特許第6353390号(P6353390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353390
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20180625BHJP
   E04H 6/06 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   E04H6/42 Z
   E04H6/06 V
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-69606(P2015-69606)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-188527(P2016-188527A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500521267
【氏名又は名称】株式会社ニッパツパーキングシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】北井 潤
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−180247(JP,A)
【文献】 特開2015−151673(JP,A)
【文献】 実開平07−029218(JP,U)
【文献】 特開2002−167995(JP,A)
【文献】 特開2007−170004(JP,A)
【文献】 米国特許第05018926(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00−6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に並んだ複数の車両格納部と、
前記複数の車両格納部の数より1つ多い数のゲートと、
前記ゲートの開閉を制御する制御部と、を備え、
前記ゲートのうち、両端のゲートは、それぞれ、前記複数の車両格納部の一部に対応するように配置され、
前記ゲートのうち、前記両端のゲート以外のゲートは、それぞれ、前記複数の車両格納部のうち、2つの車両格納部をまたぐように配置され、
前記制御部は、前記ゲートのうち、車両を出し入れする車両格納部に対応する2つの隣接するゲートを開放することを特徴とする駐車装置。
【請求項2】
前記開放される2つの隣接するゲートは、下方向に開放されることを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【請求項3】
前記開放される2つの隣接するゲートは、上方向に開放されることを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【請求項4】
前記ゲートは、それぞれ、1本のガイド支柱に沿って、開放されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の駐車装置。
【請求項5】
前記ゲートのうち、前記両端のゲート以外のゲートは、同一の形状であることを特徴とする請求項1に記載の駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車などの車両を駐車するための駐車装置に関する。本発明は、特に、横方向に複数並んだ駐車装置における、ゲート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パレット上に車両を載置して立体的に積み重ねて駐車させる、二段方式あるいは多段方式などの車両格納方式が知られており、車両を立体的に駐車可能な装置が横方向に複数個並んで配置された駐車装置がある。このような駐車装置は、安全上の観点から、車両を出し入れする側に前面ゲートが備えられているものがある。前面ゲートには、複数スパン分の幅を持った大型のゲートが設けられているものがあり、利用者がパレットを呼び出して所望の車両の入出庫が可能な状態になると、ゲートが開放するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、パレットごとに独立したゲートが設けられ、利用するパレットに対応するゲートのみが開放するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−167995号公報
【特許文献2】特開2007−170004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13A及び図13Bは、従来技術における、複数スパン分の幅を持った大型ゲートが配置された駐車装置の動作状況を示した図であり、図13Aはゲート閉鎖状態を、図13Bはゲート開放状態をそれぞれ示している。
【0005】
図13Aを参照すると、従来技術における駐車装置800はパレット821、822及び823が横方向に並んで設置されており、各パレット上に車両V1、V2及びV3が搭載されている。車両V1〜V3の前部にはゲート811が設置され、ゲート811はパレット821、822及び823にわたって一体化された構造を有している。また、パレット821、822及び823の下側の地下部分には、パレット831、832及び833と、これら下側のパレット上にそれぞれ車両V4、V5及びV6が搭載され格納されており、立体駐車が可能となっている。
【0006】
図13Bは、パレット822の下段に格納されたパレット832を呼び出したときの、駐車装置800の状態を示している。車両V5が載置されたパレット832が呼び出されると、ゲート811が下側の地下格納部にスライドして押し下げられ、開放状態となる。このとき、呼び出したパレット832に搭載された車両V5の両側に駐車装置800の内部に侵入可能な通路a802及びa803が生じるだけでなく、車両V1と駐車装置左側側部との間の通路a801及び車両V3と駐車装置右側側部との間の通路a804が生じる。したがって、利用しようとするパレット以外の部分からの第三者の侵入リスクが高まり、駐車装置内部に第三者が侵入した状態を利用者が知らずに駐車装置を作動させ、予期せぬ事故が発生する恐れがあるという問題がある。
【0007】
また、仮に図13Aの状態から駐車装置800の右側の地下部に格納されているパレット833を呼び出した場合、ゲート811が開放されると、通路a801は呼び出したパレット833から車両V2及び車両V1の2台を挟んだ位置に形成される。このように形成された通路a801は、呼び出したパレット833からの距離が比較的遠く、障害物も増えるので、第三者の監視はより困難となり、第三者の侵入リスクが増えるという問題がある。
【0008】
図14A及び図14Bは、別の従来技術における、スパンごとに独立したゲートが配置された独立ゲート方式の駐車装置の動作状況を示した図であり、図14Aはゲート閉鎖状態を、図14Bはゲート開放状態をそれぞれ示している。
【0009】
図14Aを参照すると、従来技術における駐車装置900は、パレット921、922及び923が横方向に並んで設置されている。そして、パレット921、922及び923上には、それぞれ車両V1、V2及びV3が搭載され格納されている。また、ここでは、各パレットに対応して、ゲート911、912及び913がそれぞれ設置されている。通常、隣接する各ゲートの間隔は、安全のためその間隔をなるべく小さくするよう設計される。パレット921、922及び923の下側の地下部分には、パレット931、932及び933と、これら下側のパレット上にそれぞれ車両V4、V5及びV6が搭載され格納されている。ここで、線Hは、地上と地下との境界を示す線である。
【0010】
図14Bは、パレット922の下段に格納されたパレット932を呼び出したときの、従来技術における駐車装置900の状態を示した図である。車両V5が載置されたパレット932が呼び出されると、ゲート912のみが下側にスライドして地下に格納されることによって、開放状態となっている。このとき、呼び出したパレット932に対応するゲート912のみが開放される。そのため、第三者が駐車装置900の内部に侵入するリスクは大きくない。しかし、車両V5とゲート911との間に形成される通路a902、及び、車両V5とゲート913との間に形成される通路a903は、それぞれ通路の幅が比較的狭いので、利用者が入庫した車両に乗り込む際や、入庫した車両から駐車装置の外に退出する際の利便性が悪いという問題がある。また、ゲート912のみが開放されるので、開口部分が狭いことから、車両の入出庫をしにくくなるという問題もある。
【0011】
そこで、本発明は、上記のような従来技術に伴う課題を解決しようとするものであって、その目的とするところは、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によると、左右に並んだ複数の車両格納部と、前記複数の車両格納部の数より1つ多い数のゲートと、前記ゲートの開閉を制御する制御部と、を備え、前記ゲートのうち、両端のゲートは、それぞれ、前記複数の車両格納部の一部に対応するように配置され、前記ゲートのうち、前記両端のゲート以外のゲートは、それぞれ、前記複数の車両格納部のうち、2つの車両格納部をまたぐように配置され、前記制御部は、前記ゲートのうち、車両を出し入れする車両格納部に対応する2つの隣接するゲートを開放することを特徴とする駐車装置が提供される。
【0013】
別の好ましい態様において、前記開放される2つの隣接するゲートは、下方向に開放されることを特徴とする駐車装置であってもよい。
【0014】
別の好ましい態様において、前記開放される2つの隣接するゲートは、上方向に開放されることを特徴とする駐車装置であってもよい。
【0015】
別の好ましい態様において、前記ゲートは、それぞれ、1本のガイド支柱に沿って、開放されることを特徴とする駐車装置であってもよい。
【0016】
別の好ましい態様において、前記ゲートのうち、前記両端のゲート以外のゲートは、同一の形状であることを特徴とする駐車装置であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態に係る駐車装置によれば、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る駐車装置のシステムの概略構成を示すブロック図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る駐車装置の概略構成図である。
図11A】メインゲート・サブゲート構成を採る駐車装置の概略構成図である。
図11B】メインゲート・サブゲート構成を採る駐車装置の概略構成図である。
図12A】メインゲート・サブゲート構成を採る駐車装置のメインゲート・サブゲートの概略図である。
図12B】メインゲート・サブゲート構成を採る駐車装置のメインゲート・サブゲートの概略図である。
図13A】従来技術に係る駐車装置の概略構成図である。
図13B】従来技術に係る駐車装置の概略構成図である。
図14A】従来技術に係る駐車装置の概略構成図である。
図14B】従来技術に係る駐車装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0020】
<発明に至る経緯>
出願人らは、上記のような従来技術に伴う課題を解決するために、以下のとおりの発明を考え出した(特願2014−023325)。すなわち、図11A及び図11Bに示すように、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保するために、スパンごとに独立したメインゲートを備え、さらに、各メインゲートの間にサブゲートを備え、メインゲートの開放に連動して隣接するサブゲートを開放する駐車装置700である。
【0021】
図11Aは、スパンごとに独立したメインゲートを備え、さらに、各メインゲートの間にサブゲートを備え、メインゲートの開放に連動して隣接するサブゲートを開放する駐車装置のゲートの閉鎖状態を示すものである。図11Aを参照すると、この駐車装置700は、図14Aと同様に、車両V1乃至V3が、それぞれ、パレット721乃至723に配置され、車両V4乃至V6が、それぞれ、パレット731乃至733に配置されている。他方、駐車装置700は、図14Aとは異なり、メインゲート711とメインゲート712との間に、サブゲート714が配置され、メインゲート712とメインゲート713との間に、サブゲート715が配置されている。
【0022】
図11Bは、駐車装置700において、パレット722の下段に格納されたパレット732を呼び出したときの状態を示した図である。図11Bを参照すると、呼び出したパレット732に搭載された車両V5と、閉鎖状態のメインゲート711との間に、通路a702が形成されていることがわかる。また、車両V5と閉鎖状態のメインゲート713との間に、通路a703が形成されていることがわかる。ここで、利用者が駐車装置外部の操作盤を操作してパレットの昇降及びゲートの開放操作を行っている間は、第三者の侵入を監視することが比較的容易であるので、利用者が駐車装置の内部に入っているときに、侵入可能な通路に第三者が侵入しないかの監視のしやすさが特に問題となる。そうすると、駐車装置700では、図11Bの通路a702及びa703の通路を監視する必要があることになる。他方、図13Bにおける通路a801及びa804は、呼び出したパレット832から車両V1又はV3を挟んだ位置にあり、監視のうえで障害物となる車両が1台存在しており、距離も車両1台分離れているので、第三者が駐車装置に侵入することを監視したり、第三者が駐車装置内部にいないことを確認したりすることが、困難である。したがって、スパンごとに独立したメインゲートを備え、さらに、各メインゲートの間にサブゲートを備え、メインゲートの開放に連動して隣接するサブゲートを開放する駐車装置は、図13Bに示した従来技術に係る大型ゲート方式の駐車装置の場合と比して、監視が容易になる。
【0023】
また、図14Bに示した従来技術に係る独立ゲート方式の駐車装置と比較すると、図11Bにおいて車両V5の左側に形成される通路a702は、車両V5からパレット721のパレット732側の端部までの幅を有するが、図14Bでは車両V5からパレット921とパレット932との中間付近までの幅しか形成されない。したがって、通路a702のほうが、従来技術に係る独立ゲート方式の駐車装置において形成される通路a902よりも幅が広いので、利用者が駐車装置に入出庫する際の利便性が高い。また、車両の入出庫においても、入出庫の際の間口が広く確保できるので、従来技術に係る独立ゲート方式の駐車装置と比して車両の取り回しが容易となる。
【0024】
しかしながら、スパンごとに独立したメインゲートを備え、さらに、各メインゲートの間にサブゲートを備え、メインゲートの開放に連動して隣接するサブゲートを開放する駐車装置では、サブゲートにモーターなどの動力制御要素を設けない場合には、モーターなどの動力制御要素を設けるのは、メインゲートのみである。しかし、この場合には、メインゲートの開放にサブゲートの開放を連動させるためには、図12A及び図12Bのように、アーム751、752、アーム受け部762、ウェイト(重し)790といった部品が増えるというデメリットが生じる。図12Aは、メインゲート及びサブゲートを備える駐車装置で、メインゲートの開放に連動してサブゲートを開放する駐車装置の閉鎖状態を示す図で、図12Bは、この駐車装置の開放状態を示す図である。図12A及び図12Bを参照すると、ウェイト790が必要不可欠である。したがって、サブゲートにモーターなどの動力制御装置を設けない場合でも、ウェイト790が必要となり、後述の本実施形態よりもウェイト790が増えてしまう。
【0025】
そこで、発明者は、上記のデメリットが生じることなく、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保するという目的を達成するために、本発明を考えるに至った。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る駐車装置100の概略構成図である。駐車装置100は、横方向に3台の車両を駐車することができ、車両を搭載し格納するためのパレットが横方向に3個並んで配置されている。そして、パレットの数よりも1個多い数のゲートが合計4個並んで配置される。4個のゲートのうち、両端のゲート2個は、それぞれ、両端のパレットの一部に対応するように配置され、残りのゲート2個は、それぞれ、2個のパレットをまたぐように配置される。図1の駐車装置100では、横方向に3台の車両を駐車することを前提としたが、仮に、横方向にn台の車両を駐車する場合には、パレットの数もn個となり、ゲートの数は、(n+1)個となる。
【0027】
図1を参照すると、パレット121、122及び123が、地上と地下との境界を示す線H上に配置されており、各パレットに車両V1、V2及びV3が搭載されている。また、駐車装置100は地下ピットを有しており、パレット121、122及び123の下側にはパレット131、132及び133が配置されている。パレット131、132及び133にはそれぞれ車両V4、V5及びV6が搭載され格納されている。このように、駐車装置100は縦方向に昇降可能なパレットを2段有する装置が横に3台並んだ構成となっている。
【0028】
各車両は車両の前部を図面の手前方向に駐車しており、図面の手前方向が駐車装置100の前部であり、駐車装置の前部から車両を駐車装置100に入出庫させる。パレット121の前面には、ゲート113及びゲート111の一部が配置されている。また、パレット122の前面には、ゲート111の一部及びゲート112の一部が配置されている。そして、パレット123の前面には、ゲート112の一部及びパレット114が配置されている。ここで、破線C1、C2及びC3は、それぞれ、パレット121、122及び123の中心を通る線である。本実施形態では、各ゲートの間に、それぞれ、C1、C2及びC3が通るように、各ゲートの大きさが決まっている。すなわち、ゲート111とゲート112は同一の形状となっている。また、各ゲートは独立した動力制御要素(モータ、伝動要素、センサ等)によって独立して作動させることが可能である。ガイドG1乃至G4は、支柱であり、ゲート113、111、112及び114の昇降を案内するガイドの役割を果たす。図1では、各ゲートの下側の一部が地下部分にあり、他は地上に露出した状態となっており、この状態がゲートを閉鎖した状態となる。
【0029】
駐車装置100は利用者が駐車装置を操作するための操作盤を備えており、操作盤は駐車装置100の外部に設置されている。さらに、駐車装置100の各パレットや各ゲートの駆動を制御するための制御盤を備えている。
【0030】
図2は、本発明の第1実施形態に係る駐車装置100の概略構成図であり、パレット132を呼び出し、ゲート111及び112が地下部分にスライドして開放状態となったときの状態を示している。図2を参照すると、呼び出したパレット132に搭載された車両V5と、閉鎖状態のゲート113との間に、通路A102が形成されていることがわかる。また、車両V5と閉鎖状態のゲート114との間に、通路A103が形成されていることがわかる。
【0031】
ここで、図13Bに示した従来技術に係る大型ゲート方式の駐車装置を参照すると、図13Bでパレット832を呼び出した場合に駐車装置800に侵入可能となる通路は、通路a801、a802、a803及びa804の4箇所となる。そうすると、図13Bにおける通路a801及びa804は、呼び出したパレット832から車両V1又はV3を挟んだ位置にあり、監視のうえで障害物となる車両が1台存在しており、距離も車両1台分離れているので、第三者が駐車装置に侵入することを監視したり、第三者が駐車装置内部にいないことを確認したりすることが、困難である。
【0032】
一方、図2を参照すると、第1実施形態に係る駐車装置100では、図13Bの通路a801及びa804に相当する通路が形成されない。したがって、図13Bに示した従来技術に係る大型ゲート方式の駐車装置の場合と比して、監視が容易になる。
【0033】
また、図14Bに示した従来技術に係る独立ゲート方式の駐車装置900と比較すると、図2において車両V5の左側に形成される通路A102は、車両V5からパレット121のパレット132側の端部までの幅を有するが、図14Bでは車両V5からパレット921とパレット932との中間付近までの幅しか形成されない。したがって、第1実施形態において形成される通路A102のほうが、従来技術に係る独立ゲート方式の駐車装置において形成される通路a902よりも幅が広いので、利用者が駐車装置に入出庫する際の利便性が高い。また、車両の入出庫においても、入出庫の際の間口が広く確保できるので、従来技術に係る独立ゲート方式の駐車装置と比して車両の取り回しが容易となる。
【0034】
以上のように、第1実施形態に係る駐車装置100は、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保することができるという効果がある。
【0035】
また、本実施形態では、ゲート111乃至114に対応するガイドは、それぞれ、ガイドG2、G3、G1及びG4と1本ずつであり、支柱を利用している。そのため、別途にガイド機能を有する支柱を設ける必要はない。また、例えば、ガイドG3に対応するゲートは、ゲート112である。ゲートの開放については、後述のように、ゲート111及びゲート112を連動させて同時に開放されてもよいが、1個ずつ別々に開放されてもよい。そこで、例えば、利用者がV2に忘れ物をして、取りに戻るといった場合には、ゲート111及びゲート112の両方を開放する必要はなく、ゲート112だけを開放してもよい。ゲート112だけを開放する場合には、ゲート111及びゲート112を開放する場合と比べて、ゲートの開放に伴う消費電力を削減することができる。
【0036】
図3は、本発明の第1実施形態に係る駐車装置100の概略構成図であり、ゲート111及び112を上にスライドさせて、開放状態とした図である。このように、ゲート111及び112を上にスライドさせて、開放状態としても、形成される通路A102及びA103は、図2の場合と同じである。したがって、この場合でも、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保することができるという効果がある。
【0037】
[制御構成]
図4は、本発明の第1実施形態に係る駐車装置100のシステム概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、第1実施形態に係る駐車装置100を制御するシステムは、操作部11、制御部12、パレット移動機構13、ゲート開閉機構14を備え、それぞれがネットワーク15を介して相互に通信可能に接続された構成を備える。なお、ネットワーク15は有線回線又は無線回線であってもよく、制御部12が操作部11、パレット移動機構13及びゲート開閉機構14とネットワーク15を介して相互に通信可能に接続されていればよく、操作部11、パレット移動機構13及びゲート開閉機構14は必ずしも互いに通信可能に接続されていなくてもよい。
【0038】
パレット移動機構13は、図1に示すパレット121〜123及びパレット131〜133と、各パレットを移動させる複数の駆動部品に対応する。ゲート開閉機構14は、図1に示すゲート111〜114について、各ゲートを開閉させる複数の駆動部品に対応する。操作部11及び制御部12は、それぞれ駐車装置100に備えられている操作盤及び制御盤に対応する。利用者が操作盤を操作して呼び出すパレットを選択すると、操作部11から出力される信号が制御部12に送信される。制御部12は、パレット移動機構13にパレットを昇降する信号を送信し、さらにゲート開閉機構14にゲートを開放する信号を送信する。具体的には、利用者がパレット132を呼び出して、V5を出庫する場合には、パレット132が上昇し、パレット132に対応するゲート111及びゲート112が開放される。本実施形態では、ゲート111及びゲート112が連動して同時に開放されるが、両者が開放されるのに時間的な差があってもよい。ここで、「対応するゲート」とは、パレットの前面に配置されているゲートのことをいい、ゲートの一部でも、パレットの前面に配置されていれば、「対応するゲート」に該当する。図1を参照すると、ゲート111は、パレット121とパレット122をまたぐように配置されている。そのため、ゲート111は、パレット121にもパレット122にも対応するゲートということになる。また、パレット131またはパレット132が呼び出された場合には、ゲート111は、パレット131またはパレット132にも対応するゲートということになる。
【0039】
このような制御構成は、従来の独立ゲート方式における基本的な制御方法と同じである。従来の独立ゲート方式の場合には、パレットとゲートが1対1対応しているのに対し、本実施形態では、パレット1に対してゲートが2個である。しかし、各パレットに対応するゲートはあらかじめ決まっていることから、プログラムをそのようにすればよい。
【0040】
<第2実施形態>
本実施形態では、図5乃至7に示すように、第1実施形態と異なり、ゲートの形状が異なる。すなわち、第1実施形態では、ゲート間の隙間に、各パレットの中心を通る線C1乃至C3が入るように、各ゲートが配置されているのに対し、本実施形態では、各パレットの中心を通る線C1乃至C3の前面には、各ゲートが配置されている。具体的には、C1の前面には、ゲート213が配置され、C2の前面にはゲート211が配置され、C3の前面にはゲート214が配置されている。したがって、本実施形態では、ゲート211の方が、ゲート212よりも大きい。もっとも、ゲート211とゲート212が、2個のパレットをまたぐように配置されている点は、第1実施形態と同じである。ゲートが地下に格納されることによりゲートが開放状態になることを示す図6、ゲートが上昇することによりゲートが開放状態になることを示す図7では、いずれも、通路A202及びA203の通路は、車両V5からパレット221のパレット232側の端部までの幅を有する。したがって、本実施形態でも、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保することができる。
【0041】
<第3実施形態>
本実施形態では、図8乃至10に示すように、第1実施形態及び第2実施形態と異なり、ゲートの形状が同一である。すなわち、ゲート311、312、313及び314は、いずれも同一の形状である。本実施形態でも、利用しようとするスパンから離れた部分からの第三者の侵入リスクを抑えたまま、入出庫時の通路として十分な幅を確保することができる点は、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。本実施形態では、両端のゲートとそれ以外のゲートも同一形状であるため、ゲートの調達を行いやすいという効果を奏する。
【符号の説明】
【0042】
11:操作部 12:制御部 13:パレット移動機構 14:ゲート開閉機構
15:ネットワーク
100、200、300、700、800、900:駐車装置
111、112、113、114、211、212、213、214、311、312、313、314、811、911、912、913:ゲート
121、122、123、131、132、133、221、222、223、231、232、233、321、322、323、331、332、333、721、722、723、731、732、733、821、822、823、831、832、833、921、922、923、931、932、933:パレット
711、712、713:メインゲート
714、715:サブゲート V1、V2、V3、V4、V5、V6:車両
G1、G2、G3、G4:ガイド
A102、A103、A202、A203、a702、a703、a801、a802、a803、a804、a902、a903:通路
751、752:アーム 762:アーム受け部
790:ウェイト 791:チェーン 792:スプロケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B