特許第6353079号(P6353079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353079
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/24 20060101AFI20180625BHJP
   H04R 9/06 20060101ALI20180625BHJP
   H04R 9/02 20060101ALI20180625BHJP
   H04R 7/12 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   H04R1/24 Z
   H04R9/06 A
   H04R9/02 101C
   H04R9/02 101A
   H04R7/12 Z
   H04R7/12 A
   H04R9/02 102A
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-563684(P2016-563684)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(86)【国際出願番号】JP2015084395
(87)【国際公開番号】WO2016093227
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年6月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-247601(P2014-247601)
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 健一
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩治
(72)【発明者】
【氏名】大野 寛仁
(72)【発明者】
【氏名】土肥 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隼美
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−009298(JP,A)
【文献】 特開2000−078689(JP,A)
【文献】 特開2006−222792(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3193184(JP,U)
【文献】 JBL2150,オーディオの足跡,日本,2010年 2月15日,[オンライン],[検索日 2018.1.26],インターネット:<URL:http://audio-heritage.jp/JBL/unit/2150.html>,URL,http://audio-heritage.jp/JBL/unit/2150.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/24
H04R 7/12
H04R 9/02
H04R 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイルボビンと接続されている第1の振動板を有する第1のスピーカユニットと、
前記ボイスコイルボビンの内側に設置された第2の振動板を有する第2のスピーカユニットと、
を備え、
前記第1の振動板の上端の高さが、前記第2の振動板の上端の高さと略等しく、
前記第1のスピーカユニットの外磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される外側磁石と、を備え、
前記第2のスピーカユニットの内磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される内側磁石と、を備え、
前記内磁型の磁気回路の底部は、前記外磁型の磁気回路の底部より音放射側に配置されており、
前記内磁型の磁気回路の底部と前記外磁型の磁気回路で囲まれる空間内には、端子部が配置されることを特徴とするスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の天井面に設置する小型で薄型のスピーカ装置は、一般的に1WAYでフルレンジをカバーするものである。このようなスピーカ装置として、例えば国際公開第2005/015950号(特許文献1)に開示されたものがある。この従来のスピーカ装置では、折り返しのある振動板を備えることで振動板の剛性を高め、高い周波数までカバーしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/015950号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のような従来のスピーカ装置では、折り返しのある振動板のスペースを確保するために、小さな磁石を用いて強い磁場を形成する磁気回路を採用する必要がある。このように小さな磁石で強い磁場を得るためには、ネオジム磁石のような強い磁力の磁石を採用する必要がある。しかし、ネオジム磁石は高価であり著しいコストアップの要因となっている。
【0005】
また、特許文献1のスピーカ装置では、音放射方向を上、その反対側を下とした場合の上下方向の厚みを考慮すると、以下のような問題がある。すなわち振動板の外周及び中央部分である上端から、折り返し部分の屈曲部である下端までの長さが大きくなり、スピーカ装置を薄型に構成するには限界がある。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題としては、2WAY型でありながら薄型化と低コストとを実現したスピーカ装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のスピーカ装置は、ボイスコイルボビンと接続されている第1の振動板を有する第1のスピーカユニットと、前記ボイスコイルボビンの内側に設置された第2の振動板を有する第2のスピーカユニットと、を備え、前記第1の振動板の上端の高さが、前記第2の振動板の上端の高さと略等しく、前記第1のスピーカユニットの外磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される外側磁石と、を備え、前記第2のスピーカユニットの内磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される内側磁石と、を備え、前記内磁型の磁気回路の底部は、前記外磁型の磁気回路の底部より音放射側に配置されており、前記内磁型の磁気回路の底部と前記外磁型の磁気回路で囲まれる空間内には、端子部が配置されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例及び変形例1のスピーカ装置の縦断面図である。
図2】実施例のスピーカ装置の表面平面図である。
図3】実施例のスピーカ装置の表面斜視図である。
図4】実施例のスピーカ装置のフレームを外した状態の裏面平面図である。
図5】本発明の実施例の変形例1のスピーカ装置の裏面平面図である。
図6】本発明の実施例の変形例2のスピーカ装置の縦断面図である。
図7】本発明の実施例における磁石の磁極の向きと磁束の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。本発明の一実施形態に係るスピーカ装置は、ボイスコイルボビンと接続されている第1の振動板を有する第1のスピーカユニットと、前記ボイスコイルボビンの内側に設置された第2の振動板を有し、第1のスピーカユニットと音放射方向が略一致した第2のスピーカユニットと、を備えている。そして、前記音放射方向を上、それとは反対の方向を下としたとき、第1の振動板の上端の高さが、第2の振動板の上端の高さと略等しくなっている。
【0010】
前記第1の振動板の下端の高さが、前記第2の振動板の下端の高さと略等しいものが好ましい。
【0011】
前記第1の振動板の上端から下端までの長さが、前記第2の振動板の上端から下端までの長さと略等しいものが好ましい。
【0012】
前記第2のスピーカユニットは磁石を含む磁気回路を備えており、この磁石は前記ボイスコイルボビンの上端と下端の高さとの間に設置されているものが好ましい。
【0013】
第1の振動板はその内周側に音放射方向と垂直な平面を有する平坦部を備えており、この平坦部は第2の振動板の上端の高さと略等しいものが好ましい。
【0014】
第1の振動板はその外周側に音放射方向とは反対側に凸となる折り返し部を備えており、この折り返し部の下端の高さは、第2の振動板の下端の高さと略等しいものが好ましい。
【0015】
この場合、前記第1のスピーカユニットは磁石を含む磁気回路を備えており、前記第1の振動板の前記折り返し部の下端が前記第1のスピーカユニットの前記磁石の上端より上に位置するものが好ましい。
【0016】
さらに、前記第2の振動板は音放射方向とは反対側に凸に形成された折り返し部を備えており、前記第1の振動板の折り返し部、および、前記第2の振動板の折り返し部、のぞれぞれの下端の高さを略等くしたものが好ましい。
【0017】
前記第1の振動板が音放射方向側に振動すると、前記第1の振動板の上端の高さが、前記第2の振動板の上端の高さより高くなり、前記第1の振動板が前記音放射方向とは反対側に振動すると、前記第1の振動板の上端の高さが、前記第2の振動板の上端の高さより低くなるものが好ましい。
【0018】
第1のスピーカユニットの磁石は、フェライト磁石であるものが好ましい。
【0019】
前記第1のスピーカユニットの前記磁石の上下方向の厚さは、前記第1の振動板の上端から下端までの長さより大きいものが好ましい。
【0020】
第1の振動板の上端から第1のスピーカユニットの磁気回路の下端までの長さTWと、第1のスピーカユニットの外径φとの比TW/φが、
0.1≦TW/φ≦0.2
であるものが好ましい。
【0021】
第1のスピーカユニットの外磁型の磁気回路の内周端部は、第2のスピーカユニットの外周端部に連結しているものが好ましい。
【0022】
この場合、前記外磁型の磁気回路が有するヨークの筒部は、前記内周端部を形成しており、第2のスピーカユニットが有するフレームは、前記外磁型の磁気回路の外周端部を形成しており、前記筒部は、当該第2のスピーカユニットの外周端部に連結しているものが好ましい。
【0023】
前記第1のスピーカユニットの外磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される外側磁石と、を備えており、前記第2のスピーカユニットの内磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される内側磁石と、を備えており、音放射方向における、前記外磁型の磁気回路の一部と前記内磁型の磁気回路の一部は同じ高さにあり、前記プレート側における前記外側磁石及び前記内側磁石の磁極は同じであり、前記ヨーク側における前記外磁石及び内側磁石の磁極は同じであるものが好ましい。
【0024】
前記第1のスピーカユニットの外磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される外側磁石と、を備えており、前記第2のスピーカユニットの内磁型の磁気回路は、プレートと、ヨークと、当該プレートとヨークの間に配置される内側磁石と、を備えており、前記内磁型の磁気回路の底部は、前記外磁型の磁気回路の底部より音放射側に配置されており、前記内磁型の磁気回路の底部と前記外磁型の磁気回路で囲まれる空間内には、端子部が配置されるものが好ましい。
【実施例】
【0025】
図1は本発明の実施例及び変形例1のスピーカ装置の縦断面図、図2は実施例のスピーカ装置の表面平面図、図3は実施例のスピーカ装置の表面斜視図、図4は実施例のスピーカ装置のフレームを外した状態の裏面平面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は図1の図面における上下に対応する。
【0026】
本実施例に係るスピーカ装置は、軸線Lを中心軸として同軸に配置された第1のスピーカユニット10と第2のスピーカユニット20とを備えている。実施例のスピーカ装置は、第1のスピーカユニット10が低域〜中域用スピーカとして機能し、第2のスピーカユニット20が高域用のツイーターとして機能する。また、第1のスピーカユニット10及び第2のスピーカユニット20の音放射方向は図1に示す矢印Pの方向である。この実施例のスピーカ装置は自動車の室内天井等に取り付けられる薄型のスピーカ装置である。
【0027】
第1のスピーカユニット10は、振動板1と、磁気回路2と、ボイスコイルボビン3と、フレーム4とを具備している。振動板1は軸線Lを中心軸とする僅かに扁平な楕円形の形状をしており、その外周端部がエッジ部1aを介してフレーム4に支持されている。振動板1は例えば紙や樹脂、または金属材料等により形成されており、この振動板1にはエッジ部1aの径方向内側に断面V字状に屈曲した折り返し部11が形成されている。また、折り返し部11の内周側から中心に向けて平面状の平坦部12が形成されている。さらに、この振動板1には、平坦部12の径方向内側に軸線Lを中心とする円形の開口13が形成されている。
【0028】
第1のスピーカユニット10の磁気回路2は、磁石21、プレート22及びヨーク23を有している。磁石21は円環状の形状であり、フェライト永久磁石である。なお、この磁石21としては、例えば、サマリウム・コバルト系、アルニコ系等の永久磁石でもよい。プレート22とヨーク23は鉄等の磁性金属で形成されており、プレート22は円環状の形状である。ヨーク23はプレート22と略同径の円環状のフランジ部(底部)23aと、このフランジ部23aの内周から立設する円筒状の筒部23bとを一体に形成したものである。そして、円環状の磁石21とプレート22が、ヨーク23の筒部23bの外周に該筒部23bとそれぞれ所定の距離をもって設置され、フランジ部23a、磁石21及びプレート22が積層されている。これにより、プレート22の内周側端部とヨーク23の筒部23bの上端部との間に磁気ギャップ2Gが形成されている。
【0029】
ボイスコイルボビン3は、円筒状の形状をしており、振動板1の円形の開口13の内周縁に固着されている。これにより、ボイスコイルボビン3は振動板1を支持している。また、ボイスコイルボビン3の下方外周にはボイスコイル31が巻かれている。なお、折り返し部11には、ボイスコイル31に音声信号を供給する引出線32が取り付けられている。そして、このボイスコイル31(及びボイスコイルボビン3)は、磁気回路2の磁気ギャップ2G内に配置されている。そして、ボイスコイル31に音声信号が入力されると、ボイスコイル31及びボイスコイルボビン3が軸線L方向に沿って振動し、振動板1を振動させる。これにより、第1のスピーカユニット10の音放射方向Pは軸線Lと平行な上向きの方向となる。
【0030】
第2のスピーカユニット20は、振動板5と、磁気回路6と、フレーム7とを具備している。振動板5は金属材料により形成されており、軸線Lを回転軸とする回転対称な形状をしている。また、振動板5は、ドーム状振動部51、ボイスコイルボビン52、コーン状振動部53、および外周端部54を有し、このドーム状振動部51、ボイスコイルボビン52、コーン状振動部53、および外周端部54は一体に成形されている。そして、振動板5は、外周端部54にてフレーム7に支持されている。
【0031】
ドーム状振動部51は、振動板5の中央部に凸形状に形成され、このドーム状振動部51の中央部の頂部が外周端部54よりも高く形成されている。この形状により広い角度の指向特性を得ることができる。また、ドーム状振動部51は、ボイスコイルボビン52、コーン状振動部53、外周端部54により磁気回路6上の規定位置に、軸線L方向(駆動方向)に沿って振動可能に支持されている。
【0032】
第2のスピーカユニット20の磁気回路6は、磁石61、プレート62及びヨーク63を有している。磁石61は円盤状の形状であり、例えばフェライト永久磁石である。なお、この磁石61としては、例えば、サマリウム・コバルト系、アルニコ系、ネオジム系等の永久磁石でもよい。プレート62とヨーク63は鉄等の磁性金属で形成されており、プレート62は磁石61より僅かに径の大きな円盤状の形状である。ヨーク63は磁石61より径の大きな円盤状の円盤部(底部)63aと、この円盤部63aからプレート62側に湾曲した湾曲部63bとを一体に形成したものである。そして、円盤部63aとプレート62とにより磁石61を挟み、ヨーク63、磁石61及びプレート62が積層されている。これにより、プレート22の外周端部とヨーク63の湾曲部63bの内周面との間に磁気ギャップ6Gが形成されている。
【0033】
振動板5のボイスコイルボビン52は、円筒状の形状をしており、このボイスコイルボビン52の外周にはボイスコイル52aが巻かれている。そして、このボイスコイル52a(及びボイスコイルボビン52)は、磁気回路6の磁気ギャップ6G内に配置されている。そして、ボイスコイル52に音声信号が入力されると、ボイスコイル52a及びボイスコイルボビン52が軸線L方向に沿って振動し、振動板5を振動させる。これにより、第2のスピーカユニット20の音放射方向Pは軸線Lと平行な上向きの方向となる。ボイスコイル52aは、振動板のボイスコイルボビン52に接着剤等で固着されていてもよい。
【0034】
図において、「A」は振動板1の上端、「B」は振動板5の上端、「C」は振動板1の下端、「D」は振動板5の下端、「E」は磁石21の上端である。なお、各上端及び下端は図2乃至図4では線として現れているが、上端A、上端B、下端C、下端Dは、この線上の任意の点である。
【0035】
実施例のスピーカ装置は、開口13を有する振動板1と外磁型の磁気回路2とを具備する第1のスピーカユニット10と、開口13の径方向内側に設置された第2のスピーカユニット20とを備えている。そして、第1のスピーカユニット10の振動板1には、当該振動板1の外周側に、音放射方向Pとは反対側に凸となる折り返し部11が形成されている。折り返し部11は音放射方向Pとは反対側に凸となる形状(断面V字状)になっているので、軸線Lを含む面での断面二次モーメントが大きくなり、剛性を確保できる。
【0036】
また、図1に示すように、振動板1の平坦部12の外径は、磁気回路2の磁石21の外径よりも小さくなっている。さらに平坦部12は、第1のスピーカユニット10の音放射方向Pと垂直な平面を有している。したがって、振動板1の音放射方向の厚みを薄くすることができ、第1のスピーカユニット10自体の厚みを薄くすることができる。さらに、平坦部12の外側の折り返し部11は、磁石21の外径よりもさらに外側で音放射方向Pとは反対側に凸となっているので、この平坦部12の下の内部空間を広くとることができ、磁気回路2に外磁型を採用し、その磁石21として比較的大きな容積を有するフェライトのマグネットを採用することができる。したがって、十分な駆動力を得ながら、コストを低減できる。
【0037】
また、第2のスピーカユニット2は、第1のスピーカユニット10のボイスコイルボビン3の径方向内側に位置している。したがって、スピーカ装置の厚みを薄くすることができる。また、第1のスピーカユニット10が、磁石21の極と磁気的に結合したプレート22を備えていて、そのプレート22の外径が、振動板1の平坦部12の外径よりも小さくなっている。また、プレート22の外径が、磁石21の外径よりも小さくなっている。したがって、振動板1の音放射方向の厚みを薄くすることができ、第1のスピーカユニット10自体の厚みを薄くすることができる。
【0038】
第1のスピーカユニット10の磁気回路2の磁石21は円環状の形状で、第2のスピーカユニット20の磁気回路6の磁石61は円形である。そして、これらの磁石21,61が同軸に配置されている。
【0039】
また、実施例のスピーカ装置は、ボイスコイルボビン3と接続されている第1の振動板1を有する第1のスピーカユニット10と、ボイスコイルボビン3の径方向内側に設置された第2の振動板5を有し、第1のスピーカユニット10と音放射方向Pが略一致する第2のスピーカユニット20と、を備えている。そして、音放射方向Pを上、それとは反対の方向を下としたとき、図1に示すように、第1の振動板1の上端Aの位置が、第2の振動板5の上端Bの位置と略等しくなっている。したがって、第1の振動板1から放射される音波と、第2の振動板5から放射される音波の波の位相が揃い、良好な音響特性が得られる。
【0040】
また、図1に示すように、第1のスピーカユニット10の第1の振動板1の下端Cの位置が、第2のスピーカユニット20の第2の振動板5の下端Dの位置と略等しくなっている。さらに、第1の振動板1の上端Aから下端Cまでの長さが、第2の振動板5の上端Bから下端Dまでの長さと略等しくなっている。したがって、スピーカ装置の厚みを薄くすることができる。
【0041】
また、第2のスピーカユニット20は磁石61を含む磁気回路6を備えており、この磁石61は、第1のスピーカユニット10のボイスコイルボビン3の上端と下端との間に設置されている。したがって、スピーカ装置の厚みを薄くすることができる。
【0042】
第1のスピーカユニット10の第1の振動板1はその内周側に音放射方向Pと垂直な平面を有する平坦部12を備えており、この平坦部12は第2のスピーカユニット20の第2の振動板5の上端Bの位置と略等しくなっている。
【0043】
また、第1の振動板1はその外周側に音放射方向Pとは反対側に凸となる折り返し部11を備えており、この折り返し部11の下端Cの位置は、第2の振動板5の下端Dの位置と略等しくなっている。
【0044】
さらに、第1のスピーカユニット10は磁石21を含む磁気回路2を備えており、第1の振動板1の折り返し部11の下端Cが第1のスピーカユニット10の磁石21の上端Eより上に位置するようになっている。
【0045】
また、第2の振動板5は、ボイスコイルボビン52とコーン状振動部53とにより、音放射方向Pとは反対側に凸に形成された折り返し部5aを備えている。そして、第1の振動板1の折り返し部11、および、第2の振動板5の折り返し部5a、のそれぞれの下端C,Dの位置が略等くなっている。
【0046】
また、第1の振動板1が音放射側(音放射方向P側)に振動すると、第1の振動板1の上端Aの位置が、第2の振動板5の上端Bの位置より上方になり、第1の振動板1が音放射側の反対側(音放射方向Pとは反対側)に振動すると、第1の振動板1の上端Aの位置が、第2の振動板5の上端Bの位置より下方になる。
【0047】
また、図1に示すように、第1のスピーカユニット10の磁気回路2の磁石21の上下方向の厚さは、第1の振動板1の上端Aから下端Cまでの長さより大きくなっている。すなわち、薄型の振動板1に対して容積の大きな磁石21を用いている。
【0048】
以上の実施例では、第1のスピーカユニット10の振動板1が楕円形である例を説明したが、振動板の形状は、図5の変形例1のように円形(真円)でもよい。なお、以下の変形例1及び変形例2において前記実施例と同じ要素には同符号を付記する。また、その同じ要素の構造、作用効果は実施例と同様であるので重複する説明は省略する。
【0049】
この図5に示す変形例1におけるスピーカユニット30は円形の振動板1xを有している。なお、この変形例1のスピーカ装置の縦断面図は図1と同様である。振動板1xは、例えば紙や樹脂、または金属材料等により形成されており、この振動板1xにはエッジ部1xaの径方向内側に断面V字状に屈曲した折り返し部11xが形成されている。また、折り返し部11xの内周側から中心に向けて平面状の平坦部12xが形成されている。なお、平坦部12xの径方向内側に実施例と同様な前記開口13が形成されている。そして、エッジ部1xa、折り返し部11x及びその下端C、平坦部12xは、いずれも真円の形状である。磁気回路2及びボイスコイルボビン3は実施例と同じである。そして、この変形例1では、折り返し部11xの下端Cからなる円は磁気回路2の磁石21よりも大きな直径となっている。
【0050】
このように、第1のスピーカユニット30の磁気回路2の磁石21は、振動板1xの折り返し部11xの下端Cよりも径方向内側に設置されているので、磁石21と折り返し部11xとの干渉を考慮する必要がなく、スピーカ装置の厚みを薄くすることができる。
【0051】
また、第1のスピーカユニット30の振動板1xと、第2のスピーカユニット20の振動板5とが、ともに円形で同軸である。
【0052】
以上の実施例及び変形例1では、第2のスピーカユニット20のフレーム7が、第1のスピーカユニット10の磁気回路2のヨーク23の筒部23bの端部に係合しているが、第2のスピーカユニットと磁気回路2のヨーク23との関係は、図6の変形例2のようにしてもよい。
【0053】
この図6に示す変形例2では、第2のスピーカユニット40は、前記実施例と同様な磁気回路6を具備し、前記振動板5より径の小さな振動板5yと、前記フレーム7より径の小さなフレーム7yとを具備している。振動板5yは、ドーム状振動部51、ボイスコイルボビン52、コーン状振動部53を有するとともに、実施例の外周端部54より径の小さな外周端部54yを有している。振動板5yは、外周端部54yによりフレーム7yに支持されている。したがって、この変形例2の第2のスピーカユニット40は前記実施例の第2のスピーカユニット20より外径が小さくなっており、この第2のスピーカユニット40は第1のスピーカユニット10のヨーク23の筒部23a内に嵌合されている。このように、変形例2では、第1のスピーカユニット10における磁気回路2が、磁石21と磁気的に結合したヨーク23を備えていて、第2のスピーカユニット40が、第1のスピーカユニット10のヨーク23の内周よりも径方向内側に位置している。
【0054】
また、実施例及び変形例1,2のスピーカ装置は、図1及び図6に示すように、第1のスピーカユニット10の振動板1の上端Aから第1のスピーカユニット10の磁気回路2の下端(ヨーク23の下端)までの長さTWは10mm程度である。また、第1のスピーカユニット10の外径φは80mm程度である。
このように、長さTWと外径φとの比TW/φが、
0.1≦TW/φ≦0.2
となっている。
【0055】
なお、以上の実施例及び変形例1,2において振動板1,1x、振動板5,5yは、例えば紙や樹脂、または金属材料等により形成されているが、この金属材料としては、例えばアルミニウムやチタニウム、ジュラルミン、ベリリウム、マグウネシウム合金等を採用することができる。
【0056】
以上のように、実施例及び変形例1では、第1のスピーカユニット10の外磁型の磁気回路2の内周端部は、第2のスピーカユニット20の外周端部に連結している。すなわち、第1のスピーカユニット10の外磁型の磁気回路2が有するヨーク23の筒部23bは、外磁型の磁気回路2の内周端部を形成しており、第2のスピーカユニット20が有するフレーム7の外周端部7aは、第2のスピーカユニット20の外周端部を形成している。そして、筒部23bは、第2スピーカユニット20のフレーム7の外周端部7aに連結している。これにより、従来、いわゆる同軸スピーカで用いられているフェージングプラグ等が不必要となり、軽量化を図ることができる。
【0057】
また、実施例、変形例1及び変形例2において、第1のスピーカユニット10の外磁型の磁気回路2は、プレート22と、ヨーク23と、このプレート22とヨーク23との間に配置される磁石21(外側磁石)と、を備えている。また、第2のスピーカユニット20(40)の磁気回路6は、プレート62と、ヨーク63と、このプレート62とヨーク63との間に配置される磁石61(内側磁石)と、を備えており、この磁気回路6は内磁型の磁気回路を構成している。そして、音放射方向Pにおける、外磁型の磁気回路2の一部と内磁型の磁気回路6の一部は同じ高さにある。すなわち、外磁型の磁気回路2のプレート22及びヨーク23の筒部23bの一部は、内磁型の磁気回路6の磁石61の一部及びヨーク63の一部に対して同じ高さにある。
【0058】
図7は磁石61と磁石21の磁極の向きと磁束の流れの一例を示す図であり、同図では主要な符号だけを付してある。なお、図7は実施例及び変形例1の場合を示しているが、変形例2でも同様である。前記の構成に加えて、プレート62,22側における磁石61(外側磁石)及び磁石21(内側磁石)の磁極は同じになっており、ヨーク63,23側における磁石61(外磁石)及び磁石21(内側磁石)の磁極は同じになっている。すなわち、図7に矢印M1で示す磁石61の磁極の向きと、矢印M2で示す磁石21の磁極の向きが同じ方向となっている。なお、矢印N1は磁石61による磁束の流れの一例を示し、矢印N2は磁石21による磁束の流れの一例を示している。
【0059】
したがって、外側磁石と内側磁石の磁極の向きを正反対にすれば、互いに反発し合い、外磁型の磁気回路と内磁型の磁気回路を近付けて配置することが難しいが、実施例及び変形例1及び変形例2によれば、外磁型の磁気回路2と内磁型の磁気回路6を近付けて配置できる。さらに、磁気回路2,6の高効率化を図れる。
【0060】
また、図1及び図6に示すように、第2のスピーカユニット20(40)の内磁型の磁気回路6の底部(ヨーク63の底部63a)は、第1のスピーカユニット10の外磁型の磁気回路2の底部(ヨーク23の底部23a)より音放射側(音放射方向P側)に配置されており、前記内磁型の磁気回路6の底部と外磁型の磁気回路2とで囲まれる空間S内には、端子部Tが配置されている。これにより、端子部Tを配置するスペースを削減でき、スピーカ装置の薄型化を図れる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。上述の各図で示した実施例は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。例えば、第1のスピーカユニット10と第2のスピーカユニットが同軸でもよいし、軸が異なっていてもよい。振動板や磁気回路が円、楕円に限らず例えば多角形であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 第1のスピーカユニット
1 振動板(第1の振動板)
11 折り返し部
12 平坦部
13 開口
2 磁気回路
21 磁石
22 プレート
23 ヨーク
23a フランジ部(底部)
23b 筒部
2G 磁気ギャップ
3 ボイスコイルボビン
31 ボイスコイル
4 フレーム
20 第2のスピーカユニット
5 振動板(第2の振動板)
51 ドーム状振動部
52 ボイスコイルボビン
53 コーン状振動部
54 外周端部
6 磁気回路
6G 磁気ギャップ
61 磁石
62 プレート
63 ヨーク
63a 円盤部(底部)
63b 湾曲部
7 フレーム
30 第1のスピーカユニット
1x 振動板
11x 折り返し部
12x 平坦部
40 第2のスピーカユニット
5y 振動板(第2の振動板)
7y フレーム
P 音放射方向
A 第1の振動板の上端
B 第2の振動板の上端
C 第1の振動板の下端
D 第2の振動板の下端
E 磁石の上端
L 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7