(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、特に都市部において、景観の向上や円滑な道路交通の確保を目的とする地中電線路の一種として、配電線や通信線などの複数種類のケーブルを地中に埋設して無電柱化するための、電線共同溝の整備が進められている。
電線共同溝(「C.C.BOX」ともいう。)とは、電線の設置及び管理を行う2以上の事業者のケーブルを収容するために、道路管理者が道路の地下に設ける施設のことをいう。電線共同溝の構成要素は、本線区間と特殊区間とに大別される。
【0003】
本線区間は、道路管理者、電力、通信及び放送事業者等のケーブル(以下、本明細書において単に「ケーブル」という。)が内部に収容される、道路の縦断方向に沿った管路部分のことである。
本線区間には、本線区間の内部のケーブルを電柱等の周辺設備に連結するための連系管路と、本線区間の内部のケーブルを需要家に供給するための引込管などが接続される。
【0004】
特殊区間は、他の本線区間への分岐や接続を行うための分岐桝や、内部でケーブルの接続を行うための接続桝などの総称であり、例えば、本線区間の間に介在されるU字溝やボックス体などよりなる。
電線共同溝の施工方式の1つとして、歩道の地盤に比較的小型のトラフを埋設し、このトラフの内部にケーブルのさや管を収容する「トラフ方式」がある(例えば、特許文献1の
図9参照)。
【0005】
図5は、従来のトラフ方式の電線共同溝を示す歩道の開削状態の斜視図である。
図5に示すように、従来のトラフ方式の電線共同溝では、歩道の道路幅方向のほぼ中央部に複数のトラフ50が道路の縦断方向に沿って設置され、これらのトラフ50が本線区間51を構成している。
本体区間51の途中部分には、コンクリート製のボックス体よりなる特殊区間52が設置され、そのボックス体にはトランス等よりなる地上機器53が立設されている。
【0006】
図5に示す電線共同溝では、トラフ50の内部とトラフ50の直下に電力線用のさや管54が設置され、トラフ50の下方でかつ家屋60よりに通信ケーブル用のさや管55が設置されている。
電力線用のさや管54は、電力引込管56を介して家屋60に接続され、通信ケーブル用のさや管55は、通信引込管57を介して家屋60に接続されている。
【0007】
比較的小型のトラフ50を用いるトラフ方式の電線共同溝の場合に、トラフ50を歩道に埋設する理由としては、例えば次の理由1〜3が考えられる。
1)歩道は車両の荷重を受けないので、トラフ50を歩道の浅層部に埋設できる。
2)需要家の家屋60への引き込み距離が短いので、ケーブルのメンテナンスや通線工事を行い易くなる。
3)歩道の場合には、特殊区間52に地上機器53を設置する場所を確保し易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のトラフ方式の電線共同溝(地中電線路)では、歩道の道路幅方向のほぼ中央部にトラフを埋設する構造であるから、水道管、下水道管又はガス管などの他のインフラ設備と埋設位置が干渉する場合がある。
かかる現場でトラフ方式の電線共同溝を施工するには、既設のインフラ設備を移設する必要があるので、施工コストが非常に高くなるという問題がある。このことが、歩道部分における無電柱化の妨げとなっている。
【0010】
また、比較的幅員が大きい歩道の場合は、既設のインフラ設備と干渉させずにトラフを埋設できる場合もあるが、比較的幅員が小さい歩道では、既設のインフラ設備を避けながらトラフを埋設するスペースを物理的に確保できない場合もある。
従って、このような幅員が足りない現場では、施工コストの多寡に関係なく、そもそもトラフ方式の電線共同溝を採用できないという問題もある。
【0011】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、歩道における既設のインフラ設備の有無に関係なく、トラフ方式の地中電線路を採用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 本発明のブロックセットは、トラフ方式の地中電線路を構築するためのブロックセットであって、長手方向に貫通する排水通路を有する基礎部と、前記基礎部の上面から上方に突出する縁石部とを一体に有し、前記縁石部が露出する状態で前記基礎部を道路の歩車道境界に埋設することにより使用される境界ブロックと、ケーブルを収容可能な長手方向に貫通する収容空間を有するトラフ本体と、前記トラフ本体の上方開口部を閉塞する蓋部材とを有し、前記蓋部材の上面に前記基礎部の設置面が形成されているケーブルトラフと、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のブロックセットによれば、縁石部を有する境界ブロックの基礎部の設置面がケーブルトラフの蓋部材の上面に形成されているので、ケーブルトラフを道路の歩車道境界部に埋設することができ、ケーブルトラフを歩道の道路幅方向の中央部に埋設する必要がなくなる。このため、歩道に既設のインフラ設備が存在してもケーブルトラフを埋設することができ、歩道における既設のインフラ設備の有無に関係なく、トラフ方式の地中電線路を採用することができる。
【0014】
(2) 本発明のブロックセットにおいて、前記ケーブルトラフは、その車道側側面が前記基礎部の車道側側面と面一となる道路幅方向の位置に設置されることが好ましい。
このようにすれば、ケーブルトラフの車道側側面が基礎部から車道側に突出した状態にケーブルトラフを設置する場合に比べて、ケーブルトラフの施工時における車道側への開削範囲の増加を防止することができ、施工コストを低減することができる。
【0015】
(3) 本発明のケーブルトラフにおいて、前記ケーブルトラフの歩道側側面の限界位置が、歩道の有効幅員の範囲を侵さない位置に設定されていることが好ましい。
このようにすれば、ケーブルトラフの施工時における歩道側への開削範囲を歩道の有効幅員の範囲外とすることができ、歩道の通行規制を行わずに地中電線路を施工できるようになる。
【0016】
(4) 本発明のケーブルトラフにおいて、具体的には、前記境界ブロックは、下記に定義する3種類のタイプが含まれる。
第1タイプ:縁石部が車両の乗り上げを予定しない一般部縁石であるタイプ
第2タイプ:縁石部が車両の乗り上げを予定する低下部縁石であるタイプ
第3タイプ:縁石部が傾斜した上面を有する特殊変形縁石であるタイプ
【0017】
(5) そして、前記蓋部材は、前記第2タイプの前記境界ブロックを車両が乗り上げる際に想定される荷重に耐える強度を有する板材により構成されていることが好ましい。
蓋部材34を上記強度の板材で構成すれば、車両乗り入れ部を構成する境界ブロック2の基礎となるケーブルトラフ2の蓋部材34が、車両の乗り入れに伴う繰り返し荷重によって破損することがなく、車両乗り入れ部にも地中電線路を適用できる。
【0018】
(6) また、前記蓋部材は、当該蓋部材の前記設置面に設置する前記境界ブロックのタイプに関係なく、前記強度を有する前記板材により構成されていることが好ましい。
このようにすれば、道路のどの区間でも同じ蓋部材を施工すればよいので、蓋部材の強度を道路の区間ごとに異ならせることに伴う、施工管理の煩雑化を抑制できるとともに、蓋部材の施工場所の取り違えを防止できるという利点がある。
【0019】
(7) 本発明の地中電線路は、前記道路の縦断方向に沿って連続して施工された上述の複数のブロックセットよりなる本線区間と、前記本線区間の端部に位置する前記ブロックセットに接続され、当該ブロックセットに対して前記道路の縦断方向の延長線上となる位置に配置された中空構造体よりなる特殊区間と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の地中電線路によれば、本線区間が上述の複数のブロックセットよりなるので、歩道における既設のインフラ設備の有無に関係なく、トラフ方式の地中電線路を採用することができる。
また、本線区間の端部に位置するブロックセットに対して道路の縦断方向の延長線上となる位置に特殊区間が配置されているので、ケーブルトラフの内部のケーブルを屈曲させずに特殊区間に導入することができる。
【0021】
(8) 本発明の地中電線路において、前記中空構造体は、例えば、前記トラフ本体の前記収容空間に連通する連通空間を有する本体部と、前記本体部の上方開口部を閉塞する特殊蓋部とから構成することができる。
この場合、前記特殊蓋部を前記本体部の上方開口部に装着すると、前記境界ブロックの前記縁石部と前記道路の縦断方向に連続する縁石部を前記特殊蓋部の上面に形成すれば、特殊区間において縁石部が分断しない構造の地中電線路を施工することができる。
【0022】
(9) 本発明の地中電線路において、前記基礎部の前記排水通路の排水が流れ込む集水空間を内部に有する排水桝を更に備える場合には、前記排水桝を、前記本線区間の車道側又は歩道側にオフセットした位置に近接して配置することが好ましい。
この場合、本線区間の側面から車道側又は歩道側に突出する排水桝の突出範囲を、排水桝の幅寸法に抑えることができ、排水桝の施工に要する開削範囲を少なくできる。
【0023】
(10) 本発明の地中電線路において、前記ケーブルトラフの下方における当該ケーブルトラフの幅方向範囲内の地盤内に、前記ケーブルを収容可能なさや管を埋設することにしてもよい。
この場合、ケーブルのさや管がケーブルトラフの下方におけるその幅方向範囲内の地盤内に埋設されるので、既設のインフラ設備が歩道に存在する現場であっても、ケーブルのさや管をケーブルトラフの外部に埋設することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上の通り、本発明によれば、歩道における既設のインフラ設備の有無に関係なく、トラフ方式の地中電線路を採用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
〔ブロックセットの構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係るブロックセット1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のブロックセット1は、上部側の境界ブロック2と下部側のケーブルトラフ3とを備えている。
【0027】
境界ブロック2は、プレキャストコンクリート製のブロックであり、長手方向に貫通する排水通路21を有する基礎部22と、基礎部22の上面から上方に突出する縁石部23とを一体に有する。
境界ブロック2は、縁石部23が露出する状態で基礎部22を道路の歩車道境界に埋設することにより使用される。基礎部22は、断面形状がほぼ長方形であり、基礎部22の断面中央部に位置する排水通路21は、断面形状が円形である。縁石部23は、基礎部22よりも幅寸法が小さい。
【0028】
基礎部22の車道側と歩道側にはそれぞれ細幅面24,25が形成されている。車道側の第1細幅面24は、車道舗装の基準面となる水平面(幅寸法が約50mm)である。歩道側の第2細幅面25は、車道側の細幅面24とほぼ同じ幅寸法の水平面である。
境界ブロック2には、縁石部23の車道側の根本から排水通路21に至る集水スリット26が形成されている。従って、車道の表面水はスリット26から排水通路21の内部に取り込まれるようになっている。
【0029】
本実施形態の境界ブロック2は、例えば、水セメント比35%以下の超固練りコンクリートに強力な振動を加えて即時脱型するバイコン製法によって成型されている。従って、流し込みによるコンクリート成型品に比べて高強度である。
この境界ブロック2の具体例としては、例えば、株式会社イトーヨーギョー製の「ライン導水ブロック−F型」がある。この製品は、国土交通省が運営するNETIS(新技術情報提供システム)に登録されている(登録番号:KK−020004−V)。
【0030】
ケーブルトラフ3は、プレキャストコンクリート製のブロックであり、ケーブル(図示せず)を収容可能な長手方向に貫通する収容空間32を有するトラフ本体33と、トラフ本体33の上方開口部を閉塞する蓋部材34とを有する。
トラフ本体33は、断面ほぼコの字状の側溝ブロックよりなり、トラフ本体33の収容空間32は、少なくとも複数種類のケーブルのさや管35(
図3参照)を複数本収容可能な高さ寸法と幅寸法とを有する。
【0031】
蓋部材34は、トラフ本体33の全幅と同じ幅寸法のコンクリート板よりなり、上面が平面に形成されている。従って、
図1に示すように、蓋部材34の上面には境界ブロック2の基礎部22を設置することができ、蓋部材34の上面は当該基礎部22の設置面を構成している。
図1の例では、基礎部22が蓋部材34の上面に直接設置されているが、図示しない敷きモルタルの介在により、境界ブロック2の高さ調整を行うことにしてもよい。
【0032】
ケーブルトラフ3の幅寸法は、境界ブロック2の基礎部22の幅寸法以上であればよい。なお、ケーブルトラフ3の最小幅と最大幅については後述する。
ケーブルトラフ3の長さ寸法は、境界ブロック2の長さ寸法以上であればよいが、本実施形態では、ケーブルトラフ3の長さ寸法は境界ブロック2の長さ寸法のほぼ2倍に設定されている。
【0033】
〔地中電線路の施工例〕
図2は、ブロックセット1を用いた地中電線路10の施工例を示す平面図である。
図2に示すように、地中電線路10は、本線区間11と特殊区間12とを備える。このうち、本線区間11は、道路の縦断方向(
図2の左右方向)に沿って連続して施工された複数のブロックセット1よりなる。
特殊区間12は、本線区間11の端部に位置するブロックセット1に対して道路の縦断方向に延長線上となる位置に配置された中空構造体13よりなる。
【0034】
なお、本実施形態の地中電線路10は、ケーブルトラフ3の内部に2以上の事業者のケーブルを収容する「電線共同溝」として用いることもできるし、ケーブルトラフ3の内部に単一の事業者のケーブルのみを収容する「専用溝」として用いることもできる。
【0035】
本実施形態の地中電線路10は、排水機能を有する境界ブロック2を含むブロックセット1を採用するため、境界ブロック2に流入した排水を下水するための排水桝14を更に備えている。
排水桝14は、基礎部22の排水通路21の排水が流れ込む集水空間15を内部に有しており、本線区間11の車道側又は歩道側にオフセットした位置に、当該本線区間11を構成するブロックセット1に近接して配置されている。
【0036】
なお、
図2では図示していないが、排水桝14が近接状態で接続される境界ブロック2の基礎部22の側壁には、排水通路21に連通する横穴が開設されており、排水通路21の内部の排水は、この横穴を経由して排水桝14に流れ込むようになっている。
【0037】
図3(a)は、地中電線路10の本線区間11の断面図であり、
図3(b)は、地中電線路10の特殊区間12の斜視図である。
図3(a)に示すように、地中電線路10の本線区間11では、ケーブルトラフ3が道路の歩車道境界に埋設され、ケーブルトラフ3の蓋部材34の設置面(上面)に、境界ブロック2の基礎部22が設置されている。また、ケーブルトラフ3は、その車道側側面が基礎部22の車道側側面と面一となる道路幅方向の位置に設置されている。
【0038】
ケーブルトラフ3の内部には、各種のケーブルのさや管35が収容されている。ケーブルトラフ3の内部に収容されるさや管35は、比較的管路径が小さいものが選択される。
図3(a)の例では、ケーブルトラフ3の下方に別のさや管35が埋設されている。ケーブルトラフ3の外部に埋設するさや管36は、比較的管路径が大きいものが選択されている。このように、ケーブルトラフ3の下方にさや管36を埋設する場合には、その設置範囲は当該ケーブルトラフ3の幅方向範囲内に納められる。
【0039】
図3(b)に示すように、地中電線路10の特殊区間12を構成する中空構造体13は、プレキャストコンクリート製の側溝ブロックよりなる。
中空構造体13は、トラフ本体33の収容空間32に連通する連通空間40を有する本体部41と、本体部41の上方開口部を閉塞する特殊蓋部42とを有する。特殊蓋部42の上面には縁石部43が形成されている。この縁石部43は、特殊蓋部42を本体部41の上方開口部に装着すると、境界ブロック2の縁石部23と道路の縦断方向に連続するようになっている。
【0040】
〔ケーブルトラフの最小幅と最大幅〕
図4は、ケーブルトラフ3の最小幅と最大幅を例示する断面図である。
図4(a)は最大幅の場合を示し、
図4(b)は最小幅の場合を示す。
図4(a)に示すように、ケーブルトラフ3の最小幅は、例えば、境界ブロック2の基礎部22の幅寸法と同じ寸法に設定することができる。この場合、ケーブルトラフ3を、基礎部22に対して車道側にも歩道側にも突出しない状態に設置することができる。
【0041】
図4(b)に示すように、ケーブルトラフ3の最大幅は、例えば、その車道側側面を基礎部22の車道側側面と面一にした状態を基準として、ケーブルトラフ3の歩道側側面が歩道の「有効幅員」に達するまでの寸法に設定することができる。
最大幅を上記の範囲に設定したケーブルトラフ3を地中電線路10に採用すれば、ケーブルトラフ3の歩道側側面の限界位置を、歩道の有効幅員の範囲を侵さない位置に設定することができる。
【0042】
ここで、歩道の有効幅員とは、道路構造令などの規定により、歩道通行に必要となる幅員のことをいう。
例えば、歩行者の交通量が多い歩道の場合は、有効幅員は3.5m以上であり、その他の歩道の場合は、有効幅員は2.0m以上であり、自転車歩行者道の場合は、有効幅員は3.0m以上である。
【0043】
〔本実施形態の効果〕
本実施形態のブロックセット1によれば、縁石部23を有する境界ブロック2の基礎部22の設置面がケーブルトラフ3の蓋部材34の上面に形成されているので、ケーブルトラフ3を道路の歩車道境界部に埋設することができる(
図3(a)参照)。
従って、ケーブルトラフ3を歩道の道路幅方向の中央部に埋設する必要がなくなり、歩道に既設のインフラ設備が存在してもケーブルトラフ3を埋設することができる。このため、歩道における既設のインフラ設備の有無に関係なく、トラフ方式の地中電線路10を採用することができる。
【0044】
本実施形態のブロックセット1によれば、ケーブルトラフ3が、その車道側側面が基礎部22の車道側側面と面一となる道路幅方向の位置に設置される(
図3(a)参照)。
このため、ケーブルトラフ3の車道側側面が基礎部22から車道側に突出した状態にケーブルトラフ3を設置する場合に比べて、ケーブルトラフ3の施工時における車道側への開削範囲の増加を防止することができ、施工コストを低減できるという利点がある。
【0045】
本実施形態のブロックセット1によれば、ケーブルトラフ3の歩道側側面の限界位置が、歩道の有効幅員の範囲を侵さない位置に設定されている(
図4(b)参照)。
このため、ケーブルトラフ3の施工時における歩道側への開削範囲を歩道の有効幅員の範囲外とすることができる。従って、歩道の通行規制を行わずに地中電線路10を施工できるようになる。
【0046】
本実施形態の地中電線路10によれば、道路の縦断方向に沿って連続して施工された複数のブロックセット1よりなる本線区間11と、本線区間11の端部に位置するブロックセット1に接続され、当該ブロックセット1に対して道路の縦断方向の延長線上となる位置に配置された中空構造体13よりなる特殊区間12と、を備えているので、歩道における既設のインフラ設備の有無に関係なく、トラフ方式の地中電線路10を採用することができる。
【0047】
また、本線区間11の端部に位置するブロックセット1に対して道路の縦断方向の延長線上となる位置に特殊区間12が配置されているので、ケーブルトラフ3の内部のケーブルを屈曲させずに特殊区間12に導入できるという利点もある。
【0048】
本実施形態の地中電線路10によれば、中空構造体13が、トラフ本体33の収容空間32に連通する連通空間40を有する本体部41と、本体部41の上方開口部を閉塞する特殊蓋部42とから構成されている。
そして、特殊蓋部42を本体部41の上方開口部に装着すると、境界ブロック2の縁石部23と道路の縦断方向に連続する縁石部43が特殊蓋部42の上面に形成されているので、特殊区間12において縁石部23,43が分断しない地中電線路10が得られる。
【0049】
本実施形態の地中電線路10によれば、基礎部22の排水通路21の排水が流れ込む集水空間15を内部に有する排水桝14を備えており、この排水桝14が、本線区間11の車道側又は歩道側にオフセットした位置に近接して配置されている(
図2参照)。
このため、本線区間11の側面から車道側又は歩道側に突出する排水桝14の突出範囲を、排水桝14の幅寸法に抑えることができ、排水桝14の施工に要する開削範囲を少なくできるという利点がある。
【0050】
本実施形態の地中電線路10によれば、ケーブルトラフ3の下方における当該ケーブルトラフ3の幅方向範囲内の地盤内に、ケーブルを収容可能なさや管36を埋設する工法を採用している(
図3(a)参照)。
このため、既設のインフラ設備と干渉させずにケーブルトラフ3の外部にさや管36を埋設することができ、歩道における既設のインフラ設備の有無に関係なく、ケーブルのさや管36を追加的に施工することができる。
【0051】
本実施形態の地中電線路10によれば、境界ブロック2を含むブロックセット1を使用するので、次の付加的な効果を奏する。
すなわち、本実施形態の境界ブロック2(具体的には、上述の「ライン導水ブロック」)は、延長方向に連続した集水スリット26を有するので、雨水が速やかに基礎部22内の排水通路21に取り込まれ、路面冠水を抑制できるという効果がある。
【0052】
また、基礎部22に排水通路21を有する境界ブロック2を使用することで、比較的幅広(例えば50cm程度)である街渠(「エプロン」ともいう。)の施工が不要となり、その結果、車道の有効幅員を拡大できるとともに、車道の路肩を通行する自転車等の走行安全性を向上することができる。
【0053】
〔変形例:車両乗り入れ部の場合〕
図5は、車両乗り入れ部を施工する場合のブロックセット1の斜視図である。
図5に示すように、車両乗り入れが行われない道路の「一般部」では、縁石部23が車両の乗り上げを予定しない一般部縁石23Aであるタイプ(以下、「第1タイプ」という。)の境界ブロック2Aが、ケーブルトラフ3の蓋部材34の上面に設置される。
【0054】
これに対し、道路の「車両乗り入れ部」では、縁石部23が車両の乗り上げを予定する低下部縁石23Bであるタイプ(以下、「第2タイプ」という。)の境界ブロック2Bが、ケーブルトラフ3の蓋部材34の上面に設置される。
また、一般部と車両乗り入れ部の間の「摺り付け部」では、縁石部23が傾斜した上面を有する特殊変形縁石23Cであるタイプ(以下、「第3タイプ」という。)の境界ブロック2Cが、ケーブルトラフ3の蓋部材34の上面に設置される。
【0055】
このように、車両乗り入れ部を含む道路区間に地中電線路10の本線区間11を施工する必要がある場合には、ブロックセット1を構成要素である境界ブロック2として、次に定義する3種類のタイプの境界ブロック2A〜2Cが必要となる。
第1タイプ:縁石部23が車両の乗り上げを予定しない一般部縁石23Aであるタイプ
第2タイプ:縁石部23が車両の乗り上げを予定する低下部縁石23Bであるタイプ
第3タイプ:縁石部23が傾斜した上面を有する特殊変形縁石23Cであるタイプ
【0056】
一般部縁石23Aの断面高さは、例えば200mm程度であり、低下部縁石23Bの断面高さは、例えば50mm以下に設定される。
また、
図5では、一般部縁石23Aと低下部縁石23Bの間の高低差を1スパン分の境界ブロック2によって摺り付ける傾斜面を有する特殊変形縁石23Cを例示しているが、2スパン分以上の境界ブロック2によってその高低差を摺り付ける、より緩やかな傾斜面を有する特殊変形縁石を採用することもできる。
【0057】
本実施形態のケーブルトラフ2の蓋部材34は、第2タイプの境界ブロック2Bを車両が乗り上げる際に想定される荷重に耐える強度を有する板材よりなる。
車両乗り上げ時の荷重は活荷重である。従って、上記の「想定される荷重」としては、例えば「T荷重」を採用することができる。T荷重とは、車両総重量25t(250kN)の大型トラックにおける後輪荷重をモデル化したものであり、前後輪の荷重比率を1:4として、輪荷重で100kNと規定されている。
【0058】
蓋部材34を上記強度の板材で構成すれば、車両乗り入れ部を構成する境界ブロック2の基礎となるケーブルトラフ2の蓋部材34が、車両の乗り入れに伴う繰り返し荷重によって破損することがなく、車両乗り入れ部にも、本実施形態の地中電線路10を適用することができる。
【0059】
一方、一般部縁石23Aや特殊変形縁石23Cの上を車両が通過することは想定されていないので、道路の「一般部」や「摺り付け部」に埋設するケーブルトラフ3の蓋部材34については、T荷重以上という高強度の板材を用いる必要はなく、より薄肉かつ軽量の板材を使用することにしてもよい。
もっとも、境界ブロック2の縁石部23のタイプに応じて、蓋部材34の板厚や強度を変更する設計では、現場の施工管理が煩雑となるし、薄厚の蓋部材34を車両乗り入れ部に配置するという取り違えが発生する虞もある。
【0060】
そこで、蓋部材34は、当該蓋部材34の設置面に設置する境界ブロック2のタイプに関係なく、すなわち、設置面に設置する境界ブロック2のタイプが第1又は第3タイプの境界ブロック2A,2Cであっても、第2タイプの境界ブロック2Bを車両が乗り上げる際に想定される荷重に耐える強度を有する板材により構成することが好ましい。
このようにすれば、道路のどの区間でも同じ蓋部材34を施工すればよいので、施工管理の煩雑化を抑制できるとともに、蓋部材34の施工場所の取り違えを防止できる。
【0061】
なお、今回開示した実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。