(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属電極の前記超電導線材が延出する端部と、前記第1の規制部の前記金属電極に近接する端部とが離間することを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導電流リード。
前記金属電極は、長さ方向一端面に前記超電導線材が挿入される固定溝を有し、この固定溝に前記超電導線材の端部が接合されることにより、前記金属電極と前記超電導線材とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の超電導電流リード。
【背景技術】
【0002】
近年、超電導ケーブルや超電導磁石装置等、超電導を利用した超電導応用機器の分野では、実用化に向けてさかんに研究、開発が行われている。一般に、超電導応用機器は低温部(低温容器)に設置され、常温部に設置された外部機器(例えば電源)と、電流リードを介して接続される。
超電導応用機器の運転は、極低温環境下で行われるため、低温部の断熱性が極めて重要となる。低温部の断熱性が悪く、低温部への熱侵入が大きいと、超電導応用機器の冷却効率が低下して超電導状態を維持するための冷却コストが増大することとなり、場合によっては超電導応用機器を運転できなくなってしまうためである。この低温部への熱侵入の経路としては、低温容器を伝熱する経路、電流リードを伝熱する経路が考えられる。
【0003】
低温容器を介した熱侵入を防止するための手法としては、液体窒素等の冷媒及び超電導応用機器を収容する冷媒槽と、冷媒槽の外側に設けられる真空槽とを有する二重構造の低温容器が知られている。この低温容器によれば、真空断熱により低温部への熱侵入が低減される。
【0004】
電流リードを介した熱侵入を防止するための手法としては、酸化物超電導体を用いた超電導電流リードが提案されている。酸化物超電導体は、液体窒素温度以下では電気抵抗がゼロであり、かつ熱伝導率が小さい(銅の数10分の1)。そのため、超電導電流リードにおいては、通電時にジュール熱の発生はなく、低温部への伝熱量も極めて小さくなる。したがって、超電導電流リードによれば、低温部への熱侵入が低減される。
【0005】
一般に、超電導電流リードは、テープ状の超電導線材、超電導線材の長さ方向の一端部(高温側)に配置される第1の金属電極、及び超電導線材の長さ方向の他端部(低温側)に配置される第2の金属電極を備える。超電導線材と第1の金属電極及び第2の金属電極は、例えば半田付けにより接合される。特許文献1、2には、超電導線材、第1の金属電極、及び第2の金属電極からなるリード本体を補強部材に収容した超電導電流リードが開示されている。
【0006】
ところで、超電導磁石装置においては、超電導コイルに電流が流れることによって磁場が発生するため、この磁場によるローレンツ力が超電導電流リードに作用する(
図1参照)。ローレンツ力のZ成分が作用することにより、超電導線材には厚さ方向の曲げ歪み(以下「フラットワイズ曲げ歪み」と称する)が生じる。また、ローレンツ力のY成分が作用することにより、超電導線材には幅方向の曲げ歪み(以下「エッジワイズ曲げ歪み」と称する)が生じる。フラットワイズ曲げ歪み及びエッジワイズ曲げ歪みは、超電導特性(例えば通電特性)の低下を招き、超電導線材の破損に繋がる虞がある。通常、フラットワイズ曲げ歪みを抑制するために、超電導線材のテープ面と磁場の向きが直交するように超電導電流リードは配置される。
【0007】
特許文献3には、ローレンツ力による超電導線材のフラットワイズ曲げ歪みを抑制するために、超電導線材のテープ面と平行に変位規制部材を配置した超電導電流リードが開示されている。特許文献3に記載の超電導電流リードは、磁場の向きが超電導線材の幅方向と一致する場合、すなわち超電導線材に厚さ方向のローレンツ力が生じる場合に有効である。
【0008】
なお、特許文献1には、補強部材の超電導線材のテープ面に対向する面に緩衝材を配置して、テープ面を支持する構造が開示されているが、ローレンツ力による超電導線材のフラットワイズ曲げ歪みを抑制するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施の形態に係る超電導電流リード10を用いた超電導磁石装置1を示す図である。
【0017】
図2に示すように、超電導磁石装置1は、超電導電流リード10、超電導コイル20、電源30、常電導電流リード31、及び低温容器40等を備える。超電導磁石装置1は、常電導電流リード31及び超電導電流リード10を介して超電導コイル20が通電されることにより、磁力を発生する。
【0018】
低温容器40は、内側の容器41と外側の真空槽42とからなる二重構造を有する。容器41は冷凍機(図示略)に接続される。真空槽42は真空ポンプ(図示略)に接続され、内部を真空状態に保持される。
【0019】
超電導コイル20は、超電導線材を巻線したコイルである。超電導コイル20は、低温部となる容器41内に配置される。超電導コイル20は、超電導電流リード10と接続するためのコイル電極21を有する。
【0020】
電源30は、常温部となる低温容器40外に配置される。電源30は、常電導電流リード31及び超電導電流リード10を介して、超電導コイル20に電流を供給する。常電導電流リード31は、例えば銅線である。
【0021】
図3は、超電導リード10の外観図である。
図4は、超電導線材11の一般的な構成を示す図である。
図5は、超電導電流リード10をZ方向先端側から見た平面図である。
図6は、
図7におけるVI−VI矢視断面図である。
図7は、超電導電流リード10をY方向基端側から見た正面図である。
図8は、
図5におけるVIII−VIII矢視断面図である。
図9は、
図6におけるIX−IX矢視断面図である。
図9Aは補強部材14の収容部14Aに蓋部14Bが取り付けられた状態を示し、
図9Bは補強部材14の収容部14Aから蓋部14Bが取り外された状態を示す。
【0022】
図3〜9に示すように、超電導電流リード10は、超電導線材11、第1の金属電極12、第2の金属電極13、及び補強部材14を有する。超電導電流リード10は、容器41内に配置される。超電導線材11の高温側となる一端部は第1の金属電極12に接続され、低温側となる他端部は第2の金属電極13に接続される。
【0023】
超電導線材11は、
図4に示すように、超電導層113を有するテープ状の線材である。超電導線材11は、例えばテープ状の金属基板111上に、中間層112、超電導層113、安定化層114が順に形成された積層構造を有する。
【0024】
金属基板111は、Ni合金(例えばハステロイ(登録商標))、W−Mo系、Fe−Cr系(例えばオーステナイト系ステンレス)、又はFe−Ni系の材料に代表される低磁性の無配向金属基板である。
【0025】
中間層112は、例えば金属基板111からの元素の拡散が超電導層113に及ぶのを防止するための第1の中間層(拡散防止層)と、超電導層113の結晶を一定の方向に配向させるための第2の中間層(配向層)など、複数の中間層を有する。第1の中間層は、例えばガリウムドープ酸化亜鉛層(GZO)又はイットリウム安定化ジルコニア層(YSZ)で構成される。第1の中間層の成膜には、例えばイオンビームアシスト蒸着法(IBAD:Ion Beam Assisted Deposition)を適用できる。第2の中間層は、例えば酸化セリウム層(CeO
2)で構成される。第2の中間層の成膜には、例えばRFスパッタ法を適用できる。
【0026】
超電導層113は、例えばRE系超電導体(RE:Y、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbから選択される1又は2種以上の希土類元素)等の酸化物超電導体で構成される。RE系超電導体としては、YBa
2Cu
3O
7で表されるイットリウム系超電導体が代表的である。超電導層113の成膜には、有機金属体積法(MOD:Metal-organic deposition)、パルスレーザー蒸着法(PLD:Pulsed Laser Deposition)、スパッタ法、又は有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)を適用できる。
【0027】
超電導層113には、Zr、Sn、Ce、Ti、Hf、Nbのうち少なくとも1つを含む50nm以下の酸化物粒子が磁束ピンニング点として分散していることが好ましい。この場合、超電導層113の成膜法としては、三フッ化酢酸塩(TFA)を用いたTFA−MOD法が好適である。例えば、TFAを含むBa溶液中に、Baと親和性の高いZr含有ナフテン酸塩等を混合することにより、RE系超電導体からなる超電導層113に、Zrを含む酸化物粒子(BaZrO
3)を磁束ピンニング点として分散させることができる。なお、超電導層113中に磁束ピンニング点を分散する手法は、公知の技術を適用することができる(例えば特開2012−059468号公報)。超電導層113中に磁束ピンニング点を分散させることにより、超電導線材11が湾曲した状態で用いられても、磁場の影響を受けにくく、安定した超電導特性が発揮される。
【0028】
安定化層114は、超電導層113を保護するとともに、超電導状態が部分的に破れて抵抗が発生(常電導転移)した場合に電流を迂回させるための層である。安定化層114は、電気抵抗率が低く、熱伝導率の高い材料で構成されるのが好ましく、例えばAg又はCuで構成される。安定化層114の成膜には、例えばスパッタ法を適用できる。
【0029】
超電導線材11の熱収縮率は、主として金属基板111に依存する。室温から77Kに冷却した際のハステロイの熱収縮率は、0.204%である。また、超電導線材11の熱伝導率は、主として金属基板111及び安定化層114に依存する。77Kにおけるハステロイの熱伝導率は5.164W/(m・K)であり、Agの熱伝導率は237.3W/(m・K)である。
【0030】
第1の金属電極12(高温側電極)及び第2の金属電極13(低温側電極)は、銅又は銅合金等の金属材料で構成される。第1の金属電極12は、容器41の底面近傍に配置され、導体引出部(図示略)を介して常電導電流リード31に接続される。第1の金属電極12の近傍の温度は、例えば77Kである。第2の金属電極13は、超電導コイル20の近傍に配置され、超電導コイル20のコイル電極21に接続される。第2の金属電極13の近傍の温度は、例えば4.2Kである。
【0031】
第1の金属電極12は、補強部材14から外部に引き出される引出部121と、補強部材14内に収容される被収容部122を有する。引出部121のY方向における幅は被収容部122の幅よりも狭い。すなわち、引出部121と被収容部122の連設箇所は段部となっている。また、引出部121は、Y方向に貫通して形成された小径(例えば直径1mm)の内側挿通孔121aを有する。内側挿通孔121aの内径は、固定ピン15Aの外径よりも若干大きい。
【0032】
第2の金属電極13は、第1の金属電極12と同様に、引出部131と被収容部132を有し、引出部131と被収容部132の連設箇所は段部となっている。また、引出部131は、Y方向に貫通して形成された小径の内側挿通孔131aを有する。内側挿通孔131aの内径は、固定ピン15Bの外径よりも若干大きい。
【0033】
第1の金属電極12の被収容部122及び第2の金属電極13の被収容部132は、それぞれ長さ方向(X方向)における一方(内側)の端面に、超電導線材11を固定するための固定溝122a、132aを有する。固定溝122a、132aの幅方向(Y方向)両端は、開放されていてもよいし、閉塞されていてもよい。固定溝122a、132aの高さ(Z方向)は、超電導線材11の厚みよりも若干大きく設定される。固定溝122a、132aの深さ(X方向)は、超電導線材11と強固に接合し、接続抵抗が充分小さく、かつ支持できる程度であればよい。
【0034】
第1の金属電極12の固定溝122aには、超電導線材11の一方の端部が固定溝122aの底部に突き当たるまで挿入される。第2の金属電極13の固定溝132aには、超電導線材11の他方の端部が固定溝132aの底部に突き当たるまで挿入される。超電導線材11と固定溝122a、132aの隙間には溶融半田が充填される。すなわち、超電導線材11と第1の金属電極12及び第2の金属電極13は、半田付けにより接合され、電気的に接続される。
【0035】
このように、超電導電流リード10においては、固定溝122a、132aに超電導線材11が挿入されて接合されるので、リード本体の組立工程が極めて容易であり、また超電導電流リード10の小型化を図る上でも有用である。
【0036】
固定溝122a、132aの幅方向における開口縁部にはR加工等の面取り加工が施されていることが好ましい。これにより、超電導線材11が撓んだときに、固定溝122a、132aの開口縁部から受ける負荷が軽減されるので、局所的な負荷によって超電導線材11が損傷するのを防止できる。
【0037】
補強部材14は、超電導線材11の両端部に第1の金属電極12と第2の金属電極13が接合されたリード本体を、所定の電極間距離(第1の金属電極12と第2の金属電極13の離間距離)となるように位置決めした状態で収容する。
【0038】
補強部材14は、中空の直方体部材であり、天面が開口した収容部14A及び収容部14Aの開口を閉塞する蓋部14Bを有する。収容部14Aは、底壁141と、底壁141の幅方向(Y方向)縁部から垂直に起立する板状の側壁142、142を有する。蓋部14Bは、上壁143を有する。
【0039】
補強部材14は、超電導線材11よりも熱伝導率が低い材料で構成される。これにより、補強部材14を介して外部から侵入する熱量(熱侵入量)を低減することができる。熱侵入量を低減する観点からは、繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)が好適である。77KにおけるGFRPの熱伝導率は0.39W/(m・K)であり、超電導線材11の熱伝導率よりも著しく小さい。一方、超電導線材11が破損したときに超電導磁石装置1を保護する観点からは、バイパスとして機能するステンレス合金、ニッケル基合金、チタン合金等が好適である。77Kにおけるステンレス合金(SUS304、SUS316)の熱伝導率は7.9W/(m・K)であり、超電導線材11の熱伝導率よりも小さい。
【0040】
図6に示すように、側壁142、142の長さ方向の一端部(
図6では左端部)は、中央部よりもY方向の幅が広く形成される。側壁142から幅方向内側に膨出する部分を膨出部142aと称する。膨出部142aの幅(側壁142の幅との差分、段部の幅)は、第1の金属電極12の長さ方向外側への移動を規制できる程度であればよく、例えば2mmである。膨出部142aは、第1の金属電極12が長さ方向外側に移動するのを規制する。
【0041】
長さ方向の軸線を挟んで対向する膨出部142a、142aの離間幅は、第1の金属電極12の引出部121の幅と同じである。また、膨出部142a、142aは、第1の金属電極12の内側挿通孔121aより大きくY方向に貫通して形成された外側挿通孔142b、142bを有する。
【0042】
同様に、側壁142、142の長さ方向の他端部(
図5では右端部)は、中央部よりもY方向の幅が広く形成される。側壁142から幅方向内側に膨出する部分を膨出部142cと称する。膨出部142cの幅(側壁142の幅との差分、段部の幅)は、第2の金属電極13の長さ方向外側への移動を規制できる程度であればよく、例えば2mmである。膨出部142cは、第2の金属電極13が長さ方向外側に移動するのを規制する。
【0043】
長さ方向の軸線を挟んで対向する膨出部142c、142cの離間幅は、第2の金属電極13の引出部131の幅と同じである。また、膨出部142c、142cは、第2の金属電極13の内側挿通孔131aより大きくY方向に貫通して形成された外側挿通孔142d、142dを有する。
【0044】
図8、
図9に示すように、底壁141の長さ方向中央部(超電導線材11の裏面に対向する部分)は、両端部よりもZ方向の厚さが厚く形成される。底壁141から厚さ方向内側に膨出する部分を下側規制部141aと称する。下側規制部141aは、補強部材14にリード本体を収容したときに超電導線材11の裏面に近接し、超電導線材11のZ方向基端側(
図8では下側)への過剰なフラットワイズ曲げ歪みを規制する。
【0045】
同様に、上壁143の長さ方向中央部(超電導線材11の表面に対向する部分)は、両端部よりもZ方向の厚さが厚く形成される。上壁143から厚さ方向内側に膨出する部分を上側規制部143aと称する。上側規制部143aは、補強部材14にリード本体を収容したときに超電導線材11の表面に近接し、超電導線材11のZ方向先端側(
図8では上側)への過剰なフラットワイズ曲げ歪みを規制する。
【0046】
すなわち、下側規制部141a及び上側規制部143aは、超電導線材11に生じるフラットワイズ曲げ歪みを規制する第1の規制部を構成する。なお、本実施の形態では下側規制部141aと上側規制部143aの長さを同じとしているが、下側規制部141aと上側規制部143aの長さは同じでもなくてもよい。
【0047】
ここで、下側規制部141aと上側規制部143aの離間距離d1は、0.5〜5.0mmであることが好ましい。これにより、常温環境下において超電導線材11を撓ませた状態で配置することができるとともに、超電導線材11に生じるフラットワイズ曲げ歪みを超電導特性(特に臨界電流値Ic)に影響を及ぼさない程度に規制することができる。
【0048】
下側規制部141a及び上側規制部143aは、第1の金属電極12(端部122c)及び第2の金属電極13(端部132c)に対して長さ方向に離間して配置されるのが好ましい。このとき、下側規制部141a及び上側規制部143aと第1の金属電極12及び第2の金属電極13との離間距離d2は、超電導線材11の線材長L(電極間距離に同じ)の0.5%以上5%以下であることが好ましい。離間距離d2を超電導線材11の線材長Lの0.5%以上とすることにより、極低温環境下において超電導線材11が収縮する場合に、超電導線材11の収縮に伴い第1の金属電極12及び第2の金属電極13が長さ方向内側に移動することができる。したがって、超電導線材11と第1の金属電極12及び第2の金属電極13との接合部に過大な引張力がかかり、破損するのを防止できる。また、離間距離d2を超電導線材11の線材長Lの5%以下とする(超電導線材11の線材長Lの90%以上が下側規制部141aと上側規制部143aの間に挟装される)ことにより、超電導線材11に生じるフラットワイズ曲げ歪みを効果的に規制することができる。
【0049】
また、下側規制部141a、上側規制部143aの第1の金属電極12及び第2の金属電極13に対向する端部の角部Rは、R加工等の面取り加工が施されていることが好ましい。これにより、ローレンツ力が作用することによって超電導線材11が下側規制部141a又は上側規制部143aに接触したときに、超電導線材11に局所的な負荷がかかるのを防止できる。したがって、局所的な負荷によって超電導線材11が破損するのを防止できる。
【0050】
収容部14Aにはリード本体が収容され、所定の電極間距離となるように位置決めされる。具体的には、第1の金属電極12は、被収容部122が膨出部142aの内側に位置するように嵌合される。被収容部122の外側端面122bが補強部材14の側壁142の膨出部142aに係合することになる。第1の金属電極12の配置位置が、膨出部142aによって規定されるので、補強部材14の外側挿通孔142bと第1の金属電極12の内側挿通孔121aの位置を容易に一致させることができる。
【0051】
同様に、第2の金属電極13は、被収容部132が膨出部142cの内側に位置するように嵌合される。被収容部132の外側端面132bが補強部材14の側壁142の膨出部142cに係合することになる。第2の金属電極12の配置位置が、膨出部142cによって規定されるので、補強部材14の外側挿通孔142dと第2の金属電極13の内側挿通孔131aの位置を容易に一致させることができる。
【0052】
このとき、補強部材14の側壁142、142は、超電導線材11の幅方向両端面に近接して配置される(
図6、
図9参照)。すなわち、補強部材14の側壁142、142は、超電導線材11に生じるエッジワイズ曲げ歪みを規制する第2の規制部を構成する。
【0053】
補強部材14の側壁142、142と超電導線材11との離間距離d3は、超電導線材11の線材長L(電極間距離に同じ)の1%以下であることが好ましい。これにより、超電導線材11に生じるエッジワイズ曲げ歪みを、超電導特性(特に臨界電流値Ic)に影響を及ぼさない程度に規制することができる。
【0054】
また、補強部材14が、ステンレス合金等の金属材料で構成される場合、下側規制部141a、上側規制部143a、及び側壁142、142の超電導線材11と対向する側の表面に絶縁加工を施すのが好ましい。これにより、フラットワイズ曲げ歪み又はエッジワイズ曲げ歪みによって超電導線材11と補強部材14とが接触しても、超電導特性は損なわれない。
【0055】
常温環境下において、超電導線材11は、第1の金属電極12と第2の金属電極13との電極間において撓みを有することが好ましい。リード本体を補強部材14に収容したときの電極間距離Lが、超電導線材11の露出長寄りも短ければ、超電導線材11に撓みが形成される。この撓みによって、低温環境下における超電導線材11の収縮は吸収され、さらには第1の金属電極12及び第2の金属電極13が長さ方向内側に移動するので、超電導線材11と第1の金属電極12及び第2の金属電極13との接合部に過大な負荷がかかりリード本体が破損するのを確実に防止することができる。
【0056】
補強部材14の外側挿通孔142bと第1の金属電極12の内側挿通孔121aには、固定ピン15Aが圧入される(
図3参照)。また、補強部材14の外側挿通孔142dと第2の金属電極13の内側挿通孔131aには、固定ピン15Bが圧入される(
図3参照)。これにより、リード本体は補強部材14内に位置決めした状態で収容される。補強部材14に対して、第1の金属電極12及び第2の金属電極13が長さ方向に脱落不能に係合されるので、ボルトを用いて固定する場合と同等の引張強度を容易に実現することができる。
【0057】
なお、補強部材14の外側挿通孔142bの内径は、固定ピン15Aの外径よりも大きいので、極低温環境下で超電導線材11が収縮した場合に、第1の金属電極12は長さ方向内側に若干移動することができる。また、補強部材14の外側挿通孔142dの内径は、固定ピン15Bの外径よりも大きいので、極低温環境下で超電導線材11が収縮した場合に、第2の金属電極13は長さ方向内側に若干移動することができる。
【0058】
収容部14Aにリード本体が収容された後、収容部14Aの開口を閉塞するように蓋部14Bが接着される。超電導線材11は、下側規制部141a、上側規制部143a、及び側壁142、142で形成される空間に配置されることになる。なお、収容部14A及び蓋部14Bには、部分的に開口が形成されていてもよい。
【0059】
このように、実施の形態に係る超電導電流リード10は、金属基板111上に中間層112、超電導層113、安定化層114が順に積層されたテープ状の超電導線材11と、超電導線材11の長さ方向両端部のそれぞれに接合される第1の金属電極12、第2の金属電極13(金属電極)と、超電導線材11、第1の金属電極12及び第2の金属電極13とを含むリード本体を、所定の電極間距離となるように位置決めした状態で収容する補強部材14と、を備える。補強部材14は、超電導線材11の両テープ面のそれぞれに対向する下側規制部141a及び上側規制部143a(第1の規制部)と、超電導線材11の幅方向両端面のそれぞれに対向する側壁142、142(第2の規制部)と、を有する。超電導線材11は、下側規制部141a、上側規制部143a及び側壁142、142で形成される空間に、下側規制部141a、上側規制部143a及び側壁142、142に近接して配置される。
【0060】
超電導電流リード10によれば、磁場中に配置されたときに生じうるフラットワイズ曲げ歪みが下側規制部141a又は上側規制部143a(第1の規制部)によって規制されるとともに、エッジワイズ曲げ歪みが側壁142、142(第2の規制部)によって規制されるので、曲げ歪みに起因して超電導特性が著しく低下するのを防止することができる。したがって、超電導電流リード10は、良好な超電導特性を有するものとなる。また、超電導電流リードの配置態様が制約されないので、超電導応用機器お設計又は設置の自由度が格段に向上する。
【0061】
[第2の実施の形態]
図10は、第2の実施の形態に係る超電導電流リード10Aの断面図である。
図10は、第1の実施の形態における
図6に対応する。
図11は、
図10におけるXI−XI矢視断面図である。
図11Aは補強部材14の収容部14Aに蓋部14Bが取り付けられた状態を示し、
図11Bは補強部材14の収容部14Aから蓋部14Bが取り外された状態を示す。
【0062】
図10、
図11に示すように、第2の実施の形態に係る超電導電流リード10Aは、幅方向に並べて配置される2本の超電導線材11A、11Bを有する。この点で第1の実施の形態に係る超電導電流リード10と相違する。その他の構成は第1の実施の形態に係る超電導電流リード10と同様である。
【0063】
超電導電流リード10Aにおいては、超電導線材11A、11Bの間に仕切板144が配置される。仕切板144は、超電導線材11A,11Bの長さ方向に沿って、超電導線材11A,11Bの幅方向に対して垂直に配置される。仕切板144は、超電導線材11の表面よりもZ方向先端側(
図11では上側)に突出するように、下側規制部141aに形成される。
【0064】
超電導電流リード10Aは、幅方向に対称的な構造であるのが好ましいため、ここでは仕切板144と超電導線材11A、11Bとの離間距離d4、d4は同じに設定されるものとする。この場合、仕切板144と超電導線材11A、11Bとの離間距離d4は、補強部材14と超電導線材11A、11Bとの離間距離d3と同様に、超電導線材11の線材長Lの1%以下であることが好ましい。
【0065】
超電導電流リード10Aにおいては、補強部材14の側壁142、142とともに、仕切板144が、超電導線材11に生じるエッジワイズ曲げ歪みを規制する第2の規制部を構成する。
【0066】
このように、第2の実施の形態に係る超電導電流リード10Aは、金属基板111上に中間層112、超電導層113、安定化層114が順に積層されたテープ状の超電導線材11A、11Bと、超電導線材11A、11Bの長さ方向両端部のそれぞれに接合される第1の金属電極12、第2の金属電極13(金属電極)と、超電導線材11A、11B、第1の金属電極12及び第2の金属電極13とを含むリード本体を、所定の電極間距離となるように位置決めした状態で収容する補強部材14と、を備える。補強部材14は、超電導線材11A、11Bの両テープ面のそれぞれに対向する下側規制部141a及び上側規制部143a(第1の規制部)と、超電導線材11A、11Bの幅方向両端面のそれぞれに対向する側壁142、142、仕切板144(第2の規制部)と、を有する。超電導線材11は、下側規制部141a、上側規制部143a、側壁142、142、及び仕切板144で形成される空間に、下側規制部141a、上側規制部143a、側壁142、142、及び仕切板144に近接して配置される。
【0067】
第2の実施の形態に係る超電導電流リード10Aによれば、第1の実施の形態に係る超電導電流リード10と同様の効果が得られる。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0069】
例えば、第1の実施の形態における超電導線材11、又は第2の実施の形態における超電導線材11A、11Bとして、金属基板111側を貼り合わせて2枚一組とした超電導線材を適用することもできる。
また、第2の実施の形態のように超電導線材を幅方向に並設する場合、超電導線材の本数は2本に限定されない。超電導電流リードが3本以上の超電導線材を有する場合、隣接する超電導線材の間に、それぞれ仕切板が配置される。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。