(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持要素(6,6′,6″)は、前記ばね要素(7,7″)を支持するための支持面(64a)を備え、前記ばね要素(7,7″)の軸方向長さは、前記ばね要素が圧縮されずに前記支持面に載っているときに、挿入されたロッドの底部よりも高い位置まで軸方向に延びるようなものである、請求項1または2に記載の結合アセンブリ。
前記保持要素(6,6′,6″)は、第1の端部(6a)と、第2の端部(6b)と、少なくとも部分的に前記中心軸(C)の周囲に延びる、前記第2の端部(6b)から間隔をあけて配置された第1のスリット(66c)と、前記保持要素(6)の前記第2の端部(6b)から前記第1のスリット(66c)に延びる第2のスリット(66b)とを備え、前記第1のスリット(66c)は、前記第2のスリット(66b)から離れるように延び、前記第2のスリット(66b)よりも長い、請求項1から4のいずれか1項に記載の結合アセンブリ。
前記保持要素(6,6′,6″)は、前記保持要素(6,6′,6″)の前記第2の端部(6b)にスリットリング(66)が形成されるように前記中心軸(C)の周囲に部分的に延びる第3のスリット(66d)を備える、請求項5に記載の結合アセンブリ。
少なくとも部分的に前記収容空間(54)に位置決めされるように構成され、前記ヘッド(3)に対して圧力をかけるように構成された圧力要素(10)をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の結合アセンブリ。
前記受け部(5)における前記ボア(51)は、前記保持要素(6,6′,6″)が前記第1の端部(5a)から前記受け部(5,5″)に挿入可能であるようにサイズ決めされる、請求項1から8のいずれか1項に記載の結合アセンブリ。
前記受け部(5)における前記ボア(51)は、前記圧力要素(10)が前記第1の端部(5a)から前記受け部(5″)に挿入可能であるようにサイズ決めされる、請求項7または8に記載の結合アセンブリ。
前記骨固定要素の前記ヘッドは、ドライバのための係合凹部(31)を有する自由端面を備え、前記凹部は、前記自由端面の中心点から螺旋状の態様で延びる複数の羽部を備える、請求項11に記載の多軸骨固定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の多軸骨固定具では、弾性部材のばね力に対抗して押すことによって骨ねじの球形ヘッドを受け部に挿入することができる。しかし、結合の効率および安全性などのいくつかの局面に関して改良された結合アセンブリおよびこのような結合アセンブリを有する多軸骨固定具が依然として必要である。
【0006】
本発明の目的は、挿入力は低いが保持力は高い状態で骨固定要素を結合アセンブリに安全に接続することができ、かつ、骨固定要素を結合アセンブリに挿入するために小さな軸方向移動しか必要としない、ロッドを骨固定要素に結合するための結合アセンブリ、およびこのような結合アセンブリを備える多軸骨固定具を提供することである。また、結合アセンブリは、製造が容易でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該目的は、請求項1に記載の結合アセンブリおよび請求項13または請求項15に記載の多軸骨固定装置によって解決される。さらなる進歩については、従属請求項に記載されている。
【0008】
結合アセンブリは、骨固定要素のヘッドを収容するための収容空間を有する受け部と、少なくとも部分的に収容空間に位置決めされるように構成された保持要素とを含んでいる。さらに、結合アセンブリは、軸方向に圧縮可能であり、中心軸の周囲全体に周方向に延び、挿入されたロッドによって係合可能であるような軸方向長さを有する、圧縮ばねの形態のばね要素を備えている。好ましくは、ばね要素は、波形ばね要素である。ばね要素は、他のばね要素と比較して高いばね力を所与の軸方向長さ上で発生させる。したがって、骨固定要素のヘッドへの保持要素の嵌合が容易になる。
【0009】
保持要素はさらに、ヘッドを受け部に挿入するために必要な低い挿入力に寄与する少なくとも1つの水平スリットをその底部端に有し得る。同時に、ヘッドを受け部に保持する保持力は、挿入力と比較して高い。したがって、骨固定要素が下部開口から引き抜かれることを効果的に防止する。また、挿入経路が小さいので、ヘッド下でのミリングまたは骨からヘッドが突き出ることを回避することができる。
【0010】
結合アセンブリは、受け部に対して特定の角度位置に骨固定要素をロックするように骨固定要素のヘッドに対して圧力をかけるための圧力要素をさらに含み得る。保持要素は、保持要素および圧力要素を収容するための受け部の追加の高さが不要であるように、その外側から圧力要素を少なくとも部分的に取囲み得る。したがって、低背型のインプラントを提供することができる。
【0011】
また、受け部は、一体構造であり、保持要素およびばね要素ならびに圧力要素をその頂部開口から取付けることができるようにサイズ決めされる。
【0012】
圧力要素は、圧力要素がヘッドに対してかける摩擦力によって骨固定要素のヘッドが保持されるような位置に保持され得る。摩擦力は、ヘッドの回動が恐らく摩擦力に打ち勝つように力を加えることによるものであるようなものであり得る。
【0013】
結合アセンブリは、骨または椎骨に既に挿入された骨固定要素とその場で組立て可能である。
【0014】
骨固定要素のヘッドは、螺旋状の態様で成形および配置された溝を備えるドライバのための係合凹部をその自由端に有し得る。これにより、高いトルクを骨固定要素に伝えることができる。さらに、駆動凹部を備える固定要素の自由端面は、球形形状を有し得る。圧力要素を用いることなくロッドが直接ヘッドを押す実施例では、当該球形形状により、骨固定要素の回動角度が大きくてもロッドとヘッドとの間の必要な接触領域が設けられることが保証される。
【0015】
結合アセンブリにより、シャンクの長さの点で、異なるねじ山のタイプ、ねじ山のピッチ、異なるシャンクの直径などのシャンクの固定特徴の点で、およびカニューレ装着またはカニューレ非装着シャンクの点で異なるいくつかの骨固定要素を含み得るモジュラー式多軸骨固定装置を提供することができる。
【0016】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を用いてさまざまな実施例の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】骨固定装置の第1の実施例の分解斜視図である。
【
図2】組立てられた状態の
図1の骨固定装置の斜視図である。
【
図3】第1の実施例に係る受け部の上からの斜視図である。
【
図4】
図3に示される受け部の下からの斜視図である。
【
図7】第1の実施例に係る保持要素の上からの斜視図である。
【
図11】結合アセンブリの第1の実施例に係るばね要素の上からの斜視図である。
【
図14】保持要素を受け部に取付けるステップの断面図である。
【
図15】保持要素を受け部に取付けるステップの断面図である。
【
図16】ロッドチャネル軸を横断する方向にとられた、保持要素およびばね要素を有する第1の実施例に係る完全に組立てられた結合アセンブリの断面図である。
【
図17】第1の実施例の結合アセンブリを骨固定要素に取付けるステップの断面図である。
【
図18】第1の実施例の結合アセンブリを骨固定要素に取付けるステップの断面図である。
【
図19】ロッド軸に対して垂直な平面でとられた、挿入された骨固定要素およびロッドを有する第1の実施例に係る結合アセンブリを有する完全に組立てられた多軸骨固定装置の断面図である。
【
図20】結合アセンブリの第2の実施例を有する多軸骨固定装置の第2の実施例の分解斜視図である。
【
図21】第2の実施例に係る骨固定要素の上からの斜視図である。
【
図22】ロッドチャネル軸に対して垂直な平面でとられた、骨固定要素が結合アセンブリに挿入される多軸骨固定装置の第2の実施例の断面図である。
【
図23】挿入され固定されたロッドを有する第2の実施例に係る完全に組立てられた多軸骨固定装置の断面図である。
【
図24】結合アセンブリの第3の実施例を有する多軸骨固定装置の第3の実施例の分解斜視図である。
【
図25】ロッドチャネル軸に対して垂直な平面でとられた、多軸骨固定装置および結合アセンブリの第3の実施例に係る受け部の断面図である。
【
図26】第3の実施例に係る保持要素の上からの斜視図である。
【
図28】第3の実施例の多軸骨固定装置および結合アセンブリに係るばね要素の上からの斜視図である。
【
図30】第3の実施例に係る多軸骨固定装置および結合アセンブリの圧力要素の上からの斜視図である。
【
図34】第3の実施例に係る結合アセンブリを組立てるステップの断面図である。
【
図35】第3の実施例に係る結合アセンブリを組立てるステップの断面図である。
【
図36】第3の実施例の結合アセンブリを骨固定要素に取付けるステップの断面図である。
【
図37】第3の実施例に係る完全に組立てられた多軸骨固定装置の断面図である。
【
図38】ロッド軸に対して垂直な平面における、挿入され固定されたロッドを有する
図37の多軸骨固定装置の断面図である。
【
図39】ロッド軸を含む平面における、第3の実施例に係る多軸骨固定装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1および
図2に示されるように、第1の実施例に係る骨固定装置は、ねじが切られたシャンク2とヘッド3とを有する、骨ねじの形態の骨固定要素1を含んでいる。ヘッド3は、球の最大外径Eを含む球欠形状の外面部3aと、ねじ込みツールと係合させるための凹部3bを有する自由端とを有している。骨固定装置は、安定化ロッドを骨固定要素1に結合するための結合アセンブリ4をさらに含んでいる。結合アセンブリ4は、受け部5と、受け部5に配置されるように構成された保持要素6およびばね要素7を含んでいる。回転に対抗して受け部5に保持要素6を留めるためのピン8が設けられ得る。
【0019】
また、ロッド100を受け部5に留めて装置全体をロックするための、内部ねじの形態のロッキング要素9が設けられている。
【0020】
特に
図3〜
図6を参照して、受け部5は、実質的に円筒形であり、第1の端部または頂部端5aと、第2の端部または底部端5bと、頂部端5aおよび底部端5bを通る対称の中心軸Cとを有する一体構造の部品である。中心軸Cと同軸のボア51が設けられている。頂部端5aに隣接した第1の領域に、受け部5は、実質的にU字型の凹部52を有しており、その底部は底部端5bの方に向けられており、その2つの自由な側方脚部52a,52bは頂部端5aの方に延びている。脚部52a,52bには、ロッキング要素9と協働する内部ねじ山53が設けられている。U字型凹部52によって形成されるチャネルは、少なくとも2つまたは複数の骨固定装置を接続するためにロッド100を中に受けるようにサイズ決めされる。U字型凹部52の底部の上方のある距離のところから、底部端5bからある距離のところまで延びる領域では、ボア51はより大きな直径を有しており、そのため、骨固定要素1のヘッド3を受け、かつ、保持要素6およびばね要素7を受けるのに役立つ収容空間54が形成される。収容空間54は、受け部の底部端5bに隣接したその下端に、保持要素6のためのシート部54aを備えており、当該シート部54aは、収容空間54の主要部分よりも小さな直径を有し、受け部の底部端5bに向かって円錐形に先細りになっている。収容空間54の直径を小さくすることにより、保持要素6のための止め具の機能も有し得る肩部54bが設けられている。収容空間54とボア51との間の上部端縁54cは、ばね要素7のための止め具を形成する。
【0021】
収容空間54はさらに、開口55を底部端5bに有しており、その内径は、ヘッド3を底部端5bから挿入することができるように骨固定要素1のヘッド3の最大外径Eよりも大きい。開口55を取囲む端縁は、収容空間54の中に延びてピン8の圧入収容に役立つ貫通孔56を備えている。貫通孔の軸は、中心軸に平行であり得る。受け部の貫通孔56は、脚部52a,52bのうちの1つの周方向のほぼ中心に位置決めされている。
【0022】
図7〜
図10をより詳細に参照して、保持要素6について説明する。保持要素6は、キャップ状部品に似ている。保持要素6は、第1の端部または頂部端6aと、対向する第2の端部または底部端6bとを備えている。底部端6bに隣接して、球欠形状の凹部61が保持要素6の中に延びており、その内径は、ヘッド3の球面部3aの外径と一致するようなものである。軸方向への凹部61の延びは、ヘッド3を凹部61に挿入したときに、底部端6bが、ねじが切られたシャンク2に向かう方向に、ヘッド3の最大直径Eを有する領域の下方に延びるようなものである。
【0023】
ツールによる固定要素のヘッド3へのアクセスを可能にするように、同軸ボア62が頂部端6aから凹部61に延びている。保持要素6の外面は、実質的に円錐形に成形され、第1の端部6aに向かって先細りになった第1の部分63を頂部端6aに隣接して有している。第1の部分63は、保持要素6および受け部5を組立てるためのツール(図示せず)による保持要素の把持を容易にする2つの対向する平坦な側面63aを有し得る。
【0024】
凹部61の最大内径を有する領域にはほぼ、外向きに突き出る環状端縁64が形成されており、その最大外径は、例えば
図16に示されるように、受け部5の収容セクション54の内径よりもわずかに小さいだけである。外向きに突き出る環状端縁64は、ばね要素7を支持するように構成された上部側64aを有している。環状端縁64の平坦な部分64bは、第1の部分63の平坦な部分63aに対して実質的に90°で設けられ、配置されている。周方向に見て平坦な部分64bに対して実質的に90°で、軸方向に延びる実質的にU字型の凹部65が環状端縁64の外面に設けられている。凹部65は、ピン8を中に受けるように構成されている。
【0025】
底部端6bに隣接して、保持要素はスリットリング66の形状を有している。スリットリング66は、収容空間54のシート部54aの内形と一致する実質的に円錐形の外形を有している。内面は、球形凹部61の一部であり、そのため、スリットリングの内面は、ヘッド3のためのシートを生成して、保持要素を受け部5に取付けたときに受け部5と骨固定要素1との間に玉継手を設ける。
図8に示されるように、スリットリング66は、底部端6bから実質的に垂直方向に延びる第1の垂直スリット66bによって形成されている。垂直スリット66bから、2つの対向する水平スリット66c,66dが中心軸Cを中心に周方向に延びている。水平スリット66c,66dは、拡大部66e,66fで終了している。端部66e,66fの間には、スリットリング66を保持要素6の残りの部分に接続する接続部66gが形成されている。したがって、保持要素6は、スリットリング66を備える一体構造の部品である。垂直スリット66bおよび水平スリット66d,66fの幅ならびに接続部66gの幅は、スリットリング66の所望の可撓性が得られるように選択され得る。スリットリング66によって、保持要素6は、径方向に拡張されたり圧縮されたりするように構成される。特に
図8および
図10から分かるように、垂直スリットは、U字型凹部65と実質的に同じ周方向位置にあり、接続部66gは、対向する位置にある。
【0026】
図16に示されるように、保持要素6を受け部5に挿入したとき、および、スリットリング66が受け部5のシート部54aに着座したときの保持要素6の総軸方向長さは、保持要素6の頂部端6aがU字型凹部52の底部のほぼ軸方向高さのところにあるか、またはわずかに上方にあるようなものである。なお、保持要素6は、ヘッドの取外しを防止するだけでなく、横および上からヘッドに対して圧力もかけるので、挿入されたヘッド上で圧力要素の役割も果たす。
【0027】
ここで
図11〜
図13を参照して、ばね要素7は、波形ばねとして形成されている。ばね要素7は、平坦なワイヤなどの平坦なストリップから作られる実質的に円形の巻きを備えている。平坦なストリップの断面は、長方形であってもよい。示される実施例では、波形ばねは、4つの巻き71,72,73,74を有している。しかし、少なくとも2つおよび4つ未満または5つ以上の巻きが設けられることも考えられ得る。各巻きは、交互に配置されてリングを形成する複数の波頭70aおよび複数の波の谷70bを有している。中心軸Cを中心に軸方向に連続的に積層された巻き71,72,73,74は、特に
図11および
図12から分かるように、次の巻きが頭部(または谷部)の長さだけ周方向に前の巻きからオフセットされるように互いに接続されている。この特定の形状は、クレスト・ツー・クレスト(crest-to-crest)波形ばねとして知られている。
【0028】
巻きは各々、例えば溶着によって互いに接続され得る別個の平坦なストリップから作られ得る。代替的に、ばね要素は、波形ばね形状を形成するように中心軸の周りに巻き付けられる単一の連続的な平坦なストリップから作られる。多くの変形例が可能である。巻きの数、すなわちばね要素7の軸方向長さおよびばね特性は、所望の圧縮力および戻り力がばね要素によってもたらされるように選択される。ばね要素の軸方向長さは、特に、
図17〜
図19から分かるように、ばね要素7が保持要素6の第1の部分63上に位置決めされることができ、保持要素6の環状端縁64の上面64aと収容空間54の上部端縁54cとの間の収容空間54を満たすようなものである。ばね要素7の外径は、収容空間54の内径よりもわずかに小さい。
【0029】
ばね要素7が収容空間54内にあるとき、ばね要素7は、保持要素に対して前負荷をかけるように付勢された状態にあり得るが、依然としてさらに圧縮可能である。
【0030】
波形ばねの利点は、同じ圧縮および戻り力を生成する螺旋状の圧縮ばねと比較して、波形ばねがより短い軸方向長さを有することである。その結果、ばね要素に必要な空間が小さくてもよく、または、ばね力に対抗して固定要素を挿入するための移動経路を最小化することができる。
【0031】
骨固定装置は、全体または一部が、生体適合性の金属もしくは金属合金、例えばチタン、ステンレス鋼、ニッケル−チタン合金、例えばニチノールなどの生体適合性の材料でできていてもよく、または、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの生体適合性のプラスチック材料でできていてもよく、または、生体適合性のセラミック材料でできていてもよい。特に、ばね要素が超弾性ニッケル−チタン合金またはβ型チタンでできていることが考えられ得る。
【0032】
結合アセンブリの組立てについて、
図14〜
図16を参照して説明する。最初に、ピン8を受け部5の貫通孔56に前もって挿入する。次に、頂部端5aから保持要素6を受け部5に挿入する。保持要素6は、その中心軸が受け部の中心軸Cに対して90°で向けられるように90°傾いた態様で挿入される。次いで、底部端6bおよび環状端縁64の一部が収容空間54に入るとすぐに、保持要素6を再び傾けて、その中心軸が受け部5の中心軸Cと同軸になるようにする。保持要素の向きは、
図15に示されるように、環状端縁64に設けられたU字型軸方向凹部65がピン8と係合するようなものである。
【0033】
保持要素6が最終的にスリットリング66により受け部5のシート部54aに着座すると、ばね要素7が保持要素の上部部分63を取囲んで環状端縁64の上部側64aの上に載るように挿入される。ばね要素の頂部端7aは、収容空間54の上部側に設けられた止め具54cに当接する。この状態で、ばね要素7が多少圧縮され、その結果、ばね要素7が保持要素6に対して付勢力をかけて、スリットリング66をシート54aに保持する。スリットリング66がシート54aに設置されると、その下部端縁6bは、受け部5の下部開口55からわずかに突き出る。ばね要素7の一部は、ロッドによって係合可能であるように受け部5のチャネル52の底部の上方に延びている。
【0034】
次に、
図17および
図18に示されるように、骨固定要素1のヘッドが下部開口55を通して受け部5に挿入される。最初に、ヘッド3が下部開口55を通ってスリットリング66に入る。
図18に示されるように、ヘッド3が収容空間54に入ると、スリットリング66がそのシート54aから押し出される。同時に、保持要素6の上方移動によってばね要素7が圧縮される。また、ヘッド3がさらにその中に入ると、スリットリング66が拡張される。収容空間54は、当該拡張のための空間を提供する。圧縮されたばね要素7によってかけられる反力が、スリットリング66を拡張させてスリットリング66がヘッド3の最大直径Eの部分上を摺動するようにするために必要な力よりも大きくなるとすぐに、圧縮されたばね要素7のばね力により、スリットリング66がヘッド3に嵌まり、その結果、その下部端縁6bは、最大直径Eを有する領域上を容易に摺動する。ヘッド3は、保持要素6の球形凹部61の上部部分に当接するような程度までしか挿入できない。保持要素6およびばね要素7は、収容空間54に設けられた止め具54cのために、受け部5の頂部端5aから抜けることはない。
【0035】
スリットリング66がヘッド3の最大直径Eを有する部分の下方にあると、下部開口55を通してヘッド3を引き抜くことはもはやできない。
【0036】
スリットリング66は、スリットリング66がヘッド3を取囲むことによって摩擦力をヘッド3に対してかけるように、ヘッド3のサイズに対してわずかに小型であり得る。したがって、ヘッド3は、摩擦によって受け部内に保持され得て、受け部は、骨固定要素のロッキング前は骨固定要素1に対して特定の角度位置に維持されることができる。付勢されたばね要素7によってかけられるばね力も、受け部5にヘッド3を摩擦によって保持することに寄与し得る。
【0037】
図19に示されるように、次のステップにおいて、ロッド100がU字型凹部52に挿入され、ロッキング要素9が挿入される。ロッキング要素9が締められると、ロッド100は、保持要素の頂部端6aを押して、ばね要素7と接触する。ロッキング要素9を最終的に締めることにより、保持要素6のスリットリング66およびヘッド3が受け部5にロックされる。
図19から分かるように、ロックされた状態で、ロッド100はばね要素7を圧縮する。
【0038】
使用時、骨固定要素は、結合アセンブリを取付ける前に、骨または椎骨に挿入され得る。代替的な使用態様では、骨固定要素および結合アセンブリは、事前に組立てられ、その後骨に挿入される。安定化ロッドによって、複数の骨固定装置を接続することができる。
【0039】
図20および
図21を参照して、多軸骨固定装置の第2の実施例について説明する。結合アセンブリの設計、特に保持要素の設計の点で、第2の実施例に係る多軸骨固定装置は、第1の実施例に係る多軸骨固定装置とは異なっている。前の実施例と類似または同一の部品は全て、同じ参照番号で示され、その説明は繰返さない。
【0040】
結合アセンブリ4′は、第1の実施例の保持要素6の第1の部分61が欠如した保持要素6′を備えている。したがって、保持要素6′は、円筒形の内面を有する環状部64′と、第1の実施例のスリットリングと同一のスリットリング66とからなっている。このような設計により、骨固定要素のヘッドは、保持要素6′の頂部端6aから突き出ることができる。サイズは、ロッド100によりヘッドを直接押すことができる程度にヘッドが保持要素6′から突き出るようなものである。
【0041】
第2の実施例に係る骨固定要素1′は、球形ヘッド3′を備えており、当該球形ヘッド3′も上部自由端に球形の外面を有している。当該実施例では、ヘッドは全体が球形である。ツールのための凹部3b′は、上部自由端の中心点から螺旋状の態様で延びる羽部を有し得る。示される実施例では、凹部3b′は、各アームが同じ方向に曲がった十字の外面形状を形成する溝31によって形成される4つの羽部を備えている。これにより、通常の多角形または他の凹部と比較して、凹部3b′とのドライバの係合面が向上する。したがって、伝えられ得る負荷がより高くなる。類似の形状を有するドライバおよび対応するツールのための凹部は、商標Mortorq(登録商標)で公知である。ヘッド3′のための駆動凹部として全ての類似の形状が使用可能であるということが考えられ得る。
【0042】
図22に示されるように、ヘッドが受け部および保持要素6′に入ると、駆動凹部3b′を含むその上部部分が保持要素6′から突き出る。この実施例でも、一旦保持要素6′が受け部5のシート54aに着座すると、下部開口55を通してヘッド3を引き抜くことができない。ばね要素7は、ロッド100のためのチャネル52に突き出る。したがって、ロッド100は、凹部52に挿入されるとばね要素7と係合する。
図23に示されるように、ロッキング要素9によってロッドを下方に移動させると、ロッドがばね要素7を圧縮し、次いでばね要素7が保持要素6′を受け部5のシート54aに移動させる。最終的に、ロッド100がヘッド3′の上面を押し、それによって、ヘッド3′が、保持要素6′のスリットリング66によって設けられるシートに押込まれる。ヘッド3′の球形形状のために、骨固定要素1′の回動状態でヘッド3′に対しても十分な圧力がかけられる。
【0043】
保持要素6′を受け部5に取付けるステップは、第1の実施例と同じである。
多軸骨固定装置および結合アセンブリの第3の実施例について、
図24〜
図39を参照して説明する。最初に、
図24から分かるように、結合アセンブリ4″は、受け部5″と、保持要素6″と、ばね要素7″と、さらに骨固定要素1のヘッド3に対して圧力をかけるための圧力要素10とを含んでいる。なお、この実施例では、骨固定要素1は、第1の実施例のものと同じである。しかし、骨固定要素1はそれに限定されるものではなく、別の骨固定要素、例えば第2の実施例のものであってもよい。第1または第2の実施例のものと同一または類似の第3の実施例の部品および部分は、同じ参照番号で示され、その説明は繰返さない。
【0044】
第3の実施例の受け部5″が、
図25に、ロッド軸に対して垂直な断面図で示されている。受け部5″は、底部端5bにおけるピン8のための貫通孔56が欠如している。受け部5″内に圧力要素10を保持し、挿入された圧力要素10の回転を防止する目的で、受け部5″は、脚部52a,52bの実質的に中心に周方向に位置決めされた2つの横断ピン孔57a,57bを含んでいる。ピン孔57a,57bは、圧入の態様でピン11a,11bを収容するように構成されている。ピンの長さは、ピン11a,11bが圧力要素10と係合するように受け部のボア51に突き出ることができるようなものである。貫通孔57a,57bの軸方向位置は、例えば
図36に示されるように、上部端におけるピンによって圧力要素10が保持されるようなものであり、これについては以下でより詳細に説明する。
【0045】
弾性をもたらすように軸方向スロットによって切離された複数の周方向に配置された直立したわずかに弾性の壁部63aを備える部分61″が、外向きに突き出る環状端縁64″の上面64bに隣接して存在するという点で、保持要素6″は第1および第2の実施例の保持要素とは異なっている。各々の壁部63aは、内向きに突き出る端縁63bを有している。内向きに突き出る端縁63bは、圧力要素10および保持要素6″をともに結合できるように圧力要素10の一部と係合するように構成されている。壁部63aの内面および外面は、実質的に円錐形であり、頂部端6aに向かって先細りになっている。
【0046】
第3の実施例では保持要素を保持するピンがないので、環状端縁64″は、ピンを受けるための第1の実施例の保持要素の凹部が欠如している。スリットリング66は、第1および第2の実施例と同じである。
【0047】
図28および
図29に示されるように、ばね要素7″も波形ばねであり、好ましくはクレスト・ツー・クレスト波形ばねのタイプである。ばね要素7″は、示される実施例では3つの巻きを有しているが、巻きの数は3つに限定されるものではなく、収容空間における利用可能な空間およびばね要素のばね特性に応じて2つまたは4つ以上であってもよい。ばね要素7″の内径および外径は、ばね要素7″が、保持要素6″の環状端縁64″の上部側64a上に支持されるように構成され、可撓性の壁部63aを有する第1の部分63″の周囲に延びるようなものである。
【0048】
圧力要素10は、第1の端部または頂部端10aと、第2の端部または底部端10bとを有している。頂部端10aに隣接して、実質的に円筒形のセクションがあり、当該実質的に円筒形のセクションは、第1の部分101がボア51に摺動的に配置可能であるように受け部5″のボア51の内径よりもわずかにだけ小さい第1の外径を有している。頂部端10aに隣接して、横断凹部102があり、当該横断凹部102は、実質的に平行な側壁と、ロッド軸が中心軸Cに対して垂直になるようにロッドを受けるためのチャネルを形成する実質的にV字型の底部102aとを有している。V字型底部102aは、異なる直径のロッドを支持するように構成されている。凹部102によって、頂部側にU字型凹部103a,103bをそれぞれ備えた2つの直立した脚部102b,102cが形成され、当該U字型凹部103a,103bは、頂部端10aに開口しており、チャネル軸を横断するように延びている。凹部103a,103bは、例えば
図35および
図36から分かるように、ピン11a,11bの一部を受けるように構成されている。脚部102a,102bの各々は、V字型底部102aの高さのところに実質的に配置されて各々の脚部102a,102bの一部の周囲に周方向に延びる、外向きに突き出るフランジ104a,104bを備えている。
【0049】
ロッドのためのチャネル102の底部のどちらかの端部には、凹部105a,105bが設けられており、当該凹部105a,105bは、ピン11a,11bがピン孔57aおよび57bに既に取付けられている場合に圧力要素10の挿入を可能にする。
【0050】
圧力要素10は、底部端10bに隣接して、第1の部分101と比較してより小さな直径を有する第2の部分106をさらに備えている。第2の部分106は、実質的に円筒形であり、底部端10bに隣接して球欠形状の凹部107を備えている。球形凹部107は、骨固定要素1のヘッド3に対して圧力をかけるのに役立つ。底部端10bには、保持要素6″の内向きに突き出る端縁63bと係合して圧力要素10を保持要素6″に結合するための外向きに突き出る端縁108が設けられている。端縁108は、保持要素6″への挿入を容易にするための面取りした下部側を有している。さらに、圧力要素は、ツール(図示せず)による骨固定要素1のヘッド3へのアクセスをもたらすための同軸ボア109を有している。
【0051】
結合アセンブリ4″の組立てについて、
図34および
図35を参照して説明する。このように、傾けた態様で受け部5″の頂部端5aから保持要素6″を挿入し、保持要素6″が収容空間54に到達すると、保持要素6″を後ろに傾けて、スリットリング66がシート54aに位置する状態で収容空間54の底部上に保持要素6″を設置する。
【0052】
保持要素6″が受け部5″に挿入されると、ばね要素7″も受け部5″の頂部端5aから挿入され、環状端縁64″の上に載るように保持要素6″の上に設置される。
【0053】
次に、頂部端5aから受け部に圧力要素10を挿入する。ピン11a,11bが受け部のピン孔57a,57bに既に受けられているので、圧力要素は、そのチャネル102が受け部5″のU字型凹部52に対して90°で向けられるように90°回転した位置に挿入される。この構成では、ピン11a,11bは、スリット105a,105bを通ることができる。圧力要素10が保持要素6″の上部部分63″に入ると、可撓性の壁部63aはわずかに外向きに曲げられて、保持要素の内向きに突き出る端縁63bが圧力要素10の下部部分の外向き端縁108の後ろに嵌まるまで圧力要素10の底部端10bの挿入を可能にする。一旦フランジ104a,104bが収容空間54に入ると、ロッドを受けるための圧力要素10のチャネル102と受け部5″のU字型凹部52とが位置合わせされるように圧力要素を回転させることができる。圧力要素の頂部端10aがピン11a,11bの下方にあるときには、回転のみが可能である。
【0054】
圧力要素の位置合わせの後、ピン11a,11bが圧力要素10のU字型凹部103a,103bにそれぞれ受けられる。U字型凹部103a,103bの底部は、圧力要素10のための当接部を形成し、頂部端5aから圧力要素10が抜けることを防止する。
図35に示されるように、結合アセンブリ4″の予め組立てられた状態では、ばね要素7″はわずかに事前圧縮されている。
【0055】
骨固定要素1への結合アセンブリ4″の取付けが、
図36および
図37に示されている。第1の実施例と同様に、ヘッド3は下部開口55を通って保持要素6″、したがって収容空間54に入る。スリットリング66がそのシートから押し出され、保持要素6″が上方に移動され、それによって、圧力要素10の外縁108および保持要素6″の内向きに突き出る端縁63bの接触面の係合が解除される。保持要素6″の上方移動中に、ばね要素7″が圧縮され、それによって圧力要素10のフランジ104a,104bの下部側に当接する。当該上方移動は、ピン11a,11bによって制限される。
【0056】
保持要素6″へのヘッド3の挿入中に、スリットリング66は拡張する。圧縮されたばね要素7″によってかけられる反力が、スリットリング66を拡張させてこのスリットリング66がヘッド3の最大直径Eの部分上を摺動するようにするために必要な力よりも大きくなるとすぐに、圧縮されたばね要素7″のばね力により、スリットリング66がヘッド3に嵌まり、その結果、その下部端縁6bは、最大直径Eを有する領域上を容易に摺動する。ヘッド3は、圧力要素10の球形凹部107に当接するまで挿入可能である。ばね力が保持要素6″を下方にシフトさせると、内向きに突き出る端縁63bおよび外縁108は再び係合する。
【0057】
ばね要素7″によってかけられる前応力および/またはヘッド3のサイズと比較してスリットリング66がわずかに小型であることにより、最終的にヘッドをロックする前に受け部にヘッド3が摩擦によって保持される。また、スリットリング66がシート54aに再び入ると、ヘッド3の取外しはもはや不可能である。
【0058】
最終的に、ロッド100が挿入され、ロッキング要素9を締めることによって押し下げられる。圧力要素10によってヘッド3に対してかけられる圧力は、スリットリング66をシート54aにさらに押し込み、最終的に締めることにより、ヘッドおよび保持要素が受け部5″にロックされる。
【0059】
実施例のさらなる変形例も考えられ得る。例えば、骨固定要素については、さまざまな異なる種類の固定要素が使用可能であり、受け部と組合わせることができる。固定要素は、例えば異なる長さを有するねじ、異なる直径を有するねじ、カニューレ装着ねじ、異なるねじ山の形態を有するねじ、釘、フックなどであってもよい。いくつかの固定要素では、ヘッドおよびシャンクは、互いに接続可能な別個の部品であってもよい。
【0060】
受け部の他の考えられる変形例としては、例えばU字型凹部が中心軸に対して垂直である代わりに、ロッドのための凹部は、傾斜していてもよく、側方に開口していてもよく、または閉じたチャネルの形態であってもよい。外側ナット、外側キャップ、バヨネットロッキング装置などを含む他の種類のロッキング装置も可能である。特に、圧力要素によってヘッドに対して圧力をかける第1のロッキング要素と、ヘッドおよびロッドを独立してロックするためにロッドに対してのみ圧力をかける第2のロッキング要素とを含む二部品ロッキング装置も使用されてもよい。いくつかの実施例では、ヘッドと接触する圧力部材の内面部は必ずしも球形形状でなくてもよい。内面部は、ヘッドに対して圧力をかけるのに適したその他の形状を有していてもよい。また、圧力要素の設計は、異なっていてもよく、第3の実施例に示されている具体的な設計に限定されるものではない。
【0061】
圧力要素を保持し、受け部のロッドを受けるためのチャネルに対して圧力要素を位置合わせするためのピンの代わりに、他の保持機構が使用可能である。
【0062】
骨固定要素のヘッドは、回転対称である必要はない。例えば、ヘッドは、1つの平面のみで回動を達成するように2つの球形形状の外面部の間に2つの対向する平坦面部を有していてもよい。
【0063】
スリットリングの代わりに、複数の垂直に延びるスリット、または実質的に垂直に延びるスリットと実質的に水平に延びるスリットとの組合わせが設けられてもよい。
【0064】
スリットリングのためのシートおよびスリットリングの外面は、円錐形である必要はない。例えば球形形状などの、スリットリングを安全に保持する任意の形状が考えられ得る。
【0065】
ばね要素として、他のばね要素が使用可能である。例えば、中心軸を取囲む螺旋ばねが用いられてもよい。また、エラストマ緩衝材のような他のばね要素が考えられ得る。
【0066】
なお、記載されているさまざまな実施例の部品は、さまざまなさらなる実施例が生成されるように互いに混ぜ合わせることができ、または交換することができる。