(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電気的テスト・シーケンスは、少なくとも2つの異なる周波数の低振幅信号のACブロック(交流ブロック)を更に備える、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
前記ACブロックは、前記少なくとも1つのDCブロックの前に、前記少なくとも1つのDCブロックの後に、または、前記少なくとも1つのDCブロックの中で印加される、請求項4に記載の方法。
前記周波数は、およそ10kHz、およそ20kHz、およそ10kHz、およそ2kHz、および、およそ1kHzであり、各々が、およそ0.5秒からおよそ1.5秒の間、印加される、請求項4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この方法、デバイス、装置およびシステムは、次に、以下に、添付の図面を参照して、より充分に記述される。本願発明の概念の実施形態が、すべてではないが、いくつかが示される。実際に、この方法、デバイス、装置、および、システムは、多くの異なる形で具体化することができ、そして、ここに述べられる実施形態に限られたものとして解釈されてはならない。むしろ、これらの例示的実施形態は、本願開示が適用可能な法的要求を満たすように、提供される。
【0022】
同様に、多くの修正、そして、ここに記述される方法、デバイス、装置およびシステムの他の実施形態は、前述の記載および関連する図面に提示された教示に利益を有する、本願開示に関係する当業者には思い浮かぶであろう。したがって、この方法、デバイス、装置、および、システムは、開示された特定の実施形態に制限されるものではないこと、および、修正や他の実施形態が、本願に添付された特許請求の範囲の中に含まれることを意図するものであることが理解されるべきである。特定の用語がここにおいて使用されるが、それらは、一般的、説明的な意味においてのみ使用されており、制限の目的のためではない。
【0023】
とくに、他のように定義されない限り、ここで使用されるすべての技術的、科学的な用語は、本願開示が属する技術領域における当業者に共通に理解されるものと同一の意味を持つ。ここに記述されるものと同様であるか等しいいかなる方法および材料は、この方法、デバイス、装置およびシステムの実施またはテストにおいて使用することができるけれども、好適な方法および材料が、ここに、記述される。
【0024】
さらに、不定冠詞「a」または「an」による要素への参照は、文脈が、1つであって、1つの要素のみであることを明らかに要求しない限り、複数の要素が存在するという可能性を排除しない。不定冠詞「a」または「an」は、したがって、通常、「すくなくとも1つ」を意味する。
【0025】
[概要]
温度変化が存在する場合でさえ、信頼できる方法で、分析物濃度を提供する少なくとも1つのDC回復パルスから導出された応答情報を使用する測定分析物方法が、ここに開示される。これらの測定方法は、また、温度などの交絡変数の影響を減らすために使用することができる。それによって、より「真の」分析物濃度を提供する。
【0026】
ここに開示された測定方法は、主に電流法(amperometry)を利用する。しかしながら、この方法は、(例えば、電量分析、ポテンシオメトリィーまたはボルタンメトリーなど)他の電気化学的な測定方法とともに使用することができると考えられる。例示的な電気化学測定方法に関するさらなる詳細が、例えば、米国特許第4,008,448号、第4,225,410号、第4,233,029号、第4,323,536号、第4,891,319号、第4,919,770号、第4,963,814号、第4,999,582号、第4,999,632号、第5,053,199号、第5,108,564号、第5,120,420号、第5,122,244号、第5,128,015号、第5,243,516号、第5,288,636号、第5,352,351号、第5,366,609号、第5,385,846号、第5,405,511号、第5,413,690号、第5,437,999号、第5,438,271号、第5,508,171号、第5,526,111号、第5,627,075号、第5,628,890号、第5,682,884号、第5,727,548号、第5,762,770号、第5,858,691号、第5,997,817号、第6,004,441号、第6,054,039号、第6254736号、第6,270,637号、第6,645,368号、第6,662,439号、第7,073,246号、第7,018,843号、第7,018,848号、第7,045,054号、第7,115,362号、第7,276,146号、第7,276,147号、第7,335,286号、第7,338,639号、第7,386,937号、第7,390,667号、第7,407,811号、第7,429,865号、第7,452,457号、第7,488,601号、第7,494,816号、第7,545,148号、第7,556,723号、第7,569,126号、第7,597,793号、第7,638,033号、第7,731,835号、第7,751,864号、第7,977,112号、第7,981,363号、第8,148,164号、第8,298,828号、第8,329,026号、第8,377,707号、および、第8,420,404号、ならびに、米国再発行特許第36268号、第42560号、第42924号、および、第42953号などの中で開示される。
【0027】
有利なことに、ここに記述される方法は、より、正確に、そして、速く、ブドウ糖濃度、特に血糖濃度などの分析物濃度を報告するために、SMBGデバイス、装置およびシステムに組み込むことができる。
【0028】
さらに、これらの測定方法は、先進のマイクロプロセッサ・ベース・アルゴリズム、および、システム性能を劇的に向上する結果となるプロセスを使用してインプリメントすることができる。これらの方法は、また、10/10パフォーマンスなどのパフォーマンス向上を達成することができるアルゴリズムをつくる方法の柔軟性と数を提供する。ここに使われるように、「10/10パフォーマンス」は、測定されたbG値が、bG濃度>100mg/dLに対して実際のbG値のおよそ±10%内にあり、bG濃度<100mg/dLに対して実際のbG値のおよそ±10mg/dLにあることを意味する。
【0029】
ここに開示される方法を実行するのに役立つことができる追加的な電気化学的な測定方法に関する詳細は、「バイオセンサ・アルゴリズムを構築に用るスケーリング・データの方法ならびにデバイス、装置およびそれらを組み込むシステム」出願人ドケット番号第31518号、「パルスDCブロックを有するテスト・シーケンスで分析物を電気化学的に測定する方法およびデバイス、装置とそれらを組み込むシステム」出願人ドケット番号第31519号および第31521号、「分析物の電気化学的な測定をフェイルセーフにする方法ならびにデバイス、装置およびそれらを組み込むシステム」ドケット番号第31520号、「分析物を電気化学的に測定するディスクリプタ・ベースの方法およびデバイス、装置とそれらを組み込むシステム」ドケット番号第31523号、および、「電気化学的な測定の間に高い酸化防止剤濃度を検出し、そこから分析物濃度をフェイルセーフにするする方法およびデバイス、装置とそれらを組み込むシステム」ドケット番号第31524号と題された出願中の特許出願の中に見ることができる。
【0030】
[分析物測定デバイス、装置およびシステム]
本願発明の測定方法を記述する前に、そして、それに関連して、
図1は、電気化学的なバイオセンサ20に有効に結合するテスト・メーター11(テスト要素としても知られる)などのデバイスを含む例示的な分析物測定システムを示す。メーター11およびバイオセンサ20は、バイオセンサ20に提供される1つ以上の流体サンプルの分析物の濃度を決定するように操作可能である。いくつかのインスタンスにおいては、そのサンプルは、例えば、全血、血漿、血清、尿または唾液など体液サンプルであることができる。他のインスタンスにおいては、流体サンプルは、水性環境サンプルなどの1つ以上の電気化学的に反応性分析物の存在または濃度に対して検査される別のタイプのサンプルであることができる。
【0031】
図1において、バイオセンサ20は、メーター11の接続端子14に取り外し可能に挿入される単一回使用テスト・ストリップである。いくつかのインスタンスにおいて、バイオセンサ20は、血糖テスト要素として構成され、ブドウ糖を電気化学的に測定する特徴と機能性を含む。他のインスタンスにおいては、バイオセンサ20は、例えば、アミノ酸、抗体、バクテリア、炭水化物、薬、脂質、マーカ、核酸、ペプチド、タンパク質、毒素、ウイルス、および、他の分析物など1つ以上の他の分析物を電気化学的に測定するように構成される。
【0032】
メーター11は、ユーザーに、分析物濃度または他の試験結果を含む種々の情報を示すのに用いられる電子ディスプレイ16、および、ユーザー入力を受信するためのユーザ・インタフェース50を含む。メーター11は、信号をバイオセンサ20に印加し、バイオセンサ20に対して1つ以上の応答を測定するために、テスト信号を生成するために操作可能であるマイクロコントローラおよび関連テスト信号生成測定回路(図示せず)を更に含む。いくつかのインスタンスにおいて、メーター11は、血糖測定メーターとして構成することができ、小冊子「アキュチェックアビバ(登録商標)血糖測定メーター・オウナーのブックレット」(2007)で解説されるように、アキュチェックアビバ(登録商標)メーターの特徴および機能を含む。その一部分が、米国特許第645368号に開示されている。他のインスタンスにおいて、メーター11は、例えば、アミノ酸、抗体、バクテリア、炭水化物、薬、脂質、マーカ、核酸、タンパク質、ペプチド、毒素、ウイルス、および、他の分析物の1つ以上の他の分析物を電気化学的に測定するように構成することができ、電気化学的な測定方法の用途に構成された例示的なメーターに関するさらなる詳細が、例えば、米国特許第4,720,372号、第4,963,814号、第4,999,582号、第4,999,632号、第5,243,516号、第5,282,950号、第5,366,609号、第5,371,687号、第5,379,214号、第5,405,511号、第5,438,271号、第5,594,906号、第6,134,504号、第6,144,922号、第6,413,213号、第6,425,863号、第6,635,167号、第6,645,368号、第6,787,109号、第6,927,749号、第6,945,955号、第7,208,119号、第7,291,107号、第7,347,973号、第7,569,126号、第7,601,299号、第7,638,095号、および、第8,431,408号、などの中で開示される。
【0033】
当業者は、ここに記述される測定方法は、他の測定デバイス、装置、システム、そして、例えば、病院テスト・システム、研究所テスト・システム、および、その他の環境において、使用することができることを理解する。
【0034】
バイオセンサとメーターは、
図1に示されるものに加えて、または、それらの代わりに、更なるおよび/または代替の属性と特徴を含むことができることが理解されるべきである。例えば、バイオセンサは、長方形の形状を有する単一回使用、使い捨て電気化学的テスト・ストリップの形であることができる。バイオセンサは、例えば、異なる構成、大きさ、または形状のテスト・ストリップ、非ストリップ・テスト要素、使い捨てのテスト要素、再使用可能テスト要素、マイクロ・アレイ、ラボ・オンチップ・デバイス、バイオ・チップ、バイオ・ディスク、バイオcds、または、他のテスト要素などの異なる形を含むことができることが理解される。電気化学的な測定方法の用途に構成された例示的なバイオセンサに関するさらなる詳細が、例えば、米国特許第5,694,932号、第5,762,770号、第5,948,695号、第5,975,153号、第5,997,817号、第6,001,239号、第6,025,203号、第6,162,639号、第6,245,215号、第6,271,045号、第6,319,719号、第6,406,672号、第6,413,395号、第6,428,664号、第6,447,657号、第6,451,264号、第6,455,324号、第6,488,828号、第6,506,575号、第6,540,890号、第6,562,210号、第6,582,573号、第6,592,815号、第6,627,057号、第6,638,772号、第6,755,949号、第6,767,440号、第6,780,296号、第6,780,651号、第6,814,843号、第6,814,844号、第6,858,433号、第6,866,758号、第7,008,799号、第7,063,774号、第7,238,534号、第7,473,398号、第7,476,827号、第7,479,211号、第7,510,643号、第7,727,467号、第7,780,827号、第7,820,451;号、第7,867,369号、第7,892、849号、第8,180,423号、第8,298,401号、第8,329,026号、ならびに、米国再発行特許第42560号、第42924号、および、第42953号などの中で開示される。
【0035】
[測定方法]
上記したように、ここに記述される測定方法は、少なくとも1つのDCブロックを有するテスト・シーケンスからの応答情報を使用することを含む発明の概念に基づいている。ここで、このDCブロックは、少なくとも1つの回復パルスを更に含み、電気化学的なバイオセンサの電極システムの閉路状態が、DCブロックの間、維持される。具体的には、この測定方法は、分析物濃度の上の例えば温度などの交絡変数を補正および/または補償するために、少なくとも1つの回復パルスから導出された応答情報を使用する。
【0036】
これらの方法に共通するいくつかのステップは、励起および回復パルスの少なくとも1つのDCブロックを有するテスト・シーケンスを、体液サンプルのような流体サンプルに印加し、DCブロックたいする電流応答を測定することである。他のインスタンスにおいては、このテスト・シーケンスは、この少なくとも1つのDCブロックに接続する低振幅信号のACブロックを含むことができる。さらに他のインスタンスにおいて、追加的なACおよび/またはDCブロックは、テスト・シーケンスに含まれることができる。
【0037】
図2A−
図2Bは、SMBGおよび他のテスト・システムに関連して使用することができる例示的なテスト・シーケンスを示す。ここで、このテスト・シーケンスは、ACおよび/またはDC電位の1つ以上のブロックを含む。例えば、そのテスト・シーケンスは、(1)複数の低振幅信号のACブロック、および、(2)短い期間(例えば、およそ50−500ミリ秒)の、同様に短い期間(例えば、およそ50−500ミリ秒)の回復パルスにより分離されるおよそ450mVの励起パルスのDCブロック、などの、制御されたDCパルス・プロファイル・シーケンスが続くACブロックを含むことができる。その間、閉回路0mVの回復電位が印加される。
【0038】
テスト・シーケンスの部分のとき、このACブロックは、例えば、およそ2つのセグメントからおよそ10のセグメント、およそ3つのセグメントからおよそ9つのセグメント、およそ4つのセグメントからおよそ8つのセグメント、およそ5つのセグメントからおよそ7つのセグメント、または、およそ6つのセグメントの複数のACセグメントを含むことができる。他のインスタンスにおいて、ACブロックは、およそ2つのセグメント、およそ3つのセグメント、およそ4つのセグメント、およそ5つのセグメント、およそ6つのセグメント、およそ7つのセグメント、およそ8つのセグメント、およそ9つのセグメント、またはおよそ10セグメントを含むことができる。さらに他のインスタンスにおいて、ACブロックは、10以上のセグメント、すなわち、およそ15のセグメント、およそ20のセグメント、または、およそ25のセグメントを有することができる。さらに他のインスタンスにおいては、ACブロックは、1つのセグメントを含むことができ、ここで、このセグメントは、複数の低周波AC信号を同時に印加しておく。
【0039】
当業者は、ACセグメントの数は、応答の複雑さ、関連する周波数範囲および、測定を実行するために利用可能な時間によって制限されることを理解する。より高い周波数は、一般に、高帯域エレクトロニクス、および、より速いサンプリングを必要とする。しかるに、低い周波数は、より長くかかり、そして、典型的には、よりノイズが多い。したがって、セグメントの最大数は、これらのパラメータ、最小限のカウントを選ぶこと、および、対象の、サンプルおよび環境および/または干渉物質を識別するのに必要な周波数スパンを考慮したものである。
【0040】
ここに使われるように、「およそ(about)」は、述べられた濃度、長さ、分子量、pH、電位、時間フレーム、温度、電圧、または、ボリュームなどの値の統計学的に意味がある範囲の中であることを意味する。そのような値または範囲は、大きさのオーダが、典型的には、所定の値のまたは範囲の20%以内、より典型的には10%以内、そして、さらにより典型的には5%以内にあることであり得る。「およそ(about)」によって含まれる許容されるバリエーションは、検討中の特定のシステムに依存し、当業者には、すぐに理解される。
【0041】
このACブロックの各々のセグメントの各々の信号の周波数は、およそ1kHzからおよそ20kHzまで、およそ2kHzからおよそ19kHzまで、およそ3kHzからおよそ18kHzまで、およそ4kHzからおよそ17kHzまで、およそ5kHzからおよそ16kHzまで、およそ6kHzからおよそ15kHzまで、およそ7kHzからおよそ14kHzまで、およそ8kHzからおよそ13kHzまで、およそ9kHzからおよそ12kHzまで、または、およそ10kHzからおよそ11kHzまで、であることができる。他のインスタンスにおいて、ACブロックの各々のセグメントの周波数は、およそ1kHz、およそ2kHz、およそ3kHz、およそ4kHz、およそ5kHz、およそ6kHz、およそ7kHz、およそ8kHz、およそ9kHz、およそ10kHz、およそ11kHz、およそ12kHz、およそ13kHz、およそ14kHz、およそ15kHz、およそ16kHz、およそ17kHz、およそ18kHz、およそ19kHz、または、およそ20kHzでありえる。さらに他のインスタンスにおいて、ACブロックの各々のセグメントの各々の信号の周波数は、20kHzより大きい、すなわち、およそ30kHz、およそ40kHz、または、およそ50kHzことがあることがありえる。いくつかのインスタンスにおいて、そのセグメントの1つ以上が、同じ周波数を持つことができ、しかるに、他のインスタンスにおいて、各々のセグメントが、他のセグメントから異なる周波数を持つ。4つの周波数は、しかしながら、一般的に、十分である。使用される正確な周波数は、測定システムクロックの最大周波数の簡単な整数の割り算によってすぐに生成することができる。
【0042】
ACブロックのセグメントにおける信号の最大周波数制限は、しかしながら、安価で、電池駆動のハンドヘルド機器に対して、およそ100kHzまでであり得る。それを越えると、アナログ帯域幅、サンプリング・レート、ストレージ、および、処理スピードに対する要求の増加が、急速に加算される。一方、典型的なバイオセンサ応答の虚部が、周波数でますますより小さくなる。低い周波数は、より長い期間を有し、そして、比較的正確にサンプルするのにより長い時間をかける。
【0043】
ACブロックは、典型的には、少なくとも2つの異なる低振幅信号を含む。例えば、このACブロックは、例えば、およそ10kHzまたはおよそ20kHz、続いて、およそ1kHzまたはおよそ2kHzの2つの周波数においての2つのセグメントを含むことができる。他のインスタンスにおいて、このACブロックは、複数の低振幅信号を含む。例えば、ACブロックは、例えば、およそ10kHz、およそ20kHz、およそ10kHz、およそ2kHz、および、およそ1kHzの4つの周波数において、5つのセグメントを持つことができる。代替的に、ACブロックは、例えば、およそ20kHz、およそ10kHz、およそ2kHz、および、およそ1kHzの4つの周波数において、4つのセグメントを持つことができる。代替的に、ACブロックは、およそ10kHz、およそ20kHz、およそ10kHz、およそ2kHz、および、およそ1kHzにおいて、4つの同時に印加される周波数を持つことができる。更に代替的に、ACブロックは、所望の低振幅AC信号を同時に印加する多重周波数励起波形を有することができる。AC周波数は、順次印加される、または、結合されて、同時に印加され、フーリエ変換を介して分析されることができる。
【0044】
このACブロックは、およそ500ミリ秒からおよそ1.5秒、およそ600ミリ秒からおよそ1.25秒、およそ700ミリ秒からおよそ1秒、または、およそ800ミリ秒からおよそ900ミリ秒の間印加されることができる代替的に、このACブロックは、およそ500ミリ秒、およそ600ミリ秒、およそ700ミリ秒、およそ800ミリ秒、およそ900ミリ秒、およそ1秒、およそ1.25秒、または、およそ1.5秒間印加されることができる特に、ACブロックは、およそ100ミリ秒からおよそ300ミリ秒の間、印加される。
【0045】
当業者は、しかしながら、数、周波数、期間、そして、ACセグメントの順序は、変化し得ることを理解する。
【0046】
AC電流応答情報を、テスト・シーケンスの間のいつでも得ることができる。低い周波数におけるインピーダンス結果は、電気化学的なセルがDC分極した後に得られる場合、分析物濃度によって影響され得る。いくつかのインスタンスにおいて、一連のAC電流応答測定を、テスト・シーケンスの初期に得られることができる。流体サンプルがバイオセンサに適用された直後にされた測定は、拡散、温度および、試薬可溶性によって、影響される。他のインスタンスにおいては、AC応答電流測定は、応答が安定し、最初の1秒の過渡応答を避けることができるように、十分なサンプルが印加されたあと、十分な時間において得ることができる。同様に、応答電流測定は、1つ以上の周波数において、行うことができる。それらの容量的な特性のために、周波数オクターブまたはディケードにより分離された複数のAC測定は、異なる感度またはより簡単な操作を提供することができる。
【0047】
電気化学的な測定方法における例示的なACブロックに関するさらなる詳細が、例えば、米国特許第7,338,639号、第7,390,667号、第7,407,811号、第7,417,811号、第7,452,457号、第7,488,601号、第7,494,816号、第7,597,793号、第7,638,033号、第7,751,864号、第7,977,112号、第7,981,363号、第8,148,164号、第8,298,828号、第8,377,707号、および、第8,420,404号などの中で開示される。
【0048】
少なくとも1つのDCブロックに関して、それは、およそ0mVと所定の正電位差との間で交流する定常的に印加される電位差、あるいは、従来のDC電気化学的な方法によって分析することができる他のよりゆっくり変化する電位差を含む。しかしながら、当業者は、応用電位差の範囲は、使用される分析物と試薬化学に依存して、異なることができ、また、異なることを理解する。
【0049】
このDCブロックは、例えば、およそ2パルスからおよそ10パルスまで、およそ3パルスからおよそ9パルスまで、およそ4パルスからおよそ8パルスまで、およそ5パルスからおよそ7パルスまで、または、およそ6つのパルスの複数のパルスを含むことができる。他のインスタンスにおいては、DCブロックは、およそ2つのパルス、およそ3パルス、およそ4パルス、およそ5パルス、およそ6パルス、およそ7パルス、およそ8パルス、およそ9パルス、または、およそ10のパルスを含むことができる。さらに他のインスタンスにおいて、DCブロックは、10以上のパルス、すなわち、およそ15のパルス、およそ20のパルス、または、およそ25のパルスを有することができる。ここに使われるように、「パルス(pulse)」は、少なくとも1つの励起および/または1つの回復期間を意味する。しかしながら、パルスの数は、典型的には、テスト・シーケンスに対して使用可能時間により制限される。より短い期間は、電極表面から更に深くしらべ、試薬の厚さと拡散モディファイアーに対する感度を増加する。
【0050】
DCブロックにおける各々のパルスの電位は、およそ0mVから450mV、およそ10mVから425mV、およそ15mVから400mV、およそ20mVから375mV、およそ25mVから350mV、およそ30mVから325mV、およそ35mVから300mV、およそ40mVから275mV、およそ45mVから250mV、およそ50mVから225mV、およそ75mVから200mV、およそ100mVから175mV、または、およそ125mVからおよそ150mVであることができる。他のインスタンスにおいては、DCブロックにおける各々のパルスの電位は、およそ1mV、およそ10mV、およそ15mV、およそ20mV、およそ25mV、およそ30mV、およそ35mV、およそ40mV、およそ45mV、およそ50mV、およそ60mV、およそ70mV、およそ80mV、およそ90mV、およそ100mV、およそ110mV、およそ120mV、およそ130mV、およそ140mV、およそ150mV、およそ160mV、およそ170mV、およそ180mV、およそ190mV、およそ200mV、およそ210mV、およそ220mV、およそ230mV、およそ240mV、およそ250mV、およそ260mV、およそ270mV、およそ280mV、およそ290mV、およそ300mV、およそ310mV、およそ320mV、およそ330mV、およそ340mV、およそ350mV、およそ360mV、およそ370mV、およそ380mV、およそ390mV、およそ400mV、およそ410mV、およそ420mV、およそ430mV、およそ440mV、または、およそ450mVであることができる。さらに他のインスタンスにおいて、DCブロックの各々のパルスの電位は、450mVより高い、すなわち、およそ475mV、およそ500mV、およそ525mV、およそ550mV、およそ575mV、およそ600m、およそ625mV、およそ650mV、およそ675mV、およそ700mV、およそ725mV、または、およそ750mVであることができる。さらに他のインスタンスにおいて、励起パルス電位は、およそ、+450mVより大きく、より小さく、または、等しくなることができる。いくつかのインスタンスにおいては、そのパルスの1つ以上が、同じ電位を持つことができ、しかるに、他のインスタンスにおいて、各々のパルスは、他のパルスと異なった電位を持つ。
【0051】
上記したように、印加されたDC電位は、回復パルスを提供するために、励起パルスの間で、およそ0mVに固定することができる。このように、それを、一般に、連続的励起波形にする。これは、正のDCパルスの間で開放回路の使用を定める既知の技術からのテスト信号シーケンスと対照的である。それによって、正のパルスの間の電流を収集し分析することの可能性を排除する。
【0052】
その数に関係なく、各々のDCパルスを、およそ50ミリ秒からおよそ500ミリ秒まで、およそ60ミリ秒からおよそ450ミリ秒まで、およそ70ミリ秒からおよそ400ミリ秒まで、およそ80ミリ秒からおよそ350ミリ秒まで、およそ90ミリ秒からおよそ300ミリ秒まで、およそ100ミリ秒からおよそ250ミリ秒まで、およそ150ミリ秒からおよそ200ミリ秒まで、または、およそ175ミリ秒の間、印加することができる。代替的に、各々のパルスは、およそ50ミリ秒、およそ60ミリ秒、およそ70ミリ秒、およそ80ミリ秒、およそ90ミリ秒、およそ100ミリ秒、およそ125ミリ秒、およそ150ミリ秒、およそ175ミリ秒、およそ200ミリ秒、およそ225ミリ秒、およそ250ミリ秒、およそ275ミリ秒、およそ300ミリ秒、およそ325ミリ秒、およそ350ミリ秒、およそ375ミリ秒、およそ400ミリ秒、およそ425ミリ秒、およそ450ミリ秒、およそ475ミリ秒、または、およそ500ミリ秒の間、印加することができる。特に、+450mVにおける各々のDCパルスは、およそ250ミリ秒印加されることができ、そして、0mVにおける各々のDCパルスは、およそ500ミリ秒間、印加されることができる。さらに、代替的に、各々のパルスは、およそ50ミリ秒より少ない間、または、500ミリ秒より多くの間印加されることができる。その期間は、十分に長くなければならない、または、充電電流を避けるのに十分に、ソフトな、始まりでなければならない。ともかく、パルス持続時間は、合理的な50/60Hzノイズ除去を可能にするのに十分長く適用されなければならないさらに、パルスの間の時間は、理想的には、電気化学的セルが放電し、そのプレ・パルス状態の近くに復帰するのを可能にするために、十分に長いものである。更にまた、動作電位は、メディエータおよび測定システムに依存する。この中の例は、NA派生酸化還元メディエータの原理実証を示す。
【0053】
一般的に、各々のDCパルスの傾斜率は、ほとんど理想的なポテンシャル移行によって提供されるピーク電流と比較して、ピーク電流においておよそ50%あるいはそれ以上の縮小を提供するように選択される。いくつかのインスタンスにおいては、各々のパルスは、同じ傾斜率を持つことができる。他のインスタンスにおいて、いくつかのパルスは、同じ傾斜率を持つことができ、他のパルスは、異なる傾斜率を持つことができる。さらに他のインスタンスにおいて、各々のパルスは、それ自身の傾斜率を持つ。例えば、有効な傾斜率は、およそ5mV/ミリ秒からおよそ75mV/ミリ秒まで、または、およそ10mV/ミリ秒からおよそ50mV/ミリ秒まで、15mV/ミリ秒からおよそ25mV/ミリ秒、または、およそ20mV/ミリ秒であることができる。代替的に、その傾斜率は、およそ5mV/ミリ秒、およそ10mV/ミリ秒、およそ15mV/ミリ秒、およそ20mV/ミリ秒、およそ25mV/ミリ秒、およそ30mV/ミリ秒、およそ35mV/ミリ秒、およそ40mV/ミリ秒、およそ45mV/ミリ秒、およそ50mV/ミリ秒、およそ55mV/ミリ秒、およそ60mV/ミリ秒、およそ65mV/ミリ秒、およそ70mV/ミリ秒、または、およそ75mV/ミリ秒であることができる。特に、その傾斜率は、およそ40mV/ミリ秒からおよそ50mV/ミリ秒までであることができる。
【0054】
ACブロックのように、当業者は、DCパルスの数、電位、期間、および、順序は、変化し得ることを理解する。
【0055】
本願の方法において、ACおよび/またはDC応答電流情報を、およそ2,000/秒からおよそ200,000/秒において、およそ3,000/秒からおよそ190,000/秒において、およそ4,000/秒からおよそ180,000/秒において、およそ5,000/秒からおよそ170,000/秒において、およそ6,000/秒からおよそ160,000/秒において、およそ7,000/秒からおよそ150,000/秒において、およそ8,000/秒からおよそ140,000/秒において、およそ9,000/秒からおよそ130,000/秒において、およそ10,000/秒からおよそ120,000/秒において、およそ15,000/秒からおよそ110,000/秒において、およそ20,000/秒からおよそ100,000/秒において、およそ30,000/秒からおよそ90,000/秒において、およそ40,000/秒からおよそ80,000/秒において、およそ50,000/秒からおよそ70,000/秒において、または、およそ60,000/秒において、得る(すなわち、測定または記録する)ことができる。いくつかのインスタンスにおいて、ACおよび/またはDC応答電流情報を、およそ100/秒からおよそ200/秒において、およそ200/秒からおよそ300/秒において、およそ300/秒からおよそ400/秒において、およそ400/秒からおよそ500/秒において、およそ500/秒からおよそ600/秒において、およそ600/秒からおよそ700/秒において、およそ700/秒からおよそ800/秒において、およそ800/秒からおよそ900/秒において、およそ1,000/秒からおよそ1,500/秒において、およそ1,500/秒からおよそ2,000/秒において、およそ2,000/秒からおよそ2,500/秒において、およそ2,500/秒からおよそ3,000/秒において、およそ3,000/秒からおよそ3,500/秒において、およそ3,500/秒からおよそ4,000/秒において、およそ4,000/秒からおよそ4,500/秒において、およそ4,500/秒からおよそ5,000/秒において、およそ5,000/秒からおよそ5,500/秒において、およそ5,500/秒からおよそ6,000/秒において、およそ6,000/秒からおよそ6,500/秒において、およそ6,500/秒からおよそ7,000/秒において、およそ7,000/秒からおよそ7,500/秒において、およそ7,500/秒からおよそ8,000/秒において、およそ8,000/秒からおよそ8,500/秒において、およそ8,500/秒からおよそ9,000/秒において、およそ9,000/秒からおよそ9,500/秒において、およそ9,500/秒からおよそ10,000/秒において、およそ10,000/秒からおよそ20,000/秒において、およそ20,000/秒からおよそ30,000/秒において、およそ30,000/秒からおよそ40,000/秒において、およそ40,000/秒からおよそ50,000/秒において、およそ50,000/秒からおよそ60,000/秒において、およそ60,000/秒からおよそ70,000/秒において、およそ70,000/秒からおよそ80,000/秒において、およそ80,000/秒からおよそ90,000/秒において、およそ90,000/秒からおよそ100,000/秒において、およそ100,000/秒からおよそ110,000/秒において、およそ110,000/秒からおよそ120,000/秒において、およそ120,000/秒からおよそ130,000/秒において、およそ130,000/秒からおよそ140,000/秒において、およそ140,000/秒からおよそ150,000/秒において、およそ150,000/秒からおよそ160,000/秒において、およそ160,000/秒からおよそ170,000/秒において、およそ170,000/秒からおよそ180,000/秒において、およそ180,000/秒からおよそ190,000/秒において、または、およそ200,000/秒において、得ることができる。他のインスタンスにおいては、ACおよび/またはDC応答電流情報を、およそ100/秒、およそ200/秒、およそ300/秒、およそ400/秒、およそ500/秒、およそ600/秒、およそ700/秒、およそ800/秒、およそ900/秒、およそ1,000/秒、およそ1,250/秒、およそ1,500/秒、およそ1,750/秒、およそ2,000/秒、およそ2,225/秒、およそ2,500/秒、およそ2,750/秒、およそ3,000/秒、およそ3,250/秒、およそ3,500/秒、およそ3,750/秒、およそ4,000/秒、およそ4,250/秒、およそ4,500/秒、およそ4,750/秒、およそ5,000/秒、およそ5、250/sec、およそ5,500/秒、およそ5,750/秒、およそ6,000/秒、およそ6,250/秒、およそ6,500/秒、およそ7,000/秒、およそ7,250/秒、およそ7,500/秒、およそ7,750/秒、およそ8,000/秒、およそ8,250/秒、およそ8,500/秒、およそ8,750/秒、およそ9,000/秒、およそ9,250/秒、およそ9,500/秒、およそ9,750/秒、およそ10,000/秒、およそ15,000/秒、およそ20,000/秒、およそ25,000/秒、およそ30,000/秒、およそ35,000/秒、およそ40,000/秒、およそ45,000/秒、およそ50,000/秒、およそ55,000/秒、およそ60,000/秒、およそ65,000/秒、およそ70,000/秒、およそ75,000/秒、およそ80,000/秒、およそ85,000/秒、およそ90,000/秒、およそ95,000/秒、およそ100,000/秒、およそ105,000/秒、およそ110,000/秒、およそ115,000/秒、およそ120,000/秒、およそ125,000/秒、およそ130,000/秒、およそ135,000/秒、およそ140,000/秒、およそ145,000/秒、およそ150,000/秒、およそ155,000/秒、およそ160,000/秒、およそ165,000/秒、およそ170,000/秒、およそ175,000/秒、およそ180,000/秒、およそ185,000/秒、およそ190,000/秒、およそ195,000/秒、または、およそ200,000/秒において、まで得ることができる。さらに他のインスタンスにおいては、ACおよび/またはDC応答電流情報を、200,000/秒より多くにおいて、得ることができる。
【0056】
ACおよび/またはDC電流応答情報は、テスト・シーケンスから収集することができ、そして、ACおよびDCブロックに対する電流応答を含む。いくつかのインスタンスにおいては、電流応答情報は、ACおよびDC測定に対する単一共用信号経路を含むシステム設計を単純化するためにDCおよびAC測定に対するA/Dサンプリング・レートにおいて収集することができる。共通デジタル・オーディオ・サンプリングレート範囲は、およそ44.1kHzからおよそ192kHzまでを含む。しかし、それらに制限されるものではない。この範囲におけるA/D変換器は、種々の商業的な半導体供給元からすぐに利用できる。
【0057】
より詳細なテスト・シーケンスが、
図2Bの中で示される。ここで、この1つのトレースは、印加されたDC電位を図示し、他のトレースは、それぞれ、ACおよびDC電流応答を図示する。この例において、印加されたDC電位は、回復パルスを提供するようにパルスの間で、0mVに固定することができ、したがって、それを、一般に、連続的励起波形にする。これは、正のDCパルスの間で開放回路の使用を定める既知の技術からのテスト・シーケンスと対照的である。それによって、正のパルスの間の電流を収集し分析することの可能性を排除する。
【0058】
ここに使われるように、「回復パルス」または「回復電位パルス」は、関心分析物(例えば、ブドウ糖)の電気化学反応が無くなり、それによって、システムが、別の正のDC励起パルスとの後続する問合せの前に固定された出発点に戻るの可能にする十分に長い回復期の間印加されるゼロ電位パルスを意味する。
【0059】
正のDC励起パルスからの電流の減衰の形状として、ブドウ糖、Hct、そして、温度(ならびに他のSMBGストリップ・プロセス)に関する情報を符号化すると、回復パルスの形状は、また、ユニークである。各々のDC回復パルスは、負の電流レスポンスを複電流測定システムがどのように所定の参照状態に戻るかを記述する異なった、時間順序の情報を符号化する成長率で生成する。回復パルスの間の電流成長率は、単に近隣する正のDC励起パルスと結びついた電流減衰の鏡像ではない。ブドウ糖反応が、ブドウ糖での電気化学反応を開始することができず、継続することができない電位の大きさを選択することによって無くなったからである。ここに開示される測定方法は、SMBGシステムなどの分析物テスト・システムの正確さと性能を改善するために、回復電流応答によって符号化されるHct、温度、および、他の交絡変数に関連するユニークな情報コンテンツを利用する。
【0060】
下記の測定方法において、
図2Bに図示されたものと同様のDCブロックが、血液サンプルの種々の濃度を分析するために使用された。実験的デザインが、ブドウ糖、Hct、および、温度レベルをシステマティックに変えるために使用された。この共変動データ・セットにおいて、目標ブドウ糖濃度は、40、120、200、350、および、500mg/dLであり、Hct目標レベルは、10、24、42、56、および、70%であり、そして、目標温度は、それぞれ、6、12、24、32、および、44°Cであった。結果として生じたデータ・セットは、1966サンプル(観察)を含んでいた。このデータは、環境チャンバー、および、SMBGメーターを使用して収集され、そして、ストリップには、使用の前に、各々の目標温度に平衡するために十分な時間を与えられた。したがって、報告されたメーター温度は、ぴったりと、実際のチャンバー温度と一致した。ブドウ糖およびHctに対する基準値が、得られ、そして、独立した分析的測定を通して確認された。
【0061】
データは、部分的最小2乗(PLS)回帰を使用して分析された。これは、潜在的構造プロジェクションとも呼ぶことができる多変量技術である。PLS回帰は、ここで、X−変数と呼ばれる一群の例示的な(独立した)変数と、および、ここで、Y−変数と呼ばれる1つ以上の応答(依存している)変数との間での共分散を考慮する。多重線形回帰と違って、PLSは、1つの観察につき多くのX−変数が存在するとき、観察数より多くのX−変数が存在するとき、および/または、複数のX−変数が相関しているときに、使用することができる。簡単に説明すると、PLS手続きは、オリジナルのX−変数の線形組合せをである新規の変数またはファクタを形成し、そして、Y変数の予測値のためにそれらを使用する。これらのファクタは、また、Y−変数における変動と相関するX−マトリックスにおいて、最大変動性を記述するのに選択される。ここでPLS回帰は、Simca(登録商標)−P+ソフトウェア・パッケージ(Umetrics社、キネロン、ニュージャージー)を使用して実行された。PLSモデルは、X−変数としてDC電流値、および、応答、または、Y−変数として記録されたメーター温度を使用して構築された。1つのみのY−変数だけを有するPLSモデルは、しばしば、PLS1モデルと呼ばれる。すべてのX変数およびY変数は、独立して中心におかれ、分析の前にユニット偏差規格化された。
【0062】
第1のPLSモデル(PLSModel1)は、フルの共変動データ・セット(すべてのブドウ糖、Hctと温度、1966の観察)を使用して構成された。最初の4つの正DC励起パルス、および、最初3つの回復パルスからの電流値からなる796X−変数が存在した。そのPLS分析は、温度に変動性の(R
2Yとして測定された)84.3%を記述することができた10の顕著なファクタを生み出した。Y−残余の標準偏差は、5.11°Cであり、そして、精度の測定として用いられるモデルの根二乗平均誤差予測(RMSEE:root−mean−squared−error−of−estimate)は、5.12°Cであった。実際のY値、対、予測されたY値のプロットが、
図4に示される。
図4の右上における凡例において示されるように、目標ブドウ糖濃度によって、観測が色付けされる。
【0063】
全体的なモデル性能に対するそれらの個々の寄与に関してPLS Model1において、最も顕著なX−変数は、VIP(variable influence on projection)と呼ばれている統計を使用して、識別された。正規化VIPスコアは、X−変数を比較する方法を提供し、モデルにおける重要性の順序で、それらをランク付けする。
図5に図示されるように、最も高いVIPスコアを有するX−変数のほとんどが、回復パルスからのものであり、したがって、回復パルス電流が、温度モデリングにたいして、ユニークで役に立つ情報を含むことを示す。すべての1966の観察が、
図5に示され、目標ブドウ糖レベルで色付けされる。
【0064】
比較のために、第2のPLSモデル(PLSモデル2)が、フルの共変動データ・セットを使用して構築された。しかしながら、X−変数は、最初の4つのDC正パルスだけからの316電流値から成るものであった。(PLSモデル1に含まれた)最初の3つの回復パルスは、第2のユニークな温度情報として、回復パルス電流応答において、意図的に省略された。PLSモデル2は、温度における変動性の80%(R
2Y)を記述することができた4つの顕著なファクタを生成する。Y−残余の標準偏差は、5.77°Cであった、そして、そのモデルのRMSEEは、また、5.77°Cであった。PLSモデル1をモデル2と比較すると、RMSEEにおける11.3%の明白な改善が存在し、したがって、回復パルス電流からの情報が、正のDC励起パルス電流応答のみにおいて利用可能でないユニークな温度情報を追加することを確認する。
【0065】
温度に対するPLモデルは、また、Hctレベルを変更するために補償するように設計された。それは、温度と共変動する。組み合わせ温度−Hct効果は、モデル1の顕著な変数のVIPベース選択、または、2つのPLSモデルの間で観察されたRMSEEでの改善において、役割を担わなかったことを検証するために、温度のPLSモデルの第2の類似したセットは、減少したデータ・セットを使用して構築された。この減少したデータ・セットは、共変動データ・セットのサブセットであり、そして、すべてのブドウ糖からの394の観察の合計、および、温度レベル組合せを含んだものであった。しかし、標準ヘマトクリット・レベル(42%)のみにおけるものである。
【0066】
このように、第3のPLSモデル(PLS Model3)は、その減少したデータ・セットおよび796のX−変数を使用して構築された。これは、最初の4つのDC正パルス、および、最初の3つの回復パルスからの電流値からなる。上記のように、共変量データから記録されたメーター温度は、Y−変数として使用された。そのPLS分析は、9つの顕著なファクタを生成し、それは、温度における変動性の92.0%(R
2Y)を記述することができた。Y−残余の標準偏差は、3.60°Cであり、そして、そのモデルのRMSEEは、3.64°Cであった。実際のY値、対、予測されたY値のプロットが、
図6において示される。目標ブドウ糖濃度によって、観測が色付けされる。
【0067】
PLモデル1と同様に、全体的なモデル性能へのそれらの個々の寄与に関してPLSモデル3における最も顕著なX−変数は、VIP測定基準を使用して識別された。
図7に図示されるように、最も高いVIPスコアを有するX−変数のほとんどが、回復パルスからのものであり、再び、回復パルス電流は、モデリング温度に対するユニークで有用な情報を含むことを確認する。全394の観察が、
図7の中に、示され、また、目標ブドウ糖レベルで色付けされる。減少したデータ・セットにおいて394の観察に対するDC電流応答は、目標ブドウ糖レベルで色付けされる。y軸は、nAにおける電流応答であり、x軸は、時間シリーズにおけるDC電流値の数であり、赤のハイライトされたそれらのDC電流は、最も高いVIPスコアを有するX−変数に対応する。
【0068】
比較のために、第4のPLSモデル(PLSモデル4)が、減少したデータ・セットを使用して構築された。しかしながら、PLモデル2のように、X−変数は、最初の4つのDC正パルスだけからの316電流値から成るものであった。(PLSモデル3に含まれた)最初の3つの回復パルスは、ユニークな情報コンテンツを確認されるために、回復パルス電流応答において、意図的に省略された。モデル4に対するPLS分析は、8つの顕著なファクタを生成した。それは、温度における変動性の91%(R
2Y)を記述することができた。Y−残余の標準偏差は、3.81°Cであり、そして、そのモデルのRMSEEは、4.02°Cであった。PLSモデル3とモデル4とを比較すると、RMSEEにおける9.5%の明白な改善が存在し、再び、回復パルス電流からの情報は、正のDC電流応答だけにおいて利用可能でないユニークな温度情報を追加することを確認する。
【0069】
ACおよびDC情報を組み合わせるSMBGアルゴリズムは、どのくらいの観察された温度補償が、AC情報だけからのものか、または、DC回復電流応答だけからのものかを解析するのが難しくすることが理解されるべきである。そのような方法で回復パルス電流情報の値を示すことは、独立したAC情報であった。しかしながら、それは、また、回復パルス電流応答からのX−変数が、AC情報が同時に利用可能であるならば、依然として、PLS温度モデルに有用でありと識別されたかどうかを評価するのに必要であると考えられた。したがって、追加的なPLSモデル、それは、AC情報を含んでいたものである、が、構築され、評価された。
【0070】
このように、そして、PLSモデル1にとの直接の比較のために、第5のPLSモデル(PLSモデル5)は、フルの共変動データ・セット(1966の観察)を使用して構築された。しかしながら、4つの異なるAC周波数における位相とアドミタンス測定からなる8つのAC変数が、796のX−変数に追加された。それは、第1の4つのDC正のパルス、および、最初の3つの回復パルスからの電流値から成る。上記のように、共変動データからの記録されたメーター温度は、Y−変数として使用された。そのPLS分析は、温度における変動性の95.3%(R
2Y)を記述することができた4つの顕著なファクタを生成する。Y−残余の標準偏差は、2.80°Cであった、そして、そのモデルのRMSEEは、2.81°Cであった。実際のY値(y軸)、対、予測されたY値(x軸)のプロットが、
図8において示される。目標ブドウ糖濃度によって、観測が色付けされる。
【0071】
次に、VIP測定基準は、PLS5モデルにおいて、全体的なモデル性能へのそれらの個々の寄与に関して最上位のX−変数を識別するために、使用された。
図9で示すように、最も高いVIPスコアを有するX−変数は、AC変数であり(第1のDC正のパルス応答の前に示される)、そして、回復パルスからのX−変数である。すべての1966の観察が、
図9に示され、目標ブドウ糖レベルで色付けされる。x軸は、nAにおける電流応答であり、y軸は、時間シリーズにおけるDC電流値の数であり、赤でハイライトされたX−変数は、最も高いVIPスコアを持つ。
【0072】
PLSモデル5は、温度に対する最適結果が、DC回復パルス電流応答からの情報と結合されたAC情報を使用して得られたことを示す。回復パルス電流応答からの変数が、顕著なVIPスコアを有するので、これは、それらが、依然、温度に予測に対するユニークで価値ある情報を追加していることを確認する。ACデータは、Hctと温度とについての優れた情報を含んでいるので、最善の温度のPLS予測が、AC変数とDC回復パルス電流変数を結合することによって得られることは驚くことではない。
【0073】
前述の評価から作られることができるいくつかの顕著な観察が存在する。第1に、PLSモデル1、3からの顕著な変数の選択は、決定的に、回復パルス応答によって符号化された温度に関係するユニークな情報コンテンツが存在することを示す。第2に、PLSモデル3と4だけでなく、PLSモデル1と2との比較は、温度モデルにおいて回復パルス電流を含むことが、温度予測のRMSEEを改善することを示す。第3に、PLSモデルの2つのセットは、VIP選択変数とRMSEEにおいて観察された改善は、温度をモデル化する本当の能力から来ること、観測された関係は、Hctレベルを変更することによって、交絡されないことを示す。そして、最後に、AC情報による確認研究は、DC回復電流応答からのX−変数は、重要であり、そして、さらに、AC情報が存在するかときであっても、温度予測モデルにユニークな情報を追加することを示す。
【0074】
PLS回帰モデリングからの結果は、決定的に、サンプル温度の情報を含み、回復パルス応答によって符号化されるユニークな情報コンテンツが存在することを示した。適切なモデルの比較は、また、量的PLSモデルにおける回復パルス電流の包含は、温度を予測する能力を向上させることを確認した。PLS分析は、改善は、具体的には、温度をモデル化する拡張能力に基づいていることを示すように、および、結果は、変化するHctレベルなどの他の共変動しているパラメータによって交絡しないことを検証するように構築される。PLSモデルのサマリが、下の表に提供される。
【0076】
特許、特許出願、特許出願の出版物のすべて、および、他のここに引用した出版物は、ここに、参照により、まるで完全に述べられたように組み込まれる。
【0077】
本願発明の概念は、現在、最も実際的であると考えられること、および、好適な実施形態と関連して記述された。しかしながら、本願発明の概念は、説明するために提示されたものであり、開示された実施形態に限定することを意図するものではない。したがって、当業者は、本願発明の概念は、添付の請求項に記載したように本願発明の概念の要旨および範囲の中のすべての修正と代替的な構成を包含することを意図するものであることを理解する。番号づけされた実施形態が、以下に記述される。
1. 流体サンプルにおける分析物を電気化学的に測定する間に、温度を補償する方法であって、該方法は、
電気的テスト・シーケンスを電気化学的バイオセンサに印加するステップであって、該バイオセンサは、電極システムと、該電極システムとの電気通信している試薬と、前記試薬とコンタクトする流体における前記流体サンプルが前記試薬を有する前記テスト要素に提供された流体サンプルにコンタクトするように構成されるレセプタクルと、を備え、前記テスト・シーケンスは、少なくとも1つの励起電圧パルス、および、少なくとも1つの回復電位パルスのシーケンスを有する少なくとも1つの直流(DC)ブロックを備え、前記電極システムの閉路状態が、前記DCブロックの間維持される、ステップと、
前記DCブロックからの電流応答情報に基づいて、前記分析物濃度を決定するステップであって、前記少なくとも1つの回復電位パルスからの情報が、部分的最小2乗(PLS)回帰モデルに基づいて前記分析物濃度に対する温度影響を補償するのに用いられる、ステップと、
のステップを含む、方法。
2. 前記少なくとも1つの励起電圧パルスは、およそ+450mVであり、前記少なくとも1つの回復電圧パルスは、およそ0mVであり、各々のパルスは、およそ50ミリ秒からおよそ500ミリ秒までである、実施形態1の方法。
3. 前記少なくとも1つの励起電圧パルスに対する、および、前記少なくとも1つの回復電圧パルスに対する電流応答情報を測定するステップと、前記励起電流応答および前記回復電流応答から前記分析物濃度を決定するステップとを更に含む実施形態1の方法。
4. 前記テスト・シーケンスは、少なくとも2つの異なる周波数の低振幅信号の交流(AC)ブロックを更に備える、実施形態1の方法。
5. ACブロックが、前記少なくとも1つのDCブロックの前に、前記少なくとも1つのDCブロックの後に、または、前記少なくとも1つのDCブロックの中で散らばって印加される、実施形態1の方法。
6. 前記PLS回帰モデルは、ヘマトクリット、温度、および、分析物濃度を含む共変動データ・セットに基づく、実施形態1の方法。
7. 前記PLS回帰モデルは、温度、および、分析物濃度を含む共変動データ・セットに基づく、実施形態1の方法。
8. 前記周波数は、およそ10kHz、およそ20kHz、およそ10kHz、およそ2kHz、および、およそ1kHzであり、各々が、およそ0.5秒からおよそ1.5秒の間、印加される、実施形態4の方法。
9. 緩和パルスへの電気的応答の前記情報は、励起パルスへの電気的応答の情報には発見されないユニークな情報を含む、実施形態1の方法。
10. 前記分析物濃度は、ブドウ糖濃度である、実施形態1の方法。
11. 実施形態1ないし10のいずれか1つの実施形態の方法を実行するように構成された、分析物濃度測定デバイス。
12. 前記デバイスは、血糖値メーターである、実施形態11のデバイス。
13. 実施形態1ないし10のいずれか1つの実施形態の方法を実行するように構成された、分析物濃度を決定するシステム。
14. 前記システムは、自己モニタリング血糖(SMBG)システムである、実施形態13のシステム。