【実施例1】
【0020】
まず、遊技機の一例であるスロットマシン及び遊技用装置の一例であるメダル貸出機について説明する。
図1は、スロットマシン1及びメダル貸出機を示す正面図である。
図2は、メダル貸出機の内部機構を示す左側面図である。
図3は、スロットマシン及びメダル貸出機の要部を示す斜視図である。
図4は、メダル貸出機の前面板を開放した状態を示す斜視図である。
図5は、メダル貸出機の要部の構造を示す一部破断左側面図である。
図6は、
図5のA−A断面図である。
【0021】
図1に示すように、スロットマシン1は、遊技場内に複数配置される各遊技島(図示略)に複数並設されており、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの左側辺に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。筐体1aの内部上方位置には、外周に複数種類の図柄が配列されたリール2L,2C,2Rが水平方向に並設されており、これらリール2L,2C,2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が透視窓3から見えるように配置されている。
【0022】
スロットマシン1においてゲーム(遊技)を行う場合には、まず、円盤状の遊技媒体の一例であるメダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数として遊技状態に関わらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1〜L5が有効となる。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0023】
入賞ラインとは、各リール2L,2C,2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。ここでは、リール2L,2C,2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインLのみが入賞ラインとして定められている。尚、本実施例では入賞ラインを1本としているが、複数の入賞ラインを定めても良い。
【0024】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L,2C,2Rが回転し、各リール2L,2C,2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L,8C,8Rを操作すると、対応するリール2L,2C,2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0025】
そして全てのリール2L,2C,2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインL1〜L5のいずれかに予め定められた図柄の組合せ(役とも呼ぶ)が各リール2L,2C,2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(例えば、50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9から前面扉1bの下部に前方に突出するように設けられた下皿5に払いだされるようになっている。また、入賞ラインL1〜L5のいずれかに、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L,2C,2Rの表示結果として停止した場合には、図柄の組合せに応じた遊技状態(例えば、レギュラーボーナスやビッグボーナスボーナス等)に移行するようになっている。
【0026】
メダル貸出機100は、スロットマシン1に1対1に対応するように設けられている。尚、本実施例では、メダル貸出機100はスロットマシン1に1対1に対応するように設けられているが、例えば2台のスロットマシン1,1の間に2対1に対応するように設けられていてもよい。
【0027】
メダル貸出機100は、スロットマシン1の所定側(本実施例では、スロットマシン1の向かって右側)の側方位置に対応設置され、紙幣、または会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行される遊技用記録媒体であるプリペイド機能を備えるビジターカードや、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行される遊技用記録媒体である会員カードを受付けて、遊技機における遊技に使用される円盤状の遊技媒体であるメダルを貸し出すための処理と、遊技者がスロットマシン1での遊技にて獲得したメダルを受付けて、該受付けたメダルを計数するための処理と、該計数した獲得メダル枚数をビジターカードや会員カード等に記録するための処理等を行う。
【0028】
尚、メダル貸出機100は、メダル貸出機100にて使用されるビジターカードや会員カード並びにメダル貸出機100の管理等を行う図示しないシステムコントローラや、会員カードを所持する会員遊技者が再度の遊技に使用可能に所有する貯蓄玉数の管理を行う貯蓄管理コンピュータや、遊技場内に設置された各スロットマシン1の台データ等の遊技情報を管理するホールコンピュータや、遊技場内において遊技者に提供される飲食物の注文の管理を行う注文管理コンピュータ等の各種のコンピュータが接続されており、これら各コンピュータとの間において双方向のデータ通信が可能とされている。
【0029】
本実施例に使用されるビジターカード並びに会員カードには、種々のデータを記憶するための不揮発性メモリと、これら記録情報の書き換えや読み出しを実施するとともに、外部のリーダライタ装置との非接触通信を実施する制御部とを有するICチップが搭載されたICカードを使用しており、これらビジターカード並びに会員カードには、個々のカードを識別可能なカードID、具体的には、ビジターカードにはVCで始まるカードIDが、会員カードには、KCで始まる会員カードIDが予め書き換え不能に記憶されていて、その種別がカードIDから識別可能とされているとともに、プリペイド残額を特定可能なプリペイド残額データ等の各種データが記憶されている。
【0030】
尚、会員カードは、遊技場に会員登録を実施した会員遊技者に対して発行されるものであり、該会員に対して付与される会員IDが書き換え不能に記憶されている。また、該会員カードを使用して会員遊技者は、一度獲得して計数したメダルをその翌日以降においても再度遊技に使用できる貯メダルを行うことができるようになっているが、これら会員カードには、該貯メダルのデータである貯メダル数は直接記録されておらず、これら貯メダル数は、会員の情報を管理する会員管理コンピュータにおいて、会員カードIDと会員IDとに対応付けて記憶されることで、該会員カードIDや会員IDから特定されるようになっている。
【0031】
また、ビジターカードは、遊技場内に設置された図示しないカード発行・入金機にて、購入、発行されるとともに、メダル貸出機100においても発行される。
【0032】
次に、本実施例のメダル貸出機100について、
図1〜
図6に基づいて説明する。
【0033】
図1及び
図2に示すように、本実施例のメダル貸出機100は、正面視縦長長方形状をなす前面が開口する筐体101と、該筐体101の前面下部開口の開閉可能とする開閉板102と、から構成され、内部には後述する各種装置が内蔵されている。
【0034】
図1に示すように、開閉板102の前面上部には、紙幣を挿入するための紙幣挿入口110が設けられ、その下方位置には、フルカラーLEDにより構成されて複数の色に点灯することでメダル貸出機100の状態等を報知可能とされた状態表示ランプ111や、会員カードやビジターカードを挿入するためのカード挿入口112が設けられている。
【0035】
状態表示ランプ111の下方位置には、入金の利用可能状態を報知する入金可ランプ113と、挿入中の会員カードやビジターカードを排出する返却ボタン114と、カード残高やエラーコード等を表示するカード残高表示部115と、メダルの払い出しが行われるメダル貸出ボタン116と、メダルの貸出が可能なことを表示するメダル貸出ランプ117と、後述するメダル貯留部183(
図2参照)の状態を報知するメダル切れランプ118と、リモコン(図示略)との赤外線通信を行うための赤外線受光部119と、会員カードの暗証番号等を入力するためのテンキー120と、会員カードを受付けた場合において、該会員カードに記録された会員カードID並びに会員IDにより特定される貯メダル数を用いた再プレイ遊技を実施するための再プレイボタン121と、が配設されている。
【0036】
これら各種操作部の下方位置には、メダル貯留部183にメダルを補給する際に開閉板102の一部を開放するためのメダル補給扉130が、下辺を中心として開閉可能に設けられている。このメダル補給扉130は、遊技場の店員等が携帯する所定の鍵(図示略)をメダル補給扉鍵131に差し込まない限り開放できないようになっている。
【0037】
メダル補給扉130の下方位置には、遊技者が遊技により獲得したメダルを受け入れて計数するための受入部140が設けられているとともに、該受入部140の下部からは、受入部140にて受け入れたメダルを下方に誘導して後述する計数装置190の導入口142に導入するための導入経路カバー141が下方に向けて延設されている。
【0038】
また、この導入経路カバー141の上下方向の中央位置よりもやや下方には、払出装置182から払い出されたメダルをスロットマシン1の下皿5に誘導する誘導部材の一例であるノズル150が、導入経路カバー141を前後方向に挿通している。
【0039】
図2〜
図4に示すように、メダル貸出機100内の上部位置には、紙幣挿入口110に連設され、該紙幣挿入口110に投入された紙幣を取り込んでその真贋や紙幣種別の識別を実施し、その識別結果を制御ユニット(図示略)に出力する紙幣識別ユニット180が設けられており、該紙幣識別ユニット180にて各種紙幣(1万円、5千円、2千円、千円の各紙幣)の受付けが可能とされている。
【0040】
紙幣識別ユニット180の下方位置には、カード挿入口112に対応する位置に内蔵される内部カードリーダライタ(図示略)、該メダル貸出機100を構成する各部と接続しやすいように該メダル貸出機100の動作を制御する制御ユニット(図示略)、回収したビジターカードを貯留するカードストック部(図示略)等が一体に組み付けられた処理ユニット181が配設されている。尚、処理ユニット181は、メダル補給扉130を開放することにより前方に引き出し可能に設けられており、筐体101から引き出してメンテナンス等を実施できるようになっている。
【0041】
内部カードリーダライタ(図示略)は、カード挿入口112から挿入される会員カード並びにビジターカードに記録されている(会員)カードIDや、会員ID(会員カードのみ)、プリペイド残額データ等の記録情報の読み出し並びに書き込みを行うとともに、発行に使用するビジターカード(回収したカードを含む)を貯留するカードストック部(図示略)を有しており、該カードストック部(図示略)に貯留されたカードを発行可能とされている。
【0042】
処理ユニット181の下方位置、つまり、筐体101の上下方向略中央位置には、払い出すメダルを貯留するメダル貯留部183が設けられている。メダル貯留部183は、該メダル貯留部183に貯留されるメダルを払い出す払出装置182の上部に設けられた上向きに開口するメダルホッパー183aと、該メダルホッパー183aの上方に形成される空間部と、から構成されており、メダル貯留部183に貯留されたメダルは、メダルホッパー183aにより払出装置182に向けて整列誘導された後、内部に設けられた図示しない回転ディスク(図示略)によって前面に形成されたメダル排出口182aから排出され、ノズル150を介して下皿5に払い出されるようになっている。
【0043】
メダルホッパー183aの上方位置には、メダル補給扉130が配設されており、メダル補給扉130を開放することでメダル貯留部183にメダルを補給できるようになっている。尚、本実施例では、メダル補給扉130を開放してメダル貯留部183にメダルを補給できるようになっているが、図示しない遊技機設置島に設けられたメダル補給装置(図示略)からメダルが自動補給されるようにしてもよい。
【0044】
払出装置182の下方位置には、計数装置190が配設されている。計数装置190は、上面に開口する計数口191が形成され、該計数口191から受け入れたメダルを内部に設けられた回転ディスク(図示略)によって整列しながら計数した後、下面に設けられた排出口192から排出する。排出口192から排出されたメダルは、筐体101の下面に形成された開口を介して図示しない遊技機設置島内に排出され、該遊技機設置島内に設けられた回収装置(図示略)に回収されるようになっている。
【0045】
また、本実施例では、計数口191から受け入れたメダルの真贋(正規メダルか否か)を判定可能なメダルセレクタ(図示略)が計数口191や計数装置190内に設けられており、該メダルセレクタにより選別された正規メダルは、計数された後に排出口192から排出され、メダルセレクタにより選別された非正規メダルは、計数された後に排出口192から排出されずに、例えば計数装置190内や筐体101内に貯留されるようになっており、非正規メダルが循環して再使用されてしまうことが防止されている。
【0046】
また、このような非正規メダルが計数装置190内や筐体101内に所定枚数(例えば、100枚)貯留された場合に、所定のエラー信号が遊技機設置島の島コントローラやホールコンピュータ等に出力されてエラー報知が行われるようにすることで、遊技場の店員等が定期的に確認しなくても、非正規メダルを適宜回収することができる。さらに、本実施例では、非正規メダルは計数された後に計数装置190内に貯留されるようになっているが、計数しないで計数装置190内に貯留されるようにしてもよい。
尚、本実施例では、計数されたメダルは排出口192から遊技機設置島に排出、回収されるようになっていたが、筐体101内に貯留し、適宜回収するようにしてもよい。
【0047】
また、計数口191の前辺には、正面視上向きコ字形をなす導入部材193が設けられており、後述するように受入部140にて受け入れて落下してきたメダルを、計数口191に導入する。
【0048】
また、筐体101における処理ユニット181の背面には、筐体101内に設けられた各種装置に電力を供給するための電源ユニット198が、筐体101の背面から突出するように設けられている。
【0049】
本実施例の制御ユニット(図示略)は、制御プログラムを実行可能な中央演算処理回路(CPU)(図示略)や、内部カードリーダライタ(図示略)に受付け中のビジターカードや会員カードの(会員)カードID並びにプリペイド残額や、貯メダル数、来店ポイント数、対応するスロットマシン1の台データ、遊技中の会員の遊技情報等の各種のデータを記憶可能なRAM(図示略)や、中央演算処理回路(CPU)が実行する制御プログラムや、当該メダル貸出機100の装置IDを含む設定情報を書き換え記憶可能な不揮発性メモリであるEEPROM(図示略)や、その時点の時刻情報やカレンダ情報等を出力可能なリアルタイムクロック(RTC)(図示略)を含み、RAMは図示しない電池によりバックアップされており、電源が遮断されても、所定期間において記憶されているデータが保持される。
【0050】
また、制御ユニット(図示略)は、当該メダル貸出機100の下部位置に設けられている計数装置190に接続されて該計数装置190による各計数信号が入力可能とされており、計数装置190からの計数信号の入力に応じて、貯メダル数の値に該計数信号に応じた所定数を加算更新する。
【0051】
また、制御ユニット(図示略)は、各種ボタンから入力される各種情報や、紙幣識別ユニット180による貨幣識別情報、並びに内部カードリーダライタ(図示略)からのカード挿入情報やビジターカードの貯留状態情報等を受けて、該制御ユニット(図示略)に接続されている各ランプに内蔵されるLEDの点灯制御、内部カードリーダライタ(図示略)、紙幣識別ユニット180の制御、残額表示器の表示制御等、全体の動作制御、並びにカード挿入口112に挿入された会員カードやビジターカードの利用の可/不可を判別するカード受付け処理や、受付け中の会員カード或いはビジターカードから読み出したプリペイド残額データに基づくプリペイド残額を使用したメダル貸出しを行う貸出処理や、受付け中の会員カードやビジターカードの返却または新たなビジターカードを発行する返却・発行処理や、貨幣の受付けに応じて、受付け金額に相当するプリペイド残額をその時点のプリペイド残額に加算更新して入金する入金処理や、貯メダル数を用いた再プレイ処理や、受付けたメダルを計数して該計数した獲得メダル数を会員カードやビジターカードに記憶されている貯メダル数の値に加算、更新する処理等の各種処理を実行する。
【0052】
遊技者がスロットマシン1にて遊技を行う場合、紙幣挿入口110に紙幣を挿入することで、1000円分のメダル(例えば、50枚)が払出装置182から排出され、ノズル150を介してスロットマシン1の下皿5に払い出されるため、これを使用して遊技を行うことができる。また、高額紙幣(2000円、5000円、10000円)が挿入された場合は、1000円分のメダルが払い出され、残額は受付中の会員カードやビジターカードに記録される。よって、カード残額がある場合は、メダル貸出ボタン116を押圧することで1000円分のメダル(例えば、50枚)が払出装置182から払い出され、残額が減算更新される。また、受付中の会員カードに所定数以上の貯メダルがある場合には、メダル貸出ボタン116を押圧することで1000円分のメダル(例えば、50枚)が払出装置182から払い出され、貯メダル数が減算更新される。
【0053】
また、遊技者が遊技にてメダルを獲得した場合、下皿5に払い出された獲得メダルを手で受入部140に投入することで、受け入れたメダルは導入経路カバー141内を落下した後、計数装置190の導入部である計数口191に導入される。計数装置190内に導入されたメダルは、該計数装置190内に設けられたメダル検出センサ(図示略)により検出され、該メダル検出センサによりメダルが検出されたことに基づいて、回転ディスク(図示略)が駆動して導入されたメダル枚数が計数され、該計数されたメダル枚数が受付中の会員カードやビジターカードに記録された貯メダル数の値が加算更新されるとともに、計数されたメダルは排出口192から遊技機設置島(図示略)内に排出される。
【0054】
尚、本実施例では、計数装置190内に設けられた図示しないメダル検出センサによりメダルが検出されたことに基づいて計数が開始されるようになっていたが、例えば開閉板102の前面に遊技者が操作可能な計数ボタン等を設け、該計数ボタンが操作されたことに基づいて計数が開始されるようにしてもよい。
【0055】
遊技者が遊技を終了する場合、遊技者は返却ボタン114を操作して、受付中の会員カードやビジターカードを返却させる。遊技にて獲得したメダルを計数した場合には、返却した会員カードまたはビジターカードに獲得メダル枚数が貯メダル数として記録されているため、遊技場のカウンタ等において、会員カードまたはビジターカードに記録されている貯メダル数に相当する景品等に交換、または次回遊技に使用することができる。また、残額がある場合には、遊技場に設置されている精算機(図示略)等にて残額を精算することができる。
【0056】
このように、本実施例のメダル貸出機100にあっては、対応するスロットマシン1にて遊技を開始する際にメダルの貸出を実施するだけでなく、遊技の終了時に精算を実施することができるため、遊技者はスロットマシン1から移動することなく、遊技の開始及び精算を行うことができる。
【0057】
次に、
図3〜
図6に基づいて、開閉板102に設けられた各種部材の詳細な構造について説明する。
【0058】
開閉板102は、
図4に示すように、前面板102aと、該前面板102aの左右側辺から後側に屈曲形成された屈曲片102bと、から平面視後向きコ字形に形成され、筐体101の前面下部に形成される開口を閉塞したときに、左右の屈曲片102bが筐体101の左右側板の前端内側に嵌合されるようになっている。また、本実施例では、屈曲片102bの上下に設けられた係止溝103を筐体101の側板内面に突設された係止ピン104に係止することで閉鎖位置に取り付けられ、図示しないネジ等の取付部材により前面側から取り外し不能に取り付けできるようになっている。
【0059】
尚、開閉板102は、メダル貯留部183及び計数装置190の前面側、つまり、筐体101の前面開口におけるメダル補給扉130よりも下側を被覆可能に構成され、その上側は、紙幣識別ユニット180及び処理ユニット181の前面によりメダル貸出機100の前面の一部が構成されている。
【0060】
開閉板102における導入部材193に対応する高さ位置には、横長長方形状の導入口142が左右方向の略中央位置に形成されている。また、導入口142の上方位置には、横長長方形状をなしノズル150を挿通可能な大きさを有する後挿通孔143bが形成されている。また、背面左右側上下位置には、長孔105aが形成されるとともに、該長孔105aの背面には視縦長長方形状の係止筒105がそれぞれ突設されている。
【0061】
導入経路カバー141は、正面視縦長長方形状の前面板141aと、前面板141aの左右側辺から背面側に屈曲される側板141bと、前面板141aの下端から下方に向けて後側に傾斜する傾斜板141cと、左右の側板141bの下端から下方に向けて中央側に傾斜する傾斜板141dと、から背面及び上面が開口する縦長箱状に形成され、導入口142から上方に向けて延設されている。下部は、導入口142に向けて漸次背面中央側に向けて傾斜するように形成されている。
【0062】
側板141bの後端における長孔105aに対応する位置には、外向きの係止爪144が突設されており、これら係止爪144を長孔105aの前面側から挿入することで係止筒105の後端に係止され、導入経路カバー141が開閉板102の前面に取り付けられる。取り付けられた状態において、傾斜板141cの後端は導入口142を挿通して背面側に突出し、導入部材193の上方に後端が重なるように配置される。このように係止爪144は開閉板102の背面で係止されていることで、開閉板102を開放しない限り導入経路カバー141を開閉板102から取り外すことはできないため、導入経路カバー141を取り外して導入口142から計数装置190に不正にアクセスすることが防止されている。
【0063】
このように、導入経路カバー141が開閉板102の前面に取り付けられることで、導入経路カバー141の背面開口が開閉板102により閉鎖され、受入部140にて受け入れたメダルを計数装置190の導入口142に導入させる上下方向に延びるメダルの導入経路Kが構成される。
【0064】
また、前面板141aにおける後挿通孔143bに対応する位置のやや下方位置には、後挿通孔143bとほぼ同形の前挿通孔143aが形成されており、ノズル150を挿通可能としている。また、前挿通孔143aの上方位置には、上方から落下してくるメダルをノズル150の左右側方に誘導して該ノズル150に衝突しないように迂回させる保護部材145が、前後方向に架け渡されるように設けられている。保護部材145は、中央から左右方向それぞれに向けて下方に傾斜する誘導傾斜面145a,145aにより正面視略への字形の板材にて形成されている。
【0065】
保護部材145の上方左右側には、円柱状の棒状部材146a,146bが前後方向、つまり側板141bに対して略平行に設けられているとともに、これら棒状部材146a,146b間の上方位置には、棒状部材146cが前後方向、つまり、側板141bに対して略平行に設けられている。これら棒状部材146a〜146cは、側板141bからメダルの直径2Rよりも離れた位置に配設されていることで、棒状部材146a〜146cと側板141bとの間にメダルが詰まることがない。そして、このような棒状部材146a〜146cが前後方向に向けて架け渡されることで、落下してきたメダルの姿勢を、表裏面が側板141b側を向く横向き姿勢に整列させる。
【0066】
受入部140は、上面及び下面が開口する皿状に形成され、上面開口である受入口140aは平面視略正方形に形成され、下面開口は導入経路Kの上面開口と同形をなして連通されている。導入経路カバー141の上面開口は横長長方形状であるため、受入口140aは前方に拡大して形成されている。つまり、受入口140aは下面開口よりも前方に拡大され、導入経路カバー141の前後幅寸法L10よりも受入部140の前後幅寸法L12の方が長いため(
図5参照、L10<L12)、このように受入口140aは導入経路カバー141の上面開口に対し遊技者側に近づくため、メダルを投入しやすくなる。また、受入部140の上下幅寸法L13は導入経路カバー141の前後幅寸法L10よりも短寸とされている(
図5参照、L10>L13)。
【0067】
また、受入部140は、上面開口の後辺に設けられた回動軸147を中心として、下面開口が導入経路カバー141の上面開口と連通する受入位置と、前端を上方に跳ね上げることで前面板141aに沿うように折り畳まれる収容位置と、の間で上下方向に回動可能に設けられている。このように収容位置に移動させることで、受入部140が導入経路カバー141よりも前方に突出しないので、当該メダル貸出機100の右側に配設されたスロットマシン1の前面扉1bを左側に開放したときに、突出している受入部140の先端に前面扉1bが接触することが防止される。
【0068】
尚、受入部140は、例えば図示しないコイルバネにて収容位置側に常時付勢しておき、受入位置において係止部材等により係止されるようにしてもよい。このようにすることで、収容位置に移動するときは、係止部材による係止を解除するだけで収容位置に向けて回動するようになる。そして、この係止は所定の外力が付与されることで解除されるようにすれば、例えば前面扉1bが接触したときに係止が解除され、収容位置に移動するため、前面扉1bの破損を防止できる。
【0069】
ノズル150は、払出装置182の前面から後挿通孔143b及び前挿通孔143aを挿通する基部151と、該基部151に連設され前挿通孔143aから遊技者側に向けて突出するように延設される突出部152と、を含み、基部151は変形不能に形成され、突出部152は該基部151に対し少なくともスロットマシン1側に変形可能に形成されている。
【0070】
具体的には、基部151は、四角筒状に形成され、メダル排出口182aから前方に向けて下方に傾斜するように、開閉板102の背面にネジ(図示略)等により固設されている。取り付けられた状態において、後端開口はメダル排出口182aを覆うように配置され、後挿通孔143b及び前挿通孔143aを挿通して先端が前方に突出される。
【0071】
突出部152は、上向きコ字形をなす複数の樋部材152aが互いにユニバーサルジョイント(自在継手)により上下及び左右方向に回動可能に接続されてなり、後側の樋部材152aは基部151の前端にユニバーサルジョイント(自在継手)により上下及び左右方向に回動可能に接続されている。すなわち、基部151は、導入経路カバー141の長手方向、つまり、メダルの移動(落下)方向に対して交差する前後方向に向けて延設された状態で固定されているのに対し、この基部151の先端に接続された突出部152は、左右方向(
図1参照)及び上下方向(
図2参照)に回動(変形)可能とされている。
【0072】
このように、導入経路カバー141内を挿通する基部151は変形不能であることで、メダルの落下を妨げることがないとともに、突出部152はスロットマシン1側に変形させることができることで、払い出されたメダルをスロットマシン1に直接誘導させることが可能となるため、使い勝手が向上する。
【0073】
次に、
図6に基づいて、このように構成された導入経路カバー141内におけるメダルの移動状況について説明する。
【0074】
受入部140の受入口140aに投入されたメダルMは、受入部140により導入経路カバー141内に誘導され、導入経路カバー141及び開閉板102からなる導入経路K内を下方に向けて落下していく。落下途中において、前後方向を向く棒状部材146a〜146cにメダルMが衝突することで、メダルMの姿勢が、表裏面が左右側板141b側を向く横向き姿勢に変更される。
【0075】
また、保護部材145の誘導傾斜面145a,145aによってメダルMが誘導されることによっても、メダルMの姿勢が横向き姿勢に変更されるため、誘導傾斜面145a,145aは姿勢変更手段を構成している。
【0076】
ここで、導入経路Kの左右幅L20に対し、ノズル150を保護する保護部材145の左右幅L21は約半分を占めている(L21≒2/L20)。尚、導入経路Kの前後幅L10(
図5参照)はメダルMの直径2Rよりも幅広とされている(L10>2R)。そして、ノズル150及び保護部材145は、導入経路Kの左右方向の略中央位置に配置されていることで、導入経路Kは二股状に分かれ、ノズル150及び保護部材145の左右側に幅狭経路K1,K1が形成される。この幅狭経路K1の左右幅L22は、メダルMの直径2Rよりも幅広とされているため(L22>2R)、メダルが詰まることはないが、この幅狭経路K1,K1よりも上方位置で棒状部材146a〜146cにより姿勢変更されているため、スムーズに通過される。
【0077】
よって、保護部材145上に落下したメダルMは、左右の誘導傾斜面145aにより左右いずれかに誘導され、ノズル150と左右側板141bとの間の幅狭経路K1,K1を通過していく。このように保護部材145により保護されることで、メダルMがノズル150に直接落下することがないので、ノズル150が損傷などしてメダルの払い出しに悪影響を及ぼすことが防止される。
【0078】
幅狭経路K1,K1を通過したメダルMは、下部において傾斜板141cにより後側に、かつ、傾斜板141dにより左右方向の中央に誘導された後、導入口142を通過して開閉板102の背面側に誘導される。そして、傾斜板141c上を滑り落ちて計数口191から計数装置190内に落下される。
【0079】
以上説明したように、本発明の実施例としてのメダル貸出機100にあっては、導入経路カバー141は、導入口142から上方に向けて延設され、ノズル150をメダルの導入(移動)方向に対し交差する前後方向に挿通可能な前挿通孔143a,後挿通孔143bが形成されており、受入部140は、前挿通孔143a,後挿通孔143bよりも上方位置に設けられている。よって、メダル貯留部183の貯留スペースを確保しつつ、誘導部材であるノズル150をスロットマシン1に対応した位置に配設できるとともに、計数装置190をメダル貯留部183よりも下方位置に配設しても、受入部140を前挿通孔143a,後挿通孔143b、つまり、ノズル150よりも上方位置に受入部140を配設することができるので、メダルの投入時にノズル150が邪魔になることがない。
【0080】
また、計数装置190をメダル貯留部183の上方位置に配置する必要がないので、メダル貯留部183の貯留スペースを十分に確保することができるばかりか、メダル貯留部183に貯留されたメダルMをノズル150まで揚送する必要もないので、装置が大掛かりになることもない。
【0081】
また、本実施例においては、
図1に示すように、受入部140は、隣接配置されるスロットマシン1のゲームを進行するために操作される遊技用操作部としてのメダル投入部4、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8Rとほぼ同高さ位置に配設されているため、メダルMを投入する際に遊技者に違和感を与えないばかりか、ゲームの操作を行いながらでもメダルMを投入しやすくなる。
【0082】
また、受入部140がノズル150よりも上方位置に配設されることで、計数装置190への導入口142からの距離が長くなるため、導入口142から手や異物等を挿入したとしても、導入口142から計数装置190にアプローチすることが困難となるため、不正な計数行為等を抑制できるばかりか、誤って手指を計数装置190内に挿入して怪我する危険性を回避できる。
【0083】
また、受入部140は、
図3に示すように、導入経路カバー141より少なくとも遊技者側に向けて拡がるように形成されていることで、投入口が遊技者側に近づくので、メダルを投入しやすくなる。
【0084】
また、スロットマシン1は、筐体1aと、該筐体1aの左側辺を中心として開閉可能に設けられた前面扉1bと、から構成され、受入部140は、左右方向を向く回動軸147を中心として回動可能に設けられていることで、受入部140を回動させることで、上方に折り畳んで退避させることができるため、前面扉1bの開放時に干渉することを防止できる。
【0085】
また、導入経路カバー141の内部には、ノズル150の上方を覆う保護部材145が設けられ、保護部材145は、受入部140から落下してくるメダルMをノズル150の左右側方を通過可能に誘導する誘導傾斜面145aを備えることで、導入経路カバー141内を挿通するノズル150に落下してくるメダルMが衝突することにより破損すること等が防止されるばかりか、誘導傾斜面145aによりノズル150を避ける方向にメダルMを誘導するため、メダルMの落下を妨げることがない。
【0086】
また、導入経路カバー141の内部におけるノズル150よりも上方の所定箇所には、受入部140にて受け入れられたメダルMの姿勢を、該メダルMの表裏面がメダルMの導入方向(上下方向)に対し交差する方向(前後方向)に沿う横向き姿勢に変更させる棒状部材146a〜146cが設けられていることで受入部140にて受け入れられて落下するメダルMの姿勢が、ノズル150よりも上方位置にいて横向き姿勢に変更されることで、メダルMが幅狭経路K1を通過しやすくなるばかりか、導入口142に到達するまでにメダルMの姿勢が揃い、整列された状態で計数装置190に導入されるため、計数装置190でのメダル詰まりの発生を抑制できる。
【0087】
また、棒状部材146a〜146cは、導入経路カバー141の側板141bに対し所定の隙間(左右幅L22>2R)を隔てて略平行、すなわち、メダルMの導入方向(上下方向)に対し交差する方向(前後方向)に沿うように設けられることで、簡単な構成でメダルMの姿勢を変更することができる。
【0088】
尚、本実施例では、棒状部材146a〜146cにより姿勢変更されるようにしていたが、前述したように、保護部材145の誘導傾斜面145aのように、メダルMの移動方向に対し傾斜して設けられる板状部材であってもよい。また、例えば螺旋状の線状部材や、先端に向けて先細りテーパ状に形成されたノズル等、種々の姿勢変更手段を採用してもよい。
【0089】
また、ノズル150は、払出装置182から前挿通孔143a,後挿通孔143bまで延設される基部151と、該基部151に連設され前挿通孔143aから遊技者側に向けて延設される突出部152と、を含み、基部151は変形不能に形成され、突出部152は該基部151に対し少なくともスロットマシン1側に変形可能に形成されている。よって、導入経路カバー141内を挿通する基部151は変形不能であることで、メダルMの落下を妨げることがないとともに、突出部152はスロットマシン1側に変形させることができることで、払い出されたメダルMをスロットマシン1に直接誘導させることが可能となるため、使い勝手が向上する。
【0090】
図7〜
図9には、本発明の変形例としてのメダル貸出機100が示されている。
図7は、本発明の変形例としてのメダル貸出機を示す要部正面図である。
図8は、
図7のメダル貸出機の一部縦断面図である。
図9は、
図8のB−B断面図である。
【0091】
前記実施例では、ノズル150を挿通するための前挿通孔143a及び後挿通孔143bは、導入経路Kにおける左右幅方向の略中央位置に形成され、ノズル150の左右側に幅狭経路K1,K1が形成されていたが、
図7及び
図8に示すように、ノズル150を挿通するための前挿通孔143a及び後挿通孔143bを、導入経路Kにおける左右幅方向の一端側(例えば右側)に形成し、ノズル150の他端(左端)側にのみ幅狭経路K2が形成されるようにしてもよい。
【0092】
このような場合、
図8に示すように、保護部材145Aは、右側から左側に向けて下方に傾斜する誘導傾斜面145bを有し、かつ、ノズル150を取り囲むように形成されている。このようにノズル150を前後方向に挿通するための前挿通孔143a及び後挿通孔143bは、左右幅方向の一端側に偏って形成されていてもよい。そして、ノズル150を避けるように形成される幅狭経路K2は、左右両側でなく、左側または右側のいずれかにのみ形成されるようにしてもよい。
【0093】
また、前記実施例では、ノズル150の基部151は、前挿通孔143aよりも前方に突出され、該前挿通孔143aよりも前方位置にて突出部152が回動可能に接続されていたが、
図9に示すように、導入経路K内において基部151に対し回動可能に接続されていてもよい。この場合、突出部152Aの移動を許容できるように前挿通孔143aを大きくする必要があるが、その隙間からメダルMが流出する虞があるため、保護部材145Aによりノズル150を取り囲むようにすればよい。
【0094】
また、このように保護部材145Aによりノズル150の周囲を筒状に取り囲むことで、保護部材145A内にメダルMが進入してくることがないので、ノズル150の突出部152Aを基部151に対して回動可能に設けても、メダルMの落下に悪影響が及ぶことがない。
【0095】
また、本実施例では、導入経路Kを構成する導入経路部材は、導入経路カバー141及び開閉板102を含んでいたが、導入経路Kは単一の筒状部材等により構成されていてもよい。
【0096】
また、受入部140は、開閉板102に対して回動可能にするために、導入経路カバー141とは別個の部材にて構成されていたが、導入経路カバー141の上端に一体に形成されていてもよい。また、受入部140の高さ位置は、ノズル150よりも上方位置であれば種々に変更可能である。