(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数本の柱と、前記柱の上端部同士を連結する上梁と、前記柱の下端部同士を連結する下梁とによって略直方体フレーム状に形成された複数の建物ユニットが組み合されて構築されたユニット式建物の外壁に窓が形成されており、当該窓の屋外側に離間して配置される面格子が、前記外壁を構成する建物ユニットに対し、複数種類のブラケットを介して取り付けられてなる面格子の取付構造において、
前記窓は、当該窓の外枠を構成するサッシ枠を備えており、
前記複数種類のブラケットには、前記面格子の上端部が取り付けられる上端部用ブラケットが含まれており、
前記上梁に対して、前記サッシ枠と前記上端部用ブラケットの双方が固定されていることを特徴とする面格子の取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、面格子は、ブラケットを介して建物の窓の外枠を構成するサッシ枠に取り付けられているが、面格子による防犯性を高めるためには、面格子を、サッシ枠よりも剛性に優れた取付下地に取り付けたいという要望があった。また、面格子を、サッシ枠よりも剛性に優れた取付下地に取り付けた場合であっても、支障なくサッシ枠を設置することも併せて望まれていた。
【0005】
本発明の課題は、面格子を剛性に優れた取付下地に取り付けて、面格子による防犯性を高めることができるとともに、サッシ枠を支障なく設置することができる面格子の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図10に示すように、複数本の柱6a,6bと、前記柱6a,6bの上端部同士を連結する上梁7aと、前記柱6a,6bの下端部同士を連結する下梁7bとによって略直方体フレーム状に形成された複数の建物ユニットが組み合されて構築されたユニット式建物1の外壁2に窓3,4が形成されており、当該窓3,4の屋外側に離間して配置される面格子20が、前記外壁2を構成する建物ユニットに対し、複数種類のブラケット30,40,41,42,50を介して取り付けられてなる面格子20の取付構造において、
前記窓3,4は、当該窓3,4の外枠を構成するサッシ枠3a,4aを備えており、
前記複数種類のブラケット30,40,41,42,50には、前記面格子20の上端部が取り付けられる上端部用ブラケット30が含まれており、
前記上梁7aに対して、前記サッシ枠3aと前記上端部用ブラケット30の双方が固定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、上梁7aに対して、サッシ枠3aと上端部用ブラケット30の双方が固定されているので、上端部が上端部用ブラケット30に取り付けられた面格子20とサッシ枠3aの双方をユニット式建物1の躯体に取り付けた状態とすることができる。これによって、面格子20の上端部を、剛性に優れた取付下地である躯体に取り付けることができるので、例えば面格子20をサッシ枠3aに取り付ける場合に比して、面格子20による防犯性を高めることができる。さらに、サッシ枠3aを外壁2に対して支障なく設置することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図1〜
図6,
図9に示すように、請求項1に記載の面格子20の取付構造において、
前記外壁2は、前記建物ユニットのうち屋外に面する側の端部に外壁材2aが取り付けられることによって形成されており、
前記面格子20は、その屋外側面が前記外壁材2aの屋外側面と略面一となるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、面格子20は、その屋外側面が外壁材2aの屋外側面と略面一となるように配置されているので、面格子20が外壁2よりも突出しない状態となり、外観意匠性の向上を図ることができる。
なお、このように面格子20が外壁2よりも突出しない状態となれば、面格子20の上端部を指掛かりや足掛かりとしたり、物を引っ掛けたりしにくくなるので、例えば面格子20が外壁2よりも突出する場合に比して、防犯性を高くすることができ、好ましい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図1〜
図7に示すように、請求項1または2に記載の面格子20の取付構造において、
前記上端部用ブラケット30は、前記上梁7aの長さ方向に沿って長尺に形成されており、さらに、屋外側に位置して前記面格子20の上端部を受ける受け部32と、窓3側に位置するとともに前記上梁7aの長さ方向に間隔を空けて断続的に配置され、前記上梁7aに固定される複数の固定片33と、を備えており、
前記サッシ枠3aは、前記複数の固定片33間に形成された隙間から前記上梁7aに固定されたサッシ枠受け13に対して固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、サッシ枠3aは、上端部用ブラケット30における複数の固定片33間に形成された隙間から上梁7aに固定されたサッシ枠受け13に対して固定されているので、面格子20の上端部を上端部用ブラケット30に固定しつつ、複数の固定片33間の隙間から、サッシ枠3aも上梁7aに対して確実に固定することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図3〜
図5,
図9,
図10に示すように、請求項1〜3のいずれか一項に記載の面格子20の取付構造において、
前記複数種類のブラケット30,40,41,42,50には、前記建物ユニットを構成する柱6a,6bに固定されるとともに前記面格子20の下端部が取り付けられる下端部用ブラケット40,41,42が含まれていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、複数種類のブラケット30,40,41,42,50には、建物ユニットを構成する柱6a,6bに固定されるとともに面格子20の下端部が取り付けられる下端部用ブラケット40,41,42が含まれているので、当該下端部用ブラケット40,41,42によって面格子20の下端部をユニット式建物1の躯体に取り付けた状態とすることができる。すなわち、面格子20の下端部を、剛性に優れた取付下地である躯体に取り付けることができるので、例えば面格子20をサッシ枠3a,4aに取り付ける場合に比して、面格子20による防犯性を高めることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1〜
図7,
図9,
図10に示すように、請求項4に記載の面格子20の取付構造において、
前記面格子20は、幅方向に等間隔に離間する複数の縦格子材21と、当該複数の縦格子材21の上端部同士を連結する上側水平材22と、下端部同士を連結する下側水平材23と、を備えており、
前記上端部用ブラケット30には前記上側水平材22が取り付けられ、前記下端部用ブラケット40,41,42には前記下側水平材23が取り付けられることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、上端部用ブラケット30には上側水平材22が取り付けられ、下端部用ブラケット40,41,42には下側水平材23が取り付けられるので、複数の縦格子材21を同時に設置することが可能となり、施工性に優れる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば
図1〜
図4,
図8に示すように、請求項5に記載の面格子20の取付構造において、
前記窓3,4は、前記面格子20の上端部側に形成される上側窓3と、前記面格子20の下端部側に形成される下側窓4と、を含んで構成されており、
前記上側窓3と前記下側窓4との間の箇所には、屋外側表面が、前記面格子20の内側であって当該面格子20から離間して配置される内側外壁材8が設けられており、
前記複数種類のブラケット30,40,41,42,50には、前記内側外壁材8に固定されるとともに前記面格子20の上下方向中間部が取り付けられる中間部用ブラケット50が含まれていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、複数種類のブラケット30,40,41,42,50には、内側外壁材8に固定されるとともに面格子20の上下方向中間部が取り付けられる中間部用ブラケット50が含まれているので、当該中間部用ブラケット50によって面格子20の上下方向中間部を補助的に内側外壁材8に固定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、格子を剛性に優れた取付下地に取り付けて、面格子による防犯性を高めることができるとともに、サッシ枠を支障なく設置することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態の面格子の取付構造は、
図1〜
図10に示すように、ユニット式建物1の外壁2に形成された窓3,4の屋外側に離間して配置される面格子20が、前記外壁2を構成する建物ユニットに対し、複数種類のブラケット(後述する)を介して取り付けられてなる。
なお、ユニット式建物1は、全体として三階建てとされており、複数の建物ユニットが組み合されて構築された建物本体を備える。複数の建物ユニットとしては、複数本の柱6a,6bと、前記柱6a,6bの上端部同士を連結する上梁7aと、前記柱6a,6bの下端部同士を連結する下梁7bとによって略直方体フレーム状に形成されたものが主に使用されている。また、複数本の柱6a,6bには、建物ユニットの四隅に設けられる四隅の柱6aと、四隅の柱6aと離間して設けられる間柱6bとが含まれている。
【0021】
建物本体の上には、切妻屋根部5aと陸屋根部(第一陸屋根部5b,第二陸屋根部5c)とからなる屋根が設けられている。また、切妻屋根部5aの下方には、建物1の二階と三階との間の中間階の部屋67が設けられ、陸屋根部のうち上方に位置する第一陸屋根部5bの下方には、建物1の三階が設けられているものとする。
切妻屋根部5aの端部には破風板5dが設けられており、当該破風板5dよりも下方であって、かつ当該破風板5dに囲まれた位置には二等辺三角形状に形成された妻壁部5eが設けられている。
【0022】
外壁2は、建物1の外周に設けられる全ての外壁のうち、
図1に示すような切妻屋根部5aの妻壁部を正面視した向きの、一階左側の外壁と二階外壁とを指す。これら一階左側の外壁と二階外壁は、正面視において略L字状を成すように一体化されて、前記外壁2を構成している。また、外壁2は、建物ユニットのうち屋外に面する側の端部に外壁材2aが取り付けられることによって形成されている。
当該略L字状の外壁2は、一階中央から右側にかけて設けられた掃き出し窓が二つある外壁と、切妻屋根部5aの妻壁部5eよりも前方に突出した“ふかし壁”とされている。なお、当該外壁2は、
図2に示すように、切妻屋根部5aの破風板5dの端部よりも前方に突出している。
【0023】
そして、このような外壁2の二階部分の中央に面格子20が設けられている。面格子20は、その屋外側面が外壁材2aの屋外側面と略面一となるように配置されている。面格子20の幅寸法は、中間階の部屋の幅寸法と略等しく設定されているものとする。
このような面格子20は、
図4,
図6,
図9等に示すように、幅方向に等間隔に離間する複数の縦格子材21と、当該複数の縦格子材21の上端部同士を連結する上側水平材22と、下端部同士を連結する下側水平材23と、を備える。すなわち、面格子20は、複数の縦格子材21を上側水平材22と下側水平材23で連結することによって一体として用いられる。
上側水平材22は、いわゆる長尺材であり、長さ方向に同一断面形状が連続する。そして、複数の縦格子材21の窓側面に当接して固定される固定板部22aと、固定板部22aの上端部から屋外側に突出するとともに複数の縦格子材21の上面に当接する上面板部22bと、上面板部22bの先端から上方に突出する突出板部22cと、を有する。
下側水平材23は、複数の縦格子材21の窓側面に当接して固定される板状体であり、
図9に示すように、その下端部が複数の縦格子材21の下端部よりも下方に突出するようにして配置されている。
なお、各縦格子材21は、
図5に示すように、断面視または平面視において、外壁2の内外方向に長い台形状に形成されている。また、各縦格子材21は筒状に形成され、長さ方向両端部にはエンドキャップが設けられている。
【0024】
さらに、面格子20の裏側に窓3,4が形成されている。窓3,4は、面格子20の上端部側に複数形成される上側窓3と、面格子20の下端部側に複数形成される下側窓4と、を含んで構成されている。なお、上側窓3は、中間階の部屋に面しており、下側窓4は中間階の部屋の下方に設けられるとともに一階の部屋の上方に設けられる吹抜け空間(後述する吹抜部69)に面しているものとする。
サッシ枠3a(4a)は、
図5等に示すように、当該サッシ枠3a(4a)の両側縁を形成する枠材が柱6aと間柱6bとの間に架け渡されて固定されている。
また、上側窓3のサッシ枠3aの上縁を形成する枠材は上梁7aに固定されている。さらに、当該サッシ枠3aの下縁を形成する枠材は、
図8に示すように、柱6a,6b間に水平に架け渡される水平構造材10に固定されている。
また、下側窓4のサッシ枠4aの上縁を形成する枠材は、
図8に示すように、柱6a,6b間に水平に架け渡される水平構造材11に固定されている。この場合、サッシ枠受け13が介在しており、サッシ枠4aの上縁を形成する枠材を、サッシ枠受け13を介して水平構造材11に固定できるようになっている。
さらに、当該サッシ枠4aの下縁を形成する枠材は、
図9に示すように、柱6a,6b間に水平に架け渡される水平構造材12に固定されている。
なお、各水平構造材10,11,12は、柱6a,6bに対して固定されることで、それぞれが躯体(建物ユニット)の一部として機能することになる。
【0025】
窓3,4は、本実施の形態においては嵌め殺し窓とされており、当該窓3,4の外枠を構成するサッシ枠3a,4aと、サッシ枠3a,4aに対して嵌められて固定されるガラス等の障子3b,4bと、を備える。なお、窓3,4の形態は嵌め殺し窓には限られるものではなく、面格子20に干渉しないものであれば特に限定されない。
また、上側窓3と下側窓4との間の箇所には、
図4,
図8に示すように、屋外側表面が、面格子20の内側であって当該面格子20から離間して配置される内側外壁材8が設けられている。当該内側外壁材8は、サッシ枠3aの下縁が固定される水平構造材10と、サッシ枠4aの上縁が固定される水平構造材11とを利用して設けられているものとする。なお、内側外壁材8の建物1内部側には内壁9が設けられている。
【0026】
面格子20を建物ユニットに対して取り付けるための複数種類のブラケットには、面格子20の上端部が取り付けられる上端部用ブラケット30と、面格子20の下端部が取り付けられる下端部用ブラケット40,41,42と、面格子20の上下方向中間部が取り付けられる中間部用ブラケット50と、が含まれている。
なお、これら各ブラケット30,40,41,42,50は金属製である。
【0027】
上端部用ブラケット30は、
図5〜
図7に示すように、上梁7aの長さ方向に沿って長尺に形成されている。また、当該上端部用ブラケット30は、本体部31と、受け部32と、複数の固定片33と、を備える。
本体部31は、上梁7aの長さ方向に沿って長尺に形成された板状体である。
受け部32は、屋外側に位置して面格子20の上端部を受ける板状体であり、本体部31の屋外側縁部に沿って、かつ当該本体部31と一体形成されている。また、受け部32は本体部31に対して垂直に折り曲げられた状態となっている。
複数の固定片33は、窓3(4)側に位置するとともに上梁7aまたは本体部31の長さ方向に間隔を空けて断続的に配置され、上梁7aに固定される板状体である。また、当該複数の固定片33は、本体部31の窓側縁部に沿って、かつ当該本体部31と一体形成されており、本体部31の窓側縁部から断面視または側面視においてクランク状に折り曲げられて形成されている。そして、当該固定片33のうち、本体部31から遠い位置にあって、かつ本体部31と平行する板状部分が上梁7aの下面に固定されている。
なお、複数の固定片33の幅寸法は、
図3に示すように、全てが等しく設定されていなくてもよい。
【0028】
このような上端部用ブラケット30は、複数の固定片33が、上梁7aの下面に対してビス等の固定具を用いて固定されている。この時、複数の固定片33は互いに間隔が空いて複数の隙間が形成された状態となっているので、複数の固定片33間には上梁7aの下面が露出した状態となる。
複数の固定片33間の複数の隙間から露出した上梁7aの下面のそれぞれにはサッシ枠3aの上縁を受けるサッシ枠受け13が固定されている。そして、サッシ枠3aは、当該サッシ枠受け13に対して固定されている。すなわち、サッシ枠3aの上縁は、サッシ枠受け13を介して建物躯体である上梁7aに固定された状態となっている。
また、面格子20を構成する複数の縦格子材21の上端部同士を連結する上側水平材22は、当該上側水平材22の突出板部22cが、上端部用ブラケット30の受け部32に対してビス等の固定具によって固定されている。
【0029】
下端部用ブラケット40,41,42は、
図3,
図5,
図9,
図10に示すように、水平構造材12の長さ方向に沿って点在するように配置されている。また、下端部用ブラケット40,41,42には、面格子20の幅方向両端部に設けられる第一下端部用ブラケット40と、面格子20の中央において、隣り合う建物ユニットの四隅の柱6a,6a同士に跨って設けられる第二下端部用ブラケット41と、一つの建物ユニットにおける四隅の柱6a,6a間に配置される間柱6bの位置に設けられる第三下端部用ブラケット42とが含まれている。
これら第一下端部用ブラケット40と、第二下端部用ブラケット41と、第三下端部用ブラケット42は、四隅の柱6aと間柱6bのいずれかの、建物ユニットを構成する柱に対して固定されることになる。そして、このように各下端部用ブラケット40,41,42は柱6a,6bに対して固定されるので、当該柱6a,6bの長さ方向のいずれの位置にも固定することができ、面格子20の取付自由度を向上させることができる。
【0030】
第一下端部用ブラケット40は、
図5,
図9,
図10に示すように、柱6aの屋外側面に固定される固定板部40aと、当該固定板部40aの面格子側端部から屋外側に突出する突出板部40bと、当該突出板部40bの先端から面格子20側に延びる被固定板部40cと、を有する。
固定板部40aと被固定板部40cは平行しており、これらに対して突出板部40bが直交している。そして、これら固定板部40aと、突出板部40bと、被固定板部40cは一体形成されている。
固定板部40aは柱6aに対してビス等の固定具によって固定されており、被固定板部40cに対しては下側水平材23がビスやリベット等の固定具によって固定される。
【0031】
第二下端部用ブラケット41は、
図5に示すように、下地材41aと、当該下地材41aの両端部側に配置されて固定される二つの固定板部41bと、面格子20側に突出して、かつこれら二つの固定板部41b間に面格子20側に凸型に突出する被固定部41cと、を有する。
下地材41aは、板材であり、隣り合う建物ユニットの四隅の柱6a,6a同士に跨って設けられるとともに、隣り合う建物ユニット側のそれぞれのサッシ枠3a,3a間に架け渡されている。当該下地材41aによって、隣り合う建物ユニットの四隅の柱6a,6aを覆うことができる。
二つの固定板部41b,41bは柱6a,6aに対して下地材41aを介してビス等の固定具によって固定されている。さらに、被固定部41cに対しては下側水平材23がビスやリベット等の固定具によって固定される。
【0032】
第三下端部用ブラケット42は、
図5に示すように、サッシ枠3a(4a)の側縁を形成する枠材を介して間柱6bの屋外側面に固定される固定板部42aと、当該固定板部42aから面格子20側に凸型に突出する被固定部42bと、を有する。
固定板部42aは間柱6bに対してビス等の固定具によって固定されており、被固定部42bに対しては下側水平材23がビスやリベット等の固定具によって固定される。
なお、第三下端部用ブラケット42を間柱6bに固定する際は、これら第三下端部用ブラケット42と間柱6bとの間にサッシ枠3a(4a)の枠材が介在しているため、当該枠材も同時に固定具によって間柱6bに固定された状態となっている。
【0033】
第一下端部用ブラケット40の被固定板部40cと、第二下端部用ブラケット41の被固定部41cと、第三下端部用ブラケット42の被固定部42bは、それぞれの取り付け箇所は互いに離間しているものの、その面格子20側表面が同一垂直面上に配置される。したがって、下側水平材23を安定的に固定することができ、延いては面格子20の取付安定性も向上できる。
【0034】
中間部用ブラケット50は、
図8に示すように、内側外壁材8の上端部と下端部のそれぞれに取り付けられている。
また、当該中間部用ブラケット50は、内側外壁材8に固定される下地側ブラケット51と、面格子20の窓側面に固定されるとともに下地側ブラケット51を被覆する被覆側ブラケット52と、を有する。これら下地側ブラケット51および被覆側ブラケット52は、いわゆる長尺材であり、長さ方向に同一断面形状が連続する。
下地側ブラケット51は、断面視または側面視において凸型またはハット型に形成されており、内側外壁材8に対してビス等の固定具によって固定されている。また、被覆側ブラケット52は、断面視または側面視においてコ字状に形成されており、面格子20の各縦格子材21に対してビスやリベット等の固定具によって固定されている。
被覆側ブラケット52は、下地側ブラケット51に対してビス等の固定具によって固定されている。これによって、面格子20を、当該中間部用ブラケット50を介して内側外壁材8に固定することができる。
【0035】
なお、中間部用ブラケット50の面格子20側表面と、各下端部用ブラケット40,41,42に固定された下側水平材23の面格子20側表面は同一垂直面上に配置される。したがって、面格子20の下端部と中間部とを安定的に固定することができる。
【0036】
以上のような本実施の形態の構成を採用することによって、面格子20を、外壁2を構成する建物ユニットに対して、複数種類のブラケット30,40,41,42,50を介して取り付けることができる。
【0037】
なお、
図12〜
図16には、ユニット式建物1の断面構造が示されており、面格子20は、二つの建物ユニットの短辺側に跨って設けられている。すなわち、窓3,3および窓4,4をそれぞれ挟み込むような形で立設する二本の柱6a,6aが、一つの建物ユニットの短辺側に設けられている。したがって、特に
図5,
図13,
図14に示すように、面格子20は、二つの建物ユニットの短辺側に跨って設けられていることになる。
面格子20の下側水平材23は、第一下端部用ブラケット40と、第二下端部用ブラケット41と、を介して建物ユニットの柱6a,6aに取り付けられている。また、面格子20は、窓3,4を隠す範囲で設けられているため、建物ユニットの柱6a,6aを隠す範囲では設けられていない。そのため、柱6a,6aの前方には、柱6a,6aを隠す範囲の幅寸法に設定された外壁材2aが設けられている(
図5参照)。すなわち、幅の狭い外壁材2aと面格子20の双方が一つの建物ユニットに対して設けられていることになる。
面格子20の屋外側面と外壁材2aの屋外側面は、上述のように略面一に配置される。そのため、面格子20とともに一つの建物ユニットに設けられる幅の狭い外壁材2aは、
図11に示すように、建物ユニットから水平方向に離間した位置に外壁材2aを固定するためのブラケット60,61を介して建物ユニットに固定されている。より詳細に説明すると、外壁材2aは、その上端部がブラケット60を介して建物ユニットの上梁7aに固定されている。また、下端部がブラケット61を介して建物ユニットの下梁7bに固定されている。
ブラケット60,61は、梁7a,7bに固定される基部60a,61aと、梁7a,7bから水平方向に離間した位置に外壁材2aを固定するための固定部60b,61bと、を備え、固定部60b,61bは、梁7a,7bの側面と平行な板面を有する。
また、幅の狭い外壁材2aを有する建物ユニットの隣にも他の建物ユニットが設置されるが、この建物ユニットに対しても外壁材2aは固定されている。これら外壁材2a,2a同士の屋外側面も略面一となるように設定されている。
【0038】
ユニット式建物1は、上述した中間階の部屋として中間部屋67を備える(
図14,
図15参照)。当該中間部屋67は、二階の床よりも一段高い中間床67a上に設けられており、中間床67aと二階の床との間は低天井空間62とされている。
低天井空間62は、この低天井空間62に隣接する通路64に向かって開放された低天井収納室68と、一階の部屋75の上部空間と連通する吹抜部69と、を有する。
また、通路64の北側にはランドリースペース65が配置され、通路64の南側には部屋23が配置されている。さらに、中間部屋67の上方には、三階の床と略等しい高さのロフト70が配置されている。
【0039】
以上のようなユニット式建物1の構成を踏まえて、低天井空間63の周囲における空間的な繋がりについて説明する。
すなわち、低天井収納室68は、
図13,
図16に示すように通路64に向かって開口している。また、低天井収納室68に対向して収納棚71,72が配置されている。したがって、通路64を介した低天井収納室68と収納棚71,72との間で、極めて容易に物品の移動を行うことができる。
また、通路64と部屋63、通路64とランドリースペース65はそれぞれ建具が無い状態で繋がっており、行き来がしやすい。特に通路64とランドリースペース65との間では、低天井収納室68または収納棚71,72に収納される物品を衣類とした場合の当該物品の移動が極めて容易である。
また、吹抜部69は窓4を通じて採光が可能となっており、吹抜部69に取り込まれた光は、下方の部屋75と、開口部63aを通じて部屋63へと差し込む。なお、窓4を開閉可能とすれば、屋外からの風(空気)を、下方の部屋75と、開口部63aを通じて部屋63へと流入させることができる。さらに、部屋63に流入させた空気を、開口部67bおよび階段67cを通じて中間部屋67に流入させることができ、通路64を通じて低天井収納室68にも流入させることができる。また、建具の無い状態で繋がるランドリースペース65にも流入させることが可能となる。
また、中間部屋67の上方には、
図1,
図14に示すように天窓77があり、中間部屋67は天窓77を通じて採光・通風が可能となっている。中間部屋67に取り込まれた光は、開口部67dを通じて通路64へ、開口部67cを通じて部屋63へ、ロフト70と三階スペースとの間の開口部70aを通じて三階スペースへと差し込む。天窓77から中間部屋67に流入した風(空気)は、開口部67dを通じて通路64へ、開口部67cを通じて部屋63へ、開口部70aを通じて三階スペースへと流入する。
さらに、屋外からの風(空気)を、窓75a,75bを通じて下方の部屋75内に流入させることができる(
図12,
図16参照)。部屋75に流入した空気を、吹抜部69および開口部63aを通じて部屋23に流入させることができる。部屋23に流入した空気を、開口部67cおよび階段67bを通じて中間部屋67に流入させることができ、中間部屋67に流入した空気を天窓77から屋外に抜いたり、ロフト70および三階スペース側に流入させたりすることができる。なお、このような空気の流れは、部屋75内の天井付近に溜まる暖かい空気を天窓77から抜く場合にも適用できる。
以上の点を鑑みれば、低天井空間62を中心とした建物1内部空間は、下方の部屋75と、吹抜部69と、部屋63と、通路64側(低天井収納室68およびランドリースペース65を含む)と、中間部屋67と、三階スペースと、が空間的に繋がった状態となる。さらに、窓3,4と、天窓77と、窓75a,75bを通じて屋外と空間的に繋がった状態となる。また、空気は天窓77から部屋75の窓75a,75bまでの間で双方向に流通可能である。これによって、低天井空間62を中心とした建物1内部空間における居住環境の快適性を向上させることができる。
なお、空間的に繋がった低天井空間62を中心とした建物1内部空間においては、採光・通風だけでなく、音も伝わりやすくなるので、上下階間における人のコミュニケーションも可能となる。
また、面格子20は、採光や通風に利用される窓3,4を覆うことができるので、採光時や通風時における外部からの視線や物の通過を好適に遮ることができる。
【0040】
なお、
図1,
図2図12〜
図16において建物1全周の外壁には複数の窓が形成されているが、図面が煩雑となることを回避するために、窓3,4および窓75a,75bを除いて符号の付与を省略する。符号の付与を省略した窓は、窓3,4および窓75a,75bとはサイズ等に違いはあるものの、同様のデザインで表されている。
【0041】
本実施の形態によれば、上梁7aに対して、サッシ枠3aと上端部用ブラケット30の双方が固定されているので、上端部が上端部用ブラケット30に取り付けられた面格子20とサッシ枠3aの双方をユニット式建物1の躯体に取り付けた状態とすることができる。これによって、面格子20の上端部を、剛性に優れた取付下地である躯体に取り付けることができるので、例えば面格子20をサッシ枠3aに取り付ける場合に比して、面格子20による防犯性を高めることができる。さらに、サッシ枠3aを外壁2に対して支障なく設置することができる。
なお、以上のように面格子20を剛性に優れた取付下地である建物の躯体に固定すれば、面格子20を躯体に対して確実かつ強固に固定することが可能となるので、面格子20を強引に取り外すことによる窓3,4からの人の侵入を防ぎやすくなる。
【0042】
また、面格子20は、その屋外側面が外壁材2aの屋外側面と略面一となるように配置されているので、面格子20が外壁2よりも突出しない状態となり、外観意匠性の向上を図ることができる。
なお、このように面格子20が外壁2よりも突出しない状態となれば、面格子20の上端部を指掛かりや足掛かりとしたり、物を引っ掛けたりしにくくなるので、例えば面格子20が外壁2よりも突出する場合に比して、防犯性を高くすることができる。
【0043】
また、サッシ枠3aは、上端部用ブラケット30における複数の固定片33間に形成された隙間から上梁7aに固定されたサッシ枠受け13に対して固定されているので、面格子20の上端部を上端部用ブラケット30に固定しつつ、複数の固定片33間の隙間から、サッシ枠3aも上梁7aに対して確実に固定することができる。
【0044】
また、複数種類のブラケット30,40,41,42,50には、建物ユニットを構成する柱6a,6bに固定されるとともに面格子20の下端部が取り付けられる下端部用ブラケット40,41,42が含まれているので、当該下端部用ブラケット40,41,42によって面格子20の下端部をユニット式建物1の躯体に取り付けた状態とすることができる。すなわち、面格子20の下端部を、剛性に優れた取付下地である躯体に取り付けることができるので、例えば面格子20をサッシ枠3a,4aに取り付ける場合に比して、面格子20による防犯性を高めることができる。
【0045】
また、上端部用ブラケット30には上側水平材22が取り付けられ、下端部用ブラケット40,41,42には下側水平材23が取り付けられるので、複数の縦格子材21を同時に設置することが可能となり、施工性に優れる。
【0046】
また、複数種類のブラケット30,40,41,42,50には、内側外壁材8に固定されるとともに面格子20の上下方向中間部が取り付けられる中間部用ブラケット50が含まれているので、当該中間部用ブラケット50によって面格子20の上下方向中間部を補助的に内側外壁材8に固定することができる。
【0047】
なお、本発明を適用可能な実施の形態は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。
【0048】
(変形例1)
本実施の形態において、窓3,4は、面格子20の上端部側に複数形成される上側窓3と、面格子20の下端部側に複数形成される下側窓4と、を含んで構成され、面格子20はこれら上側窓3および下側窓4の屋外側に離間して配置されるものとしたが、これに限られるものではない。
すなわち、図示はしないが、上下に分けられずに一つの窓の屋外側に離間して面格子20が配置されてもよいし、上下に三つ以上に分けられた窓の屋外側に離間して面格子20が配置されてもよい。さらに、左右に複数に分けられた窓の屋外側に離間して面格子20が配置されるものとしてもよい。
なお、このように一つの窓の屋外側に離間して面格子20が配置される場合などには、中間部用ブラケット50を用いずに、上端部用ブラケット30と下端部用ブラケット40,41,42とで面格子20を取り付けてもよい。
【0049】
(変形例2)
窓3,4の範囲や大きさ、外壁2に対する配置箇所に応じて、面格子20やサッシ枠3aを上梁7aに固定しづらい場合、すなわち、面格子20およびサッシ枠3aの上端部の位置と上梁7aの位置とが離間している場合には、上梁7aの下方に当該上梁7aと平行に配置される補助構造材(図示せず)を設けるようにしてもよい。当該補助構造材は、上梁7aと同様に建物ユニットの柱6a,6a(6b)間に架け渡されて固定されるものである。
このような補助構造材に対して、サッシ枠3aと上端部用ブラケット30の双方を固定すれば、上端部が上端部用ブラケット30に取り付けられた面格子20とサッシ枠3aの双方をユニット式建物1の躯体に取り付けたような状態とすることができる。したがって、サッシ枠3aと上端部用ブラケット30の双方を上梁7aに固定した場合と同等の機能を果たすことができる。