(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記返送配管は、前記貯槽、前記供給配管、及び前記ユースポイントの出口に接続する配管の少なくとも1つ以上に接続する、請求項1に記載の二酸化炭素精製供給方法。
前記返送処理は、前記循環精製系内で二酸化炭素を精製し、かつ、前記導入配管、前記貯槽及び前記返送配管を介して前記精製循環系と前記貯槽との間で二酸化炭素を循環させて、前記貯槽を二酸化炭素で洗浄する処理である、請求項1または2に記載の二酸化炭素精製供給方法。
前記返送配管は、前記貯槽部、前記供給配管、及び前記ユースポイントの出口に接続する配管の少なくとも1つ以上に接続する、請求項4に記載の二酸化炭素精製供給システム。
前記精製循環系により前記二酸化炭素を所定の清浄度になるまで精製した後に、前記導入配管上に設けられた弁を介して前記精製された前記二酸化炭素を前記貯槽部に供給する、請求項4または5に記載の二酸化炭素精製供給システム。
前記循環精製系内で二酸化炭素を精製し、かつ、前記導入配管、前記貯槽及び前記返送配管を介して前記精製循環系と前記貯槽との間で二酸化炭素を循環させて、前記貯槽部を二酸化炭素で洗浄可能に構成した、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の二酸化炭素精製供給システム。
前記貯槽部は、前記供給配管を介して前記ユースポイントに前記精製された二酸化炭素を供給する第1の貯槽と、前記返送配管を介した前記精製循環系への二酸化炭素の返送が行われる第2の貯槽と、を有し、
前記第1の貯槽と前記第2の貯槽とを切り替えることにより、前記ユースポイントへの二酸化炭素の供給と前記貯槽部の洗浄とを並行して実行する切替手段をさらに有する、請求項7に記載の二酸化炭素精製供給システム。
前記貯槽部において前記精製された二酸化炭素はその一部が気体として存在し、気体の二酸化炭素が前記供給配管に通される、請求項4乃至8のいずれか1項に記載の二酸化炭素精製供給システム。
前記貯槽部において液体または超臨界状態の前記精製された二酸化炭素を貯留し、液体または超臨界状態の二酸化炭素が前記供給配管に通される、請求項4乃至8のいずれか1項に記載の二酸化炭素精製供給システム。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイスなどの製造では、表面に微細構造が形成されているウエハや基板などの被処理体を処理する工程が繰り返される。被処理体に付着した汚染物を除去することによって被処理体での高度な清浄度を達成しこれを維持することは、最終的な製品の品質保持や製造時の歩留まり向上にとって重要である。
【0003】
近年、半導体デバイスや液晶表示デバイスなどの製造工程での被処理体の高度化、高集積化、微細化などがさらに進行しており、これに伴って、従来の超純水や薬液を用いた洗浄や乾燥といったウェット(湿式)洗浄処理の限界が指摘され始めてきている。これを克服するため、低粘性、低表面張力などの特徴を有する超臨界流体、特に、超臨界二酸化炭素を使用して洗浄や乾燥を行う処理装置が注目されるようになってきている。超臨界流体は、密度は液体に近いものの、粘性が小さくかつ拡散性が大きくて気体のような挙動を示し、浸漬力に優れ、汚染成分を拡散しやすい性質を有し、表面に微細構造を有する被処理体を洗浄するのに適している。また、超臨界状態では表面張力が働かないので、洗浄後の乾燥工程において、被処理体間に残存する流体の毛管力に起因する倒壊現象を発生させることなく乾燥を行うことが可能になる。
【0004】
このような超臨界流体の媒質として採用される物質としては、二酸化炭素、一酸化二窒素(N
2O)、二酸化イオウ(SO
2)、エタン(C
2H
6)、プロパン(C
3H
8)及びフロンなどがある。特に、二酸化炭素は、不燃性で無害であり、また臨界温度が31℃、臨界圧力が7.4MPaであるなど取り扱いが容易であるので、超臨界流体の媒質として好ましいものである。液体二酸化炭素を加熱することで容易に超臨界二酸化炭素を得ることができる。現在、半導体デバイスの製造プロセスに超臨界二酸化炭素を使用した洗浄や乾燥の構成を導入することが検討されているが、その実用化にあたり、高純度であって、含有するパーティクル(微粒子)数を極限にまで低下させた二酸化炭素を安定して供給できるようにする必要がある。
【0005】
また、半導体デバイスや液晶表示デバイスの製造工程において例えばウェット洗浄などを行うために超純水を使用する場合、超純水の導電率が極めて小さくて帯電しやすいので、半導体デバイスや液晶表示デバイスの静電破壊が発生するおそれがある。そこで、超純水に意図的に二酸化炭素を溶解させることによって導電率を上昇させ、これによって静電破壊の発生を防止することも試みられている(例えば、特許文献1参照)。導電率を上昇させるために超純水に加えられる二酸化炭素としても、高純度であって、含有するパーティクル等の不純物を極限にまで低下させた二酸化炭素を使用することが望ましい。
【0006】
現在、市販の二酸化炭素のうち高純度のものとしては、4Nグレード(純度99.99%)及び6Nグレード(純度99.9999%)のものがある。しかしながら、これらの4Nグレードあるいは6Nグレードの二酸化炭素はそれ自体が高価であり、かつ、清浄度を管理された専用ボンベに充填されて流通するので、流通コスト等も高くなる。したがって、専用ボンベに充填された高純度二酸化炭素を使用する場合には、その消費に関わる全コストが高くなるとともに、重量物である専用ボンベ輸送に関わるエネルギーも必要であって、流通による環境負荷も大きくなる。
【0007】
特許文献2には、高純度二酸化炭素を専用ボンベで運搬することを必要としないで、高度な清浄度を維持して超臨界二酸化炭素を供給するシステムが開示されている。特許文献2のシステムでは、循環処理によってオンサイトで二酸化炭素の精製を行っており、システムに供給される二酸化炭素の純度はユーズポイントで要求される純度よりも低純度であってよく、このため、専用ボンベの流通コストも含め、高純度二酸化炭素消費のコストを全体として低減することができる。特許文献2のシステムは、精製された二酸化炭素を常時循環させる循環系と、必要に応じてユースポイントに対して循環系から超臨界二酸化炭素を供給する供給系とを備えている。しかしながら特許文献2のシステムは、循環系の運転開始から高純度の二酸化炭素が得られるようになるまでに時間がかかり、その間は純度がそれほど高くない二酸化炭素がユースポイントに供給されてしまう、という課題を有する。
【0008】
特許文献3には、特許文献2に開示されたシステムを改良し、パーティクルを十分に低減した二酸化炭素をユースポイント(使用点)に供給することができるようにしたものとして、精製循環系に二酸化炭素を供給して二酸化炭素を精製循環系内で循環させながら精製する精製循環処理を行い、精製循環系内の二酸化炭素が所定の清浄度になるまで精製循環処理を行ったのちに、精製循環処理で精製された二酸化炭素をユースポイントに供給するようにしたシステムが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す本発明の第1の実施形態の二酸化炭素精製供給システムは、二酸化炭素の供給を受けてこの二酸化炭素を精製し、精製された二酸化炭素を貯槽に蓄えた上で、気体の二酸化炭素をユースポイント50に供給するものである。
【0017】
このシステムでは、二酸化炭素を循環させながら精製する精製循環系20と、精製循環系20からユースポイント50に供給されるべき精製された二酸化炭素を一時的に貯える貯槽32と、精製循環系20から分岐して貯槽32の頂部に接続する導入配管30と、導入配管30に設けられた開閉弁31とが設けられている。貯槽32の頂部には、ユースポイント50に供給される二酸化炭素の圧力を調節する減圧弁33の入口が接続し、減圧弁33の出口は、気体の二酸化炭素をユースポイント50に供給するための供給配管34に接続している。供給配管34は、フィルタ35とフィルタ35の出口に接続した配管を介して、ユースポイント50に接続している。供給配管34上であってフィルタ35の入口の直前の位置には弁49が設けられている。このシステムでは、開閉弁31を閉じた状態で精製循環系20において所定の清浄度になるまで二酸化炭素の精製循環処理を行った後に、開閉弁31を開けて高純度の二酸化炭素を貯槽32に一時的に貯留し、必要に応じて貯槽32から高純度の二酸化炭素を気体でユースポイント50に向けて供給する。開閉弁31からは、通常、液体状態の二酸化炭素が供給されるので、貯槽32では、その下部に二酸化炭素の液体が貯留し、上部は二酸化炭素の気体が充満している。
【0018】
図1に示したシステムでは、精製循環処理の休止中や、二酸化炭素ボンベなどの二酸化炭素源から精製循環系20への二酸化炭素の補充中であっても、精製された二酸化炭素は貯槽32中に蓄えられており、ユースポイント50に対する精製された二酸化炭素の供給を継続して実行することができる。貯槽32内の二酸化炭素量が減少したら、開閉弁31を再び開けて、精製循環系20から精製された二酸化炭素が貯槽32に供給されるようにする。貯槽32に供給される二酸化炭素は、例えば、パーティクル数が所定のレベルより低減していることを後述するパーティクルカウンタ14によって確認された二酸化炭素である。
【0019】
フィルタだけを使用して二酸化炭素中からパーティクルを除去する単純な構成では、例えば液体あるいは超臨界状態である二酸化炭素からその中の微小パーティクルを十分には低減できないが、本実施形態の構成では、精製循環系20での精製循環処理によって二酸化炭素を精製することにより、必要なレベルまで高純度に二酸化炭素を精製でき、その後、精製された二酸化炭素を貯槽32に一時的に貯留してからユースポイント50に供給するので、ユースポイント50には必要な純度の二酸化炭素のみが必要なときに供給されることになる。精製循環処理を行っていることにより、原料である二酸化炭素として例えば4Nグレードや6Nグレードといった高純度品を使用する必要はなく、汎用品の二酸化炭素を使用することができる。したがって、清浄度を管理された専用ボンベで小容量ごとに運搬される高価な二酸化炭素を使用する必要はなくなる。二酸化炭素として、食品用の純度が99.98%のものを好ましく用いることができる。二酸化炭素は、コールドエバポレーターに貯蔵して必要に応じて精製循環系20に供給される。
【0020】
精製循環系20内や精製循環系に対して二酸化炭素を供給する管路には、必要に応じてフィルタを設置する。ユースポイント50において必要な純度に応じ、これらのフィルタの仕様を決定し、また、精製循環系20での循環処理回数や処理時間を変更することができる。さらに、精製循環系20内や精製循環系20に対して二酸化炭素を供給する管路には、二酸化炭素中に存在する水分や有機成分などの不純物を除去するために吸着塔を設置することができる。
【0021】
さらに
図1に示した二酸化炭素精製供給システムでは、貯槽32の下部に弁46が接続し、この弁46は、貯槽32から二酸化炭素を流すための配管43の一端に接続する。配管43の他端は、精製循環系20に対して二酸化炭素を戻す返送配管41に接続し、返送配管41には背圧弁42が設けられている。さらに、図示破線で示すように、弁49の入口の位置で供給配管34と配管43とを短絡する配管44と、ユースポイント50の出口に接続する配管と配管43とを短絡する配管45とを設け、これらの配管44,45にそれぞれ弁47,48を設けるようにしてもよい。
【0022】
精製循環系で精製された二酸化炭素を貯槽に一時的に貯えてからユースポイントに供給する構成では、貯槽の新増設や交換、メンテナンス、装置トラブルなどによって貯槽が汚染された場合に、貯槽に貯えられる二酸化炭素も汚染されることとなって、ユースポイントに対して高純度の二酸化炭素を供給することができなくなる。貯槽の汚染が起きた場合、貯槽の洗浄クリーニングする必要があるが、従来の二酸化炭素精製供給システムでは、二酸化炭素を貯槽に張り込んだ上で外部にパージするなど、クリーニングのための多大な時間及び労力と、クリーニングのための二酸化炭素の消費が必要であった。これに対して
図1に示した二酸化炭素精製供給システムでは、貯槽32から配管43及び返送配管41を経る経路によって二酸化炭素を流すことによって、貯槽32を洗浄クリーニングすることができる。後述するように洗浄クリーニング時には精製循環処理が引き続いて実行されているので、洗浄クリーニングに用いられた二酸化炭素は精製循環系20に戻されて再度、精製される。精製循環系20から貯槽32、配管43、返送配管41を経て精製循環系20へと二酸化炭素を循環させることによって、貯槽32の洗浄効果が向上するとともに、外部パージ等による無駄な二酸化炭素の消費を抑えることができる。貯槽32の洗浄を行う際には、洗浄能力が高い液体または超臨界の状態で二酸化炭素が貯槽32に供給されて循環するようにすることが好ましく、このために、背圧弁42によって、貯槽32内の圧力が、二酸化炭素が液化する圧力を上回るようにする。また、洗浄効率を考慮すると、洗浄時には貯槽32内を二酸化炭素が一方向に流れることが好ましく、このため、
図1に示したものでは、洗浄時には二酸化炭素が貯槽32の頂部に供給されて底部から排出されるようになっている。なお、精製循環系20から導入配管30、貯槽32を経て、さらに返送配管41を通って精製循環系20に戻る二酸化炭素の循環を外部循環と呼ぶ。
【0023】
同様に、貯槽32から供給配管34、配管44、配管43を介して二酸化炭素を流すことによって、供給配管34の洗浄を行うことができ、貯槽32からユースポイント50に二酸化炭素を供給し、配管45及び配管43を介して二酸化炭素を循環させることによって、ユースポイント50を含めた配管の洗浄を行うことができる。ただし、供給配管34やユースポイント50が液化された二酸化炭素の圧力に耐えられないものであるときは、洗浄効率は低下するものの、背圧弁42による設定圧力を低くして気体状態の二酸化炭素を用いて供給配管34やユースポイント50の配管等の洗浄を行うことになる。
【0024】
以下、この二酸化炭素精製供給システムについてさらに詳しく説明する。ここでは、精製循環系20に対して二酸化炭素を供給する二酸化炭素源として、二酸化炭素ボンベ10が用いられるものとする。もちろん、二酸化炭素源として他のものを使用することもでき、例えば、ユースポイントで使用されて回収された二酸化炭素を二酸化炭素源として使用してもよい。高純度二酸化炭素を得て工業的に大量に使用する場合には、二酸化炭素源としてボンベを用いるのではなく、タンクローリーによって供給されてコールドエバポレーターなどに貯えられた二酸化炭素を用いることが好ましい。タンクローリーによって供給される二酸化炭素としては、上述したように、例えば、食品用の純度が99.98%のものを好ましく用いることができる。
【0025】
二酸化炭素ボンベ10と精製循環系20とが弁11を介して接続され、二酸化炭素が精製循環系20に導入される。二酸化炭素ボンベ10から精製循環系20への二酸化炭素の供給は、精製循環系20の二酸化炭素保有量が所定値以上となったところで停止する。
【0026】
精製循環系20は、二酸化炭素ボンベ10から供給された二酸化炭素を液化させる凝縮器21と、凝縮器21で液化された二酸化炭素を一時的に貯える内部貯槽22と、内部貯槽22の出口に設けられて液体二酸化炭素を過冷却する過冷却器23と、過冷却器23の出口に設けられ液体二酸化炭素を圧送するポンプ24と、ポンプ24の出口に設けられたフィルタ25と、フィルタ25から流出した液体二酸化炭素を気化させる蒸発器27と、フィルタ25と蒸発器27の間に設けられた背圧弁26と、蒸発器27から流出する気体二酸化炭素をろ過するフィルタ28と、を備えており、フィルタ28から流出する気体二酸化炭素も凝縮器21に供給されて液化されるようなっている。また、必要に応じて水分や油分などの不純物を除去する吸着塔を設置してもよい。上述した返送配管41は、背圧弁26の出口と蒸発器27の入口とを接続する配管に接続している。
【0027】
フィルタ25の出口と背圧弁26の入口を接続する配管から、二酸化炭素を貯槽32に供給するための導入配管30が分岐し、この分岐した配管30に開閉弁31が設けられている。さらに、フィルタ25の出口と背圧弁26の入口を接続する配管には、精製循環系20内を循環する二酸化炭素の分析試料を採取するためのサンプリング弁13が設けられている。例えば、サンプリング弁13を介して、二酸化炭素に含まれるパーティクルの量を測定するパーティクルカウンタ14を取り付けることができる。このパーティクルの量は、精製循環系20を循環している二酸化炭素の清浄度の指標となるものである。なお、清浄度を検出する手段はパーティクルカウンタに限られるものではなく、他の測定手段を用いることができ、また、清浄度の指標としてもパーティクル数以外の指標を用いることができる。
【0028】
ユースポイント50としては、気体の高純度二酸化炭素の供給を受ける各種のものが考えられる。
図1に示したものでは、一例として、ユースポイント50は、比較的圧力の低い気体の二酸化炭素が供給されて超純水に二酸化炭素を溶解させる超純水処理装置である。ユースポイント50の出口に排出弁51を設けてもよい。ユースポイント50で使用された二酸化炭素または余剰の二酸化炭素を排出弁51の出口から排気することができる。当然のことながらユースポイント50自体は、本発明の二酸化炭素精製供給システムを構成する要素ではない。
【0029】
図1に示した二酸化炭素精製供給システムでは、背圧弁26を開け、開閉弁31を閉じ、弁46〜49を閉じた状態で、まず、二酸化炭素源である二酸化炭素ボンベ10から弁11を介して二酸化炭素を精製循環系20に供給する。精製循環系20に供給された二酸化炭素は凝縮器21で液化され、内部貯槽22に一時的に貯えられる。内部貯槽22の液体二酸化炭素は、過冷却器23で過冷却され、ポンプ24によって圧送されて、フィルタ25及び背圧弁26を介し、蒸発器27に供給される。
【0030】
蒸発器27にはヒーターが組み込まれており、蒸発器27内にCO
2の気液界面が形成されるようになっている。蒸発器27に供給された液体二酸化炭素は気化し、二酸化炭素中の難揮発性のパーティクルは液相側に残ることとなる。そして、蒸発器27において気化することにより精製された二酸化炭素は、気体状態のまま、蒸発器27から、パーティクル類をさらに除去するためのフィルタ28を介して凝縮器21に送られ、凝縮器21において冷却されることにより再度液化され、液体二酸化炭素として内部貯槽22に戻される。
【0031】
このように精製循環系20内で二酸化炭素を循環させることによる精製循環処理を行うことによって、二酸化炭素中のパーティクルの数が次第に低下する。例えば、パーティクル数が所定のレベルよりも低減したことがパーティクルカウンタ14によって検出されたら、次に、開閉弁31を開けて貯槽32に二酸化炭素を供給する。また、パーティクルカウンタ14によるパーティクル数の検出・確認は必須ではなく、予め規定した所定時間以上の精製循環処理を行った後、開閉弁31を開けて貯槽32に対して二酸化炭素を供給してもよい。
【0032】
精製循環系20内に保有する二酸化炭素量が減少したら、開閉弁31を閉じて貯槽32に対する二酸化炭素の供給を停止し、二酸化炭素ボンベ10から精製循環系20に対して二酸化炭素の供給を行い、精製循環系20内に二酸化炭素を補給する。これにより、補給された二酸化炭素に対して精製循環処理が行われることになる。
【0033】
これ以降は、精製循環系20内での二酸化炭素量が所定値に達し、かつ二酸化炭素中の清浄度が所定のレベルに達した時点で開閉弁31を開けて貯槽32に対して二酸化炭素を供給し、精製循環系20内の二酸化炭素量が減少したら開閉弁31を閉じて精製循環系20内に二酸化炭素を補給することを繰り返す。
【0034】
上述のようにして貯槽32に二酸化炭素が貯えられるが、貯槽32に貯えられた二酸化炭素は、減圧弁33によって圧力が調整された後、供給配管34、弁49及びフィルタ35を経て、気体状態でユースポイント50に供給される。貯槽32を設けていることにより、精製循環処理の休止中や、二酸化炭素ボンベ10から精製循環系20への二酸化炭素の補充中であっても、ユースポイント50に対する精製された二酸化炭素の供給を継続して実行することができる。貯槽32内の二酸化炭素量が減少したら、開閉弁31を再び開けて、精製循環系20から精製された二酸化炭素が貯槽32に供給されるようにする。
【0035】
次に、
図1に示す二酸化炭素精製供給システムにおける洗浄処理の一例について説明する。
【0036】
貯槽32の新増設や交換、メンテナンス、装置トラブルなどによって貯槽32が汚染された場合などに、貯槽32の洗浄処理を実行する。貯槽32を洗浄するときは、精製循環系20を動作させて高純度二酸化炭素を生成し、弁46を開け、減圧弁33と弁47〜49を閉じた状態で開閉弁31を開ける。その結果、貯槽32には高純度二酸化炭素が供給される。このとき、背圧弁42を貯槽32内の圧力が二酸化炭素の液化圧力よりも高くなるように設定することで、貯槽32には液体の二酸化炭素が貯えられることとなる。さらに二酸化炭素を貯槽32に供給することにより、二酸化炭素が貯槽32から弁46、配管43、返送配管41を経て精製循環系20へと流れ、精製循環系20と貯槽32との間で二酸化炭素が循環することとなり、導入配管30及び貯槽32が洗浄クリーニングされることになる。この構成では、導入配管30から貯槽32、配管43を経て背圧弁42に至る区間では二酸化炭素は液体または超臨界状態となっており、貯槽32内の汚染に対する高い洗浄効率を示すこととなる。また導入配管30は精製循環系20において背圧弁26の入口の直前から分岐し、返送配管41は背圧弁26の直後の位置で精製循環系20に接続するので、返送配管41から精製循環系20に戻された二酸化炭素は、精製循環系20内を循環して精製されることになる。貯槽32の洗浄クリーニングは、例えば、供給配管30を介して貯槽32に貯えられる二酸化炭素の清浄度が所定レベル以上となるまで実行される。貯槽32に貯えられる二酸化炭素の清浄度は、例えば、上述と同様に二酸化炭素に含まれるパーティクルの数を数えることによって求められる。
【0037】
供給配管34の洗浄クリーニングを行う時は、減圧弁33を開け(あるいは、減圧弁33に並列に設けられた不図示のバイパス弁を開け)、配管44の弁47も開け、弁46,48、49を閉じた状態とする。弁49を閉じる代わりに排出弁51を閉じてもよい。この状態で開閉弁31を開けて高純度二酸化炭素を貯槽32に供給すると、二酸化炭素が貯槽32から減圧弁33、供給配管34を経て、配管44へと流れることとなる。配管44に流れた二酸化炭素は返送配管41を経て精製循環系20に戻るので、供給配管34と精製循環系20との間で二酸化炭素が循環し、供給配管34が洗浄クリーニングされることになる。このとき、減圧弁33の設定圧力を二酸化炭素の液化圧力以上とするか、減圧弁33に並列に設けられたバイパス弁を開けることによって、液体または超臨界状態の二酸化炭素を供給配管34に流してこの液体または超臨界状態の二酸化炭素によって供給配管34が洗浄クリーニングされるようにしてもよい。あるいは、減圧弁33の設定圧力を二酸化炭素の液化圧力未満として、気体の二酸化炭素を供給配管34に流して気体の二酸化炭素によって供給配管34が洗浄されるようにしてもよい。
【0038】
ユースポイント50の内部の洗浄クリーニングを行う場合には、減圧弁33を開け(あるいは、減圧弁33に並列に設けられた不図示のバイパス弁を開け)、弁48,49も開け、弁46,47と排出弁51を閉じた状態とする。この状態で開閉弁31を開けて高純度二酸化炭素を貯槽32に供給すると、二酸化炭素が貯槽32から減圧弁33、供給配管34を経て、ユースポイント50、配管45へと流れることとなる。配管45に流れた二酸化炭素は返送配管41を経て精製循環系20に戻るので、ユースポイント50と精製循環系20との間で二酸化炭素が循環し、ユースポイント50の内部や、ユースポイント50の周辺の配管が洗浄クリーニングされることになる。このとき、減圧弁33の設定圧力を二酸化炭素の液化圧力以上とするか、減圧弁33に並列に設けられたバイパス弁を開けることによって、液体または超臨界状態の二酸化炭素をユースポイント50に流してこの液体または超臨界状態の二酸化炭素によってユースポイント50が洗浄クリーニングされるようにしてもよい。あるいは、減圧弁33の設定圧力を二酸化炭素の液化圧力未満として、気体の二酸化炭素を供給配管34に流して気体の二酸化炭素によってユースポイント50が洗浄されるようにしてもよい。
【0039】
図1に示したものでは、精製循環系20からユースポイント50に供給される高純度二酸化炭素を一時的に貯留する貯槽32が1台設けられているが、貯槽の数は1に限られるものではなく、複数個の貯槽を設けることもできる。複数個の貯槽を設けた場合には、ユースポイントへの二酸化炭素の供給のためにいくつかの貯槽を用いつつ同時に残りの貯槽の洗浄クリーニングを行うことが可能となる。
図2は2個の貯槽を有する二酸化炭素精製供給システムを示している。
【0040】
図2に示すシステムは、
図1に示すシステムと同様のものであるが、2個の貯槽32a,32bが設けられていることに対応して、精製循環系20から貯槽32a,32bの頂部にそれぞれ接続する2本の導入配管30a,30bが分岐し、導入配管30a,30bにはそれぞれ開閉弁31a,31bが設けられ、また、貯槽32a,32bの頂部に減圧弁33a,33bの入口がそれぞれ接続し、貯槽32a,32bの底部には弁46a,46bがそれぞれ設けられている点で、
図1に示すものと異なっている。減圧弁33a,33bの出口は供給配管34に接続し、弁46a,46bは配管43に接続する。
【0041】
図2に示したシステムでは、例えば、弁46a,47,48を閉じた状態で、開閉弁31aを開けることで、精製循環系20から貯槽32aに高純度の二酸化炭素を供給でき、適切な出口圧力となるように減圧弁33aを開け、さらに弁49も開けることによって、貯槽32aからユースポイント50に気体の二酸化炭素を供給することができる。これと同時に、減圧弁33bを閉じ、弁46bを開け、開閉弁31bを開けて高純度の二酸化炭素を貯槽32bに供給することによって、液体の二酸化炭素が貯槽32bから配管43に向かって流れることとなり、上述したように、循環精製系20と貯槽32bとの間で二酸化炭素が循環し、貯槽32bの洗浄クリーニングを行うことができる。貯槽32bの洗浄クリーニングが終了すれば、各弁の操作により、貯槽32bをユースポイントへの二酸化炭素の供給のために用いることとして、貯槽32aの洗浄クリーニングを行うことができるようになる。
図2に示したシステムでは、貯槽32a,32bの洗浄クリーニングを交互に行うことにより、ユースポイント50に対して二酸化炭素を連続して供給しつつ各貯槽を清浄に保つことが可能になる。
【0042】
図1に示したシステムでは、洗浄クリーニング時には貯槽32において二酸化炭素が頂部から底部に向かう方向に流れていたが、洗浄クリーニング時の二酸化炭素の流れの向きはこれに限られるものではない。
図3に示したシステムは、洗浄クリーニング時に貯槽32において底部から頂部に向かう方向に二酸化炭素が流れるようにしたものである。この向きに二酸化炭素を流すために、開閉弁31が設けられている導入配管30は貯槽32の底部に接続し、配管43に接続する弁46は貯槽32の頂部に接続している。ユースポイント50に対して気体の二酸化炭素を供給するので、減圧弁33は貯槽32の頂部に接続したままである。
図3に示すシステムにおいては、
図1に示したシステムと同じ弁操作によって、ユースポイント50への二酸化炭素の供給と貯槽32の洗浄クリーニングとを行うことができる。
【0043】
図4は、二酸化炭素中に存在する水分や有機成分などの不純物を除去するための吸着塔を備える二酸化炭素精製供給システムの一例を示している。
図4に示したシステムは、
図1に示すシステムの精製循環系20において、蒸発器27の出口とフィルタ28の入口とを接続する配管に吸着塔29を設けたものである。吸着塔29には、水分除去用の吸着剤や有機成分除去用の吸着剤が充填されている。一般的な公知なものとして、水分除去用の吸着剤には、ゼオライト、モレキュラーシーブス、活性アルミナ、シリカゲルなどを用いることができ、有機物除去用の吸着剤には活性炭などを用いることができる。吸着塔29を設ける位置は、
図4に示したものに限られるものではなく、精製循環系20内、あるいは、二酸化炭素源から精製循環系20に至る管路内であって、二酸化炭素が気体状態で流れる位置であれば、任意の位置に設けることができる。水分や油分(有機成分)などの不純物除去のために吸着塔29を精製循環系20に設定した場合、精製循環系20内で二酸化炭素が循環するにつれて、二酸化炭素中の水分濃度や有機成分量も低下する。二酸化炭素中の水分濃度は例えば露点計によって計測でき、有機成分量は例えばガスクロマトグラフィーなどの分析手段によって計測できる。ただし、これらの計測手段による水分濃度や有機成分量の検出及び確認は、必須のものではない。
【0044】
図5は、気体の二酸化炭素が供給されるユースポイント50の例として、超純水に二酸化炭素を溶解させて超純水の導電率を上昇させる超純水処理装置を示している。この超純水処理装置は、疎水性微多孔隔膜61を介して超純水流通路62と二酸化炭素流通路63とが接した構造を有する気液接触室60を備えている。超純水流通路62には超純水が供給され、超純水流通路62の出口に接続する配管には、比抵抗計65と流量計66とが設けられている。二酸化炭素流通路63には比較的低い圧力の気体の二酸化炭素(CO
2)が流量調節器64を介して供給される。比抵抗計65は、気液接触室60の出口での超純水の比抵抗(導電率)を測定するものであり、比抵抗計65で測定される比抵抗及び流量計66で測定される超純水流量に応じてマイクロコンピュータ67が流量調節器64を制御することによって、所望の導電率の水が得られるように、気液接触室60に対して二酸化炭素が供給される。気液接触室60では、気体の二酸化炭素が疎水性微多孔隔膜61を介して超純水流通路62側に移行し、超純水に溶解する。余剰の二酸化炭素は二酸化炭素流通路63から排出される。このような超純水処理装置によれば、超純水に二酸化炭素を溶解させて所望の導電率となった水が得られる。
【0045】
図1〜
図4に示した二酸化炭素精製供給システムは、気体の二酸化炭素をユースポイントに供給するものであるが、ユースポイントには液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を供給するようにしてもよい。
図6に示す本発明の第2の実施形態の二酸化炭素精製供給システムは、
図1に示すものと同様のものであるが、ユースポイント50に対して液体あるいは超臨界状態の二酸化炭素を供給するようにしたものであり、例えば二酸化炭素はウエハに対する洗浄や乾燥などの処理が行われるチャンバーに供給される。また、第2の実施形態の二酸化炭素精製供給システムにおいては、減圧弁33が設けられない代わりに貯槽32の底部に開閉弁36が設けられ、開閉弁36が供給配管34に接続し、さらに、ユースポイント50の出口に排出弁51の代わりに背圧弁52が設けられている。背圧弁52は、ユースポイント50内の圧力を二酸化炭素の液化圧力以上の一定の圧力に保つものであり、これによって、開閉弁36を開けたときに貯槽32から液体の二酸化炭素がユースポイント50に供給されるようになる。
【0046】
この二酸化炭素精製供給システムでは、
図1に示したシステムと同様に、精製循環系20を動作させて循環する二酸化炭素の清浄度が所定のレベルに達したら開閉弁31を開いて高純度二酸化炭素を貯槽32に貯える。貯槽32に貯えられた高純度二酸化炭素は、弁46〜48を閉じた状態で、必要に応じて開閉弁36を開けることによってユースポイント50に供給される。
【0047】
また、貯槽32の洗浄クリーニングを行う時は、開閉弁36、弁47〜49を閉じ、弁46を開け、開閉弁31から貯槽32に二酸化炭素を供給すればよい。供給された二酸化炭素は、気体であってもよいが好ましくは液体または超臨界状態で、弁46から配管43を流れ、さらに背圧弁42や返送配管41を通って精製循環系20に戻る。精製循環系20と貯槽32との間で二酸化炭素が循環することにより、貯槽32の洗浄クリーニングが行われることになる。供給配管34の洗浄クリーニングを行う時は、弁46,48,49を閉じ、開閉弁36と弁47を開けて、貯槽32及び供給配管34と精製循環系20との間で二酸化炭素が循環するようにすればよい。さらに、ユースポイント50も含めて洗浄クリーニングを行う場合には、弁46,47を閉じ、背圧弁52も閉じ、開閉弁36と弁48,49を開けて、貯槽32、供給配管34及びユースポイント50と精製循環系20との間で二酸化炭素が循環するようにすればよい。
【0048】
以上説明した各実施形態では、二酸化炭素精製供給システムから単一のユースポイント50に対して二酸化炭素を供給していたが、本発明においては、当然のことながら、1つの二酸化炭素精製供給システムから複数のユースポイントに対して二酸化炭素を供給するようにしてもよい。
【0049】
また、本発明においては、二酸化炭素を精製循環系内で循環させて精製する精製循環処理と、洗浄クリーニングのために返送配管を介して貯槽から二酸化炭素を精製循環系に返送させる返送処理とを同時に実行してもよいし、別々に実行してもよい。上述した各実施形態の二酸化炭素精製供給システムを用いる場合であれば、精製循環処理と返送処理とを同時に実行するときには、背圧弁26を開けて精製循環系20内を二酸化炭素が循環し、かつ、返送配管41を介して二酸化炭素が貯槽32から精製循環系20に返送されるようにすればよく、一方、精製循環処理と返送処理とを別々に実行するときには、背圧弁26を開いた状態とする精製循環処理の実行中には二酸化炭素が返送配管41を介して精製循環系20には返送されないようにし、返送処理の実行中には背圧弁26を閉めるようにすればよい。