(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な記載では、説明の目的で、本発明が十分に理解されるように多数の特定の詳細および実施形態が記述される。以下の詳細な記載において述べられる特定の構成要素および構成は、本発明を明確に説明するために示されるものである。しかしながら、本明細書に示される例示的な実施形態が単に説明の目的のみに用いられ、かつ本発明概念がそれら例示的実施形態に限定されることなく様々な形で具体化され得るということは明らかであろう。加えて、本発明を明確に説明するために、各種異なる実施形態の図面では、類似および/または対応する数字を用いて、類似および/または対応する構成要素を示すことがある。ただし、各種異なる実施形態の図面における類似および/または対応する数字の使用は、各種異なる実施形態間の何らの相関関係も示さない。
【0021】
本発明の図面における構成要素または装置は、当業者に知られた任意の形式または構成で示され得るという点に留意すべきである。さらに、“層が別の層の上にある(overlying)”、“層が別の層の上方に配置される”、“層が別の層上に配置される”、および“"層が別の層の上に配置される"という表現は、 層が別の層に直接接触することを示すだけでなく、層が別の層に直接接触せずに、当該層と別の層との間に配置される1つまたは複数の中間層が存在することをも示す。
【0022】
本明細書では相対的表現が用いられる。例えば、“より低い(lower)”、底の(bottom)”、“より高い(higher)”または“最も上の(top)”との用語は、1つの構成要素の別の構成要素に対する位置を説明するのに用いられる。ある装置が上下反転している場合、“より低い”側に位置する構成要素は、“より高い”側に位置する構成要素となるであろうことが理解されなければならない。
【0023】
“約(about)”および“実質的に(substantially)”という用語は、一般的には示された値の+/−20%、より一般的には示された値の+/−10%、さらにいっそう一般的には示された値の+/−5%を意味する。本発明において示された値は近似値である。特定の記述がない場合、示された値には“約”または“実質的に”の意味が含まれる。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態による電磁駆動モジュール1の分解図を示している。電磁駆動モジュール1は、ハウジング10、固定部20、磁気素子ユニット30、検知アセンブリ40、回路板50、コイルアセンブリ60、可動部70、転動アセンブリ80、および駆動磁気アセンブリ90を含む。電磁駆動モジュール1の構成要素は、追加されても、または省かれてもよく、本発明は本実施形態に限定されることはない。
【0025】
本実施形態において、ハウジング10は上ハウジング部材11および1つまたは複数の側部ハウジング部材12を含む。上ハウジング部材11は長方形である。ハウジング10は、上ハウジング部材11の端部から固定部20の方へ向かって伸びる4つの側部ハウジング部材12を備える。側部ハウジング部材12は互いに連結している。開口13が上ハウジング部材11の実質中央に形成され、主軸Mが開口13を通る。
【0026】
固定部20は、ハウジング10の側部ハウジング部材12を介してハウジング10に連結し、固定部20とハウジング10との間は、電磁駆動モジュール1のその他の構成要素を収容するためのスペースとなる。本実施形態では、固定部20は基板25を含む。基板25の実質中央には開口26が形成されており、主軸Mは開口26を通る。さらに、固定部20は、基板25の上面251から上方に延伸する複数の平台、例えば平台21、22、23、および24を含んでいる。平台21、22、23、および24は開口26の周囲に配されている。本実施形態では、開口26は円形であり、平台21、22、23、および24は、開口26の周方向に、一定の距離をあけて配されている。ただし、本発明は本実施形態に限定されることはなく、図示されない他の実施形態では、平台は異なる距離をあけて配される。例えば、平台21、22、および23が第1の距離をあけて互いに離間し、平台24は第2の距離をあけて平台21または平台23から離間する。第2の距離は第1の距離よりも大きい。また、平台21、22、23、および24の高さは同じでも、またはそれぞれ異なっていてもよい。例えば、平台21、22、および23は第1の高さを有し、平台24は第2の高さを有する。第1の高さは第2の高さとは異なる。
【0027】
磁気素子ユニット30および駆動磁気アセンブリ90は磁場を生じて、可動部70の固定部20に対する位置を制限する。本実施形態では、磁気素子ユニット30は4つの磁着素子31および4つの連結部32を含む。4つの磁着素子31は、マグネット、またはその他の磁着材(magnetic attraction material)、例えば鉄、珪素鋼(silicon steel)、フェロニッケル(ferro−nickel)、コバルト鉄(ferro−cobalt)、ステンレス鋼(stainless steel)、軟磁性フェライト(soft magnetic ferrite)、またはこれらの磁性材料(特にマグネットおよび軟磁性材料)の組み合わせであってよい。4つの磁着素子31の各々はいずれも長方形である。連結部32の各々が、隣り合う2つの磁着素子31を連結する。磁着素子31および連結部32は、同じ材料を用いて一体成形されていてよい。あるいは、磁着素子31および連結部32はそれぞれ異なる材料から作製されてもよい。
【0028】
磁気素子ユニット30は任意の適した方法により固定部20に連結される。本実施形態では、磁気素子ユニット30はインサート成形法により固定部20上に配置される。詳細には、磁気素子ユニット30の4つの連結部32が平台21、22、23、および24にそれぞれ埋め込まれ、4つの磁着素子31が固定部20の上面251の外側に露出する。あるいは、磁気素子ユニット30の全ての部分が固定部20内に埋め込まれる。
【0029】
検知アセンブリ40は可動部70の移動を検知するように構成され、検知信号を生成して制御ユニット(図示せず)に送る。制御ユニットは、検知アセンブリ40からの検知信号に基づき、制御信号を送って可動部の移動を制御する。検知アセンブリ40は固定部20の所定の位置に配置される。本実施形態では、検知アセンブリ40は2つのホールセンサ41を含み、固定部20は、固定部20の上面201に形成された2つの受け入れ凹部をさらに含む。2つのホールセンサ41は2つの受け入れ凹部中にそれぞれ配置される。
【0030】
回路板50は、外部装置からの電気信号を受信するように構成されている、かつ/または電源に接続されている。本実施形態では、回路板50は固定部20の上面201上に配置される。
図1に示されるように、開口51は回路板50の実質中央(substantial center)に形成され、主軸Mが開口51を通る。複数の切欠52が、開口51の端部に形成され、かつ平台21、22、23、および24に対応するように配されている。
【0031】
コイルアセンブリ60は、駆動電流を受け取り、かつ可動部70を駆動し固定部20に対して移動させるための磁場を発生するよう構成されている。本実施形態では、コイルアセンブリ60は基板61および4つの駆動コイル62を含む。4つの駆動コイル62は、任意の適した方法によって基板61上に形成することができ、かつ基板61中に形成された回路を介して回路板50に電気的に接続することができる。開口64が基板61の実質中央に形成され、主軸Mが開口64を通る。複数の切欠63が開口64の端部に形成され、かつ平台21、22、23、および24に対応するように配されている。4つの駆動コイル62は基板61上に配置され、かつ開口64の周囲に配される。しかしながら、本発明は本実施形態に限定されることはない。別の図示しない実施形態では、コイルアセンブリ60の基板61は省かれ、かつ4つの駆動コイル62は回路板50上に直接形成される。
【0032】
可動部70は、レンズアセンブリのような素子を支持するように構成されている。本実施形態では、可動部70は上面701、下面702、および複数の側面703を含む。上面701は上ハウジング部材11に直接対面しており、これらの間に素子は配置されない。下面702は固定部20に面している。本実施形態では、上面701および下面702はいずれも長方形であり、可動部70は4つの側面703を含む。各側面703は上面701を下面702に連結する。通路75が主軸Mに沿って可動部70を貫通し、開口13に対応するように配されている。
【0033】
図2は、本発明の第1の実施形態による電磁駆動モジュール1の平面概略図を示している。
図3は、
図2の線A−A’に沿った断面概略図を示している。本実施形態では、4つの凹部71、72、73、および74が可動部70の下面702に形成され、かつ平台21、22、23、および24に対応するように配されている。本実施形態において、凹部71、72、73、および74の形状は、対応する平台21、22、23、および24に合うものとなっている。
【0034】
本実施形態では、4つの凹部71、72、73、および74と対応する平台21、22、23、および24との間の距離は異なり、これらは一定の距離で離間しているのではない。例えば、主軸Mに平行な方向において、凹部74と対応する平台24との間の距離は、凹部71、72、および73と対応する平台21、22、および23との間の距離よりも大きい。
【0035】
転動アセンブリ80は可動部70と固定部20との間に配置される。転動アセンブリ80は、可動部70を固定部20の上に支持するように構成されている。詳細には、転動アセンブリ80には複数の転動ボール、例えば第1の転動ボール81、第2の転動ボール82、第3の転動ボール83、および第4の転動ボール84が含まれる。第1、第2、第3、および第4の転動ボール81、82、83、および84は、4つの凹部71、72、73、および74と平台21、22、23、および24との間のスペースにそれぞれ配置される。さらに、
図3に示されるように、4つの転動ボール81、82、83、および84は回路板50の切欠52およびコイルアセンブリ60の切欠63内に配置される。
【0036】
本実施形態では、4つの転動ボール81、82、83、および84は同じ直径を有する。主軸Mに平行な方向において、凹部71、72、および73の各々は、4つの転動ボール81、82、83、および84の直径と同じ距離だけ、それぞれ対応する平台21、22、および23から離間するが、凹部74は、4つの転動ボール81、82、83、および84の直径よりも大きい距離だけ、対応する平台24から離間する。その結果、第1、第2、第3の転動ボール81、82、および83は、凹部71、72、および73の底部ならびに平台21、22、および23の表面と同時に直接接触し、一方、第4の転動ボール84は、凹部74の底部および平台24の表面と同時に接触しない。つまり、第4の転動ボール84は、凹部74の底部または平台24の表面から一定の間隔で離間する。
【0037】
本実施形態では、第1、第2、および第3の転動ボール81、82、および83は可動部70を支持するための3つの支点となり、電磁駆動モジュール1が静止状態または動作状態にあるとき、可動部70は固定部20に対して水平に移動する。さらに、第4の転動ボール84と凹部74の底部または平台24の表面との間に形成される間隔が緩衝エレメントとして機能するため、電磁駆動モジュール1の可動部70上に配置された素子(複数の素子)の衝撃ダメージが回避される。ただし、本発明の実施形態には多数の変化および修飾を加え得ることが理解されなければならない。
【0038】
例えば、図示しない別の実施形態では、第4の転動ボール84の直径は第1、第2、第3の転動ボール81、82、および83の直径よりも小さい。さらに、凹部71、72、73、および74の各々は、第1、第2、および第3の転動ボール81、82、および83の直径と同じ距離だけ、それぞれ対応する平台21、22、23、および24から離間する。上記の構成において、4つの転動ボール81、82、83、および84が、4つの凹部71、72、73、および74と平台21、22、23、および24との間のスペースに位置するとき、第1、第2、および第3の転動ボール81、82、および83は、対応する凹部71、72、および73の底部ならびに対応する平台21、22、および23の表面と直接接触する。しかし、第4の転動ボール84は凹部74の底部および平台24の表面と同時に接触しない。つまり、第4の転動ボール84、凹部74の底部または平台24の表面から一定の間隔で離間する。
【0039】
図4は、
図2の線B−B’に沿った断面概略図を示している。本実施形態では、
図4に示されるように、4つの凹陥部704(
図4には2つの凹陥部704のみが示されている)が可動部70の下面702に形成されている。4つの凹陥部704の各々は可動部70の側面703の1つにそれぞれ接触している。
【0040】
駆動磁気アセンブリ90は4つの駆動マグネット91を含む。4つの駆動マグネット91は4つの凹陥部704中にそれぞれ配置される。本実施形態では、
図4に示されるように、4つの駆動マグネット91(
図4には2つの駆動マグネット91のみが示されている)は4つの磁着素子31(
図4には2つの磁着素子31のみが示さている)に対応するよう配されている。4つの磁着素子31と4つの駆動マグネット91との間に生じた磁力は、可動部70および可動部70上に配置された全ての素子に作用する重力よりも大きい。例えば、可動部70がレンズアセンブリ(
図4には未図示)を支持するように構成されている場合、4つの磁着素子31と4つの駆動マグネット91との間に生じた磁力は可動部70およびレンズアセンブリに作用する重力よりも大きい。
【0041】
本実施形態では、4つの駆動マグネット91はいずれも長方形であり、かつ4つの磁着素子31はいずれも長方形である。駆動マグネット91および磁着素子31の長辺は隣接する側部ハウジング部材12に平行である。
【0042】
また、駆動マグネット91の短辺の幅は磁着素子31の短辺の幅よりも大きい。駆動マグネット91の短辺の幅と磁着素子31の短辺の幅との比の値は、所望の電磁駆動モジュール1の特性に基づいて調整可能である。1つの例示的実施形態では、これらの比の値は約0.01から約100までの範囲とすることができる。静止状態において、磁着素子31の各々は、対応する駆動マグネット91の実質中央に揃う(aligned with)位置にあり、かつ各々の磁着素子31の投影(projection)は、主軸Mに平行な方向において、対応する駆動マグネット91中に完全に入る。
【0043】
また、
図4に示されるように、本実施形態では、主軸Mに垂直な方向における凹陥部704の幅が駆動マグネット91の幅よりも大きいため、結果として可動部70とハウジング10との間の距離が、各駆動マグネット91とハウジング10との間の距離とは異なったものとなる。例えば、可動部70の側面703と側部ハウジング部材12との間の距離はd1であり、各駆動マグネット91と側部ハウジング部材12との間の距離はd2であり、距離d1は距離d2よりも小さい。これら駆動磁気アセンブリ90に関する特徴の利点は以下の段落で述べる。
【0044】
図1〜
図4を参照にする。本発明の1実施形態によれば、電磁駆動モジュール1の動作方法は以下のように説明される。
【0045】
本実施形態では、電磁駆動モジュール1が静止状態にあるとき、可動部70は、駆動マグネット91および磁着素子31によって生じる磁力により固定部20上に位置する。このとき磁力は、可動部70および可動部70上に配置された全ての素子に作用する重力よりも大きいため、可動部70のZ軸の方向(主軸Mに平行)の移動が制限される。さらに、可動部70は第1、第2、および第3の転動ボール81、82、および83によって固定部20上に位置しているため、可動部70は固定部20に対して平行に保たれる。可動部が吊架ワイヤ(hanging wires)で固定部上方に吊設される従来技術に比して、本発明の電磁駆動モジュール1は可動部70の固定部20に対する位置を制限するためのさらなる電力を必要とせず、よって消費電力がより少なくてすむ。また、可動部に固定された全ての駆動マグネット91と、固定部に固定された全ての磁着素子31との間に作用する磁気吸引力の合計は、可動部70および可動部70上に配置された全ての素子に対して作用する重力より大きい。そのため、重力が、可動部70等に対して、磁気吸引力に逆らって固定部60と可動部70等とを引き離す方向(Z軸正方向)に作用した場合であっても、可動部70等のZ軸の方向(主軸Mに平行)の移動が制限される。
【0046】
電磁駆動モジュールを駆動するため、電子装置の制御ユニットは駆動電流を発して電磁駆動モジュール1の駆動コイル62に送ることができ、これにより可動部70が駆動されて、駆動コイル62と駆動マグネット91との間に生じた磁力により、主軸Mと垂直な方向に、主軸Mに揃う位置まで移動する。電磁駆動モジュール1の動作中、検知アセンブリ40のホールセンサ41は継続的に駆動マグネット91の磁場の変化を検出して、可動部70の位置に関する信号を制御ユニットに送り、閉ループ制御を形成する。
【0047】
本実施形態では、駆動マグネット91および磁着素子31の長辺が、隣接する側部ハウジング部材12に平行であるという特徴のために、磁気吸引力(magnetic attraction force)が対称に分布する。故に、可動部70の移動中に、回転変位(rotational displacement)(Z軸に対する可動部70の回動による、所謂クロストーク)が起こらないようになる。よって可動部70の制御精度が向上する。
【0048】
さらに、主軸Mに平行な方向における各磁着素子31の投影(projection)が、対応する駆動マグネット91内に完全に入るため、可動部70に過度な移動が生じても、磁気吸引力は減衰することがない。
【0049】
また、可動部70とハウジング10との間の距離が各駆動マグネット91とハウジング10との間の距離よりも小さいため、可動部70の移動中、可動部70が側部ハウジング部材12に当たったとき、側面703が駆動マグネット91を保護して側部ハウジング部材12にぶつからないようにする。よって、電磁駆動モジュール1の信頼性が向上する。
【0050】
図5は、本発明の第1の実施形態によるカメラ装置2の概略図を示している。本実施形態では、カメラ装置2は、電磁駆動モジュール1、レンズアセンブリ3、主回路板4、および光学センサー5を含む。レンズアセンブリ3は可動部70の通路75中に配置され、かつ主軸Mに沿って配された1つまたは複数のレンズを含む。レンズの光学軸は主軸Mに重なる。本実施形態では、磁気素子ユニット30と駆動磁気アセンブリ90との間の磁気吸引力は、レンズアセンブリ3の重量に基づいて設計される。例えば、磁気素子ユニット30と駆動磁気アセンブリ90との間の磁気吸引力は、レンズアセンブリ3、可動部70および駆動磁気アセンブリ90に作用する重力よりも大きい。光学センサー5は主回路板4上に配置され、かつ主軸Mに揃っている。例えば、光学センサー5はCMOSセンサーである。光学センサー5はレンズアセンブリ3を通過する光を受けて、画像信号を生成する。
【0051】
本実施形態では、カメラ装置2が画像を撮像するのに用いられるとき、レンズアセンブリ3の位置は電磁駆動モジュール1により継続的に調整されるため、カメラ装置2が揺れたとしても、レンズアセンブリ3を通る光は正確に導かれ得る。結果として、カメラ装置2の画質が向上する。
【0052】
図6は、本発明の第2の実施形態による電磁駆動モジュール1aの分解図を示している。電磁駆動モジュール1aは、ハウジング10a、固定部20a、磁気素子ユニット30a、検知アセンブリ40a、回路板50a、コイルアセンブリ60a、可動部70a、転動アセンブリ80a、および駆動磁気アセンブリ90aを含む。電磁駆動モジュール1aの構成要素は、追加されても、または省かれてもよく、本発明は本実施形態に限定されることはない。
【0053】
本実施形態において、ハウジング10aは上ハウジング部材11aおよび1つまたは複数の側部ハウジング部材12aを含む。上ハウジング部材11aは長方形である。(なお、本明細書における長方形の概念には、4辺の長さが等しい正方形と、隣接する辺の長さが異なる長方形とが含まれる。)ハウジング10aは、上ハウジング部材11aの端部から固定部20aの方へ向かって伸びる4つの側部ハウジング部材aを含んでいる。側部ハウジング部材12aは互いに連結している。開口13aが上ハウジング部材11aの実質中央に形成され、主軸Mが開口13aを通る。
【0054】
固定部20aは、ハウジング10aの側部ハウジング部材12aを介してハウジング10aに連結し、固定部20aとハウジング10aとの間が、電磁駆動モジュール1aのその他の構成要素を収容するためのスペースとして形成される。本実施形態では、固定部20aは基板25aを含む。基板25aの実質中央には開口26aが形成されており、主軸Mは開口26aを通る。さらに、固定部20aは、基板25aの上面から上方に延伸する複数の平台、例えば平台21a、22a、23a、および24aを含んでいる。平台21a、22a、23a、および24aは、基板25aの2つの側縁250aのコーナー部に配されている。平台21a、22a、23a、および24aの高さは同じでも、それぞれ異なっていてもよい。例えば、平台21a、22a、および23aの高さは、平台24aの高さとは異なる。
【0055】
磁気素子ユニット30aおよび駆動磁気アセンブリ90aは磁場を生じて、可動部70aの固定部20aに対する位置を制限する。本実施形態では、磁気素子ユニット30aは4つの磁着素子31aを含む。4つの磁着素子31aは、マグネット、またはその他の磁着材(magnetic attraction material)、例えば鉄、珪素鋼(silicon steel)、フェロニッケル(ferro−nickel)、コバルト鉄(ferro−cobalt)、ステンレス鋼(stainless steel)、軟磁性フェライト(soft magnetic ferrite)、またはこれらの組み合わせであってよい。磁気素子ユニット30aは、任意の適した方法で固定部20aに接続される。本実施形態では、固定部20aの上面に4つの収容凹部が形成され、これらは4つの平台21a、22a、23a、および24aにそれぞれ隣接するように配されている。4つの磁着素子31aは4つの収容凹部中に配置される。
【0056】
検知アセンブリ40aは可動部70aの移動を検知するように構成され、検知信号を生成して制御ユニット(図示せず)に送る。制御ユニットは、検知アセンブリ40aからの検知信号に基づき、制御信号を送って可動部の移動を制御する。検知アセンブリ40aは固定部20の所定の位置に配置される。本実施形態では、検知アセンブリ40aは2つのホールセンサ41aを含み、固定部20aは、固定部20aの上面に形成された2つの受け入れ凹部をさらに含む。2つのホールセンサ41aは2つの受け入れ凹部中にそれぞれ配置される。
【0057】
回路板50aは、外部装置からの電気信号を受信するように構成されている、かつ/または電源に接続されている。本実施形態では、回路板50aは固定部20a上に配置されている。
図6に示されるように、回路板50aは4つの側部501aを含み、2つの側部501aどうしが連結側部502aにより互いに連結する。連結側部502aの位置(positioning)および形状(profile)は、対応する平台21a、22a、23a、および24aの内縁の位置および形状と合うものとなっている。
【0058】
コイルアセンブリ60aは、駆動電流を受け取り、かつ可動部70aを駆動し固定部20aに対して移動させるための磁場を発生するように構成されている。本実施形態では、コイルアセンブリ60aは基板61aおよび4つの駆動コイル62aを含む。4つの駆動コイル62aは、任意の適した方法によって基板61a上に形成されてよく、かつ基板61a中に形成された回路を介して回路板50aに電気的に接続されてよい。開口64aが基板61aの実質中央に形成され、主軸Mが開口64aを通る。
図6に示されるように、基板61aは4つの側部611aを含み、2つの側部611aどうしが連結側部612aにより互いに連結する。連結側部612aの位置(positioning)および形状(profile)は、対応する平台21a、22a、23a、および24aの内縁の位置および形状と合うものとなっている。4つの駆動コイル62aは基板61a上に配置され、かつそれぞれ4つの連結側部612aに隣接するように配されている。しかしながら、本発明は本実施形態に限定されることはない。別の図示しない実施形態では、コイルアセンブリ60aの基板61aは省かれ、かつ4つの駆動コイル62aは回路板50a上に直接形成される。
【0059】
可動部70aは、レンズアセンブリのような素子を支持するよう構成されている。本実施形態では、可動部70aは上面701a、下面702a、および複数の側面703aを含む。上面701aは上ハウジング部材11aに直接対面している。下面702aは固定部20aに面している。本実施形態では、上面701aおよび下面702aはいずれも長方形であり、可動部70aは4つの側面703を含む。各側面703aは上面701aを下面702aに連結している。通路75aが、主軸Mに沿って可動部70aを貫通しており、かつ開口13aに対応するように配されている。
【0060】
図7は、本発明の第2の実施形態による電磁駆動モジュール1aの平面概略図を示している。
図8は、
図7のC−C’線に沿った断面概略図を示している。本実施形態では、4つの凹部71a、72a、73a、および74aが可動部70aの下面702aに形成され、かつ平台21a、22a、23a、および24aに対応するように配されている。本実施形態において、凹部71a、72a、73a、および74aの形状は、対応する平台21a、22a、23a、および24aに合うものとなっている。
【0061】
本実施形態では、4つの凹部71a、72a、73a、および74aと対応する平台21a、22a、23a、および24aとの間の距離はそれぞれ異なり、これらは一定の距離で離間しているのではない。例えば、主軸Mに平行な方向において、凹部74aと対応する平台24aとの間の距離は、凹部71a、72a、および73aと対応する平台21a、22a、および23aとの間の距離よりも大きい。
【0062】
転動アセンブリ80aは可動部70aと固定部20aとの間に配置される。転動アセンブリ80aは、可動部70aを固定部20aの上に支持するように構成されている。詳細には、転動アセンブリ80aには複数の転動ボール、例えば第1の転動ボール81a、第2の転動ボール82a、第3の転動ボール83a、および第4の転動ボール84aが含まれる。第1、第2、第3、および第4の転動ボール81a、82a、83a、および84aは、4つの凹部71a、72a、73a、および74aと平台21a、22a、23a、および24aとの間のスペースにそれぞれ配置される。
【0063】
図1〜4に示した実施形態に類似して、本実施形態では、4つの転動ボールのうち1つは、凹部の底部および平台と同時には接触せず、その転動ボールと凹部の底部または平台との間には間隙が形成される。例えば、第4の転動ボール84aは、凹部74aの底部および平台24aと同時に接触せず、凹部74aの底部または平台24aと一定の間隔で離間している。
【0064】
図8を参照されたい。本実施形態では、4つの凹陥部704a(
図8には2つの凹陥部704aのみが示されている)が可動部70aの下面702aに形成されている。凹陥部704aの延伸方向は、隣接する側面703aの延伸方向と平行ではなく、これら2つの方向の間に夾角(included angle)が形成される。さらに、主軸Mに垂直な方向において、平台21a、22a、23a、および24aは凹陥部704aよりも主軸Mから遠くに離れている。
【0065】
駆動磁気アセンブリ90aは4つの駆動マグネット91aを含む。4つの駆動マグネット91aは4つの凹陥部704a中にそれぞれ配置される。本実施形態では、
図7に示されるように、4つの駆動マグネット91a(
図7には2つの駆動マグネット91aのみが示されている)は、4つの磁着素子31a(
図7には2つの磁着素子31aのみが示さている)に対応するよう配されている。4つの磁着素子31aと4つの駆動マグネット91aとの間に発生した磁力は、可動部70aおよび可動部70a上に配置された全ての素子に作用する重力よりも大きい。
【0066】
本実施形態では、第1、第2、第3、および第4の転動ボール81a、82a、83a、および84aは、固定部20aの4つの各コーナー部にそれぞれ配置される。主軸Mに垂直な方向において、第1、第2、第3、および第4の転動ボール81a、82a、83a、および84aは駆動マグネット91aよりも主軸Mから遠く離れている。その結果、電磁駆動モジュール1aのサイズが縮小される。
【0067】
本発明の電磁駆動モジュールの実施形態では、可動部は固定部に接触して、スライド可能に配置される。従来技術における可動部を吊設するための吊架ワイヤー(hanging wires)が省かれるため、電磁駆動モジュールの厚みが小さくなる。加えて、駆動マグネットと磁着素子との間に生じる磁力により、可動部の制御精度が向上する。結果として、本発明の電磁駆動モジュールがカメラ装置中に用いられると、カメラ装置の画質がより高まる。
【0068】
実施形態およびそれらの利点を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲により定義される実施形態の精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、様々な変化、置換および変更をここに加え得ることが理解されなければならない。また、本出願の範囲は、本明細書中に記載したプロセス、機械、製造、物の組成、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。本開示から当業者が容易に理解できるように、本明細書に記載した対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たす、または実質的に結果を達成する既存のもしくは後に開発されるであろうプロセス、機械、製造、物の組成、手段、方法、およびステップは、本開示に基づいて利用され得る。したがって、添付の特許請求は、かかるプロセス、機械、製造、物の組成、手段、方法、およびステップを、その範囲に包含するよう意図されている。さらに、各請求項は単独の実施形態を構成し、いくつかの請求項および実施形態の組み合わせは本開示の範囲内に入る。