特許第6353005号(P6353005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000002
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000003
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000004
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000005
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000006
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000007
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000008
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000009
  • 特許6353005-洗濯乾燥機 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353005
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/10 20060101AFI20180625BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20180625BHJP
   D06F 33/02 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   D06F39/10 Z
   D06F39/08 301G
   D06F33/02 T
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-207749(P2016-207749)
(22)【出願日】2016年10月24日
(62)【分割の表示】特願2012-169725(P2012-169725)の分割
【原出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2017-12871(P2017-12871A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長井 智
(72)【発明者】
【氏名】西村 孝
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−143082(JP,A)
【文献】 特開2009−034258(JP,A)
【文献】 特開2009−056112(JP,A)
【文献】 特開2005−021601(JP,A)
【文献】 特開平05−184778(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02280115(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/10
D06F 33/02
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられ排気口および給気口を有する水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、
前記水槽内の水を前記水槽外へ排水する排水弁と、
衣類の乾燥用の温風を生成しその温風を前記給気口から前記水槽内へ供給する温風供給手段と、
前記水槽の外方に設けられ前記排気口から前記水槽外へ排出された空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置と、
前記排気口と前記フィルタ装置とを繋ぐ排気ダクトと、
外部の水源に接続された給水弁と、
記給水弁が開放されることにより前記給水弁からの給水を受けて前記排気ダクトの内側に当たるように放水する放水部と、
を備え
前記放水部の先端部は、扁平した形状である、
洗濯乾燥機。
【請求項2】
外箱と、
前記外箱内に設けられ排気口および給気口を有する水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、
前記水槽内の水を前記水槽外へ排水する排水弁と、
衣類の乾燥用の温風を生成しその温風を前記給気口から前記水槽内へ供給する温風供給手段と、
前記水槽の外方に設けられ前記排気口から前記水槽外へ排出された空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置と、
前記排気口から上方へ向かって延びその後曲がって前記フィルタ装置側へ延びるように構成されて前記排気口と前記フィルタ装置とを繋ぐ排気ダクトと、
外部の水源に接続された給水弁と、
前記給水弁が開放されることにより前記給水弁からの給水を受けて前記排気ダクトの内側であって前記排気ダクトの曲がっている部分に当たるように放水する放水部と、
を備えている洗濯乾燥機。
【請求項3】
外箱と、
前記外箱内に設けられ排気口および給気口を有する水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、
前記水槽内の水を前記水槽外へ排水する排水弁と、
衣類の乾燥用の温風を生成しその温風を前記給気口から前記水槽内へ供給する温風供給手段と、
前記水槽の外方に設けられ前記排気口から前記水槽外へ排出された空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置と、
前記排気口前記フィルタ装置とを繋ぐ排気ダクトと、
外部の水源に接続された給水弁と、
前記給水弁が開放されることにより前記給水弁からの給水を受けて前記フィルタ装置側から前記排気口側へ向かって前記排気ダクトの内側に当たるように放水する放水部と、
前記排水弁及び前記給水弁の開閉制御が可能な制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記給水弁を開放して前記放水部から放水を行うことで前記排気ダクトを洗浄するダクト洗浄工程を実行可能である、
洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ダクト洗浄工程において前記排水弁を開き、
前記ダクト洗浄工程中に前記放水部から放水された水は、前記排気口から前記水槽内の底部へ流れ落ちて前記排水弁を通って外部へ排出される、
請求項3に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記ダクト洗浄工程を所定時間実行した後、前記給水弁を閉じ電源を落として運転を終了する、
請求項3又は4に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乾燥機能を有する洗濯乾燥機において、水槽の排気口の先には、乾燥によって衣類から出た糸くずなどの異物いわゆるリントを捕集するフィルタ装置が設けられている。
この場合、フィルタ装置と水槽の排気口とを繋ぐダクト内には、フィルタ装置によってリントが捕集される前のリントを多く含んだ空気が通るため、ダクトの内部にはリントが付着し易い。ダクト内にリントが付着したまま放置すると、乾燥効率の低下や衛生面での悪影響が生じる。そのため、使用者は、ダクト内部を清掃してダクト内に付着したリントなどの異物を取り除く必要がある。
しかし、ダクトは、洗濯機の外部からダクト内部が視認し難い箇所に設けられていることが多く清掃し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−187449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、水槽の排気口とフィルタ装置とを繋ぐダクト内に付着したリントなどの異物を容易に清掃することができ、以て乾燥効率および衛生面の向上が図られる洗濯乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の洗濯乾燥機は、外箱と、前記外箱内に設けられ排気口および給気口を有する水槽と、前記水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、前記水槽内の水を前記水槽外へ排水する排水弁と、衣類の乾燥用の温風を生成しその温風を前記給気口から前記水槽内へ供給する温風供給手段と、前記水槽の外方に設けられ前記排気口から前記水槽外へ排出された空気に含まれる異物を捕集するフィルタ装置と、前記排気口と前記フィルタ装置とを繋ぐ排気ダクトと、外部の水源に接続された給水弁と、記給水弁が開放されることにより前記給水弁からの給水を受けて前記排気ダクトの内側に当たるように放水する放水部と、を備え、前記放水部の先端部は、扁平した形状である、洗濯乾燥機。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第一実施形態による洗濯乾燥機の概略構成について部分的に破断して示す縦断側面図
図2】洗濯乾燥機の外観を示す斜視図
図3】洗濯乾燥機の概略構成について部分的に破断して示す縦断背面図
図4】洗濯乾燥機の概略構成について外箱を除いて示す平面図
図5】排気ダクトおよびフィルタ装置を拡大して示す縦断側面図
図6】放水ノズルを拡大して正面から示す図
図7】洗濯乾燥運転に関する制御内容を示すフローチャート
図8】第二実施形態による図5相当図
図9】第三実施形態による洗濯乾燥機の概略構成について部分的に破断して示す縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態による冷蔵庫を、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0008】
(第一実施形態)
まず、第一実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
図1に示すように、洗濯乾燥機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、および扉15を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉15側を洗濯乾燥機10の前側とする。洗濯乾燥機10は、ヒートポンプ方式の乾燥機能を有し、回転槽13の回転軸が地面に対して傾斜したいわゆるドラム式洗濯乾燥機である。外箱11は、鋼板などによってほぼ矩形の箱状に形成されている。水槽12は、外箱11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12および回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。
【0009】
水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。同様に、回転槽13は、円筒状の一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。開口部131は、傾斜した回転槽13において回転槽端板132よりも上側に位置している。回転槽13の開口部131は、水槽12の開口部121に周囲を覆われている。
【0010】
水槽12は、排気口16および給気口17を有している。排気口16は、水槽12の筒状部分を構成する周壁の上部前寄り部分にあって、水槽12の左右方向の中心つまり水槽12の筒状の外周面の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。本実施形態の場合、排気口16は、洗濯乾燥機10の前面から見て、水槽12の最頂部から右方向へ離れた位置に設けられ、上側へ向かって開口している。給気口17は、水槽端板122にあって、該水槽端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられている。排気口16および給気口17は、水槽12の内部と外部とを連通している。
【0011】
また、水槽12は、重力方向の下方に位置する底部の後端側に排水部18を有している。排水部18は、排気口16および給気口17の下方に位置している。排水部18は、水槽12内の水を水槽12の外部、さらには機外へ排水する。具体的には、排水部18は、排水口123、排水弁19、および排水ホース20とから構成されている。排水口123は、水槽12の底部の後端側に形成されて、水槽12の内部と外部とを連通している。排水弁19は、水槽12の外側にあって排水口123に接続されている。排水ホース20は、一方の端部が排水弁19に接続され、排水弁19と反対側の端部が外部に接続されている。排水弁19は、水槽12からの排水を断続する。これにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁19および排水ホース20を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
【0012】
回転槽13は、複数の孔21および複数の連通口22を有している。孔21および連通口22は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔21は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。連通口22は、回転槽端板132の全域に形成されている。孔21および連通口22は、洗濯運転時および脱水運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。なお、図1では、簡単のため複数の孔21および連通口22のうち一部のみを示している。また、詳細は図示しないが、回転槽13には、筒状部分の内側に複数のバッフルが設けられている。バッフルは、回転槽13の内側に収容された洗濯物を撹拌する。
【0013】
モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。モータ14は、例えばアウタロータ型のダイレクトドライブモータである。モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、および水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。
【0014】
扉15は、図示しないヒンジを介して外箱11の外面側に設けられている。扉15は、ヒンジを支点に回動し、外箱11の前面に形成された図示しない開口部を開閉する。この外箱11に形成された開口部は、ベローズ112によって、水槽12の開口部121に接続されている。衣類などの洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
【0015】
洗濯乾燥機10は、図示しない制御装置、図1に示す扉開閉検知器151、図1図2に示す操作パネル23、および図3図4に示す給水装置24を備えている。制御装置は、詳細は図示しないが、マイクロコンピュータなどから構成されており、洗濯乾燥機10の作動全般を制御する。扉開閉検知器151は、例えば磁気センサや機械的スイッチなどで構成され、制御装置に接続されている。制御装置は、扉開閉検知器151からの信号により、扉15の開閉の有無を検知する。操作パネル23は、外箱11の前面にあって扉15の上側に設けられている。操作パネル23は、制御装置に接続されており、使用者の操作によって運転コースなどが選択される。
【0016】
また、制御装置は、給水装置24を制御して水槽12へ水を供給するとともに、排水弁19の開閉を制御して水槽12内の水を排水する。給水装置24は、図3および図4に示すように、水槽12の左右方向の中心、つまり水槽12の円筒の外周面の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。本実施形態の場合、給水装置24は、洗濯乾燥機10の前側から見て、回転槽13の最頂部から左方向へ離れた位置に設けられている。
【0017】
給水装置24は、給水弁25、注水ケース26などから構成されている。給水弁25は、一つの入力部251と、二つの出力部この場合第一出力部252および第二出力部253を有する三方弁であって、制御装置の制御に基づいて開閉駆動される電磁弁で構成されている。給水弁25は、閉鎖状態において、入力部251、第一出力部252、および第二出力部253は相互に連通していない。これに対し、制御装置からの制御を受けると、給水弁25は、入力部251と第一出力部252、または入力部251と第二出力部253が選択的に連通される。
【0018】
給水弁25の入力部251は、図3に示す給水ホース27を介して水道の蛇口など外部の水源に接続される。給水弁25の第一出力部252は、注水ケース26に接続されている。注水ケース26は、図2に示す洗剤投入部261や、図示しない入口部および出口部を有する容器状に構成されている。この場合、注水ケース26の入口部は給水弁25の第一出力部252に接続され、出口部は水槽12内に接続されている。使用者は、洗剤投入部261から注水ケース26の内部へ洗剤を投入する。外部の水源からの水は、給水ホース27および給水弁25を介して注水ケース26に給水され、注水ケース26内の洗剤を溶解して水槽12内へ注水される。
【0019】
洗濯乾燥機10は、図1図3に示すように、循環風路30を備えている。循環風路30は、水槽12の外側において、排気口16と給気口17とを繋いでいる。循環風路30は、水槽12内の空気を排気口16から排気し、給気口17から水槽12内へ温風を供給する。具体的には、循環風路30は、熱交換部40、フィルタ装置50、およびこれらを繋ぐ給気ダクト31と接続ダクト32と排気ダクト33とによって構成されている。この場合、給気ダクト31、接続ダクト32、排気ダクト33は、それぞれ循環風路30の一部を構成している。
【0020】
熱交換部40は、外箱11の内側下部にあって、水槽12および回転槽13の下方に設けられている。熱交換部40は、内部を通過する空気を除湿および加熱することで乾燥した温風を生成する。熱交換部40は、図3に示すように、内部に蒸発器41および凝縮器42を有している。蒸発器41は、乾燥運転時における熱交換部40内の空気の流れに対して、凝縮器42よりも上流側に設けられている。蒸発器41および凝縮器42は、熱交換部40の外側に設けられた圧縮機44とともに、ヒートポンプ機構すなわち冷凍サイクルを構成する。熱交換部40内を通る空気は、蒸発器41によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器41によって除湿された空気は、その後、凝縮器42によって加熱されて温風になる。
【0021】
熱交換部40の下流側は、給気ダクト31によって水槽12の給気口17に接続されている。熱交換部40と給気ダクト31との接続部分には、循環ファン43が設けられている。循環ファン43は、例えばシロッコファンなどで構成されている。循環ファン43は、熱交換部40内の空気を吸い込み、給気ダクト31側へ吐出する。これにより、熱交換部40で除湿および加熱された温風は、循環ファン43の送風作用によって、給気口17から水槽12、さらには回転槽13内へ供給される。このため、熱交換部40および循環ファン43は、回転槽13内の衣類の乾燥用の温風を生成しその温風を給気口17から水槽12内へ供給する温風供給手段として機能する。
【0022】
図3に示すように、熱交換部40の上流側は、接続ダクト32を介してフィルタ装置50に接続されている。フィルタ装置50は、図1および図4に示すように、外箱11の内側上部にあって、水槽12および回転槽13の上方、この場合、排気口16の上方やや後寄りに設けられている。フィルタ装置50の上流側は、排気ダクト33を介して、水槽12の排気口16に接続されている。この場合、循環風路30内の空気の流れについて見ると、排気口16が最上流側となり、給気口17が最下流側となる。
【0023】
排気ダクト33は、図1に示すように、排気口16から上方後側へ向かって斜めに延び、その後、フィルタ装置50側へ向って水平に延びるように構成されている。排気ダクト33は、図1および図5に示すように、排気口16から上方へ斜めに延びる部分に蛇腹部331を有している。排気ダクト33は、この蛇腹部331によって可撓性を発揮している。蛇腹部331は、水槽12に生じる振動を吸収し、フィルタ装置50に対する振動の伝達を抑制する。
【0024】
フィルタ装置50は、図5に示すように、フィルタケース51、非固定フィルタ52、および固定フィルタ53で構成されている。フィルタケース51は、上側が開口した容器状に形成されている。フィルタケース51の上側の開口は、外箱11の外部へ連通している。外箱11には、図1図2図3に示すように、ヒンジ開閉式の蓋111が設けられている。蓋111は、フィルタケース51の上側の開口を開閉する。
【0025】
フィルタケース51は、図5に示すように、合成樹脂などによって構成され、入口部511および出口部512を一体に有している。入口部511は、フィルタケース51の前側すなわち排気口16側に設けられている。入口部511は、円筒状に形成され、フィルタケース51の前部から前方へ向って突出している。入口部511には、排気ダクト33が接続されている。この場合、排気ダクト33の内径は、入口部511の外形よりも大きく構成され、かつ排気ダクト33側へ下降傾斜している。そして、排気ダクト33は、入口部511の径方向の外側にはめ込まれる。出口部512は、フィルタケース51の後側すなわち排気口16と反対側に設けられている。出口部512は、円筒状に形成され、フィルタケース51の後部下面から下方へ向って突出して設けられている。出口部512は、接続ダクト32に接続されている。
【0026】
非固定フィルタ52は、フィルタケース51から取り外し可能に構成されている。非固定フィルタ52は、蓋111を開放した状態で、フィルタケース51から取り出される。非固定フィルタ52は、詳細は図示しないが、入口部511側が開口したほぼ矩形の箱状に形成されており、出口部512側に網目状のフィルタを有している。入口部511からフィルタケース51内に取り込まれた空気は、非固定フィルタ52の開口から該非固定フィルタ52の内側を通る。そして、通過する空気に含まれるリントなどの異物を出口部512側のフィルタによって捕集する。
【0027】
固定フィルタ53は、フィルタケース51の内部に固定されている。固定フィルタ53は、出口部512側に設けられて出口部512全体を覆っている。固定フィルタ53は、詳細は図示しないが、矩形の枠体に網目状のフィルタが取り付けられて構成されている。固定フィルタ53は、乾燥運転時の空気の流れに対して、非固定フィルタ52よりも下流側すなわち出口部512側に設けられている。そして、固定フィルタ53の網目は、非固定フィルタ52の網目よりも小さい。このため、非固定フィルタ52は、比較的大きなリントを捕集し、固定フィルタ53は、非固定フィルタ52を通過した比較的小さなリントを捕集する。
【0028】
また、フィルタ装置50は、放水部として放水ノズル54を有している。放水ノズル54は、入口部511の内側に設けられている。放水ノズル54は、例えば金属製の管により構成され、図6に示すように、その先端部を、左右から押しつぶして上下方向に扁平させたような形状に形成されている。この場合、放水ノズル54は、上下二箇所の拡大部541と、この拡大部541の間の縮小部542とが形成されている。そして、図5に示すように、放水ノズル54の先端部は、排気ダクト33側つまり排気口16側へ向って開口している。一方、放水ノズル54の基端部は、入口部511の周壁を貫いてフィルタケース51の上側外方に露出している。そして、放水ノズル54の基端部は、図4に示すように、接続ホース55を介して給水弁25の第二出力部253に接続されている。
【0029】
洗濯乾燥機10の制御装置は、排水弁19を開放するとともに給水弁25の第二出力部253を開放することによって、排気ダクト33の内側に付着したリントなどの異物を洗い流すダクト洗浄工程を行う。すなわち、放水ノズル54は、給水弁25の第二出力部253が開放されることで、排気ダクト33側つまり排気口16側へ向って放水を行う。このとき、放水ノズル54の先端部は上下方向へ拡がるように扁平されて上下二箇所の拡大部541を有しているため、この二箇所の拡大部541から上下方向へ別れて放水される。そのため、放水ノズル54から放水された水は、前方へ噴射されながら上下方向へ広がって排気ダクト33の内側全体に万遍なく行きわたる。また、放水ノズル54から滴り落ちる水滴は、入口部511が排気ダクト33側へ下降傾斜しているため、出口部512側に流入することもない。
【0030】
そして、放水ノズル54から放水された水は、排気ダクト33の内側面に付着したリント100を洗い流しながら、リント100とともに排気口16から水槽12内へ流れ落ち、その後、回転槽13の外周面を伝って水槽12の底部へ流れ落ちる。この場合、排気口16は、回転槽13の左右方向の中心である最頂部から左右方向にずれた位置に設けられている。そのため、排気口16から流れ落ちた水は、排気口16が回転槽13の最頂部にある場合に比べて回転槽13の外側面に沿って下方へ流れ易くなる。したがって、排気口16から流れ落ちた水の大部分は、回転槽13の孔21から回転槽13内に入ることなく水槽12の底部へ流れ落ちる。その後、水槽12の底部へ流れ落ちた水は、洗い流されたリントとともに排水部18から排水弁19および排水ホース20を通って洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
【0031】
制御装置は、このダクト洗浄工程を、熱交換部40および循環ファン43による水槽12内への温風の供給に基づく乾燥工程の終了後に行う。例えば、使用者が洗濯工程および乾燥工程を行う洗濯乾燥運転を選択した場合、制御装置は、図7に示す一連の制御を実行する。すなわち、制御装置は、まず、ステップS11において、洗い、すすぎ、脱水を行う洗濯工程を実行する。洗濯工程では、給水弁25の第一出力部252の開放による水槽12内への注水や、モータ14による回転槽13の回転駆動、および排水弁19の開閉による水槽12内の水の排水が必要に応じて実行される。
【0032】
洗濯工程の後、ステップS12において乾燥工程が実行される。乾燥工程では、排水弁19を閉鎖させた状態で、熱交換部40および循環ファン43を駆動させて水槽12および回転槽13内へ乾燥用温風を供給するとともに、回転槽13を回転駆動させことで、回転槽13内の衣類の乾燥を行う。
【0033】
乾燥工程の後、制御装置は、ステップS13において扉開閉検知器151によって乾燥工程の終了後に扉15が開閉されたことを検知すると、回転槽13内の衣類が使用者によって取り出されたと判断する。そして、ステップS14へ移行して、排水弁19を開放するとともに給水弁25の開放を第二出力部253側に切り替える。これにより、放水ノズル54から放水させてダクト洗浄工程を実行する。このダクト洗浄工程は、所定時間、例えば数分程度実行される。その後、給水弁25を閉鎖した後、洗濯乾燥機10の電源を落として運転を終了する。
【0034】
これによれば、洗濯乾燥機10は、排気ダクト33内へ放水する放水ノズル54を備えている。そして、制御装置は、排水弁19を開放した状態で給水弁25の第二出力部253側を開放することにより放水ノズル54から排気ダクト33内へ放水を行う。これにより、水槽12の排気口16とフィルタ装置50とを繋ぐ排気ダクト33が、洗濯乾燥機10の外部から排気ダクト33の内部を視認し難い箇所に設けられている場合であっても、放水ノズル54からの放水により排気ダクト33内に付着したリントなどの異物を容易に清掃することができ、ひいては乾燥効率および衛生面の向上を図ることが出来る。
【0035】
また、洗濯乾燥機10は、水槽12内の空気を温風化させて循環させる循環風路30を備えている。そして、放水ノズル54は、循環風路30の一部を構成する排気ダクト33内へ放水して洗浄する。これによれば、排気ダクト33内を通って再び水槽12内へ供給される空気量を維持して乾燥効率の低下を抑制出来るとともに、その空気を衛生的に保つことが出来る。
【0036】
また、放水ノズル54は、フィルタ装置50から水槽12の排気口16側へ向かって放水する。これによれば、放水ノズル54からの放水により洗い流されたリントは、排気口16から水槽12内へ流れ落ち、その後、排水部18の排水弁19および排水ホース20を通って洗濯乾燥機10の外部へ排出される。この場合、排気ダクト33から洗い流されたリントを含む排水は、他のフィルタなどを通らずに排水部18から直接洗濯乾燥機10外部へ排出される。そのため、使用者は、排気ダクト33から洗い流されたリントを捕集するフィルタ等を洗浄する必要がないため、利便性が向上する。
【0037】
また、放水ノズル54は、フィルタ装置50と反対側へ向って放水する。このため、フィルタ装置50内のフィルタ52、53を濡らしてしまうことを極力回避することが出来る。さらには、入口部511が排気ダクト33側へ下降傾斜しているため、放水ノズル54から放水された水が給水装置24を介して熱交換部40側へ流入し、循環ファン43や熱交換部40を濡らしてしまうことを極力回避することが出来る。
【0038】
また、給水弁25は、第一出力部252側が注水ケース26に接続され、第二出力部253側が接続ホース55を介して放水ノズル54に接続されている。そして、給水弁25は、制御装置からの制御を受けて、第一出力部252側と第二出力部253側との開放を切り替えることで、注水ケース26への給水と放水ノズル54への給水とを切り替える。これによれば、放水ノズル54からの放水を自動化させることができ、排気ダクト33の清掃がさらに容易となる。
【0039】
そして、制御装置は、乾燥工程の実行後に、放水ノズル54から放水を行って排気ダクト33を洗浄するダクト洗浄工程を実行する。これによれば、排気ダクト33内にリントが付着し易い乾燥工程の実行後に排気ダクト33内を洗浄するため、排気ダクト33内を衛生的な状態に保つことが出来、その結果、衛生面のさらなる向上が図られる。
なお、熱交換部40は、ヒートポンプ方式に限られず、ヒータ方式でもよい。
また、排気ダクト33から洗い流されたリントを捕集するフィルタを備えてもよい。
【0040】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について図8を参照して説明する。
第二実施形態において、排気ダクト33は、第一実施形態の蛇腹部331に換えて螺旋部332を有している。螺旋部332は、排気ダクト33の周壁に沿って一条の螺旋状に形成されている。排気ダクト33は、この螺旋部332により可撓性を発揮している。排気ダクト33の内側面には、螺旋部332によって、螺旋状の溝333が形成されている。溝333は、フィルタ装置50側の基端部から排気口16の終端部まで繋がった一本の溝に形成されている。図8では、溝333のうち、図8の紙面に対して奥側に形成された部分を実線で示し、図8の紙面に対して手前側に形成された部分を二点鎖線で示している。この場合、溝333は、実線および二点鎖線で示すいずれの部分も、溝333の基端部側から終端部側へ向って下降傾斜している。
【0041】
この構成において、放水ノズル54から放水されてダクト洗浄工程が実行されると、その水は、排気ダクト33内のリント100を洗い流しながら螺旋状の溝333を伝って排気口16側へ流れる。そして、排気口16から水槽12内へ流れ落ち、排水部18から排水弁19および排水ホース20を通って洗濯乾燥機10の外部へ排出される。これによれば、排気ダクト33の内側を水がより流れやすくなるため、放水ノズル54からの放水による洗浄性能が向上される。また、蛇腹部331を有する場合に比べて、蛇腹状の隙間に水が溜まることが防がれ、排気ダクト33内をより衛生的な状態に保つことができる。
なお、螺旋部332は、一条の螺旋状に限られず、複数条の螺旋状でもよい。
【0042】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について図9を参照して説明する。
第三実施形態の洗濯乾燥機60は、縦軸型の洗濯乾燥機である点、ヒータ方式の乾燥機能を有する点、および第一実施形態の循環風路30に相当する構成を備えていない点で上記第一実施形態と大きく異なる。
具体的には、洗濯乾燥機60は、外箱61、水槽62、回転槽63、パルセータ64、およびモータ65を備えている。この第三実施形態による洗濯乾燥機60は、回転槽63の回転軸の軸方向が重量方向と平行な縦軸型の洗濯機である。
【0043】
外箱61は、鋼板などにより矩形の箱状に構成されている。外箱61の上側にはトップカバー611が設けられている。水槽62は、底部を有する円筒状に構成され、図示しない防振装置によって外箱61の内側に回転不可に設けられている。水槽62は、その上部に上部の開口を開閉する内蓋68を有している。また、水槽62は、給気口66および排気口67を有している。給気口66は、水槽62の上面に設けられている。排気口67は、水槽62の下部の周壁に設けられている。
【0044】
排気口67には、排気ダクト69が接続されている。排気ダクト69は、水槽12の周壁に沿って上方へ延び、その後、水槽12の上面に沿って水平方向へ向かって開口している。排気ダクト69の先端の開口部には、フィルタ装置70が設けられている。これにより、排気ダクト69は、排気口67と反対側がフィルタ装置70を介して水槽12外へ向って開口している。
【0045】
回転槽63は、底部を有する円筒状に構成され、水槽62の内側に回転可能に設けられている。回転槽63は、周壁に水槽62側へ連通する多数の孔631を有している。回転槽63内の水および空気は、孔631を通して水槽62側へ流れ出る。
パルセータ64は、回転槽63の内側底部に回転可能に設けられている。モータ65は、水槽62の底部外側に設けられている。モータ65は、図示しないクラッチを介して回転槽63およびパルセータ64に接続されている。モータ65は、クラッチを切り替えてパルセータ64のみ、または回転槽63およびパルセータ64を回転駆動させる。
【0046】
また、洗濯乾燥機60は、操作パネル71、送風ファン72、およびヒータ装置73を備えている。操作パネル71は、トップカバー611の前部に設けられ、図示しない制御装置に接続されている。送風ファン72およびヒータ装置73は、トップカバー611の内側にあって、水槽12および回転槽13の上方後部に設けられている。送風ファン72は、ヒータ装置73の上流側に設けられている。そして、ヒータ装置73の下流側は、給気ダクト74を介して水槽12の給気口66に接続されている。
【0047】
この送風ファン72およびヒータ装置73は、温風供給手段として機能する。すなわち、ヒータ装置73および送風ファン72が駆動されると、送風ファン72の送風作用によって洗濯乾燥機60外の空気がヒータ装置73へ送風される。その空気は、ヒータ装置73で加熱され、給気ダクト74から給気口66を通って水槽62および回転槽63内へ供給される。そして、供給された温風によって回転槽63内の衣類の乾燥が行われる。その後、衣類の湿気を含んだ空気は、排気口67から排気ダクト69を通り、さらにフィルタ装置70を通って水槽62外へ排出される。その後、水槽62外へ排出された空気は、外箱61の隙間から外箱61外へ排出される。
【0048】
また、洗濯乾燥機60は、排水部75を備えている。排水部75は、水槽62の底部に設けられている。排水部75は、第一実施形態の排水部18と同様に、水槽12に形成された排水口621、排水弁76、および排水ホース77から構成される。図示しない制御装置は、排水弁76を開閉制御することにより、排水部75から水槽62内の水を排水する。
【0049】
また、洗濯乾燥機60は、給水装置78および放水ノズル81を備えている。給水装置78は、第一実施形態の給水装置24と同様に、給水弁79および注水ケース80などから構成されている。給水装置78は、外箱11の内側において、水槽62および回転槽63の上方後部にあって、送風ファン72およびヒータ装置73と左右方向の反対側に設けられている。給水弁79は、第一実施形態の給水弁25と同様に構成され、入力部791、第一出力部792、および第二出力部793を有している。入力部791は、図示しない給水ホースを介して水道の蛇口など外部の水源に接続されている。また、第一出力部792は注水ケース80に接続され、第二出力部793は放水ノズル81に接続されている。
【0050】
放水ノズル81は、第一実施形態の放水ノズル54とほぼ同様に構成されている。放水ノズル81は、排気ダクト69内において、排気口67とフィルタ装置70との間にあって、特にはフィルタ装置70寄りに設けられている。この場合、放水ノズル81は、排気ダクト69の最上部に設けられている。そして、放水ノズル81の先端部は、下方へ向って開口し、基端部は接続ホース82を介して給水弁79の第二出力部793に接続されている。
【0051】
図示しない制御装置は、第一実施形態と同様に、ダクト洗浄工程において、排水弁76を開放するとともに給水弁79の第二出力部793側を開放して放水ノズル81から放水を行う。これにより、放水ノズル81から排気ダクト69内へ放水された水は、排気ダクト69の内側に付着したリント100を洗い流す。そして、その水は洗い流されたリント100とともに、排水部75の排水口621から、排水弁76および排水ホース77を通って洗濯乾燥機60の外部へ排出される。
【0052】
これによれば、循環風路30を備えていない構成においても、第一実施形態と同様の作用効果が得られる。すなわち、水槽62の排気口67とフィルタ装置70とを繋ぐ排気ダクト69が、洗濯乾燥機60の外部から排気ダクト69の内部を視認し難い箇所に設けられている場合であっても、放水ノズル81からの放水により排気ダクト69内に付着したリントを容易に清掃することができ、ひいては乾燥効率および衛生面の向上を図ることが出来る。
【0053】
以上説明した実施形態の構成によれば、洗濯乾燥機は、排気ダクト内へ放水する放水部と、外部の水源に接続されて放水部へ給水する給水弁とを備えている。そして、放水部は、排水弁が開放された状態で給水弁が開放されることにより放水を行い、これにより排気ダクト内が洗浄される。そして、放水部から放水された水は、リントなどの異物とともに排水部から排出される。これによれば、水槽の排気口とフィルタ装置とを繋ぐ排気ダクトが、洗濯乾燥機の外部から排気ダクトの内部を視認し難い箇所に設けられている場合であっても、放水部からの放水により排気ダクト内に付着したリントを容易に清掃することができ、ひいては乾燥効率および衛生面の向上を図ることが出来る。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
図面中、10、60は洗濯乾燥機、11、61は外箱、12、62は水槽、13、63は回転槽、16、66は排気口、17、67は給気口、19、76は排水弁、25、79は給水弁、26、80は注水ケース、30は循環風路、33、69は排気ダクト、333は螺旋状の溝、40は熱交換部(温風供給手段)、43は循環ファン(温風供給手段)、50、70はフィルタ装置、54は放水ノズル(放水部)、72は送風ファン(温風供給手段)、73はヒータ装置(温風供給手段)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9