特許第6353519号(P6353519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353519
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】角度可変なねじ、プレート及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20180625BHJP
   A61B 17/80 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   A61B17/86
   A61B17/80
【請求項の数】17
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-502007(P2016-502007)
(86)(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-512711(P2016-512711A)
(43)【公表日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】US2014025952
(87)【国際公開番号】WO2014160166
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】13/830,387
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505092005
【氏名又は名称】アメイ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】パオリーノ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ビルケンマイヤー、ガイ・エフ
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0083847(US,A1)
【文献】 米国特許第03504722(US,A)
【文献】 特表2010−536427(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0015681(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102005042766(DE,A1)
【文献】 国際公開第2011/085272(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/234749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科向けの角度可変なプレートであって、
上面と、
骨に面する表面と、
前記上面と前記骨に面する表面との間の少なくとも1つの貫通孔と
を備え、
該貫通孔は、孔の中心軸を有する全体的に筒形状であり、単一の連続するねじ山を備え、該ねじ山の頂点は、半径apertureである中央孔を規定し、ねじ山の谷部が孔の全体半径(rhole)を規定し、
前記ねじ山は、その長さに沿って少なくとも1つの凹部を有し、各凹部は、raperture<rindent<rholeである半径(rindent)を有し、
記貫通孔は、前記孔の中心軸と同一線上である第1の角度と、少なくとも1つの別の角度とで、整形外科向けの固定具のねじ山のある頭部と係合可能であるプレート。
【請求項2】
前記少なくとも1つの凹部は、前記孔の中心軸と平行な少なくとも1つの列に配置された複数の凹部をさらに含む、請求項1に記載のプレート。
【請求項3】
前記ねじ山は、前記上面から前記骨に面する表面までの前記貫通孔の長さにわたっている、請求項1に記載のプレート。
【請求項4】
前記ねじ山は、前記貫通孔の周囲に沿って1つ以上の巻きをさらに備える、請求項1に記載のプレート。
【請求項5】
整形外科向けの前記角度可変なプレートは、前記上面と前記骨に面する表面との間の第2の貫通孔をさらに備え、該第2の貫通孔は、前記貫通孔と同様である、請求項1に記載のプレート。
【請求項6】
整形外科向けのねじであって、
上端及び先端を有する、ねじ山のある胴部と、
該胴部の前記上端に固定された頭部と
を備え、
該頭部は、
長手軸を有する全体的に筒状の半径(rcore)のコアと、
該コアを取り囲んでいる単一の連続するねじ山であって、該ねじ山の頂点が、半径(rhead)の外周を規定する隆起部を有する、ねじ山と、
ねじ山の谷部と
を備え、
前記ねじ山は、その長さに沿って少なくともつの凹部と、規則的な間隔で間があいている少なくとも2つの隆起部とを有し、各凹部は、rcore<rhead-indent<rheadである半径(rhead-indent)を有し、
前記ねじ山の外周の半径(rhead)は、前記ねじの長さに沿って、最大値(rhead-max)と最小値(rhead-min)との間で変化し、
前記最小値(rhead-min)は、前記頭部の前記コアの半径(rcore)よりも大きく(rhead-min>rcore)、
前記ねじ山は、前記頭部の周囲に沿って少なくとも2つの巻きにわたり、
前記頭部の前記ねじ山の各巻きは、
最大のねじ山高さ(hmax1)を有する第1の領域と、
最大のねじ山高さ(hmax2)を有する第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、各巻きに対して独立にhmax1>hmin3かつhmax2>hmin3かつhmin3>0である最小のねじ山高さ(hmin3)を有する第3の領域とを備え、
前記ねじ山高さは、前記ねじ山の前記頂点から前記ねじ山の前記谷部までの距離として計算され、
記ねじは、前記孔の中心軸と同一線上である第1の角度と、少なくとも1つの別の角度とで、整形外科向けのプレートのねじ山のある孔と係合可能であるねじ。
【請求項7】
前記ねじ山は、前記長手軸と平行な少なくとも1つの列に配置された複数の凹部をさらに含む、請求項6に記載のねじ。
【請求項8】
前記ねじ山は、前記頭部の長さにわたっている、請求項6に記載のねじ。
【請求項9】
前記ねじ山は、前記コアの周囲に沿って1つ以上の巻きをさらに備える、請求項6に記載のねじ。
【請求項10】
coreはrheadの約25%から約98%であり、rhead-indentはrheadの約26%から約99%である、請求項6に記載のねじ。
【請求項11】
整形外科向けの角度可変なシステムであって、
(a)整形外科向けのプレートと、
(b)整形外科向けの少なくとも1つのねじと
を備え、
前記整形外科向けのプレートは、
(1)角度が一定のプレートであって、
上面と、
骨に面する表面と、
前記上面と前記骨に面する表面との間の1つ以上の貫通孔であって、各貫通孔は、孔の中心軸を有する全体的に筒形状であり、単一の連続するねじ山を備え、該ねじ山の頂点は、半が一定であり、かつhole-aperture-constantである中央孔を規定し、ねじ山の谷部が、孔の一定の全体半径(rhole-constant)を規定する貫通孔と
を備えるプレートと、
(2)角度可変なプレートであって、
上面と、
骨に面する表面と、
前記上面と前記骨に面する表面との間の少なくとも1つの貫通孔であって、孔の中心軸を有する全体的に筒形状であり、単一の連続するねじ山を備え、該ねじ山の頂点は、半径hole-apertureである中央孔を規定し、ねじ山の谷部が孔の全体半径(rhole)を規定し、前記ねじ山は、その長さに沿って少なくとも1つの凹部を有し、各凹部は、raperture<rhole-indent<rholeである半径(rhole-indent)を有する貫通孔と
を備えるプレートと
からなる群から選択され、
前記整形外科向けの少なくとも1つのねじは、
(1)角度が一定のねじであって、
ねじ山のある胴部と、
該胴部に固定された頭部であって、
一定の半径(rhead-core-constant)の長手軸を有する全体的に筒状のコアと、
該コアを取り囲んでいる単一の連続するねじ山であって、該ねじ山の頂点は、一定の半径(rhead-constant)の外周を規定するねじ山と、
ねじ山の谷部と
を備える頭部と
を備えるねじと、
(2)請求項6〜10のいずれか一項に記載されるねじと
からなる群から選択され、
前記角度可変なプレートと請求項6〜10のいずれか一項に記載される前記ねじとからなる群から選択される少なくとも1つの角度可変な装置を備えるシステム。
【請求項12】
前記整形外科向けのプレートは、整形外科向けの角度可変なプレートを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
記孔の中心軸に平行な少なくとも1つの列に配置された複数の孔のねじ山凹部を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの列は、2列、3列、4列、5列、または6列をさらに含み、各列は、前記孔の中心軸と平行で、前記孔の中心軸の周りで間隔をあけている、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
hole-apertureはrholeの約35%から約98%であり、rhole-indentはrholeの約36%から約99%である、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
整形外科向けの角度可変なプレートを作製する方法であって、
上面及び骨に面する表面を備えるプレートを準備することと、
前記上面と前記骨に面する表面との間に全体的に筒形状の貫通孔を形成することと、
前記貫通孔の周囲を少なくとも1回取り囲む少なくとも1つのねじ山を形成して、該ねじ山の頂点が、半径apertureである中央孔を規定することと、
前記貫通孔の周囲を少なくとも1回取り囲む少なくとも1つの谷部を形成して、該谷部が、(rhole)の孔の全体半径を規定することと、
前記少なくとも1つのねじ山の各々に少なくとも1つの凹部を形成して、各凹部が、raperture<rindent<rholeである半径(rindent)を有することと
を含む方法。
【請求項17】
整形外科向けの固定具を作製する方法であって、
長手軸を規定し、近位端及び遠位端を備える、全体的に筒状の固定具のブランクを準備することと、
前記固定具のブランクの前記近位端の周囲を少なくとも1回取り囲む、少なくとも1つの頭部ねじ山及び谷部を形成して、各々の前記頭部ねじ山の頂点が、半径(rhead)の外周を規定する隆起部を有し、各々の前記頭部ねじ山の前記谷部が、半径(rcore)の頭部コアを規定することと、
なくとも1つの前記頭部ねじ山の各々に少なくともつの凹部を形成して、各凹部が、rcore<rhead-indent<rheadである半径(rhead-indent)を有することと
を含み、
前記頭部ねじ山の外周の半径(rhead)は、前記頭部ねじ山の長さに沿って、最大値(rhead-max)と最小値(rhead-min)との間で変化し、
前記最小値(rhead-min)は、前記頭部コアの半径(rcore)よりも大きく(rhead-min>rcore)、
前記頭部ねじ山は、前記頭部コアの周囲に沿って少なくとも2つの巻きにわたり、
前記頭部ねじ山の各巻きは、
最大のねじ山高さ(hmax1)を有する第1の領域と、
最大のねじ山高さ(hmax2)を有する第2の領域と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置し、各巻きに対して独立にhmax1>hmin3かつhmax2>hmin3かつhmin3>0である最小のねじ山高さ(hmin3)を有する第3の領域とを少なくとも備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、いくつかの実施形態において、整形外科向けのインプラント装置の技術に関し、さらに詳細には、角度可変なインプラント装置、インプラントシステム及びインプラント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2013年3月14日に出願された米国特許出願第13/830,387号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本願に援用される。
【0003】
患者(例えばヒト、ヒト以外の動物)の体内で骨を安定させるために、骨プレート及び骨ねじを使用することがある。プレートはねじを用いて骨に固定でき、ねじは、プレートの貫通孔の中に向けられ、基礎となる骨の中に向けられている。ねじの長手軸をねじが通る孔の軸と合わせてねじを挿入できるが、この角度はいかなる状況であっても最適ではない可能性がある。例えば、下層の骨の形状、骨が受ける力、及び/または安定させる条件の性質の点で、これに代わる挿入角度が切望されることがある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、術者が固定部材を挿入する角度を選択できる改良した骨固定装置及び骨固定システムに対する需要が高まっている。本開示は、いくつかの実施形態において、整形外科向けのインプラント装置の技術に関し、さらに詳細には、角度可変及び/または角度選択が可能なインプラント装置、インプラントシステム及びインプラント方法に関する。固定部材にある基準点(例えば、長手軸)、並びに、患者の骨、そのプレート、及び/または固定部材が挿入される孔の長手軸にある基準点に対して、固定部材の角度を評価できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、いくつかの実施形態によれば、整形外科向けの角度可変なプレートに関する。例えば、プレートは、上面、骨に面する表面、及び/または上面と骨に面する表面との間の少なくとも1つの角度可変な貫通孔を備えてもよい。いくつかの実施形態では、貫通孔は、孔の中心軸を有する全体的に筒形状であってもよく、及び/または単一の連続するねじ山を備えてもよく、ねじ山の頂点は、半径(raperture)の中央孔の開口を規定する。いくつかの実施形態によれば、貫通孔は、孔の全体半径(rhole)を規定するねじ山の谷部を備えてもよい。いくつかの実施形態では、ねじ山は、その長さに沿って少なくとも1つの凹部を有し、各凹部は、raperture<rindent<rholeである半径(rindent)を有してもよい。角度可変な貫通孔は、孔の中心軸と同一線上である第1の角度と、少なくとも1つの別の角度(例えば、0<α≦60°)とで、整形外科向けの固定具のねじ山のある頭部と係合可能であってもよい。ねじ山は、孔の中心軸と平行または実質的に平行な少なくとも1つの列に配置された複数の凹部を備えてもよい。例えば、ねじ山は、2列、3列、4列、5列、または6列に配置された複数の凹部を備えてもよく、各列は、孔の中心軸と平行または実質的に平行で、孔の中心軸の周りで間隔をあけている(例えば、等間隔をあけている)。いくつかの実施形態では、ねじ山は、上面から骨に面する表面までの貫通孔の長さにわたっていてもよい。いくつかの実施形態によれば、ねじ山は、貫通孔の周囲に沿って1つ以上の巻きをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、半径(raperture)はrholeの約35%から約98%であってもよく、半径(rindent)はrholeの約36%から約99%である。プレートは、第2の孔(例えば、一定の角度の孔、角度可変な孔)を備えてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、整形外科向けの角度可変なプレートは、角度可変な貫通孔を備えてもよく、角度可変な貫通孔は少なくとも1つのねじ山を備え、ねじ山は、貫通孔の周囲に沿って少なくとも1つの巻き(例えば、2巻き、3巻き、またはそれよりも多く)にわたる。いくつかの実施形態では、各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax1)を有する第1の領域と、最大のねじ山高さ(hmax2)を有する第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置し、各巻きに対して独立にhmax1>hmin3かつhmax2>hmin3かつhmin3>0である最小のねじ山高さ(hmin3)を有する第3の領域とを備える。各巻きの第3の領域は、孔の中心軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。いくつかの実施形態によれば、各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax4)を有する第4の領域と、第2の領域と第4の領域との間に位置し、hmax2>hmin5かつhmax4>hmin5かつhmin5>0である最小のねじ山高さ(hmin5)を有する第5の領域とをさらに備え、各巻きの第5の領域は、孔の中心軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。いくつかの実施形態では、各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax6)を有する第6の領域と、第4の領域と第6の領域との間に位置し、hmax4>hmin7かつhmax6>hmin7かつhmin7>0である最小のねじ山高さ(hmin7)を有する第7の領域とをさらに備え、各巻きの第7の領域は、孔の中心軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。いくつかの実施形態では、各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax8)を有する第8の領域と、第6の領域と第8の領域との間に位置し、hmax6>hmin9かつhmax8>hmin9かつhmin9>0である最小のねじ山高さ(hmin9)を有する第9の領域とをさらに備え、各巻きの第9の領域は、孔の中心軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。いくつかの実施形態によれば、最大部及び最小部のさらなる領域がねじ山に含まれてもよい。最小のねじ山高さの領域は、いくつかの実施形態では、互いにほぼ等しくてもよい(例えばhmin3≒hmin5≒hmin7≒hmin9)。最大のねじ山高さの領域は、いくつかの実施形態では、互いにほぼ等しくてもよい(例えばhmax1≒hmax2≒hmax4≒hmax6≒hmax8)。いくつかの実施形態によれば、ねじ山は、最小のねじ山高さ(hmin3)が最大のねじ山高さ(hmax1)の約1%から約80%(例えば約5%から約60%)であってもよい。
【0007】
孔の最小のねじ山高さの領域及び/または孔の最大のねじ山高さの領域の周方向の範囲は、所望のいくつかの実施形態のように選択してもよい。各領域の周方向の範囲をcextentと表すことができ、0°<cextent1+cextent2+...cextentN≦360°であり、ここでNは、最小のねじ山高さの領域と最大のねじ山高さの領域との合計数である。いくつかの実施形態では、最大のねじ山高さの領域(例えば、第1の領域、第2の領域、第4の領域、第6の領域、及び/または第8の領域)の周方向の範囲は、合計で例えば、120°より大きく、150°より大きく、180°より大きく、210°より大きく、及び/または240°より大きくてもよい。最大のねじ山高さの領域(例えば、第3の領域、第5の領域、第7の領域、及び/または第9の領域)の周方向の範囲は、合計で例えば、120°未満、150°未満、180°未満、210°未満、及び/または240°未満であってもよい。
【0008】
ねじ山は、いくつかの実施形態によれば、1つの領域から隣の領域へどのような所望の移行部を備えていてもよい。例えば、移行部は、段差のある移行部、勾配のある移行部、または平滑な移行部であってもよい。整形外科向けのプレートは、いくつかの実施形態では、1つの角度可変な孔と、少なくとも1つの他の孔とを備えてもよい。第2の孔は、どのような種類の所望の孔であってもよく、例えば、角度が一定の孔、角度可変な孔(例えば、第1の孔または別の孔のような)、または圧縮孔が含まれる。貫通孔は、対称または非対称のどのような所望の形状であってもよく、例えば、全体的に筒状、砂時計形状、逆さの砂時計形状が含まれる。
【0009】
孔の最小のねじ山(例えば、各孔の最小のねじ山)は、いくつかの実施形態では、それに隣接する最大のねじ山の関数として選択してもよい。例えば、孔の最小のねじ山は、隣接する孔の最大のねじ山の約1%から約90%、隣接する最大のねじ山の約5%から約80%、隣接する最大のねじ山の約10%から約70%、及び/または隣接する最大のねじ山の約20%から約60%であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、整形外科向けの角度可変なプレートは、角度可変な貫通孔を備えてもよく、角度可変な貫通孔は少なくとも1つのねじ山を備え、ねじ山は、貫通孔の周囲に沿って少なくとも第1の巻きにわたり、第1の巻きは、 最大のねじ山高さ(hmax1−1)を有する第1の領域と、最大のねじ山高さ(hmax1−2)を有する第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置し、hmax1−1>hmin1−3かつhmax1−2>hmin1−3かつhmin1−3>0である最小のねじ山高さ(hmin1−3)を有する第3の領域とを備える。いくつかの実施形態では、最大のねじ山高さの領域は、おおよそ等しくてもよい(例えば、hmax1−1≒hmax1−2)。いくつかの実施形態では、最小のねじ山高さ(hmin1−3)は、最大のねじ山高さ(hmax1−1)の約1%から約80%でもよい。いくつかの実施形態によれば、ねじ山は、貫通孔の周囲に沿って第2の巻きをさらに備えてもよい。例えば、第2の巻きは、最大のねじ山高さ(hmax2−1)を有する第1の領域と、最大のねじ山高さ(hmax2−2)を有する第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置し、hmax2−1>hmin2−3かつhmax2−2>hmin2−3かつhmin2−3>0である最小のねじ山高さ(hmin2−3)を有する第3の領域とを備えてもよく、第1の巻きの第3の領域及び第2の巻きの第3の領域は、孔の中心軸に平行または実質的に平行な列状に並んでいる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、整形外科向けの角度可変な固定具(例えば、ねじ)に関する。例えば、整形外科向けの角度可変な固定具(例えば、ねじ)は、上端及び先端を有するねじ山のある胴部と、胴部の上端に固定された頭部とを備えてもよい。頭部は、長手軸を有する半径(rcore)のコア(例えば、全体的に筒状のコア)、コアを取り囲んでいる単一の連続するねじ山であって、ねじ山の頂点が、半径(rhead)の外周を規定するねじ山、及び/またはねじ山谷部を備えてもよい。いくつかの実施形態では、ねじ山は、その長さに沿って少なくとも1つの凹部を有してもよく、各凹部は、rcore<rhead−indent<rheadである半径(rhead−indent)を有する。いくつかの実施形態では、角度可変な固定具(例えば、ねじ)は、孔の中心軸と同一線上である第1の角度と、少なくとも1つの別の角度とで、整形外科向けのプレートのねじ山のある孔と係合可能でもよい。いくつかの実施形態では、ねじ山は、長手軸と平行または実質的に平行な少なくとも1つの列(例えば、2、3、4、5、6またはそれより多い列)に配置された複数の凹部を備えてもよい。各列は、長手軸の周りで間隔(例えば、等間隔)をあけていてもよい。頭部ねじ山は、固定具(例えば、ねじ)の頭部または頭部の一部のみ(例えば、ねじ頭部のキャップがある所)の全長を取り囲んでもよい。頭部ねじ山のリード、ピッチ、長さ、高さ、幅は、所望の通りに選択してもよい。例えば、ねじ山は、いくつかの実施形態では、1つ以上の巻き(例えば、2巻き、3巻き、4巻き、またはそれよりも多く)で頭部を取り囲むのに十分長くてもよい。頭部及び/またはねじ山は、rcoreがrheadの約25%から約98%、かつrhead−indentがrheadの約26%から約99%、またはrcoreがrheadの約25%から約75%、かつrhead−indentがrheadの約26%から約90%になるようなサイズでもよい。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、整形外科向けの角度可変な固定具(例えば、ねじ)は、ねじ山のある胴部と、任意にねじの長手軸を規定する胴部に固定された頭部とを備えてもよい。例えば、頭部は、少なくとも1つのねじ山を備えてもよく、ねじ山は、頭部の周囲に沿って少なくとも1つの巻き(例えば、2巻き、3巻き、またはそれよりも多く)にわたる。ねじ山の各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax1)を有する第1の領域、最大のねじ山高さ(hmax2)を有する第2の領域、及び/または第1の領域と第2の領域との間に位置し、各巻きに対して独立にhmax1>hmin3かつhmax2>hmin3かつhmin3>0である最小のねじ山高さ(hmin3)を有する第3の領域とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、各巻きの第3の領域は、固定具の長手軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。いくつかの実施形態によれば、各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax4)を有する第4の領域と、第2の領域と第4の領域との間に位置し、hmax2>hmin5かつhmax4>hmin5かつhmin5>0である最小のねじ山高さ(hmin5)を有する第5の領域とを備えてもよく、各巻きの第5の領域は、長手軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。いくつかの実施形態では、各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax6)を有する第6の領域と、第4の領域と第6の領域との間に位置し、hmax4>hmin7かつhmax6>hmin7かつhmin7>0である最小のねじ山高さ(hmin7)を有する第7の領域とを備えてもよく、各巻きの第7の領域は、長手軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。いくつかの実施形態では、各巻きは、最大のねじ山高さ(hmax8)を有する第8の領域と、第6の領域と第8の領域との間に位置し、hmax6>hmin9かつhmax8>hmin9かつhmin9>0である最小のねじ山高さ(hmin9)を有する第9の領域とを備えてもよく、各巻きの第9の領域は、長手軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。最小のねじ山高さの領域は、いくつかの実施形態では、互いにほぼ等しくてもよい(例えば、hmin3≒hmin5≒hmin7≒hmin9)。最大のねじ山高さの領域は、いくつかの実施形態では、互いにほぼ等しくてもよい(例えば、hmax1≒hmax2≒hmax4≒hmax6≒hmax8)。いくつかの実施形態によれば、ねじ山は、最大のねじ山高さ(hmax1)の約1%から約80%(例えば約5%から約60%)の最小のねじ山高さ(hmin3)を有してもよい。
【0013】
頭部の最小のねじ山高さの領域及び/または頭部の最大のねじ山高さの領域の周方向の範囲は、所望のいくつかの実施形態のように選択してもよい。各領域の周方向の範囲をcextentと表すことができ、0°<cextent1+cextent2+...cextentN≦360°であり、ここでNは、最小のねじ山高さの領域と最大のねじ山高さの領域との合計数である。いくつかの実施形態では、最大のねじ山高さの領域(例えば、第1の領域、第2の領域、第4の領域、第6の領域、及び/または第8の領域)の周方向の範囲は、合計で例えば、120°より大きく、150°より大きく、180°より大きく、210°より大きく、及び/または240°より大きくてもよい。最大のねじ山高さの領域(例えば、第3の領域、第5の領域、第7の領域、及び/または第9の領域)の周方向の範囲は、合計で例えば、120°未満、150°未満、180°未満、210°未満、及び/または240°未満でもよい。
【0014】
ねじ山は、いくつかの実施形態によれば、1つの領域から隣の領域へどのような所望の移行部を備えていてもよい。例えば、移行部は、段差のある移行部、勾配のある移行部、または平滑な移行部であってもよい。頭部の最小のねじ山(例えば、各頭部の最小のねじ山)は、いくつかの実施形態では、それに隣接する最大のねじ山の関数として選択してもよい。例えば、頭部の最小のねじ山は、隣接する頭部の最大のねじ山の約1%から約90%、隣接する最大のねじ山の約5%から約80%、隣接する最大のねじ山の約10%から約70%、及び/または隣接する最大のねじ山の約20%から約60%でもよい。固定具頭部は、対称または非対称のどのような所望の形状であってもよく、例えば、全体的に筒状、砂時計形状、逆さの砂時計形状、球形などが含まれる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、整形外科向けの角度可変な固定具(例えば、ねじ)は、角度可変な頭部を備えてもよく、角度可変な頭部は少なくとも1つのねじ山を備え、ねじ山は、頭部の周囲に沿って少なくとも第1の巻きにわたり、第1の巻きは、最大のねじ山高さ(hmax1−1)を有する第1の領域と、最大のねじ山高さ(hmax1−2)を有する第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置し、hmax1−1>hmin1−3かつhmax1−2>hmin1−3かつhmin1−3>0である最小のねじ山高さ(hmin1−3)を有する第3の領域とを備える。いくつかの実施形態では、最大のねじ山高さの領域どうしは、おおよそ等しくてもよい(例えばhmax1−1≒hmax1−2)。最小のねじ山高さ(hmin1−3)は、いくつかの実施形態では、最大のねじ山高さ(hmax1−1)の約1%から約80%でもよい。いくつかの実施形態によれば、ねじ山は、前記頭部の周囲に沿って第2の巻きをさらに備えてもよい。例えば、第2の巻きは、最大のねじ山高さ(hmax2−1)を有する第1の領域と、最大のねじ山高さ(hmax2−2)を有する第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置し、hmax2−1>hmin2−3かつhmax2−2>hmin2−3かつhmin2−3>0である最小のねじ山高さ(hmin2−3)を有する第3の領域とを備えてもよく、第1の巻きの第3の領域及び第2の巻きの第3の領域は、長手軸に平行または実質的に平行な列に並んでいる。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は、整形外科向けの角度可変なシステムに関する。例えば、システムは、角度が一定のプレート及び角度可変なプレートから選択される整形外科向けのプレートと、角度が一定の固定具(例えば、ねじ)及び角度可変な固定具(例えば、ねじ)から選択される整形外科向けの固定具(例えば、ねじ)とを備えてもよい。角度が一定のプレートは、上面と、骨に面する表面と、上面と骨に面する表面との間の1つ以上の孔とを備えてもよく、各孔は、孔の中心軸を有する全体的に筒形状であり、単一の連続するねじ山を備え、ねじ山の頂点は、一定半径(rhole−aperture−constant)の中央孔の開口を規定し、ねじ山の谷部が、孔の一定の全体半径(rhole−constant)を規定する。角度可変なプレートは、本明細書に記載される任意の角度可変なプレートから任意に選択してもよい。例えば、角度可変なプレートは、上面と、骨に面する表面と、上面と骨に面する表面との間の少なくとも1つの角度可変な貫通孔とを備えてもよく、貫通孔は、孔の中心軸を有する全体的に筒形状であり、単一の連続するねじ山を備え、ねじ山の頂点は、半径(rhole−aperture)の中央孔の開口を規定し、ねじ山の谷部が孔の全体半径(rhole)を規定し、ねじ山は、その長さに沿って少なくとも1つの凹部を有し、各凹部は、raperture<rhole−indent<rholeである半径(rhole−indent)を有する。角度が一定の固定具(例えば、ねじ)は、ねじ山のある胴部と、胴部に固定された頭部とを備えてもよく、頭部は、一定の半径(rhead−core−constant)の長手軸を有する全体的に筒状のコアと、コアを取り囲んでいる単一の連続するねじ山であって、ねじ山の頂点は、一定の半径(rhead−constant)の外周を規定するねじ山と、ねじ山の谷部とを備える。角度可変な固定具は、本明細書に記載される任意の角度可変な固定具から任意に選択してもよい。例えば、角度可変な固定具は、ねじ山のある胴部と、胴部に固定された頭部とを備えてもよく、頭部は、半径(rhead−core)の長手軸を有する全体的に筒状のコアと、コアを取り囲んでいる単一の連続するねじ山であって、ねじ山の頂点は、半径(rhead)の外周を規定するねじ山と、ねじ山の谷部とを備え、ねじ山は、その長さに沿って少なくとも1つの凹部を有し、各凹部は、rcore<rhead−indent<rheadである半径(rhead−indent)を有する。いくつかの実施形態によれば、システムは、角度可変なプレート及び角度可変な固定具(例えば、ねじ)から選択される少なくとも1つの角度可変な装置を備える。例えば、システムは、整形外科向けの角度可変なプレートを備えてもよく、このプレートは孔のねじ山凹部を複数有し、この凹部は少なくとも1つの列(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上の列)に構成され、各列は孔の中心軸に平行または実質的に平行である。角度可変なプレートは、角度可変な孔の開口半径rhole−apertureがrholeの約35%から約98%でもよく、かつ凹部の半径rhole−indentがrholeの約36%から約99%でもよい。例えば、システムは、整形外科向けの角度可変な固定具(例えば、ねじ)を備えてもよく、この固定具は頭部ねじ山の凹部を複数有し、この凹部は少なくとも1つの列(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多い列)に構成され、各列は頭部ねじ山の長手軸に平行または実質的に平行である。角度可変な固定具は、角度可変なねじ頭部のコア半径rhead−coreがrheadの約25%から約98%でもよく、かつねじ頭部の凹部の半径rhead−indentがrheadの約26%から約99%でもよい。いくつかの実施形態では、システムは、角度可変なプレートと角度可変な固定具(例えば、ねじ)とを両方備えてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、整形外科向けの角度可変なシステムは、角度が一定の少なくとも1つの固定具であって、長手軸を規定するとともにねじ山のある頭部及び頭部に固定されたねじ山のある胴部を備える固定具と、整形外科向けのプレートとを備えてもよく、プレートは、孔の中心軸を規定する少なくとも1つの貫通孔と、角度が一定の固定具の頭部を少なくとも1つの貫通孔に、孔の中心軸と前記長手軸との間が0°の角度及び少なくとも1つの別の角度α(例えば、0<α≦30°、0<α≦40°、0<α≦50°)で受け入れるための少なくとも1つの手段とを備える。いくつかの実施形態によれば、整形外科向けの角度可変なシステムは、1つ以上の孔を備える角度が一定のプレートであって、各孔が、孔の中心軸を規定するとともに少なくとも1つのねじ山を備えるプレートと、長手軸を規定する角度可変な固定具とを備えてもよく、固定具は、ねじ山のある頭部と、頭部に固定されたねじ山のある胴部と、頭部を少なくとも1つの孔に、孔の中心軸と長手軸との間が0°の角度及び少なくとも1つの別の角度α(例えば、0<α≦30°、0<α≦40°、0<α≦50°)で挿入するための手段とを備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示は、整形外科向けの角度可変なプレートを作製する方法に関する。整形外科向けの角度可変なプレートを作製する方法は、例えば、上面及び骨に面する表面を備えるプレートを準備すること、上面と骨に面する表面との間に全体的に筒形状の貫通孔(例えば、全体的に筒形状を有する)を形成すること、貫通孔の周囲を少なくとも1回取り囲む少なくとも1つのねじ山を形成して、ねじ山の頂点が、半径(raperture)の中央孔の開口を規定すること、貫通孔の周囲を少なくとも1回取り囲む少なくとも1つの谷部を形成して、谷部が、(rhole)の孔の全体半径を規定すること、及び/または少なくとも1つのねじ山の各々に少なくとも1つの凹部を形成して、各凹部が、raperture<rindent<rholeである半径(rindent)を有することとを含んでもよい。孔を形成することは、いくつかの実施形態では、ドリル、中ぐり、穿孔、衝撃孔あけ、孔抜き、パンチまたは材料(例えば、プレート)に開口を設けるか開口を拡大するためのその他の手段で形成することを含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのねじ山を形成することは、ねじ立て、切削(例えば、型抜き)、研削、フライス削り、ラップ仕上げ、圧延、鋳造、成形、焼き付け、及び孔にねじ山を設けるためのその他の手段で形成することを含んでもよい。少なくとも1つのねじ山の各々に凹部(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6またはそれより多くの凹部)を形成することは、いくつかの実施形態では、切削(例えば、型抜き)、フライス削り、研削、ローレット切り、プレス、曲げ、及びねじ山の少なくとも一部を造り直し及び/または除去するためのその他の手段で形成することを含んでもよい。孔のねじ山の凹部は、1つ以上の他の凹部から離れて(例えば、均等に離れて)もよく、及び/または列状(例えば、ねじ山の巻きが2つ以上ある)に構成されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、整形外科向けの角度可変な固定具を作製する方法に関する。例えば、この方法は、(a)長手軸を規定するとともに近位端及び遠位端を備える固定具のブランク(例えば、全体的に筒形状を有する)を準備すること、(b)固定具のブランクの近位端の周囲を少なくとも1回取り囲む、少なくとも1つの頭部ねじ山及び谷部を形成して、各頭部ねじ山の頂点が、半径(rhead)の外周を規定し、各ねじ山の前記谷部が、半径(rcore)の頭部コアを規定すること、及び/または(c)少なくとも1つのねじ山の各々に少なくとも1つの凹部を形成して、各凹部が、rcore<rhead−indent<rheadである半径(rhead−indent)を有することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、この方法は、固定具のブランクの遠位端の周囲を取り囲む少なくとも1つの胴部ねじ山を形成することをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、頭部のねじ山及び谷部を形成することは、ねじ立て、切削(例えば、型抜き)、研削、フライス削り、ラップ仕上げ、圧延、鋳造、成形、焼き付け及び固定具のブランクまたはこのブランクの一方の端部の近辺にねじ山を設けるためのその他の手段で形成することを含んでもよい。胴部ねじ山は、頭部ねじ山が形成される前、同時、または後に形成してもよい。少なくとも1つのねじ山の各々に凹部(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれより多くの凹部)を形成することは、いくつかの実施形態では、切削(例えば、抜き)、研削、ローレット切り、プレス、曲げ、及びねじ山の少なくとも一部を造り直し及び/または除去するためのその他の手段で形成することを含んでもよい。頭部ねじ山の凹部は、1つ以上の他の凹部から離れて(例えば、等に離れて)もよく、及び/または列状(例えば、じ山の巻きが2つ以上ある)に構成されてもよい。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態は、本開示及び添付の図面をいくらか参照することで理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔を有するプレートの斜視図である。
図1B図1Aに示したプレートの切開図であり、孔のねじ山が最も厚い部分を通る断面に沿って開いた図である。
図1C図1Aに示したプレートの切開図であり、孔のねじ山が最も薄い部分を通る断面に沿って開いた図である。
図1D図1Aに示したプレートの平面図である。
図1E図1Dに示したプレート及びねじの断面線1E−1Eに沿った断面図である。
図1F図1Dに示したプレート及びねじの断面線1F−1Fに沿った断面図である。
図2】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔に挿入するねじの側面図である。
図3A図1に示したプレートと同様のプレートに、図2に示したねじと同様のねじを挿入した状態の切開図である。
図3B図3Aに示したねじを挿入したプレートの平面図である。
図3C図3Bに示したプレート及びねじの断面線3C−3Cに沿った断面図である。
図3D図3Bに示したプレート及びねじの断面線3D−3Dに沿った断面図である。
図3E図3Aに示したプレート及びねじの平面図である。
図3F図3Eに示したプレートの断面線3F−3Fに沿った断面図である。
図4A】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔を有するプレートの平面図である。
図4B図4Aに示したプレートの切開図であり、孔のねじ山が最も厚い部分を通る断面に沿って開いた図である。
図4C図4Aに示したプレートに図2に示したねじを挿入した状態の断面図である。
図5A】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔を有するプレートの平面図である。
図5B図5Aに示したプレートの切開図であり、孔のねじ山が最も厚い部分を通る断面に沿って開いた図である。
図5C図5Aに示したプレートに図2に示したねじと同様のねじを挿入した状態の断面図である。
図6A】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔に挿入するねじの斜視図である。
図6B】ねじ山が一様である単一の孔を有する骨プレートの斜視図である。
図6C図6Bに示したプレートの断面線6C−6Cに沿った断面図である。
図6D】本開示の特定の実施形態の例に従って、図6Aに示したねじを図6Bに示したプレートに挿入し、ねじの軸を孔の軸に合わせた状態の(断面線6C−6Cに沿った)断面図である。
図6E】本開示の特定の実施形態の例に従って、図6Aに示したねじを図6Bに示したプレートに挿入し、ねじの軸を孔の軸と交差させた状態の(断面線6C−6Cに沿った)断面図である。
図7】本開示の特定の実施形態の例に従って、図6Aに示したねじと同様のねじを図1Bに示したプレートと同様のプレートに挿入し、頭部の軸を孔の軸に交差させた状態の断面図である。
図8A】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔に挿入するねじの平面図である。
図8B図8Aに示したねじの側面図である。
図8C図8Aに示したねじの斜視図である。
図9】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔を有するプレートの斜視図である。
図10A】本開示の特定の実施形態の例による角度可変な孔に挿入するねじの斜視図である。
図10B図10Aに示したねじの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の表1には、本開示で使用する符号が含まれている。百の位の数字は、部材が現れる図面に対応し、十の位と一の位の数字は、表記した特定の部材に対応している。同様の構造物は、同じ十の位の数字と一の位の数字とを共有している。
【0023】
【表1】
【0024】
本開示は、いくつかの実施形態では、整形外科向けのインプラント装置の技術に関し、さらに詳細には、角度可変及び/または角度選択可能なインプラント装置、インプラントシステム及びインプラント方法に関する。例えば、固定装置を母体(例えば、骨)の中に設置する角度は、装置の製造時、装置の設置時、システムの製造時、システムの組み立て時、システムの設置時、及び/またはこれらを組み合わせた時期に所望通りに変えられる。
【0025】
骨プレート
いくつかの実施形態によれば、本開示はインプラントプレートに関する。インプラントプレートは、対象となる骨に固定するのに望まれ及び/または適切である任意のサイズ及び形状であってもよい。例えば、インプラントプレートは、上面及び骨に面する表面を有する全体的に平らまたは曲面状の本体を備えてもよい。上面及び/または骨に面する表面は、いくつかの実施形態では全体的に平面であってもよい。上面及び/または骨に面する表面は、独立に及び/または対応的に曲面状であってもよい。骨プレートは、体内に埋め込むのに適している任意の材料を備えてもよく、及び/または同材料から作製されてもよく、例えばその材料には、いくつかの実施形態によれば、ステンレス鋼、チタン、セラミック、PEEK、ポリマー材料、炭素繊維材料、複合材料及び/またはこれらの組み合わせが含まれる。骨プレートにより、この骨プレートが連結する骨どうしの間または骨の断面どうしの間で、少なくとも部分的に負荷を分担できる可能性がある。例えば、骨プレートにより、骨の移植部位にわたって少なくとも部分的に重量を分担できる可能性がある。いくつかの実施形態では、骨によって何らかの動き及び/または負荷が生じることが望ましいことがある(例えば、治癒しやすくするため)。いくつかの実施形態によれば、骨プレートは、骨が治癒する過程で起きる崩壊力及び/または異常な角度に耐えるのに十分な強度でもよい。
【0026】
インプラントプレートは、例えば、釘、ねじ、ロッド、及びこれらの組み合わせを含む任意の所望の及び/または適切な固定具を用いて、骨に固定できる。いくつかの実施形態では、骨に取り付ける際に骨プレートが安定していることが望ましいことがある(例えば、インプラントが動いたり、骨からねじが抜け出たりするのに耐えるため、及び/またはこれを防止するためであり、このようなことが起こると、骨の周りの構造を損傷してしまうおそれがあり、深刻な合併症を引き起こす可能性がある)。いくつかの実施形態によれば、骨プレートは、1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)骨ねじを受け入れるように構成された任意の物体であってもよい。骨プレートは、いくつかの実施形態では、1つ以上(例えば、少なくとも2つ)の貫通孔を有し、各々の貫通孔が骨ねじを受け入れるように構成されている剛性及び/または半剛性の本体を備えてもよい。
【0027】
貫通孔は、全体的に筒形状であってもよく、及び/または1つ以上の凹部及び/または1つ以上の凸部(例えば、ねじ山、ねじ山セグメント、隆起部、突出部、ノブ)を備えてもよい。各凹部は、骨ねじアセンブリから出ている(例えば、骨ねじアセンブリの頭部から出ている)ねじ山またはその他の凸部と係合するように構成されてもよい。例えば、各凹部の存在は、貫通孔の周囲(例えば、凹部が2つ以上ある場合は規則的または不規則なパターンになっている周囲)に沿って位置してもよい。孔は、例えば、1つ以上のねじ山(例えば、入口が1つのねじ山、入口が2つのねじ山)を備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、本開示は、少なくとも1つのねじ山を有する少なくとも1つの貫通孔を有する骨プレートに関する。孔は、いくつかの実施形態では、孔の中心軸から孔のねじ山の隆起部までを測定した開口半径(raperture)を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、孔は、孔の中心軸から孔のねじ山の谷部までを測定した全半径(rhole)を有してもよい。孔は、いくつかの実施形態では、上面から下面までの厚み全体にわたって一定及び/または実質的に一定の全半径(rhole)を有してもよい。孔のねじ山は、いくつかの実施形態では、全半径(rhole)から開口半径(raperture)を差し引いて計算したねじ山高さ(hthread)を有してもよい。ねじ山高さ(hthread)は、いくつかの実施形態によれば、ねじ山の全長に沿ってゼロより大きくてもよい。
【0028】
骨プレートの孔の開口半径(raperture)及び/または孔のねじ山高さ(hthread)は、いくつかの実施形態では、ねじ山の全長に沿って一定であってもよい。角度可変な骨プレートの孔のねじ山の半径(raperture)及び/または孔のねじ山高さ(hthread)は、ねじ山の長さに沿って変化してもよい。例えば、角度可変な骨プレートの孔のねじ山の半径(raperture)は、最大値(raperture−max)と最小値(raperture−min)との間で変化(例えば、変動)してもよい(例えば、段階的に、連続的に変化してもよい)。いくつかの実施形態では、最大の開口は、孔の中心軸周りの同じ位置または実質的に同じ位置に配置してもよく、これが孔のねじ山に凹部を形成する。角度可変な孔は、約1から約6個の凹部を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、凹部は、孔の中心軸周りで任意の所望の位置に配置してもよい。例えば、凹部は、孔の中心軸周りに規則的な間隔で配置してもよい。特定の実施形態の例では、n個の凹部を有する孔には、孔の中心軸周りの約360°/nごとに位置する凹部を配置してもよい。例えば、3個の凹部を有する孔であれば、孔の中心軸周りの360°/3=120°ごと(例えば、約0°、約120°、および約240°の所)に位置する凹部を配置してもよい。
【0029】
孔のねじ山の最大半径(raperture−max)(凹部)及び/または最小半径(raperture−min)(ねじ山の頂部)は、いくつかの実施形態によれば、所望通り及び/または予想される使用条件に求められる通りに選択してもよい。同じように、最大のねじ山高さ(hthread−max)及び/または最小のねじ山高さ(hthread−min)は、いくつかの実施形態では、所望通り及び/または予想される使用条件に求められる通りに選択してもよい。
【0030】
最小のねじ山高さ(hthread−min)は、いくつかの実施形態では、最大のねじ山高さ(hthread−max)に関して選択してもよい。例えば、最小のねじ山高さ(hthread−min)は、最大のねじ山高さ(ht−max)の約0%から最大で100%(ただしこれを含まない)であってもよい(例えば、約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、及び/または約99%)。
【0031】
孔の最大開口半径(raperture−max)及び/または2つの最小部の間にあるねじ山に沿った距離(dindent)は、ねじ頭部のねじ山の高さに関して選択してもよい(例えば、頭部のねじ山が2つの最大のねじ山の間を通れるほどのスペースを作るため)。最小半径(raperture−min)及び/または2つの最大部の間にあるねじ山に沿った距離(dpeak)は、ねじの頭部のねじ山に望まれ及び/または求められるてこ作用に関して選択してもよい。孔のねじ山は、いくつかの実施形態では、(例えば、局所的または全体的に)1つの最小部のみがいずれか2つの全体的な最大部の間に位置し、及び/または(例えば、局所的または全体的に)1つの最大部のみがいずれか2つの全体的な最小部の間に位置するように、その長さに沿って変化してもよい。
【0032】
対象となるねじ山領域は、いくつかの実施形態によれば、最大のねじ山高さ、平均的なねじ山高さ、最小のねじ山高さ、屈曲、またはこれらの組み合わせの点(例えば、隣接点)によって規定してもよい。例えば、最大及び/または最小のねじ山高さの領域は、平均的なねじ山高さの隣接点及び/または屈曲点によって規定してもよい。対象となる領域は、互いに別々であってもよいし、及び/または互いに重なっていてもよい。例えば、最大のねじ山高さの領域は、最小のねじ山高さの隣接点によって規定してもよく、最小のねじ山高さの領域は、最大のねじ山高さの隣接点によって規定してもよく、このようにしてそれぞれの領域が重なる。最大のねじ山高さの領域は、平均的な高さどうしをつないでいる隣接点によって規定してもよく、したがって、同じように規定された最小のねじ山高さの領域とは異なっていてもよい。
【0033】
孔の最小のねじ山高さの領域及び/または孔の最大のねじ山高さの領域の周方向の範囲は、いくつかの実施形態によれば、所望通りに選択してもよい。考慮すべき点は、性質(例えば、一定の角度か角度可変か)、高さ、厚み、ピッチ、リード、及び/または孔のねじ山の係合するねじ山の数であってもよい。各領域の周方向の範囲は、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の領域とは独立であってもよく、及び/または1つ以上の他の領域と互いに依存していてもよい。例えば、最小のねじ山高さの領域の周方向の範囲は、すべて同じまたは実質的に同じであってもよい。最大のねじ山高さの領域の周方向の範囲は、すべて同じまたは実質的に同じであってもよい。各領域の周方向の範囲をcextentと表すことができ、0°<cextent1+cextent2+...cextentN≦360°であり、式中のNは、最小のねじ山高さの領域の数と最大のねじ山高さの領域の数との合計数である。いくつかの実施形態では、各領域の周方向の範囲は、0°<cextent≦360°/Nでもよい。この場合のnminは、各巻きのうちの最小のねじ山高さの領域の数を表し、最小のねじ山高さの領域のそれぞれ(または任意に、最小のねじ山高さの領域の全て)の周方向の範囲は、0°<cextent−min≦30°、0°<cextent−min≦60°、0°<cextent−min≦90°、0°<cextent−min≦120°、0°<cextent−min≦150°、0°<cextent−min≦180°、0°<cextent−min≦210°、0°<cextent−min≦240°、0°<cextent−min≦270°、0°<cextent−min≦300°、0°<cextent−min≦330°、0°<cextent−min≦360°、及び/または0°<cextent−min≦360°/nminでもよい。この場合のnmaxは、各巻きのうちの最大のねじ山高さの領域の数を表し、最大のねじ山高さの領域のそれぞれ(または任意に、最大のねじ山高さの領域の全て)の周方向の範囲は、0°<cextent−max≦30°、0°<cextent−max≦60°、0°<cextent−max≦90°、0°<cextent−max≦120°、0°<cextent−max≦150°、0°<cextent−max≦180°、0°<cextent−max≦210°、0°<cextent−max≦240°、0°<cextent−max≦270°、0°<cextent−max≦300°、0°<cextent−max≦330°、0°<cextent−max≦360°、及び/または0°<cextent−max≦360°/nmaxでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、最大値(raperture−max)は、孔の全体半径(rhole)以下でもよい。したがって、凹部は、滑らかでねじ山の谷部まで連続していてもよいし(raperture−max=rhole)、残りの頭部のねじ山と曲線を描いていてもよい(例えば、ノッチがあってもよい)(raperture−max<rhole)。
【0035】
角度可変な孔は、いくつかの実施形態では、孔のねじ山を複数巻き含んでいてもよい。例えば、角度可変な孔は、孔のねじ山を約2巻き、約3巻き、約4巻き、約5巻き、または約6巻き含んでいてもよい。いくつかの実施形態によれば、各巻きに凹部及び/または隆起部の数が同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、他の巻きの凹部よりも少なくてもよいし、あるいは凹部がなくてもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、他の巻きの隆起部よりも少なくてもよい(例えば、隆起部が1つだけでもよい)。いくつかの実施形態によれば、孔のねじ山の各巻きは、ねじ山の他の巻きと比較して、同じ寸法の凹部及び/または隆起部を有してもよいし、異なる寸法の凹部及び/または隆起部を有してもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、他の巻きよりも浅い凹部を有してもよい。各巻き(例えば、最初の巻き及び/または最後の巻き)は、0から8個の凹部を有してもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、他の巻きよりも高い隆起部を有してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、最上の巻き及び/または最下の巻きで凹部が少ない、浅い、または凹部がない孔のねじ山は、挿入されるねじにさらなるてこ作用を提供できる。孔のねじ山の最上の巻き及び/または最下の巻きで凹部が少ない、浅い、または凹部がない場合、さらなるてこ作用は、骨の固定を一層強化し、及び/または持続させるのに寄与できる。最上の巻き及び/または最下の巻きで凹部が少ない、浅い、または凹部がない孔のねじ山は、挿入されるねじの角度を管理(例えば、制限)できる。
【0037】
骨ねじ
いくつかの実施形態によれば、本開示は骨ねじに関する。骨ねじは、いくつかの実施形態によれば、中央長手軸を有してもよく、骨ねじ胴部及び骨ねじ頭部を備えてもよい。骨ねじ胴部は、母体(例えば、骨)に固定されるように構成してもよい。例えば、骨ねじ胴部は、その長さの少なくとも一部に沿って1つ以上のねじ山を備えてもよい。
【0038】
頭部は、胴部分と同じ幾何学的形状及び/または半径を有していてもいなくてもよい。例えば、頭部は、全体的に筒状である以外の形状であってもよく、及び/または、例えば胴部分の平均半径、胴部分の最小半径(例えば、骨ねじ胴部の長手軸の中間点またはその近辺でサンプルを取ったもの)、最大半径、またはその他の任意の半径方向の距離よりも大きいまたは小さい半径を有していてもよい。頭部は、いくつかの実施形態では、対応する工具を受け入れてねじを位置に合わせる(例えば、押し込む)ように構成された1つ以上の表面を備えていてもよい(例えば、母体にねじ締めして固定される)。このような1つ以上の表面は、例えば頭部の中心付近及び/または頭部の周囲を含む、頭部のどこに配置されてもよい。骨ねじ頭部は、ねじ山のある部分及びねじ山のない部分を有していてもよい。例えば、骨ねじ頭部は、上端と胴部に接合する胴部端部とを有する全体的に筒形状であってもよく、胴部に近い方の部分をねじ山が取り囲み、ねじ山のない頭部キャップが上端に近い方に位置している。
【0039】
骨ねじは、例えば、頭部ねじ山を有する頭部及び胴部ねじ山を有する胴部を備えてもよい。頭部ねじ山は、いくつかの実施形態では、ねじの長手軸から頭部ねじ山の隆起部までを測定した半径(rhead)を有してもよい。頭部キャップは、ねじ山が最大である頭部の半径(rhead)と同じまたはそれよりも大きい半径を有してもよい。頭部ねじ山は、ねじの長手軸から頭部ねじ山の隆起部までの距離と、ねじの長手軸から頭部ねじ山の谷部までの距離との差を計算したねじ山高さ(hheadthread)を有してもよい。
【0040】
骨ねじ頭部のねじ山の半径(rhead)は、いくつかの実施形態では、その全長に沿って一定であってもよい。角度可変な骨ねじの頭部ねじ山の半径(rhead)は、その長さに沿って変化してもよい。例えば、角度可変な骨ねじの頭部ねじ山の半径(rhead)は、最大値(rhead−max)と最小値(rhead−min)との間で変化(例えば、変動)してもよい(例えば、段階的に、連続的に変化してもよい)。いくつかの実施形態では、最大のねじ山は、ねじの長手軸周りの同じ位置または実質的に同じ位置に配置してもよく、これが凹部を形成する。角度可変なねじは、約1から約6個の凹部を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、凹部は、ねじの長手軸周りで任意の所望の位置に配置してもよい。例えば、凹部は、ねじの長手軸周りに規則的な間隔で配置してもよい。特定の実施形態の例では、n個の凹部を有するねじは、ねじの長手軸周りの約360°/nごとに位置する凹部を有してもよい。例えば、3個の凹部を有するねじであれば、ねじの長手軸周りの360°/3=120°ごと(例えば、約0°、約120°、及び約240°)に位置する凹部を有してもよい。
【0041】
頭部ねじ山の最大半径(rhead−max)及び/または最小半径(rhead−min)は、いくつかの実施形態によれば、所望通り及び/または予想される使用条件に求められる通りに選択してもよい。最小半径(rhead−min)は、いくつかの実施形態では、最大の頭部ねじ山の半径(rhead−max)に関して選択してもよい。例えば、最小半径(rhead−min)は、最大半径(rhead−max)の約60%から最大で100%(ただしこれを含まない)でもよい(例えば、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、及び/または約99%)。頭部ねじ山の最小半径(rhead−min)及び/または2つの最大半径のねじ山の間にあるねじ山に沿った距離(dindent)は、孔のねじ山の高さに関して選択してもよい(例えば、孔のねじ山が2つの最大のねじ山の間を通れるほどのスペースを作るため)。最大半径(rhead−max)及び/または2つの最小半径のねじ山の間にあるねじ山に沿った距離(dpeak)は、孔のねじ山に望まれ及び/または求められるてこ作用に関して選択してもよい。頭部ねじ山は、いくつかの実施形態では、(例えば、局所的または全体的に)1つの最小部のみがいずれか2つの全体的な最大部の間に配置され、及び/または(例えば、局所的または全体的に)1つの最大部のみがいずれか2つの全体的な最小部の間に配置されるように、その長さに沿って変化してもよい。
【0042】
対象となるねじ山の領域は、いくつかの実施形態によれば、最大のねじ山高さ、平均的なねじ山高さ、最小のねじ山高さ、屈曲、またはこれらの組み合わせの点(例えば、隣接点)によって規定してもよい。例えば、最大及び/または最小のねじ山高さの領域は、平均的なねじ山高さの隣接点及び/または屈曲点によって規定してもよい。対象となる領域は、互いに別々であってもよいし、及び/または互いに重なっていてもよい。例えば、最大のねじ山高さの領域は、最小のねじ山高さの隣接点によって規定してもよく、最小のねじ山高さの領域は、最大のねじ山高さの隣接点によって規定してもよく、このようにしてそれぞれの領域が重なる。最大のねじ山高さの領域は、平均的な高さどうしをつないでいる隣接点によって規定してもよく、したがって、同じように規定された最小のねじ山高さの領域とは異なっていてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、最小の頭部ねじ山高さの領域及び/または最大の頭部ねじ山高さの領域の周方向の範囲は、所望通りに選択してもよい。考慮すべき点は、性質(例えば、一定の角度か角度可変か)、高さ、厚み、ピッチ、リード、及び/または孔のねじ山の係合するねじ山の数であってもよい。各領域の周方向の範囲は、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の領域とは独立であってもよく、及び/または1つ以上の他の領域と互いに依存していてもよい。例えば、最小のねじ山高さの領域の周方向の範囲は、すべて同じまたは実質的に同じであってもよい。最大のねじ山高さの領域の周方向の範囲は、すべて同じまたは実質的に同じであってもよい。各領域の周方向の範囲をcextentと表すことができ、この場合0°<cextent1+cextent2+...cextentN≦360°であり、式中のNは、最小の高さの領域の数と最大の高さの領域の数との合計数である。いくつかの実施形態では、各領域の周方向の範囲は、0°<cextent≦360°/Nでもよい。この場合のnminは、各巻きのうちの最小の高さの領域の数を表し、最小の高さの領域のそれぞれ(または任意に、最小の高さの領域の全て)の周方向の範囲は、0°<cextent−min≦30°、0°<cextent−min≦60°、0°<cextent−min≦90°、0°<cextent−min≦120°、0°<cextent−min≦150°、0°<cextent−min≦180°、0°<cextent−min≦210°、0°<cextent−min≦240°、0°<cextent−min≦270°、0°<cextent−min≦300°、0°<cextent−min≦330°、0°<cextent−min≦360°、及び/または0°<cextent−min≦360°/nminでもよい。この場合のnmaxは、各巻きのうちの最大の高さの領域の数を表し、最大の高さの領域のそれぞれ(または任意に、最大の高さの領域の全て)の周方向の範囲は、0°<cextent−max≦30°、0°<cextent−max≦60°、0°<cextent−max≦90°、0°<cextent−max≦120°、0°<cextent−max≦150°、0°<cextent−max≦180°、0°<cextent−max≦210°、0°<cextent−max≦240°、0°<cextent−max≦270°、0°<cextent−max≦300°、0°<cextent−max≦330°、0°<cextent−max≦360°、及び/または0°<cextent−max≦360°/nmaxでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、最小値(rhead−min)は、ねじ頭部のコアの半径(rcore)(例えば、ねじの長手軸から頭部ねじ山の谷部までを測定したもの)よりも大きいか同等でもよい。したがって、頭部の凹部は、滑らかで頭部のコアまで連続していてもよいし(rhead−min=rcore)、残りの頭部のねじ山と曲線を描いていてもよい(例えば、ノッチがあってもよい)(rhead−min>rcore)。
【0045】
角度可変な固定具は、いくつかの実施形態では、何巻きの頭部ねじ山を含んでいてもよい。例えば、角度可変な固定具は、頭部ねじ山を約2巻き、約3巻き、約4巻き、約5巻き、または約6巻き含んでいてもよい。いくつかの実施形態によれば、各巻きは、凹部及び/または隆起部の数が同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、凹部が他の巻きよりも少なくてもよいし、あるいは凹部がなくてもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、隆起部が他の巻きよりも少なくてもよい(例えば、隆起部が1つだけでもよい)。いくつかの実施形態によれば、頭部ねじ山の各巻きは、ねじ山の他の巻きと比較して、同じ寸法の凹部及び/または隆起部を有してもよいし、異なる寸法の凹部及び/または隆起部を有してもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、他の巻きよりも浅い凹部を有してもよい。各巻き(例えば、最初の巻き及び/または最後の巻き)は、0から8個の凹部を有してもよい。例えば、最初の巻き及び/または最後の巻きは、他の巻きよりも高い隆起部を有してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、最上の巻き及び/または最下の巻きで凹部が少ない、浅い、または凹部がない頭部ねじ山は、挿入される孔にさらなるてこ作用を提供できる。頭部ねじ山の最上の巻き及び/または最下の巻きで凹部が少ない、浅い、または凹部がない場合、さらなるてこ作用は、骨の固定を一層強化し、及び/または持続させるのに寄与できる。最上の巻き及び/または最下の巻きで凹部が少ない、浅い、または凹部がない頭部ねじ山は、挿入されるねじの角度を管理(例えば、制限)できる。最下の巻きで凹部が少ない、浅い、または凹部がない頭部ねじ山であれば、比較的容易に所望の角度で挿入できる。
【0047】
骨固定システム
いくつかの実施形態によれば、本開示は、骨を固定するシステムに関する。例えば、固定システムは、骨ねじ及び骨プレートを備えてもよい。任意に、固定システムは、いくつかの実施形態では、骨ねじ、骨プレート、角度可変及び/または角度選択可能なねじ、角度可変及び/または角度選択可能なプレート、及び/またはこれらの組み合わせを備えてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、固定システムは、1つ以上の骨に固定してもよい。例えば、固定システムは、単一の骨に(例えば、骨折または切断箇所にわたって)、または2つ以上の骨(例えば、脊椎)に固定してもよい。骨プレートは、1つ以上の開口(例えば、1から約20個の開口)を備えてもよい。いくつかの開口(例えば、各開口)は、骨固定具(例えば、骨ねじ)を受け入れることができ、この固定具は、骨のドリル用の穴に装着されて、例えば、骨プレートを骨に固定してもよい。
【0049】
固定システムの各部材は、患者(例えば、ヒト及び/またはヒト以外の動物)に埋め込むのに適した1つ以上の材料を独立に備えてもよい。固定システムの各部材は、適切な構造及び/または機械的強度及び/または一体性を提供できる1つ以上の材料を独立に備えてもよい。適切な材料の例は、限定はしないが、チタン、コバルト、クロム、ステンレス鋼、これらの合金、及び/またはこれらの組み合わせであってもよい。適切な材料の例は、限定はしないが、プラスチック、繊維(例えば、炭素繊維)、及び/または生体吸収性材料であってもよい。固定システムの各部材は、1つ以上の表面コーティングを独立に備えてもよい(例えば、医薬品の送達、治癒促進、設置補助、感染に対する抵抗、部品間の摩擦の増加及び/または低減などのため)。
【0050】
可変性及び/または選択性は、(a)プレートの孔の面と挿入されたねじの中央長手軸とが交差して形成される角度、(b)骨プレートの面と挿入されたねじの中央長手軸とが交差して形成される角度、及び/または(c)孔の中心軸と挿入されたねじの中央長手軸とが交差して形成される角度に対して評価してもよい。可変性及び/または選択性は、角度可変なプレートが角度可変なねじと一緒に用いられるかどうか、角度可変なねじが、角度可変なねじと、頭部ねじ山のピッチと、頭部ねじ山の凹部の数、幅及び深さと、孔のねじ山の連結と、孔のねじ山の凹部の数、幅及び深さと、これらの組み合わせと一緒に用いられるかどうかによって生じてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、プレート及び固定具を備えている角度可変なプレートシステムは、孔の中心軸と固定具の長手軸とで形成される第1の角度αと、孔の中心軸と固定具の長手軸とで形成される少なくとも1つの別の角度αとで、固定具がプレートに挿入されるのに順応できる。可変な角度α(例えば、α及び/またはα)は、いくつかの実施形態によれば。約0°から約60°、約0°から約50°、約0°から約40°、及び/または約0°から約30°の範囲内であってもよい。プレートの孔に垂直または実質的に垂直な角度で固定具を挿入することは、いくつかの実施形態では、孔の中心軸と固定具の長手軸とが同一線上にあるように固定具を挿入することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、角度可変なプレートシステムは、孔の平面に対して垂直な第1の角度と、孔の平面に対して斜めである少なくとも1つの角度とで固定具を孔に挿入することに順応できる。
【0052】
使用方法
本開示は、いくつかの実施形態によれば、1つ以上の骨を安定させる方法(例えば、骨の固定)に関する。例えば、この方法は、角度可変なプレート及び/または角度可変なねじを有する骨プレートシステムを患者に設置することを含んでもよい。この方法は、いくつかの実施形態では、ドリルで孔をあけること、ねじ立てで孔をあけること、骨ねじを骨に差し込むことを含んでもよい。この方法は、いくつかの実施形態によれば、予めドリルで孔をあけず及び/またはねじ立てで孔をあけずに、自ら孔をあけるねじを設置することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ガイドがプレートの隣に保持されるか、プレートに装着されてもよい。いくつかの実施形態によれば、ガイドにドリルが挿入されてドリルで骨に孔があけられてもよい。ガイドは、使用する場合は取り外してもよく、(例えば、ドリルの孔と同じまたは実質的に同じ角度にしたがって)タップで孔にねじを切ってもよい。例えば、タップのハンドルを締めることによって、タップの鋭利なエッジが周囲の組織を損傷したりタップの孔が大きくなりすぎたりしないように、慎重に処理を進めることが望ましいことがある。この損傷は、ねじが骨に噛み合う安全性を下げ、及び/またはねじが抜け出る可能性を高めるおそれがある。ねじを切った後、作製した孔の中へ適切な角度でねじを誘導できる。いくつかの実施形態では、不注意により取付不良になれば、引き抜き強度が下がるおそれがあり、及び/または周囲の神経や動脈を損傷してしまうおそれがある。
【0053】
固定具(例えば、ねじ)を設置することは、いくつかの実施形態では、挿入角度(例えば、挿入されるねじの中央長手軸)を変えて、孔の中心軸と同一線上または平行にならないようにすることを含んでもよい。固定具(例えば、ねじ)を設置することは、いくつかの実施形態では、孔の中心軸と同一線上または平行ではない挿入角度(例えば、挿入されるねじの中央長手軸)を選択することを含んでもよい。挿入角度を変えることは、挿入角度を変えて選択することを含んでもよい。挿入角度を選択することは、挿入角度を変えて選択することを含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも1つの角度可変な固定具を備える骨プレートシステムを患者の骨と接触させること、孔の中心軸と同一線上または平行ではない挿入角度で固定具を骨に挿入すること、及び/またはこれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、挿入は任意に、最大で骨プレートシステムの固定具すべてに対して繰り返されてもよい。
【0055】
骨の固定の方法を用いて、骨の固定の1つ以上の状態及び/または症状に対処する(例えば、予防し、治療し、緩和し、和らげ、及び/または楽にする)ことができる。対処できる状態は、いくつかの実施形態によれば、外傷状態、病理状態、発達状態、変性状態、及び/またはこれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、骨の固定の方法を用いて、椎間板変性疾患、脊椎すべり症、骨折または切断、脊椎管狭窄症、変形(例えば、側弯症、脊柱後弯症及び/または脊柱前弯症)、腫瘍、偽関節、壊死、腫れまたは椎間板ヘルニア、関節固定、及びこれらの組み合わせに対処できる。いくつかの実施形態では、骨の固定の方法は、患者の体内のどのような骨にも適用できる。この方法は、例えば、患者の足、手、鎖骨、背骨、上腕骨、橈骨、尺骨、大腿骨、脛骨、腓骨、及び/またはこれらの組み合わせに適用できる。合理的な配慮及び手当を行使する医療専門家であれば、どの実施形態が特定の患者に最も望ましいかを判断できる。
【0056】
製造方法
いくつかの実施形態では、本開示は、角度可変な装置及び/またはシステムの製造方法に関する。例えば、角度可変なプレートは、上面と、骨に面する表面と、少なくとも1つの孔とを備えるプレートを準備し、少なくとも1つの孔をねじ立てして少なくとも1つのねじ山及び少なくとも1つの谷部を形成し、ねじ山に少なくとも1つの凹部の列を形成することによって作製できる。凹部の列は、ねじ山が縮小していくものの凹部が完全にはなくならないように、残ったねじ山が少なくともいくつかそのままで残る深さを有してもよい。上面と骨に面する表面と少なくとも1つの孔とを備えるプレートを準備することは、上面及び骨に面する表面を備えたプレートに少なくとも1つの孔をドリルであけることを含んでもよい。ねじ山に凹部(例えば、凹部の列)を形成することは、いくつかの実施形態によれば、例えば、孔の中心軸に実質的に平行な1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの領域に沿って、ねじ山の一部を研削することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、角度可変なプレートを作製する方法は、所望通り及び/または必要な通りに(例えば、ねじ山、凹部、孔、プレートを)バリ取りし、平滑にし、研磨し、及び/またはコーティングすることを含んでもよい。
【0057】
角度可変なねじを作製することは、ブランクを準備し、このブランクに頭部及び胴部を形成して角度可変なねじのブランクを製造し、ねじのブランクの頭部に、てこ作用の点(例えば、ねじにトルクを印加できるスロット、十字部、またはその他の特徴)を設け、ねじのブランクの頭部にねじ山を切り(例えば、型抜きし)、ねじのブランクの胴部にねじ山を切り(例えば、型抜きし)、及び/または頭部ねじ山に少なくとも1つの凹部の列を形成することを含んでもよい。頭部ねじ山の凹部の列は、ねじ山が縮小していくものの凹部が完全にはなくならないように、残ったねじ山が少なくともいくつかそのままで残る深さを有してもよい。角度可変なねじを作製する方法は、いくつかの実施形態によれば、所望通り及び/または必要な通りに(例えば、ねじ山、凹部、頭部、ねじを)バリ取りし、平滑にし、研磨し、及び/またはコーティングすることを含んでもよい。
【0058】
特定の実施形態の例
角度可変なプレートの特定の実施形態の例を図1A図1Fに示している。角度可変なプレート110は、上面111と、骨に面する表面112と、少なくとも1つの角度可変な孔120とを備えている。上面111及び/または骨に面する表面112は、いくつかの実施形態では、全体的に平坦であってもよい。上面111及び/または骨に面する表面112は、独立に及び/または対応的に曲線状であってもよい。角度可変な孔120は、全体的に筒形状で、連続するねじ山121を有し、孔の周囲に沿ってねじ山の谷部125が隣接している。ねじ山121は、規則的な間隔で間があいているねじ山の隆起部122と凹部123とからなるセットを4つ備えている。図1Bは、ねじ山121をその最大の高さ(hthread−max)で二等分する断面に沿った孔120の切開図である。図1Cは、ねじ山121をその最小の高さ(hthread−min)で二等分する断面に沿った孔120の切開図である。
【0059】
図1Cに示されるように、孔の中心軸129からねじ山の隆起部122までの距離は、最小の開口半径(rmin)に相当し、孔の中心軸129から凹部123までの距離は、最大の開口半径(rmax)に相当する。孔の中心軸129から側面125までの距離は、孔の全体半径(rhole)に相当する。プレート110は、1つ以上の別の孔をさらに備えてもよい。別の孔はそれぞれ独立に、角度可変な孔、角度が一定の孔、圧縮孔、ねじ山のない孔(例えば、釘を受け入れる孔)、及びこれらの組み合わせでもよい。
【0060】
図1Dは孔120の平面図であり、隆起部122及び凹部123がねじ山121の各巻きで一様であることを示している。図1Eは、ねじ山121をその最大の高さ(hthread−max)で二等分する断面に沿った孔120の断面図である。図1Fは、ねじ山121をその最小の高さ(hthread−min)で二等分する断面に沿った孔120の切開図である。
【0061】
骨ねじの特定の実施形態の例を図2に示している。骨ねじ230は、頭部231及び胴部237を備えている。図示されるように、頭部231は、全体的に筒形状であり、ねじ山のない頭部キャップ232を有する上部と、頭部ねじ山233を有する下部とを備えている。頭部ねじ山233は、ねじ山の隆起部234及びねじ山の谷部236を備えている。ねじ山の隆起部234は、頭部キャップ232と実質的に同じである半径(rhead)を有し、この半径は、この頭部の長さに沿って変化しない。胴部237は、全体的に筒形状であり、胴部ねじ山238を備え、この胴部ねじ山は胴部の長さを取り囲んでいる。胴部ねじ山238の半径は、頭部ねじ山の半径(rhead)よりも実質的に小さい。いくつかの実施形態では、頭部ねじ山233及び胴部ねじ山238は、図示されるように異なっている必要はない。
【0062】
角度可変なシステムの特定の実施形態の例を図3A図3Fに示している。角度可変なシステム300は、角度可変なプレート310及び骨ねじ330を備えている。図示されるように、骨ねじ330は、骨ねじ330の長手軸339が孔の中心軸329(図3A図3D)と同一線上になるように孔320に挿入してもよい。骨ねじ330は、骨ねじ330の長手軸339が孔の中心軸329と交差して(ゼロではない)角度α(図3E図3F)を形成するように、孔320に挿入してもよい。図3Aは、孔のねじ山321をその最大の高さ(hthread−max)で二等分する断面に沿った孔320及び骨ねじ330の切開図である。頭部ねじ山333は、孔のねじ山321と係合し、胴部337は、プレート310の下面312よりも下方に延び、胴部は、下層の母体(例えば、骨)と係合してもよい。図3Bは、骨ねじ330を孔320に挿入した状態のプレート310の平面図である。図3Cは、孔のねじ山321をその最大の高さ(hthread−max)で二等分する断面に沿った孔320の断面図である。図3Dは、孔のねじ山321をその最小の高さ(hthread−min)で二等分する断面に沿った孔320の切開図である。図示されるように、頭部ねじ山333は、ねじ山の隆起部322と係合するが、凹部323または側面325には達しない。頭部キャップ332は、図示されるように上面311よりも上方に延びてもよいし、上面332と面一となるように孔320に着座していてもよい。例えば、ねじ山321は、孔320が頭部キャップ332を受け入れられるように、下面312から孔320を通って上面311の十分浅い箇所まで上向きに延びてもよい。
【0063】
図3Eは、骨ねじ330を角度αで孔320に挿入した状態のプレート310の平面図である。図3Fは、孔のねじ山321をその最大の高さ(hthread−max)で二等分する断面に沿った孔320の断面図である。図3Fは、孔の軸329と頭部の軸339とが交差して角度αを形成している様子をさらに示している。いくつかの実施形態によれば、軸329と339とは曲がっていてもてよい。曲がった軸329及び339の単一平面(例えば、いずれかの軸に平行な平面)上への投影は、交差して角度αを形成しもてよい。
【0064】
角度可変なプレートの特定の実施形態の例を図4A図4Cに示している。角度可変なプレート410は、上面411と、下面412と、少なくとも1つの角度可変な孔420とを備えている。角度可変な孔420は、全体的に筒形状であり、連続するねじ山421を有し、孔の周囲に沿ってねじ山の谷部425が隣接している。ねじ山421は、規則的な間隔で間があいているねじ山の隆起部422と凹部423とからなるセットを3つ備えている。図4Aは、ねじ430を孔420に挿入した状態であるプレート410の平面図である。図4Bは、孔のねじ山421をその中間の高さで二等分した断面に沿った孔420の断面図である。図4Cは、プレート410と角度可変な孔420に挿入したねじ430とを備えるシステム400の断面図である。図示されるように、孔の軸429は、頭部の軸439と交差して角度αを形成する。
【0065】
角度可変なプレートの特定の実施形態の例を図5A図5Cに示している。角度可変なプレート510は、上面511と、下面512と、少なくとも1つの角度可変な孔520とを備えている。角度可変な孔520は、全体的に筒形状であり、連続するねじ山521を有し、孔の周囲に沿ってねじ山の谷部525が隣接している。ねじ山521は、規則的な間隔で間があいているねじ山の隆起部522と凹部523とからなるセットを6つ備えている。図5Aは、ねじ530を孔520に挿入した状態であるプレート510の平面図である。図5Bは、孔のねじ山521をその最大の高さ(hthread−max)で二等分した断面に沿った孔520の斜視図である。図5Cは、プレート510と角度可変な孔520に挿入したねじ530とを備えるシステム500の断面図である。図示されるように、孔の軸529は、頭部の軸539と交差して角度αを形成する。
【0066】
角度可変な骨ねじの特定の実施形態の例を図6A図6Eに示している。角度可変なねじ640は、頭部641及び胴部647を備えている。図示されるように、頭部641は、全体的に筒形状であり、頭部ねじ山643を備え、この頭部ねじ山は、上端から胴部647と接合している端部まで延びている。頭部ねじ山643は、ねじ山の隆起部644及びねじ山の谷部646を備えている。ねじ山の隆起部644は、ねじ山の長さに沿って変化する半径(rhead)を有している。胴部647は、全体的に筒形状であり、胴部ねじ山648を備え、この胴部ねじ山は胴部の長さを取り囲んでいる。胴部ねじ山648の半径は、頭部ねじ山の半径(rhead)よりも実質的に小さい。いくつかの実施形態では、頭部ねじ山643及び胴部ねじ山648は、図示されるように異なっている必要はない。頭部ねじ山643は、規則的な間隔で間があいているねじ山の隆起部644と凹部645とからなるセットを4つ備えている。図6Aは、頭部641及び胴部647を有する角度可変なねじ640の斜視図である。図6Bは、孔650を有する骨プレート610の斜視図である。図示されるように、孔650は、ねじ山651及び谷部652を備えている。図6Cは、骨プレート610の断面図である。ねじ山651及び谷部652は、図示されるように、孔650を実質的に一様に取り囲んでいる。図6Dは、角度可変なシステム600の断面図であり、このシステムは、骨プレート610及びねじ640を備えている。図示されるように、ねじ640は、ねじ640の長手軸649が孔の中心軸659と同一線上になるように孔650に挿入してもよい。孔のねじ山651は、頭部ねじ山643と係合するが、凹部645または側面655には達しない。胴部647は、プレート610の下面612よりも下方に延び、胴部は、下層の母体(例えば、骨)と係合してもよい。図6Dに示されるように、ねじの長手軸649からねじ山の隆起部644までの距離は、最小半径(rhead−max)に相当し、ねじの長手軸649から凹部645までの距離は、最小半径(rhead−min)に相当する。ねじ山の最小半径(rhead−min)は、頭部641のコア半径と同じである。そのため、ねじ山高さが凹部645でゼロになる所でねじ山643は途切れる。
【0067】
図6Eは、頭部の軸649が孔の中心軸659と交差して角度αを形成するように、角度可変なねじ640を孔650に挿入した状態のシステム600の断面図である。いくつかの実施形態によれば、軸649と659とは曲がっていてもよい。曲がった軸649及び659の単一平面(例えば、いずれかの軸に平行な平面)への投影は、交差して角度αを形成してもよい。プレート610は、1つ以上の別の孔をさらに備えていてもよい。別の孔はそれぞれ独立に、角度可変な孔、角度が一定の孔、圧縮孔、ねじ山のない孔(例えば、釘を受け入れる孔)、及びこれらの組み合わせであってもよい。
【0068】
角度可変なシステムの特定の実施形態の例を図7に示している。角度可変なシステム700は、角度可変なプレート710及び角度可変なねじ740を備えている。図示されるように、角度可変なねじ740は、頭部の軸749が孔の軸729と交差して角度βを形成する状態で、角度可変な孔720に挿入されている。凹部723及び凹部745は、頭部ねじ山の隆起部744が孔のねじ山の隆起部722と係合するが側面725に達しないように並んでいる。
【0069】
角度可変な骨ねじの特定の実施形態の例を図8A図8Cに示している。角度可変なねじ840は、頭部841及び胴部847を備えている。図示されるように、頭部841は、全体的に筒形状であり、頭部ねじ山843を備え、この頭部ねじ山は、上端から胴部847と接合している端部まで延びている。頭部ねじ山843は、ねじ山の隆起部844及びねじ山の谷部846を備えている。ねじ山の隆起部844は、ねじ山の長さに沿って変化する半径(rhead)を有している。胴部847は、全体的に筒形状であり、胴部ねじ山848を備え、この胴部ねじ山は胴部の長さを取り囲んでいる。胴部ねじ山848の半径は、頭部ねじ山の半径(rhead)よりも実質的に小さい。いくつかの実施形態では、頭部ねじ山843及び胴部ねじ山848は、図示されるように異なっている必要はない。頭部ねじ山843は、規則的な間隔で間があいているねじ山の隆起部844と凹部845とからなるセットを4つ備えている。ねじ山の最小半径(rhead−min)は、頭部841のコア半径よりも大きい。そのため、ねじ山843は、ねじ山高さがゼロではない点で連続している。
【0070】
角度可変なプレートの特定の実施形態の例を図9に示している。角度可変なプレート910は、上面911と、下面912と、少なくとも1つの角度可変な孔920とを備えている。角度可変な孔920は、全体的に筒形状であり、連続するねじ山921を有し、孔の周囲に沿ってねじ山の谷部925が隣接している。ねじ山921は、規則的な間隔で間があいているねじ山の隆起部922と凹部923とからなるセットを4つ備えている。図示されるように、ねじ山921の最上の巻きは凹部を有していない。
【0071】
角度可変な骨ねじの特定の実施形態の例を図10A図10Bに示している。角度可変なねじ1040は、頭部1041及び胴部1047を備えている。図示されるように、頭部1041は、全体的に筒形状であり、頭部ねじ山1043を備え、この頭部ねじ山は、上端から胴部1047と接合している端部まで延びている。頭部ねじ山1043は、ねじ山の隆起部1044及びねじ山の谷部1046を備えている。頭部ねじ山1043は、規則的な間隔で間があいているねじ山の隆起部844と凹部845とからなるセットを4つ備えているが、ねじ山1043の最下の巻きは凹部を有していない点が異なる。
【0072】
本開示の利益を有する当業者に理解されるように、本明細書の説明文から逸脱しないかぎり、角度可変な装置、システム、及び方法のその他の均等物または代替物を検討できる。したがって、図示して説明した本開示の実行方法は、例示的なものとしてのみに解釈すべきである。
【0073】
当業者は、本開示の範囲から逸脱しないかぎり、部品の形状、サイズ、数及び/または構成に様々な変更を加えてもよい。例えば、固定具、孔、ねじ山、隆起部、及び/または凹部の位置及び数は変更してもよい。いくつかの実施形態では、角度可変な骨プレート、角度が一定の骨プレート、角度可変な骨ねじ、角度が一定の骨ねじ、及びねじのない固定具は、互いに入れ替え可能であってもよい。入れ替え可能であることにより、(例えば、術者が最適な固定手段を使用できるようにすることによって)固定を個別に調整できる可能性がある。さらに、装置及び/またはシステムのサイズは、(例えば、成人患者に使用するために)大きくしたり、(例えば、子供の患者に使用するために)小さくしたりして、術者の必要性及び/または要望に合わせることができる。開示した方法及び方法のステップの各々を、いくつかの実施形態によれば、その他の開示した方法及び方法のステップと合わせて実施してもよく、どのような順序で実施してもよい。「してもよい」という動詞を用いる場合、任意及び/または許容条件を示唆することを意図しているが、特に明記しないかぎり、この語を使用することで操作性の欠如を示唆する意図はない。当業者は、本開示の構成、装置、及び/またはシステムを準備して使用する方法に様々な変更を加えてもよい。例えば、構成、装置、及び/またはシステムを、動物及び/またはヒトに対して適切なものとして(例えば、衛生面、感染性、安全性、毒性、生物測定面、及びその他の項目に関して)準備し、及び/または使用してもよい。
【0074】
また、範囲が設けられている場合、本開示の終点は、特定の実施形態で所望または要求されるものと全く同じ及び/またはおおよそ同じものとして扱われてもよい。終点がおおよそのものである場合、柔軟性の度合いは、範囲の大きさの程度に比例して変化してもよい。例えば、一方では、約5から約50の範囲という文脈において終点が約50の範囲であれば、50.5を含んでもよいが52.5や55は含まず、他方、約0.5から約50の範囲という文脈において終点が約50の範囲であれば、55を含んでよいが60や75は含まない。このほか、いくつかの実施形態では、範囲の終点を混合して合わせることが望ましいことがある。また、いくつかの実施形態では、開示した各図面(例えば、1つ以上の例では、表及び/または図)は、範囲の基準(例えば図示した値+/−約10%、図示した値+/−約50%、図示した値+/−約100%)及び/または範囲の終点の基準となってもよい。前者に関して言えば、例、表及び/または図に示した50という値は、例えば、約45から約55、約25から約100、及び/または約0から約100という範囲の基準となってもよい。
【0075】
骨固定用の装置及び/またはシステムの全体または一部は、使い捨て形態、実用的な形態、入れ替え可能な形態、及び/または交換可能な形態に構成され配置されてもよい。明確な変更及び修正を伴うこれらの均等物及び代替物は、本開示の範囲内に含まれるものとする。したがって、上記の開示は、付属の特許請求の範囲に記載した本開示の範囲を例示するものであって限定するものではないことを意図している。
【0076】
発明の名称、要約書、背景技術、及び見出しは、規定に則るため、及び/または読者に対する便宜のために設けたものである。これらは、先行技術の範囲及び内容を容認するものでも、開示した全実施形態に制限を適用するものでもない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B