(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下のとおり本発明の光学ガラスの各成分の機能及び権利範囲を説明する。
本明細書での各陽イオン及び陽イオンの総含有量は「陽イオン百分率含有量」で表示し、各陰イオン及び陰イオンの総含有量は「陰イオン百分率含有量」で表示する。「陽イオン百分率含有量」とは、ある種の陽イオンの全部の陽イオン含有量に対する百分率であり、「陰イオン百分率含有量」とは、ある種の陰イオンの全部の陰イオンに対する百分率である。前記の含有量は全てモル含有量である。
【0026】
P
5+はガラスのネットワークを構成する成分であり、その含有量は30%未満の場合、ガラスの安定性が悪く、その含有量が40%を超える場合、本発明に必要な高屈折率が得られにくい。本発明に必要な光学性能と化学安定性から考慮して、P
5+の百分率含有量は32〜37.5%であることが好ましい。
【0027】
Al
3+の本発明においての主な役割は、ガラスの化学安定性及び研磨加工性能を向上し、その含有量が12%未満の場合、ガラスの化学安定性が悪い。その含有量が20%を超える場合は、ガラスの結晶化性能が悪化し、液相温度が上昇するので、本発明ではAl
3+の含有量は12〜19%であることが好ましい。
【0028】
本発明者は、Al
3+/P
5+の比率を制御することにより、ガラスの研磨性能が著しく向上する事を見出した。本発明のAl
3+/P
5+は0.63未満で、Al
3+/P
5+は0.6
未満であることが好ましく、Al
3+/P
5+が0.58
未満であることがより好ましい。
【0029】
Ba
2+は本発明の必須成分であり、ガラスの屈折率と熱安定性を向上させることができ、Ba
2+とP
5+の共存は低光弾性係数が得られるキーポイントである。その含有量が30%未満の場合、ガラスの屈折率が不足する。その含有量が40%を超える場合は、ガラスの化学安定性が低下してしまい、特に耐酸性が悪くなる。そのため、その含有量を30〜40%に限定し、32〜38%であることが好ましく、33〜37.8%であることがより好ましい。
【0030】
Sr
2+は本発明の必要成分であり、Sr
2+より一部のBa
2+を代替するとガラスの化学安定性を改善し、且つ、ガラスの屈折率を著しく低下させない。その含有量が1%未満の場合、効果が不明になる。その含有量10%を超える場合、ガラスの熱安定性が低下されてしまうので、1〜8%であることが好ましく、2〜8%であることがより好ましい。
【0031】
Ca
2+はガラスの熱安定性を向上し、ガラスの耐酸性と研磨性能を改善させることはできる。その含有量が1.3%未満の場合は、効果が不明になる。その含有量が12%を超える場合は、ガラス熱安定性と屈折率が共に低下してしまうので、その含有量を1.3〜12%に限定し、1.5〜8%であることが好ましい。
【0032】
La
3+はガラスの屈折率を向上させ、ガラスアッベ数が低下しない状況で、ガラスの屈折率が高ければ高いほど、光学システムにおける光学素子の小型化の実現に有利である。そのため、La
3+の存在は有意義である。ただし、その含有量が5%以上の場合は、ガラスの結晶化が悪化してしまう。そのため、その含有量を0〜5%に限定し、0〜4%であることが好ましい。
【0033】
Gd
3+はガラス屈折率を向上させる機能を有する。本発明においてGd
3+はLa
3+よりガラスの熱安定性が最も良い。ただし、その含有量が6%を超える場合は、ガラス熱安定性が低下してしまうので、その含有量は0〜6%で、1〜5%であることが好ましい。
【0034】
Y
3+もガラス屈折率を向上させる役割を有する。在本発明において、その含有量はLa
3+とGd
3+より高くすることができる。その含有量が10%を超える場合は、ガラスの結晶化が悪化してしまう。そのためその含有量は0〜10%であり、1〜8%であることが好ましい。
【0035】
本発明においてLa
3+、Gd
3+、Y
3+は、アッベ数を明らかに低下させない前提において、ガラス屈折率を向上すると同時に、ガラス熱安定性のキーポイントであり、その合計含有量La
3++Gd
3++Y
3+が2%未満の場合は、屈折率の向上が明らかでない。その合計含有量が10%を超える場合は、ガラスの結晶化が明らかに悪化されてしまう。そのため合計含有量La
3++Gd
3++Y
3+を2〜10%と限定し、3.3〜8%であることが好ましい。
【0036】
発明者は鋭意努力により、Sr
2+、Ca
2+、La
3+、Gd
3+、Y
3+の合計量とBa
2+の比率が、本発明のガラスの化学安定性と光弾性係数に決定的な影響があることを見出した。(Sr
2++Ca
2++La
3++Gd
3++Y
3+)/Ba
2+が0.22未満の場合、ガラスの耐酸性が不足し、加工性能が悪くなる。(Sr
2++Ca
2++La
3++Gd
3++Y
3+)/Ba
2+が0.65を超える場合は、ガラスの光弾性係数が明らかに大きくなる。本発明の要求に達するため、(Sr
2++Ca
2++La
3++Gd
3++Y
3+)/Ba
2+の範囲を0.22〜0.65に限定し、0.25〜0.50であることが好ましい。
【0037】
Mg
2+は本発明の任意成分であり、ガラスの熱安定性と研磨性能を向上させる役割をする。ただし、その含有量が5%を超える場合は、ガラスの屈折率が目標に達しなくなる。そのため、含有量0〜5%を限定し、0〜3%であることが好ましい。
【0038】
Zn
2+は本発明の任意成分であり、ガラスの屈折率を高め、且つ、ガラスの転移温度を下げる役割をする。ただし、その色分散は比較的に大きくなり、ガラスアッベ数が低下してしまう。そのためZn
2+の含有量を0〜5%に限定し、0〜3%であることが好ましい。
【0039】
Yb
3+はガラスの屈折率を向上する役割をする。その含有量が5%を超える場合は、ガラスの熱安定性が低下してしまう。そのため、含有量を0〜5%限定し、Yb
3+が近赤外周波数においては基礎吸収があるので、使用しないほうが好ましい。
【0040】
F
−は、ガラスが低分散及び異常色分散のキーポイント成分であり、その含有量が25%未満の場合は、必要な性能を達し難しくなる。ただしその含有量が40%以上の場合は、ガラスは高屈折率を得にくくなる。そのため、F
−を25〜40%に限定し、28〜35%であることが最も好ましい。
【0041】
O
2−は、本発明のガラスのネットワーク構造を構成する必須成分であり、その含有量が60%未満の場合は、ガラスの安定性が不足し、且つ、発明に必要な屈折率の達成が難しくなる。その含有量が75%を超える場合は、低色分散と異常色分散が得られにくくなる。そのため、O
2−の含有量を60〜75%に限定し、65〜72%であることが最も好ましい。
【0042】
フルオロリン酸塩ガラスにおいて、通常ハロゲン系元素を清澄剤とし、具体的に本発明においては、Cl
−、I
−、Br
−を清澄剤として使用することができる。ただし、その使用量が余りにも高いと、製錬設備が(例えば、白金、白金合金皿等)の損傷を引き起こすことがある。そのため、その使用量をそれぞれ0〜1%、好ましくは0〜0.5%に限定する。Cl
−+I
−+Br
−の合計含有量は、0より大きく1%以下であり、好ましくは0より大きく0.8%以下であり、更に好ましくは0より大きく0.5%以下である。上記三種類の清澄剤において、Cl
−が好適であり、その次がI
−である。
【0043】
ガラスの清澄剤として、さらにSb
3+、Sn
4+とCe
4+を使用することができる。その含有量をそれぞれ0〜0.5%、0〜1%と0〜1%に限定する。本発明において、O
2−含有量高い場合は、ハロゲン系元素を個別使用して清澄剤とする場合は消泡効果が理想ではない。発明者は、繰り返しの研究によって、Sb
3+、Sn
4+とCe
4+の少なくとも1種にハロゲン系元素のCl
−、I
−、Br
−の少なとも1種類を追加すれば、非常に理想な消泡効果が得られる。本発明ではSb
3++Sn
4++Ce
4+の合計含有量を0より大きく、1%以下に限定し、その内、0より大きく、0.5%以下にすることが好ましい。
【0044】
本発明では更にB
3+を使うことができる。ただし、その含有量が余りにも高い場合は、製錬製造中に揮発が大きく、ガラスの安定性が低下されてしまう。そのため、含有量を0〜5%に限定し、0〜2%ですることが好ましく、使用しないのが最も好ましい。
【0045】
Si
4+とGe
4+は本発明ガラスにおいて、少量に使用することができるが、その含有量が3%を超える場合は、ガラス製錬温度が明らかに高くなり、同時にガラスの結晶化性能が悪化してしまう。そのため、Si
4+とGe
4+の含有量をそれぞれ0〜3%に限定し、0〜1%ですることが好ましく、導入しないことがより好ましい。
【0046】
Li
+、Na
+、K
+三種類のアルカリ金属は、ガラスの製錬温度と高温粘度及びガラスの転移温度を下げることが出来る。ただし、その含有量が余りにも高くなると、ガラスの結晶化が悪化してしまう、そのため、Li
+含有量を0〜12%に限定し、0〜10%であることが好ましい。Na
+、K
+の含有量をそれぞれ0〜5%に限定し、それぞれ0〜3%であることが好ましい。Li
+、Na
+、K
+三種類イオンにおいて、Li
+の使用が好適である。
【0047】
本発明ではPb、As、Cd、Th等環境に有害な成分は使わない。同時に原料のCo、Cu、Fe、Ni、Cr、Mn等ガラスの透過率を害させる成分を使わない又は出来るだけ使用量を低減する。
【0048】
本発明の製造方法において、前記ガラス成分は相応な酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水素酸化物、リン酸塩、メタリン酸塩及びフッ化物化合物を導入して、混合後の化合物は白金(又は白金合金)坩を介して加熱、溶解、澄清及び均質化して得られる。ガラスの品質を安定性を保証するため、水分を含まない(結晶水自由水を含む)原料の選定が好ましい。本発明が必要な原料において、P
5+はメタリン酸塩の導入が好ましい。Al
3+はAl(PO
3)
3、AlF
3とAl
2O
3の1種以上の形態で導入し、Al(PO
3)
3とAlF
3の1種以上の形態での導入が好ましい。それは、Al
3+をAl
2O
3として導入する場合、ガラスの結晶化性能が悪化されてしまう。Ba
2+はBa(PO
3)
2、BaF
2、BaCO
3、BaCl
2とBa(NO
3)
2の1種以上のの形態で導入し、BaF
2とBaCO
3の1種以上の形態で導入されるのが好ましい。Ba(NO
3)
2を導入する時、その対応する酸化物重量百分率含有量は3%を超えては好ましくない。それは、Ba(NO
3)
2の含有量余りにも高い場合は、溶解温度が明らかに上がってしまう。Ca
2+、Sr
2+、Mg
2+はそれぞれそのフッ化物、メタリン酸塩と炭酸塩の1種以上の形態で導入される。La
3+、Gd
3+、Y
3+、Yb
3+は酸化物とフッ化物の1種以上の形態で導入されることができるが、酸化物の形態で導入されるのが好ましい。Sb
3+、Sn
4+、Ce
4+は酸化物とフッ化物の1種以上の形態で導入されることができるが、酸化物の形態で導入されるのが好ましい。陰イオンにおいては、F
−は前記フッ化物原料を導入することができる。O
2−はメタリン酸塩、酸化物、炭酸塩と硝酸塩の1種以上の形態で導入されることができる。Cl
−、I
−、Br
−は主にハロゲン化物の形態により導入され、それぞれBaCl
2、KIとKBrの使用が好適である。
【0049】
発明に必要な効果に達するため、本発明においてBa
2+とO
2−含有量が高い。そのため、主にBa(CO
3)
2を使い、Ba
2+とO
2−を導入し、その重量百分率は10%以上であり、25%以上であることが好ましい。Ba(CO
3)
2を使用することによって発生する気泡の問題を解決するため、発明者の創造性的に同時にSb
3+、Sn
4+とCe
4+の少なくとも1種にハロゲン元素のCl
−、I
−、Br
−の少なくとも1種を清澄剤とし、理想の消泡効果が得られた。
【0050】
本発明のガラスは900℃以下の液相温度を有し、この温度の付近でガラスブロック材料又は材料ログを成形し、ガラス液は良好な成型粘度を有し、同時にFの揮発を低減することができて、高品質の縞のないガラスが得られる。
【0051】
光学ガラスは精密焼鈍を介して、内部には通常複屈折が起きない。ただし、機械的外力作用又はガラスを加熱、冷却することにより、ガラスに温度差がある場合は、ガラス内部に応力が発生し、光学性能が変化を生じ複屈折が起きる。光弾性係数(応力光学系数とも呼ぶ)Bと複双屈折の光路差δ(nm)、ガラス内部応力差F(10
5Pa)、ガラス厚さd(cm)の関係はδ=B.d.Fである。
【0052】
低光弾性係数は、ガラスが冷熱変化と外力衝撃によって発生する複屈折が小さく、安定性要求の高い光学部品の製造に適する。例えば、偏光制御用の光学機器の製造に適する。本発明のガラスは0.5×10
−12Pa未満の光弾性係数を有し、偏光発光スペクトルを構成する基板とプリズム、偏光調整を行う光空間変調器デバイス、電子光学用ガラス基板と電子光学用ガラス部品等の製造に適する。
【0053】
本発明のガラスは比較的に大きいプラスの特殊色分散△P
g,Fがあり、光学システム系統の高級色差の校正に有利である。相対部分の色分散P
g,Fの表示式は以下である。
【0054】
P
g,F=(n
g―n
F)/(n
F―n
c)
【0055】
式において、n
g、n
F、n
cそれぞれg線(435.84nm)、F線(486.13nm)、c線(656.27nm)の屈折率に対応する。
【0056】
H−K6、F4を基準正常なガラスとした場合、その相対部分の色分散とアッベ数は以下の式に適合する
【0057】
P
g,F(z)=0.6457―0.001703×υd
【0058】
特殊色分散△P
g,Fは相対部分色分散P
g,Fが正常線を外れた時の差であり、下記の式にて表示する。
【0059】
△P
g,F=P
g,F―P
g,F(z)
=P
g,F―0.6457+0.001703×υd
【0060】
△P
g,Fが大きいほどのガラスは、通常高位色差の校正に最も適する。本発明のガラスの特殊色分散△P
g,Fは、0.011以上であり、0.014以上であることが好ましく、0.015以上であることが最も好ましい。
【0061】
フルオロリン酸塩ガラスは通常比較的に「柔らかく」、摩耗度値が比較的大きい。ガラスの磨耗度が大きい場合は、研磨バフニングが難しく、ガラス表面の精密加工が難しく、加工効率を影響する。本発明のガラスの摩耗度は450未満で、400未満であることが好ましく、350未満であることが最も好ましい。そのため、本発明のガラスは良好な研磨加工性能を有する。
【0062】
光学ガラス素子は製造、保管輸送過程において、研磨した表面は各種の侵食介在作用を抵抗する能力がガラスの化学安定性となる。本発明のガラスは良好な化学安定性を有する。粉末法測定方法で測定した結果、その耐水作用安定性D
Wは1類で、耐酸作用安定性D
Aは、2類及びその以上で、耐酸作用安定性1類であることが好ましい。
【0063】
本発明の光学ガラスは精密圧縮成形、二次ホットプレス及び冷加工等製造方法により、高性能球面、非球面、平面レンズ及びプリズム、光格子等光学素子の製造に適する。
【実施例】
【0064】
以下、実施例を挙げて本発明の光学ガラスをさらに詳細に説明するが、本発明の権利範囲はこれらの実施例に限られない。
【0065】
表1、2と表3では、本発明の光学ガラスの実施例と比較例の成分構成を上げ、同時に実例のガラスの屈折率(nd)、アッベ数(υd)、特殊色分散(△P
g,F)、転移温度(Tg)、光弾性係数(B)、液相温度(L.T)、磨耗度(F
A)、化学安定性D
WとD
A及び外部透過率の80%と5%の波長比(それぞれλ80、λ5で表示する)を上げた。
【0066】
実施例と比較例の光学ガラスは全て表1〜4に示す組成成分が対応する酸化物、フッ化物、複合リン酸塩、水素酸化物、炭酸塩、硝酸塩原料を比例に基づきて計量して、充分混ぜた後、白金坩に入れて、900〜1200℃で溶解、澄清、均質化の後、適切な温度まで下げ、溶融ガラス液を余熱後の金属の金型に注湯し、ガラスを金属金型と一緒にアニール炉内に入れて、徐々に冷焼なましの後、実験用サンプルを得て、サンプルから試料を採取して、ガラスの関連データーを測定する。
【0067】
上記ガラスの性能は下記の方法によって測定する。
光学定数及び特殊色分散:GB/T7962.11−2010規定の屈折率測定方法によりn
d、n
g、n
F、n
cとアッベ数υdを測定し、前記特殊色分散式によって、特殊色分散△P
g,Fを算出する。
【0068】
転移温度Tg:GB/T7962.16−2010規定の方法により、ガラスの転移温度Tgを測定する。
【0069】
光弾性係数B:He−Neレーザー(波長632.8nm)を使って、円形板状のテストサンプルの直径方向に定額の荷重を掛け、円形板中心に発生する光路差を測定し、これによって光弾性係数Bを算出する。
【0070】
液相温度L.T:液相温度の測定方法は下記のとおりである。100mlぐらいのガラスを白金坩の中に入れて、1050℃まで加熱して、ガラスを完全に溶融し、それから予定温度まで下げてから、2時間温度保持し、それからガラスを鋳鉄又はグラファイト金型の中に入れて、冷却の後、100倍を拡大する倍率の顕微鏡でガラスを検査した結果、結晶体の最低保持温度が当該ガラスの液相温度であることは観察できなかった。本発明のガラスにはF成分が含まれているため、前記高温実験は、窒素ガス雰囲気にて行う。本発明の実施例表1−4の「液相温度」欄に示す温度を2時間保持後、結晶体の最低実験温度、ガラスの実際液相温度は表に示す温度より低い又は同等であることは観察できなかった。
【0071】
磨耗度F
A:磨耗度とは、完全に同一条件において、サンプルの摩耗量と基準サンプル(K9光学ガラス)の摩耗量(体積)の比率に100を掛けた後、得られる数値を式で示すと下記の通りになる。
【0072】
F
A=V/V
0×100=(W/ρ)÷(W
0/ρ
0)×100
【0073】
式において、VとV
0はそれぞれ被測定サンプルと基準サンプルの体積摩耗量であり、WとW
0はそれぞれ被測定サンプルと基準サンプルの重量磨耗量を示し、ρとρ
0はそれぞれ被測定サンプルと基準サンプルの密度を示す。
【0074】
化学安定性D
WとD
A:GB/T17129規定の測定方法により、下記の式によってガラスの浸出百分率を算出する。
【0075】
D=(B−C)/(B−A)×100
【0076】
式において、D−ガラスの浸出百分率,%
B−フィルターと試料の重量,g
C−フィルターと侵食後試料の重量,g
A−フィルターの重量,g
【0077】
計算によって算出された浸出百分率は、ガラスの耐水作用安定性D
Wを6類に分類し、詳細は下表による。
【0078】
【表1】
【0079】
計算によって算出された浸出百分率は、ガラスの耐酸作用安定性D
Aを6類に分類し、詳細は下表による。
【0080】
【表2】
【0081】
着色度λ
80/λ
5:着色度を用いて、ガラスの短波投射スペクトル特性を示す。測定サンプルの厚さは10±0.1mm、λ
80とλ
5は、それぞれガラスの透射比(表面反射損失を含む)が80%と5%に達した時に対応する波長で、10nm単位で表示する。
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】
【表6】
【0086】
上記実施例から、本発明のフルオロリン酸塩光学ガラスの屈折率(nd)は1.59以上で、アッベ数(vd)は67以上で、優れる特殊分散及び良好な化学安定性と研磨性能を有し、且つ、熱安定性も優れる。そのため、本発明のガラスは、光学システムの高位色差を無くす光学設計に適する。また、精密圧縮成形、二次ホットプレス及び冷加工等製造方法により、高性能球面、非球面、平面レンズ及びプリズム、光格子等光学素子の製造に適する。当該光学ガラスは0.5×10
−12Pa未満の光弾性係数を有し、ガラス屈折率の熱安定性要求が最も高い応用分野に適することが分かる。