(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353043
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】イオン発生装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01T 23/00 20060101AFI20180625BHJP
H01T 19/04 20060101ALI20180625BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20180625BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
H01T23/00
H01T19/04
A61L9/22
A61L9/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-528874(P2016-528874)
(86)(22)【出願日】2014年11月7日
(65)【公表番号】特表2016-537773(P2016-537773A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】KR2014010699
(87)【国際公開番号】WO2015069066
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年6月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0134951
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】スン,ボンジョ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジャエソー
(72)【発明者】
【氏名】ソン,イルナ
【審査官】
澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−310801(JP,A)
【文献】
特開2003−123940(JP,A)
【文献】
特開2006−079950(JP,A)
【文献】
特開2001−083809(JP,A)
【文献】
特開2004−335411(JP,A)
【文献】
特開2003−045611(JP,A)
【文献】
特開2009−031606(JP,A)
【文献】
特開2004−363088(JP,A)
【文献】
特開平10−007405(JP,A)
【文献】
特開昭61−062074(JP,A)
【文献】
特開2003−323964(JP,A)
【文献】
特開2001−110547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 − 23/00
H05F 1/00 − 7/00
A61L 9/00 − 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン発生装置であって、
合成樹脂板と、
前記合成樹脂板の一面に形成され、少なくとも1つの放電針を有する銅放電電極と、
前記合成樹脂板の他面に形成された接地電極と、
前記合成樹脂板の一面にコーティングされたインキコーティング層と、
前記銅放電電極にコーティングされた金属コーティング層と、及び
前記インキコーティング層にコーティングされた光触媒コーティング層とを備えてなり、
前記インキコーティング層が、前記合成樹脂板の一面において、前記銅放電電極の周辺に形成されたものであり、
前記金属コーティング層が、前記インキコーティング層が形成された後、前記銅放電電極に形成されたものであり、及び
前記光触媒コーティング層が、前記金属コーティング層がコーティングされた前記銅放電電極の周辺に形成されたものである、イオン発生装置。
【請求項2】
前記合成樹脂板がエポキシ樹脂である、請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
前記金属コーティング層が金である、請求項1又は2に記載のイオン発生装置。
【請求項4】
前記銅放電電極が、前記合成樹脂板の一面の一部に形成され、
前記接地電極が、前記合成樹脂板の他面の一部に形成された、請求項1〜3の何れか一項に記載のイオン発生装置。
【請求項5】
イオン発生装置であって、
イオン発生モジュールと、
前記イオン発生モジュールに高電圧を印加する高電圧発生器と、及び
前記イオン発生モジュールと前記高電圧発生器を備えたハウジングとを備えてなり、
前記イオン発生モジュールが、
合成樹脂板と、
前記合成樹脂板の一面に形成され、少なくとも1つの放電針を有する銅放電電極と、
前記合成樹脂板の他面に形成された接地電極と、
前記合成樹脂板の一面にコーティングされたインキコーティング層と、
前記銅放電電極にコーティングされた金属コーティング層と、及び
前記インキコーティング層にコーティングされた光触媒コーティング層とを備えてなり、
前記インキコーティング層が、前記合成樹脂板の一面において、前記銅放電電極の周辺に形成されたものであり、
前記金属コーティング層が、前記インキコーティング層が形成された後、前記銅放電電極に形成されたものであり、及び
前記光触媒コーティング層が、前記金属コーティング層がコーティングされた前記銅放電電極の周辺に形成されたものであり、
前記高電圧発生器が、
印刷回路基板と、
前記印刷回路基板に設けられた巻線式変圧器と、及び
前記印刷回路基板に設けられた、前記巻線式変圧器を囲む変圧器ハウジングとを備えてなる、イオン発生装置。
【請求項6】
前記合成樹脂板がエポキシ樹脂である、請求項5に記載のイオン発生装置。
【請求項7】
前記金属コーティング層が金である、請求項5又は6に記載のイオン発生装置。
【請求項8】
前記銅放電電極が、前記合成樹脂板の一面の一部に形成されたものであり、
前記接地電極が、前記合成樹脂板の他面の一部に形成されたものである、請求項5〜7の何れか一項に記載のイオン発生装置。
【請求項9】
イオン発生装置の製造方法であって、
合成樹脂板に形成された銅板の一部をエッチングして銅放電電極を形成するステップと、
前記銅放電電極の周辺をインキコーティングしてインキコーティング層を形成するステップと、
前記銅放電電極に金属コーティング層をコーティングするステップと、及び
前記インキコーティング層に光触媒コーティング層をコーティングするステップとを含んでなり、
前記インキコーティング層が、前記合成樹脂板の一面において、前記銅放電電極の周辺に形成され、
前記金属コーティング層が、前記インキコーティング層が形成された後、前記銅放電電極に形成され、及び
前記光触媒コーティング層が、前記金属コーティング層がコーティングされた前記銅放電電極の周辺に形成されるものである、イオン発生装置の製造方法。
【請求項10】
前記光触媒コーティング層をコーティングするステップが、前記インキコーティング層上に光触媒を湿式コーティングするものである、請求項9に記載のイオン発生装置の製造方法。
【請求項11】
前記光触媒コーティング層をコーティングするステップが、前記インキコーティング層上に光触媒を乾式コーティングするものである、請求項9に記載のイオン発生装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置及びその製造方法に関するものであり、特に、放電電極と接地電極を有するイオン発生装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、イオン発生器はイオンを発生する機器である。イオンはアニオンとカチオンが存在し、そのうちアニオンは、空気中の酸素や窒素などの分子が負の電荷を有する状態を意味する。アニオンは、人体に非常に有益であるだけでなく、埃及び臭いの除去にも効果がある。
近年は、空気調和機だけでなく、ヘアドライヤー、浄水器などのように様々な家電製品にイオン発生装置を取り付ける趨勢である。
【0003】
イオン発生装置は、イオンが発生するイオン発生モジュール、及びイオン発生モジュールに高電圧を印加する高電圧発生器を含むことができ、高電圧発生器からイオン発生モジュールに高電圧が印加される場合、イオン発生モジュールは、アニオン及びカチオンのうち少なくとも1つを発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】KR10−2013−0068103A(2013年06月25日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によるイオン発生装置は、セラミック素材の使用で製造コストが高く、電極の酸化時に腐食が発生するおそれがあるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のイオン発生装置は、合成樹脂板と;前記合成樹脂板の一面に形成され、少なくとも1つの放電針を有する銅放電電極と;前記合成樹脂板の他面に形成された接地電極と;前記銅放電電極にコーティングされた金属コーティング層とを備えてなる。
【0007】
本発明のイオン発生装置は、イオン発生モジュールと、イオン発生モジュールに高電圧を印加する高電圧発生器と、イオン発生モジュール及び高電圧発生器が設けられるハウジングとを備えてなり、前記イオン発生モジュールは、合成樹脂板と;前記合成樹脂板の一面に形成され、少なくとも1つの放電針を有する銅放電電極と;前記合成樹脂板の他面に形成された接地電極と;前記銅放電電極にコーティングされた金属コーティング層とを備えてなり、前記高電圧発生器は、印刷回路基板と、前記印刷回路基板に設けられた巻線式変圧器と、前記印刷回路基板に設けられ、前記巻線式変圧器を囲む変圧器ハウジングとを備えてなる。
【0008】
前記合成樹脂板はエポキシ樹脂であってもよい。
前記金属コーティング層は金であってもよい。
前記銅放電電極は、前記合成樹脂板の一面の一部に形成することができ、前記接地電極は、前記合成樹脂板の他面の一部に形成することができる。
前記合成樹脂板の一面において前記銅放電電極の周辺に形成されたコーティング層をさらに含むことができる。
前記コーティング層にコーティングされた光触媒コーティング層をさらに含むことができる。
【0009】
本発明のイオン発生装置の製造方法は、合成樹脂板に形成された銅板の一部をエッチングして銅放電電極を形成するステップと;前記銅放電電極の周辺をインキコーティングしてコーティング層を形成するステップと;前記銅放電電極に金属コーティング層をコーティングするステップとを含む。
前記イオン発生装置を乾燥させるステップ、及び前記コーティング層上に光触媒をコーティングするステップをさらに含むことができる。
前記光触媒をコーティングするステップは、前記コーティング層上に光触媒を湿式コーティングすることができる。
前記光触媒をコーティングするステップは、前記コーティング層上に光触媒を乾式コーティングすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、電極の酸化を防止して寿命を最大化することができる利点がある。
【0011】
また、放電電極の周辺に生じる紫外線によって光触媒を活性化させることができ、別途の紫外線ランプなしに、光触媒による除菌及び脱臭効果を期待することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るイオン発生装置の一実施例の断面図である。
【
図2】本発明に係るイオン発生装置の一実施例の一面が示された図である。
【
図3】本発明に係るイオン発生装置の一実施例の他面が示された図である。
【
図4】本発明に係るイオン発生装置の一実施例の斜視図である。
【
図5】
図4に示された高電圧発生器が示された図である。
【
図6】本発明に係るイオン発生装置の一実施例で発生したイオン発生量を示した図である。
【
図7】本発明に係るイオン発生装置の製造方法の一実施例の順序が示されたフローチャートである。
【
図8】本発明に係るイオン発生装置の製造方法の一実施例に係る製造工程が示された図である。
【
図9】本発明に係るイオン発生装置の他の実施例の断面図である。
【
図10】本発明に係るイオン発生装置の他の実施例の除菌能力を示した図である。
【
図11】本発明に係るイオン発生装置の製造方法の他の実施例の順序が示された図である。
【符号の説明】
【0013】
2 合成樹脂板
6 銅放電電極
8 接地電極
10 金属コーティング層
12 コーティング層
14 コーティング層
16 金属コーティング層
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るイオン発生装置の一実施例の断面図であり、
図2は、本発明に係るイオン発生装置の一実施例の一面が示された図であり、
図3は、本発明に係るイオン発生装置の一実施例の他面が示された図である。
【0016】
イオン発生装置は、誘電体基板2に放電電極6と接地電極8を構成し、放電電極6と接地電極8との間に直流パルス高電圧を印加してイオンを生成することができ、微生物を酸化させることができる。イオン発生装置は、高密度形状の電極の多数を誘電体基板2の銅板にエッチングさせた後、金属(例えば:金)でコーティングして構成することができる。これによって、電極上の放電を均一に維持させ、電極から出るイオン量が増加するようになり、空気内の細菌など、微生物を効果的に除去することができる。誘電体基板2は、セラミック素材よりも低値である合成樹脂板を使用することができ、以下、誘電体基板2が合成樹脂板2であるものと説明し、同一の符号を使用して説明する。
【0017】
イオン発生装置は、合成樹脂板2と、合成樹脂板2の一面に形成され、少なくとも1つの放電針4を有する銅放電電極6と、合成樹脂板2の他面に形成された接地電極8と、銅放電電極6にコーティングされた金属コーティング層10とを含むことができる。
【0018】
合成樹脂板2は、熱を加えると硬くなり、力を加えても容易に変形しない性質を有するエポキシ樹脂(Epoxy resin)であってもよい。合成樹脂板2は、後述する高温乾燥時、信頼性を確保することができ、イオン発生装置のベースとして機能することができる。
【0019】
銅放電電極6は、合成樹脂板2の一面に形成された銅板の一部がエッチングされて形成されてもよい。銅放電電極6は、合成樹脂板2の一面の一部に形成されてもよい。銅放電電極6は、高密度形状に形成されてもよい。銅放電電極6は、第1放電電極部、及び第1放電電極部と離隔し、第1放電電極部を取り囲んで位置する第2放電電極部を含むことができる。第1放電電極部及び第2放電電極部のそれぞれは放電針を含むことができる。銅放電電極6は、第1放電電極部と第2放電電極部を接続する放電電極部接続部をさらに含むことができる。銅放電電極6は、一つの合成樹脂板2に複数形成されてもよい。複数の銅放電電極6が合成樹脂板2の一面に互いに離隔して形成されてもよい。複数の銅放電電極は、一部が、カチオンを発生させるカチオン銅放電電極6Aであってもよく、残りが、アニオンを発生させるアニオン銅放電電極6Bであってもよい。複数の銅放電電極は、一部が直列に接続され、残りが直列に接続されることが可能である。銅放電電極6は、一つの合成樹脂板2の一面に4つ形成されることが可能であり、2つがカチオン銅放電電極6Aであり、2つがアニオン銅放電電極6Bであってもよい。カチオン銅放電電極6Aとアニオン銅放電電極6Bを区分して説明する場合は、カチオン銅放電電極6Aとアニオン銅放電電極6Bに区分して説明し、共通の構成及び作用について説明する場合は、銅放電電極6として説明する。カチオン銅放電電極6Aとアニオン銅放電電極6Bは一つの合成樹脂板2に一列に配置することができ、相互間の距離が最も近いカチオン銅放電電極6Aとアニオン銅放電電極6Bは、最適の離隔距離を有することができる。
【0020】
接地電極8は、合成樹脂板2の他面に銅放電電極6と対応するように形成されてもよい。接地電極8は、銅放電電極6と同様にエッチング方式で形成されてもよく、合成樹脂板2の他面に形成された銅板の一部がエッチングされて形成されてもよい。接地電極8は、銅放電電極6の形成方式と異なる印刷方式で合成樹脂板2に形成されることも可能である。接地電極8は、合成樹脂板2の他面の一部に形成されてもよい。接地電極8は、第1接地電極部、及び第1接地電極部と離隔し、第1接地電極部を取り囲んで位置する第2接地電極部を含むことができる。一つの接地電極8は、第1接地電極部と第2接地電極部を接続する接地電極部接続部をさらに含むことができる。接地電極8は、一つの合成樹脂板2の一面に複数の銅放電電極6が形成される場合、銅放電電極6と対応する個数が一つの合成樹脂板2の他面に共に形成されてもよい。4つの銅放電電極6が合成樹脂板2の一面に互いに離隔して形成される場合、合成樹脂板2の他面には、4つの接地電極8が互いに離隔して形成され得る。
【0021】
イオン発生装置は、合成樹脂板2の一面において、銅放電電極6の周辺に形成されたコーティング層12をさらに含むことができる。コーティング層12は、合成樹脂板2の一面において銅放電電極6が位置していない部分を保護する保護層であり得る。コーティング層12は、印刷方式で合成樹脂板2の一面において銅放電電極6の周辺に形成されてもよい。コーティング層12は、銅放電電極6の外周7を取り囲むように配置されてもよい。
【0022】
金属コーティング層10は、銅放電電極6の酸化を防止するための酸化防止コーティング層であって、金からなることができる。金属コーティング層10は、銅放電電極6での外部に露出する部分の全体を覆うようにコーティングされてもよい。金属コーティング層10は、コーティング層12が合成樹脂板2の一面に形成された後に銅放電電極6に形成されることが可能であり、この場合、銅放電電極6の外周7の一部はコーティング層12によって取り囲まれ、銅放電電極6の外周7の残りは金属コーティング層10によって取り囲まれる。
【0023】
イオン発生装置は、合成樹脂板2の他面と接地電極8がいずれもコーティング層14によって覆われるようにコーティングされることが可能である。イオン発生装置は、合成樹脂板2の他面における接地電極8以外の部分がコーティング層14によって覆われ、接地電極8の酸化を防止するために、接地電極8に酸化防止のための金属コーティング層16がコーティングされることが可能である。
合成樹脂板2、銅放電電極6及び接地電極8は、銅放電電極6にコーティングされた金属コーティング層10と共にイオン発生モジュールとなり得る。
【0024】
合成樹脂板2、銅放電電極6及び接地電極8は、銅放電電極6にコーティングされた金属コーティング層10及び合成樹脂板2の一面に形成されたコーティング層12と共にイオン発生モジュールとなり得る。
【0025】
合成樹脂板2、銅放電電極6及び接地電極8は、銅放電電極6にコーティングされた金属コーティング層10、合成樹脂板2の一面に形成されたコーティング層12及び合成樹脂板2の他面に形成されたコーティング層14と共にイオン発生モジュールとなり得る。
【0026】
合成樹脂板2、銅放電電極6及び接地電極8は、銅放電電極6にコーティングされた金属コーティング層10、合成樹脂板2の一面に形成されたコーティング層12及び接地電極8にコーティングされた金属コーティング層16と共にイオン発生モジュールとなり得る。
【0027】
合成樹脂板2、銅放電電極6及び接地電極8は、銅放電電極6にコーティングされた金属コーティング層10、合成樹脂板2の一面に形成されたコーティング層12、合成樹脂板2の他面に形成されたコーティング層14及び接地電極8にコーティングされた金属コーティング層16と共にイオン発生モジュールとなり得る。
【0028】
図4は、本発明に係るイオン発生装置の一実施例の斜視図であり、
図5は、
図4に示された高電圧発生器が示された図である。
【0029】
イオン発生装置は、イオン発生モジュールA、イオン発生モジュールAに高電圧を印加する高電圧発生器B、及びイオン発生モジュールAと高電圧発生器Bが設けられるハウジングCを含むことができる。
イオン発生モジュールAは、高電圧発生器Bと電線Lにより接続され、高電圧発生器Bから高電圧が印加されると、イオンを発生させることができる。
【0030】
高電圧発生器Bは、印刷回路基板B1、及び印刷回路基板B1に設けられ、コイル状に巻かれた巻線式変圧器を含むことができる。高電圧発生器Bは、巻線式変圧器を囲む変圧器ハウジングB2をさらに含むことができ、巻線式変圧器は、変圧器ハウジングB2に囲まれて外部に露出せず、高電圧発生器Bの信頼性を向上させることができる。変圧器ハウジングB2は、印刷回路基板B1に設けられ、その内部には、巻線式変圧器が収容される空間が形成され得る。
【0031】
ハウジングCは、イオンが流出されるイオン流出口C1,C2が形成されてもよい。イオン流出口C1,C2はハウジングCに複数形成されてもよい。イオン流出口C1,C2は、カチオンが流出されるカチオン流出口C1、及びアニオンが流出されるアニオン流出口C2を含むことができる。カチオン流出口C1とアニオン流出口C2は、ハウジングCに離隔して形成されてもよい。
【0032】
図6は、本発明に係るイオン発生装置の一実施例で発生したイオン発生量を示した図である。
図6は、銅放電電極6の数及び間隔を異ならせ、温度、湿度、イオン計測器の測定距離及び風速などのその他の環境を全て同一にした状態でイオンの量を測定した結果である。
図6に示されたカチオン発生量とアニオン発生量は、測定場所が12m
3のチャンバーであり、温度が20℃であり、湿度が40%であり、イオン計測器とイオン発生装置との距離は1mであり、風速が1.0m/sである環境で測定された結果である。
【0033】
図6の(A)は、22X56mmのサイズの合成樹脂板2に一つのカチオン銅放電電極と一つのアニオン銅放電電極が32mmの間隔で離隔して配置されたイオン発生装置のアニオン発生量及びカチオン発生量を示す。
【0034】
図6の(B)は、22X56mmのサイズの合成樹脂板2に3つのアニオン銅放電電極が16.5mmの間隔で離隔して配置されたイオン発生装置のアニオン発生量を示す。
【0035】
図6の(C)は、22X56mmのサイズの合成樹脂板2に2つのカチオン銅放電電極と2つのアニオン銅放電電極が設けられ、複数の銅放電電極が13mmの間隔で離隔して配置されたイオン発生装置のアニオン発生量及びカチオン発生量を示す。
【0036】
図6の(D)は、22X56mmのサイズの合成樹脂板2に2つのカチオン銅放電電極と2つのアニオン銅放電電極が設けられ、複数の銅放電電極が13mmの間隔で離隔して配置されたイオン発生装置のアニオン発生量及びカチオン発生量を示す。
【0037】
イオン発生装置は、複数の銅放電電極の隔離距離が、長方形の合成樹脂板2の長手方向の長さの21.42%〜23.21%であるとき、アニオン発生量及びカチオン発生量が多くなり、イオン発生装置において、複数の銅放電電極の隔離距離は、長方形の合成樹脂板2の長手方向の長さの50%未満であることが好ましい。イオン発生装置において、複数の銅放電電極の隔離距離は、長方形の合成樹脂板2の長さの21.42%〜23.21%であることが最も好ましい。
【0038】
図7は、本発明に係るイオン発生装置の製造方法の一実施例の順序が示されたフローチャートであり、
図8は、本発明に係るイオン発生装置の製造方法の一実施例に係る製造工程が示された図である。
【0039】
本発明に係るイオン発生装置の製造方法は、
図7及び
図8に示したように、合成樹脂板2に形成された銅板5の一部をエッチングして銅放電電極6を形成するステップS1を含むことができる。イオン発生装置の製造方法は、
図8の(a)に示したように、一面に銅板5が形成された合成樹脂板2に放電電極6のパターンを示すことができ、放電電極6のパターンとして残す部分以外の部分をエッチングして除去することができる。この場合、合成樹脂板2の一面に形成された銅板5においてエッチングによって除去されずに残る部分が、
図8の(b)に示したように、合成樹脂板2に残ることができ、この部分が銅放電電極6となり得る。
【0040】
イオン発生装置の製造方法は、
図7及び
図8に示したように、合成樹脂板2において銅放電電極6の周辺をインキコーティングしてコーティング層12を形成するステップS2を含む。イオン発生装置の製造方法は、前工程でエッチングにより除去された部分にインキをコーティングすることができ、このようなインキは、
図8の(c)に示したように、銅放電電極6の周辺に位置して銅放電電極6の外周7を取り囲むことができ、銅放電電極6の周辺には、合成樹脂板2において銅放電電極6を除いた部分を取り囲むコーティング層12が形成され得る。
【0041】
イオン発生装置の製造方法は、
図7及び
図8に示したように、銅放電電極6に金属コーティング層10をコーティングするステップS3を含むことができる。金属コーティング層10は金からなることができ、金は、印刷方式又はスプレー方式などの各種コーティング方法でコーティングされてもよい。銅放電電極6にコーティングされた金属コーティング層10は、
図8の(d)に示したように、銅放電電極6を覆うことができる。
【0042】
イオン発生装置の製造方法は、
図7に示したように、銅放電電極6に金属コーティング層10がコーティングされたイオン発生装置を乾燥させるステップS4を含むことができる。イオン発生装置を乾燥させるステップS4は、約150℃の高温で、金属コーティング層10がコーティングされたイオン発生装置を乾燥させることができる。
【0043】
図9は、本発明に係るイオン発生装置の他の実施例の断面図である。
本実施例のイオン発生装置は、コーティング層12にコーティングされた光触媒コーティング層20をさらに含むことができ、光触媒コーティング層20以外のその他の構成及び作用は、本発明の一実施例のイオン発生装置と同一または同様であるので、同一の符号を使用し、それについての詳細な説明は省略する。
【0044】
光触媒コーティング層20は、光を受け入れて化学反応を促進させる光触媒(photocatalyst)を含み、有害物質を酸化分解することができる。光触媒コーティング層20の光触媒は酸化チタン(TiO
2)を含むことができ、光触媒コーティング層20は酸化チタンコーティング層であってもよい。光触媒コーティング層20は、光触媒がコーティング層12に湿式コーティング(Wet coating)または乾式コーティング(Dry coating)されることが可能である。
【0045】
銅放電電極6に高電圧が印加され、プラズマ放電が発生する場合、このときに発生した紫外線(UV)が光触媒コーティング層20に照射され得、光触媒コーティング層20は、紫外線によって活性化されてラジカルとイオンが発生し得、有機物の酸化を促進して除菌及び脱臭を助けることができる。
【0046】
図10は、本発明に係るイオン発生装置の他の実施例の除菌能力を示した図である。
図10は、イオン発生装置のコーティング層12に光触媒コーティング層20を形成しない場合(No coataing)、イオン発生装置のコーティング層12に光触媒コーティング層20を乾式コーティングした場合(Dry coating)、及びイオン発生装置のコーティング層12に光触媒コーティング層20を湿式コーティングした場合(Wet coating)のそれぞれの菌除去率%を実験した結果である。実験の結果は、光触媒コーティング層20の有無及び光触媒コーティング層20のコーティング方式以外のその他の因子を全て同一にした状態で、1m
3の空間で5分間実験した結果である。
【0047】
コーティング層12に光触媒コーティング層20を形成した場合、大腸菌は約83%以上除去された一方、コーティング層12に光触媒コーティング層20を形成していない場合、約70.9%除去されるところ、コーティング層12に光触媒コーティング層20を形成する場合、そうでない場合よりも大腸菌の除去能力が高いことを確認することができる。
図11は、本発明に係るイオン発生装置の製造方法の他の実施例の順序が示された図である。
【0048】
本実施例のイオン発生装置の製造方法は、
図11に示したように、合成樹脂板2に形成された銅板の一部をエッチングして銅放電電極6を形成するステップS1、銅放電電極6の周辺をインキコーティングしてコーティング層12を形成するステップS2、銅放電電極6に金属コーティング層10をコーティングするステップS3、イオン発生装置を乾燥させるステップS4、及びコーティング層20上に光触媒をコーティングするステップS5を含む。
【0049】
コーティング層20上に光触媒をコーティングするステップS5以外のその他の構成及び作用は、本発明に係るイオン発生装置の製造方法の一実施例と同一または同様であるので、それについての詳細な説明は省略する。
【0050】
コーティング層20上に光触媒をコーティングするステップS5は、コーティング層12上に光触媒を湿式コーティングして行われたり、コーティング層12上に光触媒を乾式コーティングして行われてもよい。
【0051】
湿式コーティングは、光触媒が含まれた水溶液を容器に入れた状態で、コーティング層12を光触媒が含まれた水溶液に浸すことによって、コーティング層12に光触媒コーティング層20をコーティングすることが可能である。湿式コーティングの他の例として、コーティング層12に、光触媒が含まれた水溶液を印刷方式でコーティングすることが可能である。
一方、乾式コーティングは、コーティング層12に光触媒をスパッタリング(Sputtering)することによって行われてもよい。
一方、本発明は、上記の実施例に限定されず、この発明の属する技術的範疇内で様々な変形が可能であることは勿論である。