【実施例】
【0142】
以下の実施例が参照され、上記の説明と共に、非限定様式にて本発明のいくつかの実施態様を説明する。
【0143】
通常、本明細書において使用される命名および本発明において利用される実験室での手順は、分子、生化学的、微生物学的および組換えDNA技術を含む。そのような技術は、文献において完全に説明されている。たとえば、“Molecular Cloning: A laboratory Manual”, Sambrook et al., (1989);“Current Protocols in Molecular Biology”, Volumes I-III Ausubel, R. M., ed.(1994) ; Ausubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989); Perbal,“A Practical Guide to Molecular Cloning”, John Wiley & Sons, New York (1988); Watson et al.,“Recombinant DNA”, Scientific American Books, New York; Birren et al. (eds) “Genome Analysis: A Laboratory Manual Series”, Vols. 1-4, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998)を参照されたい。また、米国特許第4,666,828号、同第4,683,202号、同第4,801,531号、同第5,192,659号および同第5,272,057号明細書;“Cell Biology: A Laboratory Handbook”, Volumes I-III Cellis, J. E., ed. (1994);“Culture of Animal Cells - A Manual of Basic Technique” by Freshney, Wiley-Liss, N. Y. (1994), Third Edition;“Current Protocols in Immunology”Volumes I-III Coligan J. E., ed. (1994); Stites et al. (eds),“Basic and Clinical Immunology”(8th Edition), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994); Mishell and Shiigi (eds),“Selected Methods in Cellular Immunology”, W. H. Freeman and Co., New York (1980) などに記載されている手法も参照されたい。利用可能なイムノアッセイは、特許文献や科学文献、たとえば、米国特許第3,791,932号、同第3,839,153号、同第3,850,752号、同第3,850,578号、同第3,853,987号、同第3,867,517号、同第3,879,262号、同第3,901,654号、同第3,935,074号、同第3,984,533号、同第3,996,345号、同第4,034,074号、同第4,098,876号、同第4,879,219号、同第5,011,771号および同第5,281,521号明細書、“Oligonucleotide Synthesis”Gait, M. J., ed. (1984);“Nucleic Acid Hybridization”Hames, B. D., and Higgins S. J., eds. (1985);“Transcription and Translation" Hames, B. D., and Higgins S. J., eds. (1984);“Animal Cell Culture”Freshney, R. I., ed. (1986);“Immobilized Cells and Enzymes”IRL Press, (1986);“A Practical Guide to Molecular Cloning”Perbal, B., (1984) and“Methods in Enzymology”Vol. 1-317, Academic Press;“PCR Protocols: A Guide To Methods And Applications”, Academic Press, San Diego, CA (1990); Marshak et al.,“Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual”CSHL Press (1996) に幅広く記載されている。これらのすべては、本明細書に完全に記載されるものとして参照により組み込まれる。ほかの一般的な参照は、この文書全体を通じて提供される。そこに記載された手順は、当該技術分野において周知であると考えられ、読み手の利便のために提供される。そこに含まれるすべての情報は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
一般的な材料
細胞:
培養培地シグマC6614に適応されたCHO−S(ギブコBRL、カタログ番号11619)細胞が確立された。
200nMのMTXで培養されたC6614中のCHO−S
C6614中のCHO−Dukx
ProCHO−5中のCHO−S1
【0145】
プラスミド:PGL3抗EGFR mAb EMCV−PAC1−DHFRタンデム−872;pTT5ベクター;pCMV−P
【0146】
試薬
AccuPrime Pfx インビトロジェンDNAポリメラーゼ、カタログ番号12344−024;
分子生物学用アガロース、IBIアガロース、カタログ番号IB70042;
アルブミンウシ画分溶液(BSA)、7.5%、シグマ、カタログ番号A8412;
ヒイロチャワンダケ(Aleuria aurantia)レクチンAAL:1mg/ml、カタログ番号L−1390、ベクター;
アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)レクチンAOL、5mg/ml、カタログ番号L0169、EY
アンピシリン−シグマ、カタログ番号A9518;
ELISA用抗体:捕捉:ヤギ抗−ヒトIgG(H+L)、ジャクソンイムノリサーチ、カタログ番号109−005−088(USA)。検出:ヤギ抗−ヒトIgG Fc(Fab
2)、ジャクソンイムノリサーチ、カタログ番号109−036−098(USA);
ベータアクチンアッセイ注文対応(Q−PCRに対するプローブおよびプライマー)−ABI、カタログ番号RN00667869_ml;
ビオチン(EZ−Link(登録商標)NHS−PEG4−ビオチン、No−Weigh(商標)フォーマット、カタログ番号21329、サーモ、カタログ番号21329;
ビオチン化AAL 1mg活性コンジュゲート、ベクター、カタログ番号B−1395;
ビオチン化MAL 1mg、EY、カタログ番号BA−7801−2;
ウシ血清アルブミン(BSA)、ボボスター(Bovostar).ボボジェン(Bovogen)、カタログ番号BSAS.01;
Cell Boost、HyClone、カタログ番号SH30866.01;
CHO CD EfficientFeed(商標)A、インビトロジェン、カタログ番号A10234−01
CHO CD EfficientFeed(商標)B、インビトロジェン、カタログ番号A10240−01
クエン酸、シグマ、カタログ番号C−1909;
デキストラン硫酸ナトリウム塩、シグマ、カタログ番号D4911;
DH5αコンピテントバクテリア、ライフ−テクノロジーズ、カタログ番号18263−012;
DMSO、メルク、カタログ番号1.02931.1000
DNAラダー:DNA用1kbラダー、バイオラボ、カタログ番号3232L
DNAラダー:DNA用100bpラダー、バイオラボ、カタログ番号3231L
DTT、カタログ番号:D9779、シグマ;
EDTA、シグマ、カタログ番号E7889;
エタノール、メルク、カタログ番号00983.1000;
EZ−Link(登録商標)、NHS−PEG4−ビオチン、No−Weigh(商標)フォーマット、カタログ番号21329、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermo Fisher Scientific Inc)、USA;
FACS Accudrop Beads、ベクトンデッキンソン、カタログ番号MAB345249;
フコース、シグマ、カタログ番号F2252;
グルコース、シグマ、カタログ番号G7021;
グルタミン、バイオロジカルインダストリーズ、カタログ番号03−020−1A;
グルタミン、シグマ、カタログ番号G5972;
グリシン、メルク、カタログ番号4201;
グアニジン−HCl、カタログ番号G3272、シグマ;
Hepes 1M、インビトロジェン、カタログ番号15630−056;
大容量cDNA逆転写キット、アプライドバイオシステムズ、カタログ番号4368814;
HTX50、バイオロジカルインダストリーズ、カタログ番号03−085−1C;
塩酸、メルク、カタログ番号UN−1789 1.00317.2500;
iCE280メチルセルロース1%、カタログ番号102220および101876、コンバージェントバイオサイエンス(Convergent Biosciences)、(カナダ);
iCE280 pharmalyte 3−10、カタログ番号10−0456−01、GEヘルスケア(独国);
iCE280 pIマーカー 6.14および9.5、それぞれカタログ番号102220および101996、コンバージェントバイオサイエンス、(カナダ);
iCE280 システム好適キット、カタログ番号102093−j、コンバージェントバイオサイエンス、(カナダ);
iCE280 IEFキット、コンバージェントバイオサイエンス;
IMagバッファー、ベクトンデッキンソン、カタログ番号552362;
IMag SA Particles Plus−DM、ベクトンデッキンソン、カタログ番号557812;
ヨードアセトアミド、カタログ番号I1149、シグマ;
ITSX100、インビトロジェン、カタログ番号51500−056;
LB+アンピシリンプレート−Hy−Labs、カタログ番号PD178;
L−システイン、カタログ番号C7352、シグマ;
LipofectAmine、インビトロジェン、カタログ番号50470;
イヌエンジュ凝集素(Maackia amurensis agglutinin)1mg/ml、カタログ番号L8025、ロット:036k4075 シグマ;
MAA−FITC、2mlバッファー中2mg、EY、カタログ番号F−7801−2;
マレイミド、カタログ番号129585、ロット:S56783−278 シグマ;
Na
2PO
4・2H
2O、メルク、カタログ番号6580;
NaH
2PO
4・H
2O、メルク、カタログ番号6346;
Octet QK System、Kinetics Buffer×10、カタログ番号18−5032 Fortebio、Fortebio社、USA;
パパイン、カタログ番号P3125、シグマ、0.05%チモールを含むpH4.5の0.05M 酢酸ナトリウムで;
フェノールレッド、シグマ、カタログ番号P0290;
PluronicF−68、シグマ、カタログ番号P5556
ポリエチレンイミンパウダー、直線MW25000、ポリサイエンス(Polysciences)、カタログ番号23966;
プロテアーゼ阻害剤カクテル、シグマ、カタログ番号P8340;
プロテアーゼ阻害剤、シグマ、カタログ番号P8340;
プロテインAセファロース−Mab Select Xtra、カタログ番号17−5269−07、ロット番号10011545;
プロテインG磁気ビーズ、バイオラッド、カタログ番号S1430;
ピューロマイシン、インビボジェン、カタログ番号Ant−pr5;
ピューロマイシン、シグマ、カタログ番号P8833;
参照試料:ERBITUX(登録商標) 5mg/ml注入用溶液、メルクセロノ、ロット番号7820907;
制限酵素は、ニューイングランドバイオラボから購入した。
R−フィコエリトリン−共役ストレプトアビジン(SA−PE)、0.2mg/ml、バイオレジェンド(BioLegend)、カタログ番号405203;
R−フィコエリトリン−共役ストレプトアビジン(SA−PE)、ジャクソン、カタログ番号016−110−084;
スキムミルクパウダー、フルカ、カタログ番号70166;
重炭酸ナトリウム、メルク、カタログ番号6329;
炭酸ナトリウム、メルク、カタログ番号6392;
塩化ナトリウム、メルク、カタログ番号6404;
水酸化ナトリウムペレット、メルク、カタログ番号1.06498.5000;
SuperScript(登録商標)III CellsDirect cDNA合成キット、インビトロジェン、カタログ番号18080−051;
SYBR Safe DNA ゲル染色、DMSO中10000×、インビトロジェン、カタログ番号S33102;
TMB溶液、カタログ番号1928、Savyon Diagnostics;
TransIT−PRO試薬キット、Mirus、カタログ番号Mir5700;
Tris−HCl、カタログ番号T3038、ロット:037K8402、シグマ;
Tween20、カタログ番号8.17072、メルク;
バルプロ酸ナトリウム塩、シグマ、カタログ番号P4543。
【0147】
溶液
ビオチン化AAL−SA−PE混合物:PBS+0.1プルロニック酸中にビオチン化AAL 20μg/mlおよびSA−PE 2μg/ml;
1%漂白剤 −FACS Clean、ベクトン デッキンソン、カタログ番号340345;
ELISAアッセイ溶液 −PBS中に1%スキムミルクパウダー;
ELISAブロッキングバッファー −PBS中1%BSA/0.05%Tween−20;
ELISA捕捉(コーティング)溶液 −ヤギ抗−ヒトIgG(H+L)を、0.1M 炭酸塩バッファーpH9.6に、最終濃度2mcg/mlに1:900で希釈した;
ELISA標準曲線試料:参照試料Erbitux(EMD ロット7820907、5.0mg/ml)を、アッセイバッファーで100ng/mlまで希釈し、その後、1.56ng/mlまで2倍段階希釈した。各標準点濃度は、少なくとも1mlの最終容量で調製した;
ELISA洗浄バッファー −PBS中0.05%Tween−20;
フォーミュレーションバッファー:塩化ナトリウム11.7g(100mM);クエン酸4.2g(10mM);グリシン15g(100mM);水酸化ナトリウムpH5.8までを、WFIで2リットルの容量にした;
iCE280ランニング原液:1%メチルセルロース70mcl、6.14および9.5pIマーカー1mcl、pharmalytes(pH3〜10)8mclをWFI100mlに加えた;
パパイン切断バッファー:0.1M Tris−HCl、4mM EDTA、5mM システイン pH7.6。システインは、新しいものをその都度調製すべきである。製造業者の取扱説明書にしたがって、バッファーでパパインを1mg/mlに希釈;
PBS(リン酸緩衝生理食塩水) −10mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH7.2、10×PBSの1:10希釈で調製;
0.1%プルロニック含有PBS;
PBS(ITL製品、BR R0450V01);
PBS−0.05% Tween20:0.5mlのTween20を1LのPBS×1と混合した;
リン酸バッファー20mM:pH7.5:1Lの水中に、Na
2PO
4・2H
2O 1.8gおよびNaH
2PO
4・H
2O 1.38g;
プロテインA −溶出バッファー:20mM 酢酸 pH=3.2;
プロテインA −平衡/洗浄2バッファー:50mM 酢酸ナトリウム、pH6.8;
プロテインA −洗浄1バッファー:50mM 酢酸ナトリウム+1.5M 塩化ナトリウム、pH=6.8;
還元バッファー×2:8M グアニジン−HCl、100mM Tris−HCl、10mM DTT、pH8.8(その都度新しく調製)。
【0148】
培養培地
3.5%Cell boost6ストック;
CHOクローニング培地、カタログ番号C6366、シグマ;
CHO DHFR
-培地パウダー、SAFCバイオサイエンス、カタログ番号C6614(ITL製品、R0461V01);
DMEM−F/12 1:1 ×1、インビトロジェン、カタログ番号21331−020;
FEME培地(8ml/L ITS−X(インビトロジェン、カタログ番号51500−056)を補足したDMEM/F−12(1:1)(インビトロジェン、カタログ番号32 500_043));
イーグル最小必須培地、シグマ、カタログ番号M2279;
ProCHO5、ロンザ(Lonza)、カタログ番号BE12−766Q;
Select CD1000、ベクトンデッキンソン、カタログ番号215204;
VPAナトリウム塩ストック、100mM。
【0149】
消耗品
14ml遠心分離チューブ、Greiner、カタログ番号187261;
15ml遠心分離チューブ、コーニング、カタログ番号430052;
24ウェルプレート、Nunc、カタログ番号142475;
5mlポリスチレン丸底チューブ、ベクトンデッキンソン、ファルコン、カタログ番号352054;
5ml丸底チューブポリスチレン、ベクトンデッキンソン、ファルコン、カタログ番号352054;
96ウェルプレート、コスター(Costar)、カタログ番号3595;
96ウェルプレート、ファルコン、カタログ番号353072;
ABI PRISM(商標)光学接着カバー 100/Pkg、アプライドバイオシステムズ、カタログ番号4311971;
冷凍チューブバイアル2ml、Grenier、カタログ番号126−263;
Acrodiscフィルター0.2μm、ゲルマン(Gelman)、カタログ番号4192;
Amicon Ultra 15ml 10kDa、カタログ番号UFC901024、ミリポア;
Amicon Ultra 3kDa、カタログ番号UFC900324、ミリポア;
Amicon ultra、遠心分離フィルターユニット、ミリポア、カタログ番号UFC801024;
Cryo Freezing 1℃容器、Nalgene、カタログ番号5100−0001;
PBSまたは水の滅菌用使い捨て0.22μフィルター、Nalgene、カタログ番号1270020;
ACFM滅菌用使い捨て0.2μフィルター(GP発現プラスメンブレン)、ミリポア、カタログ番号SCGPU05REまたはSCGPU11RE;
FACS洗浄滅菌用使い捨て0.45μフィルター、Nalgene、カタログ番号4500045;
使い捨て40μセルストレーナー無菌、ベクトンデッキンソン、ファルコン、カタログ番号352340;
セルストレーナーカップ35μを備えた使い捨て5mlポリスチレンチューブ、ベクトンデッキンソン、ファルコン、カタログ番号352235;
使い捨て70μ(または35μ)滅菌フィルターカップ Filcon、ベクトンデッキンソン、ファルコン、カタログ番号340634;
使い捨てフィルター10μ Cup filcon、ベクトンデッキンソン、カタログ番号340732;
使い捨てフィルター30μ Cup filcon、ベクトンデッキンソン、カタログ番号340625;
DynaMag、Dynal、インビトロジェン、カタログ番号123.01D;
DynaMag、Dynal、インビトロジェン、カタログ番号123.21D;
ELISA、マイクロタイタープレート MaxiSorp F96、カタログ番号NUNC;
エーレンマイヤー1000ml、Triforest、カタログ番号TF FPC1000S;
三角フラスコ:125ml、コーニング、カタログ番号WI−431143、250ml、コーニング、カタログ番号WI−431144、500ml、コーニング、カタログ番号WI−431145、2L、コーニング、カタログ番号WI−431255;
FACSチューブ、ファルコンカタログ番号352235 ブルーフィルターキャップ付;
FACSチューブ、BDファルコン、カタログ番号352235;
フィルター10”0.1μm、Durapore、ミリポア、カタログ番号MILLIPAK200;
フィルターチューブ50、TPP、カタログ番号87050;
iCE280キャピラリーカートリッジ、カタログ番号FCコーティング(PN:101700)、コンバージェントバイオサイエンス;
iCE280マイクロインジェクタートランスファーキャピラリー、カタログ番号PN:102019、コンバージェントバイオサイエンス;
IMagnet、ベクトンデッキンソン、カタログ番号552311;
グリッドを備えたKova Glasstic Slide 10、Hycor、カタログ番号87144;
マイクロ遠心分離チューブ(1.7ml)、コスター、カタログ番号3207;
Octet QK System、マイクロプレート、黒96ウェル、カタログ番号655209、Greiner bio−one、独国;
バーコード付のOptical 96−Well Fast Thermal Cycling Plate 20/Pkg、アプライドシステムズ、カタログ番号4346906;ピペットチップ、Sorenson、カタログ番号14200および14220;
ピペットチップ、Sorenson、カタログ番号14200および14220;
ピペットチップ 0〜200μl、コスター、カタログ番号4864;
スライド−A Lyzer Dialysis cassette G2 2kDa:カタログ番号87718、サーモ;
SnakeSkin Dialysis tubing 10kDa、カタログ番号68100、ロット:JJ127549、Thermo HiTrap MabSelect Xtra 1ml、カタログ番号28−4082−58、GE;
ステリカップ(Stericup)1L フィルターユニット0.1μm、ミリポア、カタログ番号SCGPU05RE;
ステリカップ1L フィルターユニット0.2μm、ミリポア、カタログ番号SCGPU11RE;
ステリフリップ(Steriflip)フィルターユニット 50ml、0.22μm、ミリポア、カタログ番号SCGP00525;
滅菌24−ウェルプレート、Nunc、カタログ番号143982;
滅菌6−ウェルプレート、コスター、カタログ番号3506;
滅菌遠心チューブ:15ml、ベクトンデッキンソン、ファルコン、カタログ番号2097およびコーニング、カタログ番号430055、50ml コーニング、カタログ番号430290、250ml コーニング、カタログ番号430776、500ml、コーニング、カタログ番号431123;
滅菌FACSチューブ、ベクトンデッキンソン、ファルコン、カタログ番号352054;
滅菌ピペット:10mlステリリン(Sterillin)、カタログ番号47110、1mlステリリン、カタログ番号40105、2mlステリリン、カタログ番号40102、5mlコーニング、カタログ番号4011、50mlコーニング、カタログ番号4501、25mlファルコン、カタログ番号35−7525;
滅菌組織培養フラスコ:25cm
2、(T−25)、Nunc、カタログ番号163371;
ストレプトアビジン バイオセンサ チップ、カタログ番号18−5019、Fortebio社、USA;
シリンジ 2.5ml、滅菌、メディ−プラス(Medi-Plus)、カタログ番号;
TCF 175cm
2、Nunc、カタログ番号156502;
TCF 25cm
2、Nunc、カタログ番号136196;
TCF 80cm
2、Nunc、カタログ番号153732。
【0150】
機器
AKTA explorer100、カタログ番号18−1112−41、GE(独国);
Cellavista −Innovatis、ロシュ;
遠心分離機 −カタログ番号5417R−エッペンドルフ;
遠心分離機 −カタログ番号5417R−エッペンドルフ;
遠心分離機 −RC 3C Plus型−Sorvall(USA);
循環水浴、モデルF3/K、Haake(フィンランド);
電気伝導度計ORION、モデル150、オリオンリサーチ社;
コールター・カウンター −モデルZl、コールターエレクトロニクス(イングランド);
Cryo Freezing 1℃容器、Nalgene、カタログ番号5100−0001;
ELISAプレートリーダー Sunrise basic、カタログ番号16039400、TECAN;
ELISA Plate Washer Columbus,カタログ番号6040834、TECAN;
ELISA Robot Genesis RSP 150/8、カタログ番号611408、TECAN;
ELISA、iEMSインキュベーター、カタログ番号5112200、サーモ;
エッペンドルフ遠心分離機、シリーズ5417R、エッペンドルフ(ドイツ);
FACSAriaフローサイトメーター、ベクトンデッキンソン;
Finnpipette、カタログ番号4540000 Labsystems(フィンランド);
GE Fanucシリーズ90−70 プログラム可能なコントローラ −ジェネラルエレクトリック社(USA);
GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700、PEアプライドバイオシステムズ(USA);
水平ゲル電気泳動システム、GIBCO−BRL Horizon58、カタログ番号41060;
iCE280 イメージキャピラリー電気泳動アナライザー、カタログ番号1241、コンバージェントバイオサイエンス;
iCE280 PrinCE MicroInjector、カタログ番号5418074067、コンバージェントバイオサイエンス;
iCE280 ソフトウェアiCE280 CFRソフトウェアv.2.3.6 コンバージェントバイオサイエンス;
Image master VDS、カタログ番号80−6254−80 ファルマシア(スウェーデン);
インキュベーションシェーカーボックス、CERTOMAT(登録商標) BS−T、B.ブラウンバイオテックインターナショナル(B. Braun Biotech International)(ドイツ);
インキュベーター37℃5%CO
2、温度およびCO
2は制御されている、Tuttnauer(イスラエル);
Incubator−Shake “n” stack、Hybaid、カタログ番号HBMOVC5T220(ハイブリダイゼーションオーブン);
Laminar Flow Hood(LFH)クラス100−Israflow(イスラエル);
光学顕微鏡−モデルTMS No.301070−ニコン(日本);
マイクロプレートインキュベーター/振とう器、iEMS、ThermoLabsystem(フィンランド);
マイクロプレート洗浄機、カタログ番号WW015、アプライドクオリティーサービス社(UK);
電子レンジ −Crystal 17L;
Octet QK System、データ収集ソフトウェア6.3バージョン、Fortebio社、USA;
Octet QK System、データ分析ソフトウェア6.3バージョン、Fortebio社、USA;
Octet QK System、Fortebio社、CA、USA;
25mmの振とう振幅(軌道)を有する軌道プラットフォーム振とう器、New Brunswick Scientific(USA);
蠕動ポンプ −Watson Marlow 503Sまたは505U(英国);
pHメーター、シリーズPHM210、Randiometer(デンマーク);
プレート洗浄機(SLT 96PW)TECAN;
プラットフォームロッキング振とう器−Hoefer“Red−Rocker” PR50−250V(ファルマシアバイオテック);
電力供給装置、カタログ番号PS500XT、Hoefer scientific instruments(USA);
冷却遠心分離機、Multifuge 3 S−R、Heraeus;
冷却インキュベーター振とう器、Innova 4230、New Brunswick Scientific(USA);
ロボット試料プロセッサー、モデルRSP 150/8 Genesis、TECAN、(スイス);
振とう器、Rotamax、シリーズ番号120、ハイドルフ(ドイツ);
ソフトウェア−WIZCON−PC Soft International社(イスラエル);
StepOnePlus(商標)リアルタイムPCRシステム、アプライドバイオシステムズ、カタログ番号4376600;
UV table、BTS20.MS、Uvitec、カタログ番号M023641;
水浴−温度コントローラ、ポリサイエンス、モデル9106
【0151】
一般的な方法
略語
AAL− ヒイロチャワンダケ(Aleuria aurantia)レクチン
ACF− 動物成分不含
ACFM 動物成分不含培地
ADCC− 抗体依存性細胞傷害
抗−EGFR mAb
CHO− チャイニーズハムスター卵巣
DHFR− ジヒドロ葉酸レダクターゼ
DMEM− ダルベッコ改変イーグル培地
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT− ジチオトレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EGFR 上皮成長因子受容体
ELISA 酵素関連免疫吸着アッセイ
EMCV− 脳心筋炎ウイルス
Fab− IgG1の重鎖のCH1およびVH部分と軽鎖
FACS− 蛍光活性化細胞ソーター
Fc− IgG1重鎖のCH3およびCH2部分
F−SA− 蛍光ストレプトアビジン
Fut8− フコシルトランスフェラーゼ8
FX GDP−ケト−6−デオキシマンノース 3,5−エピメラーゼ,4−レダクターゼ
GFT− GDP−フコーストランスポーター
GMD− GDP−マンノース 4,6−デヒドラターゼ
GOI− 目的の遺伝子
HC− 重鎖
hCMV−IE− ヒトサイトメガロウイルス即時初期プロモーター
HRP 西洋ワサビペルオキシダーゼ
ICE イメージキャピラリー(imaged capillary)電気泳動
IgG1 G1型イムノグロブリン
IRES− 内部リボソーム侵入部位
LC− 軽鎖
MAA− イヌエンジュ(Maackia amurensis)レクチン
MCB− マスター細胞バンク
mCMV− マウスサイトメガロウイルスプロモーター
MFI− 平均蛍光強度
MS− 質量分析
MTX− メトトレキサート
NK− ナチュラルキラー細胞
pA− ポリアデニル化
PAC− ピューロマイシンN−アセチルトランスフェラーゼ
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PCD− ピコグラム/細胞/日
PCR− ポリメラーゼ連鎖反応
PDL− 細胞集団倍化レベル
PDT− 細胞集団倍化時間
POI− 目的のタンパク質
PreMCB− プレマスター細胞バンク
RE− 制限酵素
RT− 室温
SA− ストレプトアビジン
SA−PE R−フィコエリトリン共役ストレプトアビジン
SP− シグナルペプチド
SV40− シミアンウイルス40
TM− 膜貫通ペプチド
TMB 3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン
VPA− バルプロ酸
【0152】
MTXの存在下でのCHO−S細胞のインキュベーション:
C6614中のCHO−S細胞を0.2×10
6細胞/mlで100nM MTXに播種し、生存率が90%を超えるまで10日間増殖させた。その後、細胞を27日間200nM MTXに移し、続いて細胞を200nM MTXの存在下で凍結させた。ゼロフコース発現細胞の単離のために、細胞を、MTXを含まない培地に溶かした。
【0153】
ストレプトアビジン磁気ビーズによる低フコース細胞の選択:
MTX処理CHO−S細胞を、ビオチン化したAALまたはAOLで標識し、磁気ビーズに結合されたストレプトアビジンと混合した。細胞を磁石で分離し、磁石に付着しなかった懸濁液中の細胞(すなわち、その表面上のフコースレベルが低い)をさらに増殖させた。この手順を2回行い、その後細胞をFACSによりソーティングした。
【0154】
50×10
6MTX処理CHO−S細胞を回収し、PBS+0.1%プルロニック酸(プルロニックF−68、シグマ、カタログ番号P5556)中で洗浄した。その後、細胞を、PBS+0.1%プルロニック酸中、20μg/mlの濃度のビオチン化AAL(ベクター、カタログ番号B−1395、ロット番号U0922)または5μg/mlの濃度のAOL(カタログ番号L0169、EY)5mlにRTで30分再懸濁した。染色された細胞を、PBS+0.1%プルロニック酸で洗浄し、250μlのBD IMag SA Particles Plus−DM(BD、カタログ番号557812)を添加し、もう30分RTでインキュベートした。その後、2.25mlのPBS+0.1%プルロニック酸+0.5%BSAを加えた。ビーズを3つの5mlチューブに分けた。そのチューブをBD IMagnet(BD、カタログ番号552311)上におき、8分間静置した。上清を吸引し、新しい15mlチューブに移した。このステップを2回行い、吸引した上清を合わせた。上清を再び5mlチューブに分け、BD IMagnet(BD、カタログ番号552311)上で8分間静置した。上清を回収し、遠心分離にかけ、C6614培地(CHO DHFR
-培地パウダー、SAFCバイオサイエンス、カタログ番号C6614)(ITL製品、R0461V01)に播種した。細胞を増殖させ、その後ビーズにより分離する別の回(round)を行った。
【0155】
レクチンとのインキュベーションの後、細胞生存率は、AALとインキュベートした場合83%であり、AOLとインキュベートした場合89%であった。PBSでインキュベートした後の典型的な細胞の生存率は85〜95%である。
【0156】
FACSによる低フコース細胞のソーティング
A.磁気ビーズでの分離後のソーティング:
磁気ビーズで2回分離後の細胞を、細胞表面上の低フコースレベルを有する細胞のためのFACSソーティングに付した。40×10
6細胞を冷PBS+0.1%プルロニック酸中で洗浄し、遠心分離し、10mlのビオチン化AALまたはAOL+SA−PE混合物20μg/mlに再懸濁させ、T80フラスコに移して、45rpmで振とう下、37℃で30分間インキュベーションした。細胞を遠心分離し、冷PBS+0.1%プルロニック酸中で洗浄し、2回遠心分離に付し、PBS+0.1%プルロニック酸中に再懸濁させ、最終濃度10×10
6細胞/mlとした。集団の最も弱い蛍光画分(1.5%)を、2mlのシグマ C6614 SFM+HT(バイオロジカルインダストリーズ、カタログ番号03−085−IC)/チューブ中にFACSによりソートし、遠心分離して、1.5mlシグマC6614SFM+HT/チューブに再懸濁し、6ウェルプレートのウェルに播種し、増殖させた。
【0157】
B.低フコース細胞のソーティング−4回:
100×10
6細胞を冷PBS+0.1%プルロニック酸中で洗浄し、遠心分離し、PBS+0.1%プルロニック酸中のビオチン化AAL(20μg/ml)+SA−PE(1:100)混合物10mlに再懸濁し、T80フラスコに移し、45rpmで振とう下、37℃で30分間インキュベートした。細胞を遠心分離し、冷PBS+0.1%プルロニック酸中で洗浄し、2回遠心分離し、PBS+0.1%プルロニック酸で再懸濁して10×10
6/mlの細胞濃度とし、FACSチューブに濾過した。AALとのインキュベーションの後、細胞生存率は81%であった。PBSでインキュベートした後の典型的な細胞の生存率は85〜95%である。集団の最も弱い蛍光画分(1回目のソートで0.2%、2回目で0.07%、3回目で1%、4回目で2%)を、2mlのシグマProCHO5 SFM+HT/チューブにFACSによりソートし、遠心分離して、1ml(1回目および2回目のソートで)または3ml(3回目および4回目のソートで)のProCHO5+HT/チューブに再懸濁し、24ウェルプレートのウェル(1回目および2回目のソート)またはT25フラスコ(3回目および4回目のソート)に播種し、増殖させた。
【0158】
FACSによる細胞膜上のフコースレベルの分析:
2×10
6細胞をPBS+0.1%プルロニック酸で洗浄し、遠心分離し、PBS+0.1%プルロニック酸中のビオチン化AAL(カタログ番号B1395、ベクター)(20μg/mlに希釈)またはAOL(カタログ番号L0169、EY)(5μg/mlに希釈)+SA−PE(カタログ番号40250、バイオレジェンド)(2μg/mlに希釈)混合物500μlに再懸濁し、24ウェルプレートに移し、振とう下37℃で30分間インキュベートした。細胞を完全に再懸濁して15mlチューブに移した。10mlのPBS+0.1%プルロニック酸を添加し、細胞を混合し、遠心分離し、そして再び洗浄した。ペレットを0.5mlのPBS+0.1%プルロニック酸/チューブ中に再懸濁し、細胞の蛍光により分析するためにFACSチューブに濾過した。
【0159】
FACSによる細胞膜上のシアル酸含有量の分析:
2×10
6細胞をPBS+0.1%プルロニック酸で2回洗浄し、遠心分離し、PBS+0.1%プルロニック酸中のMAA−FITC(50μg/mlに希釈)500μlに再懸濁し、24ウェルプレートに移し、振とう下25℃で30分間インキュベートした。細胞を完全に再懸濁して15mlチューブに移した。10mlのPBS+0.1%プルロニック酸を添加し、細胞を混合し、遠心分離し、そして再び洗浄した。ペレットを0.5mlのPBS+0.1%プルロニック酸/チューブ中に再懸濁し、細胞の蛍光により分析するためにFACSチューブに濾過した。
【0160】
ITL−lf2細胞培養物への外因性フコースの添加:
抗EGFR mAbでのトランスフェクションの前または後のいずれかのITL−LF2細胞を、ProCHO5培地に0.2×10
6細胞/mlの濃度で種々の濃度のL−フコース(シグマ、カタログ番号F2252)と共に播種し、CO
2と共に320rpmで振とう下37℃でインキュベートした。4日後、細胞のサンプルを細胞の蛍光によるFACS分析のために採取した(本明細書において後述する)。さらに、抗EGFR mAbトランスフェクト細胞からの粗収穫サンプルをFACSにより分析した。
【0161】
プレ−マスター細胞バンクの調製:
細胞凍結用細胞培養物をエーレンマイヤーに広げた。必要量の細胞を遠心分離し、新鮮なProCHO5培地+HTおよび馴化培地(指数関数的に増殖しているITL−LF2宿主細胞由来)の1:1混合物92.5%およびDMSO7.5%からなる凍結保存培地に再懸濁した。60本のバイアルを、各クローンからそれぞれプレ−マスター細胞バンク(pre−MCB)において凍結した、1バイアルにつき1.5ml中に10×10
6細胞/バイアル。細胞を、−80℃でCryoFreezing 1℃容器(NALGENE、カタログ番号5100−0001)において凍結し、24時間後液体窒素ガスにおける保管に移した。
【0162】
細胞バンク検査:
pre−MCB製造の11日後に、ITL−LF2細胞のpre−MCBでの凍結アンプル中の細胞の生存率を調べた。1つのアンプルを解凍し、生存率を解凍後直ちに測定した。細胞を3回の増殖サイクルに沿って増殖させ、生存率を3回目のサイクルの後に測定した。
【0163】
直接移転または浸漬技術により無菌テストを行った。マイコプラズマに関しても細胞をテストした。
【0164】
FACS ACDUによるクローニング:
FACSAria細胞ソーターの自動細胞捕集装置(ACDU)による、ProCHO5+HTにおいて増殖している細胞のクローニングを、ACDUの「単細胞」精度モードで、80%C6366+20%ProCHO5 ACFM混合物を200μl/ウェル含有する96ウェルプレート中に行った。細胞の濃度は0.4×10
6細胞/mlであった。プレートを、クローニングした日(0日目)およびその8日後にCellavistaで撮影した。いくつかのクローンを選び出し、増殖させ、その後、シグマ C6366を50%およびProCHO5を50%含む混合物4mlを含むT25フラスコに移した。細胞増殖中ProCHO5を徐々に添加した。これらの細胞をmRNAの特徴付けのために解析した。
【0165】
細胞からのRNA抽出:
全RNAを、製造業者の取扱説明書にしたがってRneasyキット(キアゲン、カタログ番号74104)を用いて細胞から全RNAを単離した。
【0166】
フコース経路遺伝子の検出のためのRT−PCR:
CHO−SまたはITL−LF2細胞から抽出した全RNAから、インビトロジェンSuperScript IIIキット(カタログ番号18080−051)およびこのキットに備えられたオリゴdTプライマーを利用してcDNAを調製した。その後、遺伝子特異的プライマーを用いてPCRを行った。プライマーはシグマ・アルドリッチにて合成された。プライマーの配列をつぎの表1に示す。得られたバンドはアガロースゲル上で分析され、DNAサイズマーカーと比較された。
【0167】
【表1】
【0168】
フコース経路mRNA発現レベルの評価のためのQ−PCR(リアルタイムPCR):
アプライドシステムズの高性能cDNA逆転写酵素キットおよびそのキットに補足のランダムプライマー(アプライドシステムズ、カタログ番号4368814)を利用してcDNAを調製した。
【0169】
遺伝子特異的プライマーおよびTaqMan(登録商標)MGBプローブをアプライドシステムズで合成した。プライマーとプローブの配列をつぎの表2に示す。
【0170】
【表2】
【0171】
Q−PCRは、以下の方法で行った。
各反応に対して、5μlの調製したcDNAを、TaqMan(商標)遺伝子発現マスターミックス、フォアワードおよびリバースプライマーおよびTaqMan(商標)MGBプローブを含む混合物に添加し、最終容量13μlとした。
【0172】
QPCRは、StepOnePlus(商標)リアルタイムPCR機の「高速」モードで行い、結果をStepOnePlus(商標)およびDataAssist v2.0ソフトウェアを利用して解析した。
【0173】
cDNAフラグメントおよびプラスミドのDNA配列決定:
DNA配列決定は、完全自動化16キャピラリーABI Prism 3100 ジェネティックアナライザーにより行った。配列は、Sci−Ed General ソフトウェア(Clone manager software、バージョン7.01およびAlign plus 5、バージョン5.01)を利用して組織内で分析した。
【0174】
DNA発現ベクターの構築:
すべてのベクターは、標準的な分子生物学の技術を利用して構築した。
【0175】
プラスミドDNAの調製:
プラスミドDNAは、QIAGEN Hispeed plasmid Maxi Kitを用いて、製造業者により記載された手法にしたがって単離した。安定トランスフェクションについては、DNAを特定の制限酵素により線状化し、エタノールにおけるDNA沈殿により滅菌した。一過性のトランスフェクションは環状DNAで行った。
【0176】
ITL−LF2およびCHO−S細胞の安定トランスフェクション:
ITL−LF2細胞をC6614血清不含培地(CHO DHFR
-培地パウダー、SAFC バイオサイエンス、カタログ番号C6614)に適応させた。細胞を50mlチューブ(フィルターチューブ50、TPP、カタログ番号87050)内の懸濁液中で、37℃、加湿下、320RPMで振とうして増殖させた。トランスフェクションの2日前に、100mlの細胞を500mlのエーレンマイヤー(コーニング、カタログ番号WI−431145)に0.5×10
6細胞/mlの濃度で播種した。細胞を、抗EGFR mAbコード配列を含むPGL3抗EGFR mAb EMCV−PAC1 DHFRタンデム−872ベクターで、LipofectAmine(ギブコBRL、カタログ番号18324−020)によりトランスフェクトした。トランスフェクションの日、複製の細胞を洗浄し、再懸濁し、10×10
6細胞を、T−25フラスコ(Nunc、カタログ番号163371)につき、4mlMEM(シグマ、カタログ番号M2279)中に播種した。単一プラスミドによる各トランスフェクションに対して、20μgの線状化PGL3抗EGFR mAb EMCV−PAC1 DHFRタンデム−872ベクターを用いた。最終のDNA容量は、MEM中100μlに調整した。その後、100μlのLipofectAmineを添加し、室温で45分間インキュベートした。その後、DNA−LipofectAmine混合物を細胞に添加し、50RPMの振とうインキュベーターにおいて37℃、5%CO
2で4時間インキュベートした。このインキュベーション期間の終了時に、細胞を沈降させ、培地を、ヒポキサンチン13.6mg/L/チミジン3.9mg/L(HT、バイオロジカルインダストリーズ、カタログ番号03−085−1C)および10μg/mlフコース(シグマ、カタログ番号F2252)を補足した8mlの新しいC6614(シグマ)50%とC6366(シグマ)50%に置き換えた。
【0177】
フラスコを50RPMで振とうインキュベーターにおいて37℃で72時間インキュベートした。その後、細胞を回収し、遠心分離し、そして10mg/mlフコースおよび5〜10μg/mlピューロマイシン(それぞれ異なる実験(replicates)に対して)を補足した50%C6614+50%C6366培地10mlに再懸濁し、元のT−25フラスコに戻した。これらの選択的条件下では、PAC遺伝子を発現する細胞のみが生存できた。複製プール回復の後、C6614培地+10μg/mlフコースを徐々に添加した。プールを完全に回復させると、細胞をフコースなしの新しいC6614培地に播種した。その後、細胞をProCHO5培地に移し、細胞膜上のフコシル化レベルを本明細書の以下に説明するように検出した。
【0178】
CHO−S細胞を、ヒポキサンチン13.61mg/Lおよびチミジン3.88mg/L(HT×1、バイオロジカルインダストリーズ、カタログ番号03−085−1B)を補足したProCHO5血清不含培地(ロンザ、カタログ番号BE12−766Q)で培養した。細胞をフィルターチューブ50ml、バイオリアクター(TPP、カタログ番号87050)中の懸濁液において、37℃加湿下320RPMで振とうして増殖させた。トランスフェクションの2日前に、細胞を、フィルターカップ付500mlのエーレンマイヤー振とうフラスコ(コーニング、カタログ番号431145)中0.2×10
6細胞/mlの濃度で播種した。トランスフェクションの日、細胞を遠心分離し10×10
6細胞をT25フラスコ(Nonc、カタログ番号163371)のMEM(シグマ、カタログ番号M2279)4ml中に播種した。単一プラスミドによる各トランスフェクションについて、20μg線状ベクター(PGL3抗EGFR mAb EMCV−PAC1 DHFRタンデム−872)を用いた。最終のDNA容量をMEM中100μlに調整した。その後、100μlのLipofectAmine(ギブコBRL、カタログ番号18324−020)を添加し、室温で45分間インキュベートした。その後、DNA−LipofectAmine混合物を細胞に添加し、50RPMの振とうインキュベーターにおいて37℃、5%CO
2で4時間インキュベートした。このインキュベーション期間の終了時に、細胞を沈降させ、培地を、フィルターカップ付エーレンマイヤー125ml(コーニング、カタログ番号431143)中のデキストラン硫酸0.1mg/ml、ヒポキサンチン27.22mg/Lおよびチミジン7.76mg/L(HT×2、バイオロジカルインダストリーズ、カタログ番号03−085−1B)を補足した8mlの新しいProCHO5(ロンザ、カタログ番号BE12−766Q)に置き換えた。フラスコを125RPMで振とうインキュベーターにおいて37℃で72時間インキュベートした。その後、細胞を回収し、遠心分離し、25μg/mlピューロマイシン(インビトロジェン、カタログ番号ant−pr−1)を補足した20mlのProCHO5培地に再懸濁した。これらの選択条件下ではPAC遺伝子を発現する細胞のみが生存できた。
【0179】
ITL−LF2細胞の一過性トランスフェクション:
トランスフェクションの2日前に、細胞をProCHO5中で増殖させ、2日後に約2.5〜3.0×10
6細胞/mlの密度に達するように、1000mlエーレンマイヤー(TRIFOREST、カタログ番号TF FPC1000S)中の250mlに0.5×10
6細胞/mlの濃度で播種した。
【0180】
2つのトランスフェクションプロトコールを用いた。
1.ProCHO5(ロンザ)を含む培地でのトランスフェクション
トランスフェクションの日、37.5μgDNA(18.75μg、各HC+LCプラスミド)を、15mlチューブ(コーニング、カタログ番号430052)中の2.5mlのFEME培地((DMEM/F−12(1:1)(インビトロジェン32 500_043)、29mM NaHCO
3、10mM HEPES、5g/l D−グルコースおよび7.5mM L−グルタミン)に希釈した。Er125フラスコを、初期容量10mlのFEME培地(DMEM/F−12(1:1)(インビトロジェン、カタログ番号32 500_043)、8ml/L ITS−X(インビトロジェン、カタログ番号51500−056)補足)で満たし、187.5μg PEIストック(ポリサイエンス社、カタログ番号23966)をDNA+FEME培地(DNA:PEI 1:5)に添加し、その試薬をボルテックスで10秒間混合し、室温で10秒間インキュベートした。60×10
6生細胞を50mlチューブで遠心分離した。ペレットをトランスフェクション混合物で静かに再懸濁し、125mlエーレンマイヤーに移し、160pm、37℃でCO
2振とうインキュベーターにおいて180分間インキュベートした。12.5mlのProCHO5培地を添加し、25ml培養物において最終濃度2.4×10
6細胞/mlとした。
【0181】
トランスフェクションの24時間後、CHO−Sトランスフェクト細胞に、100μlのバルプロ酸(VPA)ナトリウム塩ストック100nM(シグマ、カタログ番号P4543)(最終濃度0.5mM)および2mlの3.5%Cell boost(HyClone、カタログ番号SH30866.01)を補足した。ITL−LF2細胞に100μlのバルプロ酸(VPA)ナトリウム塩ストック100mM(シグマ、カタログ番号P4543)(最終濃度0.5mM)を補足し、インキュベーション温度を31℃に下げた。
【0182】
インキュベーションの6日後、細胞懸濁液試料を細胞計数と生存率測定のために採取した。遠心分離後、上清をELISA試験における一過性発現の評価のために採取した。
【0183】
2.第2培地でのトランスフェクション
ITL−LF2およびCHO−S細胞による抗−EGFR mAbの製造:
濃度0.5〜2×10
6の細胞を、1または2Lのエーレンマイヤーフラスコ中のデキストラン硫酸を含む200〜600mlのProCHO5に播種し、320rpmで振とうインキュベーター上、37℃で4日間培養した。収穫物を遠心分離し、0.22μmフィルターを通してろ過した。その後、プロテアーゼ阻害剤カクテル(シグマ、カタログ番号P8340)を添加した(培養物1Lに対して1ml)。収穫物を、精製プロセスの開始まで−80℃で凍結保存した。
【0184】
粗収穫物試料または精製組換えタンパク質のFACSによるフコースレベルの分析:
プロテインG磁気ビーズ(カタログ番号S1430S、Biolabs)を完全に再懸濁し、25μlを室温で2mlチューブに移した。チューブを磁石のうえに1分間置き、上清を吸引した。20mMリン酸バッファーを0.5ml添加し、プロテインGビーズを再懸濁した。この洗浄ステップをもう1回繰り返した。
【0185】
100μlの試料抗体(25〜37μg/mlの粗収穫物または精製タンパク質のいずれか)を磁気ビーズ含有チューブに加えた。その混合物を37℃で30分間インキュベートし、上清を捨てるために磁石上に置いた。ビーズを0.5mlの20mMリン酸バッファーで2回洗浄し、バッファーを磁石上で吸引した。試料抗体に結合したビーズを、0.5mlのビオチン化AAL−SA−PE混合物(PBS+0.1%プルロニック酸中、2μg/mlに希釈した、ビオチン化AALベクター、カタログ番号B1395、20μg/mlおよびSA−PE、バイオレジェンド、カタログ番号40520、0.2mg/ml)に再懸濁し、24ウェルプレート(Nunc、カタログ番号142475)に移してアルミホイルを被せ、80rpmで振とうして37℃で30分インキュベートした。混合物を完全に再懸濁し、10mlのPBS+0.1プルロニック酸を含む15mlチューブ(コーニング、カタログ番号430052)に移した。その後、10mlのPBS+0.1%プルロニック酸の添加、遠心分離および上清の除去により洗浄を2回行った。ペレットを0.5mlのPBS+0.1%プルロニック酸に再懸濁し、FACSチューブ(ファルコン、カタログ番号352235)を通してろ過し、FACSにより分析した。
【0186】
粗収穫物試料または精製組換えタンパク質のFACSによるシアル酸レベルの分析:
プロテインG磁気ビーズ(カタログ番号S1430S、Biolabs)を完全に再懸濁し、25μlを室温で2mlチューブに移した。チューブを磁石のうえに1分間置き、上清を吸引した。20mMリン酸バッファーを0.5ml添加し、プロテインGビーズを再懸濁した。この洗浄ステップをもう1回繰り返した。
【0187】
100μlの試料抗体(25μg/mlの粗収穫物または精製タンパク質のいずれか)を磁気ビーズ含有チューブに加えた。その混合物を室温で30分間インキュベートし、上清を捨てるために磁石上に置いた。ビーズを0.5mlの20mMリン酸バッファーで2回洗浄し、バッファーを磁石上で吸引した。試料抗体に結合したビーズを、0.5mlのMAA−FITC(2mlに2mg、EY、カタログ番号F−7801−1、PBS+0.1%プルロニック酸中、25μg/mlに希釈)に再懸濁し、24ウェルプレート(Nunc、カタログ番号142475)に移してアルミホイルを被せ、80rpmで振とうしながら室温で30分インキュベートした。混合物を完全に再懸濁し、10mlのPBS+0.1プルロニック酸を含む15mlチューブ(コーニング、カタログ番号430052)に移した。その後、10mlのPBS+0.1%プルロニック酸の添加、遠心分離および上清の除去により洗浄を2回行った。ペレットを0.5mlのPBS+0.1%プルロニック酸に再懸濁し、FACSチューブ(ファルコン、カタログ番号352235)を通してろ過し、FACSにより分析した。
【0188】
抗−EGFR抗体についてのELISA:
テスト試料におけるヒト抗体の濃度を測定するためにELISAアッセイを用いた。アッセイは、以下に記載するように行った。
【0189】
マイクロタイタープレートを、0.1M 炭酸バッファーpH9.6中の2μg/mlのヤギ抗−ヒトIgG(H+L)でコートし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄バッファー(PBS中0.05%Tween−20)で4回洗浄した。その後、プレートをブロッキングバッファー(PBS−T0.05%中1%BSA)200μl/ウェルでRTで1時間ブロックした。ブロッキング後、プレートを洗浄バッファー(PBS中0.05%Tween−20)で4回洗浄した。コートしたプレートを調製後直ちに使用するか、または使用まで−20℃で保管した(6週間以内)。試料、標準曲線および評価試料(check sample)をプレートに添加し(100μl/ウェル)、37℃で1時間インキュベートした。プレートを再び洗浄バッファーで4回洗浄し、アッセイバッファー(PBS中1%スキムミルクパウダー)中8ng/mlに希釈したHRP−共役ヤギ抗ヒトIgG Fabの100μlアリコートと37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで再度4回洗浄し、100μlの基質溶液(TMB)を添加し、RTで約10分間インキュベートした。100μlの1N HClを各ウェルに添加して反応を止めた。吸光度をA
450でELISAリーダーにおいて測定した。標準溶液を参照試料抗−EGFR(メルクセロノ製ERBITUX)の段階希釈により調製し、アッセイバッファーにおける100〜1.56ng/mlの範囲の標準曲線を得た。プール2390由来の粗生成物の試料(ITLで生産)を、評価試料として使用した。Magelan5ソフトウェアは、光学的データ結果を計算した。4つのパラメータのロジスティック方程式を用い、未知試料の結果を自動的にng/mlで表される標準曲線から挿入した。試料の希釈、標準曲線の調製、プレート上の試料の配置は、ロボットサンプルプロセッサーにより行った。
【0190】
抗−EGFRインタクトおよびFCモノマーの精製:
プール(2390および2622UN)から生成された抗−EGFR産物は、プロテインAカラム上で精製された。精製した産物を、(後述するように生成された)インタクトIgGまたはFcモノマーのいずれかとして分析した。精製プロセスは、
図2に概説されているようになし、AKTAエクスプローラシステムを用いて行った。
【0191】
プロテインA上での抗−EGFR精製:
プロテインAセファロース−MAb Select Xtraプレ充填カラム(5ml容量)を、50mM酢酸ナトリウムpH6.8の5〜6CVで、流速2.0ml/分で平衡化した。プールからの生成物を含む浄化(clarified)粗収穫物(〜500ml)を、流速2.0ml/分でカラム上にロードした。カラムを2段階(7〜9CV):50mMの酢酸ナトリウムpH6.8中の1.5M NaClによる第1洗浄と、それに続く、50mM酢酸ナトリウムpH6.8での第2洗浄で、流速2.0ml/分で、ベースラインが得られるまで洗浄した。生成物を20mM酢酸pH3.2、流速2.0ml/分で1つの画分に溶出した。カラムの稼働は、RTで行い、280および215nmのUVによりモニターした。Tris 1MでpHを6.0に調整した。カラムを0.1M酢酸、pH2.9で洗浄し、その後、8CV 4M グアニジンHClで、インプレースで掃除した。カラムを、50mM酢酸ナトリウムpH6.8で再平衡化し、20%エタノールで保管した。
【0192】
インタクトな抗−EGFR mAbの透析および濃縮:
プロテインAセファロース−MAb Select Xtraカラムから溶出した画分を、SnakeSkin透析チューブ(10kDa MW カットオフ孔サイズ)において、「フォーミュレーションバッファー」(100mM NaCl、100mM グリシン、10mMクエン酸塩、pH5.8)に対して一晩、約1:100の容量比で2回透析した。透析後、試料をAmicon濃縮器において限外ろ過(10kDa MW カットオフ膜)により濃縮した。それらのステップは、2〜8℃で行った。濃縮した生成物の生成物濃度は、ELISAにより、またはO.D.280nmにより測定された。
【0193】
抗体のパパイン切断:
プロテインAカラムから溶出した画分を、SnakeSkin透析チューブ(10kDa MW カットオフ孔サイズ)において、バッファー(0.1M Tris−HCl、4mM EDTA、pH7.6)に対して一晩、4℃で、約1:100(タンパク質:バッファー)の容量比で2回透析した。透析後、試料をAmicon濃縮器において限外ろ過(10kDa MW カットオフ膜)により1mg/mlに濃縮した。抗−EGFRをパパインによりFabおよびFc画分に切断した。切断は、0.1M Tris−HCl pH7.6、4mM EDTA、5mMシステイン中、最終濃度1mg/mlで抗体をインキュベートすることにより行った。消化は、最終のタンパク質:酵素比100:1(w/w)となるようパパイン(水で1mg/mlに希釈された)の添加により開始された。消化は、37℃で2時間行い、切断は、マレイミド(33mM)の添加により停止され、氷で冷却された。Fc二量体画分を、本明細書で上述したプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより切断混合物から精製した。精製したFc二量体は、SnakeSkin透析チューブ(10kDa MW カットオフ孔サイズ)において、PBS×1、pH7.2に対して2回透析し、Amicon濃縮器において限外ろ過(10kDa MW カットオフ膜)により2mg/mlに濃縮した。
【0194】
還元およびアルキル化:
還元およびアルキル化を、変性条件下、Fc二量体画分を用いて行い、重鎖のCH2ドメインに位置する297位のNグルコシル化部位上のフコースレベルの特徴付けのためにFcモノマーを生成した(背景技術を参照)。Fc二量体画分を1mg/mlにバッファー(4M グアニジン−HCl、50mM Tris−HCl、pH8.8)で希釈し、その後ジチオトレイトール(DTT、5mM)を添加し、反応混合物を75℃で5分間置いた。次にタンパク質溶液を室温まで冷却し、0.5Mヨードアセトアミドストック溶液を添加し、最終濃度を15mMとした。アルキル化は、室温で40分間、暗所で行った。その後、0.5M DTTストック溶液を15mMの濃度まで添加し、アルキル化をクエンチした。
【0195】
抗−EGFR Fcモノマーの透析および濃縮:
プロテインAセファロース−MAb Select Xtraカラムから溶出した画分を、SnakeSkin透析チューブ(10kDa MW カットオフ孔サイズ)において、「フォーミュレーションバッファー」(100mM NaCl、100mM グリシン、10mMクエン酸塩、pH5.8)に対して一晩、約1:100(タンパク質:バッファー)の容量比で2回透析した。透析後、試料をAmicon濃縮器において限外ろ過(10kDa MW カットオフ膜)により濃縮した。それらのステップは、2〜8℃で行った。濃縮した生成物の生成物濃度は、ELISAにより、またはO.D.280nmにより測定された。
【0196】
Octetによる精製したタンパク質上のフコースおよびシアル酸レベルの分析:
このアッセイは、Octet速度論的分析により精製した生成物(インタクトIgG1またはFcモノマー)上のフコースまたはシアル酸のいずれかのレベルを測定するために用いられた。このアッセイは以下に記載するように行った。
【0197】
NHS−PEG4−ビオチン試薬をAALまたはMAAいずれかのビオチン化のために、製造業者の取扱説明書にしたがって用いた。ビオチン試薬溶液(PBS×1中1mM、pH7.2)を1mlのレクチン(1mg/ml)に添加した(1:5比、レクチン:ビオチン)。反応混合物を氷上で2時間インキュベートした。試料の透析は、Slide−A−Lyzerカセット(10kDa MW カットオフ孔サイズ)においてPBS、pH7.2に対して行った。
【0198】
ストレプトアビジンバイオセンサ(SA)を、速度バッファーにおいて20分間30℃で振とうせずに実験を開始する前にプレ−インキュベートした。バッファー、ビオチン化レクチンおよび精製生成物を、要求される濃度に調製し、96ウェルプレート(250μl/ウェル)に移し、すべてのステップを30℃で振とう速度(1000rpm)で行った。稼働は、すべてコンピュータ制御下で、適切なウェルにバイオセンサを配置することにより開始し、層の厚さ(nmでの)の時間による変化を測定した。最初に、1μg/mlのビオチン化AAL(AAL−B)または10μg/mlビオチン化MAA(MAA−B)をストレプトアビジンバイオセンサチップ表面上に40分間固定化した(ローディングステップ)。次に、このチップを希釈した速度論的バッファー(KB×1)中で10分間洗浄した(ベースラインステップ)。結合ステップでは、精製したタンパク質をビオチン化レクチンに40分結合させ、その後、KB×1バッファーにおいて解離ステップのために洗浄した。
図3は、Octetによる速度論的に分析の典型的なプロファイルを示す。データは、Octet Userソフトウェアバージョン6.3を用いて自動的に処理した。
【0199】
ICE280による精製抗体の電荷プロファイル分析:
イメージキャピラリー等電点フォーカシングは、iCE280分析機(コンバージェントバイオサイエンス)を用いて行った。アイソフォーム分離は、キャピラリーカートリッジ(50mm長、100μmI.D.カラム)、フッ化炭素化合物で事前コートされた内部表面を有する分離キャピラリーでなされた。
【0200】
精製および透析した抗−EGFR試料を、Amicon Ultra遠心分離フィルターにおいて、限外ろ過(10kDa MW カットオフセルロース膜)により4mg/mlに濃縮した。20μlの4mg/ml 抗−EGFR、80μlのランニングストック溶液を混合することにより分析用試料を調製した。分離は、100mM NaOHを陰極液として、80mM H
3PO
4を陽極液として用いて行った。電気泳動図は、280nmのUV吸収により得た。最終の条件および濃度の概要を本明細書の以下の表3に示す。
【0201】
【表3】
【0202】
MSによるFcモノマー上のグリコシル化プロファイルの分析:
EGFRに対する抗体のFcモノマーを上述したように単離し、MSによるグリカン分析に関してさらに評価した。
【0203】
ACFMにおける細胞の増殖および生産性:
細胞培養物の維持およびPDT計算
細胞培養物をつぎのとおりACFMにおいて維持した。細胞を50mlチューブに0.2×10
6細胞/mlの濃度で播種し、320rpmでオービタル振とう器上において37℃でインキュベートした。週に2回、細胞数と生存率を測定した。培養物を100g、4℃で5分間の遠心分離により継代し、その後、細胞ペレットを事前に温めた新鮮なACFMに再懸濁した。
【0204】
細胞集団倍化レベル(PDL)および細胞集団倍化時間(PDT)の計算は、以下の等式により決定した。
【数1】
【0205】
最大細胞濃度の決定:
50mlチューブ(TPP、カタログ番号87050)に細胞を0.2×10
6細胞/mlの濃度で播種し、320rpmでオービタル振とう器上において37℃でインキュベートした。種々の時点で、細胞数と生存率を測定した。
【0206】
ACFMにおける特異的生産性:
ACFMにおける特異的生産性(PCD)について、細胞を特定のACFMに0.5×10
6細胞/mlの濃度で50mlチューブに播種し、振とう器インキュベーター(320rpm)において37℃で24時間インキュベートした。その後、培地を取り出し、生成物の濃度をELISAにより測定した。計算は、24時間力価を、播種時および実験の24時間後の細胞の平均濃度で割ることによりなされた。
【数2】
【0207】
バッチプロセスにおける増殖と生産性:
細胞懸濁液バッチプロセスにおける増殖と生産性は、生存率レベルが70%を下回るまで、37℃、5%CO
2で、125RPMで振とうしながら125mlのエーレンマイヤーフラスコ(コーニング、カタログ番号WI−431143)において、ProCHO5培地40mlおよびCHO CD EfficientFeed(商標)A(インビトロジェン、カタログ番号A10234−01)+CHO CD EfficientFeed(商標)B(インビトロジェン、カタログ番号A10240−01)(1:1)12ml中で播種時の濃度0.2×10
6細胞/ウェルで行った。試料を生成物力価分析(ELISAによる)、代謝物濃度、細胞濃度および生存率のために、3日目以降、1〜2日ごとに回収した。
【0208】
実施例1
低フコース含有細胞の単離のための戦略
低フコース発現細胞の単離のために用いた戦略は、無作為の突然変異の創出および所要の低フコース表現型を有する細胞の選択に基づくものであった。
【0209】
プロセスは、いくつかのステップ(
図4および5に説明されるような)を含み、突然変異体を生み出すためのCHO−S細胞の変異誘発剤MTXとのインキュベーションにより開始された。その後、MTXを除去し、細胞を以下のステップの1つにより単離した。
【0210】
1.ビオチン化フコース特異的レクチン(ビオチン化AALまたはAOL)による細胞標識およびストレプトアビジンコート磁気ビーズへ結合しない細胞の単離を2回。このステップの後、ビオチン化フコース特異的レクチン(ビオチン化AALまたはAOL)および蛍光ストレプトアビジンによる細胞標識化、そしてFACSによる低蛍光細胞の単回ソーティング(
図4)。
【0211】
2.ビオチン化フコース特異的レクチン(ビオチン化AAL)と蛍光ストレプトアビジンによる細胞標識化およびFACSによる低蛍光細胞のソーティングを4回(
図5)。
【0212】
MTXにおけるCHO−S細胞のインキュベーション:
C6614におけるCHO−S細胞を、100nM MTXに0.2×10
6細胞/mlで播種し、生存率が90%を超えるまで10日間増殖させた。その後、細胞を最初と同じ濃度で200nM MTXを含むC6614に移し、生存率が90%を超えるまで。細胞を凍結し、低フコース含有細胞の単離のために供した。
【0213】
実施例2
ストレプトアビジン磁気ビーズでの単離2回と1回のFACSソーティングサイクルによる低フコース細胞の選択
200nM MTXでインキュベートした5000万のCHO−S細胞、野生型CHO−SおよびCHO DUKX細胞を、磁気ビーズで一旦分け、96ウェルプレートに播種し、増殖させ、T80フラスコに移した。分離した非結合の細胞の数と生存率は、MTX処理CHO−S細胞の場合により高く、非MTX処理細胞においてより低かった。さらに、MTXにおいてインキュベートしたCHO−S細胞は、14日間でT80フラスコの範囲に達し、一方、CHO−SおよびCHO−DUKXは22日後にのみT80フラスコの範囲に達した。さらなる低フコース細胞の単離は、MTX処理CHO−S細胞でのみ行った。2回目のストレプトアビジンコート磁気ビーズ単離は、5×10
7細胞で開始し、選択された非結合細胞を96ウェルプレートに播種した。1.5%の最も低いフコース集団のFACSソーティングは、回収および細胞増殖の後で4×10
7細胞で行った。
【0214】
細胞の膜上のフコースレベルの分析:
細胞表面のフコースレベルの分析により、ビオチン化AALおよびSA−PEによる細胞の標識化ののち、CHO−S MTXソート細胞のみが細胞の膜上の低フコースレベルを有する亜集団を示したということがわかった。CHO−S(
図6)およびCHO DUKX(データは示さず)分離細胞は、細胞の膜上の通常のフコースレベルを表した。2回のストレプトアビジンコート磁気ビーズ選択と、1回のFACSソーティング選択の後、CHO−S MTX処理細胞のさらなる分析は、
図7Aに表現され、ソートされた細胞の低フコースプロファイルを示す。低フコースプロファイルは、ProCHO5およびC6614培地の両方において同様であることがわかった(
図8)。
【0215】
同様のアプローチをビオチン化AOLで行った。磁気ビーズおよびFACSにより単離されたMTX処理CHO−S細胞上のフコースレベルのFACS分析を説明する。MTXでインキュベートされたCHO−S細胞は、ビオチン化AOLで標識し、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズと混合した。細胞を磁石上で分離し、磁石に付着しなかった細胞をさらに増殖させた。この工程を2回繰り返した。その後、細胞をビオチン化AOLおよび蛍光ストレプトアビジンで標識し、低蛍光細胞をFACSによりソートし、さらに増殖させた。FACS分析は、ビオチン化AOLおよび蛍光ストレプトアビジンにより細胞を標識することにより行った。2回のストレプトアビジンコート磁気ビーズ選択および1回のFACSソーティング選択の後の、ビオチン化AOLにより標識されたCHO−S MTX処理細胞の分析は、ソートされた細胞の低フコースプロファイルを示す。標識していないCHO−S細胞(□)、CHO−S細胞(○)、ビーズ上での単回分離後のMTX処理CHO−S細胞(△)、ビーズ上での2回分離サイクル後のMTX処理CHO−S細胞(◇)、ビーズ上での2回分離サイクルおよび単回FACSソーティングサイクル後のMTX処理CHO−S細胞(▼)。
【0216】
アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)1−フコース特異的レクチン(AOL)の低フコース細胞の選択のための使用:
MTXとインキュベートされたCHO−S細胞は、ビオチン化AOLで標識化し、ストレプトアビジンコート磁気ビーズ選択と混合した。細胞を磁石上で分離し、磁石に付着しない細胞をさらに増殖させた。このステップを2回繰り返した。その後、細胞をビオチン化AOLおよび蛍光ストレプトアビジンで標識化し、低蛍光細胞をFACSによりソートし、さらに増殖させた。FACS分析は、細胞をビオチン化AOLおよび蛍光ストレプトアビジンで標識化することにより行った。
図7Bに示された結果は、AOLが低フコース発現細胞を選択するためにも使用できることを示す。
【0217】
細胞の膜上のシアル酸レベルの分析:
シアル酸レベルの分析は、オリゴ糖上のシアル酸の存在を示すのみならず、低フコース細胞選択の間、全オリゴ糖が喪失されていないことを確保することもできる。細胞の膜上のシアル酸レベルの分析は、シアル酸特異的レクチン(MAA)共役FITCと細胞をインキュベーションすることによりなされ、その後FACS分析を行う。分析は、ビオチン化AALおよびSA−PEによる細胞の標識化の後、ProCHO5およびC6614培地においてCHO−SおよびITL−LF1細胞の両方が同様のレベルの細胞の膜上のシアル酸を示すことが示された(
図9)。
【0218】
低フコース表現型の安定性:
細胞表面上のフコースレベルの分析は、358集団倍化(PDLs)に対してITL−LF1細胞の選択後、種々の時点で測定し、ビオチン化AALおよびSA−PEによる細胞の標識化の後、低フコース表現型が低くかつ安定にとどまったことが示された(
図10)。
【0219】
増殖率:
ITL−LF1細胞の増殖率は、フコース安定性試験の間測定され、CHO−Sと同様15〜20時間のPDTとなることがわかった(
図11)。
【0220】
実施例3
FACSでのソーティングによるゼロフコース細胞の選択(ITL−LF2細胞)
200nM MTXでインキュベートしたCHO−S細胞を、低フコース集団について選択するためにFACSによりソートした。ソーティングのための採取した初期細胞数、低フコースゲート細胞の画分、ならびに各ソーティングサイクルにおいてソートされた細胞数を以下の表4に示す。
【0221】
【表4】
【0222】
細胞の膜上のフコースレベルの分析:
細胞の表面上のフコースレベルの分析は、ビオチン化AALおよびSA−PEでの細胞の標識化後、ゼロフコースソートCHO−S MTX画分が行われたソート数と共に増加したということを示した。3回のソートで、低フコシル化レベルを有する均一な集団が得られた。4回目のソートは、低フコースレベルを有する均一な集団の選択をさらに実証するために適用した(
図12)。別の分析では、ITL−LF2細胞のフコシル化レベルが、ProCHO5およびC6614培地の両方でゼロであったことが示された(
図13)。
【0223】
細胞の膜上のシアル酸レベルの分析:
シアル酸レベルの分析は、オリゴ糖上のシアル酸の存在を示すのみならず、低フコース細胞選択の間、全オリゴ糖が喪失されていないことを確保することもできる。分析は、シアル酸特異的レクチンFITC共役MAAでの細胞の標識化の後、CHO−SおよびITL−LF2細胞の両方が同様のレベルの細胞の膜上のシアル酸を示すことが示された(
図14)。
【0224】
低フコース表現型の安定性:
細胞表面上のフコースレベルの分析は、370PDLsに対してITL−LF2低フコース細胞の選択後、種々の時点で測定し、ビオチン化AALおよびSA−PEによる細胞の標識化の後、低フコース表現型が低くかつ安定にとどまったことが示された(
図15)。
【0225】
増殖率:
ITL−LF2細胞の増殖率は、フコース安定性試験の間測定され、CHO−Sと同様15〜20時間のPDTとなることがわかった(
図16)。
【0226】
最大細胞濃度:
純粋なバッチ培養条件下(フィードなし)での最大細胞濃度を測定するために、ITL−LF2細胞を、0.2×10
6細胞/mlの濃度で、50mlチューブに播種し、7日間培養した。達した最大生細胞濃度は、7.5×10
6生細胞/mlに達した親のCHO−Sよりもわずかに高い8.4×10
6細胞/mlであった(
図17)。
【0227】
ITL−LF2細胞のフコシル化レベルに対する外因性フコースの影響:
ITL−LF2細胞を、培養培地中のL−フコースの濃度を増加させているProCHO5培地に播種した。FACS分析の結果は、外因性添加フコース濃度と細胞の膜上のフコシル化レベルとの間の相関を示す(
図18)。
【0228】
バッチプロセスにおけるITL−LF2細胞の増加:
ITL−LF2細胞の能力を上昇させ、それらをバッチプロセスにおけるCHO−S細胞と比較するため、細胞を、ProCHO5+CHO CD EfficientFeed(商標)に播種し、生存率が60%よりも高くとどまるだけ長く増殖させた。細胞濃度、細胞生存率、代謝物濃度および生成物力価を測定するために、試料を培養物から採取した。結果は、ITL−LF2は、CHO−S細胞と比較してより高い生存率と、〜20%より高い積分生細胞濃度(IVCC)でより長い時間増加した。ITL−LF2細胞は、プロセスの間有意に低い乳酸塩濃度も示し、これらの細胞が、親のCHO−S細胞よりもより効率的に炭素源として乳酸塩を利用することを示す。バッチプロセスにおけるITL−LF2およびCHO−Sの生存率は、細胞を、バッチプロセスで補足(supplements)を有するProCHO5に0.2×10
6細胞/mlの濃度で播種し、細胞の生存率をプロセスに沿って分析した。バッチプロセスにおけるITL−LF2およびCHO−Sの生細胞濃度は、細胞を、バッチプロセスで補足を有するProCHO5に0.2×10
6細胞/mlの濃度で播種し、細胞数をプロセスに沿って分析した。バッチプロセスにおけるITL−LF2およびCHO−Sの積分生細胞濃度(IVCC)は、細胞を、バッチプロセスで補足を有するProCHO5に0.2×10
6細胞/mlの濃度で播種し、生細胞濃度をプロセスに沿って測定した。IVCCは、細胞濃度測定値に基づいて算出した。CHO−SおよびITL−LF2株は共に適合するが、しかしCHO−S細胞は、たった9日目で、一方ITL−LF2細胞は12日目で達したことに注意。CHO−S細胞(○)およびITL−LF2細胞(△)。
【0229】
FACS ACDUによるクローニング:
ITL−LF2細胞のクローニングは、FACSAria セルソーターの自動細胞捕集装置(ACDU)により行った。192ウェルから生じた103および124クローンを、クローニング後8日に、2つの実験(54および65%回収を示す)において、80% C6366+20% ProCHO5に播種した。通常、同様の回収範囲がCHO−S細胞のクローニング後に得られる(データは示さず)。いくつかのクローンをProCHO5培地で増殖させ、mRNA特徴付のために供した。
【0230】
ITL−LF2細胞の遺伝的分析:
フコシル化経路は、別々に開始しそして収束する2つのルートからなる。その2つのルートは、D−グルコースからのデノボ経路とL−フコースからのサルベージ経路から構成される。ITL−LF2細胞における低フコース表現型の原因を調べるために、経路に関与する遺伝子の発現について分析を行った。これは、これらの遺伝子のいずれかが配列または発現レベルのいずれかで破壊され得るかどうかを確かめるためのものである。発現パターン(RT−PCRおよび配列決定により)および発現レベル(Q−PCR)を分析された遺伝子は、
図19において強調されている。
【0231】
プライマーの配列を以下の表5に詳述する。
【0232】
【表5】
【0233】
CHO−S親細胞と比較して、ITL−LF2において発現されるフコシル化経路遺伝子を分析するために、全RNAを両細胞株から抽出し、逆転写(RT)に付し、その後全コード領域を捕捉する遺伝子特異的プライマーによるPCRを行った。得られたcDNAsは、その後アガロースゲル上を走らせ、親のCHO−S細胞およびITL−LF2細胞から得られたサイズに相違があるかどうか分析した。得られたバンドをさらに配列決定により分析した。
図20は、すべての4つの試験遺伝子についてRT−PCR後に得られた結果を示す。
【0234】
同様のサイズのcDNAsを、GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノース エピメラーゼ−レダクターゼ(Fx)およびアルファ1,6−フコシルトランスフェラーゼ(Fut8)遺伝子について得た。配列決定分析により、両遺伝子のcDNAsは、2つの細胞株において同一であることを確認した。GDPベータLフコースピロホスホリラーゼ(GFPP)は、CHO−S細胞において検出できなかった(複数のRT−PCR分析でチェックした)が、ITL−LF2細胞においては予測されたサイズに非常に弱いバンドが検出された(
図20の矢印)。配列決定は、このケースにおいては行わなかった。
【0235】
GMD遺伝子については、CHO−S細胞では予想されたサイズでバンドが検出され、そして配列決定により、予測された全長GMD mRNAであることが明らかとなった。しかしながら、ITL−LF2細胞では、2つのバンドが検出され(これらの2つのバンドは、時には、二重バンドを示すゲル1つの「太い」バンドのように見える)、両方全長ORFよりより小さかった。配列決定により、2つのスプライス変異体:1つ目(スプライス変異体1−SV1で示される)は、エクソン8および9の欠失を有し(
図21A)そして2つ目(スプライス変異体2−SV2)は、エクソン3および4の欠失を有する(
図21B)、の存在が明らかとなった。全長GMDおよび両スプライス変異体のタンパク質の配列は、配列番号23〜25に記載されている。全長GMDおよび両スプライス変異体のDNA配列は、配列番号26〜28に記載されている。加えて〜250bpの小さなバンドが、CHO−SおよびITL−LF2の両細胞において見られた。この小さなバンドが両細胞型に検出されたというその事実により、このバンドはこれらの両細胞型におけるグリコシル化の相違の原因ではないようである。したがって、このバンドを「小」バンドと呼び、さらなる分析は行わなかった。
【0236】
GMDスプライス変異体(SV)配列の分析により、各スプライス変異体について独自の制限酵素部位の存在が明らかとなった(エクソン4上のBglIIおよびエクソン8上のXmnI)(
図22A参照)。CHO−SおよびITL−LF2細胞におけるmRNAパターンのさらなる検証のため、追加のRT−PCRが各細胞型について行われた。その後、cDNAを3つに等分し、1つ目は処理せず、もう1つはBglIIで消化し、3つ目はXmnIで消化した。その後、すべての反応物をアガロースゲル上に走らせ、バンドを検出し、DNAサイズマーカーと比較した(
図22B)。この実験の根拠は、ITL−LF2細胞が2つのSVsの混合物を含む場合、1つの制限酵素による消化で、特異的制限部位を含まないSVのより長いバンドはそのままで、追加の新しいバンドが、特異的制限部位を含む他のSVに対して予測されたサイズで現れるであろうということである。バンドの予測されたサイズは、すべての消化において得られ、実際ITL−LF2において、2つのスプライス変異体が混合物として存在することを示している。加えて、制限処理後の最も大きい(高い)バンド(消化されていないSV)をゲルから切り出し、配列決定した。結果は、各ケースにおいて予測されたSVの存在:BglII消化画分における最も高いバンドとして残ったSV2およびXmnI消化フラグメントに残ったSV1を示した(得られたフラグメントサイズの説明は、下記表6参照)。
【0237】
【表6】
【0238】
フコース合成に関与する遺伝子の発現レベル:
フコシル化経路に関与する遺伝子の発現レベルは、遺伝子特異的プライマーおよびプローブを用いたQ−PCRにより測定された。試験遺伝子のいずれの発現レベルにおいても有意な変化は検出されなかった(
図23)。結果は、ITL−LF2細胞のフコシル化における変化は、GMD mRNAs発現レベルによるものではなかったことを示す。
【0239】
Pre−MCBの製造(製造、解凍、滅菌およびマイコプラズマ試験):
FACSによる4サイクルの低フコース選択の後に生じたITL−LF2細胞を増殖し、凍結させた。これらの細胞を増殖させるために解凍し、PreMCBを作製した。1バイアルにつき10×10
6細胞を有する60アンプルを含むプレ−マスター細胞バンク(pre−MCBs)を作製した。
【0240】
プレ−マスター細胞バンクの生存率試験、無菌テストおよびマイコプラズマ試験:
ITL−LF2細胞のpre−MCB由来の1つのアンプルを、凍結後11日で解凍した。解凍直後に測定した生存率は98.3%であった。細胞を3回の増殖サイクルの間増殖させ、それぞれ99.0%生存率であることがわかった。
【0241】
pre−MBCsを、無菌性およびマイコプラズマ混入について調べた。バンクは無菌でマイコプラズマを含まないことがわかった。
【0242】
実施例4
ITL−LF2細胞は、野生型GMD遺伝子によるトランスフェクションによりフコシル化を再獲得する
ITL−LF2細胞において、GMD遺伝子(フコースのデノボ合成経路に関与する)が2つのスプライス変異体を示し、全長mRNAを示さないことがわかった。これは、CHO−S野生型細胞において見られるパターンとは異なる。全長GMDタンパク質の欠如が、ITL−LF2細胞において見られる低フコース表現型の原因であるかどうかを評価するために、細胞を全長GMD cDNAでトランスフェクトし、その後フコシル化レベルのFACS分析をした。
【0243】
プラスミドMB−129の構築(PCMV−P−GMD):
全長GMD cDNAは、上述の表5に示されたプライマー586−26および587−22を利用するCHO−Swt細胞から抽出された全RNA上のRT−PCRにより作製した。この遺伝子を必要とされるベクターにクローン化するために、PCRの追加ステップを、クローニングステップに必要とされる制限酵素(RE)部位(5’SwaIおよび3’XhoI)の追加を可能とするプライマー700−45および701−30(詳細は下記表7参照)により実施した。
【0244】
【表7】
【0245】
PCRフラグメントをSwaIおよびXhoIで消化し、同じ制限酵素で消化したベクターpCMV−Pにライゲートした。
【0246】
得られたベクター(MB−129)は、
図24に説明するように別のカセット上に選択マーカーとしてピューロマイシン耐性遺伝子と、hCMVプロモーターのもとにGMD遺伝子を含有する。
【0247】
トランスフェクトされた細胞のフコース発現:
ITL−LF2およびCHO−S細胞は、リポフェクトアミン試薬を用いて3重でGMDコード配列(pCMV−P−GMD)を含む線状プラスミドでトランスフェクトした。ITL−LF2細胞は、3日間、13.6mg/Lのヒポキサンチン/3.9mg/Lのチミジン(HT)および10μg/mlフコースを補足した50%C6614(シグマ)および50%C6366(シグマ)において回収された。その後、トランスフェクトされた細胞を、10μg/mlフコースおよび10μg/mlピューロマイシンを補足した50%C6614(シグマ)および50%C6366(シグマ)において選択した。完全な回収後、ITL−LF2トランスフェクトプールを、フコースを含まず、10μg/mlのピューロマイシンを含むProCHO5培地に移した。
【0248】
ITL−LF2 GMDトランスフェクト細胞上でFACSによりフコシル化レベルを分析し、CHO−S細胞(陽性対照)およびITL−LF2細胞(陰性対照)のフコシル化レベルと比較した(
図25)。結果から、おおよそ45%の集団がCHO−S細胞と同様のフコシル化レベルを有するタンパク質を発現することがわかる。集団の残り(〜55%)は、より低いフコシル化レベルを示した。それにもかかわらず、この低フコシル化レベルを有する集団は、ITL−LF2非トランスフェクト細胞のものよりも高いフコシル化レベルを有する。上記の結果は、プラスミドを含むGMDでのトランスフェクションの後、フコシル化がITL−LF2細胞に再構築されたことを示し、GMD mRNAにおける欠失がITL−LF2細胞の低フコシル化レベルの原因であったことが確認される。異なるフコシル化レベルを有するITL−LF2 GMDトランスフェクト細胞の2つの亜集団が存在する理由は、ピューロマイシン選択のストリンジェンシーに由来し得る。低フコシル化亜集団と高フコシル化亜集団の両方が、ピューロマイシン選択を生き抜くのに十分な量のピューロマイシンNアセチルトランスフェラーゼ(PAC)を発現するが、PAC発現およびGMD発現との間に直接的な相関は見られなかった。したがって、2つの亜集団は、フコシル化の異なるレベルを結果として生じる異なるレベルのGMDタンパク質を発現する
【0249】
実施例5
安定および一過性トランスフェクション後のITL−LF2細胞の分析
ITL−LFおよびCHO−S細胞の安定トランスフェクション:
ITL−LF2およびCHO−S細胞を、抗EGFR mAbコード配列を含む線状プラスミド(PGL3抗EGFR mAb EMCV−PAC1−DHFRタンデム)で三重に(
図26)リポフェクトアミン試薬を用いてトランスフェクトした。
【0250】
ITL−LF2細胞は、3日間、13.6mg/Lのヒポキサンチン/3.9mg/Lのチミジン(HT)および10μg/mlのフコースを補足した50%C6614(シグマ)および50%C6366(シグマ)において回収された。その後、トランスフェクト細胞を、10μg/mlのフコースおよび5〜10μg/mlのピューロマイシンを補足した50%C6614(シグマ)および50%C6366(シグマ)において選択した。8日後、細胞を10μg/mlのフコースおよび25μg/mlピューロマイシンを含むC6614培地に移した。完全な回収後、ITL−LF2トランスフェクトプールを、低フコーストランスフェクト細胞の複合プールを作製するために併せた。フコースを培地から回収し、その後、細胞を10μg/mlのピューロマイシンを含むProCHO5培地に移した。
【0251】
CHO−S細胞は、3日間、27.2mg/Lのヒポキサンチン/7.8mg/Lのチミジン(HT)および10μg/mlのフコースを補足したProCHO5(シグマ)において回収された。その後、トランスフェクト細胞を、10μg/mlのフコースおよび25μg/mlのピューロマイシンを補足したProCHO5培地において選択した。12日後、CHO−S細胞を完全に回収した。
【0252】
組換え抗体発現は、ELISAにより分析され、CHO−Sトランスフェクト細胞と比較してITL−LF2細胞においてわずかに低いのみであることがわかった(
図27)。
【0253】
抗EGFR mAbトランスフェクト細胞の膜上のフコースレベルのFACS分析:
フコースの除去前後、C6614培地において増殖された抗EGFR mAbトランスフェクト細胞の細胞膜上のフコースレベルの分析は、フコース除去により、フコシル化が、フコースの非存在下で得られる初期の低いレベルに減少することを示す(
図28)。
【0254】
抗EGFR mAbトランスフェクト細胞の膜上のシアル酸のFACS分析:
分析により、トランスフェクション後でありシアル酸特異的レクチン:FITC共役MAAによる細胞の標識化後、CHO−SおよびITL−LF2の両方の抗EGFRトランスフェクト細胞は、同様のレベルの細胞膜上のシアル酸を提示するということが示された。これらのレベルは、CHO−SおよびITL−LF2非トランスフェクト細胞のレベルとも同様である(
図29)。
【0255】
一過性トランスフェクションのためのpTT5−抗EGFR mAbベクターの構築:
抗EFGR mAbのITL−LF2細胞への一過性のトランスフェクションのために、2つのベクターをpTT5ベクターの骨格上に構築した。1つのベクターは、EGFR mAb抗体の軽鎖(LC)を含み、他方は重鎖(HC)を含んだ。
【0256】
ベクターMB−127を作り出すために、EGFR mAb HCを含む1476bpのPCRフラグメントを、ベクターPGL3 抗EGFR mAb EMCV−PAC1−DHFRタンデム−872上のプライマー690−36&691−38を用いて作製した。フラグメントをHindIIIおよびNotIで消化し、同じ制限酵素で消化したベクターpTT5にライゲートした。得られたベクターを
図30Aに示す。
【0257】
ベクターMB−128を作り出すために、EGFR mAb LCを含む762bpのPCRフラグメントを、ベクターPGL3 抗EGFR mAb EMCV−PAC1−DHFRタンデム−872上のプライマー692−36&693−32を用いて作製した。フラグメントをHindIIIおよびNotIで消化し、同じ制限酵素で消化したベクターpTT5にライゲートした。得られたベクターを
図30Bに示す。
【0258】
ITL−LFおよびCHO−S細胞の一過性のトランスフェクション:
ITL−LF2およびCHO−S細胞を、抗EGFR mAb含有PTT5ベクター(
図30B)で、PEI試薬を用いて三重にトランスフェクトした。その後、2つのトランスフェクションプロトコールを実施した。
【0259】
ProCHO5でのトランスフェクション:
CHO−SおよびITL−LF2細胞を、ProCHO5を含む培地において37℃でトランスフェクトし、トランスフェクション後24時間にCHO−S細胞にバルプロ酸を補充し、31℃でインキュベートした。前記条件下でのITL−LF2およびCHO−S細胞におけるタンパク質濃度は、それぞれ12.5μg/mlおよび25μg/mlであった(
図31)。
【0260】
実施例6
組換え抗体の分析
FACSによる粗製物(crude material)または精製した抗体におけるフコースおよびシアル酸レベルの分析:
抗体を含む粗製物または精製物を、プロテインG磁気ビーズに結合させ、蛍光ラベルした特異的レクチンで染色した(
図32に説明するように)。糖残基のレベルを検出するために抗体試料をFACSにより分析した。
【0261】
一過性トランスフェクト細胞由来の粗収穫物上のフコースレベルのFACSによる分析:
一過性トランスフェクションからの粗収穫試料をスピンフィルター(Amicon ultra カタログ番号UFC801024)により濃縮し、25μg/mlより上の濃度とした。分析は、タンパク質産物濃度32〜37μg/mlで方法の項に示すように行った。結果は、ITL−LF2トランスフェクト細胞が、安定なトランスフェクト細胞由来物のフコースレベル(
図36)と同様であり、かつ細胞膜上に検出されたレベルと相関する(
図28)低いフコースレベルを有する抗EGFR mAbタンパク質を発現する(
図33)ということを明らかに示す。
【0262】
安定なプール由来の粗収穫物上のフコースレベルのFACSによる分析:
細胞培養物バッチから調製した粗収穫物試料を集めた。分析は、タンパク質濃度25μg/mlで方法の項に説明するようにFACSにより行った。結果は、ITL−LF2トランスフェクト細胞が、一過性トランスフェクト細胞由来物のフコースレベル(
図33)と同様であり、かつ細胞膜上に検出されたレベルと相関する(
図28)低いフコースレベルを有する抗EGFR mAbタンパク質を発現する(
図34)ということを明らかに示す。
【0263】
安定なプールの粗収穫物上のシアル酸レベルのFACSによる分析:
細胞培養物バッチから調製した粗収穫物試料を集めた。分析は、タンパク質濃度25μg/mlで方法の項に説明するようにFACSにより行った。結果は、ITL−LF2およびCHO−Sトランスフェクト細胞が、細胞膜上に検出されたレベルと相関する(
図29)同様のシアル酸レベルを有する抗EGFR mAbタンパク質を発現する(
図35)ということを明らかに示す。
【0264】
精製産物上のフコースレベルのFACSによる分析:
安定なトランスフェクトITL−LF2細胞由来の抗EGFR mAb精製産物のFACS分析は、低いフコースレベルを示し、一方、親CHO−S細胞由来の精製産物は、通常のフコースレベルを含んだ(
図36)。フコースレベルは、細胞膜上に検出されたレベル(
図28)および粗製物において検出されたレベル(
図33)と相関した。
【0265】
精製物上のシアル酸レベルのFACSによる分析:
安定なトランスフェクト細胞由来の抗EGFR mAb精製物のFACS分析は、ITL−LF2およびCHO−S細胞の両方由来のものと同様のシアル酸レベルを示した(
図37)。シアル酸レベルは、細胞膜上に検出されたレベル(
図29)および粗製物において検出されたレベル(
図35)と相関した。
【0266】
Octetによるインタクトな抗−EGFR mAb上のフコースレベルの測定:
プロテインAカラムから溶出されたインタクトな抗−EGFR mAb精製画分を、フォーミュレーションバッファーに対して透析し、濃縮した。野生型CHO−S細胞またはITL−LF2いずれかにより産生されたインタクトな精製抗−EGFR mAb上のフコースレベルは、ビオチン化ヒイロチャワンダケ(aleuria aurantia)レクチン(AAL)に抗−EGFR mAbを結合することにより測定した。アッセイは、キネティック分析モジュールを用いてOctet QKシステム上で行った。まず、ビオチン化−AALをストレプトアビジン被覆バイオセンサに結合し、その後、抗EGFR抗体上のフコースをAALレクチンに結合した。Fc領域上に位置するフコシル化部位(ASN297)がAALにアクセスできないため、インタクトな抗−EGFR mAbの分析は、Fabフコシル化残基のみの検出を可能とする(データは示さず)。Fc領域上のフコシル化部位を検出するために、Fcモノマーを調製しなければならない。
【0267】
結果より、CHO−Sトランスフェクト細胞により産生された産物と比較して、ITL−LF2細胞により産生されたインタクトな抗EGFR mAb上の低いフコースレベルが証明された(
図38)。
【0268】
Octetによるインタクトな抗−EGFR mAb上のシアル酸レベルの測定:
野生型CHO−S細胞(WT)またはITL−LF2細胞のいずれかにより産生された抗−EGFR mAbは、シアル化レベルについて評価された。プロテインAカラムから溶出されたインタクトな抗−EGFR mAb精製画分は、フォーミュレーションバッファーに対して透析され、濃縮された。インタクトな精製抗−EGFR mAb上のシアル酸レベルは、ビオチン化イヌエンジュ(Maackia amurensis)レクチンに産物を結合することにより測定した。アッセイは、キネティック分析モジュールを用いてOctet QKシステム上で行った。まず、ビオチン化−MAAをストレプトアビジン被覆バイオセンサに結合し、その後、抗EGFR抗体上のシアル酸をMAAレクチンに結合した。結果(
図39)は、シアル酸レベルがITL−LF2およびCHO−S細胞により産生された両産物において同様であることを示す。結果は、ITL−LF2およびCHO−S細胞により産生された産物における違いは、フコースレベルのみであったことを暗示しており、一方全グルコシル化プロファイルは、おそらく変化していなかった。
【0269】
Octetによる抗−EGFR Fcモノマー上のフコースレベルの測定:
抗−EGFRのFc画分を、インタクトな抗体のパパイン切断により製造し、その後、還元およびアルキル化を行い、透析し、濃縮ステップを行った。Fcモノマー画分は、野生型CHO−S細胞、ITL−LF2細胞により産生された産物から製造した。Fcモノマー上のフコースレベルは、事前にOctet QKのストレプトアビジン被覆バイオセンサに結合させたビオチン化AALに画分を結合することにより測定した。結果は、CHO−S細胞により産生された産物と比較して、ITL−LF2細胞由来の抗EGFR Fcモノマー上の低フコースレベルを証明した(
図40)。
【0270】
Octetによる抗−EGFR Fcモノマー上のシアル酸レベルの測定:
抗−EGFR mAbのFc画分は、インタクトな抗体のパパイン切断により調製し、その後、還元およびアルキル化を行い、透析し、濃縮した。Fc透析および濃縮モノマー画分は、野生型CHO−S細胞、ITL−LF2細胞により産生された産物から製造した。Fcモノマー上のフコースレベルは、事前にOctet QKシステムのストレプトアビジン被覆バイオセンサに結合させたビオチン化MAAに画分を結合することにより測定した。結果は、CHO−SおよびITL−LF2の両方の細胞から精製したFc画分上のシアル化は同様のレベルであることを示す(
図41)。
【0271】
抗−EGFRプール由来の精製産物の毛細管等電点電気泳動:
野生型CHO−S細胞またはITL−LF2細胞により産生された抗−EGFR mAb産物を、プロテインAカラム上で精製し、フォーミュレーションバッファーに対して透析し、濃縮した。インタクトな産物の荷電プロファイルは、iCE280上での毛細管電気泳動により分析した。
図42は、CHO−S細胞、ITL−LF2細胞由来の精製産物のpI値の比較を示す。結果は、CHO−SおよびITL−LF2細胞により産生された産物の荷電プロファイルが同様であり、参照資料がそれらと比べてわずかにより塩基性のようであるが、おそらく、細胞株および培養条件の違いによる。
【0272】
抗−EGFR Fc画分の質量分析:
精製抗−EGFRインタクトmAbは、パパインにより切断され、FcおよびFab画分を生じ、その後、Fc画分を精製し、透析および濃縮した。野生型CHO−S細胞およびITL−LF2細胞由来の抗−EGFR Fc試料は、EMD セロノ リサーチ センター(ビルリカ、USA)で、変換されたFc領域グルコシル化部位でのフコシル化レベルの評価のために質量分析により分析された。観察されたグリカン構造は、主に、それぞれ
図43に示すように、0、1および2ガラクトースG0−F,G1−FおよびG2−Fを有する二分岐であった。ガラクトースレベルは、1つおよび主には2つのガラクトース残基を有するより高い画分により示されるように、CHO−S由来物においてより高い。結果は、野生型CHO−S細胞により産生された産物のIgG Fc領域は、完全にフコシル化されており、一方、ITL−LF2細胞により産生された産物のFc領域はフコシル化されていなかったということを示す。
【0273】
実施例7
ITL−LF2抗EGFR mAbトランスフェクト細胞のフコシル化レベルに対する外因性フコースの効果
ITL−LF2抗EGFR mAbトランスフェクト細胞は、培養培地中のL−フコースの濃度を増加したProCHO5培地に播種した。細胞ならびに粗製物は、細胞播種の4日後に分析した。FACS分析結果は、外因的に追加されたフコース濃度と、細胞膜上(
図44)ならびに組換え抗EGFR mAb上(
図45)のフコシル化レベルとのあいだの相関を示す。最大フコシル化は、両細胞上および組換え抗EGFR mAb上で10μg/mlフコースで得られた。最も低いフコシル化レベルは、1μg/ml外部フコースで細胞において検出されたが、組換え抗EGFR mAb上では、最も低いフコシル化レベルは2.5μg/ml外部フコースというより高い濃度で検出された。
【0274】
上記の結果にもとづき、最大蛍光強度を100%フコシル化と解釈し、フコースなしで得られた試料を0%フコシル化として決定した較正曲線を作成した。0%外部フコースでの蛍光レベルを、各外部フコース濃度で得られた蛍光レベルから差し引き、その後、フコシル化の割合は、100%フコシル化(フコース飽和)での蛍光レベルで割った各フコース濃度での蛍光レベルとして算出した。添加された外部フコースによる抗EGFR mAb上のフコシル化レベルの較正曲線は、これらの図から引いた。
【0275】
Octet QK結果にもとづく、フコシル化および非フコシル化抗EGFR mAb Fcモノマーの較正曲線:
抗−EGFRのFc画分は、インタクトな抗体のパパイン切断により調製し、その後、還元およびアルキル化を行い、透析し、濃縮した。Fcモノマー画分は、野生型CHO−S細胞およびITL−LF2細胞により産生された産物から製造した。較正曲線のための試料は、CHO−S細胞由来の産物(100%フコースプール)およびITL−LF2細胞由来の産物(0%フコース)を種々の比率で混合することにより作製した。各試料上のフコースレベルは、混合試料を、事前にOctet QKシステムのストレプトアビジン被覆バイオセンサに結合させたビオチン化AALに結合することにより測定した。キネティック分析の結合ステップは、Octet QKシステムにより行った。各曲線は、試料におけるフコースの特定の%に対応する。較正曲線における結合レベルとフコシル化物の%との間の線状相関は、所要の試料のフコシル化レベルの計算に供することができる。結果は、アッセイの精度が高く、フコースの近接したレベル間を高度に制御して区別することができることを示す。結合レベルとフコシル化物の%との間の線状相関は、要求された割合のフコシル化が、特定の外因性フコース濃度の添加により得られるということを意味している。試料は、CHO−S細胞由来およびITL−LF2細胞由来の抗−EGFR mAbのFcモノマー画分由来の産物を混合することにより調製した(O.D.280で40μg/ml)。試料をストレプトアビジンでプレコートしたバイオセンサに事前に付着されたビオチン化AAL(1μg/ml)に結合した。Octet QKシステムによる速度論的分析の結合工程を表す。各曲線は試料におけるフコースの特異的%に対応する。
【0276】
Octetによる部分的フコシル化抗−EGFR Fcモノマー画分の分析:
外因的に添加したフコース濃度と細胞膜上のフコシル化レベルとのあいだの相関を示すFACS分析の結果を受けて、精製抗−EGFR mAb上のフコースレベルをOctetにより測定した。抗EGFR mAbを発現するITL−LF2細胞を、並行して5つのバッチで4日間、3.5μg/mlフコースの存在下で培養し、培地を収穫した。抗−EGFR mAbを精製し、パパインにより切断し、その後、Fcモノマー画分の単離のために還元およびアルキル化した。フコースレベルは、上述したように分析した。結果は、3.5μg/mlフコースの培地への添加により、5つの異なるバッチ由来の精製したタンパク質において+/−0.5%のばらつきで〜15%フコシル化レベルを生じることをはっきりと示す。これは、所望のフコースレベルが再現可能であることを示す。Octetによる部分的にフコシル化された抗−EGFR Fcモノマー画分の分析では、CHO−S細胞由来およびITL−LF2細胞由来の抗−EGFR mAbのFcモノマー画分、O.D.280で40μg/mlを、ストレプトアビジンでプレコートしたバイオセンサに事前に付着されたビオチン化AAL(1μg/ml)に結合した。Octet QKシステムによる速度論的分析の結合工程を表す。各曲線は特定の試料に対応する。
【0277】
質量分析による部分的フコシル化抗−EGFR Fcモノマー画分の分析:
抗−EGFR mAbモノマー画分上のフコシル化レベルを質量分析法により分析した。抗EGFR mAbを発現するITL−LF2細胞を、並行して5つのバッチで4日間、3.5μg/mlフコースの存在下で培養し、培地を収穫した。前述したように、抗−EGFR mAbを精製し、パパインにより切断し、その後、Fcモノマー画分の単離のために還元およびアルキル化した。
【0278】
観察されたグリカン構造は、主に、それぞれ以下の表8に示すように、0、1および2ガラクトース残基、G0−F,G1−FおよびG2−Fを有する二分岐であった。ガラクトースレベルは、1つおよび主には2つのガラクトース残基を有するより高い画分により示されるように、CHO−S由来物においてより高い。結果は、3.5μg/mlフコースの培地への添加により、5つの異なるバッチ由来のタンパク質において+/−1.7%のばらつきで15.6%フコシル化レベルを誘導することを証明する。この結果は、Octetにより得られた結果と相関する。結果は、野生型CHO−S細胞により産生された産物のIgG Fc領域が完全にフコシル化され、一方、ITL−LF2細胞により産生された産物のFc領域はフコシル化されなかったことを示す。フコシル化レベルの点において、Octetの結果および質量分析法の結果との間に非常に良好な相関がみられた。
【0279】
【表8】
【0280】
結論および考察
近年、増強されたADCCを取得するための組換え抗体のフコシル化レベルを減少させるためのいくつかのアプローチが開発されてきた。CHO−S細胞からのITL−LF2細胞株の開発は、メトトレキサートの存在下での細胞のインキュベーションとそれに続く最も低いフコースレベルを有する細胞、たとえば細胞膜上のフコースがゼロである細胞の効率的な選択により、この研究において首尾よくなされた。メトトレキサート(MTX)の存在下での細胞のインキュベーションにより行われた突然変異と遺伝子増幅は、すでに文献において説明した(Schimke 1988; Coquelle, Pipiras et al. 1997; Singer, Mesner et al. 2000)。
【0281】
MTX処理の後、その突然変異原試薬を次の選択ステップのために除去した。選択は、磁気ビーズ上に単離することによりなす(
図7)か、および/または、Fcグルコシル化部位上に存在するaFucl−6GlcNA残基に高い親和性を有するフコース特異的レクチン、ヒイロチャワンダケ(aleuria aurantia)レクチン(AAL)を用いてFACSソーティング(
図12)によりなされた。ゼロフコース発現細胞の選択は、細胞膜上のフコースレベルにしたがってなされるが、ゼロフコースレベルは、様々な分析法により(
図33〜42)、これらの細胞に発現された組換え抗体(抗EGFR mAb)上に見られた。モデル抗体として供される抗EGFR mAbは、1つはFab断片上にあり、もう1つはFc CH2のADCC活性に重要である、2つのNグルコシル化部位を提示する。OctetおよびMS分析は、インタクトなmAb上のみならず、ADCC関連フコース残基を有するFcモノマー上においても行われた。結果は、ITL−LF2細胞により産生されたもの由来のADCC関連フコース残基上のゼロフコースレベルを示す。ITL−LF2細胞のゼロフコース表現型は、試験された370PDLsについて安定であることが分かった(
図15)。組換えタンパク質を発現する細胞とバイオ反応基における生産の開発は、通常、細胞の〜200PDLs内で完成される。ゼロフコース安定性実験(370PDLs)の長さは、それより長く、ITL−LF2が完全なクローン開発および生産プロセスのため、安定なままでいることが予測される。ITL−LF2細胞株の特徴のほとんどは、本明細書以下の表8から結論付けられるCHO−Sと同様であると分かった。増殖率、最大細胞濃度、細胞タンパク質のシアル酸レベル、およびこれらの細胞において発現された組換え抗体のシアル酸レベルおよび抗EGFR mAbの発現レベルは非常に似通っていた。また、ITL−LF2細胞は、生存率の点において、結果としてバッチプロセスにおいて測定される積分生細胞濃度(IVCC)の点において、CHO−S細胞よりも優れていた。この現象は、細胞が、細胞膜上の低フコース含有量についてのソーティングサイクルに沿って通っていくストリンジェントな選択プロセスの結果であろう。
【0282】
安定なトランスフェクションは、外因性フコースの存在下においてITL−LF2細胞に高効率でなされた。さらに、トランスフェクションからのITL−LF2細胞の回復(recovery)は、CHO−S細胞よりも速かったが、外因性フコースの非存在下ではトランスフェクトされた細胞はほとんど回復できなかった(データは示さず)。この知見は、フコースが、トランスフェクションおよび選択ステップからの回復に重要な役割を果たしていることを意味する。抗EGFR mAbでの一過性のトランスフェクションも、CHO−Sにおいて得られる生産性の約65〜75%で首尾よくなされた。
【0283】
本明細書の以下の表9にITL−LF2特性の概要を提供する。
【0284】
【表9】
【0285】
ITL−LF2細胞におけるフコースレベルはゼロで安定していることが分かったという事実は別として、細胞上(
図18および
図44)および組換えタンパク質(
図45)のフコシル化レベルは、用量依存的に外因性フコース添加に依存することが分かった。さらに、ある濃度のフコースの外因的添加により、種々の試料における組換え抗体の得られたフコシル化レベルは、再現可能であった(表8)。フコシル化経路(
図19)は、デノボ経路分岐もサルベージ経路分岐も両方、GDP−フコースの産生をもたらすことができるということを示す。ITL−LF2は、ゼロフコース表現型により選択されたので、その特性に関する遺伝的源を発見することは興味深いことであった。外因的フコースの添加は、細胞膜上のタンパク質のフコシル化レベルの再獲得をもたらした(
図18)。この知見は、サルベージ経路が活性(
図19)であるということを意味した。デノボ経路およびサルベージ経路についてのいくつかの鍵となる酵素のRT−PCRおよび配列分析により、ITL−LF2およびCHO−S細胞におけるフコシルトランスフェラーゼ8(Fut8)mRNAは、サイズ(
図20)および配列(データは示さず)が共に同一であった。この知見は、逐次相同的組換えによりチャイニーズハムスター卵巣CHO DG44細胞株においてFUT8アレルが両方破壊された協和発酵工業株式会社のITL−LF2細胞(Yamane-Ohnuki, Kinoshita et al. 2004; Kanda, Satoh et al. 2005)を差別化する。
【0286】
Fut8と同様に、デノボ経路に関与するGDP−ケト−6−デオキシマンノース 3,5−エピメラーゼ,4−レダクターゼ(FX)のmRNAサイズと配列は(
図20)、ITL−LF2細胞において変化しなかった。一方、ITL−LF2細胞におけるGDP−マンノース 4,6−デヒドラターゼ(GMD)のmRNAサイズは、CHO−S(
図20)よりも短く、配列は2つのスプライス変異体であることを明らかにした。細胞から抽出したmRNA分子は、3番目と4番目のエクソンまたは8番目と9番目のエクソンのいずれかを欠いていた(
図21A〜Bおよび
図22A〜B)。欠失間の区別は、欠失のサイズが同様であるため、ゲルからは検出できなかった(
図20および
図22B)。しかしながら、短いGMD型(全長でない)のみ、ゲル上で検出できた(
図20)。突然変異原とインキュベートされた亜集団が種々のスプライス変異体を発現し、全長mRNAを発現しない機序は、はっきりとしていないが、おそらくその変異体は、MTXなしで選択された低フコース細胞はないので、元のCHO−S集団においては存在しない。これらの結果は、選択が表現型で行われたということを考慮すると非常に興味深い。
【0287】
QPCR分析は、試験された全ての遺伝子がフコシル化経路に関与し、同様のmRNAレベルで発現することを示した(
図23)。結果は、ITL−LF2細胞において得られるゼロフコースレベルは、種々のスプライス変異体から発現されたGMDタンパク質の不活性からまたはGMDタンパク質の低いレベルまたは完全な欠如から誘導されるということを示唆する。
【0288】
異なる表現型選択アプローチは、他の研究グループにより、CHO細胞におけるレクチン耐性変異体(Lec13)の作製のために使用された(Ripka and Stanley 1986)。このアプローチでは、細胞は、毒性エンドウフコース特異的レクチンとインキュベートされ、耐性細胞が、Asn(297)結合炭化水素に結合されたフコースが欠けているヒトIgG1を発現することが見いだされた(Shields, Lai et al. 2002)。さらに、研究活動は、相対的に短い時間の後増加したこれらの細胞におけるフコースレベルは、低フコース表現型は安定ではなく、いくつかの活性GDP−フコースタンパク質はデノボ経路において合成されたということ示すことを明らかにした(Kanda, Yamane, Ohnuki et al. 2006
)。もう1つ別の最近の論文では、Kandaおよび共同研究者(Kanda, Imai, Nishiya et al. 2007)が、Lec13が、CHO DG44において発現されるmRNAと同じサイズでmRNAを発現するということをRT−PCR分析により示した。前述したように、ITL−LF2細胞は、おそらく活性GMD型の完全な欠損のため安定なゼロフコース表現型を示す(
図20)。他のレクチン(レンズマメレクチン(Lens culinaris agglutinin)−LCA)耐性細胞株であるCHO−SM(Kanda, Imai, Nishiya et al. 2007)の、RT PCR配列決定およびサザンブロットによる遺伝子型分析は、この細胞株が、重要な活性ドメインをコードするエクソン5、6および7を欠いた突然変異GMD mRNAを発現したということを明らかにした(Somoza, Menon et al. 2000; Webb, Mulichak et al. 2004)。エクソン3および4ならびにエクソン8および9は、ITL−LF2細胞において証明されたように、共にGMD活性に重要である。したがって、ITL−LF2細胞のGMDプロファイルは、Lec13およびCHO SMの両方と異なるということが結論付けられる。
【0289】
ITL−LF2細胞は、各ソートにおいて最も低いフコース(またはフコースなし)を含む細胞のフラクションを選択するFACSによる4回の連続したソーティングサイクルの後に作製された(表4)。第1のソートは、低フコース表現型を有する細胞さえほとんどもたらさなかった。にもかかわらず、2回目のソートの後は、細胞の多くは細胞膜上に低フコースレベルを示した。追加的(3回目)のソートにより、ゼロフコースレベルのみを示す均一な集団となった。4回目のソートは、ゼロフコース発現細胞のみが存在するということを確かにするためになされた(
図12)。
【0290】
ITL−LF2細胞株は、パリのパスツール研究所のコレクシオン ナチオナール ド クルチュール ド ミクロオルガニスムに受託番号CNCM I−4449として、2011年2月28日に寄託された。
【0291】
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