(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の戸では、被覆板を戸体側の構成部材である連結材(梁部材)に取り付ける必要がある。このため、戸の施工時には、ルーバー羽根の取付工程とは別に被覆板の取付工程を設定しなければならず、施工工数を削減することが困難である。
【0005】
本発明の目的は、ルーバー端部での光漏れを防止できるうえ、簡単に施工できる可動ルーバーおよび建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可動ルーバーは、ルーバー本体と、前記ルーバー本体の端部に取り付けられた取付体と、前記取付体を回動可能に支持する支持体とを備え、前記取付体は、前記支持体に向かって突出して形成された第一遮光突出部を有し、前記支持体は、前記取付体に向かって突出して形成された第二遮光突出部を有し、
前記取付体および前記支持体のうちのいずれか一方には、軸体が形成され、前記取付体および前記支持体のうちのいずれか他方には、前記軸体を回動可能に軸支する軸受体が形成され、前記第一遮光突出部は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置にある状態において前記第二遮光突出部と重なって位置することを特徴とする。
【0007】
本発明の可動ルーバーによれば、例えば、ドアなどに形成された通気用の開口に設置された可動ルーバーが開口の閉鎖位置に位置した場合、取付体は支持体に対して閉鎖位置に位置し、第一遮光突出部と第二遮光突出部とが重なるので、取付体と支持体との間から光が漏れることを防止できる。
また、可動ルーバー自体が第一遮光突出部と第二遮光突出部とを備えているため、この可動ルーバーの取り付けに加えて、光漏れ防止用の被覆板などをドアなどに取り付ける必要をなくせ、施工工程を削減でき、可動ルーバーを簡単に施工できる。
【0008】
本発明の可動ルーバーでは、前記取付体および前記支持体に形成され、前記取付体の前記支持体に対する最大回動角を規制する規制部を有することが好ましい。
このような構成によれば、規制部によって取付体の支持体に対する最大回動角を規制することで、ドアなどの開口に設置された可動ルーバーによる開口の開放状態を設定でき、例えば、開口の開放面積や開口の開放状態における可動ルーバーの向きを設定できる。
【0009】
本発明の可動ルーバ
ーは、
ルーバー本体と、前記ルーバー本体の端部に取り付けられた取付体と、前記取付体を回動可能に支持する支持体とを備え、前記取付体は、前記支持体に向かって突出して形成された第一遮光突出部を有し、前記支持体は、前記取付体に向かって突出して形成された第二遮光突出部を有し、前記第一遮光突出部は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置にある状態において前記第二遮光突出部と重なって位置し、前記取付体および前記支持体に形成され、前記取付体の前記支持体に対する最大回動角を規制する規制部を有し、前記第一遮光突出部および前記第二遮光突出部は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置にある状態において互いに当接する当接面をそれぞれ有し、前記規制部は、前記取付体に形成された規制当り面と、前記支持体に形成された規制受け面とを有し、前記規制当り面は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置にある状態において、前記取付体の前記支持体に対する回動軸心から離間するにつれて前記各当接面から離間するように、傾斜していること
を特徴とする。
このような構成によれば、
例えば、ドアなどに形成された通気用の開口に設置された可動ルーバーが開口の閉鎖位置に位置した場合、取付体は支持体に対して閉鎖位置に位置し、第一遮光突出部と第二遮光突出部とが重なるので、取付体と支持体との間から光が漏れることを防止できる。
また、可動ルーバー自体が第一遮光突出部と第二遮光突出部とを備えているため、この可動ルーバーの取り付けに加えて、光漏れ防止用の被覆板などをドアなどに取り付ける必要をなくせ、施工工程を削減でき、可動ルーバーを簡単に施工できる。
更に、規制部によって取付体の支持体に対する最大回動角を規制することで、ドアなどの開口に設置された可動ルーバーによる開口の開放状態を設定でき、例えば、開口の開放面積や開口の開放状態における可動ルーバーの向きを設定できる。
加えて、取付体が支持体に対して閉鎖位置から回動した場合、第一遮光突出部は第二遮光突出部に対して傾斜した状態となるが、規制当り面が、取付体の支持体に対する回動軸心から離間するにつれて当接面から離間するように傾斜しているので、規制当り面と規制受け面とを面接触させることができ、最大回動位置での可動ルーバーの回動規制を安定して行うことができる。
【0010】
本発明の可動ルーバ
ーは、
ルーバー本体と、前記ルーバー本体の端部に取り付けられた取付体と、前記取付体を回動可能に支持する支持体とを備え、前記取付体は、前記支持体に向かって突出して形成された第一遮光突出部を有し、前記支持体は、前記取付体に向かって突出して形成された第二遮光突出部を有し、前記第一遮光突出部は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置にある状態において前記第二遮光突出部と重なって位置し、前記取付体および前記支持体のうちのいずれか一方は、係合部を有し、前記取付体および前記支持体のうちのいずれか他方は、被係合部を有し、前記係合部は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置に位置する際に前記被係合部に係合可能に構成されること
を特徴とする。
このような構成によれば、
例えば、ドアなどに形成された通気用の開口に設置された可動ルーバーが開口の閉鎖位置に位置した場合、取付体は支持体に対して閉鎖位置に位置し、第一遮光突出部と第二遮光突出部とが重なるので、取付体と支持体との間から光が漏れることを防止できる。
また、可動ルーバー自体が第一遮光突出部と第二遮光突出部とを備えているため、この可動ルーバーの取り付けに加えて、光漏れ防止用の被覆板などをドアなどに取り付ける必要をなくせ、施工工程を削減でき、可動ルーバーを簡単に施工できる。
更に、係合部と被係合部との係合によって可動ルーバーの閉鎖状態を維持できる。例えば、可動ルーバーがドアの開口に設置された場合、ドアの振動によって可動ルーバーに回動方向の力が加わったり、ドアの開閉動作時に可動ルーバーが気体の圧力を受けたりすることで、可動ルーバーが意図しないで開放回動する可能性がある。このような意図しない可動ルーバーの開放回動を防止するために、取付体の支持体に対する回動抵抗を増やすことが考えられるが、この回動抵抗を増やすと可動ルーバーの操作が重くなってしまう。そこで、取付体が支持体に対して閉鎖位置に位置する際に被係合部を係合部に係合させることで、可動ルーバーの操作を重くさせることなく、可動ルーバーの閉鎖状態を維持できる。
【0011】
本発明の可動ルーバ
ーは、
ルーバー本体と、前記ルーバー本体の端部に取り付けられた取付体と、前記取付体を回動可能に支持する支持体とを備え、前記取付体は、前記支持体に向かって突出して形成された第一遮光突出部を有し、前記支持体は、前記取付体に向かって突出して形成された第二遮光突出部を有し、前記第一遮光突出部は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置にある状態において前記第二遮光突出部と重なって位置し、前記取付体および前記支持体のうちのいずれか一方には、軸体が形成され、前記取付体および前記支持体のうちのいずれか他方には、前記軸体を回動可能に軸支する軸受体が形成され、前記第一遮光突出部および前記第二遮光突出部は、前記軸体および前記軸受体の中心を基準に点対称に設けた一対の突出部によってそれぞれ構成され、前記各一対の突出部の端部は、前記取付体および前記支持体の厚さ方向において前記軸受体と重なる位置に設けられること
を特徴とする。
このような構成によれば、
例えば、ドアなどに形成された通気用の開口に設置された可動ルーバーが開口の閉鎖位置に位置した場合、取付体は支持体に対して閉鎖位置に位置し、第一遮光突出部と第二遮光突出部とが重なるので、取付体と支持体との間から光が漏れることを防止できる。
また、可動ルーバー自体が第一遮光突出部と第二遮光突出部とを備えているため、この可動ルーバーの取り付けに加えて、光漏れ防止用の被覆板などをドアなどに取り付ける必要をなくせ、施工工程を削減でき、可動ルーバーを簡単に施工できる。
更に、取付体が支持体に対して閉鎖位置にある際、各一対の突出部の端部が軸受体と重なるため、各一対の突出部と軸部との間に隙間が形成されることがない。このため、各一対の突出部と軸受体との間から光が漏れることを防止できる。
【0012】
本発明の可動ルーバーでは、
ルーバー本体と、前記ルーバー本体の端部に取り付けられた取付体と、前記取付体を回動可能に支持する支持体とを備え、前記取付体は、前記支持体に向かって突出して形成された第一遮光突出部を有し、前記支持体は、前記取付体に向かって突出して形成された第二遮光突出部を有し、前記第一遮光突出部は、前記取付体が前記支持体に対して閉鎖位置にある状態において前記第二遮光突出部と重なって位置し、前記取付体および前記支持体のうちのいずれか一方には、軸体が形成され、前記取付体および前記支持体のうちのいずれか他方には、前記軸体を回動可能に軸支する軸受体が形成され、前記軸体および前記軸受体のうちのいずれか一方の周面は、前記軸体の周方向に沿って凹凸形状とされ、前記軸体および前記軸受体のうちのいずれか他方には、前記軸体の周面に当接する可撓性を有した掛止部が形成されること
を特徴とする。
このような構成によれば、
例えば、ドアなどに形成された通気用の開口に設置された可動ルーバーが開口の閉鎖位置に位置した場合、取付体は支持体に対して閉鎖位置に位置し、第一遮光突出部と第二遮光突出部とが重なるので、取付体と支持体との間から光が漏れることを防止できる。
また、可動ルーバー自体が第一遮光突出部と第二遮光突出部とを備えているため、この可動ルーバーの取り付けに加えて、光漏れ防止用の被覆板などをドアなどに取り付ける必要をなくせ、施工工程を削減でき、可動ルーバーを簡単に施工できる。
更に、軸受体の掛止部が軸体の周面の凹部分に位置した際に、取付体の支持体に対する回動角を保持する保持力が生じる。また、手動操作により取付体に回動力が加わると、掛止部が撓められて軸体の周面の凹部分から外れるので、取付体を回動することができる。これにより、取付体の回動操作が可能でありながら一定間隔毎の回動角を保持できる。
【0013】
本発明の建具は、開口が形成された障子と、前記障子の開口に回動可能に設けられる前述した本発明の可動ルーバーとを備えることを特徴とする。
本発明の建具によれば、前述した本発明の可動ルーバーと同様の作用効果を発揮する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ルーバー端部での光漏れを防止できるうえ、簡単に施工できる可動ルーバーおよび建具を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図3において、本実施形態に係る建具である室内ドア1は、建物内部の部屋内(一方の空間)と廊下などの部屋外(他方の空間)とを仕切る壁部の開口に開閉可能に設けられる。
室内ドア1は、戸であるドア本体2と、ドア本体2に形成された通気用の開口21に回動可能に設けられた可動ルーバー3とを備えて構成されている。開口21は、中桟22によって上下二つに仕切られており、このように仕切られた各開口21に対し可動ルーバー3がそれぞれ設けられている。
【0017】
ドア本体2には、開口21の四周を規定する額縁23が設けられている。上下の額縁23は、
図2に示す連結材24を挟持しており、左右の額縁23は、
図3に示す戸当り材25を挟持している。また、中桟22には、連結材24がはめ込まれている。なお、ドア本体2には、ハンドル(図示省略)などが設けられている。
【0018】
連結材24は、例えば
図5に示すように、後述するキャップ受体60の軸受体61、差込み突部64が挿入される保持穴241、差込み穴242を有している。差込み穴242は二つあり、保持穴241は二つの差込み穴242の間であって連結材24の中央に位置している。
戸当り材25は、
図3において断面L字状であって上下方向に延びて形成され、可動ルーバー3側に突出した戸当り部251を有している。戸当り部251には、気密材252が取り付けられている。また、左右の戸当り材25は、室内ドア1の見込み方向において互いに逆向きに配置されている。右側の戸当り材25の戸当り部251は、部屋外側に位置し、左側の戸当り材25の戸当り部251は、部屋内側に位置している。
【0019】
中桟22によって二つに仕切られた各開口21に設けられる二つの可動ルーバー3は、互いに同様に構成されている。可動ルーバー3は、
図4〜6に示すように、ルーバー本体4と、取付体であるキャップ本体50と、支持体であるキャップ受体60とを備えて構成されている。キャップ本体50がキャップ受体60に回動可能に支持されることによって組合せ体5が構成されている。この組合せ体5は、ルーバー本体4の両端にそれぞれ取り付けられている。
【0020】
ルーバー本体4は、アルミ押出形材によって上下方向に延びて形成され、ドア本体2の厚さ寸法よりも小さい厚さ寸法とされている。
図3に示すように、ルーバー本体4の内部は中空とされ、ビスホール41が設けられている。ルーバー本体4の幅方向の両端部には、
図3に示すように、当該幅方向に延出した延出部42が形成されている。
図3に実線で示すルーバー本体4において、右側の延出部42は部屋外側に位置し、左側の延出部42は部屋内側に位置している。両延出部42は、可動ルーバー3が
図3に実線で示すように閉鎖位置にある場合に、両戸当り材25の気密材252にそれぞれ当接する。なお、ルーバー本体4は、アルミ押出形材のほかにも、木製、樹脂製として形成可能である。
【0021】
ルーバー本体4の両端に取り付けられた一対の組合せ体5は、ルーバー本体4の上下方向の両端部を支持可能に互いに同様に構成されている。
【0022】
キャップ本体50は、合成樹脂製であり、
図7,8に示すように、軸体51と、第一遮光突出部52と、被係合部である被係合爪部53と、嵌合溝部54と、止めネジ挿通用の孔55とを有して構成されている。また、キャップ本体50は、ルーバー本体4の延出部42と同様の延出部56を有して構成されている。
【0023】
軸体51は、キャップ受体60側に位置するキャップ本体50の一方の面(表面)の中央部分から突出して略円筒状に形成された軸本体511と、軸本体511の周囲に形成された環状溝512とを有して構成されている。軸本体511の外周面511Aは、軸本体511の周方向に沿って凹凸形状とされている。
【0024】
第一遮光突出部52は、キャップ本体50の表面から突出して形成された一対の突出部521,522によって構成されている。
突出部521は、
図8(A)において軸体51に対して左側に設けられ、突出部522は、軸体51に対して右側に設けられて軸体51の回動軸心57を基準に点対称に位置している。可動ルーバー3が閉鎖位置にある状態では、突出部521はキャップ本体50の厚さ方向において軸体51の回動軸心57よりも部屋外側に位置し、突出部522はキャップ本体50の厚さ方向において回動軸心57よりも部屋内側に位置する。
【0025】
突出部521は、
図8(A),
図8(B)において軸体51からキャップ本体50の一方の端部である延出部56まで横方向に延びて形成されている。突出部521の軸体51側の端部は、環状溝512を規定しているキャップ本体50の溝規定面58の位置まで延出されている。
突出部522は、
図8(A),
図8(B)において軸体51からキャップ本体50の他方の端部である延出部56まで横方向に延びて形成されている。突出部522の軸体51側の端部は、溝規定面58の位置まで延出されている。
【0026】
突出部521,522は、
図6(A)に示すようにキャップ本体50がキャップ受体60に対して閉鎖位置にある状態において、キャップ受体60の後述する第二遮光突出部62に当接する当接面523と、キャップ本体50がキャップ受体60に対して最大限回動した状態(本実施形態では、キャップ本体50が閉鎖位置から150°回動した状態)において、キャップ受体60の後述する規制受け面624に当接する規制当り面524とをそれぞれ有している。各当接面523は、軸体51側からキャップ本体50の端部まで当該キャップ本体50の長手方向に沿って真っ直ぐに延びて形成されている。各規制当り面524は各当接面523に沿って平行に延びている。
【0027】
被係合爪部53は、一方の延出部56に位置する突出部521の端部と、他方の延出部56に位置する突出部522の端部とにそれぞれ形成されている。
嵌合溝部54は、ルーバー本体4側に位置するキャップ本体50の他方の面(裏面)に形成されている。嵌合溝部54は、ルーバー本体4の端部に嵌合可能な形状とされている。
孔55は、キャップ本体50の両端側にそれぞれ設けられている。孔55の周辺位置には、窪み部59が形成されている。
【0028】
キャップ受体60は、合成樹脂製であり、
図9,10に示すように、軸受体61と、第二遮光突出部62と、係合部である係合爪部63と、差込み突部64とを有して構成されている。
軸受体61は、キャップ本体50側に位置するキャップ受体60の一方の面(表面)の中央部分から突出して円筒状に形成された軸受本体611と、連結材24側に位置するキャップ受体60の他方の面(裏面)の中央部分から三分割されて延出した円弧状の延出片612と、三つの延出片612間にそれぞれ形成された三つの掛止部613とを有して構成されている。
軸受本体611と三つの延出片612とによって軸本体511が挿入される軸孔614が形成されている。
掛止部613は、可撓性を有し、三つの延出片612よりも軸孔614側に突出して形成されている。このように構成された掛止部613は、軸受体61に挿入される軸本体511の凹凸形状の外周面511Aに摺動可能に当接している。
このような軸受体61は、軸体51とともに軸部70を構成している。
【0029】
第二遮光突出部62は、キャップ受体60の表面から突出して形成された一対の突出部621,622によって構成されている。突出部621は、
図10(A)において軸受本体611に対して左側に設けられ、突出部622は、軸受本体611に対して右側に設けられて軸受体61の回動軸心67を基準に点対称に位置している。
図10(B)に示すように、突出部621,622の突出高さ寸法L1は、軸受本体611の突出高さ寸法L2よりも小さい。
【0030】
突出部621は、
図10(A),
図10(B)において軸受本体611からキャップ受体60の一方の端部まで横方向に延びて形成されている。突出部621は、キャップ本体50が閉鎖位置にある状態において突出部521の当接面523に当接する当接面623と、キャップ本体50がキャップ受体60に対して最大限回動した状態において、突出部522の規制当り面524に当接する規制受け面624とを有している。
突出部622は、
図10(A),
図10(B)において軸受本体611からキャップ受体60の他方の端部まで横方向に延びて形成されている。突出部622は、キャップ本体50が閉鎖位置にある状態において突出部522の当接面523に当接する当接面623と、キャップ本体50がキャップ受体60に対して最大限回動した状態において、突出部521の規制当り面524に当接する規制受け面624とを有している。
突出部621,622は互いに同様に形成されているが、突出部622は突出部621に対して逆向きに設けられている。
【0031】
各当接面623は、軸受本体611からキャップ受体60の端部まで当該キャップ受体60の長手方向に真っ直ぐに延びて形成されている。
突出部621の規制受け面624は、キャップ受体60の長手方向において回動軸心57からキャップ受体60の一方の端部に向かって離間するにつれて突出部621の当接面623から部屋内側へ離間するように傾斜している。このように規制受け面624が傾斜することで、突出部621には略三角形状部分が形成されている。
突出部622の規制受け面624は、キャップ受体60の長手方向において回動軸心57からキャップ受体60の他方の端部に向かって離間するにつれて突出部622の当接面623から部屋外側へ離間するように傾斜している。このように規制受け面624が傾斜することで、突出部622には略三角形状部分が形成されている。
規制受け面674は、キャップ本体50がキャップ受体60に対して閉鎖位置にある状態では、回動軸心57から離間するにつれて、各当接面623だけではなく各当接面523からも離間するように位置する。
各規制受け面624は、キャップ本体50がキャップ受体60に対して最大回動角として設定した最大回動位置まで回動した状態で、各規制当り面524に当接し、キャップ本体50の前述した最大回動角を超える回動位置への回動を規制する。なお、各規制当り面524と各規制受け面624とによって規制部80が構成されている。
【0032】
係合爪部63は、キャップ本体50の両端にそれぞれ設けられ、各規制受け面624側から各当接面623側に向かって延出して形成されている。
差込み突部64は、
図10(B),
図10(C)に示すように、連結材24側に位置するキャップ受体60の裏面から突出して形成されており、軸受体61の両側に設けられている。
【0033】
キャップ本体50の突出部521,522および被係合爪部53は、回動軸心57を基準に点対称とされている。また、キャップ受体60の突出部621,622および係合爪部63は、回動軸心57を基準に点対称とされている。
キャップ本体50の長手方向における突出部521,522の離間幅寸法L3(
図8(A)参照)は、軸受本体611の径寸法L5(
図10(A)参照)よりも小さい。このため、突出部521,522の軸部70側の端部は、径寸法L5から離間幅寸法L3を差し引いた重なり幅寸法L6の分だけ、キャップ本体50の厚さ方向において軸部70と重なって位置している。
キャップ受体60の長手方向における突出部621,622の離間幅寸法L4(
図10(A)参照)は、軸受本体611の径寸法L5(
図10(A)参照)よりも小さい。このため、突出部621,622の軸部70側の端部は、径寸法L5から離間幅寸法L4を差し引いた重なり幅寸法L6の分だけ、キャップ受体60の厚さ方向において軸部70と重なって位置している。
【0034】
第一遮光突出部52、第二遮光突出部62は、
図4,
図6(A)に示すように、キャップ本体50がキャップ受体60に対して閉鎖位置に位置した状態で互いに重ねあわされる。つまり、突出部521,621の各当接面523,623が互いに当接するとともに、突出部522,622の各当接面523,623が互いに当接する。この際、被係合爪部53は係合爪部63に解除可能に係合される。
また、
図6(B)に示すように、キャップ本体50がキャップ受体60に対して回動軸心57を中心としてR方向に最大限回動した状態では、突出部521,522の各規制当り面524が突出部621,622の各規制受け面624にそれぞれ面接触し、キャップ本体50のキャップ受体60に対する最大回動角を規制する。なお、本実施形態では、最大回動角は150°に設定されており、この設定に対応して、規制受け面624の当接面623に対する傾斜角度は30°に設定されている。
【0035】
[可動ルーバーの施工]
以下、可動ルーバー3の施工手順について説明する。
先ず、可動ルーバー3を組み立てる。具体的には、一つのルーバー本体4に対して二つの組合せ体5を準備する。次に、各キャップ本体50の嵌合溝部54にルーバー本体4の両端部をそれぞれ挿入し、止めネジ(図示省略)を各孔55に通してルーバー本体4のビスホール41に螺合して、キャップ本体50をルーバー本体4に取り付ける。つづいて、各キャップ受体60の軸孔614に各キャップ本体50の軸本体511を挿入して、キャップ本体50をキャップ受体60に回動可能に連結する。
ここで、軸本体511の凹凸形状の外周面511Aの凹部分は、キャップ受体60の掛止部613と係合する。このため、掛止部613が軸本体511の外周面511Aの凹部分に位置した際に、キャップ本体50のキャップ受体60に対する回動角を保持する保持力が生じる。また、手動操作によりキャップ本体50に回動力が加わると、掛止部613が撓められて軸本体511の外周面511Aの凹部分から外れるので、キャップ本体50を回動することができる。これにより、キャップ本体50の回動操作が可能でありながらキャップ本体50の一定間隔毎の回動角(本実施形態では30°毎の回動角)を保持できる。
このようにして、可動ルーバー3をドア本体2の開口21の数に応じて二つ組み立てる。
【0036】
次に、各可動ルーバー3をドア本体2に取り付ける。具体的には、各キャップ受体60の延出片612、差込み突部64を各連結材24の保持穴241、差込み穴242に差し込み、上側の可動ルーバー3の下端側に位置する連結材24と下側の可動ルーバー3の上端側に位置する連結材24とを中桟22にはめ込んで、二つの可動ルーバー3の組合せ体を構成する。つづいて、この組合せ体をドア本体2の開口21に配置し、額縁23により部屋内外側から挟持する。そして、額縁23をドア本体2にビス止めする。
このようにして、各可動ルーバーをドア本体2に取り付けて、室内ドア1を構成する。
【0037】
[可動ルーバーの動作]
以下、可動ルーバー3の開閉動作について説明する。
図1〜4は、可動ルーバー3が開口21の閉鎖位置にある状態をしており、
図3は、可動ルーバー3が90度回動して開口21を最大開放した最大開放位置にある状態と可動ルーバー3が最大限回動した最大回動位置にある状態とを示している。
図3において、閉鎖位置に位置した状態の可動ルーバー3は実線で示し、前述した最大開放位置に位置した状態の可動ルーバー3には符号3Aを付して二点鎖線で示し、前述した最大回動位置に位置した状態の可動ルーバー3には、符号3Bを付して二点鎖線で示している。
【0038】
可動ルーバー3の開放動作は次の通りである。閉鎖位置にある可動ルーバー3が手動操作されると、ルーバー本体4およびキャップ本体50はキャップ受体60に対して回動軸心57を中心としてR方向(開放方向)に回動する。この際、被係合爪部53は係合爪部63から外され、ルーバー本体4の各延出部42が各戸当り材25の気密材252から離間するので、開口21は開放されはじめ、可動ルーバー3はドア本体2に対して傾斜される。
つづけて、ルーバー本体4およびキャップ本体50をR方向に90度回動すると、ルーバー本体4およびキャップ本体50は最大開放位置に到達し、開口21の開放面積はもっとも広がった状態となる。
さらに、ルーバー本体4およびキャップ本体50をR方向に回動すると、開口21の開放面積は狭まり、可動ルーバー3は前述した傾斜とは逆向きに傾斜されて気流の案内向きも逆向きとされる。そして、ルーバー本体4およびキャップ本体50が最大回動位置に到達すると、第一遮光突出部52の各規制当り面524が第二遮光突出部62の各規制受け面624に当接し、ルーバー本体4およびキャップ本体50のさらなるR方向の回動を規制する。
このようにして、可動ルーバー3は開放動作を行う。
【0039】
可動ルーバー3の閉鎖動作は次の通りである。最大回動位置にある可動ルーバー3を手動操作により閉鎖方向に回動すると、ルーバー本体4およびキャップ本体50は、最大開放位置を経て閉鎖位置に到達する。ルーバー本体4およびキャップ本体50が閉鎖位置に到達した際、被係合爪部53は係合爪部63に係合するとともに、ルーバー本体4の各延出部42は各戸当り材25の気密材252に当接し、そして、第一遮光突出部52は第二遮光突出部62に重なって位置し、キャップ本体50とキャップ受体60との間を通ろうとする光を遮光する。
このようにして、可動ルーバー3は閉鎖動作を行う。
【0040】
[本実施形態の効果]
(1)キャップ本体50はキャップ受体60に対して閉鎖位置に位置した場合には、第一遮光突出部52と第二遮光突出部62とが重なるので、キャップ本体50とキャップ受体60との間から光が漏れることを防止できる。
また、可動ルーバー3自体が第一遮光突出部52、第二遮光突出部62を備えているため、この可動ルーバー3の取り付けに加えて、光漏れ防止用の被覆板などをドア本体2に取り付ける必要をなくせ、施工工程を削減でき、可動ルーバー3を簡単に施工できる。
(2)規制部80によってキャップ本体50のキャップ受体60に対する最大回動角を規制することで、可動ルーバー3による開口21の開放状態を設定できる。つまり、開口21の開放面積や開口21の開放状態における可動ルーバー3の向きを設定できる。
(3)キャップ本体50がキャップ受体60に対して閉鎖位置から回動した場合、第一遮光突出部52は第二遮光突出部62に対して傾斜した状態となるが、各規制受け面624が回動軸心57から離間するにつれて各当接面623から離間するように傾斜しているので、規制当り面524を規制受け面624に面接触させることができ、最大回動位置での可動ルーバー3の回動規制を安定して行うことができる。
【0041】
(4)例えば、可動ルーバー3が開口21に設置された場合、室内ドア1の振動によって可動ルーバー3に回動方向の力が加わったり、室内ドア1の開閉動作時に可動ルーバー3が気体の圧力を受けたりすることで、可動ルーバー3が意図しないで開放回動する可能性がある。このような意図しない可動ルーバー3の開放回動を防止するために、キャップ本体50のキャップ受体60に対する回動抵抗を増やすことが考えられるが、この回動抵抗を増やすと可動ルーバー3の操作が重くなってしまう。これに対し、本実施形態では、キャップ本体50がキャップ受体60に対して閉鎖位置に位置する際に被係合爪部53を係合爪部63に係合させることで、可動ルーバー3の操作を重くさせることなく、可動ルーバー3の閉鎖状態を維持できる。
(5)キャップ本体50がキャップ受体60に対して閉鎖位置にある際、各一対の突出部521,522,621,622の軸部70側の端部が軸受体61と重なるため、突出部521,522,621,622と軸受体61との間に隙間が形成されることがない。このため、突出部521,522,621,622と軸部70との間から光が漏れることを防止できる。
(6)掛止部613が軸本体511の外周面511Aの凹部分に位置した際に、キャップ本体50のキャップ受体60に対する回動角を保持する保持力が生じる。また、手動操作によりキャップ本体50に回動力が加わると、掛止部613が撓められて軸本体511の外周面511Aの凹部分から外れるので、キャップ本体50を回動することができる。これにより、キャップ本体50の回動操作が可能でありながら一定間隔毎の回動角を保持できる。
【0042】
[変形例]
なお、本発明は以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、被係合爪部53、係合爪部63を備えて可動ルーバー3の閉鎖状態を保持可能に構成されているが、これに限定されず、被係合爪部53、係合爪部63の構成が省略されていてもよい。
【0043】
前記実施形態では、軸本体511の外周面511Aが凹凸形状に形成されるとともに、軸受体61に掛止部613が形成され、キャップ本体50のキャップ受体60に対する一定間隔毎の回動角を保持可能に構成されているが、これに限定されず、例えば、軸受体61から掛止部613の構成が省略され、軸受体61の軸受本体611の内周面および/または延出片612の内周面が軸受体61の周方向に沿って凹凸形状に形成されるとともに、凹凸形状に形成された軸受本体611の内周面および/または延出片612の内周面に摺動可能に当接する掛止部が、軸本体511の外周面511Aに設けられていてもよく、このように構成されていても、キャップ本体50のキャップ受体60に対する一定間隔毎の回動角を保持できる。
また、外周面511Aが円滑な円弧面で形成され、軸受体61から掛止部613の構成が省略されていてもよい。
【0044】
前記実施形態では、規制戸当り面524および規制受け面624によって規制部80が構成されているが、これに限定されず、例えば、キャップ本体50から突出して形成された規制戸当り部と、キャップ受体60から突出して形成された戸当り受けピンとによって規制部80が構成されていてもよい。
【0045】
前記実施形態では、当接面523および当接面523と平行な規制戸当り面524を有した第一遮光突出部52がキャップ本体50に設けられるとともに、当接面623および当接面623に対して傾斜した規制受け面624を有した第二遮光突出部62がキャップ受体60に設けられているが、これに限定されない。例えば、当接面623および当接面623に対して傾斜した規制受け面624を有した第二遮光突出部62がキャップ本体50に設けられるとともに、当接面523および当接面523と平行な規制戸当り面524を有した第一遮光突出部52がキャップ受体60に設けられていてもよい。
【0046】
前記実施形態では、各規制当り面524は、各当接面523に沿って平行に延びているが、これに限定されず、例えば、回動軸心57から離間するにつれて各当接面523から離間するように傾斜していてもよい。この場合、各規制受け面624は、可動ルーバー3が最大回動位置にある際に、各規制当り面524と面接触可能な傾斜角に設定される。
また、各規制受け面624は各当接面623に対して傾斜しているが、これに限定されず、各当接面623に沿って平行に延びていてもよい。この場合、各規制当り面524は、回動軸心57から離間するにつれて各当接面523から離間するように傾斜し、可動ルーバー3が最大回動位置にある際に各規制受け面624と面接触可能に構成される。
【0047】
前記実施形態では、上下二枚の可動ルーバー3がドア本体2に設置されているが、これに限定されず、例えば、可動ルーバー3が横方向に二つ以上並設されていてもよく、また、上下左右に二つ以上の可動ルーバー3が並設されていてもよい。
【0048】
前記実施形態では、可動ルーバー3は、上下方向に延びた回動軸心57を中心として回動可能にドア本体2に設けられているが、これに限定されず、例えば、横方向に延びた回動軸心を中心として回動可能にドア本体2に設けられていてもよい。この場合、ルーバー本体4の両端に位置する組合せ体5は、左右に配置される。
【0049】
前記実施形態では、ルーバー本体4は採光部分を備えていない一枚の面材によって構成されているが、これに限定されず、例えば、透光性を有したガラスパネルなどの採光部を備えた面材によって構成されていてもよい。
【0050】
前記実施形態では、建具として室内ドア1を挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、屋内外を仕切る玄関ドアでもよく、また、戸、障子などの各種の建具であってもよい。