特許第6353492号(P6353492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353492
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】光学分光器アセンブリ及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/51 20060101AFI20180625BHJP
   G01J 3/36 20060101ALI20180625BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20180625BHJP
   G01N 21/3577 20140101ALI20180625BHJP
【FI】
   G01J3/51
   G01J3/36
   G01N21/27 A
   G01N21/3577
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-152877(P2016-152877)
(22)【出願日】2016年8月3日
(65)【公開番号】特開2017-32565(P2017-32565A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2016年9月30日
(31)【優先権主張番号】14/818,986
(32)【優先日】2015年8月5日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】パウラ スミス
(72)【発明者】
【氏名】カーチス アール フルスカ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エフ キャッチング
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジー クームス
【審査官】 塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06700690(US,B1)
【文献】 国際公開第03/091676(WO,A1)
【文献】 米国特許第05011279(US,A)
【文献】 特表2013−512445(JP,A)
【文献】 特開2013−242179(JP,A)
【文献】 特開2012−103208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00−3/52
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学分光器アセンブリであって、
照明光を供給する光源と、
第1方向に概ね平行に延在する光学キュベットであって、流体形態の試料を受け入れる流入口と、前記流入口と流体連通する空洞を画定し、該空洞内に前記試料を受け入れて含有する透明な側壁であって、信号光は、前記試料が前記照明光に照射される際に前記試料から発せられる側壁と、流出口とを有する光学キュベットと、
前記信号光を受光するために、前記透明の側壁に光学的に結合された第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタと、
前記信号光の光路における前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの下流で、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタから第1距離のところに固定される第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタであって、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタは第1のバンドパス中心波長を有し、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタは第2のバンドパス中心波長を有し、前記第1のバンドパス中心波長及び前記第2のバンドパス中心波長は、前記光路を横断する第1方向に沿って相互に調整されて変化する第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタと、
前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合され、前記第1方向に沿って配置された光検出器を有する光検出器アレイとを備える光学分光器アセンブリ。
【請求項2】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記空洞は前記第1方向に平行な軸を含む円柱部を有する光学アセンブリ。
【請求項3】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記空洞は前記第1方向に平行に延在するスラブを有する光学アセンブリ。
【請求項4】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの内の少なくとも一つは、並べて配置された複数のバンドパス光学フィルタセグメントを有し、各バンドパス光学フィルタセグメントは、隣接するバンドパス光学フィルタセグメントの横方向に不変の透過中心波長とは異なる横方向に不変の透過中心波長を有する光学アセンブリ。
【請求項5】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの各々は、並べて配置されたバンドパス光学フィルタセグメントのアレイを有し、各バンドパス光学フィルタセグメントは、隣接するバンドパス光学フィルタセグメントの透過中心波長とは異なる横方向に不変の透過中心波長を有し、
前記第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの前記バンドパス光学フィルタセグメントの前記透過中心波長は、相互に調整される光学アセンブリ。
【請求項6】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ又は第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの前記バンドパス光学フィルタセグメントの透過帯域幅は、対応する前記バンドパス光学フィルタセグメントの透過中心波長の10%以下である光学アセンブリ。
【請求項7】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの前記バンドパス光学フィルタセグメントの前記透過中心波長は、波長ステップで波長領域に広がり、
前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの前記隣接するバンドパス光学フィルタセグメントの前記透過中心波長は、前記波長ステップの少なくとも整数倍異なり、
前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの前記隣接するバンドパス光学フィルタの前記透過中心波長は、前記波長ステップの少なくとも整数倍異なる光学アセンブリ。
【請求項8】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの内の少なくとも一つの隣接するバンドパス光学フィルタセグメント間の黒いグリッドを更に備える光学アセンブリ。
【請求項9】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合され、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを通して伝播される前記信号光の波長の選択的検出のための光検出器を有し、該光検出器はその間の境界によって分離される光検出器アレイを更に備え、前記黒いグリッドは、前記光検出器間の境界に沿って、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの隣接するバンドパス光学フィルタセグメントの間に配置される光学アセンブリ。
【請求項10】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタで前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの方向に反射される光を抑制するために、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの間の前記光路に配置される円形偏光子を更に備える光学アセンブリ。
【請求項11】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合され、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを通して伝播される前記信号光の波長の選択的検出のための、前記第1方向に沿って配置された光検出器を有する光検出器アレイを更に備える光学アセンブリ。
【請求項12】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの各々の前記バンドパス光学フィルタセグメントの前記アレイは、前記バンドパス光学フィルタセグメントの2次元アレイを有し、
前記第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの前記バンドパス光学フィルタセグメントの前記透過中心波長は、前記第1方向及び前記第1方向に垂直で前記光路を横断する第2方向に沿って相互に調整される光学アセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の光学アセンブリにおいて、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合され、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを通して伝播される前記信号光の波長の選択的検出のために、前記第1方向及び前記第2方向に沿って配置された光検出器を有する二次元の光検出器アレイを更に備える光学アセンブリ。
【請求項14】
請求項12に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1方向に沿って延在し、前記第2方向沿いに間隔を空けて設置された複数の光検出器アレイを更に備え、各光検出器アレイは、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタと光学的に結合され、前記第1方向に沿って配置された光検出器を有し、各光検出器アレイは、対応する動作波長領域及び前記各検出器アレイに光学的に結合された、対応する複数のバンドパス光学フィルタセグメントを有し、
前記複数のバンドパス光学フィルタセグメントの前記透過中心波長は、前記対応する光検出器アレイの前記動作波長領域内である光学アセンブリ。
【請求項15】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの各々の前記バンドパス光学フィルタセグメントは複合画素に分けられ、各複合画素は、各複合画素に共通する予め定められた一組の透過中心波長を有する予め定められた一組のバンドパス光学フィルタセグメントを有し、
前記光学アセンブリは、
前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合され、前記フィルタに像を形成する物体と、
前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを通して伝播される前記信号光の波長の選択的検出のために、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合され、第1方向及び第2方向に沿って配置された光検出器を有する二次元光検出器アレイを更に備える光学アセンブリ。
【請求項16】
請求項に記載の光学アセンブリにおいて、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合され、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを通して伝播される前記信号光の波長の選択的検出のための、第1方向に沿って配置された光検出器を有する光検出器アレイを更に備える光学アセンブリ。
【請求項17】
光学分光器アセンブリを製作する方法であって、該方法は、
照明光を供給するための光源を設けるステップと、
第1方向に概ね平行に延在する光学キュベットであって、流体形態の試料を受け入れる流入口と、前記流入口と流体連通する空洞を画定し、該空洞内に前記試料を受け入れて含有する透明な側壁であって、信号光は、前記試料が前記照明光に照射される際に前記試料から発せられる側壁と、流出口とを有する光学キュベットを設けるステップと、
第1のバンドパス中心波長を有する第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ及び第2のバンドパス中心波長を有する第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを設けるステップと、
前記信号光の光路における前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタの下流で、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタから第1距離のところに固定するステップであって、前記第1のバンドパス中心波長及び前記第2のバンドパス中心波長は、前記光路を横断する前記第1方向に沿って相互に調整されて変化するステップと、
前記第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを、前記信号光を受光するために前記透明の側壁に光学的に結合するステップと、
センサを前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタに光学的に結合するステップであって、前記センサは、前記第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタを通して伝播される信号光の波長の選択的検出のための、前記第1方向に沿って配置された光検出器を備えるステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光学フィルタは入射光のスペクトル帯又はスペクトル成分を透過するために使用することができる。例えば、ハイパスフィルタはフィルタのエッジ波長よりも長い波長の光を透過させる。逆にローパスフィルタはエッジ波長よりも短い波長の光を透過させる。バンドパスフィルタは、フィルタの帯域幅内のフィルタの中心波長に最も近い波長の光を透過させる。波長可変バンドパスフィルタは光学フィルタであり、その中心波長を調整する、又は同調させることができる。
【背景技術】
【0002】
分光器は入射光の光学スペクトルを測定する。走査型分光器は一つ又は複数の可変バンドパスフィルタを使用して、入射光の異なるスペクトル成分を選択することができる。走査型分光器は、光学スペクトルを取得するために、可変バンドパスフィルタによって透過される光パワーレベルを測定しながら可変バンドパスフィルタの中心波長を走査することによって動作する。また、ポリクロメータ型分光器では、光学スペクトルのパラレル検出のために、光検出器アレイに光学的に結合される波長分散素子を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の光学フィルタ及び分光器は大きいため、携帯型の光感知装置や用途においてそれらの有用性が制限される。波長分離機能を提供するために、リニア可変フィルタが分光器で使用されてきた。図1Aを参照すると、従来のリニア可変フィルタ10は白色光で照射され、白色光は上部11、中間部12及び下部13の多波長の光ビームを含んでいる。上部11、中間部12及び下部13の多波長の光ビームは、リニア可変フィルタ10に上部11A、中間部12A及び下部13Aの位置でそれぞれぶつかる。リニア可変フィルタ10は、x軸18に沿って直線的に変化する通過帯域の中心波長を有する。例えば、フィルタ10は上部位置11Aで短波長ピーク11Bを、中間位置12Aで中波長ピーク12Bを、下部位置13Aで長波長ピーク13Bを透過させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
図1Bを参照すると、従来の分光器19は、図1Aのリニア可変フィルタ10、リニア可変フィルタ10の上流に配置されたテーパ型光管14及びリニア可変フィルタ10の下流に配置された光検出器の線状アレイ15を含んでいる。動作において、平行化されていない入射光16は光管14によって調整され、一部が平行化された光ビーム17が生成される。リニア可変フィルタ10は図1Aを参照して説明した様に、異なる波長の光を透過させる。テーパ状の光管14は入射光16の立体角を減少させ、リニア可変フィルタ10のスペクトル選択性を向上させる。光検出器の線状アレイ15は異なる波長の光パワーレベルを検出し、入射光16の図示しない光学スペクトルを取得する。
【0005】
テーパ状の光管14は、一般に、分光器19の中で一番大きな要素である。テーパ状の光管14のような平行化要素が必要とされる、というのもこれがなければリニア可変フィルタのスペクトル選択性が低下するのである。これはリニア可変フィルタ10が積層誘電体膜を含んでいるためである。薄膜フィルタの波長選択性は、一般に、入射光の入射角に依存し、これによって薄膜フィルタのスペクトル選択性及び波長精度を低下させることがある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1Aは、従来のリニア可変フィルタを示す図である。図1Bは、図1Aのリニア可変フィルタを含む従来の光学分光器を示す図である。
図2図2Aは、間隔を空けて相対的に固定された、横方向に可変の一対のバンドパスフィルタを含む光学フィルタを示す図である。図2B図2Aの横方向に可変のバンドパスフィルタの中心波長依存性を示す図である。図2Cは、光学フィルタによる空間的フィルタリングの原理を説明する、図2Aの光学フィルタの側面図である。
図3】光学フィルタの受光角を示す、図2Aの光学フィルタの側断面図である。
図4A】直線状の光導管を含むファイバ結合型光学分光器アセンブリの上面図である。
図4B図4Aのファイバ結合型光学分光器アセンブリの側断面図である。
図4C図4Aのファイバ結合型光学分光器アセンブリの変形例の上面図である。
図5】流体又は流動する粒状材の透過スペクトルを測定する斜めの中継光管を含む、図4A及び図4Bの光学分光器アセンブリの側面図である。
図6図6A及び図6Bは、スラブ状の空洞を有するフローキュベットを備えた分光器アセンブリの上面図及び側断面図をそれぞれ示したものである。
図7図7A及び図7Bは、円筒状の空洞を有するフローキュベットを備えた分光器アセンブリの上面図及び側断面図をそれぞれ示したものである。
図8図8A図8Dは、セグメント化された横方向に可変の光学フィルタの略平面図である。
図9図8Aのセグメント化された第1及び第2の光学フィルタ及び光検出器アレイを含む光学アセンブリの略断面図である。
図10A図8Bのセグメント化された横方向に可変の光学フィルタ及び2次元の光検出器アレイを含む光学アセンブリの3次元図である。
図10B図8Bのセグメント化された横方向に可変の光学フィルタ及び複数の光検出器アレイを含む光学アセンブリの略3次元図である。
図11】円形偏光子を含む光学フィルタアセンブリの略側面図である。
図12A】マルチスペクトルイメージングの光学対物レンズを備える光学アセンブリの側断面図である。
図12B図12Aにおける光学アセンブリの2次元検出器アレイに重ね合わせた物体像の平面図である。
図13】本開示の光学分光器アセンブリの種々の実施形態の製造方法を示すフローチャートである。
図14】本開示の光学分光器アセンブリの種々の実施形態の製造方法を示すフローチャートである。
図15】本開示の光学分光器アセンブリの種々の実施形態の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面を参照して下記の詳細な説明を説明する。異なる図面で使用される同じ参照符合は、同一の又は類似した要素を識別するためのものである。
【0008】
図2A及び図2Bは、以下に記載する実施例による、光のスペクトルフィルタリングのための光学アセンブリ20(図2A)を示す図である。例えば、光学アセンブリ20は、信号光23の光路22に、距離Lを空けて順に配置された、横方向に可変の第1及び第2のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bを含んでいる。第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bは、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの下流の光路22において、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aに対して相対的に固定させることができる。換言すれば、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bは、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aに対して横方向に移動しないように配置させ、固定することができる。図2Bに示す様に、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bは、それぞれ相互に調整されて変化する、すなわち、x軸で表される共通の第1方向25に沿って距離をおいて変化するバンドパス中心波長λを有している。第1方向25は光路22を横断している。本明細書で使用する「横方向に可変の」という用語は、バンドパス中心波長λが光路22を横断する方向、例えば、第1方向25に変化することを意味するものと定義される。非限定的な例として、図2Aの第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bのバンドパス中心波長λはどちらも、それぞれ単調な、例えば図2Bに示すような線形従属性24A及び24Bを有することができる。x座標によって表される、第1方向25に沿った距離上にある第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bの中心波長依存性λ1T(x)及びλ2T(x)は、同じであってもよいし、又は互いにシフトしてもよい。例えば、中心波長依存性λ1T(x)及びλ2T(x)は、λ2T(x)=λ1T(x+x)であってもよく、この場合、xは定数である。又は、例えばλ2T(x)=cλ1T(x)で調整してもよく、この場合、cは定数、例えば、0.9<c<1.1である。バンドパス中心波長λに関して本明細書において使用される「調整して」又は「相互に調整して」という用語は、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bの中心波長依存性λ1T(x)とλ2T(x)との間の、予め定められた機能的関連性を意味するものであると定義される。
【0009】
光学アセンブリ20の構成により、光学アセンブリ20におけるスペクトル選択性の信号光23の平行化度への依存性を、対応する第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bのスペクトル選択性の信号光23の平行化度への依存性と比較して少なくすることができる。光学アセンブリ20のこの性能の向上は、図2Cに示す空間的フィルタリング効果によるものである。波長λ0における単色光では、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bは、中心波長がλ=λ0であるx軸に沿った位置に対応する「開口部」26を有するスリットによって適切に表すことができる。「開口部26」の外側において、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bは、波長λ0における単色光に対して、本質的に不透明である。「開口部」26は、フィルタ間距離Lに依存する受光コーン、すなわち立体角27(2θ)を画定する。立体角27の外側の光線は遮断されるため、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bのスペクトル選択性が向上する。
【0010】
図2A図2Cの光学アセンブリ20の動作を、光学アセンブリ20の側断面図を示す図3を参照して更に説明する。図3に示す様に、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bに関して、中心波長λはx座標で示す様に、第1方向25に沿って左から右へと増加する。図3において、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bのバンドパス中心波長λは、x座標に線形従属している。
【0011】

λ≒λ0+DΔx (1)
【0012】
上式において、λ0は基準点xにおける基準バンドパス中心波長を表し、Dは比例係数を表し、本明細書においては横方向に可変のフィルタの「傾斜」と称し、Δxは基準点xからのオフセットを表す。傾斜Dは図2Bの線形従属性24A及び24Bの傾斜に対応し、同じであるが、同じである必要はない。線形従属性24A及び24Bの同一の傾斜からの逸脱は、いくつかの用途において有利である。
【0013】
図3の実施例において、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bを相互に位置合わせし、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bの基準バンドパス中心波長λ0に対応する基準点xが、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの基準バンドパス中心波長λ0に対応する基準点xの真下に配置されるようにする。第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aは、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bの空間フィルタとして機能し、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bの受光角30を画定する。受光角30は基準波長λ0において、左及び右の周辺光線31L及び31Rによって制限され、各光線は、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bに対して垂直32な角度θで伝播し、同じ基準点xで第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bにぶつかる。受光角30は、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの通過帯域33Aから以下に記載の様に導かれる。
【0014】
図3の実施例に示す配列において、左の周辺光線31Lは第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aとx−Δxの位置でぶつかる。その位置における透過波長λは、式λ=λ0−DΔxによって得られる。左の周辺光線31Lは基準波長λ0なので、左の周辺光線31Lは第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの通過帯域33Aの幅に応じて減衰される。本例において、10dBの帯域幅を2DΔxとする。従って、左の周辺光線31Lは10dB減衰される。同様に、右の周辺光線31Rは、 第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aとx+Δxの位置でぶつかる。その位置における透過波長λは、式(1)λ=λ0+DΔxによって得られる。右の周辺光線31Rも10dB減衰される。受光角30内の基準波長λ0における光線は全て、10dBよりも小さな値だけ減衰され、受光角30の外側の基準波長λ0における光線は全て、10dBよりも大きな値だけ減衰される。第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aは空間フィルタとして機能し、入射光の開口数(NA)が第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bによって個々の波長に分離されることを効果的に制限する。このため、光学アセンブリ20のスペクトル選択性の依存性を、対応する単一の第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bのスペクトル選択性の信号光23の平行化度への依存性と比較して、減少させることができる。光学アセンブリ20内に第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aがない場合、光学アセンブリ20のスペクトル選択性は信号光23の平行化度にかなり多く依存する。信号光23は図示しない試料の散乱又は照射から生じるため、信号光23は典型的には平行化されない。第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aがなく、信号光23の平行化が欠如している場合、テーパ状の光管など、専用の平行化要素が使用されない限り、スペクトル選択性は全体的に悪化してしまう。ここで「スペクトル選択性」という用語は、通過帯域幅、迷光除去率、インバンド及びアウトバンドブロッキングなどのパラメータを含む。
【0015】
小さな角度θは、例えばθ<5°である。
【0016】

θ≒Δx/L(2)又は
【0017】

L≒Δx/θ(3)
【0018】
第1及び第2の横方向に可変のバンドバス光学フィルタ21Aと21Bとの間の空間が屈折率nを有する透明媒質で充填されている場合、式(3)は以下の通りとなる。
【0019】

L/n≒Δx/θ(4)
【0020】
式(4)は、フィルタ間距離Lと、フィルタ間の間隙の屈折率nと、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの帯域幅に対応する、第1方向25に沿った横方向距離Δxと、それによって生じる受光半角θとの間の適切な関係を定める。より正確な関係は、典型的には、バンドパス中心波長λの(すなわちより短い波長に向かった)ブルーシフトとなる、ゼロでない入射角による波長オフセットを考慮する。例えば、x+Δxの位置において第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aとぶつかる基準波長λ0 における右の周辺光線31Rは、角度θだけ傾斜し、これによって第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの透過性は、より短い波長へと変化する。この波長依存性を考慮すると、通過帯域33Aの肩は左、すなわちより短い波長へとシフトする。
【0021】

λ≒[(λ0 +DΔx)(neff−θ1/2]/neff (5)
【0022】
上式において、neffは第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの有効屈折率を表している。
【0023】
図2Bにおいて、第1及び第2の横方向に可変のバンドパスフィルタ21A及び21Bは、上述の式(1)によって規定されるような線形的に可変のバンドパス中心波長λを有するが、第1及び第2の横方向に可変のバンドパスフィルタ21A及び21Bの中心波長λは、例えば、放物線状又は指数関数的に第1方向25に増減する、単調な非線形であってもよい。また、バンドパス中心波長λ依存性は非漸進的、例えば段階的であってもよい。バンドパス中心波長λの、第1及び第2の横方向に可変のフィルタ21A及び21Bの第1方向25に沿ったx座標への依存性は、光学アセンブリ20の受光角及び/又は波長応答性の最適化又は変化を可能にするために、同じであってもよいし、又は異なるものであってもよい。一実施形態において、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bの同じバンドパス中心波長λに対応する位置をつなぐ線が、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bの法線32との間で45°以下の角度を成すように、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bのバンドパス中心波長λを相互に位置合わせしてもよい。法線32との角度がゼロでない場合、受光コーン30は傾斜しているように見える。従って、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bを第1方向25に相互にオフセットすることにより、受光コーン30の方向を変えることができるだろう。更に、角度は第1方向(x軸)25に沿って変化させることができる。
【0024】
全体的なスループットをより良くするために、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの帯域幅に対応する、第1方向25に沿った横方向の距離Δx1を、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bの帯域幅に対応する、第1方向25に沿った横方向距離Δx2よりも大きくすることが好適である。一実施形態において、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bは、対応するバンドパス中心波長λの10%以下である3dBの通過帯域をそれぞれ有することができる。
【0025】
第1及び/又は第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び/又は21Bは、2つ、3つ、又はそれ以上の異なる材料を含む薄膜積層を有する。例えば、高指数層及び/又は吸収層を、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bの各々の全体的な厚さを低減するために使用することができる。第1及び/又は第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び/又は21Bは、回折格子、例えば、サブ波長格子、二色性ポリマーなどを含んでもよい。更なる横方向に可変のバンドパス光学フィルタには光路を設けてもよく、更なるフィルタは、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bのバンドパス中心波長に合わせて変化するバンドパス中心波長を有する。
【0026】
図4A及び図4Bは、以下に記載する実施例による光学分光器アセンブリ40の図である。図4A及び図4Bの光学分光器アセンブリ40は、例えば、図2Aの光学アセンブリ20を含み、更に、第1端41Aから第2端41Bへ信号光23を伝導するための、その第1端41A及び第2端41Bの間に延在する光ファイバ41を含んでいる。
【0027】
光導管42はその第1表面42Aと第2表面42Bとの間に延在する。第1表面42Aは、信号光23を受光し、信号光23を光導管42内で第1表面42Aから第2表面42Bへと伝導させるために、例えば空隙を介して、又は直接の物理的接触により、光ファイバ41の第2端41Bへと光学的に結合させることができる。第2表面42Bは、信号光23を受光して光路22に沿って伝播させるために、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aに光学的に結合させることができる。光検出器アレイなどの多素子センサ43は、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bに光学的に結合させることができる。センサ43は、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bを通して伝播される信号光23の波長の選択的検出のため、第1方向25に沿って配置される光検出器43Aを含むことができる。
【0028】
図4A及び図4Bに示す例示的実施形態において、光導管42は、例えばガラス又は射出成形による透明可塑材などの、均質な透明材料の平面、平行なスラブを含むことができる。スラブは、平ら又は湾曲した、例えば第1表面42A及び第2表面42Bの、複数の外面を有してもよい。スラブは信号光23を拘束せずに伝播するように構成することができる。例えば、スラブは連続的であってもよいし、中空であってもよい。スラブは一般には第1方向25に対して平行に配置させることができ、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aに任意選択で機械結合させることができる。
【0029】
信号光23の一部23Aは第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aで反射される。この一部23Aは第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの特定の反射位置における透過波長以外の波長の光を含んでいてもよい。この一部23Aを再使用するために、光導管42は、反射光部23Aの少なくとも一部を第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aに向け直す、一つ又は複数の反射壁44を含むことができる。
【0030】
図4Cは、以下に記載する実施例による光学分光器アセンブリ45を示している。図4Cの光学分光器アセンブリ45は、まっすぐな光導管42に代えて、湾曲した光導管46を更に含んでいる。湾曲した光導管46により、よりコンパクトな機械構成が可能になる。湾曲した光導管46は、第1表面42A、第2表面42B、及び第3表面42Cを有し、第3表面42Cは、第1表面42Aと第2表面との間の光路22に配置され、第1表面42Aから信号光23を受光し、この信号光23を第2表面42Bに反射する。第3表面42Cには任意選択で鏡面加工を施してもよいし、湾曲した光導管46の屈折率が信号光23を全内部反射(TIR:total internal reflection):n>1/sin(α)(本式において、nは導管46の屈折率であり、αは信号光23の第3表面42Cへの入射角)で反射するのに十分に高い場合には、被覆しないでおくことができる。まっすぐな光導管42又は湾曲した光導管46は、図示しない複数の個々の光ファイバに結合される複数の導管分岐を含むことができる。
【0031】
図5を参照すると、以下に説明する実施例による光学分光器アセンブリ50が示されている。図5の光学分光器アセンブリ50は、試料51が照明光53によって照射される時に流体又は粒状試料51から発せられる信号光23を集光し、信号光23を光ファイバ41の第1端41Aに結合させるための、光ファイバ41の第1端41Aに光学的に結合される光プローブ52を含むことができる。図5に示す実施例において、流体又は粒状試料51は、照明光53を透過させる透明な窓58を底部に有するキュベット55に保持される。例えば、信号光23は、透過照明光53又は散乱照明光53、あるいは蛍光又はリン光などの発光であってもよい。
【0032】
引き続き図5を参照すると、光プローブ52はその第1端59Aと第2端59Bとの間に延在する中継光管59を含んでいる。ここでは第1端59Aを光ファイバ41から最も離れている「遠位」端と称し、これを試料51と接触させる、又はこれに挿入して、試料51から発せられる信号光23を集光するように構成することができる。そして第2端59Bをここでは光ファイバ41に最も近い「近位」端と称し、これは、光ファイバ41の第1端41Aへの光学的及び機械的結合のために構成することができる。光プローブ52の中継光管59は、第1端59Aから第2端59Bまでの中継光管が、信号光23をまとめて拘束せずに伝播できるように構成することができる。例えば、中継光管59は、流体又は粒状のオーバーレイヤ57を通って試料51まで挿入できるように、ガラス、又は剛性を有する透明で化学的に不活性なプラスチックで製作してもよい。中継光管59も、鏡面加工された内壁を有する中空状に製作してもよい。
【0033】
図5に示す実施例において、中継光管59の第1(遠位)端59Aは傾斜した光学面56を含み、この面によって方向54に流れる試料51は傾斜した光学面56に圧力をかけるため、特に粒状試料51又は固形物の流体の懸濁を含む試料51に対する信号光23の集光が容易になる。
【0034】
中継光管59は光プローブ52の唯一の実施可能な実施形態であると理解されよう。光プローブ52の他の実施形態には、放射プローブ、反射/後方散乱プローブ、透過キュベット、酸素プローブ、蛍光又は燐光プローブなどがある。光ファイバ41には、照明光53を例えば透過キュベットに供給する、分岐を含む二股光ファイバがある。
【0035】
ここで図6A及び図6Bを参照すると、フロー分光器光学アセンブリ60の実施例は、照明光53を供給する光源61と、第1方向25(図6B)に概ね平行に延在する細長い光学キュベット62と、図2Aの光学アセンブリ20と、センサ43とを含んでいる。
【0036】
細長い光学キュベット62は、流体形態の試料51を受け入れる流入口63Aと、流入口63Aと流体連通し、空洞65に受け入れられた試料51を照射するために側壁64を通して照明光53を透過させながら試料51を受け入れ、これを含有する空洞65を画定するほぼ透明な側壁64とを含んでいる。照射時、空洞65によって受け入れられた試料51は信号光23を発する。透明な側壁64は、信号光23が第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aに光結合されて光路22に沿って伝播されるように、透明な側壁64を通って信号光23が透過されるように構成することができる。細長い光学キュベット62は、照射光53で照射される試料51を出射する、空洞65と流体連通する流出口63Bを更に含むことができる。
【0037】
センサ43は、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bに光学的に結合させることができる。センサ43の光検出器43Aは、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bを通して伝播される信号光23の波長の選択的検出のため、第1方向25に沿って配置させることができる。空洞65で試料23をより均一に照射するために、光源61は、図6Bに示すように、第1方向25に概ね平行に延在する、細長い形状としてもよい。例えば、第1方向25に沿って延在する渦巻状のタングステンを有する白熱灯を使用してもよい。細長い光学キュベット62の壁64は、試料51を含有する空洞65への照明光53の屈折又は集光を容易にする、及び/又はセンサ43(図6A)への信号光23の屈折又は集光を容易にするレンズとして機能することができる。
【0038】
図6A及び図6Bに示す実施例において、空洞65は、第1方向25に平行に延在するスラブ部65A,例えば平面、平行なスラブを有する。これにより、例えば光源61がレーザー源を含んでいる、又はレーザー源に結合されているときなどのように、大きな光パワーを有する場合、液体試料23を空洞65内において、例えば1mm、又は2mmよりも薄くすることができる。水の振動周波数によって支配される水溶液の吸収スペクトルを得るには、薄い試料の方が有益である。
【0039】
図7A及び図7Bを見ると、フロー分光器光学アセンブリ70の実施例が示されている。図7A及び図7Bのフロー分光器光学アセンブリ70は、流入口73A、流出口73B及び第一方向25にほぼ平行に延在する光学軸75Bを有する円柱部75Aを含む空洞75を画定する透明な側壁74を有するフローキュベット72を備えている。空洞75の円柱部75Aによってより大きな容量の試料51をその中に保持することができ、これは、有機溶液の吸収スペクトルの取得にはより適している。特定の用途には他の光路長が必要となる。図6A及び図6Bのフロー分光器光学アセンブリ60と同様に、図7A及び図7Bのフロー分光器光学アセンブリ70の透明な側壁74は、試料51を含有する空洞75への照明光53の屈折を容易にする、及び/又はセンサ43(図7A)への信号光23の集光を容易にするレンズとして機能することができる。
【0040】
一実施形態において、センサ43は、光検出器43Aの複数の列を含む、光検出器の2次元アレイを含むことができる。好適には、このような列の各々は第1方向25に平行に延在する。光検出器の2次元アレイは、異なる波長範囲の信号光23のスペクトルを同時に取得するために使用することができる。
【0041】
実施例において、光学アセンブリ20(図2A)の第1又は第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A又は21B、又はこれらはどちらもセグメント化することができる。図8A図8Dは、以下に記載する実施例による光学アセンブリの略平面図である。特に図8Aを参照すると、光学アセンブリ80Aの第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bの各々は、第1方向25に並んで配置された、第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aのバンドパス光学フィルタセグメントアレイ85A、例えば、81A、82A、83A、84Aと、第1方向25に並んで配置された、第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bのバンドパス光学フィルタセグメントアレイ85B、例えば81B、82B、83B、84Bとを含んでいる。
【0042】
第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aのバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aの各々は、隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aの透過中心波長λとは異なる、横方向に変更不可能な、すなわち一定した透過中心波長λを有する。例えば、第2のバンドパス光学フィルタセグメント82Aの透過中心波長λは、第1のバンドパス光学フィルタセグメント81A及び第3のバンドパス光学フィルタセグメント83Aなどの透過中心波長λとは異なる。同じことが第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bにも言える。第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bの各バンドパス光学フィルタセグメント81B、82B、83B、84Bは、隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81B〜84Bの透過中心波長λとは異なる、横方向に不変の、すなわち一定した透過中心波長λを有することができる。その結果、第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bのバンドパス中心波長は、セグメント間で段階的に横方向に変化可能である、及び/又はセグメント間で非単調に変化する。
【0043】
図8Aに矢印82で示す様に、第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bのバンドパス光学フィルタセグメント81A、81B、81C、81Dの透過中心波長λは、相互に調整することができる。非制限的な例として、透過中心波長λは相互に等しくてもよい、つまり、第1のバンドパス光学フィルタセグメント81Aの透過中心波長λは、第2のバンドパス光学フィルタセグメント81Bなどの透過中心波長λと同じであってもよい。第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bの対応するバンドパス光学フィルタセグメントの透過帯域幅は等しくてもよく、例えば、バンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aの対応する透過中心波長λの10%以下、より好適には2%以下であってもよい。光学アセンブリ80Aの全体的なスループットをよくするために、第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aのバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aの透過帯域幅は、対応する第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bのバンドパス光学フィルタセグメント81B〜84Bの透過帯域幅より大きくてもよい。説明のための非制限的な例として、第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aのバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aの透過帯域幅は、バンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aの対応する透過中心波長λの2%以下であり、一方で第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bのバンドパス光学フィルタセグメント81B〜84Bの透過帯域幅は、バンドパス光学フィルタセグメント81B〜84Bの対応する透過中心波長λの1%以下であってもよい。
【0044】
図8Bを見ると、実施例による光学アセンブリ80Bは2次元(2D)にセグメント化された光学フィルタアセンブリである。光学アセンブリ80Bの第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bはそれぞれ、バンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bの2Dアレイを含んでいる。例として、第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aは、第2方向25’に並べて配置され、2次元アレイに組み合わせられた4つの一次元アレイ85A、86A、87A、88Aを含み、このような一次元アレイ85A〜88Aの各々は、二次元アレイ全体に特有の、第1方向25に並べて配置された、透過中心波長λを有するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aを含んでいる。同様に、第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bは、第2方向25’に並べて配置され、2次元アレイに組み合わせられた一次元アレイ85B、86B、87B、88Bを含み、このような一次元アレイ85B〜88Bの各々は、特有の透過中心波長λを有し、第1方向25に並べて配置された、バンドパス光学フィルタセグメント81B〜84Bを含んでいる。第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bのバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bの透過中心波長λは、第1方向25及び第1方向25に垂直で光路22(図8A及び図8Bに示さず)を横断する第2方向に沿って相互に調整される。一実施形態において、第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bのうちの少なくとも一つに隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A又は81B〜84Bを分離する黒いグリッド89は、隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A間又は81B〜84B間の光の漏れを抑制するために設けることができる。
【0045】
本開示の一態様によれば、各アレイ85A〜88A及び85B〜88Bの隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84のB透過中心波長λは連続的である必要はない。すなわち、増加順又は減少順に配置する必要はない。第1又は第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A又は221Bの段階的に横方向に可変のバンドパス中心波長は、単調に増減する必要はない。実際、好適には、透過中心波長λを「スクランブル」し、各アレイ85A〜88A及び85B〜88Bの隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bが透過中心波長λにおいて、透過中心波長λの「典型的な」波長増分よりも大きく異なるようにすることができる。非制限的な例として、図8Cを参照すると、セグメント化されたフィルタ80Cの隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bの透過中心波長λT0が、各アレイ85A〜88Aに関して(ナノメートルで)示されている。図8Cにおいて、一番上の行88Aの一番左のセグメント81Aは、透過中心波長λ=700nmであり、その右隣り82Aは透過中心波長λ=900nmであり、88Aのすぐ下の87Aは透過中心波長λ=1050nmである。第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bのバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bの透過中心波長λは、第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bの隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bの透過中心波長λが、一定の又は変化する波長ステップの少なくとも整数倍だけ異なるように、一定の、又は可変の波長ステップで波長領域に広がることができる。例えば、波長ステップが25nmの場合、すなわち、バンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び/又は81B〜84Bの透過中心波長λが700nm,725nm,750nmなどの値を含む場合、第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bの隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bの透過中心波長λは、少なくとも125nm=5*25nm、つまり波長ステップの5倍だけ異なる。例えば、個々のアレイ85A〜88A、すなわち図8Cの横方向において隣接するバンドパス光学フィルタセグメントの透過中心波長λ間の最小の差は、一番左で一番下のバンドパス光学フィルタセグメント81A(1000nm)と一番下のアレイ85A内の82A(875nm)との間の差である。図8Cにおける個々のアレイ85A〜88A、すなわち横方向におけるその他の差は全てこれよりも大きい。本例において縦方向の差はいくらか小さく、例えば、少なくとも75nm=3*25nm、すなわち、波長ステップの3倍である。従って、横又は縦の光学フィルタセグメント81A〜84A及び/又は81B〜84Bの透過中心波長λの差は波長ステップの少なくとも3倍である。波長ステップは変化可能である、すなわち、光学フィルタセグメント81A〜84A及び/又は81B〜84Bの透過中心波長λは、例えば、700nm、711nm、722nm、733nmなどの値であってもよい。光学フィルタセグメント81A〜84A及び/又は81B〜84Bの総数はもちろん変えることができる。第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bのバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aは、バンドパス光学フィルタセグメント81A〜84Aの対応する通過帯域の波長以外の波長で光を吸収するために、色ガラス、吸着色素、又は染料を含むことができる。
【0046】
一実施形態において、第1又は第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A又は221Bは、セグメント化された部分及び連続的に変化する部分を有することができる。例えば、図8Dを参照すると、光学アセンブリ80Dの上流フィルタ321Aは連続的に変化するλのフィルタであり、光学アセンブリ80Dの下流フィルタ321Bは、連続的に変化する部分21B’及びセグメント化された部分21B”を含んでいる。図2Aの光学アセンブリ20と同様に、図8Dの光学アセンブリ80Dのこれらの上流フィルタ321A及び下流フィルタ321Bのバンドパス中心波長は、第1方向25及び/又は第2方向25’に沿って相互に調整されて変化してもよい。
【0047】
図2A及び図8Aを更に参照して図9を見ると、光学分光器アセンブリ90は、図2Aの光学アセンブリ20の第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21B、又は図8Aの光学アセンブリ80Aの第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bと光学的に結合されたセンサ93を含んでいる。センサ93は、個々の光検出器93A間の境界93Bによって分離された、第1方向25に沿って配置された光検出器93Aの一次元アレイを有する。従って、光検出器93Aは、第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bによって伝播される信号光23の波長の選択的検出のために配置することができる。図8Aの光学アセンブリ80Aを含む実施形態に関して、センサ93は各セグメント81B〜84Bに対応する一つの光検出器を有することができる。図9に示す実施例において、黒いグリッド89を、第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bの隣接するバンドパス光学フィルタセグメント81Bと82Bの間、82Bと83Bの間及び83Bと84Bの間、並びに光検出器93Aの間の境界93Bに沿って配置することができる。一実施形態において、黒いグリッド89は、図示する様に、第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aと221Bの間に延在させることができる。
【0048】
図10Aを参照すると、実施例による光学分光器アセンブリ100Aは、図8Bの光学アセンブリ80Bの第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221B又は図8Dの光学アセンブリ80Dに光学的に結合されるセンサ103を含むことができる。センサ103は、第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bに光学的に結合された光検出器103Aの2次元アレイを有し、これらの光検出器103Aは、第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bを通って伝播される信号光23の波長の選択的検出のために、第1方向25及び第2方向25’に沿って配置される。
【0049】
図10Bを見ると、実施例による光学分光器アセンブリ100Bは、第2方向25’に沿って並んで配置され、図8Bの光学アセンブリ80Bの第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221B又は図8Dの光学アセンブリ80Dに光学的に結合される複数のセンサ105,106,107,108を含むことができる。センサ105〜108の各々は、第1方向25に沿って延在する光検出器アレイを含むことができる。例えば、第1センサ105は第1方向25に沿って延在する光検出器105Aのアレイを含み、第2センサ106は第1方向25に沿って延在する光検出器106Aのアレイを含み、第3センサ107は第1方向25に沿って延在する光検出器107Aのアレイを含み、そして第4センサ108は第1方向25に沿って延在する光検出器108Aのアレイを含む。センサ105〜108は第2方向25’に沿って間隔を空けて配置してもよいし、又は接合してもよい。各センサ105〜108は、第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bに光学的に結合される。各センサ105〜108は対応する動作波長領域を有し、対応する複数のバンドパス光学フィルタセグメント85B〜88Bはセンサ105〜108と光学的に結合されている。非制限的な例として、シリコン(Si)ベースのセンサアレイは、200nm〜1100nmの可視の近赤外線領域の波長で使用し、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)ベースのセンサアレイは、500nm〜2600nmの赤外線領域で使用することができる。複数のバンドパス光学フィルタセグメント85B〜88B(及び85A〜88A)の透過中心波長λは、対応する光検出器アレイ105〜108の動作波長領域内となるように選択することができる。このように複数のスペクトル光学分光器アセンブリを構成することができる。尚、図8A図8Dの光学アセンブリ80A〜80Dのセグメント化されたフィルタ構造と、図10A及び図10Bのセンサ構造とは、例えば、図5図6A及び図6B並びに図7A及び図7Bの光学分光器アセンブリ50、60及び70で使用することができる。
【0050】
図11を参照すると、実施例による円形偏光子110を、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Bから反射される光23’を抑制するために、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bの間の光路22に配置することができる。円形偏光子110は入射光23を例えば右回り円形偏光に偏光させる。反射光23’は伝播の逆方向であるため、左回りに偏光される。反射光23’は円形偏光子110、すなわち反射光23’のエネルギーを取り除く吸収円形偏光子によって抑制される。円形偏光子110もまた、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bから反射される光を抑制するために、図2の光学アセンブリ20の第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bの間に配置させることができる。
【0051】
ここで図12A及び図12Bを見ると、実施例による撮像光学アセンブリ120は、例えば、拡散器122上、又は直接第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A上に物体123の像123Aを形成するために、図2Bの光学アセンブリ80B、及び任意選択の拡散器122又は第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aに光学的に結合されたに対物レンズを有する。第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bはそれぞれ、「複合画素」124に分けられた変更不可能なバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84B(簡潔のため、第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221Aのセグメント81A〜84Aのみを示す)を有し、各複合画素124は、各複合画素に共通する予め定められた透過中心波長λを有する予め定められた一連の横方向に不変のバンドパス光学フィルタセグメント81A〜84A及び81B〜84Bを含んでいる。この構成は、デジタル写真に使用されるカラーCMOSセンサで用いられるものと同じであり、フィルタセグメント81A〜84Aの数は少なくとも5、又は少なくとも12である。このような構成によって物体123のマルチスペクトルイメージングが可能となる。
【0052】
センサ103(図10A)を第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221B(図12A図12B)に光学的に結合させることができる。センサ103は、第1及び第2のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bを通して伝播される信号光23の波長の選択的検出のために、第1方向25及び第2方向25’に沿って配置された光検出器103Aを含むことができる。拡散器122は、使用時に、対物レンズ121によって形成された像123Aを第1のセグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A上に広げることができる。対物レンズ121は、例えば、凹面鏡などの別の画像形成光学素子と差換えることができる。2Dセンサ103は、図9の1Dセンサ93又は図10Bの複数のセンサ105〜108と差換えることができる。
【0053】
図13を参照すると、本開示の光学分光器アセンブリを製作する方法130は、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bを設けるステップ131を含む。ステップ132において、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bを、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの下流の光路22において、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aから距離Lのところに固定することができる。最後にステップ133において、センサ43を第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bに光学的に結合させる。上述の様に、センサ43は、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bを通る光路22に沿って伝播される信号光23の波長の選択的検出のために、第1方向25に沿って配置された光検出器43Aを含むことができる。
【0054】
図14を見ると、図5の光学分光器アセンブリ50を製作する方法140は、試料51を照明光53で照射する際に試料51から発せられる信号光23を集光する光プローブ52を設けるステップ141を含む。ステップ142において、光ファイバ41の第1端41Aを、光プローブ52によって集光された信号光23を受光し、信号光23を光ファイバ41内でその第2端41Bに向けて伝播するため、プローブ52に光学的に結合させることができる。 次のステップ143において、光導管42の第1表面42Aを光ファイバ41の第2端41Bに光学的に結合し、光ファイバ41の第2端41Bに伝播される信号光23を受光し、光導管42内をその第2表面42Bに向けて伝播させてもよい。次のステップ144において、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aを、光導管42内に伝播される信号光23を受光するために、光導管42の第2表面42Bに光学的に結合させてもよい。
【0055】
次のステップ145において、第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bを、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの下流の信号光23の光路22において、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aから距離Lのところに固定することができる。最後にステップ146において、センサ43を第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bに光学的に結合させることができる。センサ43の代わりに、一次元又は二次元の検出器アレイを使用してもよい。
【0056】
図15を参照すると、光学分光器アセンブリ60を製作する方法150は、照明光53を供給する光源61を設けるステップ151を含む。ステップ152において、光学キュベット62を設けることができる。ステップ153において、第1及び第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bを設ける。ステップ154において、 第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bを、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aの下流の信号光53の光路において、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aから距離Lのところに固定することができる。ステップ155において、第1の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Aを、信号光53を受光するために、透明な側壁64に光学的に結合させることができる。最後にステップ156において、センサ43を第2の横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21Bに光学的に結合させることができる。一次元又は二次元の検出器アレイをセンサ43の代わりに使用してもよい。方法130,140及び150において、セグメント化された横方向に可変のバンドパス光学フィルタ221A及び221Bを、横方向に可変のバンドパス光学フィルタ21A及び21Bの代わりに使用してもよい。
【0057】
光学フィルタ及び分光器は入力データの処理及び出力データの生成に関わる。この入力データ処理及び出力データの生成は、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実行することができる。例えば、上述の種々の実施例に従って光学フィルタ及び/又は分光器を設けることに関連する機能を実行するためのプロセッサ、モジュール又は同様の関連回路において、特定の電子部品を使用することができる。あるいは、指示に従って動作する一つ又は複数のプロセッサは、上述の実施例に関連する機能を実行することができる。このような指示は一つ又は複数のプロセッサ読み取り可能記憶媒体(例えば、磁気ディスク又はその他の記憶媒体)に記憶させるか、又は一つ又は複数の搬送波に具現化される一つ又は複数の信号を介して一つ又は複数のプロセッサに送信することができる。
【0058】
本開示は本明細書に記載する特定の実施例によって限定されるものではない。実際に、本明細書に記載したものに加えて、上記の説明及び添付の図面から、当業者には他の実施及び変更が明らかとなるだろう。従って、そのような他の実施及び変更は本開示の範囲に含まれると意図されている。更に、特定の目的のための特定の環境における特定の実施に照らして本開示を記載してきたが、当業者であれば本開示の有用性がそれらに限定されず、本開示が任意の数の目的のために、任意の数の環境において有益に実施されることを理解するだろう。従って、下記に記載する請求項は、本明細書に記載する本開示の全範囲及び趣旨を考慮して解釈されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15