(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉砕パルプ又は主として粉砕パルプからなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊層を有し、圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部を備えてなり、かつ、隣り合う前記繊維圧着部を跨ぐ粉砕パルプ繊維が存在するように前記繊維圧着部を形成させてなることを特徴とする、パルプ積繊シート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図7に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるパルプ積繊シート1は、一層又は二層以上の液透過性パルプ積繊層2からなり、典型的には、清掃用の非水解性の清浄用シートや身体清浄用の水解性の清浄用シート、トイレクリーナーなどの水解性の清浄用シートとして用いるのに適したものである。また、この実施の形態にかかる製造方法は、前記パルプ積繊シート1を合理的且つ適切に製造し得るものである。
【0014】
かかるパルプ積繊シート1は、粉砕パルプ5又は主として粉砕パルプ5からなる原料繊維と、バインダーと、を含有する液透過性パルプ積繊層2を有し、圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部2a、2a…を備えてなり、かつ、隣り合う前記繊維圧着部2a、2aを跨ぐ粉砕パルプ繊維2bが存在するように前記繊維圧着部2aを形成させてなる。
【0015】
前記液透過性パルプ積繊層2は、多数の繊維の集合体により構成されており、吸水性を有している。液透過性パルプ積繊層2は、パルプ等の天然繊維やレーヨン等の再生繊維、あるいは天然繊維と再生繊維の混合物等により形成することができる。パルプ以外の天然繊維としては、例えばケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を用いることができる。液透過性パルプ積繊層2は、厚さ方向における繊維の密集する度合いが異なるように構成されていることが好ましい。ここで粉砕パルプ5とは、紙材料等の原料となるパルプ材料を粉砕機等によって細かく粉砕して綿状にしたものをいう。粉砕パルプ5の原料としては、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができ、トイレットペーパー材料を用いることもできる。トイレットペーパー材料としては、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプを配合したものを用いることができるが、針葉樹晒クラフトパルプからなる原料パルプを用いることが製造上の観点から好ましい。針葉樹晒クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプに比べて繊維長が長いため、針葉樹晒クラフトパルプより得た粉砕パルプ5を用いて液透過性パルプ積繊層2を構成すると、繊維相互の絡み具合が高まり、その結果、強度が向上する。また繊維同士の絡み合いによる繊維間空間容積が、繊維長の短い広葉樹晒クラフトパルプ等を用いた場合より大きくなり、各繊維が動く自由度が大きくなるため、柔軟性も向上する。
【0016】
前記原料繊維が、粉砕パルプ5を主原料とする材料の場合には、粉砕パルプ5の配合割合が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。さらに、望ましくは、粉砕パルプ5の配合割合が80%以上であることが好ましく、100%が粉砕パルプ5で形成されていることがより好ましい。粉砕パルプ5は、パルプ材料を粉砕して綿状に形成したものであるから、繊維が圧縮された状態にある抄紙された紙に比べ、繊維間に無数の空間が形成されている。繊維間に無数の空間が形成されていると、液透過性パルプ積繊層2を構成している各繊維が動く自由度を大きくすることができる。このため粉砕パルプ5の配合を上記した割合にすることにより、より少ない目付量でも液透過性パルプ積繊層2の嵩高形成機能を大きくすることができる。この結果、全体としての柔軟性を向上させたり、製造時の生産効率を向上させることができる。
【0017】
なお、液透過性パルプ積繊層2の目付量は、80g/m
2以下であることが好ましく、また60g/m
2以下であることがより好ましい。液透過性パルプ積繊層2の目付量を上記した範囲にすることで、パルプ積繊シート1の製造及び梱包をしやすくすることができ、使用者が使用しやすく且つ梱包しやすい嵩高を有するように構成することができる。また、前記目付量を上記の範囲とすることで、繊維密度が大きくなりすぎることがなくなる。その結果、繊維間を接合するためのバインダーの量を少なくすることができる。このため、液透過性パルプ積繊層2の表面に多量のバインダーが付着して、この付着したバインダーがフィルム化して液透過性パルプ積繊層2の液透過性が低下することも防止でき、パルプ積繊シート1の全体的な吸水性を確保することができる。
【0018】
前記バインダーとしては、種々のものを用いることができる。本発明で用いることができるバインダーとしては、多糖誘導体、天然多糖類、合成高分子などが挙げられる。多糖誘導体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられる。天然多糖類としては、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、合成高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体やその塩等が挙げられ、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。上記したもののうち、特にカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールが、好ましい。
【0019】
上記バインダーが架橋されたものであると、パルプ積繊シート1の物理強度が向上されるため好ましい。バインダーを架橋する架橋剤は、バインダーと架橋反応を起こしてバインダーを架橋構造とし、それにより物理的強度を向上させるものである。架橋剤としては、カルボキシメチルセルロース等のカルボキシル基を有するバインダーを用いる場合には、多価金属イオンを用いることが好ましく、この多価金属イオンとしては、亜鉛、カルシウムやバリウム等のアルカリ土類金属、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の金属イオンが挙げられる。中でも、亜鉛、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅等のイオンが好適に用いられる。これらは十分な湿潤強度を付与する点において好ましい。上記した架橋剤としての多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の水溶性金属塩の形で用いられる。また、水溶性インダーとしてポリビニルアルコールを用いる場合、架橋剤としてはチタン化合物、ホウ素化合物、ジルコニウム化合物、ケイ素を含む化合物等を用いることができ、これらの化合物のうち、1種又は複数を混合して架橋剤として用いることもできる。チタン化合物としては、例えば乳酸チタン、チタントリエタノールアミネート等が挙げられ、ホウ素化合物としては、例えばホウ砂、ホウ酸等が挙げられる。またジルコニウム化合物としては、例えば炭酸ジルコニウムアンモニウム等が挙げられ、ケイ素を含む化合物としては、例えばケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
【0020】
かかるパルプ積繊シート1における前記バインダーの前記液透過性パルプ積繊層2に対する含有量は1〜20重量%であることが好ましい。この含有量が1重量%未満であるとパルプ積繊シート1の強度が不足し、一方、20重量%超であるとパルプ積繊シート1の柔軟性が低下する。
【0021】
かかるパルプ積繊シート1を構成する液透過性パルプ積繊層2は、圧縮・押圧により形成された複数の繊維圧着部2a、2a…を備えてなり、かつ、隣り合う前記繊維圧着部2a、2aを跨ぐ粉砕パルプ繊維2bが存在するように前記繊維圧着部2aを形成させてなることから、パルプ積繊シート1の形状は安定的に維持され、また、適正な強度を持ったものとなり、その一方で、適度な柔軟性を備える。前記バインダーをカルボキシメチルセルロースのような水溶性バインダーとすれば、かかるパルプ積繊シート1は良好な水解性を持った水解性パルプ積繊シートとなる。また、前記バインダーをポリビニルアルコールとした場合は、条件に応じて良好な水解性を持った水解性パルプ積繊シートとすることも、非水解パルプ積繊シートとすることもできる。尚、本発明において水解とは、紙を構成する繊維間の接着力が、ドライの状態ではその成形加工及び拭く等の機能に必要なだけの強度を最低限有するが、水中に投棄された場合のように、水に著しく浸された状態では、その接着力が極端に低下し、何らかの外力を与えると容易に分解ないし分散することをいう。さらに、本発明において非水解とは、紙を構成する繊維間の接着力が、ドライの状態ではその成形加工及び拭く等の機能に必要なだけの強度を最低限有し、水に著しく浸されたウエットの状態においても、何らかの外力を与えても容易には分散等をしないことをいう。
【0022】
すなわち、かかるパルプ積繊シート1は、抄紙工程を経ることなく製造されると共に、抄紙されたシートとの積層体としなくても形状が維持され且つ適正な強度を持つ。
【0023】
図1及び
図2にかかるパルプ積繊シート1の概要構成を示す。パルプ積繊シート1は、複数の細かな凹状をなす前記繊維圧着部2aを散点的に備えている。隣り合う繊維圧着部2a間の距離、粉砕パルプ繊維2bの繊維長は、隣り合う前記繊維圧着部2a、2aを跨ぐ粉砕パルプ繊維2bが存在するように調整される。粉砕パルプ繊維2bは、三箇所以上の前記繊維圧着部2aを跨ぐようになっていても良い。前記圧縮・押圧部は、エンボス加工により形成させることが好ましい。前記繊維圧着部2aは、複数備えられていれば足り、その形態は必要に応じて適宜変更して構わない。
図3に示される例では、かかる繊維圧着部2aは、パルプ積繊シート1では、凹状をなす前記繊維圧着部2aは線状のものとなっている。
【0024】
かかるパルプ積繊シート1、清浄用液体を含浸させ、湿潤状態としておけば、乳幼児の身体拭きや、トイレクリーナーや、その他の清浄用シートとして利用可能なものとなる。
【0025】
次いで、前記製造方法は、粉砕パルプ5又は主として粉砕パルプ5からなる原料繊維を、吸引によりメッシュ体上に積繊させて積繊体を形成する積繊工程と、
得られた積繊体を、圧縮・押圧することにより、この積繊体に複数の繊維圧着部2aを、隣り合う繊維圧着部2aを跨ぐ粉砕パルプ繊維2bが存在するように形成する圧着・押圧工程と、
前記積繊体の、少なくとも一方の面にバインダーを塗布する、バインダー塗布工程と、
前記バインダー塗布工程の後に前記積繊体を乾燥させて液透過性パルプ積繊層2とする乾燥工程と、を有するものである。
【0026】
図4にかかる製造方法の概要構成を示す。図中符号3は前記原料繊維となるパルプ材料の原反であり、図中符号4は生成されたパルプ積繊シート1の巻き取り体である。
【0027】
(1)前記パルプ材料は、先ず、粉砕装置6に送られ粉砕パルプ5となる。符号6aはかかる粉砕装置6を構成する固定刃であり、符号6bはかかる粉砕装置6を構成する回転刃である。
【0028】
(2)前記粉砕パルプ5は、積繊装置7において、最終的には前記パルプ積繊シート1となる積繊体となる。積繊装置7は、粉砕パルプ5を受ける前記メッシュ体としてのメッシュ状をなすコンベヤベルト7aの上面にコンベヤベルト7aの内方を負圧にすることで粉砕パルプ5が吸着されるように構成されている。
【0029】
(3)この実施の形態にあっては、前記積繊体に対して、前記圧着・押圧工程の前に、更に、平面ロール8による押圧を行っている。図示の例では、前記積繊装置7を構成するコンベヤベルト7aの荷下ろし端7bの上方にこの荷下ろし端7bとの間で前記積繊体を挟み込む平面ロール8が配されている。これにより、この実施の形態にあっては、前記圧着・押圧工程における後述のエンボスロール9に付着し難いシート状にした態様で、前記積繊体を送り込むようになっている。
【0030】
(4)この実施の形態にあっては、前記積繊体に対する前記圧着・押圧工程は、エンボスロールを用いたエンボス加工によるものとなっている。図示の例では、前記積繊体は、上下一対のエンボスロール9、9間に送り込まれ、これにより、前記液透過性パルプ積繊層2に複数の繊維圧着部2aを、隣り合う繊維圧着部2a、2aを跨ぐ粉砕パルプ繊維2bが存在するように形成される。エンボスロールとしては、ロール周面にエンボス加工用の多数の突起を突設してなる従来公知のものを用いることができる。この時の液透過性パルプ積繊層2は非湿潤状態であり、エンボス加工は、非湿潤状態にある積繊層に対して施される。ここにおいて、非湿潤状態とは、液透過性パルプ積繊層2に水を吹き付ける等して液透過性パルプ積繊層2に水分を供給した態様を含まないという意味である。通常、紙材料は、気温、湿度条件に相応した湿気(水分)を含んでいるが、この湿気(水分)は外部から積極的に供給した水分ではないから、このような湿気(水分)を含んでいても非湿潤状態に相当する。したがって、気温、湿度条件によって積繊層に含まれる湿気(水分)の含有率も変化するが、その含有率がどのような数値であろうとも、非湿潤状態に相当するものといえる。
【0031】
(5)前記圧着・押圧工程を経た前記積繊体に対して、図示の例では、この積繊体を上面に積繊(載置)して搬送するコンベヤ10上よりこの積繊体の一面にバインダーを供給した後、この積繊体を縦向きに搬送するコンベヤ11の側方よりこの積繊体の他面にバインダーを供給して、前記積繊体の両面にバインダーを塗布している。かかるバインダーは、前記積繊体の片面にのみ塗布する場合もある。バインダーの供給は、典型的には、噴霧装置のノズル12からバインダーの溶液を噴霧することにより行われる。噴霧に用いる噴霧ノズル12は、従来から公知のものを任意に選択して用いてよい。バインダーの前記供給は噴霧に限定されるものではなく、グラビア印刷機やフレキソ印刷機などのロール状の塗布装置などによる塗布などの他の公知の方法を用いてもよい。架橋剤はバインダーと同時に供給することができるが、架橋剤はバインダーとともに供給する場合に限らず、製造工程中の任意の箇所で供給、添加することができる。
【0032】
(6)前記バインダーを塗布された前記積繊体は、乾燥装置13に送られ、乾燥される。かかる乾燥は、電磁波乾燥により行なうことが好ましい。前記圧着・押圧工程により複数の繊維圧着部2aが形成された前記積繊体にバインダーを塗布した状態において乾燥に時間を要すると前記繊維圧着部2aの形状が失われ易くなるからである。なお、かかる乾燥は、熱風乾燥や赤外線乾燥等、従来から公知の方法を任意に選択して用いてもよい。また、かかる乾燥は、1つの乾燥装置により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥装置を設置して、順次、各乾燥装置に液透過性パルプ積繊層2を送りながら乾燥するようにしてもよい。
【0033】
この実施の形態にあっては、前記積繊体に対し、バインダーの塗布後にこれを乾燥し続いてエンボス加工をなすのではなく、エンボス加工後にバインダーを塗布しこれに続き乾燥を施している。エンボス加工前にバインダーを塗布するとエンボス加工時に積繊体を構成する繊維に少なからずダメージを与えると共に、積繊体の表面に形成されたバインダーの表面層にも少なからずダメージを与えるところ、この実施の形態にあっては積繊体、ひいてはこれから生成される清浄用シート1にこのようなダメージを生じさせない特長を有している。
【0034】
(7)また、この実施の形態にあっては、前記乾燥後、前記積繊体の搬送方向に沿った両縁部をそれぞれこの搬送方向に沿って直線状に切断して前記積繊体より生成されるパルプ積繊シート1の形状を整えている。図示の例では、上下一対のスリッターロール14、14間に前記積繊体を送り込むことで前記切断をしている。
【0035】
(8)以上のように生成されるパルプ積繊シート1には、必要に応じて折り畳みが施される。また、以上のように生成されたパルプ積繊シート1に薬液を含浸させることで、これを乳幼児の身体拭きや、トイレクリーナーやその他の清浄用物品などとして利用可能なものとすることができる。
【0036】
次に
図5〜
図7を用いて第2実施形態のエアレイド方式によるパルプ積繊シート101の製造方法について説明する。ここで、第2実施形態において、パルプ積繊シート101の原料(材料)、目付量、適用可能なバインダーおよび架橋剤、乾燥方式などは、上述の実施形態を適宜適用することができるので、重複する説明は省略する。なお、
図5では、図面の複雑化を避けるために、パルプ積繊シート101は製造ライン100の最終部分においてのみ符号を付し、それ以外では図示省略している。同様に、パルプ繊維103の図示も省略する。
【0037】
図5は、第2実施形態のパルプ積繊シート101の製造ライン100の概要図を示す図である。この製造ライン100の製造工程は、大きく分けて、粉砕前工程、粉砕工程、積繊工程、押圧工程、バインダー塗布工程、乾燥工程を有している。
【0038】
粉砕前工程は、液体供給工程と、パルプ検出工程とを有している。液体供給工程は、パルプ繊維103に対して液体供給装置104により液体を供給する工程である。また、パルプ検出工程は、パルプ検出装置105によりパルプ繊維103が製造ライン100に供給されているかどうかを検出する工程である。なお、パルプ繊維103の幅(y方向の長さ)は、900mm〜1800mm程度であり、その幅に合わせて製造ライン100が設計・製造される。
【0039】
図6は、液体供給工程と、パルプ検出工程との概要図である。
図6に示してあるように、液体供給装置104は、液体供給工程において、搬送されてきたパルプ繊維103の中央領域104aに液体を供給する。後述するようにパルプ繊維103はメッシュに積繊されて搬送されるための静電気が帯電する虞がある。また、この製造ライン100により製造されたパルプ積繊シート101は、排泄物を吸収する吸収体として使用される場合がある。このため、液体供給装置104が供給する液体としては、静電気の帯電防止用として、エタノール、メタノール、2−プロパノール(IPA)などの溶液や、水を用いてもよい。また、液体供給装置104が供給する液体としては、排泄物の消臭用として、活性炭;ゼオライト;シリカ;セラミック;大谷石;木炭高分子;カーボンナノチューブ;カーボンナノホーン;クエン酸、コハク酸等の有機酸、ミョウバン(カリウムミョウバン)を用いることができる。
【0040】
なお、
図5では、液体供給装置104を1つユニットとして図示しているが、静電気の帯電防止用や、消臭用などのように用途に合わせて複数設けるようにしてもよい。また、中央領域104aではなく、
図5のY方向にずらした領域を液体供給領域としてもよい。本実施形態においては、パルプ繊維103のY方向全体ではなく、中央領域104aといった部分領域を液体供給領域としている。これは、パルプ繊維103は、後述の粉砕工程において綿状に粉砕されるため、この粉砕により粉砕されたパルプ繊維103のほぼ全体に上述した液体が供給されるからである。これにより、液体供給装置104による過度な液体供給を防ぐことができ、パルプ積繊シート101の製造コストを抑制することができる。一例として、中央領域104aのY方向の長さはパルプ繊維103の幅の10%から50%程度とし、X方向の長さはY方向の長さと同じでもよく、Y方向の長さより短くてもよい(25%〜75%程度)。なお、
図6では中央領域104aは矩形状としているが円形でもよく、楕円形でもよい。
【0041】
また、液体供給装置104は、製造ライン100の湿度に応じて静電気の帯電防止用の液体の供給量を調整してもよい。具体的には、液体供給装置104は、製造ライン100が設置されている室内が乾燥している場合(例えば湿度50%以下の場合)には、製造ライン100が設置されている室内が乾燥していない場合(例えば湿度65%以上の場合)に比べて、帯電防止用の液体の供給量を増やせばよい。すなわち、液体供給装置104は、湿度の低下に応じて、帯電防止用の液体の供給量を増やせばよい。
【0042】
同様に、液体供給装置104は、パルプ積繊シート101の用途に応じて、消臭用液体の供給量を変えればよい。具体的には、液体供給装置104は、前述の吸収体では消臭用液体の供給量を多くし、外装体に使用する場合には消臭用液体の供給量を少なくすればいい。なお、消臭用液体は、金属を溶解した液体を用いることがある。このため、液体供給装置104は、パルプ積繊シート101が肌面となる場合(肌に接触する場合)、消臭用液体の供給を停止するようにしている。
【0043】
粉砕前工程のもう1つは、パルプ繊維103が搬送されているかどうかを検出するパルプ検出工程である。これは、ロール状のパルプ繊維103がすべて搬送されてしまい、パルプ繊維103が搬送されていない状態を検出するものである。パルプ検出装置105は、検出光105aを下方に照射し、パルプ繊維103からの反射光を不図示の検出部で検出した場合にパルプ繊維が搬送されていると検出する。パルプ検出装置105は、前述の反射光が不図示の検出部で検出できない場合にパルプ繊維が検出されていないとし、音声や発光などにより警告を行うものとする。
【0044】
製造ライン100では、粉砕前工程に引き続き粉砕工程にて粉砕装置106を用いて、パルプ繊維103の粉砕が行われる。粉砕装置106は、一次粉砕部と、二次粉砕部とを有し、一次粉砕部によりパルプ繊維103をチップ状に粉砕し、二次粉砕部によりチップ状に粉砕されたパルプ繊維103を綿状に粉砕する。なお、粉砕工程では、粉砕されたパルプ繊維103の散乱を避けるため、一次粉砕部と二次粉砕部ともケースなどにより収納されている。また、本第2実施形態においては、粉砕パルプを100%とすることが望ましいが、複合繊維(ES繊維)を混ぜ合わせても構わない。また、一次粉砕部により綿状まで粉砕してもよく、この場合、二次粉砕部を省略してもよい。
【0045】
製造ライン100では、粉砕工程に引き続き積繊工程にて積繊装置107を用いて綿状のパルプ繊維103が積繊される。綿状のパルプ繊維103は、高圧エアなどにより配管108を通過して3つのタンク107a、107b、107cに蓄えられる。なお、タンクの数は3つに限定されるものではない。なお、積繊工程においても綿状のパルプ繊維103の散乱(拡散)を防止するため、散乱防止用カバーが設けられている。これにより、製造ライン100の作業者がパルプ繊維103を吸い込むことが低減される。また、本第2実施形態において、粉砕されたパルプ繊維103の平均繊維長は、一例として1mm〜3mm程度であるものとする。
【0046】
3つのタンク107a、107b、107cに蓄えられた綿状のパルプ繊維103は、下側搬送用メッシュ109上に積繊される。下側搬送用メッシュ109は、網目形状であり、その材料として高分子化合物を用いることができ、ポリテトラフルオロエチレンなどの合成樹脂(熱可塑性樹脂)や、ナイロン、PETなどの合成繊維を用いることができる。下側搬送用メッシュ109としては、1インチ×1インチにメッシュが30〜50ある30番手〜50番手を用いることができ、本第2実施形態では、40番(例えば0.5mm×0.5mm)のメッシュとするとするがこれに限定されるものではない。
【0047】
下側搬送用メッシュ109は、不図示の駆動源からの駆動力により積繊した綿状のパルプ繊維103を図中のX方向に搬送する。なお、下側搬送用メッシュ109は、4つのロール110により所定の駆動範囲(積繊工程から平ロール112による押圧工程)で繰り返し綿状のパルプ繊維103を搬送している。
【0048】
下側搬送用メッシュ109の下方には、真空装置111が配置されている。真空装置111は、網目形状の搬送用メッシュ109を介して綿状のパルプ繊維103を吸着するものである。
【0049】
図7は、積繊される綿状のパルプ繊維103を示す概要図である。
図7(a)に示してあるように、タンク107aから搬送用メッシュ109に積繊される綿状のパルプ繊維103は、積繊時間の長い右側で多くなり(高くなり)、左側に行くに連れて積繊時間が短くなるため、少なくなる(低くなる)。しかしながら、積繊量が多くなるに連れて真空装置111による吸着力が弱くなる。逆に言えば、積載量が少ない部分では真空装置111による吸着力が弱くなりにくい。
【0050】
このため、
図7(b)に示してあるように、タンク107bから搬送用メッシュ109に積繊される綿状のパルプ繊維103の積繊量は、搬送用メッシュ109の位置によらずその差が少なくなってくる。そして、
図7(c)に示してあるように、タンク107cから搬送用メッシュ109に積繊される綿状のパルプ繊維103の積繊量は、搬送用メッシュ109の位置によらずほぼ均等になってくる。このように、真空装置111の吸着力の変化を利用することにより、搬送用メッシュ109に積繊される綿状のパルプ繊維103の積載量をほぼ均一にすることができる。なお、綿状のパルプ繊維103の積載量に場所によるムラがでる場合には、不図示の真空吸着ポートの位置をずらしたり、この真空吸着ポートの数を変えたりして調整すればよい。
【0051】
また、搬送用メッシュ109の真上では、真空装置111に近く強い吸着力が作用するため、綿状のパルプ繊維103が密に積繊される一方、搬送用メッシュ109から離れるに連れ(+Z方向に離れるに連れ)真空装置111による吸着力が弱くなり綿状のパルプ繊維103が疎となる。製造ライン100で製造されたパルプ積繊シート101を製品にする際に、フローリングシートや、トイレクリーナーなどの清掃製品であれば、綿状のパルプ繊維103が密の面に薬液を塗布することにより、汚れをしっかりと落とすことができる。一方、ボディシートやフェイスシートなどの肌に使用する製品であれば、綿状のパルプ繊維103が疎の面に薬液を塗布することにより、肌触りのよい肌用製品を提供することができる。
【0052】
製造ライン100では、積繊工程に引き続き押圧工程にて複数の押圧装置を用いて積載された綿状のパルプ繊維103が押圧される。本第2実施形態において、押圧工程は、後述の第1バインダー塗布工程までに押圧を行う第1押圧工程と、後述の第1乾燥後と後述の第2バインダー塗布工程までに押圧を行う第2押圧工程とかを有する。平ロール112は、一対のロール部材を有し、積繊された綿状のパルプ繊維103を押圧して、その嵩高を調整するものである。本第2実施形態において、平ロール112には4Kgf/cm
2の圧力がかけられている。これにより、パルプ繊維103の下面(下側搬送用メッシュ109と接する面)には、下側搬送用メッシュ109のメッシュ形状の凹凸が形成される。平ロール112の圧力は2Kgf/cm
2〜8Kgf/cm
2の間で設定すればよく、パルプ積繊シート101を用いた製品の用途や、水解性の製品か非水解の製品かに応じて圧力を設定すればよい。
【0053】
前述したように、下側搬送用メッシュ109のメッシュは40番(例えば0.5mm×0.5mm)であり、メッシュ形状の凹凸は、0.5mm間隔で形成される。これに対して、粉砕されたパルプ繊維103の平均繊維長は、1mm〜3mm程度であるため、粉砕されたパルプ繊維103は、メッシュ形状の凹凸を跨ぐこととなる。
【0054】
パルプ繊維103にメッシュ形状を残したくない場合は平ロール112の圧力は2Kgf/cm
2未満に設定すればよく、下側搬送用メッシュ109の耐圧性があれば8Kgf/cm
2以上の圧力をかけてパルプ繊維103にメッシュ形状を形成しても構わない。なお、この平ロール112の前後に液体供給装置104を設けて、静電気の帯電防止用と消臭用との少なくとも一方の液体を供給するようにしてもよい。また、平ロール112を構成する一対のロール部材の少なくとも一方を凹凸形状のエンボスとしてもよい。
【0055】
本第2実施形態において、下側搬送用メッシュ109は、平ロール112の押圧工程までパルプ繊維103を搬送する。平ロール116の押圧工程までは、上側搬送用メッシュ113、真空装置115を利用してパルプ繊維103を搬送する。具体的には、上側搬送用メッシュ113の搬送面の上側に設けられた真空装置115がパルプ繊維103の上面と接触する上側搬送用メッシュ113を介して平ロール112に押圧されたパルプ繊維103の上面を真空吸着する。この状態で、不図示の駆動源からの駆動力によりパルプ繊維103を図中のX方向に搬送する。なお、搬送用メッシュ113は、4つのロール114により所定の駆動範囲(平ロール116の押圧工程)で繰り返しパルプ繊維103を搬送している。
【0056】
平ロール116は、一対のロール部材を有し、平ロール112を通過したパルプ繊維103を押圧して、その嵩高を調整したり、上側搬送用メッシュ113のメッシュ形状をパルプ繊維103の上面(上側搬送用メッシュ113と接する面)に形成したりする。上側搬送用メッシュ113も下側搬送用メッシュ109と同じ40番のメッシュとする。なお、平ロール116の圧力も2Kgf/cm
2〜8Kgf/cm
2の間で設定されている。平ロール112、平ロール116による複数回の押圧により、パルプ繊維103を柔軟にすることができる。
【0057】
エンボス117は、平ロール116の下側のロールと協働して、平ロール116を通過したパルプ繊維103にエンボス加工を施すものであり、本第2実施形態においては波目形状のエンボスとしているが、その形状はどのような形でもよい。また、エンボス117を複数設けて、エンボス加工を複数回行ってもよい。この場合、同じ形状のエンボスでもよく、異なる形状のエンボスでもよい。また、本第2実施形態では、エンボス117の圧力は、平ロール112、116で設定された圧力よりも高い圧力で設定されており、例えば、4Kgf/cm
2〜10Kgf/cm
2の間で設定されている。なお、パルプ積繊シート101を用いた製品の用途や、水解性の製品か非水解の製品かに応じて、エンボス加工を行う回数を設定してもよく、エンボス加工を行わなくてもいい。エンボス加工を行わない場合には、一対のロール部材の間隔をパルプ積繊シート101のZ方向の厚さよりも大きくしておけばよい。なお、
図5から明らかなように、エンボス加工時にパルプ繊維103は搬送メッシュを介在させていない。これは、エンボス加工により搬送メッシュが破損されるのを避けるためである。平ロール116の下側のロールとの協働に代えて、後述の下側搬送用メッシュ118と、エンボス117との協働によりパルプ繊維103にエンボス加工を行うようにしてもよい。この場合はエンボス117の位置を
図5中のプラスX方向にシフトして、エンボス117と下側搬送用メッシュ118とが対向するようにすればいい。また、エンボス117に代えて平ロールと下側搬送用メッシュ118とにより、パルプ繊維103を押圧してもよい。
【0058】
なお、本第2実施形態においては、液体供給装置104によりパルプ繊維103に液体を供給しているが、本第2実施形態では押圧工程までにパルプ繊維103が非湿潤であればよく、例えば、押圧工程時にパルプ繊維103の水分含有量15%未満程度であればよく、メッシュによる搬送にて静電気の影響を受けない程度であればよい。このため、本第2実施形態においては、押圧工程時にパルプ繊維103の水分含有量15%未満程度であれば非湿潤状態に相当するものといえる。
【0059】
また、第1押圧工程において、平ロール112、116、エンボス117を60℃から150℃程度の範囲で加熱し、パルプ繊維103の温度が40℃から70℃程度にして、後述のバインダー工程において、バインダーがパルプ繊維103に浸透しやすいようにすれば、バインダーの塗布量を低減でき、製造コストを安くすることができる。なお、パルプ繊維103の温度がバインダーの溶解温度(例えば40℃〜60℃)と同じ温度になるように、平ロール112、116、エンボス117を加熱してもよい。
【0060】
製造ライン100では、押圧工程に引き続きバインダー塗布工程にてパルプ繊維103にバインダーが塗布され、上述の実施形態で説明した液透過性パルプ積繊層が形成される。本第2実施形態においては、バインダー塗布工程は、第1バインダー塗布工程と第2バインダー塗布工程とを有し、第1バインダー塗布工程と第2バインダー塗布工程との間に後述の第1乾燥工程が入る。ここでは、第1バインダー塗布工程につき説明を行う。
【0061】
第1バインダー塗布工程は、パルプ繊維103の上面に対して、パルプ繊維103の上方に配置され、パルプ繊維103に対向する複数のノズルを有する第1塗布装置121によりバインダーを塗布するものである。パルプ繊維103は、網目形状の下側搬送用メッシュ118上に載せられるとともに、下側搬送用メッシュ118の下方に設けられた真空装置120により−Z方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。下側搬送用メッシュ118のメッシュは、下側搬送用メッシュ109、上側搬送用メッシュ113よりも粗いメッシュでよく、10番手〜30番手を用いることができ、本第2実施形態では、16番(例えば1.0mm×1.0mm)のメッシュとする。なお、下側搬送用メッシュ118は、4つのロール119により所定の駆動範囲(第1バインダー塗布工程)で繰り返しパルプ繊維103を搬送している。
【0062】
すなわち、第1バインダー塗布工程は、パルプ繊維103に上面に対して第1塗布装置121により上側(+Z方向)から下側(−Z方向)に向けてバインダーを塗布するとともに、真空装置120によりパルプ繊維103の下面に対して下側(−Z方向)に吸着している。
【0063】
パルプ繊維103の上面に塗布(噴霧)されるバインダーとしては、前述の実施形態で挙げたバインダーのいずれを用いてもよいが、本第2実施形態においては、水解性の製品に用いられるパルプ繊維103の場合にはCMCを塗布し、非水解の製品に用いられるパルプ繊維103の場合にはEVAを用いるものとする。なお、前述したように、パルプ繊維103の上面側は、パルプ繊維103の下面側に比べて綿状のパルプ繊維103が疎であるため、バインダーが浸透しやすい。このため、パルプ繊維103の上面に塗布(噴霧)されるバインダーがパルプ繊維103の上面に残留する虞を低減することができる。
【0064】
製造ライン100では、第1バインダー塗布工程に引き続き乾燥工程の一つである第1乾燥工程が行われる。第1乾燥工程は、網目形状の下側搬送用メッシュ122上に載せられたパルプ繊維103に対して、第1乾燥装置124により、矢印で示してあるようにパルプ繊維103の上面側から電磁波乾燥が行われる。なお、第1乾燥装置124として、前述の実施形態で挙げた熱風乾燥や、赤外線乾燥を用いても構わない。また、下側搬送用メッシュ122は、下側搬送用メッシュ122の搬送面の下方に位置する真空装置125によりパルプ繊維103を吸着した状態で4つのロール123(2つのみ図示)により所定の駆動範囲(第1乾燥工程)で繰り返しパルプ繊維103を搬送している。下側搬送用メッシュ122は、10番手〜30番手を用いることができ、本第2実施形態では、22番(例えば0.7mm×0.7mm)のメッシュとする。
【0065】
エンボス117によるエンボス加工に引き続き、第1バインダー塗布工程および第1乾燥工程を行うことにより、パルプ繊維103に形成されたエンボス形状が保たれやすくなる。
【0066】
製造ライン100では、第1乾燥工程に引き続き第2押圧工程が行われる。第2押圧工程は、エンボス126により行われる。エンボス126は、一対のロール部材を有し、エンボス117と同様に波目形状のエンボスとしているが、その形状はどのような形でもよい。また、エンボス126を複数設けて、エンボス加工を複数回行ってもよい。この場合、同じ形状のエンボスでもよく、異なる形状のエンボスでもよい。また、エンボス126の圧力もエンボス117と同様に設定することができる。また、
図5から明らかなように、エンボス126においても、エンボス加工時にパルプ繊維103は搬送メッシュを介在させていないが、搬送メッシュを介在させてもよい。なお、エンボス126は、製造ライン100に設けなくても構わない。この場合、エンボス126に代えて平ロールを設けてもいい。また、エンボス126を設ける場合に、平ロールを併用するようにしてもよい。
【0067】
エンボス126の一対のエンボスは、前述したように加熱しておくことが望ましい。なお、第2押圧加工も、後述の第2バインダー塗布工程および第2乾燥工程に先立って行われるので、パルプ繊維103に形成されたエンボス形状が保たれやすくなる。なお、第2押圧加工を省略してもよく、エンボス126自体を省略してもよく、前述のように一対のロール部材の間隔をパルプ積繊シート101のZ方向の厚さよりも大きくしておけばよい。
【0068】
製造ライン100では、第2押圧工程に引き続き第2バインダー塗布工程が行われる。第2バインダー塗布工程は、パルプ繊維103の下面に対して、パルプ繊維103の下方に配置され、パルプ繊維103に対向する複数のノズルを有する第2塗布装置130によりバインダーを塗布するものである。パルプ繊維103は、パルプ繊維103と接触する網目形状の上側搬送用メッシュ127を介して真空装置129により+Z方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。なお、上側搬送用メッシュ127は、4つのロール128により所定の駆動範囲(第2バインダー塗布工程)で繰り返しパルプ繊維103を搬送している。上側搬送用メッシュ127の番手は、下側搬送用メッシュ118の番手と同じ番手にすればよい。
【0069】
すなわち、第2バインダー塗布工程は、パルプ繊維103に下面に対して第2塗布装置130により下側(−Z方向)から上側(+Z方向)に向けてバインダーを塗布するとともに、真空装置129によりパルプ繊維103の上面に対して上側(+Z方向)に吸着している。
【0070】
第2バインダー塗布工程で塗布されるバインダーは第1バインダー塗布工程で塗布されるバインダーと同じである。第2バインダー塗布工程では、パルプ繊維103の下面に対して、パルプ繊維103の下方に位置する複数のノズルからバインダーを塗布するので、パルプ繊維103に浸透しなかったバインダーはパルプ繊維103に残留することなく落ちていくので、バインダー塗布ムラが生じることがない。このため、後述の第2乾燥工程を経た後のパルプ積繊シート101の強度ムラや乾燥ムラを低減することができる。
【0071】
また、第1、第2バインダー塗布工程では、パルプ繊維103を反転することなく、パルプ繊維103の上面および下面にバインダーを塗布している。このため、製造ライン100の複雑化を避けることができるとともに、パルプ繊維103の搬送を高速化することができる。
【0072】
第1、第2バインダー塗布工程において、バインダーの拡散防止ようのカバーを取り付けて閉鎖空間を形成するとともに、パルプ繊維103に塗布されなかったバインダーをポンプなどにより回収し、再度、第1塗布装置121、第2塗布装置130に供給すれば、バインダーの使用量を低減でき、パルプ積繊シート101製造コストを低減することができる。
【0073】
製造ライン100では、第2バインダー塗布工程に引き続き乾燥工程のもう一つである第2乾燥工程が行われる。第2乾燥工程において、パルプ繊維103は、パルプ繊維103の上面に接触する網目形状の上側搬送用メッシュ131を介して、上側搬送用メッシュ131の搬送面の上方に配置された真空装置132により+Z方向に吸着された状態で、X方向に搬送される。第2乾燥工程において、第2乾燥装置133は、矢印で示すように、パルプ繊維103の下面側から電磁波乾燥が行われる。なお、前述の実施形態で挙げた熱風乾燥や、赤外線乾燥を用いても構わない。
【0074】
なお、上側搬送用メッシュ131は、前述したように真空装置132によりパルプ繊維103を吸着した状態で4つのロール134(2つのみ図示)により所定の駆動範囲(第2乾燥工程)で繰り返しパルプ繊維103を搬送している。上側搬送用メッシュ131の番手は、下側搬送用メッシュ122番手と同じ番手にすればよい。
また、第2乾燥工程後にエンボス加工を行うようにしてもよい。
【0075】
製造ライン100では、第2乾燥工程を経てパルプ積繊シート101となり、このパルプ積繊シート101は搬送ロール135により搬送され、2つの巻取りロール136、137により巻き取られる。
上述したように、第2実施形態においても、抄紙工程を経ることなくパルプ積繊シート101が製造される。なお、下側搬送用メッシュ109および上側搬送用メッシュ113の番手に基づいて、メッシュを跨ぐような平均繊維長になるように粉砕工程を設定するようにしてもよい。
【0076】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。