特許第6353336号(P6353336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353336
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】ソーラーパネルのための風力低減装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20180625BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20180625BHJP
   H02S 40/00 20140101ALI20180625BHJP
【FI】
   H02S20/10 U
   E04D13/18ETD
   H02S20/10 C
   H02S20/10 H
   H02S40/00
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-208673(P2014-208673)
(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2015-97469(P2015-97469A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2013-213531(P2013-213531)
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】鰐渕 憲昭
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−526425(JP,A)
【文献】 特開2010−141266(JP,A)
【文献】 特開2005−281995(JP,A)
【文献】 特開2013−096058(JP,A)
【文献】 特表2009−522473(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0032208(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0015303(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0087275(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0047931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00−99/00
E04D 1/00− 3/40
E04D 13/00−15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面の上方空間に傾斜した状態で設置された、互いに相対する上向きの傾斜面及び下向きの傾斜面と、両傾斜面に連なる上側面及び下側面とを有するソーラーパネルのための風力低減装置であって、
プレートを含み、
前記プレートは、前記ソーラーパネルから水平方向に間隔をおいて、前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に向けて鉛直に配置され、また、鉛直方向に相対する上下一対の平坦面を有し、
前記プレートは、その両平坦面間において、前記ソーラーパネルの上側面に相対している、風力低減装置。
【請求項2】
前記ソーラーパネルと前記プレートとの間の前記水平方向に関する間隔は、350〜3000mmである、請求項1に記載の風力低減装置。
【請求項3】
前記プレートの上方の平坦面は、前記ソーラーパネルの上向きの傾斜面とその上側面との境界である上境界と同じ高さ位置にあり、また、前記プレートの下方の平坦面は、前記ソーラーパネルの下向き傾斜面とその下側面との境界である下境界の高さ位置より高い高さ位置にある、請求項1に記載の風力低減装置。
【請求項4】
前記プレートの両平坦面間の距離は、前記ソーラーパネルの上境界と下境界との間の前記鉛直方向における距離の3/4以上の大きさである、請求項3に記載の風力低減装置。
【請求項5】
前記水平方向及び前記鉛直方向のそれぞれに直交する他の水平方向に関する前記プレートの長さは、前記他の水平方向に関する前記ソーラーパネルの長さの90%以上の大きさである、請求項1に記載の風力低減装置。
【請求項6】
前記ソーラーパネルは支持装置を介して前記設置面に支持され、また、前記プレートは前記ソーラーパネルの支持装置又は専用の支持装置を介して前記設置面に支持され、前記プレートの支持装置は前記風力低減装置の一部をなす、請求項1に記載の風力低減装置。
【請求項7】
設置面の上方空間に傾斜した状態で設置された、互いに相対する上向きの傾斜面及び下向きの傾斜面と、両傾斜面に連なる上側面及び下側面とを有するソーラーパネルのための風力低減装置であって、
プレートを含み、
前記プレートは、前記ソーラーパネルから水平方向に間隔をおいて、前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に向けて鉛直に配置され、また、前記プレートは鉛直方向に相対する上下一対の平坦面を有し、
前記プレートの上方の平坦面は、前記ソーラーパネルの上向きの傾斜面及びその上側面との境界である上境界の高さ位置から前記上境界と前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面及びその下側面との境界である下境界との間の前記鉛直方向における距離の多くとも1/4の大きさの距離をおいた高さ位置にあり、前記プレートの下方の平坦面は前記ソーラーパネルの下境界の高さ位置又はこれより低い高さ位置にある、風力低減装置。
【請求項8】
設置面の上方空間に傾斜した状態で配置された複数のソーラーパネルからなる、互いに平行に横方向へ伸びる複数のソーラーパネル列のための風力低減装置であって、
第1のプレートを含み、
前記第1のプレートは、前記複数のソーラーパネル列から前記横方向に直角な縦方向に間隔をおいて、前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に向けて鉛直に配置され、また、鉛直方向に相対する上下一対の平坦面を有し、
前記第1のプレートの上方の平坦面は、前記ソーラーパネルの上向きの傾斜面及びその上側面との境界である上境界の高さ位置から前記上境界と前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面及びその下側面との境界である下境界との間の前記鉛直方向における距離の多くとも1/4の大きさの距離をおいた高さ位置にあり、前記プレートの下方の平坦面は前記ソーラーパネルの下境界の高さ位置又はこれより低い高さ位置にある、風力低減装置。
【請求項9】
さらに、前記縦方向に互いに隣接する2つのソーラーパネル列相互間に前記第1のプレートと平行に配置された第2のプレートを含む、請求項8に記載の風力低減装置。
【請求項10】
さらに、前記第1のプレートの両側部にそれぞれ接続され前記縦方向へ伸びる一対の第3のプレートであって前記第1のプレートと共に前記複数のソーラーパネル列を三方から取り囲む第3のプレートを含む、請求項8又は9に記載の風力低減装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電に用いられるソーラーパネルのための風力低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネルは屋外に設置され、これに太陽光がより効果的に入射するように、適当な支持装置を介してその設置面の上方空間に傾斜した状態に支持される。
【0003】
ところで、前記ソーラーパネルの支持装置は、ソーラーパネルをその設置面の上方に単に支持するだけでなく、風の作用によってソーラーパネルに生じる力、すなわち前記ソーラーパネルの上向き及び下向きの両傾斜面に作用する風圧力の和(合力)に対抗し得るようにこれを保持するに足る強度を有することが求められる。しかし、このような高強度の支持装置の構築には多大な費用を要し、これが、比較的低廉な費用での設置が望まれるソーラーパネルの普及を阻害するという問題がある。
【0004】
従来、このような問題の解消のため、前記ソーラーパネルの支持装置に必要とされる強度の低減を図るべく、ソーラーパネルに作用する風の影響を軽減することが提案されている(後記特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−82273号公報
【特許文献2】特開2011−91166号公報
【特許文献3】特開2013−73958号公報
【特許文献4】特開2013−93376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの従来の提案によれば、ソーラーパネルに当たる風の向きを変えることにより、前記ソーラーパネルに作用する前記風圧力の和(合力)が低減される。しかし、風向を変えることによってはソーラーパネルに作用する風力の大きさは変わらず、前記合力の低減効果は比較的小さい。したがって、本発明は、ソーラーパネルに作用する風力の低減と共に前記合力の低減を可能とする風力低減装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る風力低減装置の適用対象であるソーラーパネルはその設置面の上方空間に傾斜した状態で設置され、互いに相対する上向きの傾斜面及び下向きの傾斜面と、両傾斜面に連なる上側面及び下側面とを有する。前記風力低減装置はプレートを備える。このプレートは前記ソーラーパネルから水平方向に間隔をおいて前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に向けて鉛直に配置され、このように配置された前記プレートは鉛直方向に相対する上下一対の平坦面を有し、その両平坦面間において前記ソーラーパネルの上側面に相対している。
【0008】
本発明によれば、前記プレートは前記ソーラーパネルから水平方向に間隔をおいた位置に前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に向けて鉛直に設置されている。このため、前記プレートは、前記ソーラーパネルに向けて吹く風の一部を遮り、前記ソーラーパネルに対する風力を低減する作用をなす。
【0009】
また、本発明によれば、前記プレートがその上下両平坦面間において前記ソーラーパネルの上側面に相対している。このことから、前記プレートによる前記風の一部遮断作用が前記ソーラーパネルの上側面に及び、該上側面に対する前記風の直撃が回避される。その結果、前記ソーラーパネルの上側面に対する風の直撃がある場合に前記上側面で生じる空気流(風の流れ)の剥離を原因とする前記ソーラーパネルの上向きの傾斜面への負圧の作用及びその下向きの傾斜面への正圧の作用に基づく前記ソーラーパネルに対する浮揚効果の発生を阻止することができる。さらに、前記プレートに当たりその上方及び下方の両平坦面を越えて流れる前記風は前記プレートの下流側に負圧作用空間領域を生じさせる。前記負圧作用空間領域は前記ソーラーパネルの全部又は一部を取り囲み、風の作用によってソーラーパネルに生じる力である前記合力を低減する。前記合力の低減の効果は、前記ソーラーパネルの全部が前記負圧作用空間領域に取り囲まれる場合の方が、前記ソーラーパネルの一部が前記負圧作用空間領域に取り囲まれる場合より、高い。これらのことから、前記ソーラーパネルに対する前記合力の低減効果が得られ、前記ソーラーパネルの支持装置に必要とされる強度の低減を図ることができる。
【0010】
前記ソーラーパネルに作用する前記合力の低減効果の程度は、前記プレートの設置位置及びその大きさに依存するところ、前記ソーラーパネルと前記プレートとの間の前記水平方向に関する間隔が350〜1000mmの範囲にあるときに比較的大きいが、前記ソーラーパネル、前記風力低減装置等の設置やメインテナンスのための空間確保を考慮して、前記間隔を350〜3000mmとすることができる。
【0011】
また、前記プレートは、例えば、前記プレートの上方の平坦面が前記ソーラーパネルの上向きの傾斜面とその上側面との境界である上境界と同じ高さ位置にあり、また、前記プレートの下方の平坦面が前記ソーラーパネルの下向き傾斜面とその下側面との境界である下境界の高さ位置又はこれより低い高さ位置にあるように、その鉛直方向長さを定め、また配置することができる。
【0012】
この例において、前記プレートの上下両平坦面間の距離を、前記ソーラーパネルの上境界と下境界との間の前記鉛直方向の距離の3/4の大きさに設定し、又は、前記水平方向及び前記鉛直方向のそれぞれに直交する他の水平方向に関する前記プレートの長さを、前記他の水平方向に関する前記ソーラーパネルの長さの90%以上の大きさに設定するとき、比較的大きい前記合力の低減効果が得られる。
【0013】
前記プレートは前記ソーラーパネルの支持に供される支持装置又は専用の支持装置を介して支持することができる。前記プレートを支持する場合における前記ソーラーパネルの支持装置及び前記専用の支持装置は、それぞれ、前記風力低減装置の一部をなす。
【0014】
本発明は、また、他の風力低減装置を提供する。この風力低減装置にあっては、そのプレートが、前記ソーラーパネルから水平方向に間隔をおいて、前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に向けて鉛直に配置され、前記プレートの上方の平坦面が、前記ソーラーパネルの上向きの傾斜面及びその上側面との境界である上境界の高さ位置から前記上境界と前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面及びその下側面との境界である下境界との間の前記鉛直方向における距離の多くとも1/4の大きさの距離をおいた高さ位置にあり、前記プレートの下方の平坦面は前記ソーラーパネルの下境界の高さ位置又はこれより低い高さ位置にある。
【0015】
この風力低減装置は、前述した風力低減装置が主として前記ソーラーパネルの上側面に当たる空気流の作用を抑制し、これにより前記ソーラーパネルの前記合力の低減を図るものであるのに対し、前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に当たる空気流の作用を抑制し、これにより、前記ソーラーパネルの前記合力の低減を企図する。
【0016】
また、本発明は、複数のソーラーパネルに適用されるさらに他の風力低減装置、すなわち設置面の上方空間に傾斜した状態で配置された複数のソーラーパネルからなる、互いに平行に横方向へ伸びる複数のソーラーパネル列に適用される風力低減装置を提供する。
【0017】
この風力低減装置は、第1のプレートを含み、該第1のプレートは、前記複数のソーラーパネル列から、水平面上における前記横方向に直角な縦方向に間隔をおいて、前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面に向けて鉛直に配置され、また、鉛直方向に相対する上下一対の平坦面を有し、前記第1のプレートの上方の平坦面は、前記ソーラーパネルの上向きの傾斜面及びその上側面との境界である上境界の高さ位置から前記上境界と前記ソーラーパネルの下向きの傾斜面及びその下側面との境界である下境界との間の前記鉛直方向における距離の多くとも1/4の大きさの距離をおいた高さ位置にあり、前記プレートの下方の平坦面は前記ソーラーパネルの下境界の高さ位置又はこれより低い高さ位置にある。
【0018】
前記複数のソーラーパネル列に適用される前記風力低減装置は、さらに、前記縦方向に互いに隣接する2つのソーラーパネル列相互間に前記第1のプレートと平行に配置された第2のプレートを含むものとすることができる。これによれば、前記第1のプレートの前記ソーラーパネル列に対する前記合力の低減作用が衰える位置に前記第2のプレートをおくことができ、この第2のプレートにより、さらに風下のソーラーパネル列に対して前記第1のプレートと同様の合力低減作用を及ぼすことができる。
【0019】
前記複数のソーラーパネル列に適用される前記風力低減装置は、さらに、前記第1のプレートの両側部にそれぞれ接続され前記縦方向へ伸びる一対の第3のプレートであって前記第1のプレートと共に前記複数のソーラーパネル列を三方から取り囲む第3のプレートを含むものとすることができる。これによれば、前記第1のプレートあるいはさらに前記第2のプレートの両側部を経て前記ソーラーパネル列にその側方から回り込んで入り込む風の前記ソーラーパネル列に対する前記合力の付与作用をより軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ソーラーパネル及び風力低減装置の概略的な側面図である。
図2】ソーラーパネル及び風力低減装置の概略的な平面図である。
図3】複数のソーラーパネル列及び風力低減装置のプレートを示す概略的な平面図である。
図4】複数のソーラーパネル列及び風力低減装置のプレートを示す概略的な側面図である。
図5】複数のソーラーパネル列に適用される風力低減装置についての数値解析のモデルを説明する概略的な平面図である。
図6図5に示す風力低減装置についての数値解析の条件を説明する概略的な側面図である。
図7】ソーラーパネルに働く平均風力を求めるために前記ソーラーパネル上に設定された風力の時間平均の算出位置である21個のポイントP1〜P21を示す前記ソーラーパネルの概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び図2を参照すると、風力低減装置が全体に符号10で示されている。また、風力低減装置10の適用対象である、太陽光発電を行うためのソーラーパネルが全体に符号12で示されている。
【0022】
ソーラーパネル12は空き地、建物の屋上等に設定された設置面14の上方空間に支持装置16を介して傾斜した状態で支持されており、太陽光の受光面を構成する矩形状の上向きの傾斜面18と、該上向きの傾斜面に相対しかつ設置面14に対向する矩形状の下向きの傾斜面20とを有する。ソーラーパネル12は、また、両傾斜面18,20に直交して連なる上方の側面(上側面)22と下方の側面(下側面)24とを有する。
【0023】
風力低減装置10は、ソーラーパネル12に向けて矢印25の方向へ流れる風Wの前記ソーラーパネルに対する影響を低減する働きをなすプレート26を備える。
【0024】
風力低減装置10を構成するプレート26は、ソーラーパネル12の支持装置16を共通の支持装置として、ソーラーパネル12の設置面14の上方空間に支持されている。なお、ソーラーパネル12の支持装置16を共用する図示の例に代えて、専用の支持装置(図示せず)によるプレート26の支持が可能である。前記共用の支持装置16及び前記専用の支持装置は、それぞれ、風力低減装置10の一部をなす。
【0025】
プレート26は、互いに相対する矩形状の表裏両面28,30と、該表裏面に直交して連なる側面の一部である、互いに相対する上下一対の平坦面32、34とを有する。
【0026】
プレート26は、ソーラーパネル12から水平方向に間隔S1をおいて、その表面28をソーラーパネル12の下向きの傾斜面20に向けて鉛直に配置されている。このように配置されたプレート26の表裏面28,30はそれぞれ互いに平行な2つの鉛直面内にあり、また、その両平坦面32,34はそれぞれ上方の高さ位置及び下方の高さ位置にある。
【0027】
これによれば、ソーラーパネル12に対してその下向きの傾斜面20に向かって流れる風Wはプレート26の裏面30に当たる。次いでプレート26の上下左右の各縁をかすめてプレート26の表面28の側に移動し、ソーラーパネル12に当たる。ここにおいて、プレート26はソーラーパネル12に向かう風Wの一部を遮り、ソーラーパネル12に対する風力を弱める働きをなす。
【0028】
また、図示のプレート26は、その鉛直方向の長さS2が、ソーラーパネル12の上側面22と上向き斜面18との境界(上境界)36と、下向きの傾斜面20と下側面24との境界(下境界)40との間の鉛直方向距離S3の大きさの3/4に設定されている。なお、プレート26の厚さ寸法(表裏両面28,30間の距離)は任意に定めることができる。
【0029】
さらに、プレート26の上方の平坦面32の高さ位置がソーラーパネル12の上向きの傾斜面18と上側面22との境界36の高さ位置Hにあり、かつ、プレート26の下方の平坦面34の高さ位置がソーラーパネル12の上側面22と下向きの傾斜面20との境界38よりも下方位置にあるようにされている。プレート26の上方の平坦面32の高さ位置は、図示の例に代えて、ソーラーパネル12の上側面22における境界36の高さ位置Hよりも上方にあるようにしてもよい。
【0030】
プレート26の鉛直方向長さS2とプレート26の鉛直方向位置とを前記したように設定することにより、ソーラーパネル12の下向きの傾斜面20に対向するプレート26は、その上下の両平坦面32,34間において、ソーラーパネル12の上側面22に相対している。
【0031】
このように配置されたプレート26によれば、風Wは一旦プレート26に当たり、その後にソーラーパネル12の上側面22の上方に至る。したがって、風Wはソーラーパネル12の上側面22を直撃しない。その結果、前記直撃がある場合にソーラーパネル12の上側面22において生じる空気流(風Wの流れ)の剥離とこれを原因とする、ソーラーパネル12を比較的大きい力で浮揚させようとする現象の発生とを回避することができる。これにより、また、後述する負圧作用空間領域Aの発生により、支持装置16のソーラーパネル12に対する支持負担を軽減することができる。
【0032】
図1を参照すると、プレート26の裏面30に当たった後、その上方の平坦面32及び下方の下端面34を越えて流れる風Wは、プレート26の下流側(風下側)(図上、プレート26の左側)に負圧作用空間領域Aを生じさせる。
【0033】
負圧作用空間領域Aは、風Wがソーラーパネル12の上側面22を直撃する場合にソーラーパネル12の上向きの傾斜面18に作用する負圧より小さい負圧(絶対値として小さい圧力)a1を上向きの傾斜面18に及ぼす。また、風Wがソーラーパネル12の上側面22を直撃する場合、ソーラーパネル12の下向きの傾斜面20には正圧が作用するところ、負圧作用空間領域Aは下向きの傾斜面20に負圧a2を及ぼす。このため、ソーラーパネル12の上向き及び下向きの両傾斜面18、20に作用する風圧力の和(合力)は比較的小さい。
【0034】
また、プレート26は、図2に示すように、ソーラーパネル12の幅S4と同一の幅を有し、また、プレート26の中心線がソーラーパネル12の中心線l上にあるように整列されている。
【0035】
図示の例にあっては、負圧作用空間領域Aは、鉛直方向及び水平方向の双方に関して、ソーラーパネル12の全部を包む大きさを有する。ただし、ソーラーパネル12の全部を包む大きさを有する負圧作用空間領域Aは、実験によれば、プレート26のソーラーパネル12に対する水平方向距離S1の大きさが350〜1000mmの範囲にあり、また、プレート26の幅がソーラーパネル12の幅S4の90%以上の大きさの範囲にあるときに得られる。これらの範囲外にあるとき、負圧作用空間領域Aはソーラーパネル12の一部を包む大きさを有する。なお、ソーラーパネル12やプレート26の設置やメインテナンス等のための作業空間を確保するため、水平方向距離S1の範囲を350〜3000mmに広げることができる。
【0036】
ソーラーパネル12は、負圧作用空間領域Aがソーラーパネル12の全部を包む大きさを有するとき、ソーラーパネル12の一部を包む大きさを有するときに比べて、より有効な負圧作用を受ける。負圧作用空間領域Aの大きさは、実用上、その鉛直方向及び水平方向の双方に関して、ソーラーパネル12の全部を包む大きさであることが望ましい。
【0037】
負圧作用空間領域Aの水平方向に関する前記大きさ(長さ)は、また、プレート26の鉛直方向長さS2の大きさに依存する。プレート26の鉛直方向長さS2の最小値はソーラーパネル12の上側面22における両境界36,38間の鉛直方向における距離の値である。
【0038】
次に、図3及び図4を参照すると、他の例に係る風力低減装置が全体に符号50で示されている。この風力低減装置50は複数のソーラーパネル12に適用されている。ただし、風力低減装置50は単一のソーラーパネル12についても適用可能であり、この場合には、好ましくは、風力低減装置50のプレート56の後記横方向長さに相当する長さが、単一のソーラーパネル12の大きさに合わせて、より短いものに設定される。
【0039】
複数のソーラーパネル12及びプレート56は、前記した支持装置16と同様の複数の支持装置(図示せず)を介して、設置面14の上方空間に、支持される。
【0040】
複数のソーラーパネル12は、互いに平行な複数のソーラーパネル列52からなり、各ソーラーパネル列52は横方向(図3において左右方向)へ伸びている。図示の例では、各ソーラーパネル列52を構成する複数のソーラーパネル12が、ソーラーパネルの上側面22及び下側面24に連なる一対の側面54において、互いに接している。また、各ソーラーパネル列52における複数のソーラーパネル12の上側面22及び下側面24がそれぞれ風Wの向き25に関する上流側(風上側)及び下流側(風下側)に位置する。また、前記横方向に直角な縦方向(図3において上下方向)に互いに隣接する2つのソーラーパネル列52相互間には間隙Cが存する。
【0041】
風力低減装置50のプレート56は、複数のソーラーパネル列52から前記縦方向に間隔をおいて(すなわち、最も風上の側に位置する第1列目のソーラーパネル列52から風上の側に間隔をおいて)、第1列目のソーラーパネル列52の全ソーラーパネル12の下向きの傾斜面20に向けて鉛直に配置されている。したがって、プレート56は、第1列目のソーラーパネル列52の横方向長さ以上の長さを有する。なお、第1列目のソーラーパネル列52からプレート56までの水平距離は、図1に示す例におけると同様に設定される(図3)。
【0042】
この風力低減装置50においては、プレート56の上方の平坦面32が、各ソーラーパネル列52の複数のソーラーパネル12の上境界36の高さ位置から上境界36と下境界40との間の鉛直方向距離S3の多くとも1/4の大きさの距離をおいた高さ位置にあり、また、下方の平坦面34がソーラーパネル12の下境界40の高さ位置又はこれより低い高さ位置にある。この例においては、プレート56の下方の平坦面34が設置面14上にあるとき、下方の平坦面34の高さ位置は最低となる。
【0043】
この例にあっては、風Wがプレート56の上方の平坦面32をかすめてソーラーパネル12の上方の傾斜面18上に至り該上方の傾斜面に生じさせる負圧の大きさの増大を抑えつつ、比較的低い高さに位置するプレート56の下方の端面34をかすめてソーラーパネル12の下方の傾斜面20に突き当たる風Wの量を少なくし、また、ソーラーパネル12の側方から該ソーラーパネル下の空間への風の流入とこれに伴う風全体の流れの復元とを抑制し、これにより、下方の傾斜面20に作用する圧力を正から負に転換する。
【0044】
この風力低減装置50にあっては、複数のソーラーパネル列52に対して、プレート56の風下に図1に示す負圧作用空間領域Aに相当する負圧作用空間領域B(図3)が生じ、個々のソーラーパネル12に対すると同様の風力低減効果及び前記合力の低減又は軽減の効果を及ぼす。このことから、風力低減装置50は、数万枚のソーラーパネル12が設置されるメガソーラー発電所での使用に適する。
【0045】
風力低減装置50は、さらに、前記縦方向に互いに隣接する2つのソーラーパネル列52相互間の間隙Cに配置されたプレート(第2のプレート)58を有するものとすることができる。第2のプレート58はプレート(第1のプレート)56と同一形状のプレートからなり、第1のプレート56と平行に配置されている。第2のプレート58は、例えば、第1のプレート56により受ける前記効果が大きく低下し始める位置のソーラーパネル列52の風上に設置する。第2のプレート58はソーラーパネル列52上への風Wの流入を抑制する効果を有する。これによれば、当該ソーラーパネル列52及びその風下に位置する他のソーラーパネル列52のいくつかに対して、第1のプレート56が及ぼすのと同様の効果を及ぼすことができる。
【0046】
風力低減装置50は、さらに、第1のプレート56の両側部にそれぞれ接続され前記縦方向へ伸びる一対のプレート(第3のプレート)60を有するものとすることができる。第3のプレート60は、第1のプレート56と同一の高さ寸法を有し、第1のプレート56と同じ高さ位置又は異なる高さ位置に配置され、第1のプレート56と共同して複数のソーラーパネル列52をこれらの三方から取り囲む。第3のプレート60は、第1のプレート56の両側面61をかすめて通過する風Wが複数のソーラーパネル列52にこれらの側方から回り込んで前記ソーラーパネル列の上下方の両空間に流入し、これらの上向き及び下向きの両傾斜面18、20にそれぞれ負圧及び正圧を及ぼすことを防止する。
【0047】
図3及び図4に示す風力低減装置50における風力低減効果及び前記合力の低減効果の確認のための数値解析を行った。数値解析の条件は以下のとおりである(図5及び図6参照)。
【0048】
ソーラーパネル列52及びソーラーパネル12について(図5参照)
ソーラーパネル列52の列数・・・15
ソーラーパネル列52相互間の間隔(C)・・・1.4m
各ソーラーパネル列52を構成するソーラーパネル12の台数・・・9台
各ソーラーパネル12の平面上における長さ(横×縦)・・・9m×4m
各ソーラーパネル列52の長さ・・・81m
第1列目のソーラーパネル列52と風力低減装置50のプレート56との相互間隔・・・1.0m
【0049】
ソーラーパネル12について(図6参照)
設置面14からのソーラーパネル12の下境界40の高さ(距離e)・・・350mm
設置面14からのソーラーパネル12の上境界36の高さ(距離a+b+c+d+e)・・・1,094mm
ソーラーパネル12の下境界40と上境界36との相互間距離(a+b+c+d)(a=b=c=d)・・・744mm
【0050】
風Wについて(図6参照)
高さ方向の風速分布V・・・V=(Z/H0.15 ここにおいて、Z及びHはそれぞれ設置面14からの高さ及び設置面14からのソーラーパネル12の上境界36の高さである。
風速・・・ソーラーパネル12の上境界36における平均風速v(=8m/秒)
基準速度圧・・・ソーラーパネル12の上境界36における速度圧(=0.6v(N/m))
【0051】
上記の条件下において、プレート56に向けて風Wを送り、奇数列目(第1列目、第3列目、・・・第15列目)のソーラーパネル列52の前記横方向の中央に位置するソーラーパネル12(図5において、符号1〜8を付したソーラーパネル)が受ける風力係数を算出した。前記風力係数の算出方法は次のとおりである。まず、図5に示すように、各ソーラーパネル1〜8の両傾斜面18、20上のそれぞれの上に21個のポイントP1〜P21(図7)を設定し、各ポイントにおいて受ける風圧力の時間平均を算出し、これらの時間平均を合計する。次いで、その合計(各ポイントの平均風力)を前記基準速度圧で割り、各ポイントの平均風力係数を得る。次に、全ポイントの平均風力係数を合計し、これをポイント数21で割る。その結果、各ソーラーパネル1〜8の風力係数(空間平均)が得られる。
【0052】
前記数値解析は、プレート56についての次の5つのケースとした。すなわち、
ケース1(プレートを非設置)、
ケース2(鉛直方向における範囲a+b+c+dを占めるプレートを設置)、
ケース3(鉛直方向における範囲a+b+c+d+eを占めるプレートを設置)、
ケース4(鉛直方向における範囲b+c+dを占めるプレートを設置)、及び、
ケース5(鉛直方向における範囲b+c+d+eを占めるプレートを設置)とした。
【0053】
前記数値解析の結果得られたソーラーパネル1〜8の前記風力係数の値は下表のとおりである。なお、表中の「パネル」は「ソーラーパネル」を短縮した表現である。
【0054】
前記数値解析の結果から、プレート56を設置しないケース(ケース1)に比べて、プレート56を設置したケース(ケース2〜ケース5)においてマイナスの数値の絶対値が小さく、ソーラーパネル12がより小さい風力を受けること、すなわち前記風力低減効果及び前記合力の低減効果が現れることが分かる。なお、各ケース2〜5における前記風力係数の絶対値が、ケース1における前記風力係数の絶対値に近づくパネル、すなわちケース2においてはパネル7を、ケース3においてはパネル5を、ケース4においてはパネル5を、また、ケース5においてはパネル4を含む前記ソーラーパネル列の風上側に第2のプレート58を配置することが考えられる。
【0055】
また、ケース4(鉛直方向範囲b+c+d)及びケース5(鉛直方向範囲b+c+d+e)に関する前記数値解析の結果から、ケース1(プレートなし)における前記風力係数の絶対値に近づくパネルは、ケース4)ではパネル5であり、また、ケース5ではパネル4であった。これは、ケース4の方がケース5よりもより遠くに位置するソーラーパネル列に前記風力低減効果及び前記合力の低減効果を及ぼすことを示す。このことから、ソーラーパネル12の下境界40の高さ位置と設置面14の高さ位置との間の前記鉛直方向範囲(e)はこれを開放した方がよいことが分かった。
【0056】
さらに、ケース2(鉛直方向範囲a+b+c+d)及びケース3(鉛直方向範囲a+b+c+d+e)に関する前記数値解析の結果から、ケース1(プレートなし)における前記風力係数の絶対値に近づくパネルは、ケース2ではパネル7であり、また、ケース3ではパネル5であった。これは、ケース2の方がケース3よりもより遠くに位置するソーラーパネル列に前記風力低減効果を及ぼすことを示す。このことから、前記ケース4及び5におけると同様、ソーラーパネル12の下境界40の高さ位置と設置面14の高さ位置との間の前記鉛直方向範囲(e)はこれを開放した方がよいことが分かった。
【0057】
また、前記数値解析において、ケース2及びケース3のプレート56は、図1及び図2に示す風力低減装置10のプレート26と共通する。また、前記数値解析に際し、プレート26として、a+b+cの鉛直方向範囲を占めるプレートを使用したところ、パネル1(前記表参照)について、風力係数の値−0.57を得た。このことから、プレート26の使用によっても前記風力低減効果及び前記合力の低減効果が現れることが分かる。
【符号の説明】
【0058】
10、50 風力低減装置
12、52 ソーラーパネル
16 支持装置
18 ソーラーパネルの上向きの傾斜面
20 ソーラーパネルの下向きの傾斜面
22 ソーラーパネルの上方の側面
24 ソーラーパネルの下方の側面
26、56 プレート
32 プレートの上方の平坦面面
34 プレートの下方の平坦面
36 プレートの上境界
40 プレートの下境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7