(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切欠部は、前記軸線と直交する点が中心となって当該軸線を挟んで所定の角度で対向する前記円筒体の外周位置に、前記軸線に沿って形成される2つの水平面であって、
前記第1空間は、前記2つの水平面と前記ノズル先端の内周面及び前記キャップの内周面との隙間でそれぞれ形成される2本のシーラー供給路であって、
前記2本のシーラー供給路は、同一の空間容量を有することを特徴とする請求項1記載のシーラー塗布用ノズル構造。
前記切欠部は、前記軸線と直交する点が中心となって当該中心から所定の角度で放射状に延びる前記円筒体の外周位置に、前記軸線に沿って形成される3つの水平面であって、
前記第1空間は、前記3つの水平面と前記ノズル先端の内周面及び前記キャップの内周面との隙間でそれぞれ形成され3本のシーラー供給路であって、
前記3本のシーラー供給路は、同一の空間容量を有することを特徴とする請求項1記載のシーラー塗布用ノズル構造。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両用パネルの特定の部位、例えば、パネル板材の板合わせ部の端縁に沿って、防水、防塵、防錆等のためのシーラーを塗布する作業が行われている。
【0003】
そこで、シーラーの塗布作業に関する具体的な公知技術として、シーリング材のロスを少なくして使用料を削減できるシーリング材供給装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。この供給装置によれば、ノズル先端のシーリング材吐出部からシーリング材が吐出される際に円筒状に吐出され、円筒状に吐出されたシーリング材は、その後、被シーリング部に至って偏平状で当該被シーリング部を覆ってシールすることができる。しかしながら、シーリング材吐出部と被シーリング部との間は、一定寸法離間されているため、その供給結果として、シーリング切れやシーリング外れが生じる可能性は十分にあった。
【0004】
また、同様な公知技術として、シーリングのはみ出しや充填不足等を予防できるコーキングガンについても開示されている(例えば、特許文献2を参照)。このコーキングガンによれば、ガン本体に対して(ノズル元の)カートリッジホルダーが回転容易に取り付けられており、カートリッジのノズルの切断が斜めに行われた場合やその切断が直角に行われた場合であっても、建築物の隙間の方向に合わせて、当該コーキングガンをシーラントの充填に適する角度とすることができ、不適切な角度であっても注出しを行える。しかしながら、ノズルが、斜め又は直角の切断のような外径の形状を基準しているため、注出時における角度の変化に十分かつ適切に対応できなかった。
【0005】
さらに、同様な公知技術として、前述までの問題点を解消するにあたっては、シーラ部(シーラ等の塗布部)の塗布位置に、均一な幅・厚さのシーラ部を、確実かつ簡易、又は設計通りに正確に形成し得る効果を奏する、シーラ等高粘度流動剤ガン用のノズル装置が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。このノズル装置500によれば、
図7(A)の説明図に示すように、ノズル本体510の先端部に回転自在又は固着可能に装着されるガイド杵511が、その先端部にシーラ部の噴出口を有するノズル512と別体で当該ノズルより接離可能に構成されており、ノズル本体510を軸に回転されるため、シーラ部の塗布位置の端縁に沿って移動させながら塗布することで、その端縁から一定の距離を保って塗布できるばかりでなく、ガイド杵511を回転させることにより、端縁からの距離を自由に変更することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載されたノズル装置500を適用するにあたり、
図7(B)の説明図に示すように、シーラ部の塗布位置として、重ね合わされたパネル板材600の板合わせ部600aの端縁を仮定すると、その端縁に沿ってガイド杵511が移動するため、板合わせ部600aに向かって正確な端縁位置にシーラ部を塗布することが困難とされ、位置ズレが発生するおそれがあった。
【0008】
また、同様なノズル装置500を適用するにあたっては、
図7(C)の説明図に示すように、例えば、D−D線断面視において、ノズル512の中空部512aに何らの加工がされていないため、前述のような位置ズレに対応して、多量のシーラ部が塗布されるばかりでなく、その後工程として、余分なシーラ部の除去や刷毛慣らしのような煩雑な作業が必要とされていた。
【0009】
本発明は、これまでに開示した従来例の問題点を解消するためになされたもので、ノズルの角度を変えても被塗布材への位置ズレがなく、シーラーの塗布量の調整を行うことによって当該シーラーの低減を図るとともに、その塗布後においてもシーラーの除去や刷毛慣らしのような煩雑な作業を不要とすることにより、塗布作業時における生産性が高められたシーラー塗布用ノズル構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるシーラー塗布用ノズル構造は、ノズルからシーラーを吐出して被塗布材に塗布する当該シーラー塗布用ノズル構造であって、ノズルの軸線と同心状でノズル先端の中空部に配置され当該ノズルと一体で可動するガイドと、ノズル先端と連設されガイドの外周面に沿って配置されるキャップとを備えている。ガイドは、断面視において少なくとも2つの切欠部を有する円筒体と、円筒体の先端部から軸線に沿って延設される円錐体とで形成されている。円筒体は、切欠部により形成された面とノズル先端の内周面及びキャップの内周面との隙間で第1空間を形成し、円錐体は、当該円錐体の外周全面とキャップの内周面との隙間で、第1空間と連通する第2空間を形成するものである。キャップは、ノズル先端側に開口される第1開口部と、第1開口部よりも小径であって円錐体の先端側に開口される第2開口部とを有している。シーラーは、第1空間から第2空間を経由して伝送され、第2開口部から円錐体の先端に向かって軸線を中心に吐出されるものである。
【0011】
この態様のシーラー塗布用ノズル構造によれば、ノズルの軸線と同心状でノズル先端に配置された、当該ノズルと一体で可動するガイドを用いて被塗布材への位置合わせが行われるばかりでなく、ガイドを形成する円筒体及び円錐体のうち、円筒体に形成された少なくとも2つの切欠部とノズル先端の内周面、及びノズル先端と連設され当該ガイドの外周面に沿って配置されたキャップの内周面との間で形成される隙間(第1空間)を経由して、(高粘度の)シーラーが分岐して伝送され、この後、分岐されたシーラーは、円錐体の外周全面とキャップの内周面との隙間で形成される隙間(第2空間)を経由して一本化され、その流量が調整される。また、一本化され流量が調整されたシーラーは、被塗布材への位置合わせが正確になされたノズルと一体で可動する、(ガイドを形成する)円錐体の先端に向かって軸線を中心に吐出されるため、被塗布材の狙い位置を外すことなくはみ出しも抑えられてシーラーを塗布することができ、その塗布量も低減される。
【0012】
また、本発明の第2の態様であるシーラー塗布用ノズル構造は、本発明の第1の態様において、切欠部は、ノズルの軸線と直交する点が中心となって当該軸線を挟んで所定の角度で対向する円筒体の外周位置に、軸線に沿って形成される2つの水平面である。第1空間は、2つの水平面とノズル先端の内周面及びキャップの内周面との隙間でそれぞれ形成される2本のシーラー供給路であって、2本のシーラー供給路は、同一の空間容量を有している。
【0013】
この態様のシーラー塗布用ノズル構造によれば、ノズルの軸線に沿って形成される2つの水平面を、軸線と直交する点が中心となって当該軸線を挟んで所定の角度で対向する円筒体の外周位置に切欠部として備えることができる。これにより、2つの水平面とノズル先端の内周面及びキャップの内周面との隙間(第1空間)が、同一の空間容量を有する2本のシーラー供給路として形成されるため、(高粘度の)シーラーを、同一の流量で分岐させて伝送することができる。
【0014】
また、本発明の第3の態様であるシーラー塗布用ノズル構造は、本発明の第1の態様において、切欠部は、ノズルの軸線と直交する点が中心となって当該中心から所定の角度で放射状に延びる円筒体の外周位置に、軸線に沿って形成される3つの水平面である。第1空間は、3つの水平面とノズル先端の内周面及びキャップの内周面との隙間でそれぞれ形成される3本のシーラー供給路であって、3本のシーラー供給路は、同一の空間容量を有している。
【0015】
この態様のシーラー塗布用ノズル構造によれば、ノズルの軸線に沿って形成される3つの水平面を、軸線と直交する点が中心となって当該中心から所定の角度で放射状に延びる円筒体の外周位置に切欠部として備えることができる。これにより、3つの水平面とノズル先端の内周面及びキャップの内周面との隙間(第1空間)が、同一の空間容量を有する3本のシーラー供給路として形成されるため、(高粘度の)シーラーを、同一の流量で分岐させて伝送することができる。
【0016】
また、本発明の第4の態様であるシーラー塗布用ノズル構造は、本発明の第1の態様において、切欠部は、ノズルの軸線と直交する点が中心となって当該軸線を挟んで所定の角度で対向する円筒体の外周位置に、軸線に沿って形成される2つの
円弧面である。第1空間は、2つの
円弧面とノズル先端の内周面及びキャップの内周面との隙間でそれぞれ形成される2本のシーラー供給路であって、2本のシーラー供給路は、同一の空間容量を有している。
【0017】
この態様のシーラー塗布用ノズル構造によれば、ノズルの軸線に沿って形成される2つの
円弧面を、軸線と直交する点が中心となって当該軸線を挟んで所定の角度で対向する円筒体の外周位置に切欠部として備えることができる。これにより、2つの
円弧面とノズル先端の内周面及びキャップの内周面との隙間(第1空間)が、同一の空間容量を有する2本のシーラー供給路として形成されるため、(高粘度の)シーラーを、同一の流量で分岐させて伝送することができる。
【0018】
また、本発明の第5の態様であるシーラー塗布用ノズル構造は、本発明の第1の態様乃至第4の態様のうち何れかの態様において、円筒体は、切欠部を除く面でノズル先端の内周面及びキャップの内周面とそれぞれ接合する第1接合部を備え、ノズル先端の内周面及びキャップの内周面にはそれぞれ、円筒体の第1接合部と接合される第2接合部を備えている。
【0019】
この態様のシーラー塗布用ノズル構造によれば、ノズルの軸線と同心状でノズル先端にガイドを配置するにあたって、ノズル先端の内周面及びキャップの内周面と円筒体の外周面のうち切欠部を除く面との間で高い密着性を確保して当該ガイドが固定されるため、ガイドの抜け落ち(脱落)を防止できる。
【0020】
また、本発明の第6の態様であるシーラー塗布用ノズル構造は、本発明の第1の態様乃至第5の態様のうち何れかの態様において、円錐体の先端には、被塗布材の形状に沿って摺動する摺動部が形成されており、軸線に沿った円錐体の線路長において、第2開口部の断面位置から摺動部までの長さは、摺動部の外径の大きさに対応している。
【0021】
この態様のシーラー塗布用ノズル構造によれば、円錐体の先端に形成された摺動部の外径は、被塗布材として例えば、重ね合わされたパネル板材(の板合わせ部)の端縁に形成される段差に対応しているばかりでなく、その外径の大きさと、軸線に沿った円錐体の線路長における第2開口部の断面位置から摺動部までの長さとが対応しているため、第2開口部の断面位置から摺動部までの長さに該当する円錐体の部位が、パネル板材に何ら干渉することなく、摺動部による板合わせ部の端縁への位置合わせを、位置ズレなく正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のシーラー塗布用ノズル構造によれば、ノズルの軸線と同心状でノズル先端に配置された、当該ノズルと一体で可動するガイドを用いて被塗布材への位置合わせが正確に行われるばかりでなく、ガイドを形成する円筒体及び円錐体のうち、円筒体に形成された少なくとも2つの切欠部とノズル先端の内周面、及び当該ガイドの外周面に沿って配置されたキャップの内周面との間で形成される隙間(第1空間)を経由して、(高粘度の)シーラーが同一の流量で分岐して伝送される。また、分岐されたシーラーは、円錐体の外周全面とキャップの内周面との隙間(第2空間)で形成されるシーラー供給路を経由して一本化され、その流量が当該円筒体の形状に対応して少なく調整された後、円錐体の先端に向かって軸線を中心に吐出される。
【0023】
これにより、ノズルからシーラーを吐出して被塗布材に塗布するにあたって、ノズルの角度を変えても被塗布材への位置ズレがなく、狙い位置を外すことなくはみ出しを抑えてシーラーを塗布することができ、シーラーの塗布量の低減も図られるとともに、その塗布後においてもシーラーの除去や刷毛慣らしのような煩雑な作業が不要となるため、塗布作業時における生産性が高められる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のシーラー塗布用ノズル構造を適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明のシーラー塗布用ノズル構造(以下、ノズル構造という)が適用される手動作業用のハンドガン1の一例(の外観構成)を示す説明図である。同図に示すハンドガン1には、ガン本体10と、ガン本体10の前方位置に、例えば、スリーブやアダプタ等の接続部材111を経由して着脱自在に連結され当該ガン本体から所定の圧力で送出(圧送)されるシーラーの伝送路を形成する当該ノズルであって、その先端部(以下、ノズル先端という)110及び当該ノズル先端近傍に、本発明のノズル構造2が配置されたノズル11と、ガン本体10の後端部近傍の下面で下方向に突設されたグリップ12と、グリップ12の前方位置でガン本体10に軸支されたトリガー13と、ガン本体10の先端部近傍の下面から下方向に延設されガン本体10内にシーラーを供給するホース14とが備えられている。
【0027】
ここで、前述のシーラーとしては、熱硬化性であってポリ塩化ビニルを主成分とした高粘度の高分子材料、例えば、20℃で約20Pa・s、30℃で約100Pa・s等の特性を有する、アサヒゴム社製のサンダインを例示することができ、同様な特性を有する限り、多種・多様な当該シーラー(シーラー材)の適用も可能とされる。
【0028】
なお、ガン本体10には、前述の構成各部のみならず、通常、ホース14を経由して供給されてくるシーラーを充填し、所定の圧力でノズル11に送り出す充填・圧送機構(図示せず)が備えられている。また、ホース14は、前述のような、ガン本体10の先端部近傍の下面から下方向に延設する態様に限定されず、例えば、グリップ12に中空部(図示せず)を設け、その中空部にホース14を接続させてもよい。さらに、ハンドガン1自体についても、本発明のノズル構造2が、ノズル先端110及び当該ノズル先端近傍に配置されたノズル11を着脱自在に連結できる形状であれば、多種・多様な当該ハンドガンの適用も可能とされる。
【0029】
次に、本発明のノズル構造2の具体例について、
図2、
図3をそれぞれ参照して説明する。ここで、
図2(A)は、ノズル構造2についての要部拡大図であり、同図(B)は、ノズル11の軸線L0に沿った断面図、同図(C)は、ノズル11の軸線L0と直交するA1―A1線断面図及びB1―B1線断面図、同図(D)は、同様な軸線L0と直交するC−C線断面図である。また、
図3(A)は、ノズル構造2についての分解図であり、同図(B)は、ノズル先端110の要部拡大図、同図(C)は、後述するガイド20の拡大斜視図、同図(D)は、後述するキャップ21の要部拡大図である。
【0030】
このノズル構造2によれば、
図2、
図3にそれぞれ示すように、ノズル11の軸線L0と同心状でノズル先端110の中空部110aに配置され当該ノズルと一体で可動するガイド20と、軸線L0に沿ってノズル先端110と連設され、ガイド20の外周面の形状に沿ってその外周面を囲むように配置されるキャップ21と、ノズル先端110の開口部(以下、キャップ開口部という)110bとキャップ21後端の第1開口部(以下、第1キャップ開口部という)21aとが、それぞれの端面位置で同径状に当接して連設されるにあたって、シーラーの液漏れを防止するパッキン22とが備えられている。
【0031】
ガイド20は、少なくとも2つの切欠部であり、その切欠部の形状例(以下、第1の形状例)として、ノズル11の軸線L0と直交する点が中心Pとなって当該軸線を挟んで所定の角度で対向する外周位置、ここでは、(
図2(B)に示す)A1―A1線断面視及びB1―B1線断面視において軸線L0を挟んで180度で正対する上下一対の外周位置に、軸線L0に沿って形成された2つの水平面S1(S1、S1)を有する円筒体(以下、第1の円筒体という)200aと、第1の円筒体200aの先端部から軸線L0に沿って延設された円錐体201とで形成されている。なお、
図3(C)によれば、その図示の構成上、2つの水平面S1(S1、S1)のうち、一方(単一)の当該水平面のみ明示している。
【0032】
第1の円筒体200aにおいて、2つの水平面S1(S1、S1)を除く外周面には、ノズル先端110の内周面及びキャップ21の内周面にそれぞれ形成される接合部(第2接合部)としての例えば、雌ネジ状の螺合部(以下、それぞれ、ノズル螺合部、キャップ螺合部という)110c、21cに嵌め合わされて固定される、接合部(第1接合部)としての例えば、雄ネジ状の螺合部(以下、円筒体螺合部という)210aが形成されている。
【0033】
また、第1の円筒体200aにおいて、2つの水平面S1(S1、S1)とノズル先端110の内周面及びキャップ21の内周面との隙間(第1空間)には、同一の空間容量を有する2本のシーラー供給路(以下、第1、第2のシーラー供給路という)Ln1、Ln2がそれぞれ形成されている。
【0034】
ここで、第1の円筒体200aの外周面において、円筒体螺合部210aの占有面積、すなわち、前述のノズル螺合部110c及びキャップ螺合部21cとの接合面積は、2つの水平面S1(S1、S1)の成形・加工によって切り欠けられた外周範囲と比較して大きいため、高い密着性で嵌め合わされてガイド20が固定され、その抜け落ち(脱落)も防止できるばかりでなく、第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2をそれぞれ伝送されるシーラーが、これらの供給路Ln1、Ln2から外れて例えば、ノズル先端110の中空部110aに流れ込むことを防止できる。
【0035】
なお、第1の円筒体200aによれば、少なくとも2つの切欠部である、2つの水平面S1(S1、S1)の位置について、ノズル11の軸線L0と直交する点が中心Pとなって当該軸線を挟んで180度で正対する上下一対の外周位置を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、その軸線L0を挟んで所定の角度で対向する外周位置であれば、当該円筒体の成形・加工段階において、180度で正対する左右一対の位置等を適用することもできる。
【0036】
次に、円錐体201において、その先端には、シーラーが塗布される、
図4(A)、(B)の説明図にそれぞれ示す被塗布材3の形状に沿って摺動する摺動部201aが、例えば、タングステン等の耐摩耗性材料により形成されている。また、摺動部201aは、その端縁がR状に面取り加工されているため、被塗布材3として、例えば、車両用のフロント・フロアパネル3aやリア・フロアパネル3bとして適用される、重ね合わされたパネル板材をキズつけることなく、同図上に太線で示された、板合わせ部30a、30bの端縁に沿って摺動できる。なお、摺動部201aの外径φは、
図5(A)の説明図に示すように、板合わせ部30a、30bの端縁に形成される段差に対応するように成形・加工されており、ここでは、1mmに成形・加工されているものとする。
【0037】
また、円錐体201において、その外周全面とキャップ21の内周面との隙間(第2空間)は、軸線L0に沿って一定に確保されており、この隙間によれば、第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2(の最上流)から連通するシーラー供給路(以下、第3のシーラー供給路という)Ln3を形成し、その最上流は、(
図2(B)に示す)C―C線断面視において、キャップ21先端の第2開口部(以下、第2キャップ開口部という)21bに該当している。
【0038】
ここで、(
図2(B)に示す)A1―A1線断面視、B1−B1線断面視及びC―C線断面視において、第2キャップ開口部の21bの断面積は、ノズル先端110及び第1キャップ開口部21aの断面積と比較して小さいため、これらの断面形状で示される第1乃至第3のシーラー供給路Ln1、Ln2、Ln3のうち、第3のシーラー供給路Ln3の流量(シーラー流量)は、同一の流量でシーラーを分岐させて伝送する第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2の当該流量と比較して少ないばかりでなく、第3のシーラー供給路Ln3は、その外周面をキャップ21によって囲まれている円錐体201の形状が、軸線L0に沿って細くなるため、当該供給路の最下流から最上流に向かって伝送圧力が高められ、その流量についても最下流から最上流に向かって少なくなる。
【0039】
次に、前述のようなノズル構造2が適用されているノズル11が、ガン本体10に連結されているハンドガン1の使用により、
図4(A)、(B)にそれぞれ示す被塗布材3として重ね合わされたパネル板材3a、3bの板合わせ部30a、30bの端縁に沿ってシーラーを吐出して塗布する、具体的な塗布作業について説明する。
【0040】
このハンドガン1を使用して塗布作業を手動で行う人物(以下、作業者という)は、最初に、ノズル11の軸線L0と同心状でノズル先端110の中空部110aに配置されているガイド20を形成する円錐体201の摺動部201aを、板合わせ部30a、30bの端縁に沿って摺動させるにあたり、その位置合わせを行う。
【0041】
ここで、円錐体201は、
図5(A)に示すように、軸線L0に沿った線路長において第2キャップ開口部21bの断面位置から摺動部201aまでの長さL1が、摺動部201aの外径φ(=1mm)に対応した長さL1=5mmとなるように成形・加工されており、この長さL1は、キャップ21により外周面が囲まれている円錐体201の軸線L0に沿った線路長と比較して短いため、ガイド20の強度が十分に確保されている。また、軸線L0と板合わせ部30a、30bの端縁との間で形成される角度(∠R)が、
図4(C)の説明図に示す例えば、左右30°(−30°〜+30°)の範囲となるようにハンドガン1を傾けた場合であっても、前述の長さL1に該当する円錐体201の部位は、重ね合わされたパネル板材3a、3bに何ら干渉することなく,この状態において摺動部201aは、板合わせ部30a、30bの端縁の狙い位置を外れず、その形状に沿って摺動させ続けることができるため、位置ズレの発生が防止され、このような位置の作業を容易に行うことができる。
【0042】
なお、
図5(B)の説明図に示す形状のように、軸線L0に沿った円錐体201の線路長における第2キャップ開口部21bの断面位置から摺動部201aまでの長さが、前述の長さL1=5mmより長い、例えば、図中に示す長さL2である場合には、その先端が折れ易く破損する等、十分な強度を確保できず成形・加工も煩雑であり、位置ズレも発生し易いとされる。一方、
図5(C)の説明図に示す形状のように、同様な第2キャップ開口部21bの断面位置から摺動部201aまでの長さが、前述の長さL1=5mmより短い、例えば、図中に示す長さL3である場合には、その成形・加工は容易でガイド20の強度は十分に確保でき、さらには位置ズレの発生も防止できるものの、長さL3に該当する円錐体201の部位が、重ね合されたパネル板材3a、3bに干渉するおそれがある。そこで、本発明のノズル構造2によれば、
図5(B)、(C)にそれぞれ示す形状による前述の問題点を解消するにあたって、
図5(A)に示す形状を適用しているものである。
【0043】
次に、前述のように、ノズル11の軸線L0と同心状でノズル先端110に配置された、当該ノズルと一体で可動するガイド20により、このガイド20を形成する円錐体201の摺動部201aが、位置ズレのない正確な位置合わせで、
図5(A)、(B)にそれぞれ示す板合わせ部30a、30bの端縁に沿って摺動し続け得る状態において、作業者が、(
図1に示す)ハンドガン1のトリガー13を後方、すなわち、グリップ12側に向けて引くような、シーラーの送り出し操作を行うと、ガン本体10の充填・圧送機構(図示せず)の作用により、ノズル11へ所定の圧力でシーラーが送り出される。
【0044】
ここで、ノズル構造2として、ノズル先端110の内周面及びキャップ21の内周面には、(ガイド20を形成する)第1の円筒体200aの(少なくとも2つの)切欠部である、2つの水平面S1(S1、S1)との隙間で、同一の空間容量を有する第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2が形成されているため、ガン本体10からノズル11(の中空部)を経由してノズル先端110の中空部110aに到達したシーラーは、第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2にそれぞれ分岐されて流れ込み、同一の流量で下流から上流に向かって伝送される。
【0045】
なお、第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2をそれぞれ経由するシーラー伝送時において、ノズル開口部110bと第1キャップ開口部21aとの間には、それらの端面位置に同径状で当接して連設するようにパッキン22が配置されているため、シーラーの液漏れを防止できる。
【0046】
また、第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2をそれぞれ経由して同一の流量で伝送されたシーラーは、キャップ21の内周面と(ガイド20を形成する)円錐体201の外周全面との隙間で形成される第3のシーラー供給路Ln3を経由して一本化される。
【0047】
また、第3のシーラー供給路Ln3は、前述のように、円錐体201の外周全面とキャップ21の内周面との隙間(第2空間)が、軸線L0に沿って一定に確保されており、
図2(C)、(D)にそれぞれ示すように、第2キャップ開口部の21bの断面積が第1キャップ開口部21aの断面積と比較して小さく、その最下流から最上流、すなわち、第2キャップ開口部21bに向かって伝送圧力が高められるため、一本化されたシーラーは、軸線L0に沿ってその流量が少なく抑えられ、
図4(C)に示すように、第2キャップ開口部21bから円錐体201の先端、すなわち、摺動部201aに向かって軸線L0を中心に吐出され、このシーラーは、前述のように板合わせ部30a、30bの端縁の狙い位置を外れることなく、その端縁に沿ってはみ出さずに塗布される。
【0048】
ここまでの説明から明らかなように、本発明のノズル構造2によれば、ノズル11の軸線L0と同心状でノズル先端110に配置された、当該ノズルと一体で可動するガイド20を用いて、被塗布材3である例えば、重ね合わされたパネル板材3a、3bの板合わせ部30a、30bへの位置合わせが、その端縁に沿って正確に行われることにより、位置ズレの発生を防止できるばかりでなく、シーラー伝送路(第1乃至第3のシーラー供給路)Ln1、Ln2、Ln3を経由して吐出量が少なくなるように調整されたシーラーは、ガイド20を形成する円錐体201の摺動部201aに向かって軸線L0を中心に吐出されるため、板合わせ部30a、30bの端縁の狙い位置を外れることなく、その端縁に沿ってはみ出さずに塗布でき、さらには、塗布後においてもシーラーの除去や刷毛慣らしのような煩雑な作業が不要となるため、塗布作業時における生産性が高められる。
【0049】
次に、本発明の他の実施例によるシーラー塗布用ノズル構造として、前述の第1の形状例の第1の円筒体200aが形成されたガイド20とは異なる、第2、第3の形状例の円筒体(以下、第2、第3の円筒体という)200b、200cが形成されるガイド20について、
図6を参照して説明する。ここで、
図6(A)は、第2の円筒体200bについて、
図2(B)に示すようなノズル11の軸線L0と直交するA2―A2線断面図、B2―B2線断面図及び拡大斜視図である。また、
図6(B)は、第3の円筒体200cについて、同様な軸線L0と直交するA3―A3線断面図、B3―B3線断面図及び拡大斜視図である。
【0050】
図6(A)に示すガイド20は、少なくとも2つの切欠部に係る第2の形状例として、ノズル11の軸線L0と直交する点が中心Pとなって、この中心Pから所定の角度で放射状に延びる外周位置に、軸線L0に沿って形成される3つの水平面、ここでは、(
図2(B)に示す)A2―A2線断面視及びB2−B2線断面視において中心Pから120°で等間隔の外周位置に、軸線L0に沿って形成された3つの水平面S2(S2、S2、S2)を有する第2の円筒体200bと、第2の円筒体200bの先端部から軸線L0に沿って延設された円錐体201とで形成されている。なお、
図6(A)によれば、その図示の構成上、3つの水平面S2(S2、S2、S2)のうち、2つの当該水平面のみ明示している。
【0051】
第2の円筒体200bにおいて、3つの水平面S2(S2、S2、S2)を除く外周面には、ノズル先端110の内周面及びキャップ21の内周面にそれぞれ形成されたノズル螺合部110c、キャップ螺合部21cに嵌め合わされて固定される、接合部(第1接合部)としての円筒体螺合部210bが形成されている。ここで、3つの水平面S2(S2、S2、S2)とノズル先端110の内周面及びキャップ21の内周面との隙間(第1空間)には、同一の空間容量を有する3本のシーラー供給路(以下、第4乃至第6のシーラー供給路という)Ln4、Ln5、Ln6がそれぞれ、同一の空間容量で形成され、前述の第3のシーラー供給路Ln3に連通しており、第1の形状例に係る第1の円筒体200aを適用した場合、すなわち、第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2を適用してシーラーを伝送させた場合と比較して、より多くのシーラーを伝送させることができる。
【0052】
また、第2の円筒体200bの外周面において、円筒体螺合部210bの占有面積、すなわち、前述のノズル螺合部110c及びキャップ螺合部21cとの接合面積は、3つの水平面S2(S2、S2、S2)の成形・加工により切り欠けられた外周範囲と比較して小さく、その密着性は、第1の形状例を適用した場合と比較して低いものの、嵌め合わせによるガイド20の固定状態が解かれることはなく、その抜け落ち(脱落)を防止でき、さらには、第4乃至第6のシーラー供給路Ln4、Ln5、Ln6をそれぞれ伝送されるシーラーが、これらの供給路Ln4、Ln5、Ln6から外れて例えば、ノズル先端110の中空部110aに流れ込むことを防止できる。
【0053】
なお、第2の円筒体200bによれば、少なくとも2つの切欠部である、3つの水平面S2(S2、S2)の位置について、ノズル11の軸線L0と直交する点が中心Pとなって、その中心Pから120°で等間隔の外周位置を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、中心Pから所定の角度で放射状に延びる外周位置であれば、当該円筒体の成形・加工段階において、これら以外の角度位置を適用することもできる。
【0054】
一方、
図6(B)に示すガイド20は、少なくとも2つの切欠部に係る第3の形状例として、ノズル11の軸線L0と直交する点が中心Pとなって当該軸線を挟んで所定の角度で対向する外周位置、ここでは、(
図2(B)に示す)A3―A3線断面視及びB3―B3線断面視において軸線L0を挟んで180度で正対する上下一対の外周位置に、軸線L0に沿って形成された2つの
円弧面S3(S3、S3)を有する第3の円筒体200cと、第3の円筒体200cの先端部から軸線L0に沿って延設された円錐体201とで形成されている。なお、
図6(B)によれば、その図示の構成上、2つの
円弧面S3(S3、S3)のうち、一方(単一)の当該
円弧面のみ明示している。
【0055】
第3の円筒体200cにおいて、2つの
円弧面S3(S3、S3)を除く外周面には、ノズル先端110の内周面及びキャップ21の内周面にそれぞれ形成されたノズル螺合部110c、キャップ螺合部21cに嵌め合わされて固定される、接合部(第1接合部)としての円筒体螺合部210cが形成されている。ここで、2つの
円弧面S3(S3、S3)とノズル先端110の内周面及びキャップ21の内周面との隙間(第1空間)には、同一の空間容量を有する2本のシーラー供給路(以下、第7、第8のシーラー供給路という)Ln7、Ln8がそれぞれ、同一の空間容量で形成され、前述の第3のシーラー供給路Ln3に連通しており、第1の形状例に係る第1の円筒体200aを適用した場合、すなわち、第1、第2のシーラー供給路Ln1、Ln2を適用してシーラーを伝送させた場合と比較して、より多くのシーラーを伝送させることができる。
【0056】
また、第3の円筒体200cの外周面において、円筒体螺合部210cの占有面積、すなわち、前述のノズル螺合部110c及びキャップ螺合部21cとの接合面積は、2つの
円弧面S3(S3、S3)の成形・加工により切り欠けられた外周範囲と比較して同程度で、その密着性は、第1の形状例を適用した場合と同様に高く、嵌め合わせによるガイド20の固定状態が解かれることはないため、その抜け落ち(脱落)を防止でき、さらには、第7、第8のシーラー供給路Ln7、Ln8をそれぞれ伝送されるシーラーが、これらの供給路Ln7、Ln8から外れて例えば、ノズル先端110の中空部110aに流れ込むことを防止できる。
【0057】
なお、第3の円筒体200cによれば、少なくとも2つの切欠部である、2つの
円弧面S3(S3、S3)の位置について、軸線L0を挟んで180度で正対する上下一対の外周位置を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、その軸線L0を挟んで所定の角度で対向する外周位置であれば、当該円筒体の成形・加工段階において、180度で正対する左右一対の位置等を適用することもできる。
【0058】
本発明の実施例においては、前述のように図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる形態であっても採用できることはいうまでもないことである。
【0059】
具体的に、本発明のノズル構造2によれば、ノズル先端110を有するノズル11と、キャップ21とを別体で設けたが、この態様に限定されるものではない。例えば、ノズル11とキャップ21とを一体化させて成形・加工することもできる。この態様によれば、シーラーの液漏れ防止用のパッキン22が不要となり、製造コストを低減できる。
【0060】
また、本発明のノズル構造2によれば、ガイド20を形成する円錐体201において、その先端の摺動部201aの外径φを1mmに成形・加工し、この摺動部201aが形状に沿って摺動する当該板合わせ部として、
図4(A)、(B)にそれぞれ示すような車両用のフロント・フロアパネル3aやリア・フロアパネル3bの板合わせ部30a、30bを適用、いわゆる、フロア板材への塗布工程に対応させたが、この工程に限定されるものではない。例えば、摺動部201aの外径φがより大きくなるように、その数値(mm)を変更して成形・加工することで、エンジンルーム、左右ドア、ルーフ等のような車両用パネルの各種板材に対し所定の順序で塗布作業を行うライン工程(全塗布工程)において、板合わせ部の端縁に対応させてシーラーの塗布を行うこともできる。
【0061】
さらに、本発明のノズル構造2によれば、そのノズル構造2がノズル先端110及び当該ノズル先端近傍に備えられたノズル11を、手動作業用のハンドガン1に着脱自在で連結させた場合について説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、コンピュータ等で自動制御されるロボットに連結させることもできる。