(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モーターコントローラーは、前記モーターの回転速度を制御するためのフィードバックループを有するブラシレスDC(BLDC)モーターコントローラーである、請求項1に記載のPIM。
【背景技術】
【0002】
血管内超音波(IVUS)イメージングは、治療の必要性を決定し、介入を案内し、及び/又はその効果を評価するため、人体内の罹患した動脈といった管のための診断ツールとして心臓介入で広範囲に用いられている。IVUSイメージングは、超音波エコーを用いて対象の管のイメージを形成する。超音波は、大半の組織及び血液を難なく透過できるが、組織構造(例えば、管壁の様々な層)、赤血球、及び他の対象の構造から生じる不連続から部分的に反射される。患者インターフェイスモジュール(PIM)を介してIVUSカテーテルに接続したIVUSイメージングシステムは、受け取った超音波エコーを処理し、カテーテルが配置された場所の管の断面イメージを生成する。
【0003】
典型的な回転式IVUSカテーテルでは、単一の超音波トランスデューサー要素が、対象の管内に挿入されたプラスチックシース内で回転するフレキシブル駆動シャフトの先端に設けられる。トランスデューサー要素は、超音波ビームがカテーテルの軸に概して垂直に伝播するように配向される。流体充填済シースは、超音波信号がトランスデューサーから組織内に自由に伝播して戻ることを許容しつつ、回転するトランスデューサー及び駆動シャフトから管組織を保護する。駆動シャフトが回転する時(典型的には、毎秒30回転)、トランスデューサーが、高電圧パルスにより周期的に励起され、超音波の短バーストを出射する。次に、同一のトランスデューサーが、様々な組織構造から反射した帰還エコーを聞き取り、IVUSイメージングシステムが、トランスデューサーの単一回転中に生じるこれらのパルス/取得サイクルのシーケンスから管断面の2次元(2D)表示を構築する。幾何歪無しで正確なイメージを形成するため、各パルス/取得サイクルについてトランスデューサー角度を正確に知る必要がある。これは、カテーテルに対する抗力の変動、モーター運動の不規則性、及びカテーテルの先端のトランスデューサーの回転とモーターシャフトの回転の間の位相関係を妨げる傾向がある他の要因に直面するに困難である。
【0004】
伝統的な回転式IVUSシステムは、モーターシャフトに実装された高分解能ロータリーエンコーダー(典型的には、一回転あたり512パルス)を用いカテーテル駆動シャフトの一回転を、名目上は均一な角度間隔で、例えば、512パルス/取得シーケンスに細分化する。このアプローチは、モーター/エンコーダーの角度位置が、フレキシブル駆動シャフトの先端に実装されたトランスデューサーの角度位置を正確に表すという前提に依拠している。フレキシブル駆動シャフトにおいて変動する抗力及びねじれ非対称性は、モーター角とトランスデューサー角の間の相関が崩れる時、非均一回転歪(NURD(Non-Uniform Rotational Distortion))と一般的に呼ばれるイメージにおける幾何歪を生じさせる。これとは別に、モーター制御回路は、所望の公称値(nominal value)(典型的には、毎秒30回転)にモーター速度を維持する。典型的には、回転式IVUSシステムは、小型ブラシレスDCモーターに依拠し、高効率及び最大トルクを維持するように電子的に整流され、所望の平均回転速度を維持するためにエンコーダーフィードバックを用いる。
【0005】
伝統的なアプローチを用いると、エンコーダー出力によりトリガーされるパルス/取得サイクルがモーター回転に同期され、モーター速度が変化する範囲で、パルス/取得サイクル間のインターバルも変化する。既存のIVUSカテーテルが有用な診断情報を提供するが、管状態のより価値がある洞察を提供するため、改善されたイメージ品質の必要がある。回転式IVUSのイメージ品質の更なる改善のため、送信エレクトロニクス又は他の信号処理を改善することが望ましい。
【0006】
従って、血管内超音波イメージングシステムにて同期信号を提供するための改善された装置、システム、及び方法の必要が残存する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の原理の理解を促進する目的のため、ここで図面に図示された実施形態に参照が為され、これを記述するために特定の用語が用いられる。しかしながら、本開示の範囲に如何なる限定も意図されないものと理解される。記述された装置、システム、及び方法の如何なる変更及び更なる変更、また本開示の原理の如何なる更なる適用は、本開示が関連する技術分野の当業者に通常に生じるように、十分に検討され、本開示内に含まれる。特には、一つの実施形態に関して記述された特徴、構成要素、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関して記述した特徴、構成要素、及び/又はステップに組み合わされることが十分に検討される。しかしながら、簡潔さのため、これらの組み合わせの多数の反復が別々に記述されない。
【0014】
幾つかの実施形態においては、回転式IVUSイメージングシステムにおいてモーター速度及びスキャンライントリガーを制御するための機器及び方法が提供される。スキャンライントリガーは、カテーテルの遠位端で回転するトランスデューサーからの送信パルス生成及びエコー信号データ取得を含む。カテーテル102の駆動シャフトのねじれ柔軟性のため、トランスデューサー位置が、モーター位置から非常に顕著に逸脱し、非均一回転歪(NURD)アーチファクトを生成する。NURDアーチファクトは、駆動シャフトの回転速度の不一致を生じさせる駆動シャフトの非対称曲げモーメントにより悪化される。
【0015】
伝統的アプローチは、モーター駆動部に結合した高分解能ロータリーエンコーダーを用いる。幾つかの実施形態においては、モーター速度及びスキャンライントリガーの制御が、同期モーター駆動部を用いて実行される。同期モーター駆動部では、医療用途にて望ましい、過剰な抗力(drag)に到達するならば、モーターの失速(stalling)が問題である。同期モーター駆動部は、トルク制限のために増加した安全性を含む。本開示に整合する実施形態が、オープンループ制御において動作する;所望速度でのロータリーモーターの同期駆動が電子制御されてモニターされる。幾つかの実施形態においては、モーター速度フィードバックを有するブラシレスDC(BLDC(brushless DC))が用いられる。速度フィードバックが、固定速度にモーターを維持することを試み、効率を高める。BLDCアプローチは、トルク変動に対処できるが、速度変化を有する。幾つかの実施形態においては、モーターにおける低分解能センサーが、高感度クロック及びタイミング回路に結合される。幾つかの実施形態においては、モーターにおける低分解能センサーが、一群のホール効果センサーである。幾つかの実施形態によれば、同期モーター駆動部及び同期スキャンライントリガー回路が用いられ、モーター駆動部に結合した高分解能ロータリーエンコーダーの必要を除去する。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係るIVUSイメージングシステム100を示す。本開示の幾つかの実施形態においては、IVUSイメージングシステム100は、回転式IVUSイメージングシステムである。これについて、回転式IVUSイメージングシステムの主要構成部品は、回転式IVUSカテーテル102、患者インターフェイスモジュール(PIM)104、IVUSコンソール又は処理システム106、及びIVUSコンソール106により生成されたIVUSイメージをディスプレイ表示するモニター108である。カテーテル102は、幾つかの実施形態に係る超音波トランスデューサー150を含む。PIM104は、カテーテル102を支持する適切なインターフェイス仕様を実施する。幾つかの実施形態によれば、PIM104が、送信トリガー信号及び制御波形のシーケンスを生成し、超音波トランスデューサー150の動作を調整する。
【0017】
超音波トランスデューサー150は、PIM104から受け取ったトリガー信号に応答して管組織に超音波信号を送信する。超音波トランスデューサー150は、また、管組織及び/又は他の周囲の構造から受け取ったエコー信号を、電気信号に変換し、これが、PIM104を介してコンソール106へ通信される。単一の超音波送信パルスに応答してPIM104により受け取られた超音波エコー信号が、カテーテルの長軸(LA)に関して軸方向沿いの対象組織深さのラインスキャン(A−スキャン)を形成するために用いられる。幾つかの実施形態においては、PIM104が、また、高及び低電圧DC電源を供給する。高電圧が、上限80Vであり、典型的には、60〜70Vの電圧を含む。幾つかの実施形態においては、PIM104により提供される電圧が、3.3Vほどの低さである。従って、PMUTトランスデューサーといった幾つかの実施形態においては、特定用途向け集積回路(ASIC)が用いられ、トランスデューサーに電圧を供給する。幾つかの実施形態においては、ASICが、カテーテルの遠位部に含まれ、また幾つかの実施形態においては、ASICの一部がPIM104に含まれる。例えば、ASICが、PIM104により提供されたDCを用い、短時間の間に高電圧パルスを生成する。幾つかの実施形態においては、高電圧パルスが、上限120V、150V、及びこれよりも高く、数ナノ秒の間(1ナノ秒、1ns=10
-9秒)、継続する。PIM104により提供された電圧が、最終的には、回転式IVUSカテーテル102の遠位端に伝送される。
【0018】
更には、全目的のためにそれらの全体にてそれらの内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願No.8,104,479、5,243,988、及び5,546,948に記述のものといった、幾つかのカテーテルにとっては、PIM104が、単純に、トランスデューサー150に高電圧信号を直接的に送信する。例えば、電圧が、数ns継続する一サイクル(各サイクルが、対称の正電圧及び負電圧期間を有する波形に似ている)のピーク間で400Vほどの高さかもしれない。幾つかの実施形態においては、PIM104は、回転インターフェイスを介してトランスデューサー150にDC電圧を供給する。これについて、回転インターフェイスを介したDC電源の供給のためのオプションが、スリップリング(slip-rings)の使用、及び/又はアクティブスピナー技術(active spinner technology)の実施を含む。
【0019】
図2Aは、本開示の幾つかの実施形態に係る、IVUSイメージングシステム100での使用のためのPIM104の部分概略図を示す。
図2Aは、より詳細にPIM104を図示し、カテーテルの長さに沿って延びるシャフト114を通じてカテーテル102の遠位部のトランスデューサー150に回転運動を提供するモーター250を含む。シャフト114は、テレスコープ122に適合するコネクター118によりPIM104に取り付けられる。テレスコープ122は、カテーテル102の長さ調整を許容する。PIM104は、また、トランスデューサー150にパルス信号223を提供する回転変圧器260を含む。回転変圧器260は、トランスデューサー150からPIM104へ電気信号224も伝送する。パルス信号223がパルス送信器212により提供され、また電気信号224が、受信アンプ214により増幅される。幾つかの実施形態によれば、電気信号224は、トランスデューサー150により検出される管組織及び/又は他の周囲の構造からのエコー応答を含むアナログ信号である。アナログデジタル変換器(ADC)216が、増幅された電気信号224をデジタル信号に変換し、これが、通信プロトコル回路218によりPIM104からIVUS制御システム106へ伝送される。
【0020】
モーター250は、幾つかの実施においては、ブラシレスモーターといった電気モーターである。幾つかの実施形態においては、モーター250は、ブラシレスDCモーター、永久磁石ローターを有する、2相又は3相モーターである。幾つかの実施形態においては、モーター制御部210は、モーター250のスピン速度を制御する回路である。これについて、モーター制御部210は、モーター250を所望の回転速度で回転させるように構成され、幾つかの実施においては、毎秒約30回転である。モーター速度は、クロック及びタイミング回路200により提供される同期モーター駆動信号221により精密に制御される。モータートルク及び位相が、制御回路210により制御される。
【0021】
本明細書に開示の実施形態に係るクロック及びタイミング回路200に結合したモーターにおける低分解能位置センサーの使用は、良く規定されるモーター速度を提供する。クロック及びタイミング回路200は、連続的にモーター回転の位相及び周波数を調整することにより、回転式IVUSカテーテルの脆弱性を低減してランナウェイ回転速度(runaway rotational velocity)をフォールト状態とする。クロック及びタイミング回路200により提供される同期制御が、単純なタイミング制御で精密なモーター速度を保証する。幾つかの実施によれば、クロック及びタイミング回路200が、共通の安定システムクロックを用いてトランスミッタータイミング信号222及びモーター速度制御信号221を提供する。
【0022】
幾つかの実施形態においては、PIM104が、モーター250における高分解能エンコーダーの必要を除去するハードウェア構造を有する。幾つかの実施形態は、モーター250によりモーター制御回路210及び通信プロトコル回路218へ提供される回転信号220を含む。信号221、222、及び226がお互いに同期され、他方、回転信号220は、モーター250の抵抗、又はある程度の非同期挙動を示す位相遅延を有し得る。
【0023】
幾つかの実施形態は、システム100として回転式IVUSイメージングシステムを含む。本開示に整合する幾つかの実施形態は、任意の種類のトランスデューサー150、例えば、伝統的なPZT装置、PMUT装置、CMUT装置、及び/又はこれらの組み合わせを含む。幾つかの実施においては、トランスデューサー150が、血管内光コヒーレント・トモグラフィー(OCT)イメージングで用いられるものといった光学要素(例えば、ミラー、プリズム、及び/又は他のレフレクター又はエミッター)で置換される。これについて、PMUT装置においては、パルス送信器212の部分及び受信アンプ214の部分が、トランスデューサー150の近位の、カテーテル102の遠位端の特定用途向け集積回路(ASIC)に含まれる。
【0024】
図2Bは、本開示の幾つかの実施形態に係る、IVUSイメージングシステムにおいて用いられる患者インターフェイスモジュール(PIM)104の部分的な概略図を示す。従って、
図2Bは、詳細に上述したトランスデューサー150を有するカテーテル102、及びIVUS制御システム106を含む(
図2A参照)。また、
図2BのPIM104は、
図2Aの参照で記述のとおりである。従って、
図2Bは、パルス送信器212からカテーテル102のトランスデューサー150へ提供される信号223Bを示す。幾つかの実施形態においては、信号223Bは、制御信号221に対するモーター250からの信号220の位相遅延に関わらず、トランスデューサー150のための均一間隔のパルストリガーを含む。従って、信号223Bは、固定速度でのトランスデューサー150への均一間隔の超音波パルスのためのトリガーを含む。IVUS制御システム106は、通信プロトコル回路218により提供された位相遅延信号の知識を用いることにより、ディスプレイ108上に2Dスキャンイメージを十分に形成することができる。これについて、パルス送信器212により均一な時間期間で複数の超音波送信パルスがトリガーされる間、各送信パルスにより生成されたA−スキャンライン260が、IVUS制御システム106により変化する空間方向に配される。
【0025】
図2A及び2Bに整合する幾つかの実施形態においては、モーター制御回路210が、モーター250に多相制御信号を提供する同期制御回路であり得る。幾つかの実施形態においては、モーター制御回路210が、より精密にモーター250の速度を制御するためフィードバックループ及びエンコーダーを有するブラシレスDC制御回路(BLDC)を含み得る。
【0026】
図3Aは、幾つかの実施形態に係る、同期PIM104からの同期信号320、322及び323の部分図を示す。
図3Aにおける水平軸が時間を示し、垂直軸が、電圧である信号強度を示す。全てについて
図2に関して詳細に上述したように、信号320は、回転信号220といった回転信号を表し、信号322は、トランスミッタータイミング信号222といったトランスミッタータイミング信号を表し、及び信号323は、パルス信号223といったパルス信号を表す。従って、幾つかの実施形態においては、信号320は、モーター250内のセンサーを用いて、モーター制御部210によりクロック及びタイミング回路200に提供された低分解能回転信号である;信号322は、クロック及びタイミング回路200によりパルス送信器212へ提供されたトリガー信号であり、パルス信号323をトリガーする;及びパルス信号323が、トランスデューサー150に提供され、超音波励起インパルスを生成し、これが、管組織を通じて伝播してエコー信号を生成する。
【0027】
図3Aは、タイミング信号322及びパルス信号323に対する回転信号320の低周波数を図示する。幾つかの実施形態においては、3つの信号320、322、及び323が同期される。幾つかの実施形態においては、回転信号320が、信号322及び323に対して時間的にある程度シフトする。例えば、幾つかの実施形態においては、回転信号326が、信号322及び323よりも前進し、若しくは回転信号324が、信号322及び323よりも遅延し得る。本開示に整合する実施形態は、モーター信号326又は324を信号322及び323とロックステップ(lockstep)(同調)にさせるのではなく、信号322及び323に対するミスアライメントの正確な値を記録する。BLDCモーターコントローラー210(
図2B参照)を用いる実施形態においては、モーター信号320と信号322及び323の間のミスアライメントが相対的に小さい。なぜなら、BLDCコントローラーが、フィードバックループを含み、モーター速度及び/又は位相を調整し得るためである。オープンループにてモーター250の同期回路を用いる実施形態においては、トランスデューサー150の回転のねじれ非対称性に起因してミスアライメントがより大きい。モーター250に制御信号を提供することによりミスアライメントを解消することを試みるのではなく、本開示に整合する実施形態は、IVUS制御システム106でのデータ処理を通じた正確な2Dイメージを生成するため、各A−スキャンのためにミスアライメント値の記録を提供する。
【0028】
幾つかの実施形態においては、トランスミッタータイミング信号322及びパルス信号323が同一周波数を有し得る。
図3Aに図示のように、トランスミッタータイミング信号322及びパルス信号323の周波数が、回転信号320の周波数よりもかなり高い。幾つかの実施形態においては、タイミング信号322が、回転信号320の周波数よりも512倍高い周波数を有する。従って、幾つかの実施形態においては、回転信号320の2つの連続パルスの間の時間において均等間隔のタイミング信号322の512パルスがある。他の構成も可能であり、回転信号320の2つのパルス間のパルス数が、512よりも大きく、若しくは512よりも小さい。
【0029】
図3Aに図示のように、幾つかの実施形態においては、パルス信号323が、ある時間期間の負の振幅を含む信号プロファイルを有する一連のパルス331を含み、同一の時間期間の正の振幅により直ちに続かれる。パルス信号323の詳細なプロファイルは限定するものではなく、当業者は、他のアレンジ及び構成が用いられ得るものと理解する。パルス信号323は、概して、タイミング信号322よりも高い振幅を有する。パルス信号は、カテーテル102を通じて提供され、トランスデューサー150を駆動し、超音波インパルスを生成する。超音波インパルスが、管組織においてエコー信号を生成し、これが、伝播してトランスデューサー150に戻り、
図3Bに関して以降に詳細に記述の信号324といった電気信号を生成する。概して、IVUSイメージングシステム100のスキャンラインが、信号323における2つの連続のパルス331の間のスキャンラインインターバル310の過程のエコー信号から取得される。
【0030】
図3Bは、幾つかの実施形態に係る、同期PIM104により受け取られた同期エコー324の部分図を示す。
図3Bには、パルス331を有する信号323も明確さのために図示される。同期エコー324が、PIM104の受信アンプ214に提供され、これが、ADC216に送信する前に信号を更に増幅し得る。信号323の一部が、説明のためにエコー324に重ね合わされている。同期エコー324は、超音波がトランスデューサー150及びカテーテル102を被覆するシースの間の食塩水を伝播して通過する時の沈黙部分332を含む。沈黙部分332が、管組織又は他の周囲の構造に関する何らの情報も搬送しない。同期エコー324が、管組織及び/又は生物的及び非生物構造(例えば、ステント)を含む他の周囲構造からの情報を含む組織エコー信号333も含む。
【0031】
図3Bは、組織を通じて伝達した超音波のサイクル又は期間を示す組織エコー333の拡大部分を図示する。超音波は、超音波周波数350fに関連した周波数期間350tを有する。幾つかの実施形態においては、超音波周波数350fが、トランスデューサー150の発振の中心周波数である。例えば、幾つかの実施形態においては、超音波周波数350fが、40MHz(メガヘルツ又は10
6Hz)である。更には、組織エコー333は、中心周波数が周波数350fのバンド幅を有するマルチ周波数を有する信号を含み得る。バンド幅は、トランスデューサー150の応答関数により与えられる。公称(nominal)中心周波数の上限75%まで又は大半のバンド幅が用いられ得る。幾つかの実施形態が、10MHz、20MHz、40MHz、60MHz、80MHz、又はこれよりも高い値の中心周波数の超音波周波数350fを有する。組織エコー333が、受信アンプ214により増幅され、ADC216に提供される。ADC216が、連続のサンプリングポイント336の間のデジタル化インターバル326tを用いることにより、組織エコー333からのアナログ電気信号をデジタル信号に変換する。サンプリングポイント336は、増幅された組織エコー333からADC216により選択される。
【0032】
幾つかの実施形態においては、デジタル化インターバル326t及びサンプリングポイント336の正確な場所が、デジタル化信号226(
図2参照)を用いてADC216により選択される。従って、デジタル化信号226が、回転信号220又は信号320のマルチの周波数を用いることにより、クロック及びタイミング回路200によりADC216に提供される。幾つかの実施形態においては、デジタル化インターバル326tが、超音波期間350tよりも短い。例えば、幾つかの実施形態においては、デジタル化インターバル326tが、数ナノ秒(ns=10
-9sec)長であり、他方、超音波期間350tが、数十ナノ秒である。超音波周波数350fの中心周波数が40MHzの幾つかの実施形態においては、期間326tに対応するデジタル化信号226の周波数326fが、およそ160MHzである。従って、幾つかの実施形態においては、クロック及びタイミング回路200が、非常に異なる周波数スケールで信号220、226、及び221を提供する。
【0033】
パルス331間で正確及び均一間隔のタイミングを有することで、ドップラー測定を含む進歩した信号処理技術の使用が可能になる。従って、連続パルス間のインターバルが均一間隔のため、エコー信号タイミングの正確な制御が取得され、次の送信パルスからの信号との間の干渉が避けられる。送信パルスの均一間隔の時間間隔が、一定のベースラインを提供する。従って、一定の背景レベルを固定アーチファクトとして取り扱うことができ、標準の信号処理を用いて除去できる。
【0034】
幾つかの実施形態においては、送信パルス間のインターバルは、ほんの僅かな超音波期間350t内で均一間隔である。例えば、40MHzの超音波信号について、期間350tが25nsであり、本明細書に開示のクロック及びタイミング回路が、1nsよりも高い安定性で送信パルス323を提供する。例えば、ドップラー信号処理においては、度々、エコー信号324と同期する送信パルス323間の正確なインターバルを有することが望ましい。従って、ドップラー信号処理のため、次のパルス323の対応のデータサンプル336間の相対的な位相が用いられ、組織運動(血液、管壁の収縮等)を正確に決定する。幾つかの実施形態においては、信号320(220)、322(220)、323(223)、及び324(224)間の正確な同期により、進歩したデータ処理アルゴリズムが可能又は改善される。例えば、幾つかの実施形態は、スキャンライン間の相関処理を用いて、アンチNURDアルゴリズムをサポートする。進歩した相関技術では、本開示に整合する実施形態のように、連続のスキャンライン間の相対的な位相が良く検知され、正確に制御されることが望ましい。高いパルス繰返し周波数(prf、例えばパルス信号324の周波数)を用いた他の進歩した処理技術が、上述した同期モーター制御部から利益を得る。これらの技術の幾つかは、同期データ取得、信号平均化によるノイズ減、ダイナミックレンジ改良アルゴリズム、及びパルス反転ハーモニック処理を含む。概して、高いprfから利益を得るデータ処理技術は、本開示に整合した実施形態において用いられる。なぜなら、
図3A及び3Bに開示の均一間隔のシグナリングスキームが、高いprfの使用を可能にするためである。
【0035】
幾つかの実施形態においては、均一間隔のトリガーパルスの使用が、パルス反転ハーモニック技術の使用を可能にする。パルス反転ハーモニックは、非線形音響測定において用いられる進歩した信号処理である。非線形音響効果が、組織特徴のための詳細な情報を提供する。パルス反転ハーモニックは、一次効果(linear effects)が取り消される(非線形性が、平方関数として機能し、従って、除去されない)ように正及び負のパルスを送信することによりハーモニック歪を解消する。この点について、同一の位相を有する次のパルスにより生成されるエコー信号の重複が望ましくない。従って、ドップラー測定におけるように、パルスのタイミング精度及び干渉の回避が関連する。例えば、数ピコ秒(例えば、10ピコ秒)まで下げた精度が望ましい。幾つかの実施形態が、ドップラー測定用途及びパルス反転用途の両方において100ピコ秒又は1ナノ秒の時間精度を提供する。
【0036】
従って、全パルス331について均一なインターバル送信310が、モーターポジショニングに関わらず望ましい。高レベルのデータ分析のため、単位回転当たりのパルス(ppr)の最大数を利用可能に持つことが望ましい。送信パルス331と超音波エコー信号の間の干渉を避けるため、スキャンラインインターバル310は、パルスが約7mmの組織深さまで伝播して戻るのに要する時間未満ではない。この点について、固定インターバル送信310が、典型的には、多数のpprを与える。幾つかの実施形態においては、スキャンラインインターバルが、少なくとも10μsであることが望ましい。これについて、信号323の周波数が約100KHzであり、幾つかの実施形態においては、約3000パルス/回転の回転速度にとって約3000pprをもたらす。
【0037】
図4Aは、幾つかの実施形態に係るモーター450の部分図を示す。モーター450は、シャフト414、及びモーター内の組み込まれた多数の位置センサー455−1〜455−3(一括してセンサー455と呼ばれる)を含む。
図4Aにはモーター制御部410も開示され、幾つかの実施形態においては、モーター450の外部上に実装され得る。モーター450、シャフト414、及びモーター制御部410は、モーター250、シャフト114、及びモーター制御部210(
図2参照)に関して詳細に上述したとおりである。モーター450に含まれる正確な数のセンサー455が、用途に応じて変化し、
図4に具現の概要のコンセプトに限定するものではない。センサー455が、モーター450のシャフト414の回転状態を検出する。幾つかの実施形態においては、シャフト414の位置が、シャフト414の中心に位置付けられたマグネット460により示される。センサー455が、光検出器及び信号、又は電磁センサー及び信号を含み得る。例えば、幾つかの実施形態においては、センサー455が、少なくとも一つのホール効果センサーを含み、マグネット460における反対の極性(例えば、ノースN、及びサウスS)により生成される磁場を測定する。
【0038】
幾つかの実施形態は、センサー455においてエンコーダーを含み、ホール効果センサーよりも高い分解能を提供する。幾つかの実施形態が、オープンループにおいて動作する同期モーターコントローラーを含むが、モーター制御部410における平衡回路が、効率的な動作、十分なトルクを可能とし、モーター過熱を避ける。フィードバックループを持つBLDCコントローラーを用いる実施形態は、高分解能エンコーダーを用い、各パルスについて正確なモーター位置を記録する。
【0039】
図4Aは、モーター制御部410に速度制御信号421を提供し、モーター制御部410から回転信号420を伝送するケーブルを図示する。
図2に関して詳細に上述したように、速度制御信号421が速度制御信号221のようであり、回転信号420が回転信号220のようである。従って、速度制御信号421が、クロック及びタイミング回路200といったクロック及びタイミング回路によりモーター制御部410に提供される。回転信号420が、モーター制御部410により、通信プロトコル回路218(
図2参照)といった通信プロトコル回路に提供される。従って、IVUS制御システム106が、ローター414の位相の正確な値を用いてデータ処理を実行する。
【0040】
図4Bは、本開示の幾つかの実施形態に係る多相モーター駆動波形465の部分図を示す。従って、波形465が、波形465−1、465−2、及び465−3により提供される3つの位相を含む。これについて、マグネット460がシャフト414にて完全な回転をする時、波形465−1がセンサー455−1により提供され、波形465−2がセンサー455−2により提供される。また、波形465−3がセンサー455−3により提供される。波形465が、同一又は同様の周波数を有し、お互いに位相にて分離されている。
図4Bに示すように、波形465は、モーター450の回転のサイクルについて6つの異なる位相構成470−1、470−2、470−3、470−4、470−5、及び470−6(以降、一括して構成470と呼ばれる)を規定する。従って、多相波形465における各センサーの位相状態を特定することにより、シャフト414の位置が精密に決定される。従って、幾つかの実施形態においては、多相波形465が、通信プロトコル回路218に提供される信号420に含まれる。同様に、多相波形465が、モーターコントローラー410の参照として制御信号421に含まれ、シャフト414の実際の位置とシャフト414の名目位置の間の位相遅延を決定する。
【0041】
図5は、本開示の幾つかの実施形態に係る、同期信号521、522、及び526を生成するクロック及びタイミング回路500の部分概略図を示す。クロック及びタイミング回路500は、局部発振器510、フェーズロックループ(PLL)515、及び分周器回路516、517−1、517−2、及び518を含む。局部発振器510は、電圧制御発振器又は水晶発振器であり得る。分周器回路518は、分周因子518fを用いて、デジタル化クロック信号526をADC回路216に提供する。同様に、分周器回路517−1が、分周因子517f1を用いて、パルス整形信号522−1をパルス送信器212に提供する。例えば、パルス整形信号は、パルス信号の公称中心周波数で一サイクルのプロファイルであり得る。分周器回路517−2が、分周因子517f2を用いて、パルス送信器212にパルス繰返し周波数(prf)522−2を提供する。例えば、パルス整形信号522−1及びprf522−2を用いて、パルス送信器212が、固定インターバル310の間隔の公称中心周波数の多数の一サイクルのパルスを有する信号223をトランスデューサー150に提供する。分周器回路516が、分周因子516fを用い、モーター250(
図2A参照)又はモーター450(
図4A参照)といったモーターに多相信号521を提供する。
【0042】
図5の説明例のように、水晶発振器510が、640MHzにおおよそ近い周波数で動作する。次に、約四(4)の分周因子518fが、約160MHzのADCクロック信号526に帰結する。これについて、分周因子517fが、分周因子518fからカスケードし、640MHzに対する十六(16)の全分周因子について、4の更なる分周因子を提供する。つまり、中心周波数が約40MHzの応答周波数を有するトランスデューサー150について、信号522−1が、約40MHz(640MHz/16)である。分周因子517f2が、432の更なる因子により517f1からカスケードされ、約92.5KHz(640MHz/16/432)の周波数を有するprf522−2に帰結する。更には、分周因子516fが分周因子517f2からカスケードして下がり、640MHzに関して約3072の更なる分周因子を提供する。つまり、信号521が約30.14Hz(640MHz/16/432/3072)である。分周因子の特定値及び周波数が、本開示に整合する実施形態への限定なしで用途に応じて変化する。当業者は、異なる周波数及び分周因子が、本明細書に開示の実施形態に整合するクロック及びタイミング回路500の任意のステージで用いられるものと理解する。
【0043】
幾つかの実施形態は、モーター速度を直接的に制御することに代えて、モーター位相モニタリングアルゴリズムを使用することを含む。そのような実施形態においては、多相波形は、平均モーター速度が公称値(例えば、毎秒30回転−30Hz−)に維持されることを保証する。幾つかの実施形態は、通信プロトコル回路218に伝送される信号としてPLL515において検出されるモーター位相遅延を用いる。従ってモーター上の負荷が変化するとき、実際のモーター位相(又は、モーターコントローラー410により決定される回転位置、
図4参照)と所望のモーター位相の間の位相遅延又はリードが、IVUS制御システム106により記録される。幾つかの実施形態においては、PLL515が、モーターに提供される電圧を調整し、最適値に向けて位相リード/遅延を変化させ、モーター450がより効率的に動作する。
【0044】
同期PIM104を用いたシステム100といったIVUSイメージングシステムの実施形態が、モーター制御回路のエンコーダーを除去することにより単純な機械ハードウェアを提供する。幾つかの実施形態は、負荷とは独立して、安定したモーター速度も提供する。回路200(
図2参照)又は回路500(
図5参照)といったクロック及びタイミング回路を用いることにより、制御エレクトロニクスが、同期PIM104に配置される。
【0045】
図6は、本開示の幾つかの実施形態に係る回転式IVUSのための出射制御システムにおける同期信号を生成するための方法600のフローチャートの部分図を示す。幾つかの実施においては、方法600の側面が、同期PIM104(
図1参照)といったPIMにより実行される。
【0046】
方法600は、分散したシステム設計を促進し、出射制御及び取得がPIM内に置かれ、コンソールハードウェアが、信号処理及びイメージ表示機能に集中できる。本明細書に開示のタイミングスキームでは、送信トリガータイミング及びデータ取得回路が、PIMハードウェアに負わされ、IVUS制御システム106から分散されたタイミング機能が提供される(
図1参照)。本開示に整合する実施形態が、(制御システム106に通信接続される特定モダリティーインターフェイス(例えば、IVUSのためのPIM)内の特定モダリティー機能を有する)マルチモダリティーシステムのため集中信号処理源としてIVUS制御システム106を提供する。従って、方法600のステップが、PIM104により、及びIVUS制御システム106により部分的に実行される。
【0047】
ステップ610は、アナログデジタル変換器回路にクロック信号を提供することを含む(例えば、ADC216への信号226、
図2A参照)。ステップ620は、公称中心周波数で多相クロック信号をパルス送信器に提供することを含む(例えば、パルス送信器212に信号222を提供する、
図2A参照)。ステップ630は、パルス繰返し周波数クロック信号をパルス送信器に提供することを含む(例えば、prf522−2、
図5参照)。ステップ640が、モーターコントローラー参照クロック信号をモーター用のモーターコントローラー回路に提供することを含む(例えば、モーター制御部210に信号221を提供する、
図2A参照)。ステップ650は、多相、モーター駆動波形をモーターコントローラー回路に提供することを含む(例えば、波形465、
図4参照)。ステップ660は、モーター駆動信号を調整して安定したモーター位相を維持することを含む。ステップ670は、モーター位相をモニタリングし、データ処理用の通信プロトコル回路(例えば、回路218、
図2A参照)にモーター位相を提供することを含む。
【0048】
出射制御及び取得機能をPIM内に移動することにより、コンソール106内により大きい信号処理能力が提供され、次に、これが用いられ、多大なプロセッサー負担であるエコー信号基準NURD低減スキームが実施される。これについて、NURD低減アルゴリズムが、以降に詳述のように、方法600に整合する実施形態の高prf同期能力に組み合わされる。
【0049】
上述の本発明の実施形態は、単なる例である。当業者は、詳細に開示されたところから様々な代替の実施形態を理解する。これらの代替の実施形態は、また、この開示の範囲内にあることが意図される。そのため、本発明は、次の請求項によりのみ限定される。