【文献】
C.Couhert, et al.,Impact of torrefaction on syngas production from wood,Fuel,2009年,Vol.88,p.2286-2290
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイオマス液化プロセスが、少なくとも1種類の非ガス状生成物を生成し、前記非ガス状生成物が気化されて、COを含む合成ガス流を生成する、請求項2に記載の方法。
前記熱分解生成物が熱分解油および前記水素に富む流れであり、前記熱分解油が、水素化生成物を生成するための条件下で動作する水素化ゾーンに送られる、請求項7に記載の方法。
前記カルボキシド栄養性酢酸生成微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljundahlii、Clostridium ragsdaleiおよびClostridium coskatiiからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
触媒プロセスを用いて、主としてCOおよび/またはCOならびに水素(H
2)からなるガスを様々な燃料および化学物質に変換することができる。微生物を用いて、これらのガスを燃料および化学物質に変換することもできる。これらの生物学的プロセスは、一般的に化学反応よりも遅いが、より高い特異性、より高い収率、より低いエネルギーコストおよび毒に対するより高い耐性を含めて、触媒プロセスに優るいくつかの利点を有する。
【0003】
唯一の炭素源としてのCO上で増殖する微生物の能力は、最初に1903年に発見された。これは、後に、(Woods−Ljungdahl経路および一酸化炭素デヒドロゲナーゼ/アセチルCoAシンターゼ(CODH/ACS)経路としても知られている)独立栄養成長のアセチル補酵素A(アセチルCoA)生化学的経路を使用する生物の性質であることが決定された。カルボキシド栄養性(carboxydotrophic)生物、光合成生物、メタン生成生物および酢酸生成生物を含む大多数の嫌気性生物は、COを様々な最終生成物、すなわち、CO
2、H
2、メタン、n−ブタノール、アセテートおよびエタノールに代謝することが示されている。これらの生成物に加えて、本発明者らは、いくつかの他の有用な生成物である炭素ベースの生成物が、特定の微生物または特定の遺伝子を発現する微生物を用いる発酵によって取得できることを以前に証明した。
【0004】
クロストリジウム属の細菌などの嫌気性細菌は、アセチルCoA生化学的経路を介してCO、CO
2およびH
2からエタノールを生成することが実証されている。例えば、ガスからエタノールを生成するClostridium ljungdahliiの様々な株については、WO 00/68407号、EP 117309号、米国特許第5,173,429号、同第5,593,886号、および同第6,368,819号、WO 98/00558号ならびにWO 02/08438号に記載されている。細菌Clostridium autoethanogenum種も、ガスからエタノールを生成することが知られている(Abrini et al.,Archives of Microbiology 161,pp345−351(1994))。
【0005】
微生物によるCOおよびH
2を含む基質の発酵のためのプロセスが知られているが、これらのプロセスを産業状況に拡大および統合するための可能性はほとんど検討されていない。石油化学工場および石油精製所は、「廃棄される」副産物として大量のCOを生成する。かなりの割合の廃ガスが、現在フレアに送られる(燃焼される)か、あるいは燃料の供給源として使用されており、どちらも望ましくない温室効果ガスのC〇
2を生成する。したがって、それによって生成される廃ガスおよびエネルギーを、望ましい生成物を生成するための発酵で利用し、同時に工場からのガス状炭素流出量を削減することによって工業プロセスを改善できる可能性がある。
【0006】
バイオマスの液化は、貴重な液体生成物を得るための経済的な方法であり得る。バイオマスは、任意の種類の木質バイオマス、農業廃棄物、パルプおよび紙廃棄物、自治体の固形廃棄物、または石炭/コークスであり得る。バイオマス変換のための3つの主要プロセスは、焙焼、熱分解および気化である。
【0007】
焙焼は、空気または酸素の非存在下で比較的低温(150〜300℃)にバイオマスを供することを含む。揮発性物質を作製し、次いで、流出させ、石炭に似た圧縮された炭素に富む固体を生成する。生成されたガス流は、COおよびCO
2を含む。
【0008】
熱分解は、酸素が関与しない、高温(典型的には、摂氏450〜500℃以上の温度)での有機材料の熱化学分解である。熱分解は、化学組成および物理相の同時変化を伴い、不可逆的である。熱分解は、反応条件下での相対的な時間を説明する「速い」もしくは「遅い」、または若干中間として特徴付けることができる。気体、液体、固体生成物は、温度および反応時間に応じて相対的な量で生成される。急速熱分解は、液体収量を最大化するが、より手腕を問われる。
【0009】
バイオマスの気化は、合成ガスを生成するための酸素/空気/蒸気の使用を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
有用な生成物を生成するために、または少なくとも公衆に有用な選択肢を提供するために、バイオマスの液化およびガス発酵を含む統合された方法ならびに/またはシステムを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は一般に、とりわけ、CO含有基質の微生物発酵による生成物の生成のための方法を提供する。
【0012】
第1の態様において、本発明は、少なくとも1種類の生成物を生成する方法であって、
i)少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含むバイオリアクターにCO含有基質を提供することと、
ii)バイオリアクターの中で培養物を発酵させ、少なくとも1種類の発酵生成物を生成することと、
を含む方法を提供し、その際、工程(i)の基質は、1以上のバイオマス液化プロセスから誘導される。
【0013】
特定の実施形態において、CO含有基質は、さらにCO
2および/またはH
2を含む。
【0014】
特定の実施形態において、CO含有基質は合成ガスである。
【0015】
特定の実施形態において、合成ガスは、CO含有基質およびCO2/H2ガス流を提供するために分離される。一実施形態において、CO含有基質は、第1のバイオリアクターに送られ、そこで発酵されて、1種類以上のアルコール類および/または酸類ならびにCO2を含む流出ガス流を生成する。特定の実施形態において、流出ガス流はさらに水素を含む。特定の実施形態において、流出ガス流は、CO2/H2ガス流と組み合わされる。特定の実施形態において、組み合わされた流れは、1種類以上の微生物の培養物を含む第2のバイオリアクターに送られ、発酵して、アセテートを生成する。
【0016】
特定の実施形態において、1以上のバイオマス液化プロセスは、焙焼、熱分解および気化から選択される。一実施形態において、バイオマス液化プロセスは、液化ゾーン中で行われる。
【0017】
特定の実施形態において、バイオマス液化プロセスは、ガス発酵プロセスでの使用に特に適する液化ガス生成物を生成するように適合されている。例えば、液化プロセスの温度を上昇させると、二酸化炭素よりも優先的に一酸化炭素を生成する。Fuetらは、様々な温度でのガス生成、液体生成および炭生成の間の変動を考察している(Fu et.al.,Bioresource Technology,102巻,発行物17,2011年9月,8211−8219ページ)。特定の実施形態において、液化ガス生成物は、約20%〜約60%の濃度でCOを含む。特定の実施形態において、液化ガス生成物は、0%〜約40%の濃度でCO
2を含む。特定の実施形態において、液化ガス生成物は、0%〜10%の濃度でCO
2を含む。特定の実施形態において、液化ガス生成物は、上記の濃度のCO
2および/または上記の濃度のH
2と組み合わせて、上記の濃度のCOを含むガスの混合物を含む。
【0018】
さらなる特定の実施形態において、液化ガス生成物は、NH
3、NO、H
2S、HCN、SO
2およびSO
3からなる群から選択される不純物を含む。特定の実施形態において、バイオマス液化プロセスで使用されるバイオマスの少なくとも一部は、バイオリアクターから回収されたバイオマスを含む。
【0019】
特定の実施形態において、液化プロセス中に生成されるエネルギーを用いて、発酵反応およびその後の発酵生成物の分離の効率を高めることができる。特定の実施形態において、このエネルギーを用いて、発酵基質を加熱もしくは冷却するか、または例えば、蒸留によって発酵生成物の分離を可能にする。
【0020】
特定の実施形態において、バイオマス液化プロセスは熱分解を含み、熱分解生成物が生成される。好ましくは、熱分解生成物は、熱分解油、炭および/または熱分解ガスである。
【0021】
特定の実施形態において、熱分解ガスの少なくとも一部は、CO含有基質の一部としてバイオリアクターに送られる。
【0022】
特定の実施形態において、熱分解油を、バイオリアクターから受け取った水素含有流出ガス流と接触させる。バイオリアクターに提供されるCO含有基質がH
2も含む場合、発酵プロセスは、基質のCO成分、必要に応じてCO
2成分を固定し、したがってより高い濃度の水素を有する流出ガス流をもたらす。発酵が効果的に水素膜として機能すると、バイオリアクターに提供される基質と比較して、H
2が未変換のまま通過し、流出ガス流中のH
2を濃縮することが可能になる。好ましくは、水素を含む流出ガス流は、熱分解油と接触し、油を水素化して、6〜20個の炭素原子を有する炭化水素生成物を生成する。一実施形態において、炭化水素生成物は、ジェット燃料(JP−5、JP−8)としての使用に適するか、または高純度の灯油を必要とする他のプロセスに適するハイグレード灯油である。特定の実施形態において、アップグレードプロセスからの流出流は、燃料源としての使用済みの流れであり得る。
【0023】
特定の実施形態において、固体および/または液体の熱分解生成物は気化を受け、気化生成物の少なくとも一部は、CO含有基質の一部としてバイオリアクターに送られる。好ましくは、固体の熱分解生成物は炭であり、液体の熱分解生成物は熱分解油である。
【0024】
特定の実施形態において、炭はCO
2の存在下で変換され、CO含有基質への添加のためのCOを形成する。好ましくは、変換用のCO
2はバイオリアクター、焙焼プロセスおよび/または熱分解プロセスから受け取られる。
【0025】
特定の実施形態において、バイオマス液化プロセスは焙焼を含む。特定の実施形態において、焙焼プロセスは、CO、CO
2および/またはH
2を含む1種類以上の焙焼ガスを生成する。好ましくは、1種類以上の焙焼ガスの少なくとも一部は、発酵プロセスに送られるCO含有基質に添加される。
【0026】
特定の実施形態において、1以上のバイオマス液化プロセスは、焙焼および熱分解を含む。好ましくは、バイオマスが最初に焙焼に供され、次いで、少なくとも1種類の焙焼生成物の少なくとも一部が熱分解に供され、その後、少なくとも1種類の熱分解生成物の少なくとも一部が、ガス発酵で使用するためのCO含有基質に添加される。
【0027】
特定の実施形態において、CO含有基質はさらに、焙焼、気化または熱分解プロセスの生成物であるCO
2を含む。
【0028】
特定の実施形態において、CO含有基質はさらに、焙焼、熱分解または気化プロセスの生成物であるH
2を含む。
【0029】
特定の実施形態において、1種類以上の発酵生成物はアルコールまたはジオールである。一実施形態において、アルコールはエタノールである。別の実施形態において、ジオールは2,3−ブタンジオールである。特定の実施形態において、1種類以上の発酵生成物はエタノールおよび2,3−ブタンジオールである。
【0030】
特定の実施形態において、1種類以上の発酵生成物は、1種類以上のアルカンに変換される。
【0031】
特定の実施形態において、1種類以上のアレーン化合物は、熱分解油から得られる。さらなる実施形態において、1種類以上のアレーン化合物は、燃料を生成するために1種類以上のアルカンと組み合わされる。
【0032】
第2の態様において、本発明は、ガス状基質から少なくとも1種類の生成物を生成するための方法であって、
a.CO、CO
2およびH
2を含むガス状基質、ならびに熱分解油および炭からなる群から選択される少なくとも1種類の熱分解生成物を生成するための条件下で動作する熱分解ゾーンにバイオマス原料を送ることと、
b.少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含むバイオリアクターにガス状基質の少なくとも一部を送り、このガス状基質の少なくとも一部を嫌気性発酵させて、少なくとも1種類の発酵生成物、第2のバイオマスを含む廃棄物流および水素を含む流出ガス流を生成することと、
c.第2のバイオマスの少なくとも一部を廃棄物流から分離することと、
d.熱分解ゾーンに第2のバイオマスの一部を送ることと、
を含む方法を提供する。
【0033】
一実施形態において、流出ガス流は、水素に富む流れを提供するための条件下で動作する分離ゾーンに送られる。一実施形態において、熱分解生成物は熱分解油であり、水素に富む流れおよび熱分解油は、水素化生成物を提供するための条件下で動作する水素化ゾーンに送られる。一実施形態において、水素化生成物は、6〜20個の炭素を有する炭化水素である。一実施形態において、水素化ゾーンは、ジェット燃料の炭化水素生成物を提供するための条件下で動作する。
【0034】
一実施形態において、CO、CO
2およびH
2を含む熱分解ゾーンからのガス状基質は、CO
2に富む流れならびに濃縮されたCOおよびH
2ガス状基質を提供するための条件下で動作する分離ゾーンに送られる。一実施形態において、濃縮されたCOおよびH
2の流れはバイオリアクターに送られる。
【0035】
一実施形態において、熱分解生成物は炭であり、炭およびCO
2に富む流れは、COを含む第2の基質流を生成するための条件下で動作する反応ゾーンに送られる。一実施形態において、COを含む第2の基質流がバイオリアクターに送られる。
【0036】
一実施形態において、熱分解生成物は熱分解油および/または炭であり、熱分解生成物は、気化されたCO含有基質を生成するための条件下で動作する気化ゾーンに送られる。
【0037】
一実施形態において、熱分解ゾーンに送られたバイオマスは、最初に前処理ゾーンに送られる。一実施形態において、前処理ゾーンは焙焼ゾーンである。一実施形態において、バイオマスは、焙焼バイオマスを生成するための条件下で動作する焙焼ゾーンに送られる。次いで、焙焼バイオマスは熱分解ゾーンに送られる。
【0038】
第3の態様において、本発明は、ガス状基質から少なくとも1種類の生成物を生成するための方法であって、
a.バイオマス原料を焙焼ゾーンに送って、焙焼バイオマスを生成することと、
b.焙焼バイオマスを熱分解ゾーンに送って、CO、熱分解油および炭を含むガス状基質を生成することと、
c.少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含むバイオリアクターにガス状基質の少なくとも一部を送り、ガス状基質の少なくとも一部を嫌気性発酵させて、少なくとも1種類の発酵生成物、第2のバイオマスを含む廃棄物流および水素を含む流出ガス流を生成することと、
d.第2のバイオマスの少なくとも一部を廃棄物流から分離することと、
e.水素に富む流れを提供するための条件下で動作する分離ゾーンに流出ガス流を送ることと、
f.焙焼ゾーンに第2のバイオマスの一部を送ることと、
g.水素化生成物を生成するための条件下で動作する水素化ゾーンに熱分解油および水素に富む流れを送ることと、
を含む方法を提供する。
【0039】
一実施形態において、焙焼プロセスは、COを含むガス状副産物流を生成し、このガス状副産物流の少なくとも一部はバイオリアクターに送られる。
【0040】
一実施形態において、炭は気化ゾーンに送られ、気化されて、COを含む第2のガス状基質を生成する。一実施形態において、COを含む第2のガス状基質はバイオリアクターに送られる。
【0041】
一実施形態において、ガス状副産物流、第2のガス流、または熱分解反応によって生成されるガス状基質からなる群から選択されるガス流のうちの少なくとも2つが混合された後、バイオリアクターに送られる。
【0042】
一実施形態において、水素化生成物は、6〜20個の炭素を有する炭化水素生成物である。一実施形態において、水素化生成物はハイグレードの灯油である。一実施形態において、水素化ゾーンは、ジェット燃料用の炭化水素生成物を生成するための条件下で動作する。
【0043】
第4の態様において、本発明は発酵生成物の生成のためのシステムであって、CO含有基質の発酵によって発酵生成物を生成するように適合された1種類以上の微生物の培養物を含み、1以上のバイオマス液化プロセスからCO含有基質の少なくとも一部を受け取るように適合されているバイオリアクターを含むシステムを提供する。
【0044】
特定の実施形態において、CO含有基質はさらに、CO
2および/またはH
2を含む。
【0045】
特定の実施形態において、1以上のバイオマス液化プロセスは、焙焼、熱分解および気化から選択される。特定の実施形態において、バイオマス液化プロセスで使用されるバイオマスの少なくとも一部は、バイオリアクターから回収されたバイオマスを含む。
【0046】
特定の実施形態において、バイオマス液化プロセスは熱分解を含み、このシステムはさらに、熱分解生成物を生成するように適合された熱分解ゾーンを含む。好ましくは、熱分解生成物は、熱分解油、炭および/または熱分解ガスである。
【0047】
特定の実施形態において、熱分解ゾーンは、バイオリアクターに熱分解ガスの少なくとも一部を送るように適合された少なくとも1つの出口を含む。
【0048】
特定の実施形態において、システムはさらに、
a.熱分解反応器からの熱分解油;
b.バイオリアクターからの水素を含む流出ガス流
を受け取るように適合された水素化ゾーンを含む。
【0049】
特定の実施形態において、流出ガス流は、熱分解ゾーンに戻される。特定の実施形態において、流出ガス流は燃料源として使用される。
【0050】
特定の実施形態において、このシステムはさらに、固体および/または液体のバイオマスを受け取るように適合され、かつCO含有基質の一部としてバイオリアクターに気化生成物を送るように適合された気化ゾーンを含む。好ましくは、固体および/または液体のバイオマスは、熱分解ゾーンから受け取った熱分解生成物である。好ましくは、固体の熱分解生成物は炭であり、液体の熱分解生成物は、熱分解油である。
【0051】
特定の実施形態において、このシステムはさらに、焙焼バイオマスを生成するためにバイオマスを焙焼に供するように適合された焙焼ゾーン、ならびにCO、CO
2および/またはH
2を含む1種類以上の焙焼ガスの少なくとも一部をバイオリアクターに送るように適合された出口を含む。
【0052】
特定の実施形態において、熱分解ゾーンは、焙焼バイオマスの少なくとも一部を受け取るように適合されている。
【0053】
特定の実施形態において、熱分解ゾーン、焙焼ゾーンおよび/または気化ゾーンは、さらに、1種類以上のガス生成物の少なくとも一部をバイオリアクターに送るように適合された1以上の出口を含む。好ましくは、ガス生成物は、CO、CO
2および/またはH
2を含む。
【0054】
特定の実施形態において、このシステムは、CO含有基質への添加のためのCOを形成するために、CO
2の存在下で炭を変換するように適合された炭変換ゾーンを含む。好ましくは、変換用のCO
2は、バイオリアクター、焙焼リアクター、気化モジュールおよび/または熱分解リアクターからガス再循環導管を介して受け取られる。
【0055】
第5の態様において、本発明は、第1、第2もしくは第3の態様のいずれかの方法、または第4の態様のシステムにより生成される場合に、発酵生成物を提供する。
【0056】
以下の実施形態は、本明細書に提供される態様のいずれかに適用することができる。
【0057】
一実施形態において、カルボキシド栄養性酢酸生成微生物は、クロストリジウム属由来のものである。一実施形態において、カルボキシド栄養性酢酸生成微生物は、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium ragsdaleiおよびClostridium coskatiiからなる群から選択される。特定の一実施形態において、この微生物は、Clostridium autoethanogenum DSM23693である。別の特定の実施形態において、この微生物は、Clostridium ljungdahlii DSM13528である。
【0058】
一実施形態において、発酵生成物は、アルコールまたはジオールである。一実施形態において、アルコールはエタノールである。別の実施形態において、ジオールは2,3−ブタンジオールである。特定の実施形態において、1種類以上の発酵生成物は、エタノールおよび2,3−ブタンジオールである。一実施形態において、酢酸は、発酵の副産物として生成される。
【0059】
一実施形態において、本発明は、1種類以上の発酵生成物の誘導体として得られる1種類以上のアルカンを提供する。一実施形態において、1種類以上の発酵生成物はさらに、熱化学変換法または触媒変換法などの公知の変換法によって下流生成物に変換される。
【0060】
一実施形態において、本発明は、上記の態様のいずれかに記載の方法に従って生成される熱分解油の誘導体として得られる1種類以上のアレーン化合物を提供する。特定の実施形態において、1種類以上のアレーン化合物は、燃料を生成するために1種類以上のアルカンと組み合わされる。
【0061】
本発明は、本出願の明細書で言及もしくは示される部分、要素および特徴に個別に存在する、または前記部分、要素もしくは特徴のうちの2以上の任意のもしくは全ての組み合わせで集合的に存在すると広く言うこともでき、本発明が関連する技術分野で公知の等価物を有する特定の整数が本明細書に記載されている場合には、そのような公知の等価物は個々に記載されたものとして本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0062】
全てのその新規な態様において考慮されるべきである本発明のこれらのおよび他の態様は、添付の図面を参照することで、例としてのみ与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0064】
定義
以下は、好ましい実施形態を含み、一般用語で与えられる本発明の説明である。
【0065】
本明細書で言及する「発酵ブロス」とは、少なくとも栄養培地および細菌細胞を含む培地である。
【0066】
「効率の増加」および「増加した効率」などの用語は、発酵プロセスに関連して使用される場合に、発酵を触媒する微生物の増殖速度、上昇した生成物濃度での増殖速度および/または生成物の生成速度、消費される基質の体積当たりの生成される所望の生成物の体積、所望の生成物の生成速度または生成レベル、ならびに発酵の他の副産物と比較した生成される所望の生成物の相対的割合のうちの1以上の増加を含むが、これらに限定されない。
【0067】
「一酸化炭素を含む基質」という語句および類似の用語は、任意の基質を含むと理解されるべきであり、例えば、その中の一酸化炭素は、増殖および/または発酵のための1種類以上の細菌株に利用できる。この基質は「一酸化炭素を含むガス状基質」であり得、類似の語句および用語は、ある程度の一酸化炭素を含む任意のガスを含む。特定の実施形態において、この基質は、少なくとも約20体積%〜約100体積%、20体積%〜約70体積%、30体積%〜約60体積%、および40体積%〜約55体積%のCOを含む。特定の実施形態において、この基質は、約25体積%、約30体積%、約35体積%、約40体積%、約45体積%、約50体積%、約55体積%、または約60体積%のCOを含む。
【0068】
基質にとって水素を含有することは必要ではないが、H
2の存在は、本発明の方法による生成物形成に有害であってはならない。特定の実施形態において、水素の存在は、全体的な効率が改善されたアルコール生成をもたらす。例えば、特定の実施形態において、基質のH
2:COの比は、約2:1、1:1または1:2であり得る。一実施形態において、基質は、約30体積%以下、20体積%以下、約15体積%以下、または約10体積%以下のH
2を含む。他の実施形態において、基質流は、低濃度、例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、もしくは1%未満のH
2を含むか、または実質的に水素を含まない。この基質は、約1体積%〜約80体積%、または1体積%〜約30体積%のCO
2などのある程度のCO
2も含んでいてよい。一実施形態において、この基質は、約20体積%以下のCO
2を含む。特定の実施形態において、この基質は、約15体積%以下、約10体積%以下、約5体積%以下のCO
2を含むか、または実質的にCO
2を含まない。
【0069】
以下の説明において、本発明の実施形態を、「CO含有ガス状基質」の送達および発酵の観点から説明する。しかし、このガス状基質は、代替的な形態で提供されてもよいことが理解されるべきである。例えば、CO含有ガス状基質は、液体中に溶解されて提供されてもよい。本質的に、液体は、一酸化炭素含有ガスで飽和され、その後、その液体がバイオリアクターに添加される。これは、標準的な方法を用いて達成することができる。一例として、マイクロバブル分散物発生装置(Hensirisak et.al.Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;Applied Biochemistry and Biotechnology 101巻、No.3/2002年10月)を使用することができる。さらなる例として、CO含有ガス状基質は、固体支持体上に吸着されていてもよい。このような代替方法は、「CO含有基質」などの用語の使用によって包含される。
【0070】
本発明の特定の実施形態において、CO含有ガス状基質は、工業オフガスまたは廃ガスである。「工業廃ガスまたはオフガス」は、工業プロセスによって生成されるCOを含む任意のガスを含み、鉄金属生成物製造、非鉄生成物製造、石油精製プロセス、石炭の気化、バイオマスの気化、電力生産、カーボンブラック生成、およびコークス製造の結果として生成されるガスを含むと広く解釈されるべきである。さらなる例を、本明細書の他の箇所に提供することができる。
【0071】
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書で使用する「発酵」、「発酵プロセス」または「発酵反応」などの語句は、プロセスの増殖相および生成物生合成相の両方を包含することが意図される。いくつかの実施形態において、バイオリアクターは、第1の増殖リアクターおよび第2のまたはさらなる発酵リアクターを含んでもよい。このように、発酵反応への金属または組成物の添加は、これらの反応器のいずれか1つに添加することを含むと理解されるべきである。
【0072】
「バイオリアクター」という用語は、連続攪拌タンク反応器(CSTR)、固定化細胞反応器(ICR)、トリクルベッド反応器(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、スタティックミキサー、または気液接触に適する他の容器もしくは他の装置を含む1以上の容器および/もしくはタワーまたは配管からなる発酵装置を含む。いくつかの実施形態において、このバイオリアクターは、第1の増殖リアクターおよび第2のまたはさらなる発酵リアクターを含んでもよい。このように、バイオリアクターまたは発酵反応への基質の添加に言及する場合には、必要に応じて、これらの反応器のいずれか1つに添加することを含むと理解されるべきである。
【0073】
説明
本発明者らは、驚くべきことに、バイオマス液化プロセスを含む統合システムおよびガス発酵プロセスを用いて、有用な発酵生成物を生成することができることを見出した。バイオマス液化プロセスは、ガス発酵プロセスでの使用に特に適するガス状基質を生成するように適合され得る。
【0074】
COおよびCO
2ならびに/もしくはH
2は、任意の便利な方法を使用してバイオマス液化プロセスから捕捉されるかまたは導かれる。ガス状基質の組成に応じて、発酵に導入する前に、望ましくない不純物を除去するためにそれを処理することが望ましい場合もある。例えば、基質は、公知の方法を用いて濾過または洗浄されてもよい。しかし、本発明者らは、発酵に使用される微生物培養物が、液化生成物に見られ得る不純物に対して驚くほど高い耐性を有することを見出した。液化ガス生成物は、比較的不純であり、微生物発酵での使用に適さないと思われるが、発酵は実際に進行し、有用な発酵生成物を生成することができる。
【0075】
さらに、ガスのCO、CO
2および/またはH
2の最終濃度および相対濃度は、特定の液化プロセスパラメータを調整することにより、微生物発酵のために最適化することができる。例えば、液化プロセスの間により低い温度を維持することによって、液体の収率を最大化することができる。しかし、液化プロセス中により高い温度を使用することにより、CO量の増加がもたらされる。この段階でのCOガスの増加が、発酵プロセス中のエタノール収率の増加を可能にするので、このCOの増加は、発酵プロセスに有益であり得る。
【0076】
微生物バイオマス
本発明は、発酵からのバイオマスのリサイクルのための統合システムも提供する。本発明のこの実施形態において、バイオマス液化プロセスで使用されるバイオマスの少なくとも一部は、バイオリアクターから回収されたバイオマスを含む。回収されたバイオマスは、主に微生物培養物からの死んだ細胞物質からなる。
【0077】
バイオマスは除去およびリサイクルされ、本明細書に記載のものなどの1以上のバイオマス液化プロセスによって処理される。水分、発酵生成物を除去するため、または他の方法でその特性を変更するために、液化前に除去されたバイオマスを処理することが望ましい場合がある。
【0078】
公知の液化プロセスは、農業廃棄物および他の一般的なバイオマス源を含むバイオマスを使用する場合が多い。しかし、これらの原料は、最適な液化処理には大きすぎる粒径を含む場合が多い。本発明は、微生物発酵から回収されたバイオマス原料を提供する。この発酵バイオマスは、小さな粒径を有しており、効率的な液化処理にふさわしい乾燥微粉化バイオマス原料として調製することが簡単である。
【0079】
焙焼
焙焼は、酸素の非存在下での摂氏150〜340℃の範囲内でのバイオマスの熱化学処理である。このプロセスでは、バイオマス(特にヘミセルロース)が分解し部分的に様々な種類の揮発性物質を生じる。残りの焙焼バイオマス(固体)が質量単位あたり約30%より多いエネルギー含量を有する。焙焼プロセスは、本明細書に記載の発酵プロセスで使用できるCO、CO
2および/またはH
2を生成する。特定の実施形態において、1種類以上の焙焼ガスの少なくとも一部は、CO含有基質に添加され、発酵プロセスに送られる。
【0080】
特定の実施形態において、1以上のバイオマス液化プロセスは、焙焼および熱分解を含む。好ましくは、バイオマスは、最初に焙焼に共され、焙焼バイオマスを生成し、その後焙焼バイオマスの少なくとも一部が熱分解に供される。熱分解プロセスの少なくとも1種類のガス状生成物がバイオリアクターに送られる。一実施形態において、熱分解プロセスの少なくとも1種類のガス状生成物は、焙焼法によって生成されるCO含有基質に添加される。一実施形態において、熱分解プロセスの少なくとも1種類のガス状生成物は、CO、CO
2およびH
2からなる群から選択される。
【0081】
特定の実施形態において、CO含有基質はさらに、焙焼、気化または熱分解プロセスの生成物であるCO
2を含む。
【0082】
特定の実施形態において、CO含有基質はさらに、熱分解、または焙焼、気化プロセスの生成物であるH
2を含む。
【0083】
特定の実施形態において、このシステムはさらに、焙焼バイオマスを生成するためにバイオマスを焙焼に供するように適合された焙焼ゾーン、ならびにCO、CO
2および/またはH
2を含む1種類以上の焙焼ガスの少なくとも一部をバイオリアクターに送るように適合された出口を含む。
【0084】
一実施形態において、熱分解ゾーンは、焙焼ゾーンから焙焼バイオマスの少なくとも一部を受け取るように適合されている。
【0085】
特定の実施形態において、熱分解ゾーン、焙焼ゾーンおよび/または気化ゾーンは、さらに、1種類以上のガス生成物の少なくとも一部をバイオリアクターに送るように適合された1以上の出口を含む。好ましくは、ガス生成物は、CO、CO
2および/またはH
2を含む。
【0086】
一実施形態において、焙焼ゾーン、熱分解ゾーン、または気化ゾーンのいずれか1つによって生成されるガス状生成物は、ガス流(複数可)の少なくとも一部を分離するように動作する分離ゾーンに送られる。一実施形態において、分離ゾーンは、ガス流からCO
2を分離するための条件下で動作し、CO
2に富む流れ、およびCOとH
2に富む流れを生成する。
【0087】
熱分解
特定の実施形態において、バイオマス液化プロセスは熱分解を含む。熱分解プロセスは、CO含有ガス状基質および熱分解生成物を生成する。熱分解生成物は、熱分解油および炭からなる群から選択される。熱分解は、低酸素環境/無酸素環境下でバイオマスを加熱することにより、バイオマスからこれらの生成物を生成する。酸素が存在しないと、燃焼を防げる。熱分解からの生成物の相対収量は、温度によって変化する。400〜500℃(752〜932°F)の温度はより多くの炭を生成するが、700℃(1,292°F)を超える温度は、液体およびガス燃料成分の収率を有利にする。
【0088】
熱分解は、高温で、典型的には、時間ではなく秒単位でより迅速に生じる。高温の熱分解も、気化として知られており、主に合成ガスを生成する。典型的な収率は、(バイオオイルとしても知られる)熱分解油が60%、バイオ炭が20%、および合成ガスが20%である。比較すると、低速の熱分解が、実質的により多くの炭(約50%)を生成することができる。初期化されると、両方のプロセスは正味のエネルギーを生成する。典型的な投入のために、「高速」熱分解装置を実行するのに必要なエネルギーは、それが産出するエネルギーの約15%である。
【0089】
特定の実施形態において、液化プロセス中に生成されるエネルギーを用いて、発酵反応およびその後の発酵生成物の分離の効率を高めてもよい。特定の実施形態において、このエネルギーを用いて、発酵基質を加熱または冷却するか、または例えば、蒸留によって発酵生成物の分離を可能にする。
【0090】
「高速」熱分解は、大気圧および中程度の温度(400〜500℃)で動作するという利点を有する。熱分解油の収率は70%w/wを超え得る。本発明で使用することができる高速熱分解炉にはいくつかの種類がある。特定の実施形態は、バブリング流動床、循環流動層/輸送炉、回転コーン熱分解装置、切除熱分解装置、真空熱分解装置およびオーガーリアクター(Auger reactor)からなる群から選択される反応器を含む。バブリング媒体または循環媒体のいずれかを有する流動床反応器が、高速熱分解のために最も一般的に用いられている。オーガーリアクターは、それらの単純さおよび制御の容易さにより使用されているが、それらは、流動床反応器を用いて得られる急速発熱率を達成できない。SadakaおよびBoateng(2009)は、熱分解のために使用される反応器の種類を概説している。
【0091】
熱分解プロセスの間に、バイオマスの有機成分(すなわち、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニン)が分解および脱重合され、蒸気とミクロンサイズの液滴のエアロゾルの混合物を形成する。反応時間を延長すると、エアロゾルの2次反応を促進し、低分子量の炭化水素(例えば、CH
4、C
2H
6など)ならびに合成ガス(COおよびCO
2および/またはH
2)の形成が増加する。混合物の急速冷却および濃縮により熱分解油が形成される。特定の実施形態において、熱分解ガスの少なくとも一部は、CO含有基質の一部としてバイオリアクターに送られる。
【0092】
(大体、C
6H
8O
4で表される)熱分解油は、酸素化有機化合物(例えば、酸類、アルコール類、アルデヒド類、エステル類、フラン類、ケトン類、糖類、フェノール類および多くの多官能性化合物)と水(典型的には、約15〜30%w/w)の複雑な混合物である。元素ベースでは、親バイオマスと組成的に類似しており、それゆえに、「液体植物物質」と呼ばれることもある。
【0093】
バイオマス由来の熱分解油は、炭素が豊富で、原油と同様の方法で精製することができる。固形バイオマス物質と比較して、輸送および貯蔵の容易さと共に、熱分解油は、石油精製における燃料および化学物質の生成のための潜在的原料として機能し得る。熱分解油を用いて、輸送燃料を含むバイオ燃料を生成してもよい。熱分解油は、未処理の形態で使用されてもよいが、後処理は、特定の用途のために熱分解油を最適化することが望ましい場合がある。
【0094】
特定の実施形態において、熱分解油は、発酵基質で使用される前に気化される。
【0095】
熱分解油はより少ない量の微量金属を含み、硫黄は低排出燃焼燃料として特に有用である。熱分解プロセスからの熱分解油の回収および炭などの副産物からの分離は、公知の方法に従って行ってもよい。
【0096】
熱分解油の比較的高い酸素含有量は、ほとんどの化石燃料と比べて発熱量を減少させる(例えば、重油の発熱量の約半分)。この高い酸素含量および水分含量が、特定の状況において、熱分解油を従来の炭化水素燃料よりも劣らせ得る。さらに、液体の相分離および重合、ならびに容器の腐食により、これらの液体の貯蔵は困難になる。
【0097】
熱分解油の改良を用いて、穏やかな水素処理、その後の水素化分解法によって熱分解油をガソリンに変換することができる。このような方法は当技術分野で公知である。しかし、水素生成は資本集約的であり、特に低純度の流れから、水素生成および回収効率を高める方法を開発することが望ましい。水素回収がない場合には、このような流れは、燃料ガスで終わるかまたはフレアに送られ、高価な水素成分が効率的に無駄になる。
【0098】
本発明は、H
2を含む流出ガス流が発酵バイオリアクターから水素化ゾーンに送られ、そこで熱分解ゾーンから熱分解油を受け取る方法およびシステムを提供する。H
2は熱分解油と接触し、その油を水素化して、炭化水素生成物を生成する。炭化水素生成物は、6〜20個の炭素を有する。一実施形態において、炭化水素生成物はハイグレードの灯油である。一実施形態において、水素化ゾーンは、ジェット燃料用の炭化水素生成物を生成するための条件下で動作する。一実施形態において、水素化は、蒸気改質装置モジュールで発生する。
【0099】
特定の実施形態において、熱分解油を、バイオリアクターから受け取った水素を含む流出ガス流と接触させる。CO含有基質はバイオリアクターに供給される。この基質は、熱分解プロセスの、または代替バイオマス液化プロセスの副産物として生成された可能性のあるガスを含む。特定の実施形態において、CO含有基質はH
2も含む。発酵プロセスは、この基質のCO成分および必要に応じてCO
2成分の少なくとも一部を固定し、したがって、より高い濃度の水素を有する流出ガス流をもたらす。
【0100】
本発明は、水素精製装置としての発酵反応を使用し、次いで、優れた品質のバイオ燃料に熱分解油を改良するために水素を使用する方法およびシステムを提供する。これらの高品質の最終生成物は、熱分解油の高価な貯蔵または輸送を必要とすることなく、かつ熱分解油の改良プロセスで使用するために取得および貯蔵される高純度水素を必要とすることなく生成することができる。発酵が効果的に水素膜として機能すると、バイオリアクターに提供される基質と比較して、H
2が未変換のまま通過し、流出ガス流中のH
2を濃縮することが可能になる。
【0101】
流出流がH
2および許容できないレベルの不純物または他のガス種を含む場合、さらなる精製は熱分解油の改良の前が望ましい場合がある。精製法は、当業者に公知であり、圧力スイング吸着プロセスの使用を含んでもよい。圧力スイング吸着(PSA)プロセスを用いて、不純な流れから水素を回収するか、または流れの中で水素の純度を高めてもよい。H
2を含むガス流は、高圧でCO
2、CO、CH
4、N
2およびH
2Oを吸着する分子篩システムに入る。水素は、ふるいを通過することが可能であり、約65〜90%の収率で回収される(より高い収率はより低い最終H
2生成物の純度と関連づけられる)。飽和すると、ふるいは減圧され、その後、脱着ガスは可能な限り最小量の水素生成物を用いて掃き出される。大量の吸着種はより低い再生圧力で放出されるので、再生の程度は圧力の関数である。これは、順番に、より多くの水素回収につながる。したがって、大気圧に近い再生圧力は、水素回収を最大化する。その後、容器は、吸着剤として次の期間のために準備された水素で再加圧される。商用システムは、典型的には、円滑な動作を与えるために3つまたは4つの容器を有する。PSA工程から産出される典型的なガス流は、以下のものを含む:H
2(約7〜27%)、CO
2、COおよびCH
4。
【0102】
気化
特定の実施形態において、固体および/または液体供給原料は、固体および/または液体のバイオマスを受け取るように適合された気化ゾーン内で気化される。気化生成物の少なくとも一部は、CO含有基質の一部としてバイオリアクターに送られる。特定の実施形態において、原料は、固体の熱分解生成物、例えば、炭、または液体熱分解生成物、例えば、熱分解油である。
【0103】
気化時には、原料は、以下のプロセスを経る。
a.脱水は約100℃で生じる。典型的には、得られる蒸気はガス流中で混合され、その後の化学反応は、温度が十分に高い場合に、特に水性ガス反応に関与し得る(ステップ5参照)。
b.熱分解プロセスは、約200〜300℃で生じる。揮発性物質が放出され、炭が生成し、石炭について最大70%の重量損失をもたらす。このプロセスは、炭素質材料の特性に依存し、炭の構造および組成を決定し、その後、気化反応を受ける。
c.燃焼プロセスは揮発性生成物として生じ、炭の一部は酸素と反応して、主に二酸化炭素および少量の一酸化炭素を形成し、その後の気化反応のための熱を提供する。
d.炭が炭素、蒸気およびCO
2と反応した時に気化が起こり、一酸化炭素および水素を生成する。さらに、可逆的気相水性ガスシフト反応は、気化炉内の温度で非常に高速で平衡に達する。これは、一酸化炭素、蒸気、二酸化炭素および水素の濃度のバランスをとる。
【0104】
炭の変換
炭は、バイオマスの熱分解により生成される固体木炭である。土壌の肥沃度を増加させるか、農業の生産性を高めるか、または低グレードの土壌を改善するために、土壌改良などの特定の目的のために使用される場合に、炭はバイオ炭と呼ぶことができる。炭の使用は森林伐採を減らすことができ、炭素隔離による地球温暖化の緩和法とみなされてきた。
【0105】
炭の品質は、供給源および生成プロセスに依存して異なる。土壌改良剤として使用される場合に、炭は、水質を改善し、温室効果ガスの土壌排出量を削減し、栄養素浸出を減少させ、土壌の酸性度を減少させ、灌漑および肥料の要件を低減することができる。
【0106】
本発明は、CO含有基質の使用を含む発酵プロセスであって、基質の少なくとも一部が炭変換プロセスによって生成されるプロセスも提供する。
【0107】
炭は、CO
2の存在下で、炭変換モジュール内で変換を受け、COを形成する。好ましくは、変換用のCO
2は、バイオリアクター、焙焼ゾーン、気化ゾーンおよび/または熱分解ゾーンからガス再循環導管を経由して炭変換モジュール内で受け取られる。
【0108】
生成物
本発明は、本明細書に開示された方法およびシステムによって生成される発酵生成物を提供する。特定の実施形態において、発酵生成物はアルコールまたはジオールである。一実施形態において、アルコールはエタノールである。別の実施形態において、ジオールは2,3−ブタンジオールである。特定の実施形態において、1種類以上の発酵生成物は、エタノールおよび2,3−ブタンジオールである。発酵生成物の下流処理は、アルカンまたは他の炭化水素などの誘導体を生成することができる。
【0109】
本発明はまた、本明細書に記載の方法およびシステムによる熱分解油の処理によって得ることができる1種類以上のアレーン化合物も提供する。特定の実施形態において、1種類以上のアレーン化合物をアルカンと組み合わせて、他の燃料および化合物、特に、輸送燃料を生成することができる。
【0110】
CO含有基質ガスに加えて、細菌の増殖および生じる生成物の生成のために、適切な液体栄養培地をバイオリアクターに供給する必要があることを理解されたい。
【0111】
特定の実施形態において、発酵は水性培地中で起こる。特定の実施形態において、基質の発酵はバイオリアクター内で起こる。
【0112】
基質および培地は、連続的なバッチ方式またはバッチ供給方式でバイオリアクターに供給されてもよい。栄養培地は、使用される微生物の増殖を可能にするのに十分なビタミンおよびミネラルを含有する。COを用いる発酵に適する嫌気性培地は当技術分野で公知である。例えば、適切な培地については、Biebel(2001)に記載されている。本発明の一実施形態において、培地は、本明細書の後の実施例の節に記載されているものである。
【0113】
典型的には、COは気体状態で発酵反応に添加される。しかし、本発明の方法は、この状態での基質の添加に限定されない。例えば、一酸化炭素は液体で提供することができる。例えば、液体は一酸化炭素含有ガスで飽和され、その液体がバイオリアクターに添加されてもよい。これは、標準的な方法論を用いて達成されてもよい。一例として、マイクロバブル分散物発生装置(Hensirisak et.al.Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;
Applied Biochemistry and Biotechnology101巻、No.3/2002年10月)を、この目的のために使用することができる。「ガス流」が本明細書で言及される場合、この用語は、上記の飽和液法などのその流れのガス状成分を輸送する他の形態も包含する。
【0114】
ガス状基質
CO含有基質は、少なくとも約20体積%〜約100体積%のCO、40体積%〜95体積%のCO、40体積%〜60体積%のCO、および45体積%〜55体積%のCOなどの任意の割合のCOを含んでいてもよい。特定の実施形態において、この基質は、約25体積%、約30体積%、約35体積%、約40体積%、約45体積%、または約50体積%、約55体積%、または約60体積%のCOを含む。特にH
2およびCO
2も存在する場合に、2%などのより低い濃度のCOを有する基質も適切であり得る。
【0115】
H
2の存在は、発酵による炭化水素生成物形成に有害であってはならない。特定の実施形態において、水素が存在すると、アルコール生成の全体的な効率が改善する。例えば、特定の実施形態において、基質のH
2:COの比は、約2:1、1:1または1:2であり得る。他の実施形態において、CO含有基質は、約30%未満、27%未満、20%未満、10%未満、またはより低い濃度のH
2、例えば、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、もしくは1%未満のH
2を含むか、または実質的に水素を含まない。さらに他の実施形態において、CO含有基質は、50%を超える、60%を超える、70%を超える、80%を超える、または90%を超えるH
2を含む。基質は、ある程度のCO
2、例えば、約1体積%〜約80体積%のCO
2、または1体積%〜約30体積%のCO
2を含んでもよい。
【0116】
発酵条件および微生物
ガス状基質からのエタノールおよび他のアルコールを生成するためのプロセスが知られている。典型的なプロセスは、例えば、WO 2007/117157、WO 2008/115080、WO 2009/022925、WO 2009/064200、米国特許第6,340,581号、同第6,136,577号、同第5,593,886号、同第5,807,722号、および同第5,821,111号に記載のものが含まれ、これらの各々は本明細書に参照により組み込まれる。
【0117】
発酵は、望ましくは、生じることが望ましい発酵生成物の生成に適切な発酵条件下で行われるべきである。考慮されるべき反応条件には、圧力、温度、ガス流速、液体流速、培地のpH、培地の酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽型反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のCOが律速にならないことを確実にするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最大生成物濃度が含まれる。
【0118】
さらに、基質流のCO濃度(またはガス状基質中のCO分圧)を増加させ、COが基質である発酵反応の効率を高めることが望ましい場合が多い。圧力を高めて動作させると、発酵生成のための炭素源として微生物が取り込むことができるCOの気相から液相への移動速度を著しく増加させることができる。これは、ひいては、バイオリアクターが大気圧よりも高圧で維持される場合に、(入力ガス流量で割ったバイオリアクター中の液体体積として定義される)保持時間を低減することができることを意味する。最適な反応条件は、使用される本発明の特定の微生物に部分的に依存する。しかし、一般的には、発酵は周囲圧力より高い圧力で行うことが好ましい。また、所与のCOから生成物への変換速度は部分的に基質保持時間の関数であり、ひいては、所望の滞留時間の達成はバイオリアクターの必要容積を決定するので、加圧されたシステムを使用することでバイオリアクターの必要容量を大幅に減らすことができ、その結果、発酵装置の資本コストを大幅に減らすことができる。米国特許第5,593,886号に与えられる例により、リアクターの容積は、リアクターの運転圧力の増加に比例して低減することができ、すなわち、圧力10気圧で動作させたバイオリアクターは、圧力1気圧で動作させたバイオリアクターの容積のわずか10分の1しか必要としない。
【0119】
一例として、高圧でガスからエタノールへの発酵を行うことの利点について説明されている。例えば、WO 02/08438は、30psigおよび75psigの圧力下で行われるガスからエタノールへの発酵について説明しており、それぞれのエタノール生産性は、150g/l/日および369g/l/日である。しかし、例えば、大気圧で同様の培地および流入ガス組成を用いて行われる発酵は、1日当たり1リットル当たり10〜20倍少ないエタノールを生成することが判明した。
【0120】
CO含有ガス状基質の導入速度は、液相中のCOの濃度が律速にならないことを確実にするようなものであることも望ましい。1種類以上の生成物が培養により消費されるのは、COが制限された条件の結果であり得るからである。
【0121】
発酵反応に供給するために使用されるガス流の組成は、反応の効率および/またはコストに大きな影響を与え得る。例えば、O
2は、嫌気性発酵プロセスの効率を低下させることができる。発酵前後の発酵プロセスの段階での望ましくないまたは不必要な気体の処理は、このようなステージの負荷を増加させ得る(例えば、ガス流がバイオリアクターに入る前に圧縮される場合に、不必要なエネルギーを用いて、発酵に必要ではない気体を圧縮することができる)。したがって、不要な成分を除去し、望ましい成分の濃度を増加させるために、基質流、特に、工業供給源由来の基質流を処理することが望ましい場合がある。
【0122】
特定の実施形態において、本明細書で定義する微生物の培養は水性培地中で維持される。好ましくは、水性培地は嫌気性微生物増殖用の最少培地である。適切な培地は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,173,429号、同第5,593,886号およびWO 02/08438号に記載されており、下記の実施例の節に記載されているものである。
【0123】
特定の実施形態において、この微生物は、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljungdahlii、Clostridium ragsdalei、Clostridium carboxidivorans、Clostridium drakei、Clostridium scatologenes、Clostridium aceticum、Clostridium formicoaceticum、Clostridium magnum、Butyribacterium methylotrophicum、Acetobacterium woodii、Alkalibaculum bacchii、Blautia producta、Eubacterium limosum、Moorella thermoacetica、Moorella thermautotrophica、Sporomusa ovata、Sporomusa silvacetica、Sporomusa sphaeroides、Oxobacter pfennigii、およびThermoanaerobacter kiuviを含むカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の群から選択される。
【0124】
特定の一実施形態において、親微生物は、C.autoethanogenum、C.ljungdahlii、およびC.ragsdaleiの種ならびに関連分離株を含むエタノール生成酢酸生成クロストリジウムのクラスターから選択される。これらには、C.autoethanogenum JAI−1T(DSM10061)[Abrini J,Naveau H,Nyns E−J:Clostridium autoethanogenum,sp.nov.、一酸化炭素からエタノールを生成する嫌気性細菌(an anaerobic bacterium that produces ethanol from carbon monoxide) Arch Microbiol 1994,4:345−351]、C.autoethanogenum LBS1560(DSM19630)[Simpson SD,Forster RL,Tran PT,Rowe MJ,Warner IL:新規細菌およびその方法(Novel bacteria and methods thereof)、国際特許公開2009、WO/2009/064200]、C.autoethanogenum LBS1561(DSM23693)、C.ljungdahlii PETCT(DSM13528=ATCC55383)[Tanner RS,Miller LM,Yang D:Clostridium ljungdahlii sp.nov.,クロストリジウムrRNAの相同性グループIの中の酢酸生成種(an Acetogenic Species in Clostridial rRNA Homology Group I)、Int J Syst Bacteriol 1993,43:232−236]、C.ljungdahlii ERI−2(ATCC55380)[Gaddy JL:廃棄物ガスから酢酸を生成するクロストリジウム株(Clostridium stain which produces acetic acid from waste gases)、米国特許第5,593,886号、1997]、C.ljungdahlii C−01(ATCC 55988)[Gaddy JL,Clausen EC,Ko C−W:発酵ブロスからの抽出のための酢酸および溶剤の調製のための微生物プロセス(Microbial process for the preparation of acetic acid as well as solvent for its extraction from the fermentation broth)、米国特許第6,368,819号、2002]、C.ljungdahlii O−52(ATCC 55989)[Gaddy JL,Clausen EC,Ko C−W:発酵ブロスからの抽出のための酢酸および溶剤の調製のための微生物プロセス(Microbial process for the preparation of acetic acid as well as solvent for its extraction from The fermentation broth)、米国特許第6,368,819号、2002]、C.ragsdalei P11T(ATCC BAA−622)[Huhnke RL,Lewis RS,Tanner RS:新規クロストリジウム種の単離および特徴(Isolation and Characterization of novel Clostridial Species)、国際特許WO 2008/028055号、2008]、関連分離株、例えば、「C.coskatii」[Zahnら−新規エタノール生成種Clostridium coskatii(米国特許出願第2011/0229947号)]および「Clostridium sp.」(Tyurin et al.,2012,J.Biotech Res.4:1−12)、または変異株、例えば、C.ljungdahlii OTA−1(Tirado−Acevedo O.Clostridium ljungdahliiを用いた合成ガスからのバイオエタノールの生成(Production of Bioethanol from Synthesis Gas Using Clostridium ljungdahlii)、博士論文、ノースカロライナ州立大学、2010)が含まれるが、これらに限定されない。これらの株は、クロストリジウムのrRNAクラスターI内にサブクラスターを形成し、それらの16S rRNA遺伝子は99%以上同一であり、GC含量が約30%で同様に低い。しかし、DNA−DNA再会合およびDNAフィンガープリンティング実験は、これらの株が異なる種に属することを示した[Huhnke RL,Lewis RS,Tanner RS:新規クロストリジウム種の単離および特徴付け(Isolation and Characterization of novel Clostridial Species) 国際特許WO 2008/028055号、2008)。このクラスターの全ての種は、同様の形態およびサイズを有しており(対数増殖細胞は0.5〜0.7×3〜5μmであり)、中温性(30〜37℃の最適増殖温度)で、絶対嫌気性菌である[Tanner RS,Miller LM,Yang D:Clostridium ljungdahlii sp.nov.,クロストリジウムrRNAの相同性グループIの中の酢酸生成種(an Acetogenic Species in Clostridial rRNA Homology Group I)、Int J Syst Bacteriol 1993,43:232−236;Abrini J,Naveau H,Nyns E−J:Clostridium autoethanogenum,sp.nov.,一酸化炭素からエタノールを生成する嫌気性細菌(an anaerobic bacterium that produces ethanol from carbon monoxide) Arch Microbiol 1994,4:345−351;Huhnke RL,Lewis RS,Tanner RS:新規クロストリジウム種の単離および特徴付け(Isolation and Characterization of novel Clostridial Species)]、国際特許WO 2008/028055号、2008]。さらに、それらは全て、同様のpH範囲(pH4〜7.5、最適な初期pH5.5〜6)などの同様の系統発生学的特色、同様の増殖率によるCO含有ガス上での強力な独立栄養成長、ならびに主発酵最終生成物がエタノールおよび酢酸であり、特定の条件下で少量の2,3−ブタンジオールおよび乳酸が形成されるという類似の代謝プロファイルを共有する[Tanner RS,Miller LM,Yang D:Clostridium ljungdahlii sp.nov.,クロストリジウムrRNAの相同性グループIの中の酢酸生成種(an Acetogenic Species in Clostridial rRNA Homology Group I)、Int J Syst Bacteriol 1993,43:232−236;Abrini J,Naveau H,Nyns E−J:Clostridium autoethanogenum,sp.nov.,一酸化炭素からエタノールを生成する嫌気性細菌(an anaerobic bacterium that produces ethanol from carbon monoxide)、Arch Microbiol 1994,4:345−351;Huhnke RL,LewiS RS,Tanner RS:新規クロストリジウム種の単離および特徴付け(Isolation and Characterization of novel Clostridial Species)、国際特許WO 2008/028055号、2008]。インドール生成も全3種で観察された。しかし、これらの種は、様々な糖類(例えば、ラムノース、アラビノース)、酸類(例えば、グルコン酸、クエン酸)、アミノ酸類(例えば、アルギニン、ヒスチジン)、または他の基質類(例えば、ベタイン、ブタノール)の基質利用に区別される。さらに、これらの種のいくつかは、特定のビタミン類(例えば、チアミン、ビオチン)に対して栄養要求体であるが、他の種はそうではないことが判明した。
【0125】
一実施形態において、この親微生物は、Clostridium autoethanogenumまたはClostridium ljungdahliiである。特定の一実施形態において、この微生物は、Clostridium autoethanogenum DSM23693である。別の特定の実施形態において、この微生物は、Clostridium ljungdahlii DSM13528(またはATCC55383)である。
【0126】
発酵は、基質を1種以上の微生物と接触させることができる、気体/液体接触用に構成された任意の適切なバイオリアクター、例えば、連続撹拌槽型反応器(CSTR)、固定化細胞反応器、ガスリフト反応器、気泡塔反応器(BCR)、膜反応器、例えば、中空繊維膜バイオリアクター(HFMBR)、もしくはトリクルベッド反応器(TBR)、モノリスバイオリアクターまたはループ反応器の中で行われてもよい。また、本発明のいくつかの実施形態において、バイオリアクターは、微生物が培養される第一の増殖反応器、ならびに増殖反応器からの発酵ブロスが供給され、発酵生成物(例えば、エタノールおよびアセテート)のほとんどが生成される第2の発酵リアクターを含んでもよい。
【0127】
本発明の様々な実施形態によれば、発酵反応のための炭素源は、気化から生じた合成ガスである。合成ガス基質は、典型的には、少なくとも約15体積%〜約75体積%のCO、20体積%〜70体積%のCO、20体積%〜65体積%のCO、20体積%〜60体積%のCO、および20体積%〜55体積%のCOなどの主要な割合のCOを含む。特定の実施形態において、基質は、約25体積%、約30体積%、約35体積%、約40体積%、約45体積%、または約50体積%、約55体積%、または約60体積%のCOを含む。特に、H
2およびCO
2も存在する場合には、6%などのより低い濃度のCOを有する基質も適切であり得る。特定の実施形態において、水素が存在すると、アルコール生成の全体的な効率が改善する。ガス状基質は、ある程度のCO
2、例えば、約1体積%〜約80体積%のCO
2、または1体積%〜約30体積%のCO
2も含んでよい。
【0128】
本発明の特定の実施形態によれば、改善された基質流のCO含有量および/またはH
2含有量は、流れをバイオリアクターに送る前に濃縮することができる。例えば、水素は、圧力スイング吸着、深冷分離および膜分離などの当技術分野で公知の技術を使用して濃縮することができる。同様に、COは、銅アンモニウムスクラビング、深冷分離、COSORB(商標)テクノロジー(トルエン中の塩化銅アルミニウム(cuprous aluminium dichloride)への吸収)、真空スイング吸着および膜分離などの当技術分野で公知の技術を使用して濃縮することができる。ガス分離および濃縮に使用される他の方法は、PCT/NZ2008/000275に詳述されており、これは参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0129】
典型的には、一酸化炭素が気体状態で発酵反応に添加される。しかし、本発明の方法は、この状態での基質の添加に限定されるものではない。例えば、一酸化炭素は液体で提供することができる。例えば、液体は、一酸化炭素含有ガスで飽和され、その液体がバイオリアクターに添加されてもよい。これは、標準的な方法論を用いて達成されてもよい。一例として、マイクロバブル分散物発生装置(Hensirisak et.al. Scale−up of microbubble dispersion generator for aerobic fermentation;
Applied Biochemistry and Biotechnology101巻,NO.3/2002年10月)は、この目的のために使用することができる。
【0130】
CO含有基質ガスに加えて、細菌の増殖およびCOからアルコールへの発酵が生じるために、適切な液体栄養培地をバイオリアクターに供給する必要があることを理解されたい。栄養培地は、使用される微生物の成長を可能にするのに十分なビタミンおよびミネラルを含有する。唯一の炭素源としてCOを使用するエタノール発酵に適する嫌気性培地は当技術分野で公知である。例えば、適切な培地は、上記の米国特許第5,173,429号、同第5,593,886号ならびにWO 02/08438号、WO 2007/117157号、WO 2008/115080号、WO 2009/022925号、WO 2009/058028号、WO 2009/064200号、WO 2009/064201号、WO 2009/113878号およびWO 2009/151342号に記載されている。本発明は、発酵プロセスにおいて微生物の増殖および/またはアルコール生成を支持することにおいて有効性が増加した新規培地を提供する。この培地は、以下でより詳細に説明する。
【0131】
発酵は、望ましくは、所望の発酵(例えば、COからエタノール)が生じるのに適する条件下で行われるべきである。考慮されるべき反応条件には、圧力、温度、ガス流速、液体流速、培地のpH、培地の酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽型反応器を使用する場合)、接種レベル、液相中のCOが律速にならないことを確実にするための最大ガス基質濃度、および生成物阻害を回避するための最大生成物濃度が含まれる。適切な条件は、WO 02/08438号、WO 2007/117157号、WO 2008/115080号、WO 2009/022925号、WO 2009/058028号、WO 2009/064200号、WO 2009/064201号、WO 2009/113878号およびWO 2009/151342号に記載されており、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
最適な反応条件は、使用される特定の微生物に部分的に依存する。しかし、一般的には、発酵は周囲圧力より高い圧力で行うことが好ましい。圧力を高めて動作させると、エタノール生成のための炭素源として微生物が取り込むことができるCOの気相から液相への移動速度を著しく増加させることができる。これは、ひいては、バイオリアクターが大気圧よりも高圧で維持される場合に、(入力ガス流量で割ったバイオリアクター中の液体体積として定義される)保持時間を低減することができることを意味する。
【0133】
高圧でガスからエタノールへの発酵を行うことの利点についても、本明細書のどこかで説明している。例えば、WO 02/08438は、30psigおよび75psigの圧力下で行われるガスからエタノールへの発酵について説明しており、それぞれのエタノール生産性は、150g/l/日および369g/l/日である。しかし、例えば、大気圧で同様の培地および流入ガス組成を用いて行われる発酵は、1日当たり1リットル当たり10〜20倍未満のエタノールを生成することが判明した。
【0134】
COおよびH
2含有ガス状基質の導入率は、液相中のCO濃度が律速になっていないことを確実にするためであることも望ましい。エタノール生成物が培養物によって消費されることは、COが制限された条件の結果であり得るためである。
【0135】
エタノールなどの発酵生成物、または2種類以上の発酵生成物を含む混合流は、分留または蒸発、パーベーパレーション、ガスストリッピングおよび例えば、液液抽出を含む抽出発酵などの当技術分野で公知の方法によって発酵ブロスから回収してもよい。生成物を、相分離によって抽出することができる培地に拡散または分泌させてもよい。
【0136】
本発明の特定の好ましい実施形態において、1種類以上の生成物は、ブロスの一部をバイオリアクターから連続除去し、ブロスから微生物細胞を分離し(濾過が都合がよい)、ブロスから1種類以上の生成物を回収することによって発酵ブロスから回収される。アルコールは、例えば、蒸留によって都合よく回収することができる。アセトンは、例えば、蒸留によって回収することができる。生成される全ての酸は、例えば、活性炭への吸着によって回収されてもよい。分離された微生物細胞は、好ましくは、発酵バイオリアクターに戻される。全てのアルコール(複数可)および酸(複数可)を除去した後に残っている無細胞透過物も、好ましくは発酵バイオリアクターに戻される。(ビタミンB類などの)追加の栄養素を無細胞透過物に加えて、バイオリアクターに戻される前に栄養培地を補充してもよい。
【0137】
活性炭への酢酸の吸着を高めるために、ブロスのpHを上記のように調整する場合にも、バイオリアクターに戻す前に、pHを発酵バイオリアクターのブロスと同様のpHまで再調整すべきである。
【0138】
生成物の回収
次いで、発酵反応の生成物は、公知の方法を用いて回収することができる。代表的な方法には、WO 2007/117157号、WO 2008/115080号、WO 2009/022925号、米国特許第6,340,581号、同第6,136,577号、同第5,593,886号、同第5,807,722号、同第5,821,111号に記載のものが含まれる。しかし、簡潔に説明すると、ほんの一例として、エタノールは、分留または蒸発、および抽出発酵などの方法により発酵ブロスから回収されてもよい。
【0139】
発酵ブロスからのエタノールの蒸留により、エタノールと水の共沸混合物(すなわち、95%エタノールおよび水5%)が得られる。無水エタノールは、その後、当技術分野で公知の分子ふるいエタノール脱水技術を使用することによって得ることができる。
【0140】
抽出発酵手順は、希薄発酵ブロスからエタノールを回収するために、発酵生物に対して低毒性のリスクを示す水混和性溶媒の使用を含む。例えば、オレイルアルコールは、この種の抽出プロセスで使用することができる溶媒である。オレイルアルコールを連続的に発酵槽に導入すると、この溶媒は盛り上がり、連続的に抽出および遠心分離により供給される層を発酵槽の上部に形成する。次いで、水および細胞は、容易にオレイルアルコールから分離され、発酵槽に戻されるが、エタノールを含んだ溶媒はフラッシュ蒸発装置に供給される。エタノールのほとんどは気化および凝縮されるが、オレイルアルコールは、非揮発性であり、発酵における再利用のために回収される。
【0141】
発酵反応において副産物として生成されるアセテートは、当技術分野で公知の方法を用いて発酵ブロスから回収することもできる。例えば、活性炭フィルタを含む吸着システムが使用されてもよい。この場合には、微生物細胞が最初に適切な分離手段を用いて発酵ブロスから除去することが好ましい。生成物回収のための無細胞発酵ブロスを作製する多数の濾過ベースの方法は、当技術分野で公知である。次いで、無細胞エタノール含有透過物およびアセテート含有透過物を、アセテートを吸着する活性炭を含むカラムに通す。塩(アセテート)形態よりも酸形態(酢酸)のアセテートは、容易に活性炭に吸着される。したがって、発酵ブロスのpHは、アセテートの大部分を酢酸形に変換するために、活性炭カラムに通す前に約3倍未満に低減されることが好ましい。
【0142】
活性炭に吸着した酢酸は、当技術分野で公知の方法を用いて溶出することにより回収することができる。例えば、エタノールを用いて、結合したアセテートを溶出することができる。特定の実施形態において、発酵プロセス自体によって生成されるエタノールを用いて、アセテートを溶出することができる。エタノールの沸点は78.8℃であり、酢酸の沸点は107℃であるため、エタノールおよびアセテートは、蒸留などの揮発性ベースの方法を用いて容易に互いに分離することができる。
【0143】
発酵ブロスからアセテートを回収するための他の方法も、当技術分野で公知であり、本発明のプロセスで使用することができる。例えば、米国特許第6,368,819号および同第6,753,170号は、発酵ブロスからの酢酸抽出に使用できる溶媒および共溶媒系について記載している。エタノールの抽出発酵について記載されるオレイルアルコールベースのシステムの例と同様に、米国特許第6,368,819号および同第6,753,170号に記載のシステムは、酢酸生成物を抽出するために発酵微生物の存在下または非存在下のいずれかで、発酵ブロスと混合できる水非混和性溶媒/共溶媒を説明する。その後、酢酸生成物を含む溶媒/共溶媒は蒸留によってブロスから分離される。その後、第2の蒸留工程を用いて、溶媒/共溶媒系から酢酸を精製してもよい。
【0144】
発酵反応の生成物(例えば、エタノールおよびアセテート)は、発酵バイオリアクターからブロスの一部を連続除去し、ブロスから微生物細胞を分離し(濾過が都合がよい)、同時にまたは連続的にブロスから1種類以上の生成物を回収することによって、発酵ブロスから回収されてもよい。エタノールの場合には、蒸留によって都合よく回収されてもよく、アセテートは、上記の方法を用いて、活性炭への吸着によって回収されてもよい。分離微生物細胞は、好ましくは、発酵バイオリアクターに戻される。エタノールおよびアセテートを除去した後に残っている無細胞透過物も、好ましくは発酵バイオリアクターに戻される。(ビタミンB類などの)追加の栄養素を無細胞透過物に加えて、バイオリアクターに戻される前に栄養培地を補充してもよい。ブロスのpHが、活性炭への酢酸の吸着を高めるために上記のように調整される場合にも、pHは、バイオリアクターに戻される前に、発酵バイオリアクター中のブロスのpHと類似のpHに再調整されるべきである。
【0145】
全般
本発明の実施形態は例として説明されている。しかし、一実施形態において必要な特定のステップまたは段階は別の実施形態で必要でなくてもよいことが理解されるべきである。逆に、特定の実施形態の説明に含まれるステップまたは段階は、必要に応じて、それらが明確に言及されていない実施形態において有利に利用することができる。
【0146】
本発明は、任意の公知の輸送手段によってシステム(複数可)を通るかまたはそのシステム中を動くことができる任意の種類の流れを参照して広く説明されているが、特定の実施形態において、バイオガスならびに改良および/または混合された基質流はガス状である。当業者であれば、特定の段階が、システム全体の流れを受け取ったり、送ったりすることができる適切な導管手段または同種のものにより連結されてもよいことを理解するであろう。ポンプまたは圧縮機は、特定の段階への流れの送達を容易にするために提供されてもよい。さらに、圧縮機を用いて、1以上の段階、例えば、バイオリアクターに提供されるガスの圧力を増加させることができる。上記で論じたように、バイオリアクター内のガスの圧力は、その中で行われる発酵反応の効率に影響を与え得る。したがって、圧力は、発酵の効率を改善するように調整することができる。一般的な反応に適する圧力は、当技術分野で公知である。
【0147】
さらに、本発明のシステムまたはプロセスは、必要に応じて、プロセス全体の効率を改善するために他のパラメータを調節および/または制御するための手段を含んでもよい。例えば、特定の実施形態は、基質流および/または排気流(複数可)の組成を監視するための決定手段を含んでもよい。さらに、決定手段が、流れは特定の段階に適する組成を有すると判断した場合に、特定の実施形態は、特定のシステム内の特定の段階または要素への基質流(複数可)の送達を制御するための手段を含んでもよい。例えば、ガス状基質流が、発酵反応に有害であり得る低レベルのCOまたは高レベルのO
2を含む場合に、基質流をバイオリアクターから離して分流してもよい。本発明の特定の実施形態において、システムは、所望のまたは適切な組成を有する流れが特定の段階に送達することができるように、基質流の目的地および/または流速を監視ならびに制御するための手段を含む。
【0148】
さらに、プロセス中の1以上の段階の前、またはその間に、特定のシステム構成要素もしくは基質流(複数可)を加熱または冷却する必要がある場合もある。このような場合では、公知の加熱または冷却手段を用いてもよい。
【0149】
本発明のシステムの様々な実施形態を添付図に記載する。
【0150】
本発明の代替的な実施形態を
図1および2に記載する。
図1に示すように、本発明の一実施形態は、1種類以上の生成物を生成するためのシステムおよび方法であって、以下のものを含むシステムを提供する:
a.バイオマス原料が、ガス状基質ならびに熱分解および炭からなる群から選択される少なくとも1種類の熱分解生成物を生成するための熱分解条件下で反応する熱分解ゾーン100。
b.導管102を介して熱分解ゾーンからガス状基質を受け取るように適合されたバイオリアクター106。バイオリアクター106は、液体栄養培地ブロス中に少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含む。バイオリアクターは、少なくとも1種類の発酵生成物およびH
2を含む流出ガス流を生成するための発酵条件下で動作する。少なくとも1種類の発酵生成物は、生成物用の導管108を介してリアクターから除去される。
c.流出流は、バイオリアクターからガス導管を介してガス分離ゾーン112に送られ、そこで、流出ガス流の水素部分が分離され、導管114を介して水素化ゾーン116に送られる。
d.水素化ゾーン116は、ガス分離ゾーンから水素流を受け取り、熱分解ゾーンから導管104を介して熱分解油を受け取るように適合されている。熱分解油および水素は、水素化条件下で反応して、6〜20個の炭素を有する炭化水素生成物を生成する。
【0151】
図2は、バイオマスの液化によって生成されるガス状基質の発酵によって1種類以上の生成物を生成するための別の実施形態を示す。本発明の一実施形態によれば、バイオマス原料は焙焼ゾーン200に送られ、焙焼ゾーンは焙焼バイオマスおよび焙焼ガス流204を生成するための条件下で動作する。焙焼バイオマスは熱分解ゾーン202に送られる。焙焼バイオマスは熱分解条件下で反応して、熱分解ガス流206、熱分解油および炭を生成する。焙焼ガス流204および熱分解ガス流206の少なくとも一部は、バイオリアクター210に送られる。
【0152】
熱分解油および/または炭の少なくとも一部は、必要に応じて、気化ゾーン208に送ることができ、そこで気化されて、COを含む気化基質を生成する。気化基質は、バイオリアクター210に送られ得る。バイオリアクター210は、液体栄養培地ブロス中に少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含む。バイオリアクターは、少なくとも1種類の発酵生成物およびH
2を含む流出ガス流を生成するための発酵条件下で動作する。流出流はガス分離ゾーン212に送られ、水素はガス流から分離され、濃縮された水素流を生成する。濃縮された水素流は、水素化ゾーン214に送られる。水素化ゾーン214は、熱分解ゾーン206からの熱分解油および濃縮された水素流を受け取るように適合されている。熱分解油および水素流は、水素化条件下で反応して、6〜20個の炭素原子を有する炭化水素を生成する。
【0153】
本発明は、過度の実験を行うことなく読者が本発明を実施することができるようにするために、特定の好ましい実施形態を参照して本明細書で説明してきた。しかし、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、構成要素およびパラメータの多くをある程度変更もしくは修正するか、または公知の同等物に置換してもよいことを容易に認識するであろう。そのような変更および等価物は、個別に記載されたものとして本明細書に組み込まれることを理解されたい。タイトル、または見出しなどは、この文書の読者の理解を高めるために提供され、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0154】
もしあれば、上記および下記に引用された全ての出願、特許および刊行物の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。しかし、本明細書における全ての出願、特許および刊行物への言及は、それらが有効な先行技術を構成するか、もしくは世界中の全ての国における共通の一般知識の一部を形成するという承認または任意の形式の提案でもなく、かつそのように解釈されるべきではない。
【0155】
本明細書および以下の全ての特許請求の範囲を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise)」、および「含む(comprising)」などの単語は、排他的な意味ではなく、包括的な意味、すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1]ガス状基質から少なくとも1種類の生成物を生成するための方法であって、
a.液化ゾーン中で行われるプロセスである熱分解または焙焼から選択されるバイオマス液化プロセスによって、COを含むガス状基質にバイオマス原料の少なくとも一部を変換することと、
b.少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含むバイオリアクターにガス状基質の少なくとも一部を送り、ガス状基質の少なくとも一部を嫌気性発酵させ、少なくとも1種類の発酵生成物および第2のバイオマスを含む廃棄物流を生成することと、
c.第2のバイオマスの少なくとも一部を廃棄物流から分離することと、
d.液化ゾーンに第2のバイオマスの一部を送ることと、
を含む方法。
[2]前記ガス状基質がさらにCO2およびH2を含む、[1]に記載の方法。
[3]前記バイオマス液化プロセスが、少なくとも1種類の非ガス状生成物を生成し、前記非ガス状生成物が気化されて、COを含む合成ガス流を生成する、[2]に記載の方法。
[4]前記合成ガス流の少なくとも一部が前記バイオリアクターに送られる、[3]に記載の方法。
[5]前記少なくとも1種類の発酵生成物が、エタノール、酢酸および2,3−ブタンジオールからなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[6]ガス状基質から少なくとも1種類の生成物を生成するための方法であって、
a.CO、CO2およびH2を含むガス状基質、ならびに熱分解油および炭からなる群から選択される少なくとも1種類の熱分解生成物を生成するための条件下で動作する熱分解ゾーンにバイオマス原料を送ることと、
b.少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含むバイオリアクターに前記ガス状基質の少なくとも一部を送り、前記ガス状基質の少なくとも一部を嫌気性発酵させて、少なくとも1種類の発酵生成物、第2のバイオマスを含む廃棄物流および水素を含む流出ガス流を生成することと、
c.第2のバイオマスの少なくとも一部を前記廃棄物流から分離することと、
d.前記熱分解ゾーンに前記第2のバイオマスの一部を送ることと、
を含む方法。
[7]前記流出ガス流が、水素に富む流れを提供するための条件下で動作する分離ゾーンに送られる、[6]に記載の方法。
[8]前記熱分解生成物が熱分解油および前記水素に富む流れであり、前記熱分解油が、水素化生成物を生成するための条件下で動作する水素化ゾーンに送られる、[7]に記載の方法。
[9]前記水素化生成物が、6〜20個の炭素を有する炭化水素である、[8]に記載の方法。
[10]さらに、CO2に豊む流れならびに濃縮されたCOおよびH2ガス状基質を提供するための条件下で動作する分離ゾーンに前記熱分解ゾーンから前記ガス状基質を送ることと、前記濃縮されたガス状基質を前記バイオリアクターに送ることと、を含む、[6]に記載の方法。
[11]前記熱分解生成物が炭であり、前記炭および前記CO2に富む流れが反応ゾーンに送られて、COを含む第2の基質流を生成し、前記第2の基質流が前記バイオリアクターに送られる、[10]に記載の方法。
[12]さらに、前記バイオマス原料を前記熱分解ゾーンに送る前に、前記バイオマス原料を最初に焙焼ゾーンに送ることを含む、[6]に記載の方法。
[13]ガス状基質から少なくとも1種類の生成物を生成するための方法であって、
a.焙焼ゾーンにバイオマス原料を送り、焙焼バイオマスを生成することと、
b.前記焙焼バイオマスを熱分解ゾーンに送り、CO、熱分解油および炭を含むガス状基質を生成することと、
c.少なくとも1種類のカルボキシド栄養性酢酸生成微生物の培養物を含むバイオリアクターに前記ガス状基質の少なくとも一部を送り、前記ガス状基質の少なくとも一部を嫌気性発酵させて、少なくとも1種類の発酵生成物、第2のバイオマスを含む廃棄物流および水素を含む流出ガス流を生成することと、
d.前記第2のバイオマスの少なくとも一部を前記廃棄物流から分離することと、
e.水素に富む流れを提供するための条件下で動作する分離ゾーンに前記流出ガス流を送ることと、
f.前記焙焼ゾーンに前記第2のバイオマスの一部を送ることと、
g.水素化生成物を生成するための条件下で動作する水素化ゾーンに、前記熱分解油および水素に富む流れを送ることと、
を含む方法。
[14]前記焙焼プロセスがCOを含むガス状の副産物流を生成し、前記ガス状の副産物流の少なくとも一部が前記バイオリアクターに送られる、[13]に記載の方法。
[15]前記炭が気化ゾーンに送られて気化され、COを含む第2のガス状基質を生成し、前記バイオリアクターに前記第2のガス状基質が送られる、[13]に記載の方法。
[16]前記水素化生成物が、6〜20個の炭素を有する炭化水素である、[13]に記載の方法。
[17]前記カルボキシド栄養性酢酸生成微生物が、Clostridium autoethanogenum、Clostridium ljundahlii、Clostridium ragsdaleiおよびClostridium coskatiiからなる群から選択される、[13]に記載の方法。