(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0035】
図は、変形可能な基板3と、湾曲した支持構造7と、変形可能な基板3が変形した場合でも湾曲した支持構造7が同じように変形しないように、前記湾曲した支持構造7を変形可能な基板3から間隔をおいて配置するように構成された少なくとも1つの支持体6と、オーバーレイ電極33に容量結合された突出電極21、23を備えた容量センサー31と、を備えた装置1において、突出電極21、23は湾曲した支持構造7の1つの側から突出している、装置1を例示している。
【0036】
装置1は、伸縮可能および/または変形可能な電子デバイス中に提供することができる。装置1は電子デバイスの変形を検知するためのものであり得る。容量センサー31は、突出電極21、23とオーバーレイ電極33の間のキャパンタンスの変動が電子デバイスの変形の標示を提供するように構成可能である。
【0037】
図1は、本開示の一実施例に係る装置1を概略的に示す。
図1に示された装置1は、変形可能な基板3、少なくとも1つの支持体5および湾曲した支持構造7を備える。以下の説明に関連する特徴だけが、
図1に示されている。他の実施例には、他の特徴を内含させることができるということを認識すべきである。例えば、装置1は、センサー・デバイス、医学または生物学的検知デバイス、ウェアラブル電子デバイス、セルラー移動電話、または他の任意の好適な電子デバイスなどの変形可能な電子デバイス中に内蔵されるように構成され得る。
【0038】
図1に示された実施例において、変形可能な基板3は、平面状表面9を備える。
図1の実施例では、平面状表面9は平坦であるかまたは実質的に平坦である。他の実施例において、変形可能な基板3は異なる形状を有することができる。例えば、この基板は湾曲することができおよび/または変形可能な基板3の表面9は平坦である必要はない。
【0039】
変形可能な基板3の平衡形は、
図1に示された平坦な構成であり得る。平衡形とは、装置1のユーザーが全く外力を加えない場合に変形可能な基板3がとる位置および形状である。他の実施例において、変形可能な基板3は異なる平衡形を有することができ、例えば、平衡形は、屈曲または湾曲されている変形可能な基板3の少なくとも一部分を含むことができる。いくつかの実施例において、変形可能な基板3は平坦部分と湾曲部分の両方を含むことができる。
【0040】
変形可能な基板3は、装置1に加えられる物理的力に応答して形状を変えるように構成され得る少なくとも1つのユーザー変形可能部分を含むことができる。物理的力は、装置1のユーザーが加えることができる。形状変化は、屈曲、折畳み、捩り、延伸、圧縮、せん断または、変形可能な基板3の一部分の他の任意の好適な変形を含むことができる。いくつかの実施例において、変形可能な基板3を、装置1に加わった力が除去された時点で平衡形に自動的に戻るように構成することができる。
【0041】
図1の実施例において、矢印10、12により示された方向に延伸されるように、変形可能な基板3を構成することができる。矢印10は、主要な延伸方向を標示する。この実施例において、主要な延伸方向は、少なくとも1つの支持体5に対して平行または実質的に平行である。矢印12は、二次的延伸方向を標示する。この実施例において、二次的延伸は、少なくとも1つの支持体5に対し直交、または実質的に直交する。
【0042】
いくつかの実施例において、変形可能な基板3は、ユーザーが屈曲させるまたは捩ることのできる可撓性基板を含むことができる。変形可能な基板3は、装置1のユーザーによって加わった力に応答して変形できるポリマー材料、エラストマ材料または他のあらゆる材料を含むことができる。
【0043】
他の実施例において、変形可能な基板3は、ヒンジまたはジョイントで接合された複数のセグメントを含むことができる。ヒンジまたはジョイントで接合されたセグメントは、変形可能な基板3の一部分が折畳みまたは屈曲または延伸できるようにするため互いとの関係において動かされるように構成可能である。装置1のユーザーにより加わった力に応答して、変形可能な基板3を、折畳み、屈曲させ、または延伸させることができる。
【0044】
いくつかの実施例において、変形可能な基板上に1つ以上の電子コンポーネントを搭載することができる。
【0045】
図1に示された装置1は、同様に、少なくとも1つの支持体5をも含んでいる。少なくとも1つの支持体5は、変形可能な基板3から間隔をおいた位置に1つ以上の湾曲した支持構造7を支持するように構成され得る任意の手段を含むことができる。
図1の実施例において、少なくとも1つの支持体5は、変形可能な基板3の平面状表面8に直交する方向に伸びるビーム6を含む。
【0046】
図1の実施例において、少なくとも1つの支持体5は、変形可能な基板3の平面状表面9の一部分に沿って伸びるビーム6を含む。他の例示的装置1では、他のタイプの支持体を使用することができるということを認識すべきである。例えば少なくとも1つの支持体5は、変形可能な基板3の平面状表面9上で互いに分離して位置設定された複数の個別の支持体を含むことができる。複数の個別の支持体は、任意の好適なサイズまたは形状であることができ、例えば個別の支持体は、正方形または矩形、または円筒形、または他の任意の形状であることができる。いくつかの実施例において、異なる個別の支持体は、異なるサイズおよび/または形状を有することができる。
【0047】
いくつかの実施例において、少なくとも1つの支持体5を、ユーザーによって加わった力に応答して変形可能となるように構成することができる。例えば、少なくとも1つの支持体5を、ユーザーが電子デバイスに加える力に応答して、屈曲または延伸するように、あるいは圧縮するかまたは他の任意の好適な変形を受けるように構成することができる。他の実施例では、少なくとも1つの支持体5を、ユーザーにより加わった力に応答して変形可能とならないように構成することができる。例えば、少なくとも1つの支持体は、ユーザーが電子デバイスに力を加えた場合に少なくとも1つの支持体が圧縮されないように、剛性材料を含むことができる。
【0048】
変形可能な基板3が変形された場合、これにより少なくとも1つの支持体5がその平衡位置から移動させられることにもなるように、変形可能な基板3に対して少なくとも1つの支持体5を結合することができる。例えば、
図1に例示された装置1において、支持体5は、変形可能な基板3の平面状表面9の一部分に沿って伸びるように、変形可能な基板3上に搭載されているビーム6を含む。ビーム6が搭載されている変形可能な基板3の部分が変形させられた場合、ビーム6も同様に変形される。変形可能な基板3は、例えば延伸、捩りまたは屈曲を受けることにより変形でき、したがってビーム6も同様に延伸、捩りまたは屈曲を受けることができる。このような実施例において、ビーム6は、装置1のユーザーによって加わった力に応答して変形可能であるものの、湾曲した支持構造7を支持するのに充分な剛性を有するポリマー材料、エラストマ材料または他の任意の材料などの可撓性ある材料を含むことができる。
【0049】
上述のように、いくつかの実施例において、少なくとも1つの支持体5は、連続ビームではなく、むしろ変形可能な基板3の平面状表面9上で互いに分離して位置設定されている複数の個別の支持体を含むことができる。このような実施例においては、変形可能な基板3の一部分を変形させることで、それぞれの支持体5の位置または相対的向きが変更され、1つの個別支持体の変形をひき起こす必要はなくなる。このような実施例においては、湾曲した支持構造7を支持するように構成され得る任意の好適な材料で支持体5を製造することができる。
【0050】
図1に例示されている装置1は同様に、湾曲した支持構造7を含む。湾曲した支持構造7は、容量センサー31の一部を成すことのできる1つ以上の突出電極21、23を支持するように構成されることができる。本開示の実施例中で使用できる突出電極21、23および容量センサー31の実施例について、以下で、
図2A〜10Bを参照しながら説明する。
【0051】
湾曲した支持構造7は、あらゆる好適な材料を含むことができる。いくつかの実施例において、湾曲した支持構造7は、非導電性材料を含むことができる。例えば湾曲した支持構造7は、ポリマーまたは他の好適な材料を含むことができる。突出電極21、23は、湾曲した支持構造7上にデポジットさせることのできる導電性材料を含むことができる。
【0052】
少なくとも1つの支持体5を介して変形可能な基板3に湾曲した支持構造を結合させることができる。少なくとも1つの支持体5は、湾曲した支持構造7が少なくとも部分的に変形可能な基板3から絶縁されるように、基板から湾曲した支持構造7を離隔するように構成される。少なくとも1つの支持体5は、湾曲した支持構造7と変形可能な基板3の間に位置づけされる。少なくとも1つの支持体5は、湾曲した支持構造7と変形可能な基板3が互いに分離されるように、変形可能な基板3から間隔をおいた位置に湾曲した支持構造7を維持することができる。湾曲した支持構造7と変形可能な基板3の間の離隔の距離は、少なくとも1つの支持体5の高さに依存することができる。
図1の実施例では、湾曲した支持構造7と変形可能な基板3の間の離隔距離は、ビーム6の高さと同じである。
【0053】
いくつかの実施例において、湾曲した支持構造7および少なくとも1つの支持体5を、湾曲した支持構造7が直接変形可能な基板3と接触しないように構成することができる。いくつかの実施例において、装置1が平衡、非変形状態にある場合、湾曲した支持構造7が変形可能な基板と直接接触しないように、湾曲した支持構造7および少なくとも1つの支持体5を構成することができる。いくつかの実施例において、装置1が変形状態にある場合湾曲した支持構造7が変形可能な基板3と直接接触しないように湾曲した支持構造7および少なくとも1つの支持体5を構成することができる。
【0054】
図1の実施例において、湾曲した支持構造7は、細長い部材11を含み、この細長い部材11はその長さに沿って複数の異なる点で少なくとも1つの支持体5に結合されている。
【0055】
細長い部材11は湾曲している。細長い部材11は複数の曲線を含むことができる。細長い部材11の全長は、この細長い部材11が上に伸びている変形可能な基板3の長さよりも大きい。細長い部材11の湾曲部分16は、細長い部材11が自らの方向に引き返してループ13を形成するように180度超の曲率角度を有する。ループ13は、開いた部分14を含み、したがってループ13は閉じない。
図1の実施例では、細長い部材11は複数のループ13を含む。複数のループ13は、蛇行形状を形成し、その中では、ビーム6の左側に伸びるループ13の後にビーム6の右側に伸びるループが続いている。細長い部材11は、湾曲した支持構造7がビーム6の両側に分布させられるように、構成されている。
【0056】
湾曲した支持構造7を、細長い部材11の長さに沿って複数の異なる点において、少なくとも1つの支持体5に結合することができる。
図1の実施例において、湾曲した支持構造7は、各ループ13内の2カ所でビーム6に結合されている。
【0057】
図1に例示されている湾曲した支持構造7の形状は一例であり、本開示の他の実施例においては他の形状を使用することができるということを認識すべきである。
【0058】
図1の実施例においては、1つの湾曲した支持構造7のみが例示されている。いくつかの実施例において、装置1は、複数の湾曲した支持構造7を備えることができる。湾曲した支持構造7は、変形可能な基板3に沿って同じ方向に伸びることができる。
【0059】
いくつかの実施例において、湾曲した支持構造7に重ね合わせて、追加の湾曲した構造を提供することができる。この追加の湾曲した構造は、湾曲した支持構造7に対し直交するかまたは実質的に直交する方向に伸びることができる。湾曲した支持構造7および追加の湾曲した構造を含む装置1の実施例について以下で、
図6Aを参照しながら説明する。
【0060】
図2Aおよび2Bは、第1の突出電極21および第2の突出電極23を備えた例示的装置1を示す。
図2Aは、装置1の一部分の平面図を示し、
図2Bは、装置1の一部分を通る断面図を示す。
【0061】
図2Aおよび2Bに例示された装置1は、
図1に関連して記述された通りであり得る湾曲した支持構造7と少なくとも1つの支持体5とを備えている。装置1は同様に、
図2Aおよび2Bには例示されていない変形可能な基板3を含むこともできる。
【0062】
図2Aおよび2Bの実施例において、装置1は、第1の突出電極21と第2の突出電極23とを備える。容量センサー31の一部を形成するように、突出電極21、23を構成することができる。
【0063】
図2Aおよび2Bの実施例において、第1の突出電極21は湾曲した支持構造7の第1の側から突出し、第2の突出電極23は、湾曲した支持構造7の第2の側から突出する。第1の突出電極21は、湾曲した支持構造7の一側面から突出する第1の部分24と、湾曲した支持構造7の第1の縁部26に沿って伸びる第2の部分25とを含む。第2の突出電極23も同様に、湾曲した支持構造7の一側面から突出する第1の部分27と、湾曲した支持構造7の第2の縁部29に沿って伸びる第2の部分28とを含む。
【0064】
図2A中に示された実施例において、突出電極21、23は、湾曲した支持構造7の異なる側から突出する。
図2Aの実施例において、第1の突出電極21は少なくとも1つの支持体5の第1の側で湾曲した支持構造7から突出し、第2の突出電極23は少なくとも1つの支持体5の反対側で湾曲した支持構造7から突出する。本開示の他の実施例では突出電極21、23の他の配置を使用できる、ということを認識すべきである。
【0065】
図2Aの実施例において、突出電極21、23の第1の部分24、27は、同じサイズおよび形状である。
図2Aの実施例において、突出電極21、23の第1の部分24、27は、矩形または実質的に矩形である。本開示の他の実施例では、突出電極21、23の他の形状および/またはサイズを使用することができる、ということを認識すべきである。
【0066】
湾曲した支持構造7は、任意の好適な材料から製造できる。
図2Aおよび2Bの実施例においては、湾曲した支持構造7は、ポリマーなどの非導電性材料で形成される。湾曲した支持構造7の縁部から突出する第1の部分24、27を、湾曲した支持構造7と同じ材料から形成することができる。いくつかの実施例において、湾曲した支持構造7の縁部から突出する第1の部分24、27を、湾曲した支持構造7と一体成形で形成することができる。これにより、湾曲した支持構造7内のひずみを最小限に抑えることができる。
【0067】
第1の部分24、27は、湾曲した支持構造7に連結され、変形可能な基板3または少なくとも1つの支持体5のいずれにも直接連結されていないことから、変形可能な基板3および少なくとも1つの支持体5から隔離され得る。突出電極21、23の第1の部分24、27を、変形可能な基板3の上につるされるように配置することができる。
【0068】
突出電極21、23は、湾曲した支持構造7の表面上に導電性材料をデポジットさせることによって製造できる。突出電極21、23は、任意の好適な導電性材料を用いて製造できる。湾曲した支持構造7の側面から突出する第1の部分24、27の表面上に、導電性材料をデポジットさせることもできる。湾曲した支持構造7の側面から突出する第1の部分24、27の表面上に導電性材料をデポジットさせて、第1の部分24、27の表面が導電性材料により完全に覆われるようにすることができる。
【0069】
図3は、容量センサーを備えた例示的装置1を示す。例示的装置1は、
図1および2Aから2Bに関係して説明された通りであり得る、湾曲した支持構造7、少なくとも1つの支持体5および突出電極21、23を備えている。装置1は同様に、
図3に例示されていない変形可能な基板3も含むことができる。
【0070】
図3の実施例において、容量センサー31は、第1の突出電極21と第2の突出電極23、およびオーバーレイ電極33を備えている。オーバーレイ電極33は、任意の導電性材料を含むことができる。オーバーレイ電極33を突出電極21、23に対して容量結合することができる。センサー31のキャパシタンスの変動が、装置1の変形の標示を提供するように、オーバーレイ電極33および突出電極21、23を配置することができる。
【0071】
第1の突出電極21および第2の突出電極23とは異なる平面内にオーバーレイ電極33を提供することができる。第1の突出電極21および第2の突出電極23を互いに同一の平面内に提供することができる。
【0072】
オーバーレイ電極33は、突出電極21、23の第1の部分24、27よりも大きい表面積を有することができる。オーバーレイ電極33は、突出電極21、23の第1の部分24、27の合同表面積よりも大きい表面積を有することができる。オーバーレイ電極33の表面積が突出電極21、23の第1の部分24、27の表面積と重なり合うようにオーバーレイ電極33を配置することができる。
図3の実施例において、オーバーレイ電極33の表面積は、それが突出電極21、23の第1の部分24、27の表面積と完全に重なり合うように配置される。いくつかの実施例において、オーバーレイ電極33が突出電極21、23の第1の部分24、27の表面積と部分的に重なり合うように、オーバーレイ電極33を配置することができる。
【0073】
オーバーレイ電極33は、第1の突出電極21および第2の突出電極23から離隔したものであることができる。オーバーレイ電極33は、オーバーレイ電極33と第1の突出電極21および/または第2の突出電極23との間に直流電流路が提供されないように、第1の突出電極21および第2の突出電極23から離隔したものであることができる。
【0074】
オーバーレイ電極33は、任意の好適な手段を用いて支持できる。いくつかの実施例において、変形可能な基板3の頂部部分内にオーバーレイ電極33を埋込むことができる。
【0075】
いくつかの実施例において、オーバーレイ電極33は剛性であることができる。ユーザーが装置1に力を加えた場合に形状および/またはサイズが変化しないように、剛性オーバーレイ電極33を構成することができる。他の実施例において、オーバーレイ電極33は変形可能であることができる。ユーザーが装置1に力を加えた場合に形状および/またはサイズを変えることができるように変形可能な基板33を構成できる。オーバーレイ電極33が剛性であるか変形可能であるかは、検出すべき装置1の変形のタイプに依存する可能性がある。
【0076】
図4Aおよび4Bは、例示的装置1を通る断面を例示する。装置1は、
図1〜3に関連して説明された通りであり得る変形可能な基板3、少なくとも1つの支持体5および湾曲した支持構造7を備えている。
図4Aおよび4Bの断面は、
図1に標示されている主要歪み方向に直交して取ることができる。湾曲した支持構造7は、オーバーレイ電極33と共に容量センサー31を形成することのできる突出電極21、23を備えることができる。
【0077】
変形可能な基板3は、下部部分41と上部部分43を含む。下部部分41を湾曲した支持構造7の下側に提供され、上部部分43を湾曲した支持構造7の上方に提供することができる。変形可能な基板3は、キャビティ49を形成し、その中に、湾曲した支持構造7および突出電極21、23が提供される。
【0078】
図4Aおよび4Bの実施例において、変形可能な基板3の上部部分43と変形可能な基板3の下部部分41の間に、追加の支柱45が提供される。追加の支柱45は、変形可能な基板3と同じ材料で形成することができる。装置1が変形した場合に変形可能な基板3の上部部分43が湾曲した支持構造7と接触するのを妨げるように、追加の支柱45を構成することができる。
【0079】
図4Aおよび4Bの実施例においては、変形可能な基板3の上部部分43の中に、オーバーレイ電極33を提供することができる。本開示の他の実施例においては、突出電極21、23の上方にオーバーレイ電極33を支持するために他の手段を使用することができる。
【0080】
図4Bでは、シールド層47が提供されている。シールド層47は、容量センサー31を漂遊電磁界から保護するように構成できる任意の手段を含むことができる。
図4Bの実施例において、シールド層47は、変形可能な基板3の下部部分41内に提供されている延伸性導体を含む。
【0081】
図5は、本開示の実施例内で使用可能な容量センサー31を概略的に例示する。
【0082】
容量センサー31は、第1の突出電極21と第2の突出電極23とを備える。突出電極21、23は、
図1〜4Bおよび/または
図6A〜10Bに関連して説明された通りであることができる。突出電極21、23は同じ平面内に提供される。オーバーレイ電極33は突出電極21、23とは異なる平面内に提供される。オーバーレイ電極33を、突出電極21、23の上方に提供することもできる。
【0083】
形成される容量センサー31は、平行板コンデンサと同等である。容量センサー31のキャパシタンスは、電極33、21、23の離隔距離dおよび界面面積Aによって決定される。
【0084】
界面面積Aは、オーバーレイ電極33の表面積と重なり合う突出電極21、23の表面積であることができる。突出電極21、23は、湾曲した支持構造7の側面から突出する第1の部分24、27と、湾曲した支持構造7の縁部26、29に沿って伸びる第2の部分とを含む。第1の部分24、27の表面積は第2の部分25、28の表面積より著しく大きいことから、面積Aを、オーバーレイ電極33と重なり合う第1の部分24、27の面積として概算することができる。
【0085】
電極33、21、23の離隔距離dとは、オーバーレイ電極33と突出電極21、23の間の距離であることができる。突出電極21、23は同一平面内に提供されることから、離隔距離dは、両方の突出電極21、23について同じである。
【0086】
容量センサー31のキャパシタンスは、以下の式により概算される。
【数1】
式中、Cはキャパシタンス、Aは界面面積、dは電極間の離隔距離、ε
rは電極21、23、33間の材料の比誘電率、ε
oは誘電率(約8.854×10
-12Fm
-1)である。
【0087】
装置1が変形した場合、突出電極21、23との関係におけるオーバーレイ電極33の移動または変形がひき起こされる可能性がある。例えば、装置1に対して歪みまたはせん断を加えることで、界面面積Aが変更され得る。外部圧力を加えるかまたは装置1を圧縮することにより、離隔距離dは削減され得る。これらの変形は、容量センサー31のキャパシタンスCの変化を生み出す。キャパシタンスCの変化は、上述の等式にしたがって移動または変形に正比例する。したがって、容量センサー31のキャパシタンスを監視することで、装置1の変形の標示が得られる。
【0088】
容量センサー31のキャパシタンスCは、2つの突出電極21、23を測定回路に接続することによって監視可能である。
【0089】
いくつかの実施例において、変形可能な基板3内部のキャビティ49には、空気を充填することができる。他の実施例では、キャビティ49には、容量センサー31のキャパシタンスを増大させるために空気よりも高い誘電率を有する流体を充填することができる。
【0090】
いくつかの実施例において、装置1は、複数の異なる容量センサー31を含むことができる。異なるタイプの変形を監視するために、異なる容量センサー31を配置することができる。例えば、容量センサー31のいくつかを圧縮の監視のために配置し、他の容量センサーをせん断および/または歪みの監視のために配置することができる。せん断および応力などの変形を装置1の異なる軸に沿って監視できるようにするため、突出電極21、23およびオーバーレイ電極33の位置に配慮することができる。
【0091】
図6Aおよび6Bは、容量センサー31のアレイ61を備えた装置1の一実施例を示す。容量センサー31のアレイ61は、複数の容量センサー31を含むことができる。いくつかの実施例において、アレイ61内の異なる容量センサー31を、異なる変形の監視のために構成することができる。例えば、いくつかの容量センサー31は、装置1の圧縮を検出するように配置することができ、いくつかの容量センサー31は、装置1の歪みを検出するように配置することができ、いくつかの容量センサー31は、装置1のせん断を検出するように配置することができる。
【0092】
図6Aは、装置1の一区分の平面を例示する。
図6Bは、容量センサー31の3×3のアレイ61についての等価の回路図を提供する。容量センサー31のアレイ61は、任意の好適な配置で、任意の数の容量センサー31を含むことができるということを認識すべきである。
【0093】
図6Aおよび
図6Bの装置1は、
図1に関連して説明された通りのものであり得る変形可能な基板3、少なくとも1つの支持体5および湾曲した支持構造7を備えている。
図6Aには、湾曲した支持構造7が1つしか例示されていないものの、装置は、複数の湾曲した支持構造7を備えることができる、ということを認識すべきである。複数の湾曲した支持構造7は、同じ方向に伸びることができる。
【0094】
湾曲した支持構造7は、複数の突出電極21、23を備えることができる。突出電極21、23は、上述のように第1の部分24、27および第2の部分25、28を含む。
図7Aの実施例において、第1の突出電極21の第2の部分25は、第1の突出電極21の第2の部分25の間に全く間隙が存在しないように湾曲した支持構造7の第1の縁部に沿って連続して提供されている。第2の突出電極23の第2の部分28は、隣接する2つの突出電極23の間に絶縁用間隙が存在するように、湾曲した支持構造7の第2の縁部29に沿って区分の形で提供される。
【0095】
図6Aおよび6Bの実施例において、装置1は同様に、複数の追加の湾曲した構造65を備えている。追加の湾曲した構造65は、細長い部材11を含むことができる。細長い部材11は、蛇行形状を形成できる。蛇行形状は、湾曲した支持構造7の蛇行形状と同じかまたは類似したものであることができる。
【0096】
追加の湾曲した構造65は、湾曲した支持構造7に直交する方向に伸びる。追加の湾曲した構造65は、追加の湾曲した構造65が湾曲した支持構造7上で交差する複数の交差点が存在するように、湾曲した支持構造7の長さに沿って間隔をおいて提供されている。
【0097】
追加の湾曲した構造65は、湾曲した支持構造7に重ね合わせて提供されている。追加の湾曲した構造65は、第2の突出電極23に対する電気的接続を含むことができる。追加の湾曲した構造65は、容量センサー31のアレイ61のための交差コネクタを提供する。
【0098】
第1の突出電極21と追加の支持構造65の間に、誘電性絶縁材料63が提供される。誘電性絶縁材料63を、第1の突出電極21と交差コネクタの間の直接的接続を妨げるように構成することができる。
【0099】
容量センサー31のアレイ61により得られた情報は、任意の好適な手段を用いて読取ることができる。
図6Aおよび6Bの実施例において、アレイ61内部の容量センサーの各々は、読取り電子機器を多重化することによって独立して読取ることができる。
【0100】
上述の通り、装置1の異なる変形を測定するために、電極21、23、33の異なる配置を使用することができる。
図7A〜7Cは、装置1の圧縮を監視するために使用できる例示的配置を示す。
図8A〜8Dは、装置1の歪みを監視するために使用できる例示的配置を示す。
図9A〜9Eは、装置1のせん断を監視するために使用できる例示的配置を示す。
図10A〜10Bは、異なる軸に沿った装置1の歪みを監視するために使用できる例示的配置を示す。
図11A〜11Dは、容量センサー31の例示的配置を示す。
【0101】
図7A〜7Cは、圧力容量センサー31が装置1の圧縮を監視するように配置されている例示的装置1を示す。
図7Aは、圧力容量センサー31のための例示的配置の平面図を示す。
図7Bは、装置1が圧縮される前の圧力容量センサー31を概略的に示し、
図7Cは、装置1に加わった圧力71により装置1が圧縮された後の圧力容量センサー31を概略的に示す。装置1は、上述の通りのものであり得る変形可能な基板3、少なくとも1つの支持体5、湾曲した支持構造7、突出電極21、23およびオーバーレイ電極33を備えている。
【0102】
圧縮を監視するための配置において、オーバーレイ電極33は、突出電極21、23の第1の部分24、27よりも大きい表面積を有する。オーバーレイ電極33の表面積は、突出電極21、23の第1の部分24、27によって覆われる面積を完全に覆う。これにより、装置1のせん断および/または歪みに起因してひき起こされる可能性のある圧力容量センサー31のキャパシタンスCの変化が無くなる。
【0103】
いくつかの実施例において、オーバーレイ電極33は変形可能であることができる。オーバーレイ電極33は、装置1に力が加わった場合にオーバーレイ電極33が形状を変えることができるように、変形可能であることができる。このような実施例においては、オーバーレイ電極33は、銀ナノワイヤ、埋め込みナノ粒子、金の薄膜または他の任意の変形可能な導電性材料を含むことができる。
【0104】
他の実施例において、オーバーレイ電極33は剛性を有することができる。オーバーレイ電極33は、装置1に力が加わった場合にオーバーレイ電極33が形状を変えないように、剛性を有することができる。このような実施例において、オーバーレイ電極33は、銅箔または他の任意の好適な剛性導電性材料を含むことができる。
【0105】
圧力21が装置1に加わった場合、装置1は圧縮される。これにより、電極21、23、33の離隔距離dが減少する。離隔距離dの減少は、圧力容量センサー31のキャパシタンスCを増大させる。
【0106】
図7A〜7Cの実施例において、圧力容量センサー31のキャパシタンスCは、以下の式から得られる。
【数2】
【数3】
式中、C
p1は圧力容量センサー31の初期キャパシタンスであり、C
p2は、装置1に対し圧力および歪みが加わった後の圧力容量センサー31のキャパシタンスであり、A
p1は1つの突出電極21、23とオーバーレイ電極33の間の界面面積であり、d
1は装置1に対して圧力および歪みが加わる前のオーバーレイ電極33と突出電極21、23の間の距離であり、d
2は、装置1に対して圧力および歪みが加わった後のオーバーレイ電極33と突出電極21、23の間の距離である。
【0107】
界面面積A
p1は、装置1に対する圧力および歪みが加わる前後で恒常であることができる。これには、突出電極21、23の第1の部分24、27の表面積が装置1に対する圧力71の適用の前後で恒常であり続けることが求められる可能性がある。これは、突出電極21、23の第1の部分24、27を形成するために剛性材料を使用することによって達成できる。いくつかの実施例において、これは、突出電極21、23の第1の部分24、27を湾曲した支持構造7の上に搭載して、変形可能な基板3が変形した場合にこれらの部分が変形しないようにすることによって達成することができる。
【0108】
d
2の値は、2つの圧力センサーのキャパシタンス比を用いて、測定可能である。
【数4】
したがって、
【数5】
【0109】
d
2を測定することにより、装置1に加わった圧力71の測定値を得ることができる。
【0110】
図8A〜8Dは、容量センサー31が装置1の歪みを監視するために配置されている、例示的装置1を示す。
図8Aは、歪み容量センサー31についての例示的配置の平面図を示す。
図8Bは、装置1に対し歪み81が加わった後の歪み容量センサー31の例示的配置の平面図を示す。
図8Cは、歪み81が装置1に加えられる前の歪み容量センサー31を概略的に示す。
図8Dは、歪み81が装置1に加わった後の歪み容量センサー31を概略的に示す。装置1は、以上で説明された通りであり得る変形可能な基板3、少なくとも1つの支持体5、湾曲した支持構造7、突出電極21、23およびオーバーレイ電極33を備えている。
【0111】
歪みを監視するための配置において、オーバーレイ電極33は、突出電極21、23の第1の部分24、27よりも大きい表面積を有する。オーバーレイ電極33の表面積は、突出電極21、23の第1の部分24、27によって覆われる面積を部分的にのみ覆う。オーバーレイ電極33の表面積は、突出電極21、23の第1の部分24、27の各々の一部分のみを覆う。オーバーレイ電極33によって覆われている突出電極21、23の各々の第1の部分24、27の一部分のサイズは、歪み81が装置1に加わるにつれて変化し得る。こうして、加わった歪み81がひき起こすキャパシタンスCの変化を測定することが可能となり得る。
【0112】
歪みを監視するための配置において、オーバーレイ電極33は変形可能であることができる。オーバーレイ電極33は、装置1に力が加わった場合にオーバーレイ電極33が形状を変えることができるように、変形可能であることができる。このような実施例においては、オーバーレイ電極33は、銀ナノワイヤ、埋め込みナノ粒子、金の薄膜または他の任意の変形可能な導電性材料を含むことができる。
【0113】
図8Bおよび8Dは、正の歪み81が装置1に加わった時点で、これがオーバーレイ電極33を延伸させ、容量センサー31のための界面面積Aを増大させる、ということを示している。装置1に対して負の歪みが加わった場合には、これがオーバーレイ電極33を圧縮し、容量センサー31の界面面積Aを減少させる可能性があるということを認識すべきである。
【0114】
図8A〜8Dの実施例において、歪みは少なくとも1つの支持体5の方向に沿って加えられる。他の実施例においては、歪み81が他の方向に加わる可能性がある。装置1は、他の方向に加わった歪み81の測定を可能にするように配置された電極21、23、33を伴う他の容量センサー31を備えることができる。
【0115】
図8A〜8Dの実施例において、オーバーレイ電極33のせん断は、容量センサー31についての界面面積Aを変化させず、容量センサー31により得られる測定値に影響を及ぼさない。しかしながら、装置1に対して歪み81が加わった時点で、装置1の圧縮も同様に存在する可能性がある。圧縮は、装置1に対する圧力の適用によっておよび/または装置1のポワソン比によってひき起こすことができる。キャパシタンスの変化を測定する場合には、このことを考慮に入れる必要がある可能性がある。
【0116】
いくつかの実施例において、装置1は、圧縮に起因する容量センサー31のキャパシタンスの変化を削減するように構成され得る手段を備えることができる。例えば、圧縮を低減するために、追加の支柱45を提供することができる。追加の支柱45は、剛性材料で製造することができる。
【0117】
他の実施例において、装置1は、装置1の圧縮を測定するための手段を備えることができる。例えば、歪み容量センサー31に近接して圧力容量センサー31を提供することができる。圧力および歪み容量センサー31は、歪みおよび/またはせん断が加わる前および後の歪み容量センサー31の界面長の比率を計算するためにこれらのセンサーのキャパシタンス比を使用できるように、機械的に同一のものであることができる。このとき、界面長の変化を用いて、加わった歪み81を決定することができる。界面長および加わった歪み81を決定するために歪み容量センサー31に近接して提供された圧力容量センサー31を使用する方法の一例が、以下の段落中で提供されている。
【0118】
図8Bおよび8Dで標示されている方向に歪み81が加わった場合には、装置1の変形は軸83を中心として対称である。この実施例において、軸83は、少なくとも1つの支持体5の方向に沿って伸びる。
【0119】
装置1の変形は対称であることから、両方の突出電極21、23が上方で観察する変形は同じである。
図8A〜8Dの実施例において、圧力容量センサー31のキャパシタンスCは、以下の式から得られる。
【数6】
【数7】
【0120】
圧力容量センサー31について、離隔距離dは変化するが、界面面積Aは変化しない。
【0121】
圧力容量センサー31に近接する歪み容量センサー31のキャパシタンスCは、以下の式から得られる。
【数8】
【数9】
式中、C
st1は、歪み容量センサー31の初期キャパシタンスであり、C
st2は、歪みおよび/または圧力の適用後の歪み容量センサー31のキャパシタンスである。歪み容量センサー31について、界面面積Aは変化する。歪み容量センサー31について、離隔距離dも同様に変化するが、値d
1およびd
2は、圧力容量センサー31についてのものと同じである。
【0122】
歪み容量センサー31および圧力容量センサー31の初期キャパシタンスの比率は、以下の通りである。
【数10】
【0123】
圧力および歪みの適用後の2つの容量センサー31のキャパシタンスの比率は、以下の通りである。
【数11】
【0124】
これら2つの項の比率は、以下の通りである。
【数12】
【0125】
界面面積Aの幅が恒常なままであるとすれば、
【数13】
【0127】
線形歪み等式は、以下のものによって提供される。
【数15】
式中、εは線形歪みである。このとき、これから以下の式が得られる。
【数16】
【0128】
こうして、圧力容量センサー31または歪み容量センサー31のいかなる電極の初期寸法も知る必要なく、線形歪みεを計算することが可能となる。これには、圧力容量センサー31および歪み容量センサー31の両方が、同じ変形を受けるように装置1内に配置されていることが求められる可能性がある。
【0129】
図9A〜9Eは、容量センサー31が装置1のせん断91を監視するように配置されている例示的装置1を示す。
図9Aは、せん断容量センサー31についての例示的配置の平面図を示す。
図9Bは、装置1に対しせん断91が加わった後のせん断容量センサー31の例示的配置の平面図を示す。
図9Cは、せん断91が装置1に加えられる前のせん断容量センサー31を概略的に示す。
図9Dは、せん断91が装置1に加わった後のせん断容量センサー31を概略的に示す。
図9Eは、せん断角度αを例示する。装置1は、以上で説明された通りであり得る変形可能な基板3、少なくとも1つの支持体5、湾曲した支持構造7、突出電極21、23およびオーバーレイ電極33を備えている。
【0130】
せん断を監視するための配置において、オーバーレイ電極33は、突出電極21、23の第1の部分24、27よりも大きい表面積を有する。オーバーレイ電極33の表面積は、突出電極21の第1の部分24の表面積を完全に覆うが、第2の突出電極23の第1の部分27の表面積は部分的にしか覆っていない。オーバーレイ電極33によって覆われている第2の突出電極23の第1の部分27の一部分のサイズは、せん断91が装置1に加わるにつれて変化し得る。こうして、加わったせん断91がひき起こすキャパシタンスCの変化を測定することを可能にすることができる。
【0131】
図9A〜9Eの実施例において、第1の突出電極21の第1の部分24は、オーバーレイ電極33によって完全に覆われているが、第2の突出電極23の第1の部分24は、オーバーレイ電極33によって部分的にしか覆われていない。他の実施例においては、第2の突出電極23の第1の部分27がオーバーレイ電極33によって完全に覆われているものの、第1の突出電極21はオーバーレイ電極33によって部分的にしか覆われていないように装置1を配置することができる、ということを認識すべきである。
【0132】
せん断を監視するための配置において、オーバーレイ電極33は剛性を有することができる。オーバーレイ電極33は、装置1にせん断91が加わった場合にオーバーレイ電極33が形状を変えないように、剛性を有することができる。このような実施例においては、オーバーレイ電極33は、銅または他の任意の好適な剛性導電性材料などの金属箔を含むことができる。剛性材料の使用は、装置1の歪みによりひき起こされるキャパシタンスの変化を無くすることができる。
【0133】
図9C、9Dおよび9Eは、
図9C、9Dおよび9Eに標示されている方向で装置1に対し正のせん断91が加わった場合に、これが第2の突出電極23とオーバーレイ電極33の間の界面面積Aを増大させることを示している。破線は、せん断が加わった後のオーバーレイ電極33の位置を標示する。せん断91が反対方向に加わった場合、これは第2の突出電極23とオーバーレイ電極33の間の界面面積Aを減少させると考えられるということを認識すべきである。第1の突出電極21とオーバーレイ電極33の間の界面面積Aに変化は無い。
【0134】
せん断91が装置1に加わった場合、装置1の圧縮も同様に存在する可能性があり、これがせん断容量センサー31内部の電極の離隔距離dを削減する可能性がある。
【0135】
いくつかの実施例において、装置1は、圧縮に起因するせん断容量センサー31のキャパシタンスの変化を削減するように構成され得る手段を備えることができる。例えば、圧縮を低減するために、追加の支持体45を提供することができる。追加の支持体45は、せん断運動を許容するものの、圧縮を削減するように構成され得る。例えば追加の支持体45は、中心に機械的破断を伴う厚い柱を備えることができる。
【0136】
他の実施例において、装置1は、装置1の圧縮を測定するための手段を備えることができる。例えば、せん断容量センサー31に近接して圧力容量センサー31を提供することができる。圧力およびせん断容量センサー31は、角度αとしてせん断91を計算するためにこれらのセンサーのキャパシタンス比を使用できるように、機械的に同一のものであることができる。
図9Eに例示されているように、界面長Lの変化および離隔距離dの変化から、角度αを計算することができる。角度αおよび加わったせん断91を決定するためにせん断容量センサー31に近接して提供された圧力容量センサー31を使用する方法の一例が、以下の段落の中で提供されている。
【0137】
せん断角度αは、以下の式から得られる。
【数17】
式中、ΔLは、せん断91が加わった場合の界面長の変化である。変化ΔLは、せん断91が加えられる方向に応じて正または負であり得る。d
2は、せん断91が加わった後の突出電極21、23とオーバーレイ電極33の間の分離である。
【0138】
圧力容量センサー31について、キャパシタンスは、以下の式から得られる。
【数18】
【数19】
式中C
p1はせん断91が加えられる前のキャパシタンスであり、C
p2はせん断91が加わった後のキャパシタンスである。
【0139】
せん断容量センサー31について、キャパシタンスは以下の式から得られる。
【数20】
【数21】
式中、C
sh1は、せん断91が加えられる前のキャパシタンスであり、C
sh2は、せん断91が加わった後のキャパシタンスであり、Acは、第1の突出電極21とオーバーレイ電極33の間の界面面積であり、A
1は、第2の突出電極23とオーバーレイ電極33の間の界面面積であり、ΔAはせん断91が加わった場合に生成される追加の界面面積である。
【0140】
第1の突出電極21とオーバーレイ電極33の間の界面面積A
cは恒常であることができ、したがって、せん断91が加わった場合に変化しない。第2の突出電極23とオーバーレイ電極33の間の界面面積は、恒常でなく、せん断91が加わった場合にΔAだけ変化する。変化ΔAは、せん断91が加えられる方向に応じて正または負となることができる。
【0141】
せん断91中に生成される追加の界面面積ΔAは、以下の式から得られる。
【数22】
【0142】
これらのキャパシタンスの比率から、以下の式が得られる。
【数23】
【数24】
【0143】
これらの比率の比率から以下の式が得られる。
【数25】
式中、Lcは、第1の突出電極21とオーバーレイ電極33の間の界面長であり、L
1は、せん断91が加えられる前の第2の突出電極23とオーバーレイ電極33の間の界面長である。第1の突出電極21とオーバーレイ電極33の間の界面長Lcは、恒常であり続けるが、第2の突出電極23とオーバーレイ電極33の間の界面長L
1はΔLだけ変化する。wは界面面積の幅を提供する。幅wは、両方の突出電極21、23について恒常であり続ける。
【0144】
比率を再配置すると、以下の式が得られる。
【数26】
【0145】
他の実施例の場合のように、離隔距離d
2の値は、圧力容量センサー31のキャパシタンス比を用いて測定可能である。
【数27】
したがって、
【数28】
【0146】
せん断角度αは、このとき、以下の式を用いて計算可能である。
【数29】
【0147】
第2の突出電極23との間の界面長を表わすパラメータL
1は、装置1の製造中の突出電極23とオーバーレイ電極33のずれに起因するいく分かの不確実性を含む可能性がある。第1の突出電極21とオーバーレイ電極33の間の界面長L
cが分かっている場合には、L
1を以下の式により計算することができる。
【数30】
したがって、
【数31】
であり、これにより、せん断の等式は、以下のように簡約される。
【数32】
【0148】
こうして、既知の第1の突出電極21とオーバーレイ電極33の間の界面長Lc、電極間の離隔距離d、およびせん断容量センサー31および圧力容量センサー31の測定上のキャパシタンスを用いて、加わったせん断91を計算することが可能になる。
【0149】
図10Aおよび10Bは、異なる軸に沿った装置1の歪みを監視するのに使用され得る例示的配置を示す。
図10Aの実施例は、2つの歪み容量センサー31を備えている。歪み容量センサー31は、
図8A〜8Dに関して以上で説明した通りであることができる。
【0150】
図10Aの実施例において、2つの歪み容量センサー31は、同じ湾曲した支持構造7上に互いに隣接して提供される。他の実施例においては、2つの歪み容量センサー31を互いに間隔をおいて配置することができる。例えば、これらのセンサーを異なる湾曲した支持構造7上に提供することができ、および/または2つの歪み容量センサー31の間に他の容量センサー31を提供することもできる。
【0151】
図10Aの実施例では、2つの歪み容量センサー31A、31Bは、2つの異なる軸内の歪みを監視するように構成されている。
図10では、第1の軸は、少なくとも1つの支持体5に対し平行に伸びるx軸である。x軸は、
図1に示されている主要歪み方向と平行である。第2の軸は、少なくとも1つの支持体5に直交して伸びるy軸である。y軸は、
図1に示されている二次的歪み方向と平行である。
【0152】
第1の容量センサー31Aは、x軸内の歪みを測定するように配置されている。第1の容量センサー31Aは、x方向でオーバーレイ電極33と整列する突出電極21、23を有する。突出電極21、23は矩形の第1の部分21、24を有し、矩形部分の長さがx方向に伸びるように配置されている。
【0153】
第2の容量センサー31Bは、y軸内の歪みを測定するように配置されている。第2の容量センサー31Bは、y方向でオーバーレイ電極33と整列する突出電極21、23を有する。突出電極21、23は矩形の第1の部分21、24を有し、矩形部分の長さがy方向に伸びるように配置される。
【0154】
図10Bは、歪み101がx方向に加わった場合のオーバーレイ電極33の形状の変化を示す。これにより、x方向のオーバーレイ電極33の長さは増大するが、y方向のオーバーレイ電極33の幅は減少する。長さおよび幅の変化の比率は、オーバーレイ電極33のポワソン比によって決定される。第1の容量センサー31Aは、x方向の変化を検出するように構成される。
図10Bの実施例において、第1の容量センサー31Aは、キャパシタンスの増加を検出する。第2の容量センサー31Bは、y方向での変化を検出するように構成されている。
図10Bの実施例において、第2の容量センサー31Bは、キャパシタンスの減少を検出する。
【0155】
歪みがy方向に加わった場合には、ポワソン比により決定されるように、x方向でオーバーレイ電極33の長さが減少するものの、y方向でのオーバーレイ電極33の幅は増加することを認識すべきである。このような実施例において、第1の容量性電極31Aはキャパシタンスの減少を検出し、第2の容量性電極31Bはキャパシタンスの増加を検出すると考えられる。
【0156】
歪みが半径方向におよび/またはx方向およびy方向の両方に加わった場合には、これにより、xおよびyの両方向でオーバーレイ電極33の長さが増大する。このような実施例においては、第1の容量センサー31Aおよび第2の容量センサー31Bの両方共が、キャパシタンスの増加を検出する。
【0157】
こうして、歪みが2軸歪みであるか1軸歪みであるかと同時に歪みが加えられる方向も決定するために、2つの隣接する歪みセンサー31A、31Bを備えた装置1を使用することが可能になる。
【0158】
図10および10Bの例示的配置を歪み容量センサー31またはせん断容量センサー31に適用できるということを認識すべきである。これにより、1つの平面内の複数の方向で歪みおよびせん断を測定することを可能にすることができる。
【0159】
図11A〜11Dは、装置1内の容量センサー31のための代替的な配置を示す。
【0160】
図11Aおよび11Bの例示的配置において、第1の突出電極21は、湾曲した支持構造7の第1の側から突出しており、第2の突出電極23は、湾曲した支持構造7の第2の側から突出する。
【0161】
図11Aの実施例において、突出電極21、23の第1の部分24、27は、湾曲した支持構造7のループ13の頂点に提供されている。
図11Aの実施例では、突出電極21、23の第1の部分24、27は、湾曲した支持構造7の同じループ13の頂点に提供されている。第1の電極21の第1の部分24は、ループ13の内側に提供されており、一方第2の電極23の第1の部分27は、ループ13の外側に提供されている。
【0162】
図11Aの例示的配置は、上述のように電極21、23、33の相対的運動によりひき起こされるキャパシタンスの変化を測定することができる。
【0163】
図11Bの実施例において、突出電極21、23の第1の部分24、27は、湾曲した支持構造7の異なるループ13の頂点に提供されている。
図11Bの実施例において、突出電極21、23の第1の部分24、27は、湾曲した支持構造7の連続するループ13の頂点に提供されている。第1の電極21の第1の部分24は、第1のループ13の内側に提供され、一方第2の電極23の第1の部分は、隣接するループ13の内側に提供されている。
【0164】
図11Bの例示的配置は、装置1に歪みが加わった場合に突出電極21、23の第1の部分24、27の回転効果を削減することができる。
【0165】
図11Bの例示的配置においては、突出電極21、23の第1の部分24、27は、装置1に対して歪みが加わった時点で、互いとの関係において移動することができる。しかしながら、歪みが少なくとも1つの支持体5の方向に加わった場合、突出電極21、23の第1の部分24、27の各々は、同じ量だけ変位する。歪みが少なくとも1つの支持体5に直交して加わった場合には、その方向に加わった歪みは湾曲した支持構造7から分離されることから、突出電極21、23の第1の部分24、27の変位は全く存在しない。
【0166】
図11Bの例示的配置は、歪み容量センサー31の内部で、代替的構造を使用できるようにすることができる。上述の例示的歪み容量センサー31においては、変形可能なオーバーレイ電極33が使用される。
図11Bの配置が使用される場合には、剛性のオーバーレイ電極33を提供することができ、加わった歪みを検出するために、オーバーレイ電極33との関係における突出電極21、23の第1の部分24、27の移動を使用することができる。
【0167】
図11Cおよび11Dの例示的配置において、第1の突出電極21は、湾曲した支持構造7の第1の側から突出しており、第2の突出電極23も同様に、湾曲した支持構造7の第1の側から突出する。
【0168】
図11Aの実施例において、突出電極21、23の第1の部分24、27は、湾曲した支持構造7のループ13の頂点に提供されている。
図11Cの実施例では、突出電極21、23の第1の部分24、27は、湾曲した支持構造7の同じループ13の頂点に提供されている。第1の電極21の第1の部分24および第2の電極23の第1の部分27は両方共、ループ13の内側に提供されている。第1の電極21の第2の部分25および第2の電極23の第2の部分28は、湾曲した支持構造7の同じ縁部に沿って伸びている。
【0169】
オーバーレイ電極33は、突出電極21、23の第1の部分24、27の両方の一部分に重ね合わせて提供されている。
【0170】
図11Cの例示的配置は、上述のように電極21、23、33の相対的運動によりひき起こされるキャパシタンスの変化を測定することができる。
【0171】
図11Dは、湾曲した支持構造7の同じ側面上での第1の電極21の第1の部分24と第2の電極23の第1の部分27の両方についての配置をいかにして多重化できるかの一例を示す。これにより、容量センサー31のアレイ61を提供することを可能にすることができる。
【0172】
図11Dの実施例において、第1の突出電極21の第2の部分25は、湾曲した支持構造7の長さに沿って伸びる。いくつかの実施例において、第1の突出電極21の第2の部分25は、歪みが最小である領域であり得ることを理由として湾曲した支持構造7の中心に沿って伸びることができる。他の実施例においては、第1の突出電極21の第2の部分25を、湾曲した支持構造7上の他の位置に提供することができる。例えば、第1の突出電極21の第2の部分25は、湾曲した支持構造7の一方の側面から隣接する頂点にあるもう一方の側面まで蛇行することができる。
【0173】
第2の電極23の第2の部分28は、湾曲した支持構造7の縁部に沿って区分の形で提供される。
【0174】
図11Dの例示的装置1は同様に、複数の追加の湾曲した構造65を備える。追加の湾曲した構造65は、湾曲した支持構造7に重ね合わせて提供されている。追加の湾曲した構造65は、第2の突出電極23に対する電気的接続を含むことができる。追加の湾曲した構造65は、容量センサー31のアレイ61のための交差コネクタを提供する。
【0175】
第1の突出電極21と追加の支持構造65の間には誘電性絶縁材料の部分63が提供される。第1の突出電極21と交差コネクタの間の直接的接続を妨げるように、誘電性絶縁材料63を構成することができる。
【0176】
図11Dの配置のための等価回路図は、
図6Bのものと同じであると考えられる。
【0177】
図11A〜11Dの例示的配置は、湾曲した支持構造7のループ13の頂点に追加の重量を取り込む場合がある。いくつかの実施例において、追加の重量は、突出電極21、23の第1の部分24、27を穿孔することによって削減できる。
【0178】
図12〜15は、本開示の実施例に係る装置1を提供するために使用できる例示的方法を示す。装置1は、
図1〜11Dに関して以上で説明した通りであることができる。
【0179】
図12は、1つの方法を例示する。この方法はブロック121において、変形可能な基板3を提供するステップを含む。この方法は、ブロック123で、湾曲した支持構造7を提供するステップを含み、ブロック125では、変形可能な基板3が変形した場合でも湾曲した支持構造7が同じように変形しないように湾曲した支持構造7を変形可能な基板3から間隔をおいて配置するように構成された少なくとも1つの支持体5を提供するステップを含む。この方法は同様に、ブロック127で、オーバーレイ電極33に対し容量結合された突出電極21、23を含む容量センサー31を提供するステップも含んでいる。
【0180】
突出電極33は湾曲した支持構造7の1つの側から突出する。
【0181】
図13A〜13Oも同様に、装置1を提供する例示的方法を示す。
図13A〜13Oの例示的方法は、上述の装置1などの装置1を提供するために使用可能である。
【0182】
図13Aにおいて、シリコン・ウェハー133上に剥離層131がデポジットされている。
図13Bでは、フォトレジスト層135が剥離層131上にデポジットされる。フォトレジスト層135は、突出電極23としてパターニングされる。
図13Bの実施例において、電極は第2の突出電極23であることができ、交差接続する追加の湾曲した構造65に沿って伸びる部分と、湾曲した支持構造7の側面から突出する第1の部分27を含むことができる。
【0183】
図13Cにおいて、金属などの導電性材料137が、フォトレジスト層135の上にデポジットされる。誘電性材料137は、蒸発またはスパッタリングなどの任意の好適な手段を用いてデポジットさせることができる。
図13Dにおいて、フォトレジスト層135は除去されており、第2の突出電極23が、剥離層131の上に残されている。
【0184】
図13Eにおいて、誘電性絶縁材料63が、交差接続する追加の湾曲した構造65上にデポジットされている。誘電性絶縁材料63は、インクジェット印刷またはスクリーン印刷などの任意の好適な手段を用いてデポジット可能である。
図13Fでは、剥離層131上に第2のフォトレジスト層139がデポジットされる。第2のフォトレジスト層139は、別の突出電極21としてパターニングされる。
図13Fの実施例において、電極は第1の突出電極21であることができ、湾曲した支持構造7の縁部に沿って連続的に伸びる部分と、湾曲した支持構造7の側面から突出する第1の部分24とを含むことができる。
【0185】
図13Gにおいて、金属などの導電性材料141が、第2のフォトレジスト層139の上にデポジットされる。誘電性材料141は、蒸発またはスパッタリングなどの任意の好適な手段を用いてデポジットさせることができる。
図13Hにおいて、フォトレジスト層139は除去されており、2つの突出電極21、23が剥離層131上に残されている。
【0186】
図13Iにおいて、突出電極21、23上にポリマー143がデポジットされる。ポリマー143は、光パターニング可能なポリマーであることができる。ポリマー143は、突出電極21、23上にスピン・コーティングすることができる。他の実施例においては、ポリマー143をデポジットさせるための他の手段を使用することができる。
図13Jでは、ポリマー143上に第3のフォトレジスト層145がデポジットされる。第3のフォトレジスト層145は、湾曲した支持構造7としてパターニングされる。湾曲した支持構造は、突出電極21、23のための第1の部分22、27を含むことができる。第3のフォトレジスト層145は同様に、追加の湾曲した構造65を提供するようにパターニング可能である。
【0187】
図13Jは、ポリマー143は同様に、紫外(UV)光にも曝露される。UV光147は、ポリマー143内の架橋数を増加させることによってUV光に曝露されているポリマー143を硬化する。UV光147に曝露されていないポリマー143の部分は、未架橋ポリマー143としてとどまる。
図13Kにおいて、第3のフォトレジスト層145および未架橋ポリマー143は除去される。こうして、湾曲した支持構造7と追加の湾曲した支持構造65が残される。
【0188】
図13Lにおいては、第4のフォトレジスト層149がデポジットされる。第4のフォトレジスト層149は、少なくとも1つの支持体5としてパターニングされる。
図13Lの実施例において、少なくとも1つの支持体5はビーム6を備えている。
図13Mにおいて、第4のフォトレジスト層に接してエラストマ層151が注型され、硬化される。
図13Nでは、第4のフォトレジスト層149と剥離層131が除去され、変形可能な基板3、ビーム6および突出電極21、23を含む湾曲した支持構造7を残す。
図13Oにおいて、構造は反転されて、上述の通りの装置1を残す。
【0189】
図13A〜13Oの方法を用いて生産された装置1は、第1の突出電極21と第2の突出電極23の両方共が湾曲した支持構造7の同じ側にデポジットされている。他の実施例では、第1の突出電極21および第2の突出電極23は、湾曲した支持構造7の相対する表面上にデポジットされ得る。このような例示的装置1は、湾曲した支持構造7のポリマーが2つの電極21、23を分離するため、誘電性絶縁材料63を必要としないと考えられる。
【0190】
このような代替的装置1を生産するために使用される方法は、
図13A〜13Oの方法に類似したものであり得る。ただし、誘電性絶縁材料63は必要とされないことから、
図13Eのブロックは削除できる。2つの突出電極21、23の間に湾曲した支持構造7が製造されるように、ブロック13F〜13Hの方法はブロック13I〜13Kの方法と入れ換えられると考えられる。
【0191】
図14A〜14Fは、変形可能な基板3の一部を提供するために使用できる方法を例示する。
図14A〜14Fの実施例において、変形可能な基板はオーバーレイ電極33を備えている。
【0192】
図14Aにおいて、フォトレジスト層161がシリコン基板163上にデポジットされる。フォトレジスト層161は、シリコン基板163上にスピン・コーティングすることができる。本開示の他の実施例においては、フォトレジスト層161をデポジットする他の手段を使用することができる。
【0193】
図14Bにおいて、フォトレジスト層161は、追加の支柱45としてパターニングされる。
図14Cにおいて、フォトレジスト層161に接してエラストマ層165が注型され、硬化される。このエラストマ層165は、変形可能な基板3の上部部分43の一部を形成することができる。
【0194】
図14Dにおいて、オーバーレイ電極33がエラストマ層165上に製造される。オーバーレイ電極33は、剛性誘電性材料または可撓性誘電性材料を含むことができる。オーバーレイ電極33は、任意の好適な手段、例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷、ピック・アンド・プレースまたは他の任意の好適な技術などを用いて製造できる。
【0195】
図14Eでは、オーバーレイ電極33の上にさらなるエラストマ層167がコーティングされる。さらなるエラストマ層167は、任意の好適な技術、例えばスピン・コーティングまたは任意の他の好適な技術を用いてコーティングできる。
【0196】
図14Fにおいて、フォトレジスト層161は除去されて、追加の支柱45および内蔵オーバーレイ電極33と共に、変形可能な基板3の上部部分43を残す。
【0197】
図15は、変形可能な基板3の上部部分43を変形可能な基板3の下部部分41と組合わせるために使用できる例示的方法を示す。変形可能な基板3の上部部分43は、
図14A〜14Fに関連して説明したように形成することができる。変形可能な基板3の下部部分41は、
図13A〜13Oに関連して説明したように形成することができる。変形可能な基板3の下部部分41は、湾曲した支持構造7および突出するセンサー21、23を備えることができる。
【0198】
図15の実施例において、上部部分43および下部部分41は、ボンディングを促進するための短時間のプラズマ処理の後、ロールトゥーロール・プロセスにおいてボンディングされる。
【0199】
図16Aおよび16Bは、例示的装置の内部で寄生キャパシタンスがもたらし得る効果を例示する。いくつかの例示的装置1において、装置1の突出電極21、23の間に寄生キャパシタンスが存在する可能性がある。いくつかの例示的装置1において、湾曲した支持構造7の縁部に沿って伸びる突出電極21、23の第2の部分25、28の間に寄生キャパシタンスが存在する可能性がある。寄生キャパシタンスは、装置1の感度を低下させる可能性がある。
【0200】
寄生キャパシタンスは、装置1が変形した場合でも変化しない。しかしながら、容量センサー31は、電極21、23間の寄生キャパシタンスが容量センサー31の測定されたキャパシタンスに比べて少なくとも1ケタ分低くなるように、配置可能である。
【0201】
図16Aは、本開示の実施例において使用できる幾何形状を有する例示的な湾曲支持構造7を示す。湾曲した支持構造7の幾何形状は、大きな応力が装置1に加わった場合に湾曲した支持構造7内には少量の歪みしか存在しないように、優れた歪み能力を提供するように選択することができる。
図16Aの湾曲した支持構造の寸法は、曲率半径200μm、トラック幅20μm、各区分の円弧角度270度である。他の実施例においては、他の寸法を使用できるということを認識すべきである。
【0202】
湾曲した支持構造7は、第1の突出電極21および第2の突出電極23を支持する。第1の突出電極21および第2の突出電極23は各々、湾曲した支持構造7の一側面から突出する第1の部分24、27を含む。第1の突出電極21および第2の突出電極23は各々、湾曲した支持構造7の縁部に沿って伸びる第2の部分25、28を含む。
図16A内の第1の部分24、27の寸法は、長さ150μmおよび幅100μmである。2つの突出電極21、23は、100ηmの厚みを有し、湾曲した支持構造7に沿って伸びる第2の部分25、28のトラック幅は1μmである。
【0203】
図16Bは、突出電極21、23とオーバーレイ電極33との間の離隔距離dの関数としての、容量センサー31のキャパシタンスに対する寄生キャパシタンスの比率を示す。
図16Bの実施例において、寄生キャパシタンスは、湾曲した支持構造7の縁部に沿って伸びる突出電極21、23の第2の部分25、28の間にある。
【0204】
図16Bから、300μmという大きな離隔距離dが存在する場合、容量センサー31のキャパシタンスは、寄生キャパシタンスよりも一ケタ分大きいことが分かる。大きい間隙は、装置を屈曲および/または撓みおよび/または他の形で変形させる自由度をより大きくすることができる。
【0205】
50μmという離隔距離dの間隙が存在する場合、容量センサー31のキャパシタンスは、寄生キャパシタンスよりも2ケタ分大きい。こうして、より高感度の容量センサー31を提供することができる。
【0206】
図16Aおよび16Bの実施例において、キャパシタンス値は、容量センサー31の部品間の空隙を仮定して計算された。上述の実施例において、この間隙の少なくとも一部分は、オーバーレイ電極33を支持するエラストマ薄膜で構成される。エラストマは、空気よりも大きい誘電率を有する。一例として、PDMSは、空気の2.3〜2.8倍の誘電率を有する。その結果、容量センサー31のキャパシタンスは増大する。容量センサー31のキャパシタンスに対する寄生キャパシタンスの比率は、突出電極21、23の第1の部分24、27の寸法を増大させること、および/またはこれらの部分の表面上に誘電性媒質を導入することによって、さらに改善することができる。
【0207】
本開示の実施例は、装置1の変形を検出するように構成できる変形可能な装置1を提供する。容量センサー31のアレイ61を装置1の内部に組込んで、異なる変形タイプおよび/または変形方向を検出することができる。これにより、装置1の変形についての正確な情報を得ることが可能になる。
【0208】
容量センサー31のアレイ61を市販の電子機器により読取ることができるように、容量センサー31を配置することができる。容量センサー31のアレイ61は、任意の数の容量センサー31を備えることができる。こうして、多数の容量センサー31から情報を得ることが可能になる。
【0209】
装置1の実施例において、湾曲した支持構造7は、この湾曲した支持構造7を変形可能な基板3から間隔をおいて位置づけできるようにする少なくとも1つの支持体5を介して、変形可能な基板3に結合されている。ユーザーが変形可能な基板3に力を加えた場合、このことにより、変形可能な基板3のサイズまたは形状に変化がもたらされる可能性がある。湾曲した支持構造7は変形可能な基板3に直接結合されていないことから、変形可能な基板に加わった力は、湾曲した支持構造7にも加わらない。このことはすなわち、導電性部分が変形可能な基板と同じように屈曲したりサイズまたは形状を変えたりしないことを意味する。こうして、湾曲した支持構造7内部の応力の量を削減し、疲労に起因する不具合の確率を低減させることができる。
【0210】
本明細書中で、「備える、含む(comprise)」なる用語は、排他的ではなく包括的意味で使用されている。すなわち、Yを含むXに対するあらゆる言及は、Xが1つのYのみを含むことができるか、または2つ以上のYを含むことができるということを表わす。排他的意味で「comprise」を使用することが意図される場合には、「〜1つの...のみを含む」に言及することによって、あるいは「から成る(consisting)」を使用することによって、文脈中で明確にされる。
【0211】
この簡単な説明の中で、さまざまな実施例に対する言及がなされてきた。1つの実施例との関係における特徴または機能の説明は、これらの特徴または機能がその実施例内に存在することを標示する。本文中の「例(example)」または「例えば(for example)または「〜できる(may)」なる用語の使用は、明示的に述べられているか否かに関わらず、このような特徴または機能が、一例として説明されているか否かに関わらず少なくとも説明された例中に存在すること、およびそれらが、いくつかのまたは全ての他の例中に存在し得るものの必ずしも存在するとはかぎらないことを意味する。したがって、「example」、「for example」または「may」は、1クラスの実施例における特定の事例を意味する。この事例の特性は、その事例のみの特性、またはそのクラスの特性またはそのクラス内の全ての事例ではないがいくつかの事例を含むそのクラスのサブクラスの特性であり得る。したがって、1つの実施例に関して説明されているものの別の実施例に関しては説明されていない特徴が、可能な場合、このもう1つの実施例中でも使用可能であるものの、必ずしもこのもう1つの実施例中で使用しなければならないわけではない、ということが黙示的に開示される。
【0212】
本開示の実施例が、さまざまな実施例に関連して先行する段落中で記述されてきたが、請求されている本発明の範囲から逸脱することなく、与えられた実施例に対して修正を加えることができるということを認識すべきである。
【0213】
先行する説明の中に記載された特徴は、明示的に記載された組合せ以外の組合せで使用することができる。
【0214】
一定の特徴に関連して機能が説明されてきたが、これらの機能は、記載されているか否かに関わらず他の特徴によっても実行可能であり得る。
【0215】
一定の実施例に関連して特徴が説明されてきたが、これらの特徴は、記載されているか否かに関わらず他の実施例中にも同様に存在することができる。
【0216】
以上の明細書中では極めて重要であると考えられている本発明の特徴に注意を引くよう努めてきたが、特に強調されてきたか否かに関わらず、以上で言及されおよび/または図面中で示されてきた特許性あるあらゆる特徴または特徴の組合せに関する保護を出願人が請求していることを理解すべきである。