【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者等は、驚くべきことに、凍結濃縮発酵体の導入が直接植菌によって行うことができることを見出した。これは、最終製品の製造のために発酵過程を中断することなく連続植菌を可能にする。従って、発酵製品製造率を実質的に増加させることが可能になる。
【0008】
従って、本願発明の主題は、凍結濃縮発酵体での、食品、特に乳製品の連続植菌のための方法である。
【0009】
1つの一般的な特徴によれば、方法は、以下のステップ:
‐ 凍結濃縮発酵体が、凍結濃縮発酵体を含むコンテナで作動するマイクロ波装置又は水浴解凍装置によって解凍され、
‐ 解凍された濃縮発酵体が、コンテナから植菌される液体の流れに連続的に注入される
ことを含む。
【0010】
本願発明の主題は、また、植菌される液体への発酵体の連続植菌のための装置であり、ここで、発酵体は、凍結濃縮発酵体に由来し、前記装置は、凍結濃縮発酵体を含むコンテナを解凍するためのチャンバーを備え、前記チャンバーは、マイクロ波装置又は水浴解凍装置を備え、植菌チャンバーは、少なくとも2つの解凍発酵体のコンテナを取り付けるための支持手段及び排出される容器中の残量を連続的に決定することができる少なくとも1つの秤量装置を備え、装置はさらに、コンテナを植菌される液体の連続供給のための回路に接続する注入回路を備え、注入回路は、1つのコンテナから他のコンテナへの切り替え及び液体中の発酵体の流速を調節するための手段を可能にするバルブを備える。
【0011】
1つの実施態様では、凍結濃縮発酵体を含むコンテナは、それらの解凍前に、−20〜−70℃で貯蔵される。
【0012】
有利なことに、一旦植菌チャンバー中に置かれると、解凍濃縮発酵体を含むコンテナは、排出の間、秤量されるコンテナ中の液体発酵体の残量を決定するために、連続的に秤量される。
【0013】
解凍発酵体の注入は、植菌される液体の連続供給のための回路への接続手段を介して行われる。これらの接続手段は、注入回路のパイプでもよく、そしてそれは、ラインにおいて、植菌された液体のそれぞれの通過後、洗浄しそして殺菌することができ、又は一時的な接続手段、例えば、クリップ留め又はスナップ留めなどを備えた多少柔軟なチューブ類であってもよい。
【0014】
表面の微生物汚染は、食品の変質の間に、食品の汚染の可能性を介して健康への悪影響を引き起こす。これは、例えば、細菌胞子がバイオフィルム、すなわち、お互い及び表面に付着する微生物の多細胞群で起こる場合である。実際、細菌胞子は、顕著な耐性特性を示し、そして装置及び接続パイプの表面を汚染する。製造業者において、バイオフィルムの除去は、ほとんどの場合、変質食品の優れた保存を確保し、食品汚染を避けるために、過度の衛生手順の使用を必要とする。
【0015】
従って、あるいは、植菌される液体の連続供給のための回路への接続手段は、完全な無菌状態及び使い易さを確保するために、使い捨てである。接続のこれらの手段は、また、使用される発酵体に従って、変更されてもよい。
【0016】
好ましくは、解凍後、コンテナは、大気圧超の圧力で、植菌チャンバーに配置される。
【0017】
従って、本願発明の1つの実施態様では、解凍濃縮発酵体を含む植菌チャンバーは、前記チャンバーにおいてできる限り一定の圧力を維持するために、中性殺菌ガス手段によって加圧され、そしてそれは、濃縮発酵体の流れの精度を容易にする。さらに、解凍コンテナ中の超過圧力は、外気による汚染の可能性を制限する。超過圧力、典型的には、100g/cm2は、より均一な計量が可能になる。
【0018】
本願発明の1つの実施態様では、いくつかのコンテナが、それらの1つが排出の過程である場合、解凍濃縮発酵体を含む少なくとも1つの他のコンテナが待機しているように、植菌チャンバーにおいて、並行配置で配置される。
【0019】
好ましくは、この過程によって、解凍濃縮発酵体の秤量された量が、植菌される液体の流れに連続的に導入される。この植菌された液体は、その後、販売されることを意図された、コンテナ中において直接、発酵槽、発酵製品のためのタンク又は発酵装置中に入れられる。乳製品製品の場合では、例えば、発酵ユニットは、乳製品のポットでもよい。
【0020】
この連続植菌は、最終製品の品質の規則性を改善する効果を有する。従って、本願発明は、リスクのある中間段階を含まずに、植菌される液体のラインにおいて直接、凍結濃縮発酵体の、それらのコンテナからの直接使用を可能にする。実際、なんらかの中間処理段階は、必然的に、発酵製品を製造するための後続の過程全体にとって有害である予想外の汚染のリスクにつながる。さらに、レンネット凝固直前の液体のラインへの直接植菌は、熟成ゾーンでの、ファージの任意の増殖及びバイオフィルムの形成を制限することができる。
【0021】
好ましくは、液体形態において発酵体の流速を調節するための手段は、植菌される液体の連続供給のための回路の上流に配置される。これらの手段は、ポンプであってもよい。
【0022】
コンテナにおけるこれらの凍結濃縮発酵体のための解凍時間は、コンテナ中に存在する製品の量に応じて変化してもよい。
【0023】
通常、マイクロ波装置に関して、凍結濃縮発酵体のための解凍時間は、10〜60分である。
【0024】
水浴解凍装置を使用する凍結濃縮発酵体のための解凍時間は、15〜300分である。
【0025】
製造方法の後続のステップの正しい経過に有害である任意の大きな熱ショックを引き起こさずに、濃縮発酵体の迅速な融解を確保するために、解凍チャンバー中の温度が調節される。
【0026】
好ましくは、解凍チャンバーのマイクロ波装置における周囲雰囲気の温度は、20〜30℃、そして好ましくは、25℃である。
【0027】
好ましくは、水浴解凍装置における水浴の温度は、15〜45℃である。
【0028】
好ましくは、凍結濃縮発酵体は、それらを均質化しそして不完全な融解凝集を避けるために、解凍の間、撹拌される。
【0029】
この目的のために、本願装置の1つの実施態様では、解凍チャンバーは、解凍の間、熱を均一に分配することを可能にする、コンテナを撹拌するための手段を備えてもよい。
【0030】
一旦植菌チャンバー内に配置されると、解凍された液体発酵体は、2〜12℃であってもよい比較的低温、又は発酵体の機能性を維持に適合する任意の他の温度で維持される。これは、細菌の代謝の再開を可能な限り制限し、そして経時的に一定である植菌の品質を保証することを可能にする。
【0031】
本願装置の1つの実施態様では、植菌チャンバーは、冷却手段及び大気圧超の圧力を維持するための手段を備えてもよい。
【0032】
装置の植菌チャンバーは、排出の間、少なくとも1つのコンテナの均質化の手段を有利には備えてもよい。
【0033】
従って、排出の間の解凍及び融解濃縮発酵体の混合物の均質化は、発酵体で構成された細菌培養物の混合物の均質性を確保することを可能にする。好ましくは、均質化ステップは、ブレンディングを備えてもよい。
【0034】
凍結濃縮発酵体は、200g〜数キロの範囲の多かれ少なかれ大容量パッケージングで包装され、そして貯蔵することができる。輸送は、後続の発酵過程全体に有害である何らかの汚染を避けるために、厳格な衛生条件下で行わなければならない。
【0035】
使用される凍結濃縮発酵体は、チーズ、例えば、ソフトチーズ、加熱圧搾(cooked pressed)チーズ、非加熱圧搾チーズ、スパンカード(spun‐curd)チーズなど、及び発酵乳、例えば、撹拌又はセット、フレーバー又はナチュラルヨーグルト、ドリンクヨーグルトなど、サワークリーム及びフロマージュフレを製造するために、そしてまた、他の発酵製品、例えば、ワインなどを製造するために使用される細菌からなる。
【0036】
使用される細菌は、好適な生育温度が25〜35℃である、中温性の微生物であってもよい。一般的に使用される中温性の微生物は、特に、例えば、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)亜種、ラクティス、ラクトコッカス ラクティス亜種クレモリス(cremoris)、リューコノストック クレモリス(Leuconostoc cremoris)、ラクトコッカス ラクティス次亜種ジアセチラクティス(diacetylactice)、ラクトバチルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトコッカス デュランス(streptococcus durans)、ストレプトコッカス フェカリス(faecalis)が挙げられる。
【0037】
好熱性の微生物、すなわち生育温度が35〜45℃でもよい生物がまた、使用されてもよい。特に、例えば、ストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ラクトバチルス ラクティス、ラクトバチルス ヘルベティカス(helveticus)、ラクトバチルス デルブルッキー(delbrueckii)亜種ブルガリカス(bulgaricus)及びラクトバチルス アシドフィラス(acidophilus)又は任意の他の適切な微生物が挙げられる。
【0038】
同様に、ビフィドバクテリウム(bifidobacteria)類の偏性嫌気性の微生物、例えば、ビフィダス ビフィダム(Bifidus bifidum)及びビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)などが、使用されてもよい。
【0039】
プロピオン酸菌(propionic bacteria)、例えば、ラクトバチルス ヘルベティカス、プロピオニバクテリウム フロイデンライヒ(Propionbacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム フロイデンライヒ亜種シャーマニ(shermanii)などがまた、使用されてもよい。
【0040】
使用される細菌は、ワイン細菌、例えば、オエノコッカス オエニ(Oenococcus oeni)(リューコノストック オエノス(Leuconostoc oenos)、ラクトバチルス プランタム(Lactobacillus plantarum)又はペディオコッカス(Pedicoccus)種であってもよい。
【0041】
サッカロミセス科(Saccharomycetaceae)のファミリーの酵母又はカビ、例えば、ペニシリウム属(Penicillium)又はゲオトリクム属(Geotrichum)などが、また、使用されてもよい。
【0042】
凍結濃縮発酵体又は濃縮細菌培養物植菌のレベルは、技術及び検討中の製品に応じて変化する。一般的に、この割合は、植菌される培地の全重量に基づいて、0.005%〜0.025%である。
【0043】
一般的に、製造時、発酵体は、液体窒素を使用して凍結され、その後、−20〜−70℃の温度で貯蔵される。
【0044】
それらの凍結温度に応じて、発酵体は、使用前にしばらくの間、貯蔵することができる:−20℃での貯蔵の場合、1月まで、−40℃での貯蔵の場合、6月まで、そして、−45℃での貯蔵の場合、12月までである。他の目的、特徴及び利点は、非限定的な例としてのみ与えられ、そして添付図面を参照して与えられる、以下の本願発明の実施態様及び実施形態の説明を読むことによって明らかになる。