(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のシステムにおいて、前記医療用クッションが2つの直交する断面において楕円形であり、前記ドレープが前記医療用クッションの少なくとも一部に結合されていることを特徴とするシステム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記医療用クッションが外側面を具え、2つの直交する断面においてアーチ形部分を具え、さらに、少なくとも一部において前記医療用クッションの外側面に結合されたドレープを具えることを特徴とするシステム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記医療用クッションが、親水性の発泡体で形成され、第1の面および第2の面を有する第1のクッション層と、疎水性の発泡体で形成され、第1の面および第2の面を有する第2のクッション層と、前記第1のクッション層の第1の面と、前記第2のクッション層の第2の面とが隣接配置されていることを特徴とするシステム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記医療用クッションの少なくとも一部と前記末端部の少なくとも一部が前記ドレープに結合されていることを特徴とするシステム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記医療用クッションが超吸収性材料を具え、前記超吸収性材料は減圧下で前記超吸収性素材への液体の添加により前記圧縮力を増大するよう動作可能であることを特徴とするシステム。
請求項1に記載のシステムにおいて、前記医療用クッションは、減圧下におかれると、圧縮力と、切開部に向かう閉じる力とをかけるよう動作可能であることを特徴とするシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の好適な実施例の詳細な説明において、その一部をなす添付図面が参照され、そこには本発明を具現化した場合の特定の実施例が図示されている。これらの実施例は、当業者であれば本発明を実施することができるように十分詳細に説明されており、他の実施例として利用することが可能で、その論理構造、機械的、電気的、そして科学的な変更を本発明の意図する範囲を逸脱することなく施すことができると理解されたい。当業者が本発明を実施するのに不要な詳細を回避すべく、この説明は当業者に周知の特定の情報を省略している場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意図として把握されてはならず、本発明の範囲は添付のクレームによってのみ規定される。
【0015】
図1を参照すると、一実施例にかかる、例えば切開部周辺領域の皮下組織や切開部を治療するための減圧治療システム10の一実施例が示されている。本書において、「または」は相互に排他的である必要はない。減圧治療システム10は、表皮14または皮膚から真皮16を通り下皮または皮下組織18に到達する創傷12の創傷周辺領域に図示されている。この皮下組織18は、脂肪組織や筋肉など多種の組織を含んでいる。損傷した、あるいは損害または異常のある皮下組織領域20が、創傷12から延びており、本例では、皮下の欠損、死腔、または空隙22を含む。
【0016】
この損傷した皮下組織20は、脂肪吸引などの外科手術により生じうる。損傷した皮下組織20は、浮腫の原因となる体液の蓄積など多くの理由で厄介な(空隙22のような)空隙、開空間、および多種の不具合を含みうる。「流体」とは通常は気体または液体をいうが、限定しないがゲル、コロイド、発泡体などの他の流動材料を含みうる。
【0017】
システム100は、損傷した皮下組織20を近接させ(閉じるか接近させる)、治癒を促進しつつ皮膚の炎症を最小化あるいはなくす。システム100はまた、切開部12に閉じる力を発生させ、これにより切開部が閉じたまま保持されるかその補助がなされる。システム100は、深い創傷部、例えば空隙22の剪断ストレスを低減させる。システム100はまた、切開部12を乾燥させ、死腔の形成を防ぎ、局所潅流を促進し、漿液種や血腫の形成を防ぐ。さらに、システム100は特定の手術処置による打ち傷や浮腫を低減する。システム100は患者に快適性を提供し、比較的短い長さであるためシステム100は患者に望まれるものである。システム100を用いると、治療具の交換が不要となるか、必要な交換数が低減しうる。
【0018】
切開部12は、ステープルや縫合などの機械的閉鎖手段で閉じられてもよいし、接着剤を用いて閉じられてもよいが、本実施例では縫合糸13を用いて閉じられる。減圧システム10は通常ある範囲を治療するためのものであり、特に、典型的には皮下組織部位20および皮下組織20周辺の組織を治療するものであるが、この減圧システム10はさらに切開部12周辺のより限定的な範囲に用いられてもよい。
【0019】
減圧システム10は医療アセンブリ30を具え、これが成形医療用クッション32、シーリングサブシステム60、および減圧サブシステム80を具える。減圧システム10は力を発生し、これには垂直の力または閉じる力が含まれる。この文脈および本書において、「垂直」の語は、その向きに拘わらず
図1に垂直に示す矢印24に平行なことをいう。垂直に発生する力は、圧迫力であっても持ち上げる力であってもよい。本実施例では、圧迫力としての正味の垂直力が矢印24で示され、閉じる力が矢印26で示されている。圧迫力24は、皮下組織20または器間を含むより深いところで発生する。本書でいう皮下組織とは、同様に深い組織も含む。圧迫力24は、垂直(すなわち、患者の身体または身体部分のほぼ中心線に向けて)あるいは成形医療用クッション32の第1の面34から第2の面34へと向けられる。この垂直の力24の大きさは、成形医療用クッション32のサイズと形状により影響される。
【0020】
ある状況では、成形医療用クッション32が垂直の力を持ち上げる力として供給してもよい。成形医療用クッション32の密度と厚さは持ち上げを制御するために変更される。例えば、医療用クッション材が、組織部位の表皮などの組織の密度より低い場合、持ち上げる力が発生する。成形医療用クッション32の有意に厚い部分に減圧がかかると、成形医療用クッションは全方向から中央部に向かって収縮する。中央部は患者表皮の上にあるため、成形医療用クッション32における患者表皮に近い部分が患者表皮から離れるように引っ張られる。これが垂直の持ち上げる力を発生させる。成形医療用クッションの一部が圧迫力を提供し、他の部分、典型的には中央部は患者またはシステムに対して持ち上げる力を提供してもよい。
【0021】
図1の実施例では、垂直の力は圧迫力24として示されている。以下にさらに説明するように、成形医療用クッション32は、圧迫力がきちんと均等に患者表皮14および表皮14の下に分配されるよう形成および構成される。そうでない場合、もし他の領域に比べて有意に力が強い領域があれば、皮膚の炎症が生じてしまう。減圧システム10はまた閉じる力、すなわち符号26で示すような、医療アセンブリ30の内側に向かうほぼ接線方向の力を生じうる。この閉じる力26は実質的に表皮14の面上に留まり、これを換言すると閉じる力26は表皮14内で実現される。さらに、減圧システム10は切開部12へと、そして切開部と治癒状態によっては皮下の空隙22のレベルまで減圧を供給し、この領域の組織を近接、合致させるとともに、空気や他の流体が流出するのを防止し、減圧治療を提供する。この圧迫力24はまた、空隙22を閉じ、あるいは閉じるのを補助する。
【0022】
本書で用いる「減圧」とは、概して、治療を受ける組織部位の周囲圧力より低い圧力のことをいう。多くの場合、この減圧は、患者がいる位置の大気圧未満となるであろう。若しくは、減圧は、組織部位における組織に付随する静水圧より低くてもよい。特に示さない限り、本書で述べる圧力の値はゲージ圧である。与えられる減圧は一定であっても変化してもよく(パターン化またはランダム)、連続的あるいは間欠的に与えられてもよい。「真空」および「負圧」といった用語が組織に加えられる減圧を説明するのに使用されるが、組織部位にかけられる実際の減圧は、一般に完全真空にかかる圧力よりも高い。同様に、減圧または真空圧の増加とは、一般的には絶対圧の低下のことをいう。
【0023】
医療アセンブリ30は、第1の面34と第2の内側(あるいは皮膚側、患者側の)面36とを具える成形医療用クッション32を具える。この成形医療用クッション32は、損傷したと目される皮下組織20の領域に実質的に合致するよう寸法調整かつ形成されるが、異なる適用例ではより大きいまたは小さいサイズを用いてもよい。成形医療用クッション32は周縁部38を有する。成形医療用クッション32は、医療処置に適しており殺菌された多数の異なる医療用クッション材で製造することができる。一実施例では、成形医療用クッション32はマニホルド材料である医療用クッション材で製造される。本書における用語「マニホルド」は、通常、組織部位に減圧をかけ、流体を供給し、あるいはそこから流体を除去するのを補助すべく設けられる物質または構造をいう。マニホルド材料は、通常、相互接続されマニホルド材周囲の組織領域へ、およびこの領域からの流体の分配を向上すべく相互接続された複数のフローチャネルまたは流路を具える。このマニホルド材料は、組織部位に接触配置され当該組織部位に減圧を分配可能な生分解性材料とすることができる。マニホルド材料の例は、例えば、限定しないが、流路を形成して構成された構造要素、例えば多孔性発泡体、連続気泡発泡体、多孔組織集合体、液体、ゲル、および発泡体であり、そのままあるいは硬化してから流路が形成されされるものを含む。
【0024】
マニホルド材料あるいは医療用クッション材は多孔性で、発泡体、ガーゼ、フェルトマット、あるいは特定の生体アプリケーションに適した他の様々な材料である。一実施例では、マニホルド材料は多孔性発泡体であり、流路として作用する複数の相互接続されたセルまたは穴を含む。この多孔質発泡体は、例えばテキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Incorporatedが製造するGranuFoam(商標)のようなポリウレタン、連続気泡、網状発泡体であってもよい。他の実施例では、「独立気泡」を含んでもよい。
【0025】
GranuFoam(商標)の網状孔は、約400−600ミクロンの範囲内であり、マニホルド機能を実現するのに役立つが、他の材料を用いてもよい。医療用クッション材、例えばGranuFoam(商標)の密度は、一般に1.3−1.6lb/ft
3(20.8kg/m
3−25.6kg/m
3)である。いくつかの状況では、GranuFoam(商標)より高い密度(孔サイズは小さい)が好ましくなる。例えば、1.6lb/ft
3(25.6kg/m
3)より大きな密度のGranuFoam(商標)または類似の材料を用いることができる。別の例では、2.0lb/ft
3(32kg/m
3)または5.0lb/ft
3(80.1kg/m
3)もしくはそれ以上の大きな密度のGranuFoam(商標)または類似の材料を用いることが出来る。材料の密度が高ければ、所定の減圧で発生する圧迫力も大きくなる。組織部位の組織以下の密度の発泡体を医療用クッション材として用いると、持ち上げる力が発生する。
【0026】
医療用クッション材は、後に発泡体の元の厚さの約1/3のフェルト状にされる網状発泡体で製造することができる。多くの材料の可能性があるが、以下の材料が利用可能である:GranuFoam(商標)材料、またはFoamex(商標)技法発泡体(www.foamex.com)。いくつかの例では、マイクロボンディング処理においてイオン化銀を発泡体に加えるか、抗菌剤などの他の成分を医療用クッション材に添加することが好ましい。医療用クッション材は、減圧時に所望する力の正確な配向によって、等方性か異方性とすることができる。医療用クッション材は、生体吸収材性材料であってもよい。医療用クッション材と患者との間には、コンフォート材料層が追加されてもよい。
【0027】
シーリングサブシステム60は、オーバドレープ62またはドレープあるいはシーリング部材を具える。オーバドレープ62は、エラストマ素材や、流体シールを提供する様々な材料であってよい。「流体シール」または「シール」は、特定の減圧サブシステムにかけられた所望の部位の減圧を維持するのに適した封を意味する。オーバドレープ62は、例えば、不透過性または半透過性のエラストマ材料である。「エラストマ」は、ゴム状の特性を有することをいう。これを通常ラバー状の特性を有するポリマ材料をいう。より具体的には、多くのエラストマは100%より大きな身長率と、相当量の弾力を有する。材料の弾力性は、材料の弾性変形からの回復力を示す。エラストマの例は、限定しないが、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンスチレンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマ、クロロスルホンポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、EVAフィルム、共ポリエステル、およびシリコーンを含む。オーバドレープの材料の特定の例は、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(商標)ドレープ、Avery Dennisonから入手可能なアクリルドレープ、または切創ドレープを含む。
【0028】
オーバドレープ62は、成形医療用クッション32に結合されてもよい。結合が望ましい場合、この結合は様々な方法で生じうる。オーバドレープ62および成形医療クッション32は、例えばアクリル接着剤、シリコーン接着剤、ヒドロゲル、親水コロイド等の接着剤を用いて結合することができる。オーバドレープ62と成形医療用クッション32は様々な技術を用いて接着してもよく、これは限定しないが、溶接(超音波またはRF溶接)、ボンド接着、接着剤、セメント等が含まれる。オーバドレープ62と成形医療用クッション32の結合は、部分的、全面的、あるいはまったくなくてもよい。オーバドレープ62が所望の方向に異方性を呈すべく構造部材を接着剤に添加して、異方性のドレープ部材が形成されるようにしてもよい。異方性のドレープ部材は、他の方向または軸と比較して所定の方向または軸に大きく移動、収縮、あるいは伸長する。この習性はまた、
図9に関して以下で述べる。本書において、「結合」は、異なる要素で結合することと、直接結合することが含まれる。「結合された」は、2以上の要素が、各材料が同じ材料ピースから製造されることによって互いに連続的になることを含む。また、この「結合」は、化学接着を含む科学的なもの、機械的、熱的、あるいは電気的な結合であってよい。流体接続とは、所定のパーツまたは位置の間で流体的に接続していることをいう。
【0029】
図1の実施例では、オーバドレープ62は成形医療用クッション32を超えて延在するよう寸法形成され、ここにドレープ伸長部64が形成される。このドレープ伸長部64は、第1の面66と、第2の組織対向面68とを具えている。オーバドレープ62は、液密を提供する封止器具69を用いて患者の表皮14に対して(またはガスケットや追加のシール部材に対して)密着される。本書において、患者表皮上のシールへの言及は、例えば患者表皮に接触して密着するフィルムガスケットなど他のレイヤに対するシーリングが含まれると解されるべきである。この液密により、減圧サブシステム80による減圧が維持される。シーリング部材69は、例えば接着剤70、シーリングテープ、またはドレープテープあるいはストリップ、両面ドレープテープ、糊、浸水コロイド、ヒドロゲル、または他の封止手段など、多種の形態をとりうる。テープを用いる場合、このテープはドレープ62と同じ材料で形成され、予め感圧接着剤が設けられたものであってよい。接着剤70は、ドレープ伸長部64の第2の面68に設けられる。この接着剤70は、オーバドレープ62と患者の表皮14との間に実質的な液密を提供する。オーバドレープ62を患者に固定する前には、接着剤70は剥離片、あるいは接着剤70を覆う着脱可能な裏地を具えてもよい。オーバドレープ62は一体的なドレープとして形成してもよいし、結合した切片または部分から形成されてもよい。
【0030】
減圧サブシステム80は減圧源82または治療ユニットを具える。この減圧源82は、真空ポンプ、壁面吸引、その他のソースであってよい。減圧源82は、システム10の一部として減圧を提供する。組織部位に適用される減圧の大きさや性質は通常応用例によって変化するが、減圧は一般に−5mmHg乃至−500mmHgであり、より具体的には−100mmHg乃至−300mmHgである。
【0031】
患者の移動性や便宜を最大化すべく、減圧源82はバッテリ駆動式の、使い捨ての減圧発生器または治療ユニットとすることができる。バッテリ駆動式で使い捨ての減圧発生装置は、手術室での利用を実現し、リハビリテーションフェーズで患者に移動性と便利性を提供する。多くの手術において、患者は減圧システム10を3−5日着用すべきと考えられるが、10−15日またはそれ以上の着用を指示されることもある。また、この治療期間は、例えば往々にして6週間ほど着用される従来の圧迫ガーメントなどの従来型治療より短くすることができる。したがって、このような減圧源82のバッテリの寿命または電力は15日までの運用を満足できればよい。例えばテキサス州サンアントニオのKCIから入手可能なV.A.C.(商標)治療ユニットや、壁面吸引ユニットなど他の減圧源を用いてもよい。減圧源82はまた、成形医療用クッション32と表皮14の間の気密性にどれくらいの漏れがあるかにより、例えばチューブ内のピストン等のポータブル機械器具で与えられてもよい。
【0032】
図1の実施例では、減圧源82はバッテリ区画84と、ウィンドウ88付きのキャニスタ領域86とを具え、キャニスタ86内の液体レベルが見れるようになっている。疎水性あるいは疎油性フィルタなどの中間膜フィルタを、減圧送達導管またはチューブ90と減圧源82の間に挿入されていてもよい。
【0033】
減圧源82が発生する減圧は、減圧送達導管90を通してL字ポート94などの減圧接続部92に送達される。一実施例では、L字ポート94はテキサス州サンアントニオのKCIから入手可能なTRAC(商標)技術ポートである。この減圧接続部92によりシーリングサブシステム60に減圧を送り、シーリングサブシステム60の内側部分まで到達させることができる。この実施例では、ポート94はオーバドレープ62を通り、成形医療用クッション32へと延在している。
【0034】
運用時、減圧治療システム10は、患者の手術後に手術室または他の場所に適用される。成形医療用クッション32の第2の面36は、流動層(
図16参照)を含んでもよく、患者の表皮14に対して、成形医療用クッション32が損傷のある皮下組織20と切開部12の部分を覆って配置される。成形医療アセンブリ30は、ヘルスケア業者が実施する処置に含まれる典型的なアプリケーション用に寸法調整されていてもよく、その都度寸法調整されてもよい。医療アセンブリ30は、腹部、胸部、腿部、臀部などの異なる解剖学的アプリケーションにおいて動作するよう寸法調整、形成、および構成されている。
【0035】
オーバドレープ62が成形医療用クッション32にすでに結合されていない場合(別の実施例を参照)、オーバドレープ62は成形医療用クッション32の第1の面34の上に配置され、伸長部が外縁部38を超えて延在してドレープ伸長部64を形成する。このドレープ伸長部64は、テープか(
図2の172)、オーバドレープ62と患者表皮14間の液密を構成するのに用いた接着剤で留められる(
図1)。この液密は単に、減圧治療システム10が治療範囲または組織部位において所望の治療期間だけ減圧を維持するのに適していればよい。減圧接続部92が、すでに取り付けられていない場合は適用され、減圧送達導管90が一端部に連結される。減圧送達導管90の他端は、減圧源82に連結される。減圧源82がその後起動され、成形医療用クッション32に減圧が送られる。
【0036】
成形医療用クッション32の圧力が減少すると、成形医療用クッション32が収縮して横方向に縮み、半固体の基質あるいは曲げにくい基質が形成される。減圧が成形医療用クッション32に通され、切開部12の近くの患者表皮14に減圧がかかる。少なくとも治癒プロセスの初期ステージにおいて、および創傷の種類によって、減圧は切開部12を通り皮下組織20に到達し、圧力の低下が皮下空隙22といった欠損部を閉じるのを促進し、通常は治療範囲に復元力をもたらす。成形医療用クッション32に送達される減圧はまた圧力24を発生させ、これもまた復元力、治癒を提供し、皮下空隙22を閉じるかこれを補助する。圧力24は、表皮14の上だけに留まらなくてもよい。例えば、この圧力24はより深くまでかかり、皮下組織20または他の皮下組織のレベルまで到達してもよい。
【0037】
オーバドレープ62と成形医療用クッション32が減圧の影響下で横方向に接触し、圧力が表皮14にかかると、正味の閉じる力26が発生して切開部12を閉じたままにし、通常はこの領域にさらなる治癒力を提供する。切開部12の有効引っ張り強さが増大する。この閉じる力26の一部は成形医療用クッション32と表皮14の摩擦によるものであり、閉じる力を表皮に伝達し、ドレープ伸長部64から表皮14への力の伝達は、接着剤70またはテープ(
図2の172)が用いられている場合は摩擦を介してなされる。同時に、成形医療用クッション32に供給された減圧は、切開部12からの浸出液その他の流体の除去を促進する。一態様では、減圧システム10は表皮14の皺の形成を抑制する。このシステム10は表皮14に均等な力をかけ、表皮14を滑らかで、皺のない、治療状態を維持する。
【0038】
減圧システム10は、二次的な切開や二次的な曲げ、その他の影響による患者表皮14の水ぶくれなどの皮膚炎症を防止する。したがって、成形医療用クッション32の末端部33は半径方向に圧力を均等に分配するよう形成される。この末端部33は成形医療用クッション32の外側成形部分であり、その周縁部は通常成形医療用クッション32の最も外側部分または患者の皮膚に接触する最も外側部分となる。この末端部33は、圧力を均等に分配するか、そうでなくてもストレスが生じるのを防ぐ様々な異なる形状とすることができる。末端部33の可能な形状は、
図1に示すような面取りした(または角度がついた、傾斜をつけた、あるいはテーパした)面や、
図2に示すようなアーチ形状、あるいは力を分配する他の形状を含む。対称的に、クッションの縁部が角いクッションを用いる場合、オーバドレープがクッションの上および患者表皮の上に適用されると「テント領域」が形成される。この「テント領域」は、他のステップをとらないと皮膚の炎症を生じる。成形医療用クッション32はこの「テント領域」を回避する。成形医療用クッション32の成形された縁部あるいは末端部が、大きな「縁部効果」、すなわち紅斑や水ぶくれなどの皮膚炎症を引き起こすレベルの剪断やストレスを生ずることなく圧縮力が発生する。成形医療用クッション32の成形部分は力を段階的にかけて炎症を防止する。力を皮膚に伸長にかけて炎症を防止する方法を、一般に圧迫力を「均等分配」するというが、その語意を厳密に適用するものではない。皮膚炎症に対する別の予防措置として、さらに以下に別の実施例に関して説明するように、成形医療用クッション32と患者表皮14の間(例えば
図11の857参照)または他の位置にインナー層を配置してもよい。
【0039】
減圧システム10は手術室で適用し、減圧システム10を適切な治癒期間が過ぎるまで患者の上に残すことが望ましい。これに関して、オーバドレープ62、成形医療用クッション32、および他の層を透明材料で形成して、ヘルスケア提供者が切開部12および損傷した皮下組織20の治癒に関する視覚的な手がかりを、医療アセンブリ30を除去しないで得られるようにすることが望ましい。
【0040】
図2を参照すると、患者の損傷または傷あるいは異常のある組織を治療するシステム110の別の実施例が示されている。このシステム110は、その大部分が減圧システム10に似ているが、関連部品は一般に本実施例において100を足した符号で示し、さらなる説明は行わない。この特定の実施例では、システム110は無傷、すなわちこの場合に切開がない組織115の上に配置される。しかしながら、損傷した皮下組織120は、皮下空隙122を有する。システム110は、創傷があろうがなかろうが、損傷した皮下組織120に作用するものである。
【0041】
図1の成形医療用クッション32は台形の断面で示されているが、
図2の成形医療用クッション132は放射状の縁部を有する部分を設けて形成された断面を有するか、アーチ形の断面を有する。成形医療用クッション132のアーチ形の断面は、オーバルか楕円形となる。成形医療用クッション132は、二重傾斜(double-beveled)または他の形状の断面をとりうる。前述のように、成形医療用クッション132の形状は、システム110の使用時に半径方向の圧迫力を皮膚炎症が生じないような「均等分配」を実現するものである。成形医療用クッション132の末端部133は、楕円形の断面を有して示されている。
図2の実施例では、シーリング装具169がオーバドレープ162と患者表皮114の間の液密を提供し、本例では、これはシーリングテープ172である。
【0042】
生じる力をさらに説明する。周囲圧力がオーバドレープ162の第1の面161に縦の力131を提供し、成形医療用クッション132は、表皮114に向かい、皮下レベル、即ち、皮下組織118へ到達する力を提供する圧縮力124を生じさせる。同時に、側方への力または閉じる力を生じさせる。この閉じる力は、成形医療用クッション132を通して表皮へと伝達される。力127は接触し、かつ圧縮する成形医療用クッション132によって生じた内向きの収縮力である。成形医療用クッション132が接触かつ圧縮する際、閉じる力は成形医療用クッション132を通して表皮114に移される。同時に、例示的な実施例のために、減圧がかけられると、オーバドレープ162は矢印128で示されるように、先端133近くの領域に引っ張られる。ドレープ伸長164が表皮114に固定され、力128の水平の構成成分が内向きの力129によって示されるように表皮を内向きに引っ張る。
【0043】
ここで
図3を参照すると、患者の胴のような湾曲体部分200に示される、損傷した皮下組織220のような組織を治療するためのシステム210が示される。医療アセンブリ230は成形医療用クッション232を含む。シーリングサブシステム260はオーバドレープ262と、取付装置270とを含む。(図示されない)減圧源は減圧を減圧送達導管290に提供し、減圧を減圧接続器292に提供し、順に減圧を成形医療用クッション232に送達する。成形医療用クッション232が減圧の影響下で圧縮され、正味の、放射状の圧縮力224が生じ、即ち、皮下組織220に送達される。オーバドレープ262は空隙235周りに「テント」領域を形成する。減圧下でオーバドレープ262は空隙235に引っ張られ、これにより力は内向きの接触力226を生じる。代替的に、成形医療用クッション232の先端はテント領域を回避して成形されてもよいし、オーバドレープが成形医療用クッション232の先端に取り付けられてもよい。
【0044】
図3の実施例において、成形医療用クッション232の湾曲はまた圧縮力生成の補助となる。成形医療用クッション232の第1の面234は、成形医療用クッション232の第2の内側対向面236の表面領域より大きい領域を有し、減圧下で表面領域のこの差はまた正味の圧縮力224の発達を実現する。
【0045】
図4を参照すると、例示的なシステム310が示されている。このシステム310は大部分が
図3のシステム210に似ているが、関連部品は一般に、
図3の参照番号に100を足した符号で示し、さらなる説明は行わない。このシステム310は周囲医療アセンブリ330を示し、この実施例において胴の周囲に伸長する。周囲力は減圧がかけられる間に生成され、システム310に組み込まれ、正味の、放射状の圧縮力324を提供する。この圧縮力324はドレープや表皮への力のオフロードがあるので、平面あるいは部分的な胴の適用よりも比較的高くあるべきである。
【0046】
ここで
図5および
図6を参照すると、医療アセンブリ430の別の実施例が示される。医療アセンブリ430は第1の面434と、第2の内向き(皮膚に面するか患者に面する)面436とを有する成形医療用クッション432を有する。この実施例において、成形医療用クッション432は斜めの表皮433を有して形成されており、特に直交面440および442といった2つの直交面において、台形断面を有して形成される。医療アセンブリ430のこのような面に沿った断面は
図6に示されている。成形医療アセンブリ432の周囲端部438は(示された配向にとって)縦または垂直な参照線444と表面伸長線(断面)446間の角度(α)で形成される。この角度(α)は一般に3度乃至95度、より一般的には20度乃至65度、より一般的にはおよそ45度であってもよい。
【0047】
オーバドレープ462は成形医療用クッション432上に配置される。このオーバドレープ462はドレープ伸長部464を形成するために周囲端部438を越えて伸長する。オーバドレープ462は、前述のように接着剤およびボンドを用いるような、いくつかの任意の装置や技術を用いて接合されてもよい。この実施例において、オーバドレープ462は周囲端部438の外側439にボンド450によって接合される。このオーバドレープ462はまた、成形医療用クッション432の第1の面434の外面435に接合されてもよい。この例において、オーバドレープ462は、少なくとも部分的に、患者に面する面を除いて成形医療用クッション432の外面のほぼすべてに連結されてもよい。オーバドレープ462が成形医療用クッション432の内側対向面を除いたほぼすべての外周面に連結される場合、外縁部438は直角を有するよう成形されてもよいが、「テント領域」が形成されないため肌の炎症は回避される。あるいは端部438は直角以外に形成される。代替的に、肌の炎症を最小限にする助けとなる層が加えられてもよい。
【0048】
図5に示されるように減圧送達導管490は減圧サブシステムの一部であるが、減圧を成形医療用クッション432に送達する減圧接続部492に供給するよう用いることができる。減圧接続部492はポート494であってもよいし、クッション432または他の装置への直接適用されてもよい。
【0049】
図7を参照すると、医療アセンブリ530の別の実施例が示される。この医療アセンブリ530は、方形断面を有するよう形成される成形医療用クッション532を有する。この例においてオーバドレープ562は、ボンド550での接着により周辺端部538の外面539および成形医療用クッション532の第1の面534に連結される。成形医療用クッション532が90度の角度で成形されたとしても、ボンド550は放射状の圧縮力の患者へのより平らな適用を実現できる。連結は、第1の面534の外面535上に、周囲端部538の外面539に沿って完遂するよう示されるが、連結部分は部分的でもよいし、タッキングにより達成されてもよい。
【0050】
ここで
図8を参照すると、医療アセンブリ630の別の実施例が示される。この医療アセンブリ630は弓型断面を有するよう形成された成形医療用クッション632を有し、この例においてはオーバルまたは卵型の断面である。このように周囲端部638は、放射状または湾曲形状を有する。オーバドレープ662は、周囲端部638の外面639上および成形医療用クッション632の第1の面634の外面635上に接着650によって連結されてもよい。この楕円形断面は2つの異なる直交面に存在してもよい。
【0051】
ここで
図9を参照すると、第1の軸674、第2の軸676、および第3の軸678を参照して医療用クッション材635の実施例が示されている。この医療用クッション材635は前述の任意の成形医療用クッションを用いてもよい。多くの適用例において、医療用クッション材635は等方性であってもよく、別の適用例において、それは異方性であってもよい。
【0052】
一般に異方性は、等方性に対して方向依存性であり、これはすべての方向において均一であることを意味する。例えば、患者の外面にかかる重力に反するより強い力を生成することが望まれるとすると、異方性材料は、正味の周囲力が第1の軸線674に沿って生じる場合、より大きな動きが縦軸、この場合においては、示される配向での第3の軸線678に沿って生じる。さらに別の例において、第2の軸線676方向では、異なる方向に異なる動作を有してもよい。この異方性材料は、第1の方向にフィラメントを加えることにより形成されてもよい。異方性材料はまた、異なる密度の線を作るよう材料のフェルティング(熱圧縮)により形成されてもよい。異方性材料はまた所与の方向に強さを与える接着剤を用いることにより形成されてもよい。
【0053】
ここで
図10を参照すると、損傷した皮下組織のような組織を治療するためのシステム710の実施例の一部が示されている。このシステム710は成形医療用クッション735と、シーリングサブシステム760と、一部が示されるのみの減圧サブシステム780とを含む。成形医療用クッション735は、第1の面743と、第2の内側対向面745とを有する通気性ドライ層741を含む医療アセンブリ730の一部であってもよい。医療アセンブリ730はまた非通気性層747を含んでもよく、この層は第1の面749と、第2の内側対向面751とを有する。シーリングサブシステム760は、先に述べられた実施例および取付装置770とに類似するオーバドレープ762を含む。
【0054】
いくつかの材料が、様々な層741、732、747で可能となる。通気性ドライ層741は、例えば、成形医療用クッション735内に流体を流す親水性不織材から形成されてもよい。この通気性ドライ層741は肌の炎症を防ぐのを助けたり、あるいは他の流動性を向上させる流動層であってもよい。成形医療用クッション735は、比較的薄い吸水性構造、または比較的大きな流体量を蓄えることができる材料から形成されてもよい。例えば、成形医療用クッション735は、しばしば「ヒドロゲル」「高吸収性物質」または「親水コロイド」として言及される高吸水性のポリマ(SAP)の一種から形成されてもよい。成形医療用クッション735はまた、先述のいかなるマニホルド材から形成されてもよい。非通気性層747は、例えば、流体が外に漏れるのを防ぐポリエチレンフィルムなどの多くの異なる材料であってもよい。さらなる基質が加えられてもよい。様々な層741、732、747は密閉されてもよいし、ホットメルト接着剤または熱接着といった接着剤と組み合わされてもよいし、いかなる技術または装置を用いて接合されてもよい。
【0055】
運用時、流体が成形医療用クッション735に加えられる際、成形医療用クッション735は、さらに硬質(より少ない柔軟性)となり、減圧下で
図1の放射状の力24のような増大した放射状の圧縮力をもたらす。流体は創傷からの浸出液または他の流体の形態で生じてもよいし、第2のポート、第2のルーメンを通して意図的に加えられてもよいし、射出ポートにおいて医療アセンブリを通して射出により加えられてもよい。この意味において、成形医療用クッション735は、成形医療用クッション735がより硬質(より小さい柔軟性)となるようさらなる液体が加えられてもよく、より大きな力となる。
【0056】
図10をさらに参照すると、他の可能性のある構成物質を記載することにより、医療アセンブリ730の代替的な実施例が示される。この実施例において、クッションは2つの部材:親水性発泡体から形成される第1のクッション層741と、疎水性発泡体から形成される第2のクッション層732とを含む。オーバドレープ762は、次いで、第2のクッション層732の第1の面(示された配向用の上面)に配置される。様々な材料の他の層が加えられてもよい。
【0057】
ここで
図11を参照すると、例えば、損傷した皮下組織といった組織を治療するためのシステムを用いるための医療アセンブリ830の例示的な例が示される。医療アセンブリ830は、成形医療用クッション832と、オーバドレープ862とを含み、これらは本書の他の実施例に示されるものと一般に類似である。シーリングサブシステム830は、第1の面866と、第2の内側対向面868とを有するドレープ伸長部864を形成するために成形医療用クッション832を越えて伸長するオーバドレープ862を具える。シーリング部材869はドレープ伸長部864と患者表皮814との間に密閉を提供するのに用いられてもよい。この実施例において、シーリング部材869は接着剤867であり、これは患者面に配置される。接着剤867がまず、カバーリングで覆われてもよく、解放可能なバッキングで覆われてもよく、これらは医療アセンブリ830が患者表皮814に適用される前にはがされてもよい。医療アセンブリ830は、第1の面855と、第2の内側対向面857とを有するインナー層853の追加を示している。このインナー層853は治療領域開口859から形成されてもよい。
【0058】
インナー層853は、成形医療用クッション832と患者表皮814との間に生じる肌の炎症を低減したり、除去したりする助けとなりうる。インナー層853はAvery(商標)ブランドのアクリルドレープ、Scapa brandのシリコーンドレープ、または他の好適な材料といったアクリルドレープ材であってもよい。インナー層853は、成形医療用クッション832が患者の皮膚と干渉するであろう成形医療用クッション832の第2の面836に配置される。インナー層853およびオーバドレープ862は、治療領域開口859を除いて、成形医療用クッション832を封入する。接着剤はインナー層853の第2の面857に適用され、成形医療用クッション832の表皮との相互作用が終わり、オーバードレープ862の表皮との相互作用が始まる領域上に副木を設ける。この配置は、減圧がかけられる際、接着剤が表皮が丸まったり、圧点の形成や減圧の上昇を防ぐ助けとなると信じられているので、せん断応力および緊張の高濃度のため水ぶくれを防ぐ助けとなりうる。
【0059】
ここで
図12を参照すると、医療アセンブリ930の実施例が分解組立図で示されている。医療アセンブリ930は成形医療用クッション932と、インナー層953と、オーバドレープ962とを有する。インナー層953は第1の面955と、第2の内側対向面957とを有し、治療領域開口959で形成されている。成形医療用クッション932は斜面(周囲端部938は縦軸に対して角度をもって形成されている)を有する成形医療用クッション932の例であり、この例において、少なくとも2つの直交面で台形断面を形成する。成形医療用クッション932は、第1の面934と、第2の内側対向面936とを有する。オーバドレープ962は第1の面966と、第2の内側対向面968とを有する。
【0060】
内側面953は潜在的な肌の炎症を解決するいくつかの方法に用いられてもよい。一実施例において、成形医療用クッション932の第2の面936は、インナー層953の第1の面955に連結される。別の実施例において、接着剤または他の取付装置は成形医療用クッション932とインナー層953との間にはなく、成形医療用クッション932とインナー層953との間の相互の動きが可能となる。同様に、オーバドレープ962の第2の面968は、成形医療用クッション932の第1の面934に連結されてもよい。代替的な実施例において、面934と面968との間に取付装置はなくてもよい。
【0061】
さらに別の例示的な実施例では、成形医療用クッション932の第2の内側対向面936を除く、成形医療用クッション932のすべての外面をオーバドレープ962に連結している。接着剤や別の取付装置が、成形医療用クッション932のインナー層953の第1の面955を、第2の面936に連結するよう用いられてもよい。接着剤や別の取付装置が第2の面957に用いられないと、インナー層953の比較的低い摩擦面が、肌に対して滑らかに動くことができるので、肌の炎症が低減されるかもしれない。代替的に、接着剤や別の取付装置が、インナー層953を表皮に保持するためにインナー層953の第2の面957に適用されてもよいが、成形医療用クッション932とインナー層953との間の低摩擦の動きを可能にするために、成形医療用クッション932とインナー層953との間ではない。
【0062】
この実施例のさらに別の代替において、接着剤や別の取付装置が、成形医療用クッション932の第2の面936と、インナー層953の第1の面955との間と、インナー層953の第2の面957と、患者表皮との間とに適用されてもよい。この代替例を用いて、成形医療用クッション932と表皮との相互作用が始まり、インナー層953と表皮との相互作用が終わる領域で、副木の効果が実現される。この配置は、減圧がかけられる際、その場所での高濃度のせん断応力と緊張のため水疱形成を防ぐ助けとなる。接着剤や取付装置は、表皮の丸まりや、圧点の形成あるいは圧力上昇を防ぐと信じられている。インナー層953の構造は、他と同様に示される任意の例示的な実施例に用いられてもよい。
【0063】
主に
図13、14を参照すると、医療アセンブリ1030の一実施例が示されている。この医療アセンブリ1030は、第1の面1034と第2の面1036とを有する成形医療用クッション1032を具える。成形医療用クッション1032の末端部1033は、本実施例で角度が設けられている。インナー層1053が、第1の面1055と第2の内側対向面1057を有して設けられているが、本例では、第2の面1057は成形医療用クッション1032の周縁部1038に隣接配置されている。インナー層1053には、中央開口部1059が形成されている。このインナー層1053および成形医療用クッション1032の一部が、オーバドレープ1062に覆われている。インナー層1053の第1の面1055とオーバドレープ1061の第2の面1063の間、またはインナー層1053の第2の面1057と成形医療用クッション1032の第1の面1034の間には、接着剤や他の取付具を用いることができる。
【0064】
主に
図15−16を参照すると、線形創傷、面積のある創傷、その他の創傷、または移植部を治療するシステム1110が示されている。システム1110の一部が、
図15に展開状態で示されている。
【0065】
システム1110は、成形医療用クッション1132を有する医療アセンブリ1130を具える。成形医療用クッション1132は、第1の面1134と、第2の内側対向面1136を具える。成形医療用クッション1132は、他の実施例で前述した様々な医療用クッション材で形成することができる。第1の面1172と第2の内側対向面1174を有するコンフォート層1170が、成形医療用クッション1132の第2の面1136に、例えばヒートボンド1176または他の様々な技術により結合されている。
【0066】
コンフォート層1170は、皮膚炎症や不快性を防ぎつつ、コンフォート層1170を通る液体透過を可能にする様々な材料とすることができる。非限定的な一実施例では、編まれた弾性材料や、ポリエステルのニット織物基質が用いられる。別の非限定的な例では、サウスカロライナ州スパルタンバーグのMilliken Chemical社のInterDry(商標)織物材料を用いてもよい。このコンフォート層1170は、銀などの抗菌成分を含んでもよい。コンフォート層は、
図10の通気性のドライ層741のように製造されてもよい。
【0067】
一実施例では、成形医療用クッション1132は、複数の柔軟性の刻み目1178を具える。この柔軟性の刻み目1178は、図示するように成形医療用クッション1132における横方向の刻み目あるいは横方向の切り込みであり、さらに代替的には、1またはそれ以上の縦方向の刻み目あるいは縦方向の切り込みであってもよい。これらの切り込みは、ソー(または切り欠きブレード)、ホットナイフ、その他の器具で設けることができる。柔軟性の刻み目1178は、成形医療用クッション1132の柔軟性を向上させる。柔軟性を向上させると、特に医療アセンブリ1130を患者の関節や他の可動部位に適用する際に有用となる。例えば、成形医療用クッション1132を膝に用いる場合、成形医療用クッション1132は100%以上曲がるか伸長する必要があり、柔軟性の刻み目1178または隆起が所望の柔軟性を提供する助けとなる。さらに、以下に説明するように、複数の折り目を追加して可動性を得てもよい。
【0068】
一実施例では、成形医療用クッション1132は以下のように製造される。例えば1.21メートル×1.8メートル×0.5メートルブロックのGranufoam(商標)材料を19mmの高さにカットし、ソーを用いて横方向の溝あるいは横方向の柔軟性の刻み目1178を形成する。次に、ドライ層、すなわちコンフォート層1170が、第2の面または底面に重ねられる。その後、発泡体ブロックをダイカットを用いて切断し、個々の成形医療用クッション1132を形成する。
【0069】
シーリングサブシステム1160が、医療アセンブリ1130と患者表皮の少なくとも一部の上に液密を提供する。このシーリングサブシステム1160はオーバドレープ1162を具え、これが第1のオーバドレープ部分1163と第2のオーバドレープ部分1165を具える。第1のオーバドレープ部分1163は、成形医療用クッション1132の第1の側面1134の上に延在し、さらに延びて第1の側面1166と第2の内側対向面(図示せず)を有するドレープフランジまたはドレープ伸長部1164を形成する。開口部1181が第1のオーバドレープ1163の一部の上に形成される。この開口部1181は、減圧接続部(例えば、
図1の減圧接続部92)と流体接続させるためのものである。
【0070】
ドレープ伸長部1164の第2の内側対向面は、第2のオーバドレープ部1165の第1の側面1167上に例えば接着剤やボンド1169、または前述したような他の結合技術または装置によって配置される。第1のドレープ部分1163は複数の折り目1173またはベローを具えてもよい。これらの折り目1173により、必要に応じてドレープ部1163を伸長させることができる。例えば、医療アセンブリ1130が関節に用いられる場合、関節が曲がると、ドレープ部1163が折り目1173を利用して伸長される。さらなるドレープ材料を折り目1173から伸ばして可動性を実現してもよい。第2のドレープ部1165の第2の内側対向面は、一部に接着剤が設けられ、治療領域開口部を具える(
図17の類似の治療領域開口部1271を参照)。折り目1173はまた複数の隆起として形成され、これは断面において伸ばすと平らになるアコーディオン状に見え、このように追加の部材を提供する。
【0071】
1またはそれ以上のリリース部材1182が、第2のドレープ部1165の第1の側面1167に着脱可能に結合されている。4つのリリース部材1182が
図15の実施例で示されている。これらのリリース部材1182は強度を提供し、医療アセンブリ1130の展開を助ける。リリース部材1182は通常、第2のドレープ部1165の第1の側面1167に保持されたキャスティングペーパーかフィルムである。
【0072】
主に
図17を参照すると、例えば皮下組織、線形創傷、範囲のある創傷、その他の創傷、または移植片といった組織を治療するシステム1210の部分展開斜視図が示されている。
図17に示すシステム1210の一部は、予め展開された状態であり、分解図として示されている。システム1210は多くの部分で
図15−16のシステム1110と似ており、対応する部品は100を足した符号で示され、さらなる説明は行わない。システム1210は、成形医療用クッション1232を有する医療アセンブリ1230を具える。この成形医療用クッション1232は成形医療用クッション1132と同じであるが、柔軟性の刻み目1278が縦方向と横方向の双方にある。
【0073】
成形医療用クッション1232の第1の側1234はオーバドレープ1262に覆われ、これは第1のドレープ部1263と第2のドレープ部1265を具える。第1のドレープ部1263は、折り目1273と開口部1281を具える。第2のドレープ部1265には治療領域開口部1271が形成され、これが成形医療用クッション1232(またはコンフォート層)の少なくとも一部が患者表皮または治療部位に直接面するための開口部を提供する。第2のドレープ部1265は、第1の側1267を有し、当該第1の側1267の一部に設けられた接着剤1283を有する。この接着剤1283は主に製造過程において組み立て時に成形医療用クッション1232を第2のドレープ部1265に保持するため、また使用時に成形医療用クッション1232の保持を補助するために用いられる。成形医療用クッション1232を接着剤1283に付ける前に、接着剤1283は中央剥離部材1284でカバーされている。第1の側1267において接着剤1283の外側には着脱可能部材1282があり、これが展開時にオーバドレープ1262に強度を付与する。
【0074】
第2のドレープ部1265の第2の内側対向面(図示しないが、第1の側面1267の反対側)は、接着剤で覆われる。予め展開した状態において、この接着剤は底部リリース部材1286および側部リリース部材1287でカバーされている。
【0075】
組み立てられると、システム1210の一部は、
図15のシステム1120の一部と似たようになる。その使用と設計は異なってもよいが、一実施例では、システム1210の一部は以下に説明するように展開される。底部リリースインナー1286が除去され、第2のドレープ部1265の第2の内側対向面上の接着剤が露出され、一方の端部から患者の表皮の線形創傷の上に配置される。第2のドレープ1265を滑らかに適用した後、側部リリース部材1287が除去される。オーバドレープ1262の第1の側面1267のリリース部材1282が除去される。減圧接続部が、第1のオーバドレープ部1263の開口部1282に連結される。中央リリース部材1284は製造過程で既に除去されている。
【0076】
上述したシステムや構成要素を製造するために、構成要素やそのアセンブリが示されてきた。成形医療用クッションの第1の面にオーバドレープを適用し結合させる際に、プレスを用いて皺をなくすことが望ましく、そうでないと皺が生じたり残ったりしてしまう。
【0077】
別の実施例では、組織治療用の減圧システムが有向力部材を具え、これが減圧下におかれると力を均等に分配するための、非直交縁部、例えば、曲がった縁部、斜めの縁部、あるいは角度のある縁部を具えるか、縁部に接着されたドレープの一部を有する縁部を具える。この有向力部材は、流体を移送する複数のチャネルを有するは法対部材として形成される。減圧システムはさらに、有向力部材の少なくとも一部と患者表皮を覆って液密を提供するドレープを具える。システムはまた、減圧源と前記有向力部材を流体接続する減圧導管を具えてもよい。一実施例において、有向力部材は、先細の縁部を有する発泡体部材である。減圧源からドレープを介して減圧が内部にかけられると、減圧は有向力部材に力を生じさせる。この力は、患者の表皮または他の組織に対する、1ミリメートル以上、2ミリメートル以上、3ミリメートル以上、4ミリメートル以上、5ミリメートル以上、7ミリメートル以上、それ以上に深く通る縦の力を含む。この縦の力は、死腔や空隙を接合するのに役立つ。この力は、閉じる力であるか、閉じる力を含んでもよい。
【0078】
別の実施例によると、減圧式力生成医療アセンブリが、減圧下におかれると均等に力を分配する斜めの縁部を有する有向力部材を具える。この有向力部材は、頂面と底面を具える。この有向力部材は、複数のチャネルを有する医療用クッション材で形成される。これらのフローチャネルは、例えば発泡体のように相互接続されている。医療アセンブリはさらに、有向力部材の少なくとも一部と患者表皮を覆って液密を提供するドレープを具えてもよい。この有向力部材は角度の付いた末端部を具える。あるいは、有向力部材はアーチ形の末端部を具えてもよい。医療アセンブリはまた、有向力部材の底面に連結されたコンフォート層を具えてもよい。このコンフォート層は有向力部材の底面に連結された通気性のドライ層であってよく、あるいは皮膚の浸軟や多種の皮膚炎症を防止するのに役立つ他の材料であってもよい。
【0079】
別の実施例によると、患者の損傷した皮下組織を治療する方法が、損傷した皮下組織の上に成形医療用クッションを配置するステップを含む。この成形医療用クッションは斜めの末端部を具え、医療用クッション材で形成されている。この方法はさらに、成形医療用クッションと患者表皮の一部の上にオーバドレープを展開して液密を提供するステップと、減圧源を提供するステップとを含む。この方法はさらに、ドレープに減圧接続部および減圧源を連結するステップと、減圧供給導管を減圧源に流体接続するステップとを具える。この方法はさらに、減圧源を作動させて成形医療用クッションに圧縮力と閉鎖力を生じさせるステップを含む。この圧縮力は、皮下組織または他の皮下の解剖学的組織に作用する。
【0080】
本発明およびその利点を特定の非限定的な実施例の説明として開示したが、添付のクレームで規定された本発明の範囲を逸脱することなく様々な変化、置換、交換、変更を施すことができると解されるべきである。いずれかの実施例に関して記載されたいずれの特徴も、他の様々な実施例に適用してもよいことを理解されたい。