(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353467
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】可動式放射線防護装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/10 20060101AFI20180625BHJP
G21F 3/00 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
A61B6/10 302
G21F3/00 Z
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-560673(P2015-560673)
(86)(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公表番号】特表2016-510605(P2016-510605A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2014054249
(87)【国際公開番号】WO2014135582
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2016年9月15日
(31)【優先権主張番号】102013203812.7
(32)【優先日】2013年3月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502425927
【氏名又は名称】マヴィック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAVIG GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(74)【代理人】
【識別番号】100201226
【弁理士】
【氏名又は名称】水木 佐綾子
(72)【発明者】
【氏名】バルバラ バルズィーペル
【審査官】
松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/116030(WO,A1)
【文献】
米国特許第05015864(US,A)
【文献】
特表2010−535342(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0093568(US,A1)
【文献】
実公昭45−030059(JP,Y1)
【文献】
米国特許第03967129(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0149864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
G21F 1/00−7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動式放射線防護システムであって、
片側で開いており、下側部分(100)と上側部分(200)を有し、前記上側部分(200)が前記下側部分(100)に対して垂直に調整可能なフレームと、
放射線から防護するための少なくとも2枚の柔軟な放射線防護ドレープとを有し、
前記少なくとも2枚の放射線防護ドレープの第1のドレープが、前記フレームの前記下側部分(100)に取り付けられ、
前記少なくとも2枚の放射線防護ドレープの第2のドレープが、前記フレームの前記上側部分(200)に取り付けられ、前記上側部分(200)が前記下側部分(100)に対して調整された各垂直位置で前記少なくとも2枚の放射線防護ドレープが重なるように構成され、
前記第1のドレープが、対応するアイレットを有するアイレットストリップ(421)を有し、前記下側部分(100)が、外側シャンクボタン(132a)を有し、前記第1のドレープが、前記対応するアイレットを有する前記アイレットストリップ(421)によって前記外側シャンクボタン(132a)に取り付けられ、
前記第2のドレープが、対応するアイレットを有する更に他のアイレットストリップ(423)を有し、前記下側部分(100)が、内側シャンクボタン(132i)を有し、前記第2のドレープが、前記対応するアイレットを有する前記更に他のアイレットストリップ(423)によって前記内側シャンクボタン(132i)に取り付けられたシステム。
【請求項2】
前記下側部分(100)が、更に、シャーシ(300)を含む、請求項1に記載の放射線防護システム。
【請求項3】
前記シャーシ(300)が、複数の操舵ローラ(301)を含む、請求項2に記載の放射線防護システム。
【請求項4】
前記シャーシ(300)は、前記フレームの開いた側と反対の側に前記シャーシ(300)の全高さに亘って通路が形成されるように設計された、請求項2又は3に記載の放射線防護システム。
【請求項5】
前記シャーシ(300)が、前記操舵ローラ(301)が取り付けられた第1の片持アーム(310)と第2の片持アーム(320)を有する、請求項3に記載の放射線防護システム。
【請求項6】
前記下側部分(100)が、第1の側面部分(110)と第2の側面部分(120)とを有する、請求項5に記載の放射線防護システム。
【請求項7】
前記第1の片持アーム(310)が、前記第1の側面部分(110)に取り付けられ、前記第2の片持アーム(320)が、前記第2の側面部分(120)に取り付けられた、請求項6に記載の放射線防護システム。
【請求項8】
前記第1の側面部分(110)と前記第2の側面部分(120)が、第1の交差接続(113,123)と第2の交差接続(114,124)によって互いに接続された第1の管(111,121)と第2の管(112,122)を垂直方向に含む、請求項6又は7に記載の放射線防護システム。
【請求項9】
前記第1の側面部分(110)及び/又は前記第2の側面部分(120)の前記第1の管(111,121)と前記第2の管(112,122)との間にカバー(115,125)が備えられた、請求項8に記載の放射線防護システム。
【請求項10】
前記第1の側面部分(110)と前記第2の側面部分(120)が、横棒(101)によって接続された、請求項6〜9のいずれか一項に記載の放射線防護システム。
【請求項11】
前記下側部分(100)が、前記第1の管(111,121)と前記第2の管(112,122)に取り付けられた接続要素(130)を含む、請求項8又は9に記載の放射線防護システム。
【請求項12】
前記上側部分(200)が、複数の支持棒(202)を有し、前記下側部分(100)が、複数の軸受ブシュ(116,126,131)を含み、前記上側部分(200)の前記支持棒(202)がそれぞれ、高さ位置を調整するための関連付けられた軸受ブシュ内で前後に移動可能であり、かつ前記上側部分(200)が接続要素(201)を含む、請求項11に記載の放射線防護システム。
【請求項13】
前記軸受ブシュの一部分が、前記下側部分(100)の前記接続要素(130)に嵌め込まれ、前記軸受ブシュ(116,126)の他の部分が、前記第1の管(111,121)と前記第2の管(112,122)に嵌め込まれた、請求項12に記載の放射線防護システム。
【請求項14】
前記上側部分(200)の前記接続要素(201)が、前記支持棒(202)に取り付けられた、請求項12又は13に記載の放射線防護システム。
【請求項15】
前記上側部分(200)の重量と、前記フレームの前記上側部分(200)に取り付けられた前記第2のドレープの重量とを補償するのに適した釣合おもり又は反作用ばね(128)が、前記下側部分(100)に取り付けられ前記上側部分(200)に接続された、請求項1〜14のいずれか一項に記載の放射線防護システム。
【請求項16】
前記下側部分(100)が、更に、前記上側部分(200)の前記複数の支持棒(202)のうちの少なくとも1つを固定して、前記上側部分(200)が、前記下側部分(100)に差し込まれる位置に固定されるようにするのに適した保持装置(133)を有する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の放射線防護システム。
【請求項17】
前記放射線防護ドレープが、50〜83の原子番号を有する元素を含有する少なくとも1つの材料を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の放射線防護システム。
【請求項18】
前記少なくとも2枚の柔軟な放射線防護ドレープは、X線放射から防護するためのものである請求項1に記載の放射線防護システム。
【請求項19】
前記第1のドレープが、前記フレームの下縁まで延在している請求項1に記載の放射線防護システム。
【請求項20】
前記シャーシ(300)が、4個の操舵ローラ(301)を含む、請求項3に記載の放射線防護システム。
【請求項21】
前記第1の片持アーム(310)及び前記第2の片持アーム(320)は、弓形である請求項5に記載の放射線防護システム。
【請求項22】
前記接続要素(130)は、弓形である請求項11に記載の放射線防護システム。
【請求項23】
前記接続要素(201)は、弓形である請求項12に記載の放射線防護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の柔軟な放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムに関する。この可動式放射線防護システムは、特に、インターベンショナルラジオロジー及び対応する外科的介入において使用するのに適する。可動式放射線防護システムは、医師や助手などの職員を放射線、詳細にはX線照射から保護する役割を果たす。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、曲げられ二重交差基材に固定された透明な放射線防護シールドを有する可動式放射線防護システムを開示する。前記基材のアームは、放射線防護装置が傾く危険を減らすために様々な長さを有する。放射線防護装置は、高さ調整手段を備え、また放射線防護シールドに対称又は非対称な凹部を有し、これら凹部は、放射線防護シールドを通ることを可能にし、したがって動作範囲を大きくし自由移動空間を大きくするために備えられる。
【0003】
特許文献2は、X線を吸収する放射線遮蔽壁を備えた放射線遮蔽装置に関し、放射線遮蔽壁は、自由に移動可能な支持キャリッジに取り付けられる。放射線遮蔽装置は、更に、2つの壁部材用の高さ調整可能ホルダを備え、第1の壁部材は、第2の透明な壁部材の下に配置され、第2の壁部材は、水平軸のまわりに回転することができる。
【0004】
特許文献3は、放射線防護スーツが移動フレームに取り付けられた可動式放射線遮蔽装置を開示する。
【0005】
特許文献4は、可動式放射線防護シールドに関し、この放射線防護シールドは、中心に誘導トレイを備えた開口を有し、これにより、担当者が、このトレイと放射線防護シールドを通ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 203 07 606U1
【特許文献2】EP 0 345 548A1
【特許文献3】US 5,015,864
【特許文献4】US 3,308,297
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、インターベンション治療中に医療関係者が容易に苦労せずに移動させることができる可動式放射線防護システムを提供することである。
【0008】
この目的は、特許請求項による可動式放射線防護システムにより達成される。
【0009】
本発明の可動式放射線防護システムは、特に1人で容易に移動するのに適する。
【0010】
本発明の基礎をなす基本概念は、複数の柔軟な放射線防護ドレープを2つの部分からなる可動式フレームに取り付けて、2つの部分からなる可動フレームが垂直方向に調整可能で放射線防護ドレープが各垂直位置で重なるようにし、それにより、医療関係者が、最適な放射線防護を享受することである。更に、硬い放射線防護シールドと対照的に柔軟な放射線防護ドレープを使用することによって、この放射線防護システムの重量が大幅に減少する。同時に、ユーザは、係る可動式放射線防護システムを、身体の近くで、立位姿勢と着座姿勢の両方において、何時でも容易に制御することができる。柔軟な放射線防護ドレープの重なりによって、オペレータは、常に、可動式放射線防護システムの任意の垂直位置で放射線から遮蔽されることが保証される。
【0011】
本発明は、柔軟な放射線防護ドレープのうちの1つが、好ましくは放射線防護システムの下縁に達するという利点を有する。したがって、この領域でも、放射線が、保護されるオペレータに達することができない。同時に、一方、柔軟な放射線防護ドレープを使用することにより、使用する医療機器のフットペダルの安全操作が可能になる。この理由のため、可動式放射線防護システムのシャーシは、オペレータの足が、医療機器のフットペダルに容易に届くことができるように、即ち、シャーシの全高さに亘って通路が形成されるように設計される。この通路によって、オペレータの足が、妨げられずにフットペダルに届くことができる。しかしながら、この柔軟性のゆえに、保護ドレープは、この目的のために開かれなくてもよく、より正確に言えば、足又は脚より前に前方に押されうる。その結果、足又は脚は、フットペダルの操作中に放射線から最敵に保護される。
【0012】
本発明は、片側で開きかつ下側部分と上側部分を有し、上側部分が下側部分に対して垂直方向に調整可能なフレームと、放射線、好ましくはX線放射から保護するための少なくとも2つの柔軟な放射線防護ドレープとを有する可動式放射線防護システムに関する。少なくとも2枚の放射線防護ドレープの第1のドレープは、フレームの下側部分に取り付けられ、フレームの下縁まで延在する。更に、少なくとも2枚の放射線防護ドレープの第2のドレープは、フレームの上側部分に取り付けられ、上側部分が下側部分に対して設定された各垂直位置で少なくとも2枚の放射線防護ドレープが重なるように設計される。
【0013】
更に他の実施形態では、下側フレームは、更に、4つの操舵ローラなどの複数の操舵ローラを有することができるシャーシを含む。
【0014】
更に他の実施形態によれば、シャーシは、フレームの開口側と反対の側のシャーシの全高さに亘って通路が備えられるように設計されている。
【0015】
更に他の実施形態では、シャーシは、第1と第2の好ましくは弓形片持アームを含み、弓形片持アーム操舵ローラが取り付けられる。弓形片持アームは、脚の形を有してもよい。シャーシは、脚と直接ではなく脚に取り付けられた操舵ローラによって床と接地接触を有する。
【0016】
更に他の実施形態では、下側フレームは、第1と第2の側面部分を有してもよい。ここで、シャーシの第1の片持アームは、第1の側面部分に取り付けられてもよく、シャーシの第2の片持アームは、第2の側面部分に取り付けられてもよい。
【0017】
更に他の実施形態によれば、第1と第2の側面部分は、垂直方向に第1と第2の管を有する。第1の側面部分の第1と第2の管は、交差接続によって互いに接続可能であり、同様に、第2の側面部分の第1と第2の管は、交差接続によって互いに接続可能である。
【0018】
更に他の実施形態では、それぞれの第1と第2の側面部分の第1と第2の管の間にカバーが取り付けられる。
【0019】
更に他の実施形態によれば、第1と第2の側面部分は、横棒によって接続されてもよい。この実施形態によれば、交差接続は、フレームの開口側と反対のフレームの側に備えられる。
【0020】
更に他の実施形態によれば、下側部分は、第1と第2の管に取り付けられた弓形接続要素を含むことが好ましい。好ましくは弓形接続要素は、第1と第2の管の上側縁に、上端を構成するように取り付けられうる。本発明によれば、好ましくは弓形接続要素の内側と外側にはシャンクボタンが備えられ、シャンクボタンには、1つ以上の放射線防護ドレープが取り付けられる。したがって、放射線量に応じてフレームの外側及び/又はフレームの内側に柔軟な放射線防護ドレープを取り付けることができる。放射線防護ドレープは、その構造の点から、フレームの外側形状に適合するように設計されたとき及び/又は単純な手動操作によって別の形にできるときに特に柔軟である。柔軟な放射線防護ドレープは、特に、容易に曲げることができ、しなやかで、調整可能及び/又は弾性でよい。
【0021】
本発明によれば、接続要素は、半円形、縁が丸くなった矩形の半分、又は多角形の半分の形でよい。しかしながら、接続要素の形は、これらの形に制限されない。したがって、例えば、四分の三円又は完全円も可能である。四分の三円又は完全円の場合には特に、接続要素を1つ以上の可動でロック可能なヒンジによって細分化することが有利である。細分化された接続要素を折り曲げることによって、可動式放射線防護システムのユーザが放射線防護システムに入ることが容易になる。
【0022】
更に他の実施形態では、上側部分は、複数の支持棒を有し、下側部分は、複数の軸受ブシュを有する。上側部分の支持棒をそれぞれの対応する軸受ブシュ内で前後に移動させて、垂直位置を調整することができる。更に、上側部分は、好ましくは弓形の接続要素を含んでもよい。この場合、上側部分の弓形接続要素は、特定の形に制限されないが、半円形、四分の三円、完全円、縁が丸くなった矩形の半分、又は多角形の半分の形を有してもよい。下側部分の接続要素の前述の細分化の場合、上側部分の接続要素も対応する細分化を示すときに更に有利である。
【0023】
更に他の実施形態によれば、軸受ブシュの一部分が、下側部分の接続要素に嵌め込まれ、軸受ブシュの他の部分が、下側部分の第1と第2の管に嵌め込まれる。
【0024】
更に他の実施形態では、上側部分の弓形接続要素が、支持棒に取り付けられる。上側部分の好ましくは弓形の接続要素は、支持棒の上側端に同じ高さになるように取り付けられてもよい。
【0025】
更に他の実施形態では、可動式放射線防護システムは、上側部分の重量と、上側部分に取り付けられ、即ち、フレームの上側部分に取り付けられた放射線防護ドレープの重量を補償するのに適した釣合おもり又は反作用ばねを有する。この場合、釣合おもり又は反作用ばねは、シャーシの下側部分に備えられ、例えばケーブル牽引/ケーブル牽引システムによって、シャーシの上側部分に接続される。理想的には、釣合おもり又は反作用ばねは、上側部分の重量と、上側部分に取り付けられた放射線防護ドレープの重量と釣り合って、他の固定なしに、上側部分と上側部分に取り付けられた放射線防護ドレープが、他の支援なしにその位置に留まるようにする。
【0026】
更に他の実施形態によれば、下側部分は、上側部分の複数の支持棒の少なくとも1つを保持して、上側部分が、下側部分に差し込まれた位置でロックされるのに適した保持装置を有する。本発明によれば、係る保持装置は、特に、釣合おもり又は反作用ばねが存在しないとき、又は釣合おもり又は反作用ばねの風袋引きが不十分なときに使用される。
【0027】
更に他の実施形態では、柔軟な放射線防護ドレープは、50〜83の原子番号の元素を含む少なくとも1つの材料を含む。係る元素は、特に、スズ、タングステン、ガドリニウム、アンチモン、ビスマス、鉛、又はバリウムでよい。
【0028】
更に他の実施形態では、放射線防護ドレープは、例えばDE 10 2004 001 328 A1に記載されたように、大きいエネルギー範囲で適用される軽量の放射線防護材料として、鉛の代用材料を有することができる。更に、放射線防護ドレープは、DE 10 2006 028 958 A1に開示されたような個別の複合層による積層無鉛X線遮蔽材料を含んでもよい。放射線防護ドレープは、また、DE 10 2009 037 565 A1による被覆微細繊維ウェブを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下に、本発明は、例と図に基づいて詳細に説明される。
【0030】
【
図1】本発明の第1の好ましい実施形態による可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、斜視図である。
【
図2】第1の好ましい実施形態による可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、下側部分の斜視図である。
【
図3】本発明の第1の好ましい実施形態による可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態による可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、上面図である。
【
図5】本発明の第2の好ましい実施形態による可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、斜視図である。
【
図6a】第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムの下側部分の斜視外観図である。
【
図6b】第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムの下側部分の斜視内観図である。
【
図7a】第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムの斜視外観図である。
【
図7b】第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムについての斜視内観図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態による可動式放射線防護システムの斜視図を示す。単純化するため、放射線防護ドレープは示されていない。可動式放射線防護システムのフレームは、下側部分100を有する。下側部分100は、順に、第1の側面部分110と第2の側面部分120を有する。第1の管111,121と第2の管112,122はそれぞれ、第1の側面部分110と第2の側面部分120の基本フレームを構成し、第1と第2の管111,121,112,122は、垂直方向に延在し、第1の管111,121は、第1の交差接続113,123と第2の交差接続114,124によって第2の管112,122に接続される(
図2を参照)。第1の側面部分110と第2の側面部分120は、側面部分の高さの約2分の1〜3分の2の高さで、横棒101によって互いに接続される。横棒は、第1の側面部分110と第2の側面部分120のそれぞれの第1の管111,121に取り付けられる。したがって、第2の管112,122の間に開口面が形成される。横棒101は、操作者の足や脚を邪魔しないような高さで取り付けられ、フットペダルに届くようにするため逃げる方向に前方に拡張されると好都合である。
【0032】
第1の管111,121と第2の管112,122の間の空間を覆うカバーパネル115,125が、第1の管111,121と第2の管112,122の間に備えられる。
【0033】
下側部分100は、更に、この実施形態によれば2つの片持アーム310及び320を有するシャーシ300を備える。各片持アーム310,320は、逃げる方向に外方に湾曲する脚の形を有する。各片持アームに操舵ローラ301が取り付けられて、その結果、下側部分100が、操舵ローラ上に設置される。操舵ローラ301は、対応するハウジング301’内で、第1の片持アーム310と第2の片持アーム320の先端に備えられる。操舵ローラ用のハウジング301’は、
図2に示される。第1の片持アーム310は、第1の側面部分110の第1の管111と第2の管112に接続されることによって、第1の側面部分110に取り付けられる。同様に、第2の片持アーム320が、第2の側面部分120に取り付けられる。第1の管111,121とそれぞれの第2の管112,122は、ねじ接続又は溶接接続によって、それぞれの片持アーム310及び320に接続されてもよい。
【0034】
第1の管111,121と第2の管112,122の上端は、接続要素130と接続される。実施形態によれば、この接続要素130は、矩形の直径部分を有する半円形ブラケットの形を有する。接続要素130は、第1の側面管111,121と第2の側面管112,122の上端と同じ高さになる。可動式放射線防護システムの下側フレーム100の外側及び/又は内側に放射線防護ドレープを取り付けるためのシャンクボタン132a及び132iがそれぞれ、接続要素130の外縁と内縁に備えられる。ドレープの取付け機構について、下記により詳細に説明される。
【0035】
更に、接続要素130において、4つの軸受ブシュ131が対応するボアに挿入される。ボアは、接続要素を通り、それにより接続要素130内を第1と第2の管111,121,112,122まで通る通路が備えられるように設計される。
【0036】
第2の軸受ブシュ116,126は、第1と第2の管111,121,112,122の第1の軸受ブシュ131からの特定の距離に備えられる。この実施形態によれば、この距離は、30cm〜40cmの範囲であり、好ましくは約35.4cmである。
【0037】
上側部分200は、それぞれの上側端で接続要素201と同じように接続された4つの支持棒202を有する。同様に、接続要素201は、半円弓形状を有するが、円形断面を有する。この実施形態によれば、接続要素201は、支持棒202の上部と同じ高さにある。
【0038】
下側部分100の軸受ブシュ131,116,126は、上側部分200の支持棒202を受ける役割をし、それにより、支持棒202を軸受ブシュと管111,121、112,122に差し込むことができる。この目的のため、本実施形態の軸受ブシュ131,116,126は、ある程度の公差を除き、支持棒202の外径に対応する内径を有する。これにより、上側部分200の連続的で可変の高さ調整が可能になる。
【0039】
更に、第2の部分200の高さ位置は、下側部分100の接続要素130に取り付けられた1つ以上の保持装置133によって固定されてもよい。第2の部分200の高さ位置を保持装置133によって固定するために、ねじ(例えば、つまみネジ)が、ボアの長さ方向に垂直に配置されたねじ山に嵌められ、接続要素の外側から軸受ブシュ131が差し込まれるボアの1つまで延在する。ねじ山は、ボアの内側まで延在し、これにより、上側部分の支持棒202のうちの1つの高さ位置が、差し込まれたねじの端で固定されうる。この実施形態によれば、2つのそのような保持装置133が、接続要素130のそれぞれの端に取り付けられる。
【0040】
既に説明されたように、放射線防護ドレープを取りつけるために、下側部分100の接続要素
130の内側と外側両方にそれぞれ、シャンクボタン132a及び132iが備えられる。必要に応じて、即ち遮蔽すべき放射線量に応じて、1つ以上の放射線防護ドレープが、可動式放射線防護システムの下側部分100の内側と外側の両方に取り付けられてもよい。
【0041】
上側部分200で、1つ以上の放射線防護ドレープが、接続要素201の上のカバーとして配置されてもよく、1つ以上の放射線防護ドレープの一部分が、可動式放射線防護システムの前に延在し、他の部分が、可動式放射線防護システムの後ろに延在する。側面で、1つ以上の放射線防護ドレープが、例えばボタンや面ファスナによって閉じられる。
【0042】
図2は、第1の好ましい実施形態による可動式放射線防護システムの下側部分100の、放射線防護ドレープのない、斜視図を示す。
【0043】
下側部分100のシャーシ300において、対応する操舵ローラ301用のハウジング301’が、第1の片持アーム310と第2の片持アーム320上に見える。
【0044】
更に、第1の交差接続113,123と第2の交差接続114,124が、下側部分100に見え、第1の側面部分110と第2の側面部分120の第1の管111,121と第2の管112,122はそれぞれ、安定性のために接続可能である。第2の交差接続114,124は、凹部117,127を有する。ケーブル牽引又はケーブル牽引システム(図示せず)が、これらの凹部を通り、上側部分200を釣合おもり又は反作用ばね128と接続する。理想的には、釣合おもり/反作用ばね128は、上側部分200と上側部分200に取り付けられた放射線防護ドレープ(フレームの上側部分に取り付けられた)の重量を相殺するように釣り合わされる。理想的には、この補償によって、他の固定なしに、上側部分200とその上の放射線防護ドレープが、他の手段なしにその位置を保持されるようになる。風袋引きが最適な場合でも、この実施形態による保持装置133又は複数の保持装置133が備えられることが好ましい。これにより、下側部分200に上側部分100を固定でき、全体の高さが、段階的又は連続的に調整可能になり好ましい。
【0045】
図2に示されたように、第2の軸受ブシュ116,126は、第1の管111,121と第2の管112,122の下側部分100の接続要素130からの規定の距離に備えられる。更に、接続要素130に、外側シャンクボタン132a用のボア132a’が見える。
【0046】
図3は、本発明の第1の好ましい実施形態による可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、側面図を示し、
図4は、可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、上面図を示す。
【0047】
ここで、
図3は、接続要素201と支持棒202を有する上側部分200を示す。更に、
図3は、シャーシ300及び、第1の管111と第2の管112と第1のカバー115を有する第1の側面部分110とを備える下側要素100を示す。更に、接続要素130は、内部シャンクボタン132i及び保持装置133と共に示される。
図3は、更に、第1の側面部分110と第2の側面部分120を互いに接続する横棒101を示す。
【0048】
図4の上面図は、特に、1つ以上の放射線防護ドレープが取り付け可能な下側部分100の外側シャンクボタン132aと内側シャンクボタン132iを示す。
【0049】
図5は、本発明の第2の好ましい実施形態による可動式放射線防護システムの、放射線防護ドレープのない、斜視図を示す。
【0050】
第1の実施形態と異なり、下側部分100の接続要素130及び上側部分200の201は、半円形の弓形ではなく、縁が丸くされた矩形の弓形で備えられる。
【0051】
第1の実施形態との他の違いは、上側部分200が同様に、1つ以上の放射線防護ドレープを取り付けるための外側と内側に外側シャンクボタン232aと内側シャンクボタン232iを有することにある。したがって、必要に応じて、即ち放射線照射量に応じて、上側部分にも1つ以上の放射線防護ドレープを取り付けることができる。
【0052】
図6aは、第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムの下側部分100の斜視外観を示す。
【0053】
下外側放射線防護ドレープ420は、下側部分100の外側シャンクボタン132aに、対応するアイレットを有する外側アイレットストリップによって留められる。
【0054】
図6bは、第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムの下側部分100の斜視内観を示す。
【0055】
この場合、下内側放射線防護ドレープ422が、内側アイレットストリップ423によって下側部分100の内側シャンクボタン132iに留められうることがよく分かる。
【0056】
図7aは、第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムの斜視外観を示し、上側部分200が下側部分100に差し込まれている。
【0057】
上側放射線防護ドレープ410は、可動式放射線防護システムの前側と後側の両方が、シャーシ300の上の特定箇所まで覆われるように、上側部分200の接続要素201の上のカバーとして形成される。第1の実施形態によれば、上側放射線防護ドレープ410は、放射線防護システムの前側と後側の両方を、シャーシの上の40cm〜55cmの領域、好ましくはシャーシの上の47cm以内の領域まで覆う。2つの自由上端と自由下端のそれぞれに、可動式放射線防護システムの前側を覆う上側放射線防護ドレープ410の部分を、可動式放射線防護システムの後側を覆う上側放射線防護ドレープ410の部分と切り離し可能に接続する接続ストリップ412が配置される。この実施形態によれば、これらの接続ストリップ412は、第2のベルクロストリップのループと接続できるフックをそれぞれ有する第1のベルクロストリップを有し、第2のベルクロストリップは、可動式放射線防護システムの後側を覆う部分に配置される。このシステムは、逆にされてもよい。
【0058】
図7bは、第1の好ましい実施形態による放射線防護ドレープを有する可動式放射線防護システムについての斜視内観を示す。
【0059】
この実施形態によれば、可動式放射線防護システムの後側を覆う上側放射線防護ドレープ410の部分は、個々にスロットが付けられた区分411に細分される。可動式放射線防護システムの後側を覆う上側放射線防護ドレープ410の部分を個別の区分411に分割することによって、上側放射線防護ドレープ410を可動式放射線防護システムの湾曲形状に容易に適応させることができる。区分411は、縁が部分的に重なってスリットの領域内を放射線が透過できないように寸法決めされる。上側放射線防護ドレープ410の前側部分と後側部分を接続するために、合計4つの接続ストリップ412(即ち、各側に2つ、即ち、一方の自由端と反対の自由端の上と下両方に1つの接続ストリップ412)が使用される。
【0060】
本発明は、図とそれぞれの説明に詳細に示され説明されているが、図と詳細な説明は両方とも、単なる説明及び例示として理解されるべきであり、本発明を限定するように理解されるべきでない。当然ながら、当業者は、以下の請求項の範囲と趣旨から逸脱することなく変更と修正を行うことができる。詳細には、本発明は、同様に、様々な実施形態に関して以上又は以下に言及され図示された特徴の任意の組み合わせの実施形態を含む。
【0061】
本発明は、また、図にある個々の特徴を、本明細書に他の特徴との組み合わせで示されかつ/又は以上又は以下に言及されない場合でも含む。更に、図と説明に述べた実施形態の代替、及び個々の代替とその特徴は、本発明の内容及び/又は開示された内容から除外されることがある。この開示は、請求項に示された特徴を含む実施形態及び/又は例示的実施形態、並びに他の特徴を付加的に含む実施形態を対象として含む。
【符号の説明】
【0062】
100 下側部分
132a 外側シャンクボタン
132i 内側シャンクボタン
200 上側部分
300 シャーシ
421 アイレットストリップ
423 アイレットストリップ