている。切削工具組立体300は、工具ホルダ302、取り外し可能な工具ヘッド304および工具ヘッド締結部材106を含む。ホルダ302はホルダ合わせ面314を含み、このホルダ合わせ面は、そこから突出した雄部分306を有し、および工具ヘッド304は、斜め雌部分308を有する工具ヘッド合わせ面316を含む。
【0037】
[0034]切削工具組立体300を、分解した位置から組み立てられた位置へ動かすことは、切削工具組立体100に関して上述した通りである。組み立てられた位置では、ホルダの雄部分306は、蟻継ぎ接続で工具ヘッドの雌部分308に収容される。
【0038】
[0035]ホルダ合わせ面314は、複数のホルダ合わせ側壁310を含み、これらが、部分的に雄部分306を制限する。工具ヘッド合わせ面316は、複数の工具ヘッド合わせ側壁312を含み、これらが、部分的に雌部分308を制限し、かつ組み立てられた位置にあるときに、蟻継ぎ接続でホルダ合わせ側壁310に当接するように形成される。ホルダおよび工具ヘッド合わせ側壁310、312は、前方向に広がり、工具ヘッド締結部材106によって工具ヘッドクランピング凹部124に加えられる力を受けて、合わせ面314と316との間が前方で嵌合するようにする(切削工具組立体100、200のようにクランピング凹部112、124の方へ広がるのとは反対に)。
【0039】
[0036]1つ以上の具体的な実施形態を参照して本発明を説明したが、記述は概して説明のためにすぎず、本発明を図示の実施形態に限定すると解釈されるものではない。当然のことながら、当業者には様々な修正が想起され、それらは、本明細書で具体的に示さないが、本発明の範囲内にある。
図1
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