特許第6353441号(P6353441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353441高電流バーンインによる太陽電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353441
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】高電流バーンインによる太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/18 20060101AFI20180625BHJP
   H02S 50/10 20140101ALI20180625BHJP
【FI】
   H01L31/04 400
   H02S50/10
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-517231(P2015-517231)
(86)(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公表番号】特表2015-521829(P2015-521829A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】US2012070718
(87)【国際公開番号】WO2013191726
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2015年12月11日
(31)【優先権主張番号】61/661,285
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/627,772
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ディフェンサー、マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トゥ、シウウェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ジャンボ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、デイヴィッド
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−021668(JP,A)
【文献】 特開平04−372177(JP,A)
【文献】 特開平03−023677(JP,A)
【文献】 特開昭62−176172(JP,A)
【文献】 特開2001−085719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−10/40、30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池のトンネル酸化物層の欠陥エリア及び非欠陥エリア5アンペア、又はより大きな大きさの逆電流を印加する段階を備え、
前記欠陥エリア及び前記非欠陥エリアはそれぞれの降伏電圧を有しており、
前記欠陥エリア及び前記非欠陥エリアの降伏電圧の差は、前記逆電流を印加した後より、前記逆電流を印加する前の方が大きい、
太陽電池の製造方法。
【請求項2】
太陽電池のトンネル酸化物層の欠陥エリア及び非欠陥エリア5アンペア、又はより大きな大きさの逆電流を流す段階を備え、
前記欠陥エリア及び前記非欠陥エリアは、前記逆電流を前記トンネル酸化物に流す後より、前記逆電流を前記トンネル酸化物層に流す前の方が大きな降伏電圧の差を有する、
太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記欠陥エリアは、第1のIV曲線を有し、
前記非欠陥エリアは、第2のIV曲線を有し、
前記第1のIV曲線と前記第2のIV曲線との間の差は、前記逆電流を印加する、又は流す後より、前記逆電流を印加する、又は流す前の方が大きい、
請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記逆電流は、前記太陽電池全域にわたって流れ、前記太陽電池の前記全域は、前記欠陥エリア及び前記非欠陥エリアを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
印加される、又は流される前記逆電流は、前記太陽電池の前記全域にわたって、少なくとも30mA/cmの電流密度をもたらす、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記太陽電池において、前記トンネル酸化物層にわたる電圧降下が生じ、
前記逆電流を同じ電流の大きさで印加した場合において、前記電圧降下は、前記逆電流を印加する、又は流す後より、前記逆電流を印加する、又は流す前の方が高い、
請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記逆電流を印加する、又は流す段階は、前記逆電流を1分間未満の時間、前記太陽電池に印加する、又は流す段階を有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本願は、2012年6月18日に出願された米国仮特許出願第61/661,285号の利益を主張する、2012年9月26日に出願された対応する米国通常特許出願第13/627,772号の優先権を主張すると共に、それを参照することによって組み込む。
【0002】
(発明の分野) 本発明の実施形態は、再生可能エネルギーの分野に関し、具体的には、太陽電池のバーンインに関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池は、太陽放射を電気エネルギーに変換するための装置である。太陽電池内に大きい逆バイアスが生じる場合、太陽電池における相当の電力損失が、ホットスポットとして知られる加熱エリアをもたらす可能性がある。ホットスポットの原因は、様々であり得る。例えば、日陰になった、又は汚れた場合、太陽電池は、逆バイアスにさせられ、バイパスダイオードがオンにされない限り、局所加熱が起こる可能性がある。また、ホットスポットは、太陽電池における欠陥(例えば、PMOS欠陥)によって生じる可能性もある。
【0004】
ホットスポット試験は、太陽電池を試験するための方法である。例えば、ホットスポット試験は、太陽電池が十分に低い温度のままであり、フィールド内のホットスポットにならないような、逆バイアスで予め定められた電圧を太陽電池が有するか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の実施形態による、高逆電流バーンインのフロー図を図示する。
【0006】
図2A】本発明の実施形態による、バーンインされたバイパスダイオードを伴う太陽電池の断面を図示する。
図2B】本発明の実施形態による、バーンインされたバイパスダイオードを伴う太陽電池の断面を図示する。
【0007】
図3】本発明の実施形態による、高逆電流バーンインの前後の太陽電池の赤外線画像を図示する。
【0008】
図4】本発明の実施形態による、異なる逆電流が印加された太陽電池のIV曲線を図示する。
【0009】
図5】本発明の実施形態による、異なる高電流ソーク時間の後の太陽電池の逆バイアス電圧及び電流を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
太陽電池の高逆電流バーンインの方法及びバーンインされたバイパスダイオードを伴う太陽電池が本明細書に記載される。太陽電池モジュールを輸送する前、例えば、ホットスポット試験中に、高逆電流バーンインを実施することができる。既存のホットスポット試験方法は、太陽電池に逆バイアスをかけるために低電流を使用する。低バイアス電流を用いたホットスポット試験は、装置の欠陥エリアと非欠陥エリアの降伏電圧差を誇張することができる。低バイアス電流は、優先的に最低降伏電圧エリアを通過し、これらのエリア内の降伏電圧を更に低くすることができる。
【0011】
一実施形態では、太陽電池の高逆電流バーンインは、太陽電池に低降伏電圧を生じさせる。また、太陽電池を高電流でソークする(例えば、太陽電池に高逆電流を印加する)ことによって、電池の欠陥エリアと非欠陥エリアの電圧差を低減することもできる。一実施形態では、太陽電池の高逆電流バーンインは、例えば、降伏電圧差が低減し、ホットスポットがより少なくなることにより、歩留りの改善をもたらす。
【0012】
一実施形態では、トンネル酸化物層を有するバイパスダイオードを伴う太陽電池のホットスポット試験で、太陽電池の高逆電流バーンインを使用することができる。トンネル酸化物層を伴う太陽電池は、欠陥のあるトンネル酸化物層のエリア内で降伏する傾向があり得、これは、ウェハ内の降伏電圧の均一性の欠如をもたらし得る。
【0013】
以下の記載において、本発明の実施形態の完全な理解をもたらすために、具体的なダイオード構造及びプロセスフロー操作など、多数の具体的な詳細が記載される。これらの特定の詳細を使用することなく、本発明の実施形態を実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。更には、図に示される様々な実施形態は、例示的な表示であって、必ずしも一定のスケールで描写されるものではないことを理解するべきである。
【0014】
図1は、本発明の実施形態による、高逆電流バーンインのフロー図を図示する。
【0015】
ここに図示されるフロー図は、様々なプロセスアクションの一連の順序の実施例を提供する。図示される実現形態は、実施例に過ぎないことが理解されるべきであり、図示されるプロセスは、異なる順序で実施することができ、幾つかのアクションは、並列に実施されてもよい。加えて、本発明の様々な実施形態において、1または複数のアクションを省略することができ、したがって、あらゆる実現形態において、全てのアクションが必要とされるわけではない。他のプロセスフローが可能である。
【0016】
方法100は、高電流バーンインの方法である。太陽電池モジュールの効率及び/又は性能を向上させるために、太陽電池モジュールを輸送する前(例えば、ホットスポット試験中)、又は他の時に、方法100を実施することができる。方法100は、トンネル酸化物層102を有する太陽電池に高逆電流を印加する。トンネル酸化物層と、トンネル酸化物層を通して電流を流すためのバーンインされたバイパスダイオードとを有する太陽電池の一実施例が、図2A及び図2Bを参照して以下に記載される。通常動作では、太陽電池は、順バイアスされ、電流は、電池全体に広がり、トンネル酸化物層全域にわたる比較的低い電流密度をもたらす。しかしながら、太陽電池が逆バイアスされる際、電流密度は高くなり、障壁として作用するトンネル酸化物層をもたらすことができる。太陽電池が逆バイアスされる際、トンネル酸化物層は、障壁として作用することができるが、逆電流は、トンネル酸化物層を通過することができる。そのような一実施形態では、逆電圧の一部分は、トンネル酸化物層にわたって降下する。例えば、太陽電池のバーンインの前に、逆バイアスで、最大で1.5Vより大きいか等しいトンネル酸化物層全域にわたる電圧降下が生じる可能性がある。
【0017】
一実施形態では、印加される高逆電流は、太陽電池の指部の縁部の薄い領域を通って流れ、したがって、トンネル酸化物層の薄い領域を通って流れる。例えば、逆電流が通過するトンネル酸化物の領域は、太陽電池のトンネル酸化物層の0.001%より小さいか等しいエリアであることができる。別の実施例では、逆電流は、太陽電池の約0.1μm幅の領域、200オングストローム幅の領域、又は任意の他の寸法の小領域を通過する。
【0018】
一実施形態では、太陽電池のバーンインのための高逆電流は、太陽電池が逆バイアスされる際の太陽電池の動作電流より大きい。太陽電池が逆バイアスされる際の動作電流は、太陽電池が動作しており(例えば、野外で)、逆バイアスとなる電流である。一実施形態では、太陽電池のバーンインのための高逆電流は、太陽電池が順バイアスされる際の太陽電池の動作電流(例えば、太陽電池の通常動作中の電流)より大きい。
【0019】
バーンインのための高逆電流の大きさは、太陽電池の寸法及び/又は逆電流が通過する領域の寸法に依存し得る。一実施形態では、高逆電流は、太陽電池の順バイアスでの動作電流の75%、150%、又はそれを超える大きさであることができる。例えば、太陽電池の順バイアスでの動作電流が6Aである場合、高逆電流は、5A、10A、15A、又は高逆電流の他の大きさであることができる。
【0020】
バーンインのための高逆電流を、電流密度の観点から記載することができる。例えば、高逆電流は、太陽電池が逆バイアスされる際の太陽電池の動作電流密度より大きい電流密度をもたらすことができる。一実施形態では、高逆電流は、太陽電池が順バイアスされる際の動作電流密度より大きい電流密度をもたらす。そのような一実施例では、印加される逆電流によってもたらされる高電流密度は、少なくとも30〜40mA/cmであることができる。別の実施例では、印加される逆電流によってもたらされる、より大きい電流密度は、少なくとも65mA/cmであることができる。更に別の実施例では、印加される逆電流によってもたらされる、より大きい電流密度は、順バイアスである際の太陽電池の動作電流密度の75%より大きいか等しい大きさである。
【0021】
方法100は、トンネル酸化物層104の領域を劣化させる(物理的に及び/又は電気的に)のに十分な時間、高逆電流を印加し続ける。一実施形態によると、トンネル酸化物層の領域を物理的に劣化させるのに十分な時間は、印加される高逆電流に依存する。例えば、ある大きさの高逆電流は、数時間又は数分でトンネル酸化物層の領域を劣化させることができ、より大きい逆電流は、数秒又は1秒未満で領域を劣化させることができる。一実施形態では、太陽電池のバーンインの後、逆バイアスでのトンネル酸化物層全域にわたる電圧降下が低減される、又は実質的に排除される。
【0022】
高逆電流を用いて太陽電池のバーンインを実施することによって、電流が、最低降伏電圧エリアを優先的に通過するというよりはむしろ、電池を横切る小さい領域を通って流れることを可能にすることができる。電流を、主に電池の最弱点を通る代わりに、電池のより大きいエリアを通って流れさせることによって、電池全体にわたって、降伏電圧差を均一に低減することができる。降伏電圧差を低減することによって、太陽電池のフィールド内にホットスポットが発達する危険性が低下する。したがって、一実施形態によると、そのような太陽電池の降伏電圧を低い値(例えば、可能な最低値)で安定させるために、太陽電池がモジュールに組み込まれる前に、降伏低下効果を活用することができる。
【0023】
図2A及び図2Bは、本発明の実施形態による、バーンインされたバイパスダイオードを伴う太陽電池の断面を図示する。
【0024】
一実施形態によると、太陽電池は、導電性基板層と、導電性基板層上に配置されたトンネル酸化物層とを含むことができる。例えば、図示されるように、太陽電池200a及び200bは、導電性基板層206上に配置されたトンネル酸化物層208を含む。また、太陽電池200a及び200bは、トンネル酸化物層208の上に配置された導電性層204と、導電性層204の上に配置された接触部202とを含む。そのような一実施形態では、トンネル酸化物層208は、例えば、少数キャリアを遮断することによって、太陽電池の効率を向上させる。層のうちの1または複数を、電池全域にわたって延在する指部として基板上に配置することができる。
【0025】
一実施形態では、トンネル酸化物層208は、約5〜50オングストロームの範囲の厚さを有する酸化シリコン層である。トンネル酸化物層208は、高逆電流にさらされる際、降伏低下効果を呈することができる。例えば、トンネル酸化物層208の領域の欠陥部分及び非欠陥部分の両方を劣化させる(物理的に及び/又は電気的に)のに十分な大きさの高逆電流を、電池全域にわたって印加することができる。トンネル酸化物層208の劣化した領域214が、図2A及び図2Bに破線円で示されている。劣化した領域214は、図1の方法100、又はトンネル酸化物層の領域を劣化させる他の方法によって形成することができる。劣化した領域214は、太陽電池の比較的薄い部分であることができる。例えば、200μm幅の指部では、高逆電流バーンインを介して、電池全域にわたるトンネル酸化物層208の0.02〜0.1μm幅の部分を劣化させることができる。高電流バーンインの後、電流は、順及び逆バイアスで、依然としてトンネル酸化物層208を通って流れることができる。
【0026】
一実施形態では、太陽電池200a及び200bは、太陽電池200a及び200bが逆バイアスされる際に電流を流すための、導電性基板層206とトンネル酸化物層208の劣化した領域214とを通る、漏れ経路を含む。例えば、太陽電池200a及び200bは、太陽電池の導電性基板層206を含む、バーンインされたバイパスダイオード216を含む。太陽電池200a及び200bが逆バイアスされる際、太陽電池は、トンネル酸化物層208の劣化した領域214とバーンインされたバイパスダイオード216とを通して電流を流す。点線212は、図示される実施形態による、逆バイアスでの電流の経路を示す。
【0027】
太陽電池の異なる領域に、バーンインされたバイパスダイオードを形成することができる。例えば、図2Aでは、導電性基板層206と第2の導電性基板層210との接合部に、バーンインされたバイパスダイオード216を形成することができる。そのような一実施形態では、導電性基板層206と導電性基板層210とは、異なる導電型を有する。例えば、太陽電池200aは、P+ポリ領域204と、P+拡散領域206と、N+シリコン領域210とを含むことができる。別の実施例では、太陽電池200aは、N+ポリ領域204と、N+拡散領域206と、P+シリコン領域210とを含むことができる。
【0028】
図2Bでは、導電性基板層206と導電性層204との接合部に、バーンインされたバイパスダイオード216を形成することができる。そのような一実施形態では、導電性基板層206と導電性層204とは、異なる導電型を有する。例えば、太陽電池200bは、P+ポリ領域204と、N+拡散領域206と、N+シリコン領域210とを含むことができる。別の実施例では、太陽電池200bは、N+ポリ領域204と、P+拡散領域206と、P+シリコン領域210とを含むことができる。
【0029】
本発明の実施形態は、図2A及び図2Bに描写される太陽電池以外のトンネル酸化物層を有する太陽電池に含まれてもよい。そのような太陽電池は、種々の機能部、例えば、背面接触部(例えば、図2Aの太陽電池200a及び図2Bの太陽電池200bなど)又は正面接触部(例えば、裏側にP型ポリエミッタを伴う正面接触型太陽電池など)を含んでもよい。異なる太陽電池は、異なる大きさの逆電流でバーンインされてもよい。逆電流が通過する領域の寸法がより小さい場合、太陽電池をバーンインするために、より低い高逆電流を使用することができる。そのような一実施例は、逆電流が通過する領域の寸法が小さく、結果として高電流密度をもたらす、正面接触部を伴う太陽電池である。
【0030】
図3は、本発明の実施形態による、高逆電流バーンインの前後の太陽電池の赤外線画像を図示する。図3の画像は、赤外線カメラを用いて撮像され、低電流密度−電圧(JV)だが、高重大度(例えば、>13)の太陽電池を図示する。画像302a〜302cは、3Aのより低い電流で逆バイアスされた太陽電池を図示する。画像302a〜302cは、高電流バーンインの前の「前」画像である。
【0031】
この実施例では、太陽電池は、次いで、より大きい電流で、ある時間ソークされる。例えば、太陽電池は、10Aで30秒間、又は他の高逆電流である時間、逆バイアスされる。そのような一実施形態では、トンネル酸化物の所望の領域の降伏が生じるまで、太陽電池に高逆電流が印加される。画像304a〜304cは、10Aで30秒間の電流ソーキングの後に赤外線カメラで撮像した画像である。太陽電池のΔJVが記録される。例えば、太陽電池200a又は200bなどの太陽電池の記録されるΔJV値は、−1V、−1.15V、及び−0.83Vである。
【0032】
図示されるように、高逆電流を印加することによって、太陽電池の大部分のエリアがホットスポット化に対処することを可能にすることができる。電池が低初期JVを有する場合、高逆電流を印加することによって、局所欠陥による高重大度を伴う太陽電池を修復することができる。一実施形態では、限界電池(例えば、重大度9〜13の太陽電池)もまた、高電流ソーキングによって修復することができる。
【0033】
図4は、本発明の実施形態による、異なる逆電流が印加された太陽電池のIV曲線を図示する。
【0034】
上述されるように、低電流でのホットスポット試験は、グラフ402によって図示されるように、相当な降伏電圧差をもたらす。低試験電流(例えば、3A又は他の低電流)は、主に太陽電池の欠陥を伴うエリアを通過し、これは、これらのエリアの降伏電圧を更に低下させる。したがって、グラフ402に図示されるように、欠陥エリアのIV曲線408は、わずかな試験電流が通過する非欠陥エリアのIV曲線410より急勾配である。
【0035】
一実施形態では、高電流でのホットスポット試験では、電流を、欠陥エリア及び非欠陥エリアの両方を同時に通過させる。電流が太陽電池の欠陥エリア及び非欠陥エリアの両方を通過することによって、試験後のIV差が最小限になり得る。例えば、グラフ404は、高逆電流を印加した後の欠陥エリアのIV曲線412と、非欠陥エリアのIV曲線414とを示す。図示されるように、欠陥エリアのIV曲線と非欠陥エリアのIV曲線との差は、相当に低減される。
【0036】
一実施形態では、高電流試験の後の、より小さい電流を使用した太陽電池の再試験は、もはや太陽電池の降伏電圧の有意な変化をもたらさない。
【0037】
図5は、本発明の実施形態による、異なる高電流ソーク時間の後の太陽電池の逆バイアス電圧及び電流を図示する。
【0038】
グラフ500は、高逆電流が印加される際(例えば、図1の方法100が適用される際)の、逆バイアスでの太陽電池全域にわたる電圧降下を示す。線504で図示されるように、10Aの高逆電流が太陽電池に印加された。線502で図示されるように、太陽電池の最大逆電圧の大きさは、時間0で−5.55Vであり、10Aの逆電流を500ミリ秒印加した後、−5.05Vに降下する。
【0039】
幾つかの太陽電池では、太陽電池の逆バイアス電圧は、高逆電流が短い時間印加された後、安定する。例えば、グラフ500に図示されるように、10Aの高逆電流が印加される際、太陽電池の逆バイアス電圧は、400ミリ秒未満で安定し始める。
【0040】
したがって、太陽電池の高逆電流バーンインの方法が記載される。上述されるように、太陽電池の高逆電流バーンインは、太陽電池に低降伏電圧を生じさせ、電池の欠陥エリアと非欠陥エリアの電圧差を低減することができる。
(項目1)
太陽電池の効率を向上させる方法であって、
上記太陽電池に、上記太陽電池が逆バイアスされる際の上記太陽電池の動作電流より大きい逆電流を印加する段階を含み、上記印加される逆電流は、上記太陽電池のトンネル酸化物層の領域を通過する、方法。
(項目2)
上記太陽電池に印加される上記逆電流は、上記トンネル酸化物層の上記領域の欠陥部分及び非欠陥部分の両方を物理的に劣化させるのに十分な大きさである、請求項1に記載の方法。
(項目3)
上記印加される逆電流は、上記太陽電池が順バイアスされる際の上記太陽電池の動作電流より高い、請求項1に記載の方法。
(項目4)
上記印加される逆電流は、上記太陽電池が順バイアスされる際の上記太陽電池の動作電流密度より高い電流密度をもたらす、請求項1に記載の方法。
(項目5)
上記印加される逆電流は、少なくとも30mA/cmの電流密度をもたらす、請求項1に記載の方法。
(項目6)
上記太陽電池に印加される上記逆電流は、順バイアスされる際の上記太陽電池の上記動作電流密度の75%より大きいか等しい電流密度をもたらす、請求項1に記載の方法。
(項目7)
上記逆電流が通過する上記トンネル酸化物の上記領域は、上記太陽電池の上記トンネル酸化物層の0.001%より小さいか等しいエリアである、請求項1に記載の方法。
(項目8)
上記逆電流を印加する段階は、上記トンネル酸化物層の上記領域を物理的に劣化させるのに十分な時間、上記逆電流を上記太陽電池に印加する段階を含み、上記十分な時間は、1分間未満である、請求項1に記載の方法。
(項目9)
太陽電池の効率を向上させる方法であって、
上記太陽電池内のトンネル酸化物層の領域を物理的に劣化させる段階を含み、
上記太陽電池が逆バイアスされる際、電流は、上記太陽電池の上記トンネル酸化物層の上記物理的に劣化した領域を通過する、方法。
(項目10)
上記太陽電池内の上記トンネル酸化物層の上記領域を物理的に劣化させる段階は、上記電池の全域にわたる上記領域の欠陥部分及び非欠陥部分の両方を物理的に劣化させることを含む、請求項9に記載の方法。
(項目11)
上記太陽電池内の上記トンネル酸化物層の上記領域を物理的に劣化させる段階は、上記太陽電池に逆電流を印加する段階を含み、上記印加される逆電流は、順バイアスである際の上記太陽電池の動作電流密度の75%より大きいか等しい電流密度をもたらす、請求項9に記載の方法。
(項目12)
上記太陽電池内の上記トンネル酸化物層の上記領域を物理的に劣化させる段階は、上記太陽電池に逆電流を印加する段階を含み、上記印加される逆電流は、少なくとも30mA/cmの電流密度をもたらす、請求項9に記載の方法。
(項目13)
物理的に劣化される上記トンネル酸化物層の上記領域は、上記太陽電池の上記トンネル酸化物層の0.001%未満のエリアである、請求項9に記載の方法。
(項目14)
上記トンネル酸化物層の上記領域を物理的に劣化させる段階は、上記太陽電池が逆バイアスされる際の上記トンネル酸化物層の全域にわたる電圧降下を低減する段階を含む、請求項9に記載の方法。
(項目15)
太陽電池であって、
上記太陽電池の導電性基板層を備えるバイパスダイオードと、
上記導電性基板層の上に配置されたトンネル酸化物層であって、劣化した領域を有する、トンネル酸化物層と、
を備え、上記太陽電池が逆バイアスされる際、上記太陽電池は、上記トンネル酸化物層の上記劣化した領域と上記バイパスダイオードとを通して電流を流す、太陽電池。
(項目16)
上記トンネル酸化物層の上に配置された導電性層と、
上記導電性層の上に配置された接触部と、を更に備える、請求項15に記載の太陽電池。
(項目17)
第2の導電性基板層を更に備え、上記第2の導電性基板層と上記導電性基板層とが、異なる導電型を有し、上記バイパスダイオードが、上記導電性基板層と、上記第2の導電性基板層とを備える、請求項15に記載の太陽電池。
(項目18)
上記導電性基板層と上記導電性層とが、異なる導電型を有し、上記バイパスダイオードが、上記導電性基板層と、上記導電性層とを備える、請求項16に記載の太陽電池。
(項目19)
上記トンネル酸化物層の上記劣化した領域が、上記太陽電池の全域にわたる上記トンネル酸化物層の複数の劣化した欠陥部分と、複数の劣化した非欠陥部分とを備える、請求項15に記載の太陽電池。
(項目20)
太陽電池であって、
導電性基板層と、
上記導電性基板層の上に配置されたトンネル酸化物層であって、劣化した領域を有する、トンネル酸化物層と、
上記太陽電池が逆バイアスされる際に電流を流すための、上記導電性基板層と上記トンネル酸化物層の上記劣化した領域とを通る漏れ経路と、を備える、太陽電池。
(項目21)
上記トンネル酸化物層の上記劣化した領域が、上記太陽電池の全域にわたる上記トンネル酸化物層の複数の劣化した欠陥部分と、複数の劣化した非欠陥部分とを備える、請求項20に記載の太陽電池。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5