【文献】
Cesar I. et al.,Industrial Application of Uncapped Al2O3 and Firing-Through Al-BSF In Open Rear Passivated Solar Cells,Proceeding of 37th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,米国,IEEE,2011年,001405-001410
【文献】
TOBIAS Ignacio et al.,Handbook of Photovoltaic Science and Engineering,米国,John Wiley & Sons, Ltd.,2011年,Second Edition,Chapter 7, pp.275-276
【文献】
Uematsu T. et al.,Design and characterization of flat-plate static-concentrator photovoltaic modules,Solar Energy Materials & Solar Cells,NE,Elsevier Science,2001年,Vol.67,441-448
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
太陽光発電技術は、大面積のp−n接合ダイオードを用いて太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する技術である。このp−n接合ダイオードを太陽電池と称する。太陽電池を製造する半導体材料はすべて所定の禁制帯幅を有し、太陽電池が太陽光に輻射されたとき、エネルギーが禁制帯幅を超える光子は、太陽電池に電子正孔対を発生し、p−n接合は電子正孔対を分離し、p−n接合の非対称性によって異なる型の光誘起キャリアの流動方向を決め、外部電気回路の接続によって外部へ電力を出力することができる。これは普通の電気化学電池の原理に類似する。
【0003】
通常、工業生産p型結晶シリコン太陽電池はアルミニウム裏面電界構成を用いる。即ち、裏面全体にアルミニウムペーストをスクリーン印刷し、焼成後にアルミニウム裏面電界が形成される。この構成の欠点は、裏面パッシベーションがなく、裏面の反射率が低いことであり、太陽電池の電圧や電流の性能に影響を及ぼす。局所アルミニウム裏面電界である結晶シリコン太陽電池は上記の欠点を克服し、この電池はパッシベーション効果を有する太陽電池の裏面パッシベーション膜を用いると共に、裏面の反射率を向上する。パッシベーション膜の有効のパッシベーションシリコン材料の表面に存在する大量のダングリングボンドと欠陥(例えばビットエラー、結晶粒界及び欠陥など)によって、光誘起キャリアのシリコン表面再結合速度を低減させる。少数キャリアの有効寿命を向上することによって、太陽電池の光電変換効率を向上する。パッシベーション膜は、同時に裏面反射を向上する効果を有することによって、シリコン材料が太陽光に対する吸収を増加し、光誘起キャリアの濃度を向上して光電流の密度を向上する。
【0004】
パッシベーション膜の種類及び製造方法は以下の通りである。即ち、PECVD非結晶シリコン膜、PECVDSiCx膜、熱酸化、湿式酸化又はスピンコートにより形成された酸化シリコン膜、SiO2/SiNx堆積膜、CVD、MOCVD、PECVD、APCVD又はALDにより製造されたAl2O3膜、Al2O3/SiNx堆積膜などである。
【0005】
通常、電流を導出するため、裏面パッシベーション膜に孔又は線が開けられる必要があり、それからアルミニウムペーストをスクリーン印刷し、焼成後に局所アルミニウム裏面電界が形成される。孔又は線の総面積は一般裏面の1〜15%を占め、面積が小さすぎると、裏面の接触抵抗は増加され、面積が大きすぎると、裏面再結合速度は増加され、両方とも電池の光電変換効率に影響を及ぼす。孔又は線はレーザー又は化学的腐蝕の方法を用いて開けられる。アルミニウムペーストが裏面電界全体パータンを用いてスクリーン印刷される。即ち、アルミニウムペーストによって裏電極以外の全部裏面領域が被覆される。このように、裏面から入射又は散乱の光は電池に吸収されることができず、光電変換効率に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池を提供することを目的とし、当該太陽電池はシリコン基板の裏面にある裏面パッシベーション膜上に局所アルミニウム裏面電界を設置することによって、両面透光構成が形成され、当該太陽電池のおもて面だけでなく、裏面でも入射又は散乱の光を受光及び吸収することによって、太陽電池の光電変換効率を向上する。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池の製造方法であり、当該方法はプロセスが簡単で、コストも低い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一目的は、以下の技術案によって実現する。
両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池であり、シリコン基板と、前記シリコン基板のおもて面に設置されたエミッタ、反射低減のおもて面パッシベーション膜及びおもて面電極と、前記シリコン基板の裏面に設置された裏面パッシベーション膜、裏面電界及び裏面電極と、を備えており、前記裏面電界は局所アルミニウム裏面電界であり、前記裏面電界は裏面パッシベーション膜上に孔又は溝が開けられ、孔又は溝を開ける領域に線状アルミニウムペーストを用いて前記孔又は溝を開ける領域を被覆し、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せずに保留し、焼成後に孔又は溝を開ける領域に局所アルミニウム裏面電界を形成することによって、前記局所アルミニウム裏面電界と前記裏面電極とが連通される。
【0009】
本発明の好ましい案として以下の技術案が採用される。
電流を収集するように、裏面パッシベーション層(膜)上に孔又は溝が開けられた後、スクリーン印刷又はスパッタリングによる複数のアルミニウム線(線状アルミニウムペースト)を孔又は溝を開ける領域を被覆し、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せずに保留し、スクリーン印刷又はスパッタリングによる線状アルミニウムペーストパターンは、直接又は間接に裏面電極と接続しなければならない。
【0010】
本発明の両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池は、太陽電池の光電機能を向上することができ、コストも削減することができる。
【0011】
本発明の線状アルミニウムペーストは互いに平行に設置されてもよく、所定の夾角で設置されてもよい。好ましくは線状アルミニウムペーストの幅が20〜2000μmであり、好ましくは隣接の両線状アルミニウムペースト間の距離P2が200〜2000μmである。
【0012】
本発明の好ましい方案として、裏面パッシベーション層(膜)上に互いに平行する孔又は溝が開けられ、前記孔又は前記溝に前記孔又は前記溝の形状に適合するアルミニウムペーストを設置して、アルミニウムペーストで前記孔又は前記溝を開ける領域を全面に被覆するが、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せずに保留し、焼成後に孔又は溝を開ける領域に局所アルミニウム裏面電界を形成し、且つ前記局所アルミニウム裏面電界と前記裏面電極とが連通されることによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。
【0013】
本発明の孔又は溝を開ける領域は、すべて線状アルミニウムペーストによって被覆される。
【0014】
本発明の開けられた孔又は溝は互いに平行であってもよく、互いに平行でなくてもよい。例えば、所定の夾角で設置されてもよい。好ましくは孔又は溝を互いに平行に設置すること。
【0015】
本発明では、好ましくは本発明の孔が複数であり、好ましくは間隔に置いて設置されること。好ましくは前記孔の直径Dが10〜200μmであり、好ましくは隣接の両孔間の距離P0が100〜1000μmである。
【0016】
本発明では、好ましくは溝の幅W1が10〜200μmであり、好ましくは隣接の両溝間の距離P1が200〜2000μmである。
【0017】
本発明の線状アルミニウムペーストは、電流を収集するように直接又は間接に他の線状アルミニウムペーストなどによって裏面電極と接続される。
【0018】
本発明の第二目的は以下の技術案によって実現される。
前記両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池の製造方法であって、
結晶シリコン基板を選択するステップと、テクスチャを形成するステップと、洗浄ステップと、燐拡散ステップと、裏面接合を除去するステップと、裏面パッシベーション膜を堆積するステップと、反射低減のおもて面パッシベーション膜を堆積するステップと、裏面パッシベーション膜に孔又は溝を開けるステップと、裏面電極をスクリーン印刷するステップと、孔又は溝を開ける領域が線状アルミニウムペーストによって被覆され、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せず保留するステップと、おもて面電極をスクリーン印刷するステップと、焼成後に局所アルミニウム裏面電界を製作し、前記局所アルミニウム裏面電界と前記裏面電極とが連通されるステップによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。
【0019】
本発明では、好ましくは結晶シリコン基板がp型結晶シリコン基板であり、p型単結晶シリコン基板又は多結晶シリコン基板でもよい。
【0020】
その内、テクスチャの形成、洗浄、燐拡散、裏面パッシベーション膜の堆積、裏面接合の除去、おもて面電極と裏面電極のスクリーン印刷などは、本分野の周知の技術的手段を用いてもよい。
【0021】
反射低減のおもて面パッシベーション膜は、窒化シリコン膜であってもよく、窒化シリコン/酸化シリコンなどの堆積膜でもよい。
【0022】
裏面パッシベーション膜は、酸化アルミニウムと窒化シリコンの堆積膜を用いる他に、窒化シリコン/酸化シリコンなどの堆積膜を用いてもよい。その内、窒化シリコン/酸化シリコンの堆積膜において酸化シリコンは、結晶シリコン基板と直接に接触する必要がある。窒酸化シリコン/窒化シリコンの堆積膜及び炭化シリコン/窒化シリコンの堆積膜などを用いてもよい。
【0023】
孔又は溝を開けるのは、本分野の周知の技術的手段を用いてもよい。例えば、レーザー又は化学的腐蝕の方法を用いて孔又は溝を開けるなど。孔は連続に開けられた孔であってもよく、一定間隔で開けられた孔であってもよい。好ましくは一定間隔で孔が開けられること。溝は点線状に溝が開けられてもよく、実線状に溝が開けられてもよい。好ましくは実線状に溝が開けられること。
【0024】
本発明の線状アルミニウムペーストは互いに平行に設置してもよく、所定の夾角で設置してもよい。好ましくは線状アルミニウムペーストの幅が20〜2000μmであり、好ましくは隣接の両線状アルミニウムペースト間の距離P2が200〜2000μmである。
【0025】
本発明の好ましい方案として、裏面パッシベーション層(膜)上に互いに平行する孔又は溝が開けられ、孔又は溝に前記孔又は溝の形状に適合するアルミニウムペーストを設置して、アルミニウムペーストで孔又は溝を開ける領域を全面に被覆するが、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストによって被覆せずに保留し、焼成後に孔又は溝を開ける領域に局所アルミニウム裏面電界を形成し、前記局所アルミニウム裏面電界と前記裏面電極とが連通されるによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。
【0026】
本発明の孔又は溝を開ける領域は、すべて線状アルミニウムペーストによって被覆される。スクリーン印刷の方法を用いてもよく、スパッタリングの方法を用いてパッシベーション膜上にある孔又は溝をアルミニウムペーストで被覆し、パッシベーション膜に全面に被覆せず、アルミニウムペーストの被覆は孔又は溝のみを被覆することを基準とし、目的は、局所アルミニウム裏面電界を製作し、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池を形成することにある。これによって、太陽電池の光電変換効率を向上する。
【0027】
本発明の孔又は溝は互いに平行であってもよく、互いに平行でなくてもよい。例えば、所定の夾角で設置してもよい。好ましくは孔又は溝を互いに平行に設置すること。
【0028】
本発明では、好ましくは本発明の孔が複数であり、好ましくは間隔に置いて設置されること。前記孔の直径Dは10〜200μmであり、隣接の両孔間の距離P0は100〜1000μmである。
【0029】
本発明では、好ましくは溝の幅W1が10〜200μmであり、好ましくは隣接の両溝間の距離P1は200〜2000μmである。
【0030】
本発明の線状アルミニウムペーストは、電流を収集するように直接又は間接に他の線状アルミニウムペーストなどによって裏面電極と接続される。
【発明の効果】
【0031】
本発明の有益の効果は以下の通りである。即ち、本発明で提案された両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池について、このような構成の太陽電池はその裏面パッシベーション層(膜)が完全にアルミニウムペーストによって被覆されず、光は電池の裏面から入射し、吸収されることができ、光束を増加させて、電池の電流やモジュールの出力電力を増加させることによって、電池やモジュールの光電変換効率を向上する。また、アルミニウムペーストの用量を低減することができ、コストを節約する。
【0032】
次に、附図及び好ましい実施案を併せて、本発明のその他の特徴及び利点を詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[実施例1]
本実施例は、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池の構成及びその製造方法を説明し(電池の断面図は
図1に示す)、具体的なステップは以下の通りである。即ち、
【0035】
A、抵抗率は0.1〜10Ω・cmである少量ドープp型単結晶シリコン基板を選択して、テクスチャ形成溝に放置し、含有量が0.5〜5重量%である水酸化ナトリウムの脱イオン水溶液において、温度が75〜90℃の条件の下で表面テクスチャを行い、テクスチャ構造が形成される。
【0036】
B、シリコン基板の表面に対して洗浄し、洗浄は化学溶液で行い、化学溶液はフッ化水素酸、硝酸、塩酸、硫酸及びその他の添加剤の一種又は複種の混合水溶液であってもよい。洗浄時間は0.5〜60分であり、温度は5〜90℃である。
【0037】
C、上記のテクスチャ形成基板を洗浄した後、700〜1000℃の炉芯管に放置して、燐(P)の拡散を行い、n型エミッタを製作する。拡散時間は70〜150分であり、拡散後のエミッタのシート抵抗は50〜150Ω/□である。
【0038】
D、上記の拡散後のシリコン基板に対して、アルカリ性又は酸性湿式エッチング法を用いてそのシリコン基板裏面のn型拡散層及び燐ケイ酸ガラスを除去する。
【0039】
E、裏面をパッシベーションにし、裏面の光反射を増加するために、裏面に5〜30nm酸化アルミニウムを堆積し(
図2に示す)、さらに酸化アルミニウム上に60〜200nmの窒化シリコンを堆積し、堆積パッシベーション膜が形成される。
【0040】
F、PECVDに生成したSiNxはおもて面パッシベーション膜及び反射低減層として、膜厚は75〜88nmであり、屈折率は1.9〜2.3の間である。
【0041】
G、レーザーの方法を用いて裏面パッシベーション膜(1)上に孔(2)が開けられ、好ましくは孔直径Dが10〜200μmであり、好ましくは孔間の距離P0が100〜1000μmである。
図3に示す。
【0042】
H、裏面電極のスクリーン印刷:モジュールのはんだ付けのために、シリコン基板の裏面に裏面電極(4)をスクリーン印刷する。
図5に示す。
【0043】
I、裏面アルミニウム線のスクリーン印刷:アルミニウム線(3)をスクリーン印刷して(即ち、上記に記載の線状アルミニウムペースト、以下は同じ)、孔を開ける領域を被覆し、アルミニウム線は裏面電極と直接又は間接に接続し、電流をすべて吸収する。アルミニウム線の幅W2は20〜2000μmであり、線間の距離P2は200〜2000μmである。
【0044】
J、おもて面電極のスクリーン印刷:シリコン基板の燐拡散面(エミッタ面)にスクリーン印刷方法でおもて面金属電極を印刷する。用いられる金属は銀(Ag)である。
【0045】
K、高温快速焼成:スクリーン印刷後のシリコン基板を焼成炉に放置して焼成する。好ましくは焼成温度が400〜900℃である。焼成後のおもて面金属銀はSiNxを貫通して反射低減のパッシベーション膜とエミッタとをオーム接触に形成し、裏面アルミニウム線と、孔を開ける領域のシリコン基板とを反応してアルミニウムシリコン合金及び局所アルミニウム裏面電界が形成されることによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。その断面図は
図1に示す。
【0046】
上記の方法によって構成された両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池は、シリコン基板(5)と、シリコン基板(5)のおもて面に設置されたエミッタ(6)、反射低減のおもて面パッシベーション膜(7)及びおもて面電極(8)と、シリコン基板(5)の裏面に設置された裏面パッシベーション膜(1)、裏面電界及び裏面電極(4)と、を備え、裏面電界は局所アルミニウム裏面電界(9)であり、裏面電界は裏面パッシベーション膜(1)上に孔又は溝(2)が開けられ、孔又は溝を開ける領域に線状アルミニウムペースト(3)を用いて孔又は溝(2)を開ける領域を被覆し、局所裏面パッシベーション膜(1)をアルミニウムペーストで被覆せずに保留し、焼成後に孔又は溝(2)を開ける領域に局所アルミニウム裏面電界(9)を形成することによって、局所アルミニウム裏面電界(9)と裏面電極(4)とが連通される。当該太陽電池はシリコン基板の裏面にある裏面パッシベーション膜(1)上に局所アルミニウム裏面電界(9)を設置することによって、両面透光構成が形成され、当該太陽電池のおもて面だけでなく、裏面でも入射又は散乱の光(12)を受光及び吸収することによって、太陽電池の光電変換効率を向上する。
【0047】
上記両面透光設計による一組の局所裏面パッシベーションの電池の平均電気性能のデータは表1に示す。その内、アルミニウム線状は本実施例における製造された両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池であり、アルミニウムペーストで全被覆型はその他のステップが本実施例と同じ、アルミニウムペーストで被覆する時、本実施例における孔を開ける領域のみをアルミニウムペーストで被覆すると共に、裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せずに保留することではなく、アルミニウムペーストで裏面パッシベーション膜(層)に全面に被覆する。結果から、普通のアルミニウムペーストですべて被覆する局所裏面パッシベーションの電池と比較して、本発明の両面透光である局所裏面パッシベーションの電池は、太陽電池の電流を向上し、効率が0.1〜0.3%まで向上することが明らかである。
【0049】
[実施例2]
本実施例は、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池の構成及びその製造方法を説明し(電池の断面図は
図1に示す)、具体的なステップは以下の通りである。即ち、
【0050】
A、抵抗率は0.1〜10Ω・cmである少量ドープp型単結晶シリコン基板を選択して、テクスチャ形成溝に放置し、含有量が0.5〜5重量%である水酸化ナトリウムの脱イオン水溶液において、温度が75〜90℃の条件の下で表面テクスチャを行い、テクスチャ構造が形成される。
【0051】
B、シリコン基板の表面に対して洗浄し、洗浄は化学溶液で行い、化学溶液はフッ化水素酸、硝酸、塩酸、硫酸及びその他の添加剤の一種又は複種の混合水溶液であってもよい。洗浄時間は0.5〜60分であり、温度は5〜90℃である。
【0052】
C、上記のテクスチャ形成基板を洗浄した後、700〜1000℃の炉芯管に放置して、燐(P)の拡散を行い、n型エミッタを製作する。拡散時間は70〜150分であり、拡散後のエミッタのシート抵抗は50〜100Ω/□である。
【0053】
D、上記の拡散後のシリコン基板に対して、アルカリ性又は酸性湿式エッチング法を用いてそのシリコン基板裏面のn型拡散層及び燐ケイ酸ガラスを除去する。
【0054】
E、裏面をパッシベーションにし、裏面の光反射を増加するために、裏面に5〜30nm酸化シリコンを堆積し(
図2に示す)、さらに酸化シリコン上に60〜200nmの窒化シリコンを堆積し、堆積パッシベーション膜が形成される。PECVDに生成したSiOx/SiNx堆積はおもて面パッシベーション膜及び反射低減層として、膜厚は85〜100nmであり、屈折率は1.9〜2.3の間である。
【0055】
F、レーザーの方法を用いて裏面パッシベーション膜(1)上に溝(2)が開けられ、溝幅W1は20〜100μmであり、線間の距離P1が200〜2000μmである。溝が開けられる時に点線状の方法を用いる。
図4に示す。
【0056】
G、裏面電極のスクリーン印刷:モジュールのはんだ付けのために、シリコン基板の裏面に裏面電極(4)をスクリーン印刷する。
図5に示す。
【0057】
H、裏面アルミニウム線のスクリーン印刷:アルミニウム線(3)をスクリーン印刷して、溝を開ける領域を被覆し、アルミニウム線は裏面電極と直接又は間接に接続し、電流をすべて吸収する。アルミニウム線の幅W2は20〜2000μmであり、線間の距離P2は200〜2000μmである。
【0058】
I、おもて面電極のスクリーン印刷:シリコン基板の燐拡散面(エミッタ面)にスクリーン印刷方法でおもて面金属電極を印刷する。用いられる金属は銀(Ag)である。
【0059】
J、高温快速焼成:スクリーン印刷後のシリコン基板を焼成炉に放置して焼成する。好ましくは焼成温度が400〜900℃である。焼成後のおもて面金属銀はSiOx/SiNxを貫通して反射低減のパッシベーション膜とエミッタとをオーム接触に形成し、裏面アルミニウム線と、孔を開ける領域のシリコン基板とを反応してアルミニウムシリコン合金及び局所アルミニウム裏面電界が形成されることによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。太陽電池の具体的な構造は実施例1と同じ。
【0060】
[実施例3]
本実施例は、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池の構成及びその製造方法を説明し(電池の断面図は
図1に示す)、具体的なステップは以下の通りである。即ち、
【0061】
A、抵抗率は0.1〜10Ω・cmである少量ドープp型単結晶シリコン基板を選択して、テクスチャ形成溝に放置し、含有量が0.5〜5重量%である水酸化ナトリウムの脱イオン水溶液において、温度が75〜90℃の条件の下で表面テクスチャを行い、テクスチャ構造が形成される。
【0062】
B、シリコン基板の表面に対して洗浄し、洗浄は化学溶液で行い、化学溶液はフッ化水素酸、硝酸、塩酸、硫酸及びその他の添加剤の一種又は複種の混合水溶液であってもよい。洗浄時間は0.5〜60分であり、温度は5〜90℃である。
【0063】
C、上記のテクスチャ形成基板を洗浄した後、700〜1000℃の炉芯管に放置して、燐(P)の拡散を行い、n型エミッタを製作する。拡散時間は70〜150分であり、拡散後のエミッタのシート抵抗は50〜150Ω/□である。
【0064】
D、上記の拡散後のシリコン基板に対して、アルカリ性又は酸性湿式エッチング法を用いてそのシリコン基板裏面のn型拡散層及び燐ケイ酸ガラスを除去する。
【0065】
E、裏面をパッシベーションにし、裏面の光反射を増加するために、裏面に5〜30nm酸化アルミニウムを堆積し(
図2に示す)、さらに酸化アルミニウム上に60〜200nmの窒化シリコンを堆積し、堆積パッシベーション膜が形成される。
【0066】
F、PECVDに生成したSiNxはおもて面パッシベーション膜及び反射低減層として、膜厚は75〜88nmであり、屈折率は1.9〜2.3の間である。
【0067】
G、化学的腐蝕の方法を用いて裏面パッシベーション膜(1)上に孔(2)が開けられ、好ましくは孔直径Dが10〜200μmであり、好ましくは孔間の距離P0が100〜1000μmである。
図3に示す。
【0068】
H、裏面電極のスクリーン印刷:モジュールのはんだ付けのために、シリコン基板の裏面に裏面電極(4)をスクリーン印刷する。
図5に示す。
【0069】
I、裏面アルミニウム線のスクリーン印刷:アルミニウム線(3)をスクリーン印刷して(即ち、上記に記載の線状アルミニウムペースト)、孔を開ける領域を被覆し、アルミニウム線は裏面電極と直接又は間接に接続し、電流をすべて吸収する。アルミニウム線の幅W2は20〜2000μmであり、線間の距離P2は200〜2000μmである。
【0070】
J、おもて面電極のスクリーン印刷:シリコン基板の燐拡散面(エミッタ面)にスクリーン印刷方法でおもて面金属電極を印刷する。用いられる金属は銀(Ag)である。
【0071】
K、高温快速焼成:スクリーン印刷後のシリコン基板を焼成炉に放置して焼成する。好ましくは焼成温度が400〜900℃である。焼成後のおもて面金属銀はSiNxを貫通して反射低減のパッシベーション膜とエミッタとをオーム接触に形成し、裏面アルミニウム線と、孔を開ける領域のシリコン基板とを反応してアルミニウムシリコン合金及び局所アルミニウム裏面電界が形成されることによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。太陽電池の具体的な構造は実施例1と同じ。
【0072】
[実施例4]
本実施例は、両面透型である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池の構成及びその製造方法を説明し(電池の断面図は
図1に示す)、具体的なステップは以下の通りである。即ち、
【0073】
A、抵抗率は0.1〜10Ω・cmである少量ドープp型単結晶シリコン基板を選択して、テクスチャ形成溝に放置し、含有量が0.5〜5重量%である水酸化ナトリウムの脱イオン水溶液において、温度が75〜90℃の条件の下で表面テクスチャを行い、テクスチャ構造が形成される。
【0074】
B、シリコン基板の表面に対して洗浄し、洗浄は化学溶液で行い、化学溶液はフッ化水素酸、硝酸、塩酸、硫酸及びその他の添加剤の一種又は複種の混合水溶液であってもよい。洗浄時間は0.5〜60分であり、温度は5〜90℃である。
【0075】
C、上記のテクスチャ形成基板を洗浄した後、700〜1000℃の炉芯管に放置して、燐(P)の拡散を行い、n型エミッタを製作する。拡散時間は70〜150分であり、拡散後のエミッタのシート抵抗は50〜100Ω/□である。
【0076】
D、上記の拡散後のシリコン基板に対して、アルカリ性又は酸性湿式エッチング法を用いてそのシリコン基板裏面のn型拡散層及び燐ケイ酸ガラスを除去する。
【0077】
E、裏面をパッシベーションにし、裏面の光反射を増加するために、裏面に5〜30nm酸化シリコンを堆積し(
図2に示す)、さらに酸化シリコン上に60〜200nmの窒化シリコンを堆積し、堆積パッシベーション膜が形成される。PECVDに生成したSiOx/SiNx堆積はおもて面パッシベーション膜及び反射低減層として、膜厚は85〜100nmであり、屈折率は1.9〜2.3の間である。
【0078】
F、化学的腐蝕の方法を用いて裏面パッシベーション膜(1)上に溝(2)が開けられ、溝幅W1は20〜100μmであり、線間の距離P1が200〜2000μmである。溝が開けられる時に点線状の方法を用いる。
図4に示す。
【0079】
G、裏面電極のスクリーン印刷:モジュールのはんだ付けのために、シリコン基板の裏面に裏面電極(4)をスクリーン印刷する。
図5に示す。
【0080】
H、裏面アルミニウム線のスクリーン印刷:アルミニウム線(3)をスクリーン印刷して、溝を開ける領域を被覆し、アルミニウム線は裏面電極と直接又は間接に接続し、電流をすべて吸収する。アルミニウム線の幅W2は20〜2000μmであり、線間の距離P2は200〜2000μmである。
【0081】
I、おもて面電極のスクリーン印刷:シリコン基板の燐拡散面(エミッタ面)にスクリーン印刷方法でおもて面金属電極を印刷する。用いられる金属は銀(Ag)である。
【0082】
J、高温快速焼成:スクリーン印刷後のシリコン基板を焼成炉に放置して焼成する。好ましくは焼成温度が400〜900℃である。焼成後のおもて面金属銀はSiOx/SiNxを貫通して反射低減のパッシベーション膜とエミッタとをオーム接触に形成し、裏面アルミニウム線と、孔を開ける領域のシリコン基板とを反応してアルミニウムシリコン合金及び局所アルミニウム裏面電界が形成されることによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。太陽電池の具体的な構造は実施例1と同じ。
【0083】
[実施例5]
図6に示すように、実施例1〜4と異なるのは、裏面パッシベーション膜(1)の孔又は溝(2)であり、孔又は溝(2)は平行に設置せず、隣接の孔又は溝(2)間に所定の夾角を有してもよい。同様に、孔又は溝(2)が被覆された隣接の線状アルミニウムペースト(3)は平行に設置せず、所定の夾角を有してもよい。
【0084】
[実施例6]
まず、結晶シリコン基板を選択するステップ、テクスチャを形成するステップ、洗浄ステップ、燐拡散ステップ、裏面接合を除去するステップ、裏面パッシベーション膜を堆積するステップ、反射低減のおもて面パッシベーション膜を堆積するステップ、おもて面電極をスクリーン印刷するステップなどの工程、及び裏面パッシベーション膜(1)に孔又は溝(2)を開けるステップ、孔又は溝(2)を開ける領域を線状アルミニウムペースト(3)で被覆するステップなどは、実施例1〜4と同じ、
図7に示すように、実施例1〜4と異なるのは、裏面電極が非連続的方式裏面電極であり、即ち、分段方式裏面電極を用い、局所裏面電極と分段方式裏面電極とを連通させるため、分段方式裏面電極の分離部分を線状アルミニウムペースト(3)で被覆し、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せずに保留し、焼成後に局所アルミニウム裏面電界を製作し、前記局所アルミニウム裏面電界と前記裏面電極とが連通されることによって、両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池が形成される。
【0085】
以上、好ましい具体的な実施例を挙げて本発明について説明を行った。上記好ましい実施例について本発明については更なる説明を行うためであり、本発明の保護範囲を限定することではない。当業者は、本発明の技術主旨及び内容を逸脱しない範囲で、若干の改良及び修正を行うことができ、例えば、非平行に設置された線状アルミニウムペーストに分段方式裏面電極をスクリーン印刷し、分段方式裏面電極の分断部分又は分離部分をアルミニウムペーストで被覆して、焼成後に局所アルミニウム裏面電界が形成され、その内、局所アルミニウム裏面電界と前記裏面電極とが連通され、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せずに保留し、このような局所アルミニウム裏面電界の太陽電池、及び孔の形状が非円状孔であることなどは、本発明権利の保護範囲にあるとみなす。両面透光である局所アルミニウム裏面電界を有する結晶シリコン太陽電池は、裏面電界は局所アルミニウム裏面電界であり、即ち、局所裏面パッシベーション膜をアルミニウムペーストで被覆せずに保留すると共に、局所裏面電界と裏面電極とが連通さればよい。以上は本発明で挙げられた好ましい実施形態であり、本発明を限定するものではない。