特許第6353552号(P6353552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6353552反対側車両側部に搭載された車両センサによる警報感知を含む運転者支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6353552
(24)【登録日】2018年6月15日
(45)【発行日】2018年7月4日
(54)【発明の名称】反対側車両側部に搭載された車両センサによる警報感知を含む運転者支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20180625BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20180625BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20180625BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B60R21/00 991
   B60R21/0134 313
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-559878(P2016-559878)
(86)(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公表番号】特表2017-511540(P2017-511540A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2015054116
(87)【国際公開番号】WO2015150001
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】14/243,357
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティー,バーヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】シュウィンツ,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】バックナー,ケヴィン
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−159278(JP,A)
【文献】 特開2004−355533(JP,A)
【文献】 特表2007−511410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60R 21/00−21/13
21/34−21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト車両に、接近車両警報を提供する支援システムであって、
前記ホスト車両の後方コーナー部に近接して位置決め可能であり、電子制御ユニットとセンサを含む第1後方センサユニットを備え、前記電子制御ユニットが、
前記ホスト車両の走行経路情報を取得し、
前記走行経路情報から、前記ホスト車両の左側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域と、前記ホスト車両の右側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域を判断し、
前記第1後方センサユニットに最も近い前記ホスト車両の側部から後方に延出するすぐ隣の車線にある接近物体を検出し、前記接近物体の検出に応答して、接近車線警報信号を提供し、
前記第1後方センサユニットと反対側の前記ホスト車両の側部から後方に延出するすぐ隣の車線にある接近物体を検出し、前記接近物体の検出に応答して、前記第1後方センサユニットと反対側の前記ホスト車両の後方コーナー部に近接して位置決め可能な第2後方センサユニットに反対側車線警報信号を提供するように構成される、支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1後方センサユニットが、前記ホスト車両の左後方コーナー部に近接して位置決め可能な左後方センサユニットを備え、前記電子制御ユニットが左側電子制御ユニットを備え、前記センサが左側センサを備え、前記第2後方センサユニットが、前記ホスト車両の右後方コーナー部に近接して位置決め可能な右後方センサユニットを備え、前記右後方センサユニットが右側電子制御ユニットと右側センサを含み、前記右側電子制御ユニットが、
車両走行経路情報を取得し、
前記走行経路情報から、前記ホスト車両の左側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域と、前記ホスト車両の右側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域を判断し、
すぐ隣の右側車線内の接近物体を検出して、接近車線警報信号を提供し、
すぐ隣の左側車線内の接近物体を検出して、前記左後方センサユニットに、反対側車線警報信号を提供する、
ように構成されるシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、前記左後方センサユニットの前記接近車線警報信号および前記右後方センサユニットの前記接近車線警報信号に応答して視覚的警報を提供する警報ユニットをさらに備えたシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記警報ユニットは前記視覚的警報を提供し、前記ホスト車両に対してターン信号が作動した場合に、前記ホスト車両のターン信号によって選択された車線変更に対応するすぐ隣の車線で感知された接近物体に関する可聴メッセージが提供されるシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、接近車線警報信号に応答して、衝突までの距離と、衝突までの時間の群から少なくとも1つを出力する警報ユニットを含み、前記衝突までの距離と衝突までの時間は可聴メッセージを含むシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記電子制御ユニットに前記走行経路情報を提供するための、前記ホスト車両の電子車両姿勢制御ユニットを含み、前記走行経路情報はヨーレート信号とホスト車両速度を含むシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1後方センサユニットの前記電子制御ユニットが、前記第2後方センサユニットから反対側車線警報信号を受信するように構成され、前記第1後方センサユニットが接近車線警報信号を提供しない場合、前記第1後方センサユニットの前記電子制御ユニットは、前記第2後方センサユニットから受信した反対側車線警報信号に応答して警報ユニットに接近車線警報信号を送信するシステム。
【請求項8】
隣接車線内の接近物体がホスト車両に何時接近してくるかを判断する方法であって、
電子制御ユニットによって、前記ホスト車両走行経路情報を取得し、
前記走行経路情報から、前記ホスト車両の左側、右側で、後方に延出するすぐ隣の車線の位置を判断し、
前記ホスト車両の後方コーナー部に近接して配置された第1後方センサユニットによって、前記第1後方センサユニットに最も近い前記ホスト車両の側部にあるすぐ隣の車線にある接近物体を検出して、接近車線警報信号を提供し、
前記第1後方センサユニットによって、前記第1後方センサユニットの反対側の前記ホスト車両の側部にあるすぐ隣の車線内の接近物体を検出して、前記第1後方センサユニットと反対側の前記ホスト車両の後方コーナー部に近接して位置決めされた第2後方センサユニットに反対側車線警報信号を提供することを含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記ホスト車両の左側、右側で、後方に延出するすぐ隣の車線内の接近物体を視覚的に通知するステップを含む方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、前記第1後方センサユニットが、前記ホスト車両の左後方コーナー部に近接して位置決め可能な左後方センサユニットを備え、前記電子制御ユニットが左側電子制御ユニットを備え、前記第1後方センサユニットが左側センサを備え、前記第2後方センサユニットが、前記ホスト車両の右後方コーナー部に近接して位置決め可能な右後方センサユニットを備え、前記第2後方センサユニットが右側電子制御ユニットと右側センサを含み、方法がさらに、
前記右側電子制御ユニットによって前記走行経路情報を取得し、
前記走行経路情報から、前記ホスト車両の左側、右側で、後方に延出するすぐ隣の車線の位置を判断し、
前記右後方センサユニットによって、すぐ隣の左側車線内の接近物体を検出して、前記左後方センサユニットに、反対側車線警報信号を提供し、
前記右後方センサユニットによって、すぐ隣の右側車線内の接近物体を検出して、接近車線警報信号を提供する、
ことを含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記右側電子制御ユニットが前記接近車線警報信号を提供したことに応答して、前記ホスト車両にすぐ隣の右側車線内の接近物体に関する視覚的警報および可聴警報のうち少なくとも1つを提供し、
前記左側電子制御ユニットが前記接近車線警報信号を提供したことに応答して、すぐ隣の左側車線内の接近物体に関する視覚的警報および可聴警報のうち少なくとも1つを提供する、ことを含む方法。
【請求項12】
ホスト車両への接近物体警報を提供する運転者支援システムであって、
前記ホスト車両の右後方コーナー部に近接して位置決めするように構成され、右側電子制御ユニットおよび右側センサを含む右後方センサユニットと、
前記ホスト車両の左後方コーナー部に近接して位置決めするように構成され、左側電子制御ユニットおよび左側センサを含む左後方センサユニットと、
を備え、前記左側電子制御ユニットが、
前記ホスト車両走行経路情報を取得し、
前記走行経路情報から、前記ホスト車両の左側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域と、前記ホスト車両の右側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域を判断し、
前記ホスト車両の後方で左側および右側に位置する物体の距離と速度を前記左側センサで検出し、
隣接する左側車線内の接近物体を判断して左側車線警報信号を提供し、
隣接する右側車線内の接近物体を判断して反対側車線警報信号を前記右後方センサユニットに提供する、
ように構成されることを含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記左側電子制御ユニットに前記走行経路情報を提供するための、前記ホスト車両の電子車両姿勢制御ユニットを含み、前記走行経路情報はヨーレート信号とホスト車両速度を含むシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、前記左側車線警報信号に応答して、すぐ隣の左側車線内の接近物体の通知を出力する、前記左後方センサユニットと通信する警報ユニットを含むシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記右後方センサユニットの右側電子制御ユニットが、
記走行経路情報を取得し、
前記走行経路情報から、前記ホスト車両の右側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域と、前記ホスト車両の左側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域を判断し、
前記ホスト車両の後方左側および右側に位置する物体の距離と速度を前記右後方センサユニットで検出して接近物体の存在を判断し、
隣接する右側車線内の接近物体を判断して右側車線警報信号を提供し、
隣接する左側車線内の接近物体を判断して反対側車線警報信号を前記左後方センサユニットに提供する、
ように構成されるシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記左側センサが、前記ホスト車両のターン量により前記左側センサのセンサ出力が道路付近のガードレールまたは壁から反射するため接近物体を感知できない場合、前記右後方センサユニットが接近車両を検出し、前記左後方センサユニットに反対側車線警報信号を提供し、前記左後方センサユニットは警報ユニットに前記左側車線警報信号を出力するシステム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムであって、前記警報ユニットは、前記左側車線警報信号に応答して視覚的警報を提供して、すぐ隣の左側車線の接近物体を通知し、また、前記ホスト車両に対して左ターン信号が作動した場合に、前記警報ユニットはすぐ隣の左側車線内で感知された接近物体に関する可聴メッセージを提供するシステム。
【請求項18】
請求項12に記載のシステムであって、直接通信線が、前記左後方センサユニットと前記右後方センサユニットの間の直接通信を提供するシステム。
【請求項19】
請求項12に記載のシステムであって、左側車線警報信号または右側車線警報信号に応答して、衝突までの距離と、衝突までの時間の群から少なくとも1つを出力する警報ユニットを含み、前記衝突までの距離と衝突までの時間は可聴メッセージを含むシステム。
【請求項20】
請求項12に記載のシステムであって、前記左側センサと前記右側センサは、接近物体の距離を感知し速度を測定して、前記物体が前記ホスト車両に距離的に接近してくることを判断するレーダーセンサを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両監視システムおよび運転者支援システムに関する。特に、本発明に記載されるシステムおよび方法は、車線変更支援(LCA)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車線変更支援(LCA)システムは、隣接車線内の物体(例えば車両)に関する情報を運転者に提供する。この情報は、隣接車線への安全な移行に関して運転者を支援する。以下に説明するLCAシステムは、ホスト車両の各側部に搭載されたセンサユニットを含む。各センサユニットのセンサは、隣接車線のうち少なくとも1つ(例えば、ホスト車両のすぐ左の車線、またはホスト車両のすぐ右の車線)を含む視界で配置される。次に各センサユニットは、最も近いそれぞれの隣接車線内に車両が検出された場合に接近車両警告(CVW)通知または警報を提供する。しかし、例えば、道路がカーブしている場合またはセンサのうち一方が別途妨げられる場合にそのような構成が無効となる場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される、LCAシステムの別の構成は、接近する車両の存在を判断するために、ホスト車両の後部にまたは後部付近に配置された、略水平に離間した2つのセンサを用いる。より具体的には、各センサはセンサに最も近いすぐ隣の車線内の接近してくる車両、また、ホスト車両の他方の側のすぐ隣の車線内(すなわち、他方のセンサに最も近い車線)で接近してくる車両の存在を判断する。センサが、センサに最も近い車線内の接近してくる車両を感知した場合、車両操作者に警報が提供される。センサユニットが、接近してくる車両が他方の隣接車線にいる(すなわち、他方のセンサに最も近い車線)と検出した場合、センサユニットは、他方のセンサに配設されたセンサユニットに警報信号を提供する。同様に、センサユニットは、隣接車線内の接近してくる車両を通知する他方のセンサユニットからの警報信号を受信するように構成される。センサユニットは、隣接車線内で接近してくる車両を検出したことに応答して、また、隣接車線内で接近してくる車両を通知する他方のセンサユニットからの警報信号を受信したことに応答して、警報の起動を制御する。
【0004】
一実施形態において、ホスト車両に接近してくる車両に関する警報を提供する支援システムは、ホスト車両の後方コーナー部に近接して配置可能な第1後方センサユニットを備え、第1後方センサユニットは電子制御ユニットとセンサを含む。電子制御ユニットは、ホスト車両の走行経路情報を取得し、走行経路情報から、ホスト車両の左側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域と、ホスト車両の右側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域を判断し、後方センサユニットに最も近いホスト車両の側部から後方に延出するすぐ隣の車線にある接近物体を検出し、接近物体の検出に応答して、接近車線警報信号を提供し、後方センサユニットに最も近いホスト車両の側部から後方に延出するすぐ隣の車線にある接近物体を検出して、接近物体の検出に応答して、反対側車線警報信号を提供するように構成される。
【0005】
別の実施形態において、本発明は、ホスト車両の走行経路情報を取得し、走行経路情報から、ホスト車両の左側、右側で車両の後方に延出するすぐ隣の車線の位置を判断し、ホスト車両の後方コーナー部に近接して配置された第1後方センサユニットによって、第1後方センサユニットに最も近い車両の側にあるすぐ隣の車線にある接近物体を検出して接近車線警報信号を提供し、第1後方センサユニットの反対側のホスト車両の側にあるすぐ隣の車線内の接近物体を、第1後方センサユニットによって検出して、第1後方センサユニットと反対側のホスト車両の後方コーナー部に近接して配置された第2後方センサユニットに反対側車線警報信号を提供することにより、隣接車線で接近物体がホスト車両に接近してくる場合を判断する方法を提供する。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、ホスト車両に接近物体警報を提供する運転者支援システムを提供する。システムは、ホスト車両の右後方コーナー部に近接して配置されるように構成され、右側電子制御ユニットと右側センサを含む右後方センサユニットと、ホスト車両の左後方コーナー部に近接して配置されるように構成され、左側電子制御ユニットと左側センサを含む左後方センサユニットを備える。左側電子制御ユニットは、ホスト車両の走行経路情報を取得し、走行経路情報から、ホスト車両の左側および右側でホスト車両位置の後方に延出するすぐ隣の車線の位置を判断し、ホスト車両の後方に左側および右側に位置する物体の距離および速度を左側センサによって検出し、隣接する左側車線内の接近物体を判断して左側車線警報信号を提供し、隣接する右側車線内の接近物体を判断して、右後方センサユニットに反対側車線警報信号を提供するように構成される。
【0007】
別の実施形態は、左側車線警報信号に応答して、隣接する左側車線における接近物体の通知を出力する警報ユニットを含み、左後方センサユニットは、右後方センサユニットに右側車線警報信号を提供する。いくつかの実施形態において、右後方センサユニットの右側電子制御ユニットは、ホスト車両の走行経路情報を取得し、走行経路情報から、ホスト車両の右側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域と、ホスト車両の左側から後方に延出するすぐ隣の車線に対応する領域を判断し、ホスト車両の後方に左側および右側に位置する物体の距離および速度を右側センサによって検出して接近物体の存在を判断し、隣接する右側車線内の接近物体を判断して右側警報信号を提供し、また、隣接する左側車線内の接近物体の存在を判断して、左後方センサユニットに反対側車線警報信号を提供するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態において、センサユニットのうち一方のセンサは、ターン量によりセンサのセンサ出力が道路付近のガードレールまたは壁から反射する場合に、最も近い車線内の接近物体を感知できない。いくつかの例において、他方のセンサの視線は妨げられないため、他方のセンサが、第1センサに最も近い車線内の車両を感知できる。
【0009】
いくつかの実施形態において、警報は視覚的警報を提供し、また、ホスト車両に対してターン信号が作動した場合に、ホスト車両のターン信号によって選択された車線変更に対応するすぐ隣の車線に接近物体が位置していることを通知するために可聴メッセージが提供される。
【0010】
本発明の別の態様は、詳細な説明と添付の図面を考慮することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態による車両運転者支援システムのブロック図である。
図2図1の車両運転者支援システムのセンサユニットのブロック図である。
図3図1の車両運転者支援システムを装備したホスト車両の、多車線幹線道路における第1の状況例の俯瞰図である。
図4図1の車両運転者支援システムを用いた接近車両警報状況を判断する方法のフローチャートである。
図5】左後方センサユニットが隣接左車線内の車両を検出できない場合の、装備されたホスト車両の一状況例の俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は以下の説明に規定されるまたは以下の図面に示される構成の詳細および構成要素の配置への適用に限定されないことを理解すべきである。本発明は別の実施形態でも可能であり、また、種々の方式で実用化または実行されることができる。
【0013】
図1は、四輪車またはトラック等のホスト車両用の運転者用支援システム100を示す。システム100は、左後方センサユニット102と右後方センサユニット104を含む。さらに、システムは電子車両姿勢制御ユニット(ESC)106と警報ユニット108を含む。CANバス110は後方センサユニット102、104、ESC106および警報駆動ユニット108の間の通信を提供する。種々のその他の車両サブシステムも、CANバス110と接続して互いに通信する。さらに、いくつかの別の構成では、図1に破線111で示す直接通信線が、左後方センサユニット102と右後方センサユニット104の間に配設され、CANバス110を介した通信は必要でない。
【0014】
図2は、個々の後方センサユニット102のブロック図である。図2に示された後方センサユニットは、左後方センサユニット102と表示されている。しかし、右後方センサユニット104は同様な構成要素を含む。後方センサユニット102は電子制御ユニット114とセンサ116を含む。
【0015】
いくつかの構成において、電子制御ユニット(ECU)114は、ROM等のメモリモジュールに記憶された実行可能なプログラムを有するプロセッサを含む。ECU114は、CANバス110を介して受信した他の車両ユニットからの情報を記憶するためのRAMをも含む。ECU114の非一時的コンピュータ可読メモリモジュールは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、または種々の構成でのそれらの組み合わせを含み、また、オペレーシングシステムソフトウェア、アプリケーション/命令データおよび/またはそれらの組み合わせを記憶してもよい。
【0016】
図2の例におけるセンサ116は、レーダーセンサを含む。各レーダーセンサは接近物体の方向、距離を感知して接近物体の速度を測定して、その物体がホスト車両120に距離上接近しつつあることを判断する。接近物体の速度はレーダーセンサ116を支持しているホスト車両120の速度によって調整される。別の構成では、センサ116は例えば光検出および測距(LIDAR)センサまたはビデオセンサを含む別のセンサ技術を含んでもよい。
【0017】
図3は、運転者支援システム100を装備した車両120を示す。左後方センサユニット102は車両の左後方エッジまたはコーナーに近接して配置され、右後方センサユニット102は車両の右後方エッジまたはコーナーに近接して配置される。各後方センサユニット102、104のセンサ116はそれぞれ、約150度以下の視界を有する。各センサ116は、その視界が、車両120の対応する側部上のすぐ隣の車線と、車両120の反対側の側部上のすぐ隣の車線を含むように構成される。各センサ116の視界はそれぞれ、図3に破線で示される。
【0018】
図3の例は、ホスト車両120の後方に位置する3両の車両を示し、車両122はホスト車両120の左2車線目に位置し、車両124はホスト車両120の左1車線目に位置し、第3の車両126はホスト車両の右側に位置している。センサ116の位置と視界により、左後方センサユニット102は全3車両122、124、126をその視界内に検出することができる。右後方センサユニット104はホスト車両120の、右後方センサユニット104に隣接した側部で車両126を検出することができ、また、ホスト車両120の反対側の隣接車線内の車両124を検出することができる。しかし、ホスト車両120の左2車線目に位置する車両122は、右後方センサユニット104の視界内では検出されない。また注目すべきは、各センサの視界は、他のセンサが網羅するようには、ホスト車両の反対側のホスト車両の後部に近い領域を網羅しないことである。例えば、左後方センサ116は車両の左後方側部付近の接近領域A内の物体を感知することができる。しかし、右後方センサは領域A内の物体を検出できない(図3に、各センサの視界を規定する破線によって示されるように)。
【0019】
図4は、1つの方法を示すフローチャート200であり、その方法において、図1の運転者支援システム100の単一のセンサユニットが、隣接車線内の車両を監視し、すぐ隣の車線に位置する、後方から接近してくる、または高速に接近してくる車両を運転者に警告する。図4の例において、各後方センサユニットは他の後方センサユニットとは独立して作動する。そのため、図4は、特定的に左後方センサユニット102の電子制御ユニット(ECU)114の動作を示すが、右後方センサユニット104は本質的に同じように作動する。図4に示したステップは例示の目的のためであり、したがって、多くの例ではステップの順序が変わってもよく、それでもECU114によるプログラムの実行には影響を与えない。
【0020】
ECU114は、電子車両姿勢制御ユニットESC106およびその他のデータデバイスからホスト車両経路走行データまたは情報を取得する(ステップ202)。ESC106(また、いくつかの実施形態においてはエアバッグユニット)は、ヨーレート信号を供給し、ヨーレート信号とは、車両のヨー角の変化率である。ヨーレート信号を時間と積分することにより、ヨー角の変化が判断される。さらに、ESC106はECU114にホスト車両速度を供給する。車両速度を時間と積分することにより、ECU114は走行した距離を判断する。こうして、ECU114は、ヨー角およびホスト車両速度からホスト車両の走行した経路を判断する。すぐ隣どうしの車線の中間部は、走行した経路から直角または側方に離れた車線幅である。得られた車両経路データまたは情報に基づいて、ECU114はホスト車両の現在位置から側方および後方のすぐ隣の走行車線の位置を判断できる(ステップ204)。ECU114はセンサ116からデータを受信し、車両の側方および後方の物体の存在と相対速さ(または速度)を判断する(ステップ206)。
【0021】
ECU114は、センサデータを、すぐ隣の車線の判断された位置と比較する(ステップ208)。この比較に基づいて、左後方センサユニット102のECU114は、接近してくる車両が右後方センサユニット104に最も近いすぐ右側の車線内に位置しているかどうか、また、ホスト車両120が車線変更した場合に衝突の可能性をもたらすような接近速度で接近してくるかどうかを判断する(ステップ210)。そうである場合、左後方センサユニット102は、右後方センサユニット104に反対側車線警報信号を送信し(ステップ212)、右後方センサユニット104は信号を処理する。この例において、左後方センサユニット102からCANバス110を介して右後方センサユニット104に送信された信号は、隣接する右側車線内で接近してくる車両があるかどうかに関するバイナリ(すなわち、YES/NO)信号である。しかし、いくつかの別の構成において、信号は別の警報状態を含むことがあり、それは例えば、隣接する右側車線内の接近してくる接近車両の速度に依存する。この例において、後方センサユニット104、106によってCANバス110を介して伝送される情報の量は、実際のセンサデータを別のセンサユニットに伝送するのではないことに注目すべきである。代わりに、センサデータはそれぞれの後方センサユニットによって処理されて、ずっと小さい信号がCANバス110で別の後方センサユニットに伝送される。
【0022】
右後方センサユニット104に信号を送信した後で、ECU114は、すぐ左側の車線に物体が位置していて、接近速度で運転しており、したがってホスト車両120に接近してくるかどうかを判断する(ステップ214)。図4に示すように、すぐ右側の車線に、接近してくる物体が検出されなくても、プログラムはステップ214に進む。
【0023】
すぐ左側の車線に接近してくる物体が検出された場合(ステップ214)、ECU114は警報を駆動する(ステップ216)。警報ユニット108に警報信号を送信することによって警報が発せられる。警報ユニット108は、ホスト車両のすぐ左側車線で後方から接近してくる車両を通知する視覚的警報をホスト車両120のディスプレイ上に出力する。いくつかの構成において、左後方センサユニットのECU114は、接近してくる車両との衝突までの距離または時間を示すデータを警報ユニット108に送信する。いくつかの構成において、警報ユニット108によって提供される警報はチャイムまたは可聴メッセージである。
【0024】
ECU114は、すぐ左側の車線で接近してくる物体を通知する、右後方センサユニット104によって出力された入力警報信号のモニタリングも行う。YES信号を受信した場合、ECU114は上記に説明したように警報を駆動する(ステップ216)。警報が発せられても発せられなくても、ECU114はホスト車両経路データを再び取得し(ステップ202)、ルーチンが繰り返される。
【0025】
左後方センサユニット102を用いて、すぐ隣の左側車線でホスト車両に接近する車両を検出し、それを示す信号を右後方センサユニット104に提供することは単に冗長ではない。図3から5に示す状況は、後方センサが接近してくる車両を検出できない状況において、この重複する機構が如何に重要な運転者支援情報を提供できるかを示す。
【0026】
上記のように、図3の例において、右後方センサ104は隣接する右側車線内の接近してくる車両126を検出でき、また、隣接左側車線内の接近してくる車両124も検出できる。同様に、左後方センサ102は両方の隣接車線内の接近してくる車両124、126を検出できる。
【0027】
対照的に、図5は、右後方センサユニット104が、左後方センサユニット102によって感知されない、左隣接車線内の接近してくる物体を検出する状況を示す。図5の例において、ホスト車両120は、きついまたは鋭角の左側カーブに沿って走行している。隣接する左側車線内の車両128は、左後方センサユニット102によって出力されるレーダー信号をブロックする障壁130により左後方センサユニット102によって検出されない。この例において、左後方センサ102の視界を妨げている障壁130はガードレールである。しかし、いずれかの後方センサユニットの視界は、路面上またはセンサ自体に蓄積した泥、氷または雪によって同様に妨げられる可能性がある。さらに、何らかの別の状況において、ガードレールまたはその他の物体は、レーダー信号反射が不正確になるような光反射をすることがある。そのような場合、ホスト車両の反対側の後方センサユニットから発せられて受信された警報信号は、その他の場合では検出されずに終わる可能性がある警報情報を提供することができる。
【0028】
上記に説明した例において、ECU114は、すぐ隣の車線において接近してくる車両が検出された場合に警報ユニット108(または他方の後方センサユニット)に警報信号を送信する。しかし、いくつかの構成において、その他の状況的条件または運転者による措置が警報ユニット108の挙動に影響を与える可能性がある。例えば、いくつかの構成において、ホスト車両120に対してターン信号が作動し、ホスト車両のターン信号によって指示された車線変更に対応するすぐ隣の車線内で接近物体が感知された場合にのみ可聴メッセージが提供される。ターン信号が作動しない場合、例えば発光ダイオードによって出力される視覚的警報のみが提供される。
【0029】
こうして、本発明はとりわけ、ホスト車両からすぐ隣の車線内の接近してくる車両を監視して通知するシステムおよび方法を提供する。さらに、上記の例は、接近車両を感知し、それを運転者に警告する1つの装置構成を説明しているが、本発明の別の構成は、別の装置構成を利用できる。本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に規定される。
【符号の説明】
【0030】
100 運転者支援システム
102 左後方センサユニット
104 右後方センサユニット
108 警報ユニット
110 CANバス
114 電子制御ユニット
116 センサ
120 ホスト車両
図1
図2
図3
図4
図5