【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電性材料の前記第1の層(2)と前記活性層(3)との間、および/または、前記活性層(3)と導電性材料の前記第2の層(4)との間に、インタフェース層が堆積される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
導電性材料の前記第1の層(2)と前記活性層(3)との間、または前記活性層上に、局所的な方法により誘電体層が堆積される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【背景技術】
【0004】
先行技術における既知の装置では、2つの導電性電極を互いに電気的に隔離する活性層とも呼ばれる薄い有機層を通じて、漏れ電流が出現することを観測することができる。
【0005】
これらの漏れ電流は、第1に、活性層の本質的な特性に依存、特にその導電性、電荷トラップの存在、および、電極の仕事関数に関連するHOMO−LUMO(最高被占分子軌道−最低空分子軌道)エネルギー準位の位置またはその形態に依存し、第2に、迷走漏れ電流のような非本質的なパラメータに依存する。
【0006】
そのような迷走電流はコントロールできない。それらは、本質的には位相幾何学的な欠陥、すなわちホールまたは形態学的な欠陥、つまり大量のボイドのゾーンからもたらされる。それらは活性層を構成する間に生成される。
【0007】
したがって、活性層内のホールの存在は、2つの導電性電極の局所的な短絡を導く場合がある。さらに、形態が異なるゾーンは、電気的な絶縁破壊に影響される可能性がある。
【0008】
活性層内のこれらの欠陥は、層の形成時に使用された物質に起因している可能性があり、物質は、溶液中に十分に溶解されない材料の部分である、ある程度のスラッジを含み得る溶液状である。さらにそれらは、例えばスパイクまたは位相幾何学の表面欠陥か、あるいは異なる表面張力を示すゾーンのような、基板の中にある欠陥に起因する可能性がある。
【0009】
そのような迷走漏れ電流は、有機光検出器または電流整流器ダイオードにおいて生じる場合、とても不利となる。
【0010】
そのような状況下では、暗闇にあるダイオードの逆方向の電流は、非常に低いに違いない(1平方センチメートルあたり数ナノアンペアのオーダ(nA/cm
2))。したがって、活性層内の欠陥を通じたほんの僅かな電流の漏れは、逆方向の電流を数桁増加させる可能性があり、ダイオードの性能を、劇的かつ不可逆的に低下させる可能性がある。
【0011】
そのような迷走漏れ電流はまた、有機太陽電池についても、幾分ではあるが不利となる。
【0012】
そのような装置では、ダイオードの漏れ電流が小さくなるほど、太陽電池は、低い照度に対して、より良好に感応することができる。
【0013】
それゆえに、スタックの活性層内の迷走漏れ電流を最小化するための解決方法についての提案がこれまでになされている。
【0014】
特に、活性層の厚さを増加させることと、活性層を形成するために、それらを堆積させる前に溶液をフィルタリングすることと、欠陥をほとんど示さない基板を使用することと、が提案されている。
【0015】
しかしながら、提案された解決方法は欠点を示している。
【0016】
例えば、活性層の厚さのあまりにも大きな増加は、装置の性能を低下させる傾向がある。そのため、活性層の厚さは、概して200nm〜300nmの範囲にある。さらに、フィルタリングは、良好な可溶性を示す溶液を要求し、それは、活性層に現在利用可能な物質のすべてにとって適正ではない。さらに、フィルタリングステップは工業規模で行なうのが難しい。そして、欠陥をほとんど示さない基板とは平坦化層を有する基板であり、それは高価である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
複数の図面において示される要素には、それら図面の各々において同じ参照符号が与えられる。
【0032】
図1は、任意の種類の基板1を示す。例えば、基板は、ガラス製のリジッド基板であるか、あるいは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)タイプの物質で製造された、可撓性を有するプラスチック材料製の基板であることができる。
【0033】
導電性材料層2が基板1上に堆積される。この層2が第1の導電層を形成する。
【0034】
第1の電極は、好ましくは、紫外線(UV)、可視、および近赤外線(IR)の範囲の波長において半透明である。
【0035】
層2の厚さは、1nm〜数μmの範囲にわたる。
【0036】
層2を構成する材料は、以下に述べる4つのタイプのうちの1つとすることができる。
【0037】
第1に、透明な導電性酸化物(タイプ1)とすることができる。
【0038】
酸化物は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、アルミニウムをドープしたZnO(AZO)、ガリウムをドープしたZnO(GZO)、インジウムをドープしたZnO(IZO)、またはインジウムおよびガリウムをドープしたZnO(IGZO)を、単層の形式で堆積することができる。
【0039】
さらに酸化物は、異なる物質を2層または3層の形式で堆積することもでき、例えば、ITO/Ag/ITO、AZO/Ag/AZO、AZO/Au/AZO、AZO/Ag/ZnO、または実際にZnO/Ag/ZnOである。
【0040】
層2の物質は、金属と同等(タイプ2)とすることができ、例えばAg、Au、Pd、Pt、Cu、Cr、Ti、Al、TiWまたはNiである。
【0041】
金属層はソリッドな層であるか、あるいはナノ粒子(Ag、Au...)に基づく層であることができる。いずれにしても、層は連続的である。
【0042】
金属層は小さな厚さを示し、特に、第1の電極が透明である場合、金属層は10nm未満の厚さを示す。そうでなければ、金属層の厚さはより厚くなり得る。
【0043】
導電層は、マットまたはアレイの形態をしたパーコレート金属ナノワイヤ(タイプ3)で作製することができる。したがって、電気的な連続性がアレイのナノワイヤ間に存在する。そのような状況下では、層は連続的ではない。導電層は基板の全表面を覆うことができ、あるいは空間に局所的に位置することができる。
【0044】
ナノワイヤは、特に、銀または金で作製することができる。
【0045】
そして、層2は炭素を含む物質(タイプ4)で作製することができる。
【0046】
特に層は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)タイプ、またはポリアニリン(PANI)の導電性ポリマー、パーコレート導電性カーボンナノチューブのアレイ、または実際にグラフェンを含むことができる。
【0047】
すべてのタイプのコンダクタにとって、層2は、連続的かまたは空間に局所的に位置する層であることができる。いずれにしても、層は、(連続的な層またはナノワイヤのマットの形態で)構造化されなくてもよく、あるいは、層は、例えばグリッドの形態で構造化されてもよい。
【0048】
実際に層2は、もっぱら上記した4つのタイプのうちの1つに属する材料によって構成することができる。層は、それら複数の物質に基づいた混合物の形態か、あるいは実際に、単一のまたは混合物の形態の、それら様々な物質の層のスタックと同等であることができる。混合物の一例は、カーボンナノチューブにPEDOT/PSSをドープして作製したタイプ4の層、または実際に、タイプ1、2または3の物質と混合されたタイプ4の材料であることができる。
【0049】
層2は、例えばスパッタリングまたは蒸発等の、従来の真空技術を使用して堆積することができる。さらに層は、例えばシルクスクリーンタイプの印刷技術等の液体の技術を使用して、原子の形態または粒子の分散の形態で堆積してもよい。粒子は、ナノメータサイズまたはマイクロスコピックなサイズであることができ、あるいは実際に、ナノフィラメントタイプであることができる。そして、さらに層2はゾル−ゲル形式で堆積することができる。
【0050】
任意に、インタフェース層を層2の表面に堆積してもよい。この層は
図1に示されない。
【0051】
このインタフェース層は、例えば、PEDOT/PSS、グラフェン、ポリフルオレン誘導体、テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン(TDAE)、ポリ(エチレンオキシド)、エトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)、ブランチ化ポリエチレンイミン(PEI)、WO
3、MoO
3、LiF、NiO、V
2O
5、TiOx、ZnOまたはCsCO
3で作製することができ、あるいは実際に、導電性電極の表面で自己組織化した単分子層(SAM)を使用することにより作製することができる。
【0052】
インタフェース層は、活性層3に対する、第1導電性電極2の仕事関数を調節する役目をする。例えば、ITOが4.6電子ボルト(eV)の仕事関数を有する場合、その表面上へのZnOの純粋な層の使用は、基板に垂直な導電性電極の導電性を過度に修正することなく、表面の仕事関数(電極および活性層インタフェースの)を4.3eVに調節する役目をする。
【0053】
活性層3は、層2上に堆積するか、あるいは任意で、層2上に堆積したインタフェース層上に堆積する。
【0054】
例えば、層3の厚さは、1nm〜数マイクロメートルの範囲にあることができる。
【0055】
有機光検出器および有機太陽電池では、活性層は、半導体の性質を示す少なくとも1つの材料によって構成される。
【0056】
活性層は、電子ドナー物質および電子アクセプタ物質の混合物によって有利に構成される。ドナー半導体物質は、交互の単結合および二重結合により、分子、オリゴマー、またはΠ(パイ)共役有機ポリマーであることができる。慣例的に使用される混合物は、レジオレギュラー型のポリ(3−ヘキシルチオフェン)(RR P3HT)および[6、6]−フェニルC61酪酸メチルエステル([60]PCBM)によって構成されるカップルである。有利には、他の大きなギャップドナーポリマー(PFB、TFB、PTAA、PCDTBT、など...)、または小さなギャップドナーポリマー(PDPP3T、PCPDTBT、Si−PCPDTBT、PDDTT、など...)を使用することができる。同様に、アクセプタ材料については、C60、C70またはC80(PCBM、インデンC60、インデンC60ビス付加体)の誘導体、カーボンナノチューブ、アセンジイミド・タイプまたはポリマー・タイプ(F8BT、N2200)の分子を含むタイプの他の物質を有利に使用することができる。後述する例4および例5を参照すると、さらにアクセプタ材料は、例えばTiO
2またはZnOのナノ粒子のような無機物の種類であることができる。
【0057】
したがって、活性層は、一層の形態または複数の層のスタックの形態をしている、電子ドナー物質と電子アクセプタ物質とのヘテロ接合であることができる。さらに、活性層は、ボリューム・ヘテロ接合の形態をしている、2つの物質のナノメータスケールでの混合物、すなわち、ナノメータスケールでの2つの物質の均質混合物(melange intime)であることができる。
【0058】
活性層を構成する物質は、溶液の形態で堆積する。これらの溶液は、スラッジの存在を制限するようにフィルタリングされてもよい。これはまた、活性層内の欠陥の生成を制限する役目をする。
【0059】
上述のように、活性層3には不連続なゾーンすなわち欠陥が存在し、それは
図1において参照符号30にて示されている。
【0060】
これらの欠陥は、マイクロメートルサイズのホール、または大量のボイドを示すゾーンであることができる。欠陥は、細孔、またはポリマー鎖に占有されない実際の容積を含むことができる。欠陥は、1nm〜数ミリメートルの範囲にある寸法を有することができる。
【0061】
図2は、欠陥30を通じて導電層を局所的に除去する方法の別のステップを示す。
【0062】
この局所的な除去は、エッチング技術、好ましくはウェット技術により、すなわちエッチング液との接触状態におかれることによりなされる。いくつかの状況では、この除去は溶媒を使用してなされてもよい。以下の説明では、概して用語「エッチング液」を使用する。
【0063】
もちろん、エッチング液は、活性層の電気的、光学的および機械的な特性を低下させないように選択するべきである。活性層の導電性の増加または減少の結果、あるいは、活性層に本質的または非本質的かもしれない、実際の電荷トラップの生成の結果、活性層の電気的な特性は低下するかもしれない。例えば、活性層の光学的性質の低下が、所望の波長における光の吸収特性の低下を生じさせるかもしれない。そして、機械的な特性の低下は、特に活性層に対して、アンスタック、クラッキング、または可撓性の損失を生じさせるかもしれない。
【0064】
したがって、一般的な方法では、使用するエッチング液は選択的であるべきであり、つまり、エッチング液は、活性層3をエッチングまたは浸食することなく、導電層2をエッチングすることができなければならない。
【0065】
一般に、エッチング液は、酸、塩基または中性溶液を含む。エッチング液は純粋であることができ、あるいは、エッチング液は、水で希釈、または活性層に垂直な溶媒、すなわち活性層を浸食または溶解することができない溶媒で希釈することができる。垂直な溶媒は、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3−メトキシプロピオニトリル、2−エトキシエタノール、1.2−ジクロロエタン、1−ブタノール、n−酢酸ブチル、または実際にイソプロパノール、のうちの1つであることができる。
【0066】
好ましい方法では、エッチング液は水で希釈、好ましくは、イオンによる潜在的な汚染、特に金属イオン(Na+など...)を回避するために、脱イオン化水で希釈される。
【0067】
当業者には、導電性電極およびエッチング速度の性質の関数として、強酸(HNO
3、HCl、H
2SO
4、Kl、シュウ酸、または実際にH
3PO
4タイプ)または弱酸(シュウ酸、CH
3CO
2H、またはNH
4+タイプ)の性質および濃度を選択する方法、あるいは実際に、強塩基(NaOHまたはKOHタイプの)または弱塩基(NH
3またはCH
3CO
2−タイプ)の性質および濃度を選択する方法は既知である。この点については、文献"Thin film processes" (John L. Vossen および Werner Kern著, Academic Press出版, ニューヨーク, 1978年)を特に参照することができる。
【0068】
一般に、エッチング速度は、1Å/s〜1000Å/sの範囲にある。
【0069】
エッチング液は活性層3に塗布され、活性層内の不連続なゾーン30に浸透する。エッチング液は、活性層の全表面にまたは局所的に塗布されてもよい。複数の異なる装置が共通のダイを共有する場合、エッチング液に敏感な装置の一部を用いて、局所的な堆積を利用してもよい。
【0070】
エッチング液は、その後ゾーン30を通じて導電層2に達し、それにより、
図2において参照符号20にて示されているゾーンにおいて、層2を局所的に除去することを可能にする。
【0071】
したがって、これらゾーン20には材料が存在しない。
【0072】
ゾーン2のエッチングを増強するために、エッチング液は、ゾーン30を通じて急速に浸透することが望ましい。
【0073】
エッチング液の浸透速度は、熱反応媒体、すなわち25℃〜200℃の範囲の温度にある媒体を使用することにより、増加することができる。その温度は、好ましくは30℃〜60℃の範囲にある。
【0074】
同様に、ウェッティングを支援するために、表面活性タイプのウェットエレメントを使用することができる。これらのエレメントは、その後エッチング液に加えられるべきである。
【0075】
エッチング液の浸透速度はまた、活性層3の表面張力を増加させるための処置によって増加されてもよい。これらの処置は、特に、プラズマタイプの酸素添加処置(O
2、SF
6、N
2、混合物)、UV−O
3、UVフリー、大気圧プラズマ、または実際に液体の技術(溶媒中への、または有極性分子に基づく溶液中へのディッピングに関するタイプの)に基づいた処置であることができる。
【0076】
エッチングの期間は、温度、圧力、およびスタックを構成する物質に依存し、さらにエッチング液に依存する。
【0077】
活性層の有機半導体は、正イオンまたは負イオンの存在によりドープすることができる。このドーピングは可逆的である。イオンは、本発明で使用したエッチング液内に存在するものと同一の種類とすることができる。しかしながら、本発明の方法では、活性層の意図しないドーピングの兆候は観察されていない。
【0078】
一般に、エッチングの期間は、活性層3内の欠陥30を通じてエッチングされた層2内のゾーン20のエリアが欠陥のエリア以上であるように選択されている。関連する表面は、層2および層3の平面にある。
【0079】
このことは、欠陥30の位置の層3を示す平面図である
図4に示される。欠陥は、マイクロメートルサイズのホールであり、入口がディスクによって図式的に表されている。このディスクは直径d
1を有する。
【0080】
図4はさらに、一点鎖線のアウトラインで層2のゾーン20を示す。それはエッチングされており、それにより任意の材料、特に任意の導電性材料が存在しない。このゾーン20は、d
1より大きい直径d
2のディスクの形態で図式的に示される。
【0081】
したがって、ホールについて、d
2はd
1以上であり、好ましくは1.5×d
1以上である。
【0082】
もちろん、不連続なゾーン30はディスク以外の形状を示してもよい。
特に、細長いクラックの形態であってもよい。
【0083】
すべての状況下において、ゾーン20は、欠陥の寸法を少なくとも示し、好ましくは、少なくとも1.5倍大きい寸法を示す。
【0084】
層2が、異なる物質の複数の層のスタックの形態をしている場合、層2の全体を完全にエッチング除去することを可能とするために、異なるエッチング液を連続して使用してもよいことがさらに言及されるべきである。
【0085】
このことは、インタフェース層が層2と層3との間に堆積している場合も当てはまる。
【0086】
或る実施形態では、活性層3は、層2の上に連続的に堆積しないが、局所的なパターンの形態で堆積する。このことは、性能を改善し、活性材料の消費の低減を可能にする。そのような局所的な堆積は、印刷技術、または実際に、サブトラクティブ・リソグラフィ法によって得ることができる。
【0087】
層2は、層3内の欠陥を通じて常に浸食される。
【0088】
別の異なる実施形態では、誘電体層は、層2と活性層3の間に、または活性層3上に局所的に堆積する。この誘電体層は、エッチング液に露出しないことが望まれる層2のゾーンを保護する役目をする。
【0089】
この誘電体層は、印刷技術またはフォトリソグラフィによって得られる局所的な層の形態をしている。
【0090】
この誘電体層が層2と層3との間に存在する場合、誘電体層は、例えばS1818またはSU8のレジストレジンのような、フォトリソグラフィ技術のレジンによって構成することができる。
【0091】
さらに、誘電体層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン、または実際にキュア可能なポリマーで作製してもよい。
【0092】
活性層上に堆積する場合、誘電体層は、活性層に垂直な溶媒の中で堆積(deposee dans un solvant)することが可能でなければならず、また、誘電体層は、活性層に適用されることになっているエッチング液に溶解してはならない。
【0093】
誘電体層は、特にフッ素化ポリマータイプの物質、特に、サプライヤーOrthogonal inc.から供給される、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、Cytop、Halfon、テフロン、またはortho360レジンによって構成することができる。
【0094】
次の物質、ポリビニルフェノール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、またはフッ素化ポリマーを、層2と層3との間に、および層3上に使用することができる。
【0095】
この層は、層2がエッチング液によって浸食されるゾーンを定義する役目をする。エッチング液を局所的に塗布する場合、或るゾーンに望ましくない汚染が存在する可能性があることが言及されるべきである。これらのゾーンが誘電体によって保護されれば、この汚染は存在しない。
【0096】
一旦エッチングが終了すれば、
図2に示されるスタックは、エッチング反応を停止させるように、活性層3内のエッチング液のあらゆる残余トレースを除去するように、リンスされる。
【0097】
このリンスステップは、少なくとも、脱イオン化水のバス、垂直な溶媒のバス、または実際に水と垂直な溶媒との混合物のバスへのディッピングにより行なわれるべきである。或る実施形態では、リンス溶液は、リンスステップの間に溶液のpHをバッファするために、わずかに酸性(先の化学的な浸食が塩基性の場合、逆もまた同様)とすることができる。
【0098】
もちろん、スタックもまた、適切な液体をスプレーすることにより、或る実施形態ではバスにディッピングすることにより、リンスすることができる。
【0099】
層2を構成する材料または複数の材料が、タイプ1、2、または3の材料である場合、ゾーン20からのそのような材料の除去は、導電性材料の変形および分解を引き起こしてそれを溶解させる化学反応メカニズムによって行われる。
【0100】
層2を構成する材料がタイプ4である場合、層2および層3を構成する物質が共に炭素を含むタイプであれば、ゾーン20は、活性層3と比べて導電層2を選択的に溶解するメカニズムによって形成される。そのような状況下では、適切に使用されるのはエッチング液ではなく溶媒である。溶媒は、層3を溶解することなく層2を溶解する。
【0101】
図3は、導電性材料の層4を堆積して第2の導電性電極を形成する本発明の方法の最後のステップを示す。
【0102】
この層4は、層2について上述した4つのタイプのうちのいずれの物質によっても形成することができる。
【0103】
層4は、これらの物質のうちの1つによる単層の形態、これらの物質のうちの複数をベースとする混合物の形態、または実際に、これらの様々な物質を単独または共に混合した複数の層のスタックの形態であってもよい。
【0104】
層4は、層2の堆積について使用したものと同じ技術を使用して堆積することができる。
【0105】
欠陥30の存在にもかかわらず、層2を構成する材料のゾーン20からの局所的な除去のために、電極2および4が接触することは可能ではない。
【0106】
このことは、電気的な短絡の除去により、活性層3内の漏れ電流の発生を相当な程度に減少させることを可能にする。
【0107】
したがって、このことは、活性層の厚さを増加させず、かつ工業規模で行なうのが難しいフィルタ技術を使用することと同時に、先行技術において既知のスタックの欠点を緩和することを可能にする。
【0108】
或る実施形態では、フィルタリングステップが維持されれば、それは、例えば0.2μmまたは0.45μmに代えて、1μmまたは5μmのより大きな細孔を有するフィルタの使用により促進されてもよい。そのようなフィルタは、より多くのスラッジが通り過ぎることを可能とし、このことは、迷走電流を引き起こす欠陥を生じさせるかもしれない。しかしながら、本発明では漏れ電流の制限を可能とするので、得られる装置の動作は改善される。
【0109】
液体の技術、すなわち物質が溶媒の形態にある技術を使用して層4を堆積する場合、層4を構成する材料が、欠陥30を通過することにより層2を構成する物質と接触しないことを保証することが適切である。
【0110】
このことは、層3上に堆積する材料に高い粘性を与えることにより得ることができる。そのような状況下では、層4は、堆積した材料が活性層内の欠陥を通じて拡散するべき前に、溶媒の蒸発の結果として凝固する。
【0111】
使用する材料が低粘度であれば、層2を構成する材料に達する前に、エッチングステップの間、凝固して層4を構成する材料にとって十分に大きい寸法で、ゾーン20を形成することが適切である。
【0112】
本発明の方法のいくつかの実施例を以下に述べる。
【0113】
すべての実施例では、方法は、ガラス製のリジッド基板上で、あるいは、例えばPETまたはPENタイプのプラスチック材料製の可撓性を有する基板上で、有機フォトダイオードを形成するように行なわれる。
【0114】
さらに、すべての実施例では、活性層はボリューム・ヘテロ接合タイプである。活性層は、スピンコーティングにより、またはスロットダイ、ドクターブレード、シルクスクリーン、フォトグラビア、インクジェットまたはスプレータイプの他の印刷技術により、層2の全表面に堆積される。
【0115】
この活性層3は、電子ドナー材料および電子アクセプタ材料の混合物である。ドナー材料は、次のタイプのうちの1つの共役ポリマーであることができる:ポリ(3−ヘキシルチオフェン)またはレジオレギュラー型または任意のP3HT、PCDTBT、PCPDTBT、またはSi−PCPDTBT。
【0116】
さらに、アクセプタ材料は、フラーレンタイプ(C60、C70、C80)またはフラーレン誘導体(60PCBM、70PCBM、80PCBM)の分子であるか、あるいは、アセンジイミド・ファミリーの小さな分子、またはサプライヤーPolyeraによって市販されている、F8BTまたはN2200タイプの共役ポリマーであることができる。
【0117】
活性層の厚さは、5nm〜2×10
4nmの範囲にある。
【0118】
活性層は、好ましくは堆積した後にアニールされる。アニーリングは、活性層の形態をフリーズし、かつ活性層内にトラップされたいかなる溶媒も除去する役目をする。さらに、アニーリングは、エッチング液内でのディッピングステップに先立って、層2上の活性層3のボンディングを改善する役目をする。
【0119】
実施例1〜4において、第2の電極はAgインクの層4であることができる。この物質は、インクジェット、シルクスクリーン、フォトグラビア、スロットダイ、またはスプレー技術によって、水溶液中に(depose en solution aqueuse)堆積してもよい。
【0120】
さらに、PEDOT−PSSのインタフェース層を、層3と層4との間で使用することができる。このインタフェース層は、MoO
3、WO
3、V
2O
5、Nafion、ポリフルオレン、またはポリ(エチレンオキシド)タイプであることができる。
【0121】
これらの最初の4つの実施例において、金属導電層は、Ag、Au、またはPtタイプの金属を蒸発させることにより堆積することができる。
【0122】
実施例5において、第2の電極4は、実施例1〜4において提供されるもののような金属層によって構成される。
【0123】
層3と層4との間のインタフェース層は、ZnOで形成されている。
【0124】
以下の表に、実施例1〜5の各々の詳細なデータを要約する。
【0125】
特に、表は、使用するエッチング液または溶媒を記述し、さらに、層2(第1の電極)を構成する材料の性質に依存する、エッチングの期間を記述する。
【0127】
ここで、複数のダイオードについての漏れ電流の値を示す
図5を参照する。ダイオードの識別番号が横軸に沿ってプロットされ、ダイオードが逆バイアスの状態に対応する−1Vのバイアスで測定されたダイオードの暗電流が、縦軸にプロットされる。
【0128】
ダイオードは、
・AZOで作製した125nmの厚さの第1の電極2と、
・ZnOで作製した40nmの厚さのインタフェース層と、
・P3HTおよび60PCBMの混合物で作製した、300nmの厚さを示す活性層3と、
・厚さ8μmのAgの層で覆われている、PEDOT/PSSで作製した200nmの厚さの第2の電極4と、
を含む実施例1のタイプのスタックを使用して得られた。
【0129】
「標準ダイオード」と呼ぶ所定のダイオード(■)は、どんな特別の処置にもさらされなかった。
【0130】
他のダイオード(●)は本発明の方法に従って作製され、活性層を堆積させた後の、第2の電極を堆積させる前に、化学エッチングステップを行った。
【0131】
このステップは、実施例1の変形例1に従って行われ、登録商標TE100を有するエッチング液を使用して30秒間行われた。
【0132】
3つの層(第1の電極、インタフェース層、および活性層)のスタックは、脱イオン化水でリンスされ、次に、100℃で2分間乾燥した。
【0133】
図5は、わずかな標準ダイオード(■)が、10
−8Å以上の大きさのランダムな漏れ電流を生じるダイオードに相当することを示す。他の標準ダイオードは、低い漏れ電流を示す。
【0134】
対照的に、本発明のダイオード(●)はすべて、10
−8Å未満の漏れ電流のものに相当する。
【0135】
したがって、本発明の方法が、ダイオード内の迷走漏れ電流を減少させ、それにより、標準ダイオードにおいて存在している、漏れ電流の発生リスクを除去することを可能にすることが理解されるであろう。
【0136】
実施例3および4において、ZnOで作製したインタフェース層の存在が、第2のエッチングステップの実行を要求することが、さらに言及されるべきである。第2のエッチングステップは、サプライヤーTranseneによって市販されている、実施例1および2の変形例1と同じエッチング液(登録商標TE100を有する)を使用し、40℃〜50℃の温度範囲で10秒間行われる。
【0137】
対照的に、実施例1および2では、方法のステップc)とインタフェース層のエッチングとで、同じエッチング液を使用する。
【0138】
実施例1および2の変形例では、エッチング液に代えて、Isishape HiperEtch 9Sタイプ(サプライヤーMerckによって市販されている)またはITO126−1タイプ(サプライヤーTranseneによって市販されている)のシルクスクリーン可能なペーストを使用することができる。
【0139】
ペーストは、所定の装置にダメージを与えないように、シルクスクリーン印刷によって局所的に堆積する。その後、導電層2をエッチングするために、100℃の温度で加熱する。
【0140】
エッチングステップの期間は、層2の厚さの関数である。
【0141】
請求項に記載の技術的な特徴の後に示す参照符号は、請求項の理解を促進することのみを目的とし、請求項に記載した技術的思想の範囲を制限するものではない。