特許第6352910号(P6352910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6352910レーザ熱分解によって多層サブミクロン粒子を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6352910
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】レーザ熱分解によって多層サブミクロン粒子を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/48 20060101AFI20180625BHJP
   B01J 19/12 20060101ALI20180625BHJP
   C01B 33/029 20060101ALI20180625BHJP
   C23C 16/24 20060101ALI20180625BHJP
   C23C 16/26 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   C23C16/48
   B01J19/12 H
   C01B33/029
   C23C16/24
   C23C16/26
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-520925(P2015-520925)
(86)(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公表番号】特表2015-527489(P2015-527489A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013064232
(87)【国際公開番号】WO2014009265
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】1256710
(32)【優先日】2012年7月12日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515009664
【氏名又は名称】ナノメーカーズ
【氏名又は名称原語表記】NANOMAKERS
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】テネギャル フランソワ
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−254899(JP,A)
【文献】 特開2007−246329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0026421(US,A1)
【文献】 特表2009−518174(JP,A)
【文献】 実開昭61−067836(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00 − 16/56
B01J 19/12
C01B 33/00 − 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の化学元素としてのケイ素を含んでおりそして流れの方向(11)に沿って進む少なくとも1つの反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を、反応チャンバ(8)へと導入するステップと、
各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)に反応流ごとに1つの相互作用ゾーン(14)において交わる放射線ビーム(3)を、前記反応チャンバ(8)を通って投射し、各々の反応流において前記第1の化学元素を含む粒子コア(15)を形成するステップと、
各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)と相互作用する第2の化学元素を前記反応チャンバ(8)へと導入し、前記粒子コア(15)を前記第2の化学元素を含む層(16)で覆うステップと
を含んでおり、
各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)は、前記第1の化学元素を酸化する物質を欠いており、そして前記粒子コア(15)は、前記第1の化学元素を非酸化の形態で含んでおり、前記第2の化学元素は、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲むガス流(2;7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入される、粒子(10)を製造する方法であって、
前記第2の化学元素が、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲む閉じた曲線に沿って分布したいくつかの点(17)から放射されてそして各々の反応流の方向に進む各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲む周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入され、該第2の化学元素は、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の後で前記周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入され、及び/または
当該方法が、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲み、そして前記流れの方向(11)に沿って進む閉じ込めガス流(2)を、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前において前記反応チャンバ(8)へと導入するステップをさらに含み、前記第2の化学元素は、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前において前記閉じ込めガス流(2)にて前記反応チャンバ(8)へと導入されること;並びに、前記第2の元素が、炭素であること;
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の化学元素が、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲む前記閉じた曲線に沿って分布したいくつかの点(17)から放射されて各々の反応流の方向に進む各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲む前記周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入され、該第2の化学元素は、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の後で前記周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲み、前記流れの方向(11)に沿って進む前記閉じ込めガス流(2)を、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前において前記反応チャンバ(8)へと導入するステップを含んでおり、前記第2の化学元素は、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前において前記閉じ込めガス流(2)にて前記反応チャンバ(8)へと導入されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの反応流を導入するステップが、前記閉じ込めガス流(2)によって互いに隔てられ、各々が前記第1の化学元素を含んでおり、そして各々が前記流れの方向(11)に沿って進むいくつかの反応流(101、102、103;104、105、106)からなる少なくとも1つの配列を導入するステップを含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記放射線ビーム(3)が、前記流れの方向(11)に垂直な放射の方向(12)に沿って進み、そして各々の反応流の配列(101、102、103;104、105、106)の流れが、前記流れの方向(11)および前記放射の方向(12)に垂直な整列方向(18)に沿って並んでいることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記放射線ビーム(3)が、前記流れの方向(11)に垂直な放射の方向(12)に沿って進み、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)が、前記流れの方向(11)に垂直な平面において、前記流れの方向(11)および前記放射の方向(12)に垂直な伸長方向(13)に沿って縦長に広がる断面を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の化学元素が、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前で、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)にて前記第1の化学元素と一緒に前記反応チャンバ(8)へと導入されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の化学元素が、SiHの形態で前記反応チャンバ(8)へと導入されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子(10)の前記コア(15)が、ケイ素からなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
3〜900nmの間に含まれる直径を有する非酸化のケイ素を第1の化学元素として含んでいるコア(15)と、
前記コアを囲んでおり、炭素からなる第2の化学元素のみからなっており、少なくとも0.5nmの層厚さを有している層(16)と
を各々が含んでいる粒子。
【請求項11】
第1の化学元素としてのケイ素を含む反応物を含んでいる反応物供給源と、
前記反応物供給源に接続された反応チャンバ(8)と、
前記反応物を含む少なくとも1つの反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を、反応流ごとに1つの反応流ゾーン(6)において流れの方向(11)に沿って進むようにそして前記反応物供給源から前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置された反応物インジェクタと、
反応流ごとに1つの相互作用ゾーン(14)において反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)の各々のゾーン(6)に交わるように前記反応チャンバ(8)を通って放射線ビーム(3)を投射するように配置された放射線ビームのエミッタと、
第2の化学元素の供給源と、
前記第2の化学元素の供給源からの前記第2の化学元素を、該第2の化学元素が前記反応チャンバ(8)内で各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)と相互作用できるように、前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置された第2の元素のインジェクタと
を備えており、
前記反応物(1;101、102、103)は、前記第1の化学元素を酸化する物質を欠いており、そして前記第2の化学元素のインジェクタは、前記第2の化学元素を各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲むガス流(2または7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置されている、粒子(10)を製造する装置(9)であって、
前記第2の化学元素のインジェクタが、前記第2の化学元素を、各々の反応流を囲む閉じた曲線に沿って分布したいくつかの点(17)から放射されて各々の反応流の方向に周囲のガス流を向けるように配置される各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲む周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置され、該第2の化学元素のインジェクタは、前記第2の化学元素を、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の後で前記周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置され、及び/または
当該装置が、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲み、前記流れの方向(11)に沿って進む閉じ込めガス流(2)を、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前において前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置された閉じ込めガスのインジェクタをさらに備え、そして前記第2の化学元素のインジェクタは、該閉じ込めガスのインジェクタを含むこと;並びに、
前記第2の元素が、炭素であること;
を特徴とする装置。
【請求項12】
前記第2の化学元素のインジェクタが、前記第2の化学元素を各々の反応流を囲む前記閉じた曲線に沿って分布したいくつかの点(17)から放射されて各々の反応流の方向に周囲のガス流を向けるように配置される各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲む前記周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置され、そして該第2の化学元素のインジェクタは、前記第2の化学元素を各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の後で前記周囲のガス流(7)にて前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)を囲み、前記流れの方向(11)に沿って進む前記閉じ込めガス流(2)を、各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前において前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置された前記閉じ込めガスのインジェクタを備えており、そして前記第2の化学元素のインジェクタが、該閉じ込めガスのインジェクタを含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの反応流のインジェクタが、前記閉じ込めガス流(2)によって互いに隔てられ、各々が前記第1の化学元素を含んでおり、各々が前記流れの方向(11)に沿って進むいくつかの反応流(101、102、103;104、105、106)からなる少なくとも1つの配列を、前記反応チャンバへと導入するように配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記エミッタが、前記放射線ビーム(3)が前記流れの方向(11)に垂直な放射の方向(12)に沿って進むように配置されており、そして前記少なくとも1つの反応流のインジェクタが、各々の反応流の配列(101、102、103;104、105、106)の流れが前記流れの方向(11)および前記放射の方向(12)に垂直な整列方向(18)に沿って並ぶように配置されていることを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記エミッタが、前記放射線ビーム(3)が前記流れの方向(11)に垂直な放射の方向(12)に沿って進むように配置され、そして前記少なくとも1つの反応流のインジェクタが、各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)が前記流れの方向(11)に垂直な平面において前記流れの方向(11)および前記放射の方向(12)に垂直な伸長方向(13)に沿って縦長に広がる断面を有するように配置されていることを特徴とする、請求項1115のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の化学元素のインジェクタが、前記第2の元素を各々の反応流の前記相互作用ゾーン(14)の手前で各々の反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)にて前記第1の化学元素と一緒に前記反応チャンバ(8)へと導入するように配置されていることを特徴とする、請求項1116のいずれか一項に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層粒子(典型的には、コア層が上部層によって覆われている)を典型的にはレーザ熱分解によって製造する方法に関する。さらに、本発明は、関連の装置に関する。
【0002】
そのような方法は、例えば、各々が炭素の層で覆われたケイ素のサブミクロン粒子の製造をユーザにとって可能にする。
【背景技術】
【0003】
米国特許第6,387,531号明細書に記載のように、レーザ熱分解によって炭素の層で覆われた酸化ケイ素の粒子を製造する方法が、公知である。
【0004】
しかしながら、そのような方法は、いくつかの欠点を抱えている。
−これらの粒子は、種類および考えられる用途の数が限られており、新規な用途を可能にする粒子の製造を追求する余地がある。
−各々のケイ素粒子コアにおける炭素層の分布および厚さの一様性について、改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点のうちの少なくとも1つ以上を改善することにある。
【発明の開示】
【0006】
この目的は、粒子を製造する方法であって、
−第1の化学元素(典型的には、ケイ素)を含んでおり、そして流れの方向に沿って進む少なくとも1つの反応流を、反応チャンバへと導入するステップと、
−各々の反応流に反応流ごとに1つの相互作用ゾーンにおいて交わる放射線ビームを、前記反応チャンバを通って投射し、各々の反応流において前記第1の化学元素を含む粒子コアを形成するステップと、
−各々の反応流と相互作用する第2の化学元素(典型的には、炭素)を前記反応チャンバへと導入し、前記粒子コアを前記第2の化学元素を含む層で覆うステップと
を含む方法によって達成される。
【0007】
各々の反応流は、好ましくは前記第1の化学元素を酸化する物質を欠いており、そして前記粒子コアは、好ましくは前記第1の化学元素を非酸化の形態で含んでいる。
【0008】
このように、第1の化学元素を酸化する酸化剤を使用しないことで、第1の元素を非酸化の形態で含むコアを有している粒子を得ることができる。第2の元素の層が、コアを酸化から保護するとともに、
−第1の元素を非酸化の状態に保つことを可能にし、これはコアの第1の元素を非酸化の粒子の新規な用途に向けて非酸化の状態に保ち、あるいは他のより標準的な使用のために第1の元素を純粋な形態で使用できるように第2の元素の層を除去する(例えば、管理された雰囲気のもとで炭素の層で覆われた非酸化のケイ素の粒子を加熱することによって、炭素層を持たないケイ素粒子(酸化または非酸化)をもたらすとともに、COを放出する)など、製造される粒子について考えられる用途の選択肢をより多く残し、かつ
−周囲の酸素によるコア(例えば、非酸化のケイ素)の自然発火の作用を避けることを可能にする。
【0009】
このように、本発明に係るそのような方法は、ユーザが、非酸化のケイ素のサブミクロン粒子であって、各々が各々の粒子のケイ素コアの酸化を防止する保護用の炭素層で覆われているサブミクロン粒子を、製造することを可能にする。
【0010】
導入される第2の元素の原子の数は、導入される第1の元素の原子の数に対して、好ましくは、単位時間あたりに導入される第2の元素の原子1つにつき単位時間あたりに導入される第1の元素の原子が少なくとも2つという比に相当する。より小さい比(例えば、単位時間あたりに反応流へと導入される炭素からなる第1の元素の原子1つにつき、この反応流へと単位時間あたりに導入されるケイ素からなる第2の元素の原子が1つ)においては、反応が異なると考えられる(例えば、炭化ケイ素粒子が得られる)。
【0011】
第2の化学元素を、各々の反応流を囲むガス流にて前記チャンバへと導入することが可能である。
【0012】
この実施形態は、各々の粒子コアにおける第2の元素の層の分布および厚さの均質性を顕著に改善する。実際、第2の化学元素が各々の反応流において第1の化学元素と一緒にチャンバへと導入される場合、各々の粒子コアにおける第2の元素の層の分布および厚さの均質性が、とりわけ各々の反応流において第1の化学元素を酸化する物質が使用されない場合に完全でないことが観察されている。
【0013】
第2の化学元素を、各々の反応流を囲む閉じた曲線に沿って分布したいくつかの点から放射されて各々の反応流の方向に進む各々の反応流を囲む周囲のガス流にて前記チャンバへと導入することができる。第2の化学元素は、好ましくは、各々の反応流の相互作用ゾーンの後で、周囲のガス流にてチャンバへと導入される。
【0014】
本発明に係る方法は、各々の反応流を囲み、流れの方向に沿って進む閉じ込めガス流を、各々の反応流の相互作用ゾーンの手前において反応チャンバへと導入するステップをさらに含むことができる。第2の化学元素を、各々の反応流の相互作用ゾーンの手前において、閉じ込めガス流にてチャンバへと導入することができる。
【0015】
少なくとも1つの反応流を導入するステップは、閉じ込めガス流によって互いに隔てられ、各々が第1の化学元素を含んでおり、各々が流れの方向に沿って進むいくつかの反応流からなる少なくとも1つの配列を導入するステップを含むことができる。
【0016】
放射線ビームは、好ましくは流れの方向に垂直な放射の方向に沿って進むことができ、各々の反応流の配列の流れを、流れの方向および放射の方向に垂直な整列方向に沿って並べることができる。
【0017】
放射線ビームは、好ましくは流れの方向に垂直な放射の方向に沿って進むことができ、各々の反応流は、流れの方向に垂直な平面において、流れの方向および放射の方向に垂直な伸長方向に沿って縦長に広がる断面を有することができる。
【0018】
第2の化学元素を、各々の反応流の相互作用ゾーンの手前において、各々の反応流の第1の化学元素と一緒にチャンバへと導入することができる。
【0019】
第1の化学元素は、好ましくはケイ素である。
【0020】
第1の化学元素は、好ましくはSiHの形態でチャンバへと導入される。
【0021】
粒子コアは、ケイ素からなってよい。
【0022】
第2の元素は、好ましくは炭素である。
【0023】
本発明のまた別の態様によれば、本発明に係る方法によって得られる粒子が提案される。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、
−3〜900nmの間に含まれる直径(好ましくは、1〜90nmの間の標準偏差)を有する第1の非酸化の化学元素(好ましくは、ケイ素)を含んでいる(好ましくは、これだけで構成される)コアと、
−前記コアを囲んでおり、第2の化学元素(好ましくは、炭素)を含んでおり(好ましくは、これだけで構成されており)、少なくとも0.5nm、好ましくは0.5〜10nmの間の層厚さ(必ずしも均質ではない)を有している層と
を各々が含んでいる粒子が提案される。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、粒子を製造する装置であって、
−第1の化学元素を含む反応物を含んでいる反応物供給源と、
−前記反応物供給源に接続された反応チャンバと、
−前記反応物を含む少なくとも1つの反応流を、反応流ごとに1つの反応流ゾーンへと流れの方向に沿って進むように、そして前記反応物供給源から前記チャンバへと導入するように配置された反応物インジェクタと、
−反応流ごとに1つの相互作用ゾーンにおいて各々の反応流ゾーンに交わるように前記反応チャンバを通って放射線ビームを投射するように配置された放射線ビームのエミッタと、
−第2の化学元素の供給源と、
−前記第2の化学元素の供給源からの前記第2の化学元素を、該第2の化学元素が前記チャンバ内で各々の反応流と相互作用できるように、前記反応チャンバへと導入するように配置された第2の元素のインジェクタと
を備える装置が提案される。
【0026】
反応物は、好ましくは前記第1の化学元素を酸化させるように配置された物質を欠いている。
【0027】
前記第2の元素のインジェクタおよび前記第1の元素のインジェクタは、好ましくは、導入される前記第2の元素の原子の数が、導入される前記第1の元素の原子の数に対して、前記第2の元素の原子1つにつき前記第1の元素が少なくとも2つという比となるように総合的に配置される。
【0028】
前記第2の化学元素のインジェクタを、前記第2の化学元素を各々の反応流を囲むガス流にて前記チャンバへと導入するように配置することができる。
【0029】
前記第2の化学元素のインジェクタを、前記第2の化学元素を、各々の反応流を囲む閉じた曲線に沿って分布したいくつかの点から放射されて各々の反応流の方向に周囲のガス流を向けるように配置される各々の反応流を囲む周囲のガス流にて前記チャンバへと導入するように配置することができる。前記第2の化学元素のインジェクタを、前記第2の化学元素を、各々の反応流の前記相互作用ゾーンの後で前記周囲のガス流にて前記チャンバへと導入するように配置することができる。
【0030】
本発明に係る装置は、各々の反応流を囲み、前記流れの方向に沿って進む閉じ込めガス流を、各々の反応流の前記相互作用ゾーンの手前において前記反応チャンバへと導入するように配置された閉じ込めガスのインジェクタをさらに備えることができる。前記第2の化学元素のインジェクタは、前記閉じ込めガスのインジェクタを含むことができる。
【0031】
前記少なくとも1つの反応流のインジェクタを、前記閉じ込めガス流によって互いに隔てられ、各々が前記第1の化学元素を含んでおり、そして各々が前記流れの方向に沿って進むいくつかの反応流からなる少なくとも1つの配列を、前記チャンバへと導入するように配置することができる。
【0032】
前記エミッタを、前記放射線ビームが好ましくは前記流れの方向に垂直な放射の方向に沿って進むように配置でき、前記少なくとも1つの反応流のインジェクタを、各々の反応流の配列の流れが前記流れの方向および前記放射の方向に垂直な整列方向に沿って並ぶように配置することができる。
【0033】
前記エミッタを、前記放射線ビームが好ましくは前記流れの方向に垂直な放射の方向に沿って進むように配置でき、前記少なくとも1つの反応流のインジェクタを、各々の反応流が前記流れの方向に垂直な平面において前記流れの方向および前記放射の方向に垂直な伸長方向に沿って縦長に広がる断面を有するように配置することができる。
【0034】
前記第2の化学元素のインジェクタを、前記第2の元素を、各々の反応流の前記相互作用ゾーンの手前で各々の反応流にて前記第1の化学元素と一緒に前記チャンバへと導入するように配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の他の利点および特徴が、決して本発明を限定するものではない実施例および実施形態についての詳細な説明の検討および以下の添付の図面から、明らかになるであろう。
図1】本発明に係る装置における反応流(どの変形かに応じて、流れ1、100、101、102、103、104、105、または106であってよい)の概略の側面断面図である。
図2】本発明に係る装置の概略の側面断面図(どの変形かに応じて、流れ1、101、102、または103のものであってよい)である。
図3】本発明に係る装置における反応流の配列101、102、103の概略の正面断面図である。
図4】本発明に係る装置の一変形の概略の側面断面図(どの変形かに応じて、流れ1、100または101、104または102、105または103、106のものであってよい)である。
図5】別の任意による反応流100を伴っている反応流1の斜視図である。
図6】別の任意による反応流の配列104、105、106を伴っている第1の反応流の配列101、102、103の斜視図である。
図7】反応流(どの変形かに応じて、流れ1、100、101、102、103、104、105、または106であってよい)および周囲のガス流7を放散するように配置された環状のインジェクタ22の概略の側面断面図である。
図8】反応流(どの変形かに応じて、流れ1、100、101、102、103、104、105、または106であってよい)および環状のインジェクタ22の概略の斜視図である。
図9】本発明に従って製造された粒子の概略の側面断面図である。
図10】本発明に従って製造された別の粒子の概略の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
これらの実施形態は、決して本発明を限定するものではなく、後述される特徴の一部だけを後述される他の特徴から切り離して選択する(たとえその選択がそれらの他の特徴を含む文において切り離される場合でも)ことからなる本発明の変形を考えることも、そのような特徴の選択が何らかの技術的利点をもたらすために充分であり、あるいは本発明を技術水準に対して区別するために充分であるならば可能である。そのような選択は、好ましくは構造的な詳細を伴わずに機能し、もしくは構造的な詳細の一部がそれだけで何らかの技術的利点をもたらすために充分であり、あるいは本発明を技術水準に対して区別するために充分であるならば、そのような一部だけを伴って機能する少なくとも1つの特徴を含む。
【0037】
第一に、本発明に係る装置9の第1の実施形態を、図1〜6を参照して説明する。
【0038】
レーザ熱分解によって粒子10を生成するための装置9のこの第1の実施形態は、反応物供給源4を備える。反応物は、好ましくは、少なくとも1つの反応ガスおよび/またはエアロゾルの形態の少なくとも1つの反応液を含む。反応物は、第1の化学元素を含む。第1の化学元素は、好ましくは金属(好ましくは、鉄、アルミニウム、またはチタニウムから選択される)または半金属(ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、またはポロニウムから選択される)。より正確には、反応物中の第1の化学元素は、好ましくはケイ素であり、好ましくはSiHの形態である。反応物は、好ましくは反応ガス(典型的には、SiHガスまたはSiH+Cガス、あるいはSiH+CまたはSiH+CH)である。
【0039】
装置9は、反応物供給源4へと接続された反応チャンバ8(ステンレス鋼の壁によって画定されている)をさらに備える。
【0040】
反応チャンバ8は、中性ガスの雰囲気(ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素、または混合物)で満たされ、好ましくはアルゴンまたは窒素で満たされる。
【0041】
反応物インジェクタ5が、反応物供給源4から由来する少なくとも1つの反応流1、100、101、102、103、104、105、106をチャンバ8へと導入し、各々の反応流を全ての反応流について同一である流れ方向11に沿って、反応流ごとに1つの反応流ゾーン6へと導入するように配置されている。
【0042】
放射線ビーム3(典型的には、好ましくは方向12に垂直な断面における面積が30mm〜3000mmの間であり、方向13または18に沿った幅が2〜5cmの間であり、波長が9ミクロン〜11ミクロンの間であり、好ましくはSiHについて10.6ミクロンであり、出力が50〜5000ワットの間であって、周波数が10,000〜100,000Hzの間であるレーザビーム)のエミッタ19(典型的には、レーザ源)が、放射線ビーム3が反応流ゾーン6ごとに1つの相互作用ゾーン14において各々の反応流ゾーン6を横切り、各々の反応流の第1の化学元素を含む粒子コア15を形成するよう、放射線ビーム3を、反応チャンバ8を通って投射するように配置されている。
【0043】
したがって、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106、または反応流ゾーン6は、3つの部分に分かれる。
−ビーム3との相互作用のゾーン14。
−相互作用ゾーン14の(流れの方向11に関して)前に位置し、チャンバ8へと導入されたままの反応物を含んでいる部分。
−相互作用ゾーン14の(流れの方向11に関して)後に位置し、相互作用ゾーン14における反応物とビーム3との間の相互作用に由来する火炎26を含んでいる部分。
【0044】
ビーム3は、文献FR2894493およびFR2877591に記載のように、集中する矩形の断面(すなわち、ビーム3が放射の方向12に沿って進むにつれて面積が小さくなる)がもたらされるように光学系によって成形される。
【0045】
ビーム3は、ZnSe窓23を通ってチャンバ8に進入し、別のZnSe窓24を通ってチャンバ8から出て、非反射の熱量計25(「ビームストッパ」)によって止められる。
【0046】
装置9は、第2の化学元素の供給源をさらに備える。第2の化学元素は、好ましくは気体のCまたはCあるいはCHの形態で注入される炭素である。第2の元素のインジェクタが、第2の元素の供給源からの第2の化学元素を、この第2の化学元素がチャンバ8において各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106と相互作用して、粒子コア15を第2の化学元素を含む層16で覆うことができるように、反応チャンバ8へと導入するように配置されている。
【0047】
チャンバ8へと注入される供給源4の反応物は、第1の化学元素を酸化させるように配置された酸化物質を欠いている。「第1の化学元素を酸化させるように配置された物質」(「第1の化学元素の酸化剤」とも称される)とは、反応物(例えば、任意によりCまたはCあるいはCHと混合されるSiHガス)中において、チャンバ8への注入の形態(例えば、SiH)からの第1の化学元素(例えば、Si)を酸化させる傾向の酸化還元電位を有する任意の原子または分子(例えば、NO)を意味する。好ましくは、チャンバ8へと注入される供給源4の反応物が、酸素原子を欠いている。
【0048】
第2の元素のインジェクタ(5、21、および/または22)ならびに第1の元素のインジェクタ5は、単位時間あたり(典型的には、1分あたり)に導入される第1の元素の原子の数および第2の元素の原子の数が、単位時間あたりに(反応流1、100、101、102、103、104、105、106、閉じ込め流2、および任意により存在するのであれば外周流7の合計に)導入される第2の元素(典型的には、炭素)の原子1つにつき、単位時間あたりに(流れ1へと)導入される第1の元素(典型的には、ケイ素)の原子が少なくとも2つ(好ましくは、少なくとも3つ、最適には、少なくとも5つ)という比になるように、装置9内に(インジェクタ5についてSiH、インジェクタ21についてアルゴンまたは窒素、ならびにインジェクタ5および/または21および/または22についてC、C、またはCHなど、それがもたらす種々の気体(任意により、混合される)の流量および割合に関して)総合的に配置される。
【0049】
典型的には、第2の元素のインジェクタ(5、21、および/または22)ならびに第1の元素のインジェクタ5は、単位時間あたりの(反応流1、100、101、102、103、104、105、106、閉じ込め流2、および任意により存在するのであれば外周流7の合計における)第2の元素(典型的には、炭素)の原子1つにつき、(流れ1への)単位時間あたりの第1の元素(典型的には、ケイ素)の原子が2つ(好ましくは、3つ、最適には、5つ)〜50個の比にて導入を行うように、装置9において総合的に配置される。
【0050】
装置9は、閉じ込めガスを含む閉じ込めガスの供給源20と、閉じ込めガスのインジェクタ21とをさらに備えており、閉じ込めガスのインジェクタ21は、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲み(より正確には、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106に、少なくともチャンバ8への反応物の注入から各々の反応流の相互作用ゾーン14まで、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106の外周(流れの方向11に対して垂直な平面に含まれる固定の線に従って定められる)の全体について接し)、流れの方向11に沿って進む閉じ込めガス流2(好ましくは、全ての反応流に共通)を各々の反応流の相互作用ゾーン14の(流れの方向11に関して)手前の反応チャンバ8へと導入するように配置されている。
【0051】
閉じ込めガスは、中性ガス(ヘリウム、アルゴン、窒素、またはこれらの混合物から選択され、好ましくはアルゴンまたは窒素である)を含む。閉じ込めガス流2は、2つの機能を有する。
−第1には、チャンバ8の内壁を汚す恐れがある各々の反応流の反応物の径方向の拡散を防止するために、各々の反応流を閉じ込めるように機能する。
−第2に、ビーム3の各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106との相互作用の後(流れの方向11に対して)にそれぞれ生じる各々の反応流の火炎26を冷却する。
【0052】
エミッタ19は、放射線ビーム3が流れの方向11に垂直な放射の方向12に沿って進むように配置されている。
【0053】
少なくとも1つの反応流1、100、101、102、103、104、105、106のインジェクタ5は、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106が、流れの方向11に垂直な平面において、流れの方向11および放射の方向12に垂直な伸長方向13に沿って縦長に広がる断面を有するように配置されている。
【0054】
図2の断面図に相当することができる装置9の第1の実施形態の第1の変形においては、反応物のインジェクタ5が、反応物供給源4から由来して反応流ゾーン6において流れの方向11に沿って進むただ1つの反応流1をチャンバ8へと導入するように配置されている。インジェクタ5の断面は、典型的には、方向12の奥行きが4mmであり、方向13の幅が2cmである長円形である。
【0055】
図2の横からの断面図および図3の正面からの断面図に相当することができる装置9の第1の実施形態の第2の変形においては、少なくとも1つの反応流のインジェクタ5が、閉じ込めガス流2によって互いに隔てられ、各々が第1の化学元素を含み、各々が流れの方向11に沿って進むいくつかの反応流101、102、103の配列を、反応物供給源4からチャンバ8へと導入するように配置されている。
【0056】
各々の流れ101、102、または103は、それぞれの個別の反応流ゾーン6を流れの方向11に沿って進む。
【0057】
少なくとも1つの反応流101、102、103のインジェクタ5は、流れ101、102、103の配列において、種々の反応流101、102、103が流れの方向11および放射の方向12に垂直な整列方向18に沿って並ぶように配置されている。
【0058】
図3に示される通り、インジェクタ5が、いくつかの注入ノズル201、202、203(反応流ごとに1つのノズル)へと分割されている。各々のノズルは、典型的には、方向12の奥行きが3mmであり、方向13または18の幅が4mmである長円形の断面を有している。反応流101、102、103およびノズル201、202、203の数は、決して3つに限られず、より多数でもよいと考えられ、この数は、2〜5cmの範囲またはそれ以上とすることができるレーザスポットの幅に依存する。
【0059】
図4の横からの断面図および図5の斜視図に相当することができる装置9の第1の実施形態の第3の変形においては、少なくとも1つの反応流のインジェクタ5が、閉じ込めガス流2によって互いに隔てられ、各々が第1の化学元素を含み、各々が流れの方向11に沿って進むいくつかの反応流1、100を、チャンバ8へと導入するように配置されている。
【0060】
反応物インジェクタ5は、各々がそれぞれの個別の反応流ゾーン6を流れの方向11に沿って進むいくつかの反応流1、100を反応物供給源4からチャンバ8へと導入するように配置されている。これらの流れ1、100は、放射の方向12において互いに離れている。
【0061】
反応流1によるビーム3の吸収に起因する損失は、文献FR2877591に記載のように各々の流れ1または100へのビーム3の入射出力密度が全ての流れ1、100について同一になるようにビーム3を集中(または、「収束」)させることによって補償される。
【0062】
この変形は、製造速度を高めることを可能にする。図5に示されるように2つの流れ1、100を互いに前後に有することが可能であり、あるいはこの方法で、ただ1つのレーザビーム3に整列させて互いに前後に配置された3つ、4つ、またはもっと多くの流れを有することが可能である。
【0063】
図4の横からの断面図および図6の斜視図に相当することができる装置9の第1の実施形態の第4の変形においては、少なくとも1つの反応流のインジェクタ5が、閉じ込めガス流2によって互いに隔てられ、各々が第1の化学元素を含み、各々が流れの方向11に沿って進む反応流のいくつかの配列を、反応物供給源4からチャンバ8へと導入するように配置されている。
【0064】
図6は、第1の流れの配列101、102、103および第2の流れの配列104、105、106を示している。
【0065】
各々の流れ101、102、103、104、105、または106は、それぞれの個別の反応流ゾーン6を流れの方向11に沿って進む。
【0066】
少なくとも1つの反応流のインジェクタ5は、各々の配列のそれぞれの流れ101、102、103、104、10および10(もしくは、より正確には、流れの方向11に垂直な平面におけるそれらの断面)が、流れの方向11および放射の方向12に垂直な整列方向18に沿って並ぶように配置されている。
【0067】
流れの配列は、放射の方向12において互いに離れている。
【0068】
種々の流れの配列は、同じ方向18にて互いに平行である。
【0069】
インジェクタ5は、いくつかの注入ノズル(反応流ごとに1つのノズル)へと分割されている。各々のノズルは、典型的には、方向12の奥行きが3mmであり、方向13または18の幅が4mmである長円形の断面を有している。
【0070】
流れ101、102、103の第1の配列によるビーム3の吸収に起因する損失は、文献FR2877591に記載の原理に従って、流れ101、102、103、または104、105、106の各々の配列へのビーム3の入射出力密度が全ての流れ101、102、103、104、105、または106について同一になるようにビーム3を集中(または、「収束」)させることによって補償される。
【0071】
図1〜6を参照すると、本発明に係る装置9の第1の実施形態においては(考慮される変形が、既に述べた第1の実施形態の4つの変形のうちのどれであるかにかかわらず)、第2の化学元素のインジェクタが、第2の元素を各々の反応流の相互作用ゾーン14の手前(流れの方向11に関して)において各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106の第1の化学元素と一緒にチャンバ8へと導入するように配置される。
【0072】
第2の化学元素のインジェクタが、反応物インジェクタ5を含む。より詳しくは、第2の化学元素のインジェクタと反応物インジェクタ5とが融合している。
【0073】
図1〜6を参照すると、本発明に係る装置9の第2の実施形態は、第2の化学元素のインジェクタが、第2の化学元素を各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲むガス流2においてチャンバ8へと導入するように配置される点を除き、既に述べた装置9の第1の実施形態と完全に同一(考慮される変形が、既に述べた第1の実施形態の4つの変形のうちのどれであるかにかかわらず)である。
【0074】
より正確には、第2の化学元素のインジェクタが、第2の化学元素を各々の反応流の相互作用ゾーン14の手前(流れの方向11に関して)において閉じ込めガス流2にてチャンバ8へと導入するように配置される。
【0075】
第2の化学元素のインジェクタが、閉じ込めガスのインジェクタ21を含む。より詳しくは、第2の化学元素のインジェクタと閉じ込めガスのインジェクタ21とが融合している。
【0076】
この第2の実施形態は、好ましくは、(図3および6の1つ以上の流れの配列101、102、103および104、105、106を含んでいる)第2または第4の変形において実現される。なぜならば、第2の化学元素を含んでいる閉じ込めガス2と、第1の化学元素を含んでいる各々の反応流との間の相互作用の面積を、最大にできるからである。
【0077】
図2〜8を参照すると、本発明に係る装置9の第3の実施形態は、第2の化学元素のインジェクタが、第2の化学元素を各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲むガス流7においてチャンバ8へと導入するように配置される点を除き、既に述べた装置9の第1の実施形態と完全に同一(考慮される変形が、既に述べた第1の実施形態の4つの変形のうちのどれであるかにかかわらず)である。
【0078】
第2の化学元素のインジェクタは、(好ましくは環状の)1つのインジェクタ22を備える。
−反応流1、100、101、102、103、104、105、106ごとに1つのインジェクタ、または
−全ての反応流を全体的に囲む共通のインジェクタ。
【0079】
考慮される各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、または106について、第2の化学元素のインジェクタは、第2の化学元素を、その反応流1、100、101、102、103、104、105、または106を囲み、その反応流を囲む閉じた曲線(典型的には、インジェクタ22の環状の形状)に沿って分布したいくつかの点17から放射される周囲のガス流7にて、チャンバ8へと導入するように配置され、周囲のガス流7をその反応流の方向に向けるように配置される。
【0080】
考慮される各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、または106について、第2の化学元素のインジェクタが、第2の化学元素をその反応流の相互作用ゾーン14の後(流れの方向11に関して)において周囲のガス流7にてチャンバ8へと導入するように配置される。これは、粒子10のコア15の製造について(ビーム3の出力を調整することによる)良好な制御および良好な均質性を可能にするがゆえ、特に好都合である。粒子のコア15上の層16の製造は、ビーム3からのエネルギを直接的には必要としないため、コア15の製造における制御を損なうことはない。実際、粒子のコア15上の層16の製造は、相互作用ゾーン14の後の火炎26のエネルギを使用する。
【0081】
装置9のこの第3の実施形態は、粒子10について製造される層16を最適にするために流れの方向11に沿って各々のインジェクタ22を移動させるための手段(図示されていないが、例えば微小変位板)を備える。
【0082】
当然ながら、たった今説明した本発明に係る装置の種々の変形および実施形態を、互いに組み合わせることができ、したがって第2の化学元素のインジェクタは、
−反応流インジェクタ5を備えることができ、かつ/または(好ましくは、かつ)
−○閉じ込めガスのインジェクタ21、ならびに/あるいは
○反応流ごとに1つの周囲ガス7のインジェクタ、または全ての反応流を全体的に囲む共通の周囲ガス7のインジェクタ22
の少なくとも一方(任意により、両方)を備えることができる。
【0083】
次に、たった今説明した装置9の実施形態の任意の1つにおいて実施される方法を説明する。
【0084】
レーザ熱分解によって粒子10を製造するための本発明に係るこの方法は、以下のステップを含み、すなわち
−第1の化学元素を含んでおり、流れの方向11に沿って進む少なくとも1つの反応流1、100、101、102、103、104、105、106を、供給源4からインジェクタ5を介して反応チャンバ8へと導入するステップ(導入時に、各々の反応流が反応物を含んでおり、チャンバ8へと導入される反応物の典型的な流量は約20リットル/分である)と、
−各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲み、流れの方向11に沿って進む閉じ込めガス流2を、各々の反応流の相互作用ゾーン14の手前(流れの方向11に関して)において、反応チャンバ8へと導入するステップ(チャンバ8へと導入される閉じ込めガスの典型的な流量は約50リットル/分である)と、
−エミッタ19によって、反応チャンバ8を通って各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106と交わる放射線ビーム3を、反応流ごとに1つの相互作用ゾーン14へと投射し、各々の反応流において第1の化学元素を含む粒子コア15を形成するステップと、
−各々の反応流1、101、102、103、104、105、106と相互作用する第2の化学元素を反応チャンバ8へと導入し、粒子コア15を第2の化学元素を含む層16(各々の粒子10に特有であり、他の粒子10の層16とは別個である)で覆うステップと
を含む。
【0085】
上述の通り、反応流の反応物は、第1の化学元素を酸化する物質を欠いている。したがって、本発明に係る方法によって得られる粒子コア15は、第1の化学元素を非酸化の形態にて含む。
【0086】
単位時間あたり(典型的には、1分あたり)に導入される第2の元素の原子の数は、導入される第1の元素の原子の数に対して、単位時間あたりに(反応流1、100、101、102、103、104、105、106、閉じ込めガス流2、および任意により存在するのであれば周囲の流れ7の合計へと)導入される第2の元素の原子1つについて、(流れ1における)単位時間あたりの第1の元素の原子が少なくとも2つ(好ましくは少なくとも3つ、最適には少なくとも5つ)という比である。
【0087】
単位時間あたり(典型的には、1分あたり)に導入される第2の元素の原子の数は、導入される第1の元素の原子の数に対して、単位時間あたりに(反応流1、100、101、102、103、104、105、106、閉じ込めガス流2、および任意により存在するのであれば周囲の流れ7の合計へと)導入される第2の元素の原子1つについて、単位時間あたりの第1の元素の原子が2つ(好ましくは3つ、最適には5つ)〜50個という比である。
【0088】
放射線ビーム3は、流れの方向11に垂直な放射の方向12に沿って進む。
【0089】
各々の反応流は、流れの方向11に垂直な平面において、流れの方向11および放射の方向12に垂直な伸長方向13に沿って縦長に広がる断面を有する。
【0090】
このようにして製造された粒子10は、コレクタ27へと落下し、コレクタ27において冷却された後に、重力および/または吸引によって粒子を利用する設備または貯蔵のための容器へと渡される。
【0091】
本発明に係る装置の第1の実施形態において実行される本発明に係る方法においては、第2の化学元素が、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106の反応物中の第1の化学元素と一緒に、各々の反応流の相互作用ゾーン14の手前(流れの方向11に関して)において、チャンバ8へと導入される。
【0092】
本発明に係る装置の第2または第3の実施形態において実行される本発明に係る方法においては、第2の化学元素が、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲み、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106に接触するガス流2または7にて、チャンバ8へと導入される。
【0093】
本発明に係る装置の第2の実施形態において実行される本発明に係る方法においては、第2の化学元素が、各々の反応流の相互作用ゾーン14の手前(流れの方向11に関して)において、閉じ込めガス流2にてチャンバ8へと導入される。
【0094】
この実施形態は、図3または6に関して既に述べたように、少なくとも1つの反応流の導入が、閉じ込めガス流2によって互いに隔てられ、各々が第1の化学元素を含み、各々が流れの方向11に沿って進むいくつかの整列した反応流(配列101、102、103および任意によるさらなる配列104、105、106)の導入を含む場合に、特に好都合である。この場合に、図3に示されるように、閉じ込めガス流2が、好ましくは全ての反応流に共通であり、別々の反応流の間に不連続を有さないことに、注意すべきである。さらに、放射線ビーム3は、流れの方向11に垂直な放射の方向12に沿って進み、1つの配列内の種々の反応流101、102、103、または104、105、106は、流れの方向11および放射の方向12に垂直な整列方向18に沿って並んでいる。
【0095】
本発明に係る装置の第3の実施形態において実行される本発明に係る方法においては、第2の化学元素が、各々の反応流を囲む閉じた曲線に沿って分布したいくつかの点17から放射されて反応流の方向に進む各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲む周囲のガス流7にて、チャンバ8へと導入される。第2の化学元素は、各々の反応流の相互作用ゾーン14の後(流れの方向11に関して)で、周囲のガス流7にてチャンバ8へと導入される。
【0096】
当然ながら、既に説明した本発明に係る方法について、種々の組み合わせを考えることができ、そこでは第2の化学元素が、
−各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106へと第1の化学元素と一緒にチャンバ8へと導入され、かつ/または(好ましくは、かつ)
−各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲み、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106と接触するガス流2または7(特に、閉じ込めガス流2ならびに/あるいは反応流ごとに1つの周囲のガス流7または全ての反応流を全体的に囲む共通の周囲のガス流7)にてチャンバ8へと導入される。
【0097】
実施例1
この実施例においては、第1の化学元素が、ケイ素である。
【0098】
第1の化学元素は、約20リットル/分で気体のSiHの形態にてチャンバ8へと室温(約20℃)で導入される。
【0099】
したがって、各々の反応流の反応物は、酸化剤または酸素原子あるいは酸素原子を含む分子は混ざっていないが、任意により第2の化学元素の供給源(CまたはCあるいはCH、好ましくはC)が混ぜられた気体のシラン(SiH)である。
【0100】
このようにして得られる粒子10のコア15は、非酸化のケイ素である。
【0101】
閉じ込めガス2は、50リットル毎分で室温にてチャンバ8へと導入される気体のアルゴンを含み、任意により第2の化学元素の供給源(CまたはCあるいはCH、好ましくはC)と混合される。
【0102】
第2の元素は、炭素である。
【0103】
第2の元素は、極めて大まかには2リットル/分にて、気体のアセチレン(C)の形態でチャンバへと室温で導入され、任意により、より良好な結果のために、反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)および閉じ込め流2あるいは反応流(1、100、101、102、103、104、105、106)および周囲の流れ7に同時に(例えば、少なくとも60%が反応流を囲む流れ2および/または7に、残りが反応流に)分配される。
【0104】
導入される炭素(ここでは、第2の元素として働く)の原子の数は、導入される第1の元素(ケイ素)の原子の数に対して、炭素の原子1つにつきケイ素の原子5つという比(10モルのSiHについて1モルのC)である。
【0105】
このようにして得られる各々の粒子の層16は、炭素の層である。
【0106】
得られた粒子
第1の実施例に係る粒子を、装置9の第1、第2、および第3の実施形態(単独または組み合わせ)によって製造した。
【0107】
得られた粒子10のサイズは、10〜500nmの間に含まれるコア径(標準偏差は2〜60nmの間)および1〜5nmの間の層16の厚さに相当する。粒子は、必ずしも完全には球形でない。コア径は、コアの2つの最も離れた点を結ぶ距離を意味する(例えば、棒状のコアの場合の長さ)。
【0108】
本発明に係る装置の第1の実施形態を使用し、第2の化学元素を各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106において第1の化学元素と一緒にチャンバ8へと導入したとき、図9に示されるように、層16が完全には一様でないことが観察された。
【0109】
これは、本発明によれば、各々の反応流が第1の化学元素を酸化する物質を欠いていることに起因している可能性がある。酸化剤を使用しないという事実は、特に炭素の層16の場合に、酸化剤がC、C、などの分子の水素を奪うことによって固体の炭素の形成を助けることが知られているため、直観に反する。
【0110】
第1の実施形態(単独)よりも良好な結果が、第2または第3の実施形態(単独)から観察されている。
【0111】
層16の均質性を、第2の化学元素を各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106を囲み、各々の反応流1、100、101、102、103、104、105、106に接する気体の流れ2または7にてチャンバ8へと導入する本発明に係る装置の第2および/または第3の実施形態を使用し、特に第2の化学元素を閉じ込めガス流2にてチャンバ8へと導入する本発明に係る装置の第2の実施形態を使用することによって、顕著に改善することができる。結果として、層16が、図10に示されるようにはるかに均質になる。
【0112】
さらに、第2または第3の実施形態(単独)よりも良好な結果が、第2および/または第3の実施形態の第1の実施形態との組み合わせから観察されている。
【0113】
既に述べた実施例および実施形態において、コア15が、第2の化学元素を(いかなる形態でも)含まないことが観察されている。
【0114】
既に述べた実施例および実施形態において、層16が、第1の化学元素を(いかなる形態でも)含まないことが観察されている。
【0115】
既に述べた実施例および実施形態において、コア15が、好ましくは酸化された形態の第1の化学元素を含まないが、好ましくはこの第1の化学元素を非酸化の形態でのみ含むことが、観察されている。
【0116】
既に述べた実施例および実施形態において、上述の各々の粒子のコア15と層16との間に界面が存在しないことが、観察されている。しかしながら、一般に、本発明が同じ粒子のコア15と層16との間の界面の存在に不適合ではないことが、観察されている。
【0117】
当然ながら、本発明は、上述した実施例、実施形態、および変形に限定されず、これらの実施例に対して、本発明の技術的範囲を越えることなく、多数の調整が可能である。
【0118】
当然ながら、本発明の種々の特徴、形態、変形、および実施形態を、それらが相互に不適合または排他的でない限りにおいて、さまざまな組み合わせにて互いに組み合わせることが可能である。特に、既に述べた全ての変形および実施形態を、互いに組み合わせることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10