【実施例1】
【0020】
本実施例の木材横転装置1は、
図1,
図2に示す様に、ローラ式コンベア10とキャタピラ式コンベア20が設置されたプレカット加工設備の木材排出位置に設置される。なお、以下の説明において前後を区別するときは、
図2における下側を「前」、上側を「後」と称する。
【0021】
ローラ式コンベア10は複数台のローラユニット11〜16を直列に並べたものとなっている。これら複数のローラユニット11〜16は、木材を縦送りできる様に中心を一致させると共に、ユニット同士の間に所定のスペースを開けて一列に設置されている。各ローラユニット11〜16は、いずれもフリーローラとなっており、縦送り装置(図示略)によって搬送されて来る木材をローラ面で下から支持して縦方向に移動させることが可能となっている。
【0022】
キャタピラ式コンベア20は複数台のキャタピラユニット21〜25を並列に並べたものとなっている。これら複数のキャタピラユニット21〜25は、ローラユニット11〜16の間に先端を挿入する様にして木材を横送りできる様に設置されている。また、各キャタピラユニット21〜25は、先端側を連結ロッド26で連結されている。この連結ロッド26は、左右に間隔をあけて設置された2本の油圧シリンダCYL21,CYL22によって昇降する機構を構成している。油圧シリンダCYL21,CYL22は、通常時は連結ロッド26を下降させた状態とし、木材横転装置1による横転が完了した後に連結ロッド26を上昇させて各キャタピラユニット21〜25の先端部で木材を持ち上げてローラ式コンベア10から受け取る動作を実行する。さらに、各キャタピラユニット21〜25の元側に備えられているスプロケット27は駆動軸28を共通とし、横送りモータMT20によって駆動される構成となっている。
【0023】
木材横転装置1は、複数の横転ユニット31〜35を並列に並べたものとなっている。これら複数の横転ユニット31〜35は、各キャタピラユニット21〜25の左右いずれかの側においてキャタピラユニット21〜25に沿わせる様に設置されている。
【0024】
木材横転装置1は、
図2〜
図5に示す様に、キャタピラユニット21〜25と平行に延びる前後ベースフレーム41と、前後ベースフレーム41の前端部から立設された門型コラム42と、門型コラム42の後端面中程に固定されて左右方向に延びる前端フレーム43と、門型コラム42よりも前方側において前後ベース41と直交する様に左右方向に延びる様に設置された左右ベースフレーム44とからなるフレーム体40を備えている。そして、各横転ユニット31〜35は、前端フレーム43の上面に固定された回動用ブラケット51に対して後端部を回動可能に取り付けられると共に、門型コラム42を挟んで左右方向に刺し通す様に渡された角形フレーム36によって一体化されている。
【0025】
また、両端の横転ユニット31,35の内側に位置する門型コラム42の後側上部には昇降用前側ブラケット52が取り付けられると共に、この昇降用前側ブラケット52の後方に対応する位置の角形フレーム36の上面にも昇降用後側ブラケット53が取り付けられている。そして、これら昇降用の前後のブラケット52,53間は、両端ピン接合となる様に上部リンクバー54で連結されている。また、左右ベースフレーム44の上面には、昇降用後側ブラケット53に対応する様に下側揺動部材56が取り付けられている。昇降用後側ブラケット53は、この下側揺動部材56に対しても下部リンクバー57で連結されている。
【0026】
下側揺動部材56の上端には、横転ユニット昇降用の油圧シリンダCYL31,CYL32のピストンロッドが連結されると共に、ピストンロッドと平行になる様に設置されたラックバー58も連結されている。このラックバー58は、左右方向に延びるピニオン軸59に取り付けられたピニオンギヤ59aに噛み合わされている。ラックバー58は、ピストンロッドの動作に対して下側揺動部材
56の揺動動作を安定させる役割を果たしている。
【0027】
各横転ユニット31〜35は、角形フレーム36が刺し通される様に取り付けられた本体60と、この本体60の後端側(先端側)に取り付けられたL字形受け台70とを備えている。
【0028】
本体60は、左右2枚の側板61を所定間隔を開けて連結した剛性枠62を構成している。この剛性枠62は、その前端(元側)を回動用ブラケット51に対してH字形揺動部材63を介して連結されている。そして、各横転ユニット31〜35は、油圧シリンダCYL31,CYL32のピストンロッドが後退しているときは、
図5(A)に示す様に、H字形揺動部材63の下端が元側に移動し、剛性枠62は全体として元側に揺動して先端を下げた状態となり、油圧シリンダCYL31,CYL32のピストンロッドが前進しているときは、
図5(C)に示す様に、H字形揺動部材63の下端が先端側に移動し、剛性枠62は、全体として先端側に揺動してほぼ水平となる様に構成されている。
【0029】
このとき、
図5(C)に矢印で示した様に、剛性枠62は、図において時計周りに回動しながら先端方向へと揺動する。この
図5(C)の状態から油圧シリンダCYL31,CYL32をピストンロッド後退状態とするときは、
図5(A)に点線矢印で示した様に、剛性枠62は、反時計周りに回動しつつ全体として元側へと揺動する。剛性枠62が単純な回動ではなく、前後方向への揺動を伴う回動を行うのは、中程と元側端とを吊り下げた状態としていることによる。
【0030】
また、各横転ユニット31〜35は、ピストンロッド後退状態においては、
図5(A)に示す様に、L字形受け台70がローラ面よりも下方に沈んだ状態となり、ピストンロッド前進状態にあるときは、
図5(C)に示す様に、L字形受け台70がローラ面よりも上方に飛び出した状態となる様にも構成されている。
【0031】
L字形受け台70は、加工対象となり得る最大寸法の横架材の材幅に対してほぼ同程度の寸法を有する水平側プレート71と、最大寸法の横架材の材成の1/2よりも大きい寸法を有する垂直側プレート72とを、2枚のL字形プレート73の谷側の面に対して垂直側プレート72の下端から前方(元側)に向かって水平側プレート71が延びる様に固定した構成とされている。なお、本実施例においては、垂直側プレート72の高さを、最大寸法の横架材の材成の2/3の高さとしている。
【0032】
また、L字形プレート73に対し、L字の屈曲部から後方斜め下側に向かって延びる様に第1リンク部材74の上端側を回動可能に連結すると共に、第1リンク部材74の下端側に対し、剛性枠62の先端部に一端を揺動可能に連結された第2リンク部材75の他端を連結している。さらに、L字形プレート73に対し、垂直部から後方(先端側)の斜め下側に向かって延びる様に第3リンク部材76の上端側を連結し、水平部から前方(元側)の斜め下側に向かって延びる様に第4リンク部材77の上端側を連結すると共に、剛性枠62に対して第3リンク部材76及び第4リンク部材74の下端側を連結している。
【0033】
また、剛性枠62の中程には、各横転ユニット31〜35に対して共通の駆動軸81が挿入されている。この駆動軸81は横転モータMT30によって駆動され、各横転ユニット31〜35のそれぞれの側板61間の中心に位置する様に取り付けられている駆動ギヤ82を回転させる。各横転ユニット31〜35には、この駆動ギヤ82の回転をチェーン83を介して伝達される従動ギヤ84が備えられている。この従動ギヤ84は、駆動ギヤ82よりも大径とされると共に、回転中心から延びるクランクアーム85が取り付けられている。そして、このクランクアーム85には、コネクションロッド86の一端が連結されている。
【0034】
このコネクションロッド86の他端は、第1リンク部材74の中央よりも上方寄りの位置に対して連結されている。本実施例では、第1リンク部材74の上端連結位置と下端連結位置の間の長さを4:6に分ける位置をコネクションロッド86との連結部としている。
【0035】
ここで、第3,第4リンク部材76,77は、鋼板を屈曲させる様にして枠体状に形成されている。特に、第4リンク部材77には、コネクションロッド86を挿通させるための窓77aが開口されている。コネクションロッド86は、この窓77aとの干渉を避けつつ動作できる様に、挿通位置付近を上方に湾曲させた形状とされている。
【0036】
次に、本実施例の木材横転装置1の動作について説明する。
図6に示す様に、加工及び印字が完了した横架材Wをローラ式コンベア10の上へと搬送する。このとき、キャタピラ式コンベア20はローラRの上面よりも下方に控えた待機状態にある。木材横転装置1も、油圧シリンダCYL31,CYL32がピストンロッド後退状態となっていて、剛性枠62の先端を下方に下げた状態とされている。この結果、L字形受け台70も後方(先端側)へと傾斜してローラRの上面よりも下方に控えた状態となっている。
【0037】
次に、
図7に示す様に、木材横転装置1の油圧シリンダCYL31,CYL32をピストンロッド前進状態へと駆動する。これにより、下側揺動部材56の上端が後方(先端側)へと押し出され、下部リンクバー57が下端を押し上げられつつ前方(元側)に向かって回動する。これにより、昇降用前側ブラケット53が持ち上げられる。この結果、上部リンクバー54が上方へと回動し、剛性枠63を水平状態へと回動させる。このとき、H字型揺動部材63が下端を後方(先端側)へと振り出す様に揺動することによって、一連の動作をスムーズに実行させている。
【0038】
こうして剛性枠62を水平状態へと回動すると、L字形受け台70は、水平側プレート72が水平になりつつローラRの上面へと上昇する。この結果、横架材WはL字形受け台70の水平側プレート71によって重量を支えられつつローラRの上面から持ち上げられる。このとき、垂直側プレート72が垂直になり、横架材Wの側面を保持し得る状態となっている。
【0039】
こうしてローラRから浮き上がる様に横架材Wを持ち上げた後、横転モータMT30を駆動してクランクアーム85を180度回転させる。この間のL字形受け台70における動きを
図8に基づいて説明する。
【0040】
横転モータMT30を駆動する前は、
図8(A)に示す様に、クランクアーム85は先端を後方(図示左側)に向けた水平状態になっている。横転モータMT30を駆動すると、クランクアーム85は、図において矢印Aで示した様に、時計周りに回転し始める(以下、回転・回動の方向は図における時計周りか反時計周りかで説明する)。この結果、コネクションロッド86が元側を矢印Bに示す様に前方(図示右側)斜め上に向かって持ち上げる様に移動され始める。
【0041】
このとき、第1リンク部材74は、コネクションロッド86との連結部を中心に時計周りの回動を開始する。これにより、
図8(B)に示す様に、図示右側端を第1リンク部材74に対して連結された第2リンク部材75は、剛性枠62に連結された先端部(図示左側の端部)を中心として矢印Cで示す様に後方(図示左方向)の斜め下に向かって回動させ始める。また、屈曲部を第1リンク部材74に対して連結されたL字形プレート73は、矢印Dに示す様に、その屈曲部を斜め上方に持ち上げられる結果、全体として反時計方向へと回動し始める。このL字形プレート73の反時計周りの回動に伴い、L字形プレート73の垂直側の辺の中程に上端を連結された第3リンク部材76は、矢印Eで示す様に図示右側に向かって上端を下げる方向に回動し始め、L字形プレート73の水平側の辺の端部付近に上端を連結された第4リンク部材77も、矢印Fで示す様に図示右側に向かって上端を持ち上げる方向に回動し始める。
【0042】
こうして、L字形プレート73は、屈曲部を図示右側斜め上に持ち上げつつ、垂直側プレート72を図示左側に向かって倒し、水平側プレート71を図示左側に向かって起き上がらせる動作を実行する。この間、屈曲部は倒れ方向とは反対の方向へ向かって移動される。クランクアーム85が180度回転すると、
図8(C)に示す様に、垂直側プレート72が水平となり、水平側プレート71が垂直となる様に、90度横転した状態となる。このとき、第3リンク部材76は、クランクアーム85が90度から180度へと回転する間は、矢印Gで示す様に、反時計周りに回動する。
【0043】
こうして、
図9に示す様に、横架材Wを90度横転させる。そして、
図10に示す様に、油圧シリンダCYL21,CYL22を駆動して
キャタピラ式コンベア20の先端を起きあがらせて横転状態の横架材Wを木材横転装置1から受け取る。
【0044】
こうして横架材Wの横転及び受け渡しが完了したら、木材横転装置1の油圧シリンダCYL31,CYL32を駆動して剛性枠62を初期状態の先端下がりの位置へと下降させる。このとき、剛性枠62は反時計周りに回動しつつ全体として元側に揺動するので、L字形受け台70は横架材Wから離間しつつ下方へと回動し、干渉を避けることができている。こうして剛性枠62を初期状態へと戻したら、横転モータMT30を逆転させてL字形受け台70を初期状態へと復帰させる。なお、同じ方向へさらに180度回転させてもよい。
【0045】
そして、横送りモータMT20を回転させ、横転させた横架材Wを横送りによって排出する。この際、印字面は下になっていないから、横送りによって擦れて見えなくなるといったことがない。
【0046】
以上説明した様に、本実施例によれば、剛性枠62の先端を上方に回動させるとき、剛性枠62は全体として先端方向へと揺動する。これによってローラ式コンベア10の上に載っている横架材Wを後方から回り込む様にしてL字形受け台70で掬い上げることができる。
【0047】
また、横転モータMT30を駆動してクランクアーム85を回転させてコネクションロッド86を後退させると、第1リンク部材74がL字形プレート73の屈曲部を前方へ移動させつつL字形受け台70の全体を後方へと倒す。これにより、横架材Wの下側角部をL字の屈曲部に密着させつつ横転させることができる。
【0048】
なお、L字形受け台70においては、加工対象となり得る最大寸法の横架材の材幅と同程度の寸法を有する水平側プレート71と、最大寸法の横架材の材成の1/2よりも大きい高さを有する垂直側プレート72とを備えさせているので、横転動作中における横架材Wの重心は常に、受け台のL字の谷部の中にあり、横転動作中に重心バランスを失うこともない。
【0049】
これらの作用により、横転の際の動作速度を速めることが可能となる。また、剛性枠62を、その中程と前端(元側端)とを揺動可能に吊り下げて支持する構成を採用したので、剛性枠62を待機状態へと復帰させる際における干渉も回避することができている。
【0050】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
【0051】
例えば、木材横転装置1を駆動する前に、キャタピラ式コンベア20でローラ式コンベア10上の木材を掬い上げた後に木材横転装置1を駆動する様にしても構わない。